シャーム解放機構とシャーム自由人イスラーム運動は両組織解体と統一組織結成を条件に停戦合意(2017年7月21日)

イドリブ県では、アル=カーイダ系組織のシャーム解放機構が、同じくアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動が掌握するバーブ・ハワー国境通行所を包囲したことを受け、両組織が停戦に向けた交渉を開始した。

シャーム自由人イスラーム運動は、ムハンマド・アブー・ザイド報道官の名で声明を出し、両組織が、戦闘停止、拘束者の解放、バーブ・ハワー国境通行所からのすべての武装勢力の退去、非軍事組織による通行所の運営を骨子とする停戦合意を交わしたと発表した。

Kull-na Shuraka’, July 21, 2017

シャーム解放機構も声明を出し、停戦合意を交わしたと発表した。

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停戦合意を受け、シャーム解放機構はバーブ・ハワー国境通行所を解囲し、シリア領内放免に撤退したという。

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一方、シャーム解放機構の複数の消息筋が、クッルナー・シュラカー(7月21日付)に対して明らかにしたところによると、この停戦合意では、シャーム解放機構とシャーム自由人イスラーム運動は、組織の解体と新たな統一組織結成に向けて行動する旨宣言することを条件に成立したという。

なお、この新組織においては、シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏は何らの役職にも就かないという。

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シリア人権監視団によると、シャーム解放機構は一連の戦闘で、サルマダー市、ハーリム市、ラーム・ハムダーン村、サラーキブ市、ファッティーラ村、カフル・ウワイド村、タルマラ村、カルサア村、フィキーア村、マアッラト・スィーン村、カサービーヤ村、バアルブー村、ダーナー市、サルキーン市、フバイト村、アービディーン村、ハルシュ・アービディーン村、カフル・ヤフムール村、マアッラトミスリーン市、マアッラト・ハルマ村を制圧し、勢力を拡大した。

また戦闘で、民間人15人を含む92人が死亡した。

AFP, July 21, 2017、AP, July 21, 2017、ARA News, July 21, 2017、Champress, July 21, 2017、al-Hayat, July 22, 2017、July 23, 2017、Kull-na Shuraka’, July 21, 2017、al-Mada Press, July 21, 2017、Naharnet, July 21, 2017、NNA, July 21, 2017、Reuters, July 21, 2017、SANA, July 21, 2017、UPI, July 21, 2017などをもとに作成。

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