英シンクタンクがシャームの民のヌスラ戦線の起源や現構成、戦略に関する詳細な報告書を発表、同戦線は「イラク・イスラーム国と直接」(2013年1月8日)

国内の動き

シリアのウムラーン・ズウビー情報大臣はダマスカスで記者会見を開き、そのなかでアサド大統領が演説で示した危機解決に向けたプログラムが「いかなる期限とも関係がなく、危機克服のための国民的プログラム提示の機が熟したことを受けて、”シリア時間”に沿って提示された」と述べた。

SANA, January 8, 2013
SANA, January 8, 2013

そのうえで「国民対話参加の呼びかけはすべての反体制勢力に対して向けられており、同対話は、主権尊重、外国の干渉拒否…に基づいている」と付言した。

また「議論は、暴力とテロ、テロ組織の存在に関わる問題から始まり、経済問題、一般的自由と人権をめぐる問題、逮捕者の問題、国民対話の詳細と本質、対話の相手などを経て、すべての問題をとりあげることになる…。議論は長く、包括的で、困難なものとなろう。なぜなら、非常に多くの見解、提案、概念があるからだ」と述べた。

そのうえで「内閣に委員会を設置し、すべての政治的・愛国的・社会的勢力・活動家と連絡をとり、国民対話の開催を進める」とのヴィジョンを示した。

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ワーイル・ハルキー内閣は、アサド大統領の演説で示された危機解決に向けたプログラムに必要な仕組みを構築するための特別閣議を開催した。SANA(1月8日付)が報じた。

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SANA(1月8日付)は、与党の進歩国民戦線加盟政党各党、人民意思党、そして野党の民主前衛党が相次いで、アサド大統領の演説で示された危機解決に向けたプログラムへの支持を表明した、と報じた。

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アサド大統領が1月6日の演説で危機解決に向けたプログラムを示したことを受け、シリア国民対話準備委員会がダマスカスで会合を開き、その活動の整備と活性化のための分科会設置の是非を決定した。

準備委員会が発表した声明によると、設置が審議された分科会は、広報委員会、組織委員会、法務委員会、社会委員会、経済委員会。

国内の暴力

イドリブ県では、『ハヤート』(1月9日付)が複数の住民、活動家の話として、マストゥーマ村への侵入を数日前から試みていた反体制武装勢力を軍が撃退、制圧した。

その際、軍は民間人17人を処刑した、という。

一方、シリア人権監視団は、反体制武装勢力がタッル・カラーティーン村上空でヘリコプターを撃墜した、と発表した(未確認情報)。

このヘリコプターはタフタナーズ航空基地に向かっていたという。

他方、SANA(1月8日付)によると、タフタナーズ市、トゥウーム村、サイルーン市、クマイナース村、ワーディー・ダイフ地区、マストゥーマ村周辺などで軍が反体制武装勢力と交戦、追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(1月9日付)によると、軍がアレッポ市北西部のアシュラフィーヤ地区を再制圧した。

同地区はクルド人が多く居住する地区で、反体制勢力が数日前から侵入していた。

またアレッポ国際空港周辺では、軍と反体制武装勢力の交戦が続いた。

一方、SANA(1月8日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、カーディー・アスカル地区などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またマンナグ村、ハーン・アサル市、マーリア市、マンスーラ村、ドゥワイリーナ市、ナッカーリーン村などでも軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(1月9日付)によると、バルザ区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(1月9日付)によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、バイト・サフム市、ザバダーニー市、ドゥーマー市、アルバイン市、ジャルマーナー市などで軍が反体制武装勢力掃討のため砲撃を加えた。

一方、SANA(1月8日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・アジトを破壊した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(1月9日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区で軍が反体制武装勢力掃討のため砲撃を加えた。

一方、SANA(1月8日付)によると、反体制武装勢力がクサイル市郊外のダブア村に至る街道で爆弾を仕掛けた車を爆発させ、4人の市民を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シャームの民のヌスラ戦線がユーチューブにビデオ声明をアップし、女性を強姦しようとしていたシリア軍兵士3人を殺害したと発表した。

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ハマー県では、SANA(1月8日付)によると、ムハルダ市で破壊行為を行っていた反体制武装勢力を軍が殲滅した。

反体制勢力の動き

英国のキリアム基金(Quilliam Foundation)は、シャームの民のヌスラ戦線が約5,000人の戦闘員を擁し、イラク・イスラーム国に直接連絡をとっているとの報告書(http://www.quilliamfoundation.org/wp/wp-content/uploads/publications/free/jabhat-al-nusra-a-strategic-briefing.pdf)をまとめた。

同報告書によると、ヌスラ戦線は「ジハード主義イデオロギー」に基づき戦闘を行う「少数集団」で、体制転換を第一義とする「ほとんどの革命家」とは異なる、という。

また「すべての革命家は体制と戦うという最低限の目標を共有しているもの、アサド政権が崩壊した場合、長期的な目標をめぐって深刻な対立が生じるだろう」としている。

同報告書によると、ヌスラ戦線の起源は、2000年にアブー・ムスアブ・ザルカーウィーのもと東アラブ地域で結成されていった細胞と関係がある、という。

またアブー・ムハンマド・ジャウラーニーの名で知られる指導者は、かつてシリア国内の細胞で活動し、反米武装闘争を行うための戦闘員をイラクに送り込んでいたが、シリアがジハード主義者への締め付けを強化した2007年にイラクに逃れ、その後2011年に再びシリアに戻ったのだという。

さらに同報告書によると、ヌスラ戦線は現在でもイラク・イスラーム国から戦略的・イデオロギー的な指導を受け、イラクのアル=カーイダの監督下にあり、いずれは「ビラード・シャームのアル=カーイダ機構を名乗るだろう」としている。

同報告書によると、ヌスラ戦線の目標は以下の5点からなっているという。

1. すべてのジハード主義者からなる強固な集団の結成。
2. 現下の紛争における「イスラーム主義」の前衛としての意識の強化。
3. 武器入手と実効支配可能な安全地帯の確保。
4. シリアでのイスラーム国家の建設。
5. ビラード・シャームにおけるカリフ制建設宣言。

同報告書によると、ヌスラ戦線のメンバーは、高度な知識、訓練、専門性を有する戦闘員であるのに対して、多数派を占める自由シリア軍は、民間人や元軍人の烏合の衆に過ぎないという。

ヌスラ戦線は、シリア革命をイスラームに関わる問題と定義し、それを宗教的テキストで正当化している一方、「イラクでの教訓」をもとに、民間人を標的とした自爆テロや、アラウィー派、シーア派の異端視することを控え、アル=カーイダとの結びつきを避けるかのように現在の組織名を使用している、という。

またイラクでのアル=カーイダの活動に対抗するのに貢献した覚醒評議会の台頭が繰り返されることにも警戒している、という。

一方、軍事的には、大都市周辺の農村を占拠することで体制に対する消耗戦を仕掛け、都市内では即席爆弾、軍・治安機関の爆破に重点を置く他、戦闘員の犠牲を減らすために自爆作戦も行っている、という。

その組織は、約5,000人の「正規」戦闘員と、共闘する数千の「ジハード主義者」からなり、ダマスカスでは複数の細胞が個別に活動しているが、アレッポでは複数の大隊・軍事組織が体系的に戦闘を行っている、という。

またアブー・ムスアブ・カフターニーを名乗る「大ムフティー」を長とする少人数からなる「シューラー会議」がある。

この人物はサウジ人、ないしはモスル出身のイラク人だと言われている。

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自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官を名乗るルワイユ・ミクダードなる活動家は、「革命家は、ほぼ解放されたシリア北部の一県上空に初出撃した」と発表した。

同活動家によると、出撃は「捕獲したヘリコプター」による「試験」飛行で、「自由シリア軍の二つの拠点の間を約30分間」飛行したという。

なお同活動家によると、自由シリア軍は飛行可能なヘリコプター2機を保有している、という。

諸外国の動き

WHO報道官はジュネーブで声明を出し、約250万のシリア人が食糧の深刻な不足を感じており、そのなかの100万人が飢餓に苦しんでいると発表した。

その理由として報道官は、人道支援の輸送にタルトゥース港が使用できないとの理由を挙げるとともに、「我々の主要なパートナーであるシリア赤新月社は任務超過状態でこれ以上それを拡大することはできない」と同情を示した。

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米財務省高官は『ハヤート』(1月9日付)に対して、「ロシアの大手銀行は、米国の制裁リストに記載されているシリア中央銀行、シリア商業銀行との取引に慎重にならねばならない…。(こうした取引は)世界の金融セクターとの関係で損害を被る危険に曝すことになる」と脅迫した。

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フランス外務省報道官は、アサド大統領の演説に対するフランスの対応の遅れに関して、その内容が「現実と完全に乖離している」ことを踏まえ、「軽蔑」と「無視」の態度をもって対処しようとしたが、その後、外務省報道官の声明とローラン・ファビウス外務大臣によるツイッターへの書き込みをもって対応することにした、と述べた。『ハヤート』(1月9日付)が報じた。

AFP, January 8, 2013、Akhbar al-Sharq, January 8, 2013、al-Hayat, January 9, 2013、Kull-na Shuraka’, January 8, 2013, January 9, 2013、al-Kurdiya
News, January 8, 2013、Naharnet, January 8, 2013、Reuters, January 8, 2013、SANA,
January 8, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

民主的変革諸勢力国民調整委員会がアサド大統領の演説に示された紛争解決案を拒否、シリア・クルド民主党は民主統一党とアサド政権の協力関係を断絶するために活動するとの意思(2013年1月7日)

シリア政府の動き

ワーイル・ハルキー首相は、アサド大統領の演説で示された危機解決に向けたプログラムに必要な仕組みを構築するための特別会合の開催を内閣閣僚に呼びかけた。SANA(1月7日付)が報じた。

反体制勢力(国内)の動き

国内最大の非武装反体制政治連合である民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表はダマスカス県で記者会見を開き、アサド大統領の演説に示された紛争解決案を拒否すると発表した。

Kull-na Shuraka', January 7, 2013
Kull-na Shuraka’, January 7, 2013

アブドゥルアズィーム代表は、「我々は、まず暴力が停止し、そのうえで政治犯が釈放され、被災地の救済が補償され、失踪者の行方が明らかにならないうちは、国民対話大会には参加しない」と述べた。

また「いかなる交渉も…国連・アラブ連盟共同特別代表(アフダル・ブラーヒーミー)の監督のもとでなされねばならない…。我々と政権の直接対話・交渉はない」と述べた。

さらに「政治対話や政治的解決の段階は遅きに失する…。アサド大統領のイニシアチブは2011年4月、ないしは3月という事件発生当初になされるべきだった。しかしイニシアチブは提示されず、軍事的解決が継続されたことで対話をめぐる問題は消し去られてしまった」と付言した。

アブドゥルアズィーム代表とともに記者会見に同席したラジャー・ナースィル書記長は「委員会は政治的解決をこれまでも、そしてこれからも支持する。我々は政治的解決以外にシリアに出口はないと考えている」と述べた。

そのうえで委員会の声明を読み上げ、そのなかでアサド大統領の演説を「ブラーヒーミー共同特別代表による平和的解決へのイニシアチブへの道を閉ざすもので…、非現実的、非実質的だ。なぜなら、自ら(アサド大統領)の敵に武装放棄を求め、勝者として対処しようとしているからだ。しかし現地では事態はこれとは異なっている」と批判した。

また、アサド大統領のイニシアチブが「現体制による国家指導への固執を前提としており、その意思のみに基づいて今後のプロセスの行程を描こうとしている」と付言した。

さらに現下の危機を外国および外国人テロリストとの戦争状態と認識するアサド大統領の見方については「外国陰謀論を唯一の基準としている」「不正確」と非難、「シリアの民衆革命は体制の40年間の振る舞いから生じた当然の帰結であり、専制や腐敗と対決するアラブの春の革命の一環をなしている」と主張した。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問時に提示した政治的解決に関する委員会ヴィジョンが、民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダーム広報局長によってフェイスブック上に公開された。

同ヴィジョンの骨子は以下の通り:

1. すべての紛争当事者による暴力の停止。
2. シリア革命に関わるすべての逮捕者の釈放。
3. 避難民の帰国の保証。
4. すべてのシリア人への人道支援の保証。
5. 多元的民主制に向けた政治的解決のための交渉。
6. ジュネーブ合意の曖昧な文言の解釈をめぐる国際社会のコンセンサスの実現。
7. 国連安保理決議による暴力停止および監視に関する決議の採択。
8. 反体制勢力の活動家を長とする移行期政府の発足。
9. 民主的変革諸勢力国民調整委員会、シリア国民救済大会、シリア革命反体制勢力国民連立、シリア国民民主同盟、クルド最高委員会、そしてシリア人殺戮に関与してない政権および反体制勢力の代表の移行期政府への参加。
10. 軍および自由シリア軍から構成される暫定軍事評議会の設置。
11. 移行期政府による現行憲法、大統領権限の停止。
12. 復興のための国際基金の設立と、移行期政府による復興プロセスの始動。

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国内で非武装の反体制活動を続けるシリア国家建設潮流は、「アサド大統領が示した政治的解決のための諸プロセスは、圧政と危機的状況下にある国を安定と民主的国家へと移行させるにふさわしい政治的解決としては不十分である」と非難、「それは、政権の監督下に置かれなければ…解決に向けた一般的基礎になり得る」との立場を示した。

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国民青年公正成長党(野党)のバルウィーン・イブラーヒーム書記長は、アサド大統領の演説に関して、危機解決に向けた大統領のビジョンと愛国的な野党の方針を合致させる必要があると述べ、大統領が提案した包括的国民対話プロセスに参加する意思を示した。SANA(1月7日付)が報じた。

反体制勢力(国外)の動き

在外の反体制活動家によって構成されるシリア革命反体制勢力国民連合の広報局は、アサド大統領の演説を受けるかたちで声明(6日付)を発表し、そのなかで大統領を「国家元首の地位に就く資格を欠き…政治的解決をもたらすことができない…。なぜなら保身しか考えていないからだ」と批判した。

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シリア国民変革潮流(アンマール・カルビー書記長)は6日付で声明を出し、「自らが殺している国民の名のもとに演説した」と非難した。

またシリア国民変革潮流は別の声明で、組織改編を行ったと発表した。

同声明によると、この組織改編により、執行部(カルビー書記長ほか6人)、事務局(9人)、各委員会(法務顧問、広報顧問、人権顧問、文書委員会、医療救援委員会、情報委員会、調査研究計画委員会、市民社会組織担当官、対自由シリア軍連絡担当官、対文民行政評議会連絡担当官)、各国事務所(エジプト、ドイツ、英国、ロシアなど)、国内事務所(ダマスカス、アレッポ、ジャズィーラ地方、イドリブ、ヒムス)などが整備された、という。

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シリア人権監視団は声明を出し、ユーチューブにアップした映像を削除されたことへの異議を表明した。

同監視団がアップした映像が削除されたのはこの2ヶ月で2度目。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド民主党(アル・パールティ)のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長は、「シリアのクルド人の運動には二つの路線がある。一つは革命と体制打倒を支持する路線、もう一つは人民防衛隊(YPG)として知られている一派で独裁体制維持を支持している」と述べ、民主統一党とアサド政権の協力関係を断絶するために活動するとの意思を示した。

アナトリア通信(1月7日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、カフルバトナー町、バイト・サフム市、アックラバー市が砲撃を受け、カフルバトナー町では一家4人を含む5人が死亡した。

一方、SANA(1月7日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、グータ殉教者大隊メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

また、ハジャル・アスワド市で軍が反体制武装勢力の追撃を続け、ビータール大隊メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(1月8日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区のザイバル・モスク周辺、ライラムーン地区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

またマンナグ空軍飛行場周辺で軍と反体制武装勢力の交戦が続いたという。

一方、SANA(1月7日付)によると、ハーン・アサル村、ウワイジャ地区、アズィーザ村、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、アンサーリー地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・アジトを破壊した。

またSANA(1月7日付)は、アレッポ県での破壊活動に関与したもの殺人を犯さなかった逮捕者83人が釈放さえた、と報じた。

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ダルアー県では、『ハヤート』(1月8日付)によると、ブスル・ハリール市、ダーイル町で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月7日付)によると、ナワー市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(1月8日付)によると、タフタナーズ空軍基地周辺で軍と反体制武装勢力の交戦が続いた。

一方、SANA(1月7日付)によると、マストゥーマ村、タフタナーズ市、トゥウーム村、ビンニシュ市などで軍が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、武器・弾薬などを押収した。

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ハマー県では、SANA(1月7日付)によると、タイバト・イマーム市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

諸外国の動き

ローマ法皇ベネディクト16世は、各国および国際機関の大使ら外交官179人を前に年始恒例のフランス語による演説を行い、そのなかでシリアの紛争への対話による解決を呼びかけた。

ベネディクト16世は演説のなかで、「できるだけ早期の武装放棄、建設的対話」による「紛争終結」を呼びかけるとともに、「もし紛争が続けば、勝者などなく、敗者だけとなろう」と警鐘を鳴らした。

また「危機的な人道状況に対処するため緊急の支援を拡充」するよう呼びかけた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、外務省ホームページで公開された声明のなかで、「アサド大統領の危機解決に向けた包括的イニシアチブを支持する」と表明した。

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中国外交部報道官は、記者団に対して、「中国はシリアの紛争当事者が共通の計画を遵守することを支持する…。シリア当局、反体制勢力にできるだけ早く武力衝突を止めるよう呼びかける」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、「ジュネーブ合意の重要な要素のほとんど、とりわけ政治的移行、すべてのシリア人の代表を包摂し、全権を委任された移行期政府の創設を拒否している」と非難、「アサド大統領の演説はシリア国民の苦しみを終わらせることには資さない」との失望の意を示した。

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フランス外務省報道官は、アサド大統領の演説に関して、「現実を否定し、シリア国民への抑圧を正当化」するものと批判した。

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オランダ軍のパトリオット・ミサイル発射台2基および関連機材を搭載した車輌160台および兵士約300人がトルコに派遣された。

AFP, January 7, 2013、Akhbar al-Sharq, January 7, 2013、al-Hayat, January 8, 2013、Kull-na Shuraka’, January 7, 2013、al-Kurdiya News, January
7, 2013、Naharnet, January 7, 2013、Reuters, January 7, 2013、SANA, January
7, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がダマスカス県内のオペラ・ハウスで約50分にわたり演説を行うも、シリア革命反体制勢力国民連立や西側諸国などは相次いでその内容を拒否(2013年1月6日)

アサド大統領の演説

バッシャール・アサド大統領がダマスカス県ウマウィーイーン広場に面するオペラ・ハウスで、政府首脳や支持者を前に約50分にわたり演説を行い、現下のシリアの紛争状況についての方針を確認した。

SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013

演説の概要は以下の通り:

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「苦しみがシリアの国土に拡がり、祖国のいかなる場所にも喜びの場はない。安全と安寧は街から失われた…。子供たちを失った母たちがおり…、主、子供、兄弟を失い、殉教者、避難民、そして失踪者として引き裂かれた家族たちがいるなか我々は今日集っている」。

「こうした痛み、悲しみ、憤り、執着心といった感情は大いなるエネルギーである。こうしたエネルギーを…祖国を救済するための愛国的で包括的なダイナミズムへと転化することなければ、シリアはこうした試練を克服することはないだろう」。

「愛国的なダイナミズムこそ…シリアを地理的に存続させ、政治的により強力にし、社会的、文化的、道徳的な力を回復することを可能にする唯一のものである。すべての市民は、何かを提示する責任があり、しかもその能力がある。たとえそれが微々たるものだと思えても、である。祖国はみなのものであり、我々みながそれを防衛する」。

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「(現下の)紛争は、祖国とその敵、国民とそのなかの殺人犯、国民のパン、水、暖とそれらすべてを奪おうとする者、我々に不可欠な安寧と、恐怖やパニックを心のなかに広めようとすることとの紛争である」。

SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013

「(現下の紛争は)権力闘争なのか?シリアとその社会を分断しようとするためのキーワードを殺人テロリストに与えない国民への復讐なのか?彼らは国民の敵であり、国民の敵とはアッラーの敵であり、アッラーの敵は審判の日に火獄に集う者たちだ」。

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「彼ら(国民の敵)は(自らの行為を)革命と名付けているが、それは革命とは何の関係もない。革命は思想家が必要で、何らかの思想に依拠している。しかしどこに思想家がいるのか?革命には指導者が必要だが、この革命の指導者として誰が知られているのか…?革命は国を前進させ、数世紀も退行させるものではない…。革命は人民の革命であるのが常で、外国から輸入され、国民を抑圧する者の革命ではない。国民の利益のためにあるのが革命で、それに反するものではない…。これは革命なのか?彼らは革命家なのか?彼らは単なる犯罪者集団に過ぎない」。

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「こうしたことの背後に、タクフィール主義者がおり…、爆破作戦や集団殺戮を行っている…。タクフィール思想は、我々の国にとって異質な思想であり、活動家も発想も外国から輸入されねばならなかったものだ…。タクフィール主義者、テロリスト、アル=カーイダ、自称「ジハード主義者」が四方八方からやって来て、国内でテロ作戦を指導している。一方、(シリア人の)武装集団は挫折のち、誘拐、略奪、破壊…といった行為を通じて後方支援を行う存在となり…、タクフィール主義者のために…奉仕し、密偵となった」。

「同胞よ、我々はこうした者たちと戦っている。彼らの多くはシリア人ではない。逸脱した理解やねつ造された概念のためにやって来て、それをジハードと名付けている。しかしそれはジハード、イスラームとは無縁なのだ。確かなことは、我々が戦っている者のほとんどがアル=カーイダの思想を身につけたテロリストだということだ」。

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「(現下の)危機には、内政以外のさまざまな次元がある…。地域的には、シリアを分割し、弱体化させようと意図している者がおり、その一部は犯罪者に資金、武器を提供し、そして時には支援、教練を行っている」。

「一方、国際的には、シリアが過去も未来も、自由で主権を堅持し、従属に甘んじないことは明白であるが、このことが西欧を苛立たせてきたし、今も苛立たせている。彼らは国内の出来事を利用し、シリアを地域の政治的バランスから排除することで、この苛立ちを解消し、レジスタンス思想に打撃を与え、我々を近隣諸国と同様の従属者にしようとしている」。

SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013
SANA, January 6, 2013

「しかし、国際社会は西欧に限られない。世界の多くの国、ロシア、中国、BRICs諸国などは内政干渉や地域の不安定化を拒否し…、シリアの主権、独立、自決権を尊重しようとしている。我々はこうした国々、とりわけロシア、中国、イランに感謝と尊敬の意を表したい」。

「こうした状況ゆえに、我々は、これらの要素、すなわち国内的要素、地域的要素、国際的要素を考慮せずには解決策について話すことはできず、これらの要素を変更しないいかなる措置も真の解決策とはならない」。

「国内的要素から始めよう。(国内の)意見の相違は、当初は一部の人々には、反体制勢力と親体制勢力の間の対立に見えたとしても…、その一部が外国と連携、結託することで、国内と外国の紛争、祖国独立と祖国への覇権伸長の戦い、自由と主権の維持と外国による政治的占領の対立となっていた。ここに至り、問題は祖国全土の防衛、外国の敵に対する一致団結へと転化していた」。

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「反体制勢力対新体制勢力、軍対悪党・殺人者といった対立ではなく、我々はあらゆる意味において戦争状態にある。我々は今、外国の強敵によく対抗した。この種の戦争は、伝統的な戦争に比べ、決死の戦いとなり、もっとも危険である。なぜなら敵は自らのツールを利用するだけでなく…、シリア人や異邦人を利用してシリアを攻撃するからである…。それゆえ、祖国防衛の戦争とは、我々みなにとって不可欠な改革と並行した動きである。改革それ自体は、戦況を変えるものではないが、それは我々、そして我々の統合を強化し、外国の敵に対する我々の免疫力を強めるものである。これこそが解決策で、改革こそが問題を解決すると言う者もいる。しかし、それは有力な要素の一つに過ぎず、解決策そのものではない」。

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「安寧を欠いた改革、そして改革を欠いた安全、いずれかが欠いていても成功しない…。我々は何度も繰り返し言ってきた。改革と政治が一方にあり、テロ根絶がもう一方にある、と…。攻撃に曝され、自衛する人に対して、我々は、自衛せよと言ったり、治安措置による問題解決を選べなどとは言えない。国家が国民を防衛し、国民が祖国を防衛するときに、彼らに、治安措置による問題解決を選べ、などとなぜ言えるのか?」

「祖国防衛は義務であって、議論の余地などない。それは法的義務であって、憲政上の合法的な義務である。それは唯一の選択肢で、治安措置による問題解決はそのオルターナティブなどではない。自衛こそが唯一の選択肢である」。

「政治的解決を選択し、それを当初から目指しているとしても、それは自衛しないことを意味しない…。政治的解決を選択し、それを当初から目指す場合、それは我々が、政治プロセスを進め、全国レベルでの対話プロセスに入る能力を持った相手を必要とていることを意味する…。相手がいないとしても、それは我々が相手を欲していないことを意味しない。つまり、我々はこれまで相手を見出せなかったということだ」。

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「我々は政治的解決を一日でも拒否したことはない…。我々はシリアを前進させようとする政治的、愛国的なプログラムを持つ人々に手を伸ばしてきた。しかし、我々は誰と対話するのか?血と殺戮とテロ以外の言葉を信じない過激思想の持ち主とか?外国の傀儡となり、西欧とその命令に従属する悪党とか?外国は彼らに対話を拒否するよう命令している。なぜなら、対話はシリアを弱体化させ、根絶しようとするその計画を失敗させることを知っているからだ。とりわけ地域の一部の国の首脳は、シリアが危機から脱却すると、今度は自分たちに危機がふりかかることを…を知っている…。これらの国の首脳は国民を嘘で埋没させ…、自らの国をテロ支援のために機能させ…、もはや流血や無実の人々の殺戮に関与していることを正当化できなくなっている」。

「我々は西欧が作り、その配役を書いた操り人形と対話するのか?何よりもまず、我々は、代役ではなく本物と対話する。我々は、国際社会という舞台のうえで演じるべき役割を書かれた者とは対話しない。我々は、奴隷ではなく主と対話をする。植民地主義の末裔で、分割政策と宗派対立の張本人である西洋こそが、対話の戸を閉ざしているのであって、我々が閉ざしているのではない」。

「解決策は包括的でなければならず、そのなかに対話、政策、テロ撲滅がある。そしてそのほかに第3の軸として、社会的解決策というのがある…。愛国的な個々人が…国家と、武装集団やテロリストなどを含む危険分子の間でイニシアチブを発揮し、現場で重要な成果(事態の改善)を達成している」。

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「主権、独立といった我々の原則的基礎、そして国連憲章や国際法の諸原則…、シリア人どうしの対話の必要への信念…を踏まえると、シリアの政治的解決は以下のようなかたちをとるだろう」。

「第1段階は、まず第1に、地域および国際社会の関係諸国が、武装集団への資金、武器、潜伏先の提供の停止を遵守し、それと並行して武装集団がテロ活動を停止すること…。そのうえで我々の軍武装部隊が…報復権を保持しつつ、軍事作戦を停止する。第2に、このこと、とりわけ国境管理をすべての当事者が遵守するための仕組みの案出。そして第3に現政権が、政党などシリア社会のすべての当事者と集中的に連絡をとり、国民対話大会開催に向けた公開対話を運営する」。

「第2段階は、まず第1に、シリアの主権、統一、国土保全、内政干渉拒否、テロと暴力の拒否という姿勢を強化する国民憲章の採択に至るために、現政府が包括的国民対話大会の開催を呼びかける。すなわち、政府は各党および社会集団にこの大会の企画を確定することを呼びかける…。国民憲章は、シリアの政治の将来を描くもので、憲政、司法、政治・経済体制を提示し、政党法、選挙法、地方自治法などの新法に関する合意をめざす。第2に、国民憲章を国民投票にかける。第3に、シリア社会の各構成要素を代表する拡大政府を発足し、国民憲章実施を付託する。そして第4に、(新)憲法を国民投票にかけ、憲法承認後に拡大政府が、国民対話会合で合意された法律と新憲法…に準じ、新議会選挙を実施する。憲法などの法律にかかる事柄はすべて「もし…なら」、すなわちこの大会で合意がなされればということになる」。

「第3段階は、まず第1に、新憲法に沿って新たな政府を発足することである。第2に、国民和解総会を開催し、市民権を保持する…逮捕者の恩赦を行うことである。そして第3に、インフラ、復興、被災者補償のための準備を行うことである」。

「これが我々の考える政治的解決の主な様相であるが、それは単なる主題に過ぎず、詳細を必要とする。ゆえに、政府はこの問題に対処することを付託され、詳細を確定するだろう」。

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「こうしたヴィジョンに関して、一部の人々は、恐怖と懸念を抱き、治安面での後退を招くと考えるかもしれない。しかし、皆には安心して欲しい。シリアにテロリストが1人でもいる限り、我々はテロとの戦いを止めることはない」。

「このヴィジョンは…対話を望すべての人、そして近い将来に政治的解決を見たいと考えるすべての人に向けられているのであって、対話を望まない者に向けられているのではない。我々は今日から、周知の勢力による拒否を耳にするだろう。しかし彼らにあらかじめ言っておきたい。お前たちにそもそも向けられていない事をなぜ拒否するのか?」。

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「いかなる勢力、個人、国家が行うイニシアチブもシリアの視点に依拠していなければならない…。いかなるイニシアチブも、シリア人自身が行うことを支援するものでなければならず、それにとって代わるものではない…。あらゆる外国のイニシアチブはこうした考え方に依拠していなければならず、この文脈から逸脱したイニシアチブに我々や他人の時間を割く必要はない」。

「外国のイニシアチブがどのように我々を支援し得るのかを自問すると、そこには二つの基軸がある。政治的活動という基軸とテロ撲滅という基軸だ。第1の基軸に関して、我々は支援を必要としていない。我々シリア人は自己完結的に政治プロセスを実行できるからだ。実質的且つ誠実にシリアを支援し、成功を得たいという者は、シリアへの武装集団、武器、資金の流入を停止させるという問題に力点を置くことができる者のことだ」。

「我々が外国の支援的イニシアチブを支持するということは、その詳細が我々のヴィジョンと合致していたとしても、そのすべてを受け入れることを意味しない。我々はシリアの国益に資する方法以外のかたちではこうしたイニシアチブのいかなる解釈をも受容しない」。

「この点に関して、シリアが支持したジュネーブ・イニシアチブについて話したい。そこには曖昧な項目、すなわち移行期間に関する項目がある。もちろんこの項目が曖昧なのは単純な理由による。我々が移行期間について話す場合、まず問うべきは、どこからどこに移行するのか、ということだ…。例えば、自由で独立した国から占領下の国に移行するということか…?あるいは、独立した国民的決定から、こうした決定を外国に委ねることに移行するのか?…。

現下の我々にとって移行期間とは不安定から安定への移行である」。

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「シリアを往来するすべての人々は、シリアが忠告を受け入れるが指図は受けないこと、支援は受けるが、圧政は受け入れないことを知っている。この点を踏まえると、これまであなた方(シリア国民)がメディアや(外国の)首脳の発言のなかで耳にしてきた概念、思想、見解、イニシアチブ、声明は、それがアラブの春を起源に置く概念だとしたら、我々にとって重要ではない。それはシャボン玉のようなもので、アラブの春もシャボン玉のようにやがて消えゆくようなものだ」。

「シリアの主権から逸脱するあらゆる主題に関わるあらゆる解説は、我々にとって支離滅裂な夢ごとに過ぎない。彼らが夢を見て、想像上の世界で暮らしてもよいが、彼らにとって現実だと思える世界のなかで我々を暮らさせることはできない」。

「西欧が…(アラブの)春と名付けたものによって彼ら(シリア国民)の血が失われた。それは憎しみの炎であり、それに触れたすべてのものを、邪悪な宗派主義、盲目的憎悪…によって焼き尽くそうとした。それを描き、計画し、実行しようとしたが、挫折した者にとってのみの春だった。殉教者たちの血は祖国と地域を護ったのであり、今後も護り続けるだろう。また我々の領土の統一性や我々の統合を護ると同時に、我々の社会を裏切りと反逆から浄化し、道徳的、人道的、文明的な堕落を抑止するだろう…。これこそがもっとも強力で重要な勝利だ」。

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「シリア・アラブ軍の男たちに…最高の敬意を表する。シリアのために血と汗を惜しまない我々の士官…、勇敢な兵士に敬意を表する…。我々の武装部隊を支持することで愛国的義務を果たしたすべての市民に最高の敬意を表する…。これらの人々はシリアの誇りである…」。

「同胞よ、私はみなと同様、祖国が悲惨で困難な状況にあることを知っており、愛しい人や家族・親戚を失ったことの痛みに苛まれているシリア国民の大多数と同じように感じている。憎しみの炎はすべての人に及んでいる…。私は彼ら(遺族)のなかにいる。なぜなら私も国民の一人であり、今後もそうであり続けるからである。地位というものはいずれ消滅する。しかし、祖国は消えることなく残るだろう」。

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「シリアはこれまでと同じく存在し続け、アッラーの許しのもと、これまでよりも強力になるだろう…。我々はこれまでと同様、唯一の敵に対するレジスタンスを支持し続けるだろう。レジスタンスは個々人にとっての方法であり、思考であり、行動であり、いかなる妥協もない…」。

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アラビア語(http://www.sana-syria.com/ara/2/2013/01/06/460535.htm
英語抜粋(http://www.sana-syria.com/eng/21/2013/01/06/460536.htm
映像(http://www.youtube.com/watch?v=pdjMTAnAx2M

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルトゥーズ町の軍検問所周辺で軍と反体制武装勢力が交戦、また軍が浄化を完了したダーライヤー市、タッル市で砲撃があった。

一方、SANA(1月6日付)によると、カフルバトナー町、ムライハ市、シャブアー町、アクラバー村、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ヤルダー市、ダーライヤー市、ナブク市、ドゥーマー市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、軍がブスル・ハリール市に突入し、反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(1月6日付)によると、ブスル・ハリール市、ブスラー・シャーム市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、SANA(1月6日付)によると、ハサカ市の東40キロに位置するティシュリーン油田を反体制武装勢力が襲撃、略奪行為を行った。

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ヒムス県では、SANA(1月6日付)によると、ラスタン市郊外で軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(1月6日付)によると、タイバト・イマーム市で軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

反体制武装勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のワリード・ブンニー報道官は、AFP(1月6日付)に対して、「我々は…政治的解決をめざしていると述べ…、一つの目的のため、これまでに60,000人以上が殺害された…。彼らはこの専制体制のもとで安定を回復するために犠牲を払っているのではない」と述べ、アサド大統領の演説を拒否した。

またアサド政権による問題解決への姿勢に関して、「体制を再び安定させず、また彼(アサド大統領)に現状を掌握させないいかなるイニシアチブを…受け入れないだろう」と批判、「革命家との対話の可能性を遠ざけ…、自分が選んだ者たちとの対話を望んでいる…。こうした対話は、国民の意思に応えようとするいかなるイニシアチブも受け入れない」と断じた。

さらに「シリアの政権指導者は外国のイニシアチブを完全に拒否し…、現実とかけ離れた演説で、自らの軍が被る敗北に対応しようとした…。シリア国民は自由シリア軍、革命運動体、民間勢力をもって対応し、今後さらなる統合を進め、国土解放を続け、体制打倒を貫徹するだろう」と述べた。

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『ハヤート』(1月7日付)は、シリア国民評議会が9項目からなる体制転換・移行期間開始計画の作成を進めている、と報じた。

同報道によると、この計画の骨子は以下の通り:

1. シリア革命反体制勢力国民連立が暫定政府に指名し、同政権を国際社会が承認。
2. アサド大統領および政権幹部の追放。
3. シリア革命反体制勢力国民連立による憲法停止。
4. 暫定政府による自由シリア軍、旧シリア軍士官の停戦、撤退、治安にかかる合意形成の監視。
5. シリア革命反体制勢力国民連立による国民(和解)大会の召集。
6. 国民大会開催および暫定内閣開催後のシリア革命反体制勢力国民連立の解体。
7. 真実公正和解委員会の設置を通じた、前体制下での犯罪の処罰。

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ダマスカス県では、シリア人権ネットワークなどが、ジャウバル区、カーブーン区などで、「戦場処刑」されたと思われる遺体数体が発見されたと発表した。

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地元調整諸委員会などは、イドリブ県、ヒムス県で、軍が「虐殺」を行っていると発表、またスカッド・ミサイルが発射される映像がウェブ上にアップされ、軍がアレッポ市郊外を砲撃していると複数の活動家が主張した。

諸外国の動き

ヴィクトリア・ヌーランド米ホワイトハウス報道官は、アサド大統領の演説に関して「演説は、権力にしがみつこうとするもので、現実とかけ離れている。シリアの人々への抑圧をさらに続けようというものだ」と非難した。

また演説で示された移行プロセスについては、「現実離れしており、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の努力を台無しにする」と全面的に否定、「対話に言及しているが、政権は宗派対立を煽り、自国民の殺害を続けている」とし、アサド政権による対話路線に懐疑的な見方を示した。

そのうえで「アサド大統領は正統性を完全に失っており、政治的な解決と民主的な政権移行を実現するために退陣しなければならない」と改めて、アサド政権の退陣を要求した。

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イギリスのデヴィッド・キャメロン首相はBBC(1月6日付)に対して、「アサドへの私からのメッセージは去れ、というものだ」と述べた。

またウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド大統領の演説に関して「偽善…、空約束には誰も従わないだろう」と非難した。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は声明を出し、アサド大統領の演説に関して「新たな認識を欠いている」と非難、退任と暫定政府樹立を改めて主唱した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、アサド大統領の演説に関して「空約束…、いつも言っていることの繰り返し以外の何ものでもない…。アサドはもはやシリア国民を代表していない」と非難した。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領はCNN(1月6日付)とのインタビューのなかで、アサド大統領を「戦争犯罪者」と断じ、「国際戦犯法廷での処罰を支持する」と述べた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、ヨルダン訪問中のロバート・フォード駐シリア米大使と会談し、シリア情勢について協議した。

ヨルダンの複数の消息筋によると、この会談で両者は、政治的解決の重要性、暴力停止の必要を再確認した。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は閣議で、「対シナイ半島国境で行っているように、攻撃やテロからこの国境を護らねばならない」と述べ、占領下のゴラン国境に「安全フェンス」を新たに建設する意思があることを明言した。

ネタニヤフ首相は「対シリア国境の向こう側で、シリア軍が後退し、世界的ジハード主義者がそれにとって代わったことを知っている」と述べ、サラフィー主義者によるテロへの警戒心を露わにした。

AFP(1月6日付)は、イスラエル治安筋の話として、新たな「安全フェンス」は全長10キロ、すでに建設されているフェンスと合わせると60キロにおよび、2013年中に完成がめざされていると報じた。

AFP, January 6, 2013、Akhbar al-Sharq, January 6, 2013、CNN, January 6, 2013、al-Hayat, January 7, 2013、Kull-na Shuraka’, January 6, 2013、al-Kurdiya News, January
6, 2013、Naharnet, January 6, 2013、Reuters, January 6, 2013、SANA, January
6, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

各県で軍・治安部隊による空爆・浄化作戦が継続するなか、民主統一党のムスリム党首が「見にくい権力争いになりさがった」現下の反体制運動を批判(2013年1月5日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ナシャービーヤ町が軍の空爆を受けたほか、ハラスター市、シャブアー町、バイト・サフム市が砲撃を受けた。

またダーライヤー市での浄化作戦を終えた軍の戦車、装甲車などが、マッザ航空基地方面に撤退した、という。

一方、SANA(1月5日付)によると、ムライハ市、アルバイン市、ドゥーマー市、ハラスター市郊外などで軍が反体制武装勢力の掃討を継続し、ドゥーマー殉教者旅団メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、旧市街のバーブ・トゥーマー地区に迫撃砲1発が着弾した。

地元調整諸委員会によると着弾したのはジョルジュ・フーリー広場近くだという。

またシリア人権監視団によると、ルクンッディーン区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、10人が死亡、15人が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港を防衛する第80旅団本部周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月5日付)によると、カブターン・ジャバル村、アレッポ市イシャーラート地区、カルム・カーティルジー地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市のハイダリーヤ地区で、反体制武装勢力が略奪品の分配をめぐって撃ち合いとなり、13人の戦闘員が死亡、複数名が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(1月5日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月5日付)によると、ブスル・ハリール市・ラジャート高原間で軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(1月5日付)によると、ラスタン市郊外で、軍が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

反体制武装勢力の動き

シリア人権監視団は、イドリブ県で、軍と反体制武装勢力が双方の遺体の引き渡しのための交渉を行っている、と発表した。

同監視団によると、自由シリア軍は戦闘員1人の遺体に対して、殺害した軍兵士10人の遺体を返還する見込みだという。

彼らはワーディー・ダイフ軍事基地をめぐる攻防戦で戦死したのだという。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は『シャルク・アウサト』(1月5日付)のインタビューに応じ、そのなかで「現体制が去る、ないしは崩壊すれば、勝者どうしの殺し合いなど多くのことが祖国に起こるだろう」と述べた。

al-Sharq al-Awsat, January 5, 2013
al-Sharq al-Awsat, January 5, 2013

ムスリム共同党首はまた「シリア革命は民主的路線を逸脱し、見にくい権力争いになりさがった」と現下の反体制運動を批判した。

トルコとの関係については「我々の党はトルコと敵対していないし、同国のクルド問題に介入する意思はない。しかしトルコの方が全力でシリア情勢に介入している。我々はトルコが…我々の家々を血で汚すことを望んではいない。しかしこのことは、共通の利害のもとでのトルコとの協力を拒むことを意味しない」と述べた。

一方、シリア・クルド国民評議会との関係については、「問題は我々の側にあったのではない。問題は先方、すなわちシリア・クルド国民評議会とその加盟政党の側で生じ、そのことがクルド最高委員会を麻痺させた」と述べた。

自由シリア軍など反体制武装勢力については、「当初からクルド人は革命が平和的である必要があるとしてきた…。我々はデモの武装化を拒否してきた。なぜなら当初から、膨大な武器を保有しているのが政権側で…、武装闘争に入れば、外国からの武器供与が必要となるからだ。現在のような他人による意思や争点の押し付けを望んでいなかったため、我々はこれを回避してきた」と述べた。

諸外国の動き

イラクのアンバール県カーイム地方のファルハーン・ファティーハーン首長は、『ハヤート』(1月5日付)に対して、「イラク・シリア国境にシリア軍の駐留はない…。イラクに近いシリア国内の都市のほとんどは自由シリア軍の支配下にあり、国境のシリア側は無防備で、イラクの治安当局が真空を満たすための増援を余儀なくされている」と述べた。

ファティーハーン首長はまた「イラクのNGOが国境に近いシリアの各都市への人道支援を行っているが…、外国からの支援は届いていない」としたうえで、「シリア国境の治安上の混乱が…テロ集団の潜入に利する懸念がある」と不安を露わにした。

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アイマン・ザワーヒリーの弟のムハンマド・ザワーヒリーは、『ハヤート』(1月5日付)の電話取材に応え、そのなかでシリア国内で反体制勢力との会談中に当局に逮捕されたとの一部情報を否定、「私はカイロの家にいて、シリアを訪問したことなどない」と応えた。

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『ハヤート』(1月6日付)は、ロンドンの複数の消息筋の話として、国連事務総長がシリアへの平和維持軍の派遣に関して複数の国と協議を行っている、と報じた。

AFP, January 5, 2013、Akhbar al-Sharq, January 5, 2013、al-Hayat, January 5, 2013, January 6, 2013、Kull-na Shuraka’, January 5, 2013、al-Kurdiya
News, January 5, 2013、Naharnet, January 5, 2013、Reuters, January 5, 2013、SANA,
January 5, 2013、al-Sharq al-Awsat, January 5, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍がダマスカス郊外県の複数市に対する空爆を実施するなか、アレッポ県ではタフタナーズ空軍基地周辺で軍とヌスラ戦線を含む反体制武装勢力が交戦(2013年1月4日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、ヤブルード市・ナブク市間一帯などが軍の空爆を受けた。

またバイト・サフム市、アクラバー村などで軍と反体制武装勢力が交戦した。

筆者(2011年9月25日)撮影
筆者(2011年9月25日)撮影

さらにナブク市では、爆弾が仕掛けられた車2台が爆発、同監視団によると、うち1台は市内の軍事情報局施設を狙った攻撃だったという。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長はAFP(1月4日付)に対して、1月3日夜以降、軍がダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市周辺に進軍し、集中的に掃討作戦を行っている、と述べた。

一方、『ワタン』(1月4日付)は、「昨日(1月3日)早朝、軍はダーライヤー市での戦闘を集結させ、(シャームの民の)ヌスラ戦線のアジトを破壊、テロリストは死傷するか、捕らえられた」と報じた。

そのうえで、同紙は4日夜には、同市の「安全」が宣言され、ダマスカス県の南部回廊の「安全は回復した」と報じた。

他方、SANA(1月4日付)によると、ドゥーマー市、ハラスター市郊外、ダーライヤー市、ザバダーニー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、バフダリーヤ村などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、イスラーム旅団メンバーなど多数の戦闘員を殺傷、拠点・アジトを破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カルファー村郊外のガザーリー・コンプレクスを自由シリア軍が襲撃し、政治治安部長のルストゥム・ガザーラ准将の家族1人が殺害、1人が負傷、1人が拉致された。

殺害されたのはフサーム・ガザーラ(甥)、負傷したのはファーイズ・ガザーラ(弟)、誘拐されたのはジャラール・ガザーラ(いとこ)。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区を軍が空爆した。

またカルアト・ヒスン市で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月4日付)によると、カルアト・ヒスン市、タッルカラフ市郊外、クサイル市郊外で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・アジトを破壊した。

また国境警備隊が、レバノン領内からタッルカラフ市郊外への潜入を試みる反体制武装勢力を撃退した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ空軍基地周辺で、軍とシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊、イスラーム前衛隊、ダーウード大隊が交戦した。

一方、SANA(1月4日付)によると、タフタナーズ市、トゥウーム村、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マストゥーマ村周辺、ラーミー村などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊、武器弾薬を押収した。

他方、イドリブ市では反体制武装勢力がタフターニーヤ広場のゴミ捨て場に爆弾を仕掛け、爆発、これにより市民1人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港を防衛する第80旅団本部周辺で軍と反体制武装勢力が交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

また、シリア人権監視団は、ドゥンヤー・チャンネルのスハイル・マフムード・アリー記者が、アレッポ市の政府側の支配地域で殺害されたと発表した。

これに関してドゥンヤー・チャンネル(1月4日付)は「テロリストの銃弾を受けて死亡した」と報じた。

一方、SANA(1月4日付)によると、ムスリミーヤ村・シャイフ・ファーリス市間の街道、フライターン市、シャイフ・サイード市、マアラーター村、アターリブ市、カブターン・ジャバル村、アレッポ市ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

他方、反体制武装勢力がドゥワイリーナ地方のイブン・ハルドゥーン精神病院を襲撃し、医療スタッフなどに暴行を加え、機材を破壊した。

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『シャルク・アウサト』(1月4日付)は、アサド大統領の私設事務所の所長を務めるムハンマド・ハイル・ウスマーン少将が何者かに殺害された、と報じた。

同報道によると、実行犯は明らかではないが、遠距離から狙撃され負傷、ダマスカス県内のシャーミー病院で息を引き取った、という。

これに関して、反体制活動家の複数のサイトでは、自由シリア軍の諜報機関「シャーム連隊」の支援のもと、「特殊部隊」が暗殺を実行したとの書き込みがあった。

一方、スーリヤー・プレス(1月4日付)は、ウスマーン少将の死が自然死だと報じた。

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ハマー県では、SANA(1月4日付)によると、タイバト・イマーム市で、軍が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殲滅した。

シリア政府の動き

シリア外務在外居住者省は国連人権高等弁務官に書簡を送り、そのなかでシリアの紛争が「明らかに宗派的」様相を帯びてきたとの見方を示したとの12月20日の人権理事会国際調査委員会の報告書について、「作成に際してのプロフェッショナリズムと中立性を欠き…、その結論は一部の国の政治的方向性と調和させられている」と批判した。

また「犠牲者から直接情報を収集したと委員会が主張しているにもかかわらず、報告書はNGOや…シリアの危機に直接関与している諸外国が提供した信頼を欠く情報に依拠した証拠によってゆがめられている」と付言した。

反体制武装勢力の動き

アフバール・シャルク(1月4日付)は、フェイスブックなどで反体制活動家が「自由人に包囲解除を呼びかけるヒムスの金曜日」と銘打って反体制デモを呼びかけ、ダマスカス郊外県アルバイン市、ラッカ県ラッカ市、ダマスカス県バルザ区、ジャウバル区、カダム区、アサーリー地区、アレッポ県アレッポ市、ダルアー県各地などでデモが発生した(未確認情報)と報じた。

またクッルナー・シュラカー(1月5日付)によると、ハサカ県のカーミシュリー市、ダルバースィーヤ市、アームーダー市、アレッポ県ラアス・アイン市で、反体制デモにクルド人数千人が参加した、という。

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シリア国民評議会に参加するシリアのための国民行動グループは声明を出し、アサド政権への武器供与、航空機・戦車・迫撃砲の使用を停止させるための措置を講じるよう呼びかけた。

しかし同グループは、シャームの民のヌスラ戦線や同組織と共闘する自由シリア軍による暴力やテロの抑止については何ら言及しなかった。

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アレッポ県バーブ市で2012年10月に反体制武装勢力に捕捉されたルーニー・イブラーヒーム・ラーシド空軍大尉がユーチューブ(1月4日付)でビデオ声明を発表し、同県のクワイリス空軍基地の兵士たちに離反を呼びかけた。

諸外国の動き

オーストラリア外務省報道官は、100人以上のオーストラリア人がシリアでの戦闘に参加していることを認めたうえで、外国での戦争行為への関与が最高で20年の禁固刑に相当する重罪だと警告した。

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『ヒュッリイェト』(1月4日付)は、トルコ外交筋の話として、シリアの民主統一党がイラクのキンディール山地に潜伏するPKKから複数の命令を受けていることを示す情報をトルコの諜報機関が得たと報じた。

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『ハヤート』(1月5日付)などによると、5日未明、米軍のパトリオット・ミサイル発射台2器および兵員がトルコのガジアンテップ空港に到着した。

AFP, January 4, 2013、Akhbar al-Sharq, January 4, 2013、al-Hayat, January 4, 2013, January 5, 2013、Kull-na Shuraka’, January 4, 2013, January
5, 2013、al-Kurdiya News, January 4, 2013、Naharnet, January 4, 2013、Reuters,
January 4, 2013、SANA, January 4, 2013、al-Sharq al-Awsat, January 4, 2012、Souriya Press, January 4, 2012、Youtube, January 4, 2013、al-Watan, January 4, 2012などをもとに作成。

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イドリブ県ではヌスラ戦線やシャーム自由人大隊などがタフタナーズ空軍基地攻略に向け攻勢を強める、ハサカ県内の民主統一党検問所で人民防衛隊とシリア・クルド・イェキーティー党の民兵が交戦(2013年1月3日)

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊など反体制勢力の戦闘員約800人がタフタナーズ空軍基地攻略をめざして攻勢をかけている、と報じた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ワーディー・ダイフ基地周辺、カフルミード市、ビンニシュ市などで、軍が反体制武装勢力と苦戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

また軍武装部隊総司令部は声明を出し、軍がタフタナーズ空軍基地の攻略を企図するシャームの民のヌスラ戦線に対する特殊作戦を行い、大打撃を与えたと発表した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ国際空港周辺、マンナグ航空基地周辺で軍と反体制製武装勢力の戦闘が続いた。

一方、SANA(1月3日付)によると、サフィーラ市、ウワイジャ地区、ムスリミーヤ村、アドナーニーヤ村、アナダーン市、ハイヤーン町、アブティーン村、アレッポ市フィルドゥース地区、ブスターン・カスル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃を続けた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市に対して軍が空爆・砲撃を続けた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、ダイル・アサーフィール市、バフダリーヤ村、フジャイル市、フサイニーヤ町などで軍が反体制武装勢力を追撃し、ハトフ大隊メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

RTシリア特派員のカーミル・サクルがダーライヤー市での取材活動中に狙撃され、負傷した。RT(1月3日付)が報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ブスル・ハリール市西部の入り口で軍が反体制武装勢力と交戦した。

交戦に先立って、軍が空爆を加えた。

一方、SANA(1月3日付)によると、ブスル・ハリール市、ナワー市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊、押収した。

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ダマスカス県では、SANA(1月3日付)によると、カフルスーサ区で関係当局がフランス製のロケット弾を押収した。

一方、シリア人権監視団によると、バルザ区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、子供を含む市民11人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(1月3日付)によると、反体制武装勢力がムハルダ市の発電所襲撃を試みたが、軍が撃退した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月3日付)によると、ダイル・ザウル市東部のカッハール油田を襲撃し、原油を略奪後、油田を焼き討った。

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ヒムス県では、SANA(1月3日付)によると、タドムル市東部で、軍が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

国内の動き

ナビール・ファイヤードらシリア国内で活動する反体制活動家がベイルートで記者会見を開き、新たな政治組織、シリア救済国民潮流を結成すると発表した。

SANA, January 3, 2013
SANA, January 3, 2013

公正党の代表であるファイヤードは会見で、「2011年3月15日以前のシリアへの回帰を拒否する」と述べる一方、「体制支持者であれ、反体制活動であれ、すべての当事者と危機からの脱却のためにコミュニケーションをとる必要がある点で国内の反体制勢力は一致している」と協調した。

また記者会見に参加したシリア・クルド国民イニシアチブ代表で人民議会議員のウマル・ウースーは、「ジュネーブ合意に基づく国民対話こそ、シリアの現下の危機を解消する唯一の方途だ」と述べた。

反体制武装勢力の動き

ドイツを拠点とする反体制組織のシリア近代民主主義党は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立が「革命の政治的側面における活動を独占している」と批判、そのことが「シリア革命の政治運営に失敗をもたらし、さらには道徳的、政治的、人道的な性格を頓挫させたことの責任を負っている」と批判した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(1月3日付)は、ハサカ県ダイリーク市で、クルド民族主義勢力が対トルコ国境通行所を運営する五つの委員会の委員の選挙を実施した、と報じた。

五つの委員会とは監視委員会、運営委員会、税関委員会、広報委員会、旅券委員会、治安委員会。

委員には、シリア・クルド進歩民主党、シリア・クルド民主党(アル・パールティー)バッシャール派、同イブラーヒーム派、シリア・クルド・アーザーディー党ウースー派、同ジュムア派、シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)、シリア・クルド左派党、シリア・クルド民主平等党、シリア・クルド・イェキーティー党などの党員が選出された。

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クッルナー・シュラカー(1月3日付)は、ハサカ県ダルバースィーヤ市入り口の民主統一党検問所で、シリア・クルド・イェキーティー党の民兵「殉教者ジュワーン・カトナ大隊」と人民防衛隊(YPG)が交戦したと報じた。

人民防衛隊がカトナ大隊メンバーが所持していた武器の引き渡しを求めたことが原因で、この交戦により、人民防衛隊の戦闘員2人が負傷した。

またこの戦闘を受け、人民防衛隊がダルバースィーヤ市内のシリア・クルド・イェキーティー党の事務所を包囲、事務所内の党員複数名と衝突の末、逮捕した。

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クルド最高委員会は声明を出し、国際社会に対して、シリアのクルド人地域(ジャズィーラ地方、アレッポ県アフリーン市、アイン・アラブ市など)への人道支援を求めた。

レバノンの動き

ファーイズ・グスン国防大臣は、シリア人避難民に混ざって「武装集団ないしはテロリスト」がレバノン国内に潜入していると述べた。

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ナジーブ・ミーカーティー内閣は、シリア人避難民の登録、医療食糧支援、治安対策に関する対応策を採決、承認した。

しかしナハールネット(1月3日付)などによると、対シリア国境の「管理強化」(閉鎖)を主張する変化改革ブロックは反対票を投じた。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、テレビ演説を行い、「シリアとの国境は閉鎖されるべきではない。なぜなら避難民は、シリアの体制を支持していようがそれに反対していようが、レバノンで保護されるべきだからである」と述べた。

また「避難民の流入という事態の責任は…、シリア国内であれ、地域・国際社会の場であれ、流血停止のための政治的解決を妨げている当事者たちにある」と非難した。

そのうえで、「レバノンは米国、欧州諸国、アラブ連盟、国連に対して、避難民への人道的・社会的負担をこれ以上行うことはできないと説明すべきだ」と付言した。

一方、中東情勢に関して、ナスルッラー書記長は「イエメンからイラク、そしてシリアにいたるまで、この地域はこれまで以上に分断の脅威に曝されており、エジプト、リビア、さらにはサウジアラビアさえも脅かされている…。我々は、レバノンそしてこの地域において、もっとも重要で危険な段階に身を置いている」との危機感を示した。

諸外国の動き

AFP(1月3日付)は、日本人トラック運転手の藤本敏文氏が日々の仕事への倦怠感を解消するため、「戦争観光客」としてアレッポ市旧市街で反体制武装勢力に同行して、写真を撮って過ごしている、と報じた。

Akhbar al-Sharq, January 3, 2013
Akhbar al-Sharq, January 3, 2013

同報道によると、藤本氏は45歳で、6ヶ月以上前にシリアに入り、こうした暮らしをしているのだという。

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AKI(1月3日付)は、EU高官が「豊富な情報に基づくと、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリアでの平和的移行に向けた計画が、我々の問題解決に向けたビジョンに沿ったものだ」と述べたと報じた。

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アナトリア通信(1月3日付)は、トルコのコジャエリ県の複数の人道支援NGOがシリアへの医療、食糧、医療物資などの陸路での搬入を開始したと報じた。

AFP, January 3, 2013、Akhbar al-Sharq, January 3, 2013、AKI, January 3, 2013、al-Hayat, January 4, 2013, January 5, 2013、Kull-na Shuraka’, January 3, 2013、al-Kurdiya
News, January 3, 2013、Naharnet, January 3, 2013、Reuters, January 3, 2013、SANA,
January 3, 2013、UPI, January 3, 2013などをもとに作成。

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シリア・クルド進歩民主党が、クルド問題への明確な姿勢をめぐって対立しているシリア革命反体制勢力国民連立に無所属ブロックとしての参加を決定(2012年12月31日)

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区内の軍工場地帯で、拷問の傷跡のある身元不明の遺体数十体が発見されたという。

シリア革命総合委員会によると、遺体は50体近くにおよび、首などを切られており、「シャッビーハ」が「戦場処刑」したものだと断じている。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市周辺で軍と反体制武装勢力と交戦し、砲撃で子供1人を含む5人が死亡した。

匿名の活動家によると、反体制武装勢力はダーライヤー市を「迫撃砲や手製のロケット弾の発射拠点にし…アラウィー派が多く住む(ダマスカス県)マッザ区で「シャッビーハ」を攻撃してきた」という。

一方、SANA(12月31日付)によると、ダーライヤー市、ズィヤービーヤ町、バービッラー市、フジャイラ村、ドゥーマー市などで、軍が反体制武装勢力を追撃、「ゴラン殉教者」メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(12月31日付)によると、アアザーズ市、サフィーラ市、カラースィー村、ラスム・アッブード村、マンナグ村、マンスーラ村、ウワイジャ地区、ナッカーリーン村、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市ジャズマーティー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ジャンダル地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

一方、ロイター通信(12月31日付)は、アレッポ市で取材活動をしていたリビア人カメラマンのアイマン・サフリーが狙撃され負傷した、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(12月31日付)によると、ハスヤー町、タッルドゥー市などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

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ハマー県では、SANA(12月31日付)によると、ムバーラカート市近くで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き

シリアのワーイル・ハルキー首相は人民議会で演説し、「国民和解プログラムを支持し、現下の危機を対話と平和的方法によって解決しようとする地域および国際社会のあらゆるイニシアチブと協調し、シリアの内政への外国の干渉を阻止し、シリアの現状をシリア人自身が外国の圧力や指図を受けずに解決する問題と位置づける」と述べた。

SANA, December 31, 2012
SANA, December 31, 2012

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進歩国民戦線加盟政党以外の与党および野党からなる国民民主ブロックがダマスカス県で記者会見を開き、同県で対話会合開催の準備を行うことを決定したと発表した。

記者会見には、国民青年公正成長党のバルウィーン・イブラーヒーム書記長、アラブ民主団結党のマーヒル・カラム書記長、祖国シリア党のマジド・ニヤーズィー書記長ら野党の指導者らが出席した。

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シリアの中東統計局ホームページは、2012年9月のインフレ率が48.1%と、同年8月の8%に比べて40ポイント余りも上昇したとのデータを公開した。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団のアリー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(12月31日付)に対して、2012年のシリア国内の死者数が39,362人に昇り、2011年3月以降の死者総数が45,000人以上に達したと述べた。

2012年の死者の内訳は、民間人28,113人、軍兵士9,482人、離反兵1,040人。

シリア人権監視団は、発表した死者数に、身元不明者727人、そして「シャッビーハ」およびアサド政権を支持する民兵の死者が含まれないとしたうえで、これらすべての犠牲者を合わせると死者数は「10万人を越えるだろう」と付言した。

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自由シリア軍の広報局はビデオ声明を出し、自由シリア軍最高国防評議会議長(参謀長)のサリーム・イドリース准将を少将に昇進させたと発表した。

声明はアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐が読み上げた。

http://www.youtube.com/watch?v=RO9fVcarqMo&feature=youtu.be

自由シリア軍による昇進人事は、これまでにもたびたび行われ、リヤード・アスアド大佐が准将に昇進しているが、戦闘員の間でこうした人事が認知され、定着している形跡は皆無である。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長はクルディーヤ・ニュース(12月31日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立に対するクルド最高委員会の姿勢は、シリア国民評議会に対するシリア・クルド国民評議会と同じで、無所属のブロックとして参加することになろうと述べ、国民連立に参加しないことを暗示した。

ダルウィーシュ書記長は、国民連立に対してクルド問題への明確な姿勢を確定するよう要求しているのに対して、同連立がアサド政権打倒後にクルド問題についての協議を先送りしようとしているのが対立点だと述べた。

そのうえで、一部の勢力がクルド問題解決を保障しようとしない人種主義的姿勢をとっていると付言、トルコの支援を受けているシリア・ムスリム同胞団を批判した。

al-Kurdiya News, December 31, 2012
al-Kurdiya News, December 31, 2012

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クルディーヤ・ニュース(12月31日付)は、民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会は、「人民の生活を改善」するため、女性の権利保障、拘置所・刑務所での拷問の禁止、治安維持・検問所警備にかかる経費の関税・租税を通じた徴収、福祉機関・サービスの拡充、教育・高等教育の拡充、などを定めた法規則を制定したと報じた。

諸外国の動き

『サフィール』(12月31日付)は、レバノンの複数の消息筋の話として、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がダマスカスでのアサド大統領ら政権首脳との会談で大統領の退任を提案しなかった、と報じた。

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『ザマン』(12月31日付)は、トルコ軍参謀本部や外交筋の話として、アレッポ県でトルコ空軍の士官4人が身柄を拘束されたとの一部情報を「ねつ造」、「操作された」情報と否定した

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イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は声明を出し、そのなかでアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表による努力への支持を改めて表明するとともに、非政治的な解決は危機を長期化させ、被害、死傷者を増加させるだろうと懸念を表明した。

AFP, December 31, 2012、Akhbar al-Sharq, December 31, 2012、al-Hayat, January 1, 2013、Kull-na Shuraka’, December 31, 2012、al-Kurdiya News, December 31, 2012、Naharnet, December 31, 2012、Reuters, December 31, 2012、SANA, December 31, 2012、al-Safir, December 31, 2012などをもとに作成。

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イドリブ県でヌスラ戦線などが軍の一大拠点であるハーミディーヤ基地に突入する一方、ブラーヒミー共同特別代表が露外相との共同会見のなかで「体制打倒を対話プロセスの条件とすること」を非難(2012年12月29日)

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がマアッラト・ヌウマーン市南部の軍の一大拠点であるハーミディーヤ基地に突入した。

同監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などが、ワーディー・ダイフ軍事基地攻略を円滑に進めるべく、同基地に突入し、軍と激しく交戦したという。

一方、SANA(12月29日付)によると、イドリブ市・サルミーン市間の街道沿いで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、アリー・イドリビーを名乗る活動家によると、軍がイドリブ県ワーディー・ダイフ軍事基地方面に至るダマスカス・アレッポ街道に位置するムーリク市の拠点を強化した。

イドリビーによると、軍はワーディー・ダイフ軍事基地攻略を試みる反体制武装勢力の南部からの兵站路を遮断しようとしている、という。

なお、ワーディー・ダイフ軍事基地北部のダマスカス・アレッポ街道は、反体制武装勢力の兵站線が伸びきっているために放棄されている、という。

他方、シリア人権監視団によると、カルナーズ町に対して軍が空爆を行い、10人が死亡したという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍がヒムス市ダイル・バアルバ地区を制圧した。

制圧に先立って、軍は同地区に激しい攻撃を加え、反体制武装勢力は撤退を余儀なくされていた。

これに関して、軍武装部隊総司令部は声明を出し、ヒムス市ダイル・バアルバ地区の浄化を完了したと発表した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月29日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、アルバイン市、ザマルカー町、ズィヤービーヤ町、ヤブルード市などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(12月29日付)によると、ラスム・アッブード村、マンナグ村、ナイラブ村、マーリア市、アレッポ市マアスラーニーヤ地区、ジャズマーティー地区、カーディー・アスカル地区、マイサル地区、サーリヒー地区、カースティールー地区、ハーディル地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、アブー・バクル大隊メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月31日付)によると、ジャブサ石油パイプラインを反体制武装勢力が爆破した。

国内の動き

ロイター通信(12月29日付)は、カイロ国際空港高官の話として、シリア・アラブ航空のアレッポ・カイロ便が現地の治安情勢悪化を受けて運休となったと報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワ訪問中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談、シリア情勢を協議した。

SANA, December 29, 2012
SANA, December 29, 2012

ラブロフ外務大臣は会談後の記者会見では、政治的解決が依然として可能だとしつつ、「アサド大統領は何度もいかなる国にも行く意思はない、最後まで現職にとどまると言ってきた…。この姿勢を変えることはできないだろう」と述べた。

シリアの現状に関して、ラブロフ外務大臣は「アル=カーイダによるテロが拡大し、シリアを自らの目的を達成するために利用している」と非難、紛争が「ますます宗派主義的な傾向を強めている」と危機感を露わにした。

そのうえで、ジュネーブ合意を紛争解決をもたらす政治的プロセスが依拠する唯一の政治的基礎だと強調、暴力停止を実現したうえで、国連の監視団を派遣する必要があると述べた。

一方、ロシアとの対話を拒否したシリア革命反体制勢力国民連立の姿勢に関して、「体制打倒…を対話プロセスの条件とすることは建設的でなく、客観的でない」と非難、こうした姿勢が事態を「行き詰まらせ、事態悪化以外の何ものももたらさないだろう」と述べた。

さらに「在外の反体制勢力にはシリア国内の軍事紛争に影響を及ぼすツールがない…。我々はこの点に関して、西側のパートナーと議論してきた」と付言した。

またシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長については、「政治での手腕がない」と非難した。

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一方、ブラーヒーミー共同特別代表は、「もし地獄か政治的解決のいずれかを選択しなければならないのなら、我々は、政治的解決のために活動しなければならない」と述べた。

またブラーヒーミー共同特別代表は「シリアで体制転換が起きたとしても、それによって紛争が必ずしも収束はしないだろう」と述べ、シリアが「第2のソマリア」化する危険を指摘した。

そのうえで「すべての当事者が流血停止のための責任ある行動と支援を行う」よう呼びかけ、「シリア国民が指導する真の政治プロセスこそが(武力紛争に代わる)オルターナティブ」と強調した。

ジュネーブ合意に関して、ラブロフ外務大臣と「政治プロセスの基礎」をなすとの点で意見が一致したとしつつ、「修正がなされなければならない」とも述べた。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領は、シューラー議会でシリア情勢について触れ、そのなかでシリアの危機解決のためのエジプトの最優先事項が流血停止にあるとしたうえで、「シリア国民に対するあらゆる軍事介入に反対する」と述べた。

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共同通信(12月29日付)によると、UNDOFに参加している自衛隊部隊の第1陣が撤収を開始した。

AFP, December 29, 2012、Akhbar al-Sharq, December 29, 2012、al-Hayat, December 30, 2012、Kull-na Shuraka’, December 29, 2012、al-Kurdiya News,
December 29, 2012、Naharnet, December 29, 2012、Reuters, December 29, 2012、SANA,
December 29, 2012, December 30, 2012, December 31, 2012、UPI, December 29,
2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ブラーヒーミー共同特別代表がシリア滞在を終える直前の記者会見のなかで紛争解決のため「真の変革」が必要だと強調、露外務省報道官によると「欧米諸国はジュネーブでの文書に合意しておきながら、反体制勢力を支援することで180度態度を変えた」(2012年12月27日)

国内の動き(シリア政府の動き)

ロシアを訪問中のファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣らシリアの使節団は、セルゲイ・ラブロフ外務大臣とモスクワで会談した。

Kull-na Shuraka', December 27, 2012
Kull-na Shuraka’, December 27, 2012

ロシア外交筋によると、会談において、ミクダード副大臣は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がシリア訪問時に示した提案の一部を留保したことをロシア側に伝えた。

ミクダード副大臣は「提案に完全に同意したわけでない」と述べ、近くシリア政府が正式な態度を表明すると伝えたという。

一方、ラブロフ外務大臣は、ジュネーブ合意への回帰と同合意に基づく紛争解決の必要があるとの姿勢を強調した、という。

これに関して、ロシア外務省は声明で、「シリア人の対話と政治プロセスを通じた内紛の平和的解決以外に選択肢はない」と強調した。

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アサド大統領は2012年政令第499号を発し、12月2日に実施された人民議会補欠選挙の当選者を発表した。

同政令によると、補欠選挙が行われた選挙区・部門および当選者は以下の通り:

イドリブ県A部門(労働者・農民代表)1議席:ムハンマド・ザーヒル・ウスマーン・ユースフィー
ハマー県A部門(労働者・農民代表)1議席:ファーディル・ムハンマド・ワルダ
アレッポ県諸地域A部門(労働者・農民代表)1議席:アブドゥルワッハーブ・ブン・アブドゥルハナーン・ブン・アブドゥルワーヒド
アレッポ県諸地域B部門(その他の人民諸組織代表代表)1議席:ムハンマド・ディーブ・ブン・バックール
ハサカ県A部門(労働者・農民代表)1議席:サーリフ・ハルフ・フワイジャ

なお補欠選挙は当初12月1日に投票が予定されていた。また当選者の所属政党などは発表されなかった。

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バアス党シリア地域指導部は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がダマスカス訪問時に示したイニシアチブを検討するための緊急会合を開いたとする一部報道を否定した。

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クッルナー・シュラカー(12月27日付)は、ハサカ県からダマスカス県を陸路で移動した複数の市民の話として、3分の1の検問所が自由シリア軍かシャームの民のヌスラ戦線によって制圧されている、と報じた(未確認情報)。

同報道によると、ハサカ県タッル・タムル町からハマー県サラミーヤ市間の検問所のうち軍が掌握していたのは2カ所だけで、残りの検問所のうち、17カ所が自由シリア軍、7カ所がシャームの民のヌスラ戦線によって制圧されていた、という。

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アサド政権寄りのレバノンの日刊紙『ディヤール』(12月27日付)は、アサド大統領の暗殺を阻止するべく、ムハーバラートが大統領の食事の毒見を行うほか、寝室を毎日変更するなどして厳重警備を行っている、と報じた。

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ザマーン・ワスル(12月27日付)は、軍事教練を受けた若いボランティア女性数百人が「国防隊」の名で、軍・治安部隊とともに、ヒムス市の検問所、企業、大学などで警備活動を行っている、と報じた。

国内の暴力

イドリブ県で、シリア人権監視団によると、軍がジスル・シュグール市郊外、マアッラト・ヌウマーン市および郊外、ワーディー・ダイフ基地周辺、ビンニシュ市などを空爆、また同地域の軍検問所などで反体制武装勢力と交戦した。

同監視団によると、この戦闘で、反体制武装勢力11人、軍兵士16人が死亡、多数が負傷、またキリスト教徒が多く住むヤアクービーヤ村では爆弾が仕掛けられた車が爆発して、多くの市民が死傷した、という。

一方、SANA(12月27日付)によると、ヤアクービーヤ村、ジスル・シュグール市、タッル・ザハブ町、ジャーヌーディーヤ町一帯で、軍が特殊作戦を行い、多数の反体制勢力戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シャブアー町、ズィヤービーヤ町周辺を軍が空爆、またアルバイン市、ハラスター市、アクラバー村周辺、バイト・サフム市、ダーライヤー市および周辺などで反体制武装勢力と交戦した。

また同監視団によると、スバイナ町では、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数が死亡した。SANA(12月27日付)によると、この爆弾テロによって、通学途中の学生を含む4人が殺害された。

このほか、SANA(12月27日付)によると、フジャイラ村、フサイニーヤ町で軍が特殊作戦を行い、多数の反体制勢力戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またドゥーマー郊外、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、イスラーム旅団メンバーなど多数の戦闘員を殲滅した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地周辺、ナイラブ航空基地周辺、ハーン・アサル村の警察学校などで軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(12月27日付)によると、軍が、ハンダラート・キャンプ、ウワイジャ地区、ラスム・アッブード村、ズィルバ村、タッル・ハースィル村、カフル・アントゥーン村、タッル・リフアト市、ジブリーン地方、ナッカーリーン村、ハーン・トゥーマーン村で反体制武装勢力を殲滅した。

またアレッポ市のシャッアール地区、東アンサーリー地区、ジャズマーティー地区、マイサル地区で軍が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、多数の戦闘員を殲滅した。

このほかサフィーラ市では、軍がタウヒード旅団の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ガントゥー市を軍が空爆し、子供1人を含む2人が死亡した。

またヒムス市ダイル・バアルバ地区などで、軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月27日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウバル区、スルターニーヤ地区などで軍が特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

またレバノン領からタッルカラフ地方、クサイル地方(ジュースィーヤ)に潜入しようとした戦闘員を軍が撃退した。

このほかタイフール市東部の石油パイプライン第4ステーションを占拠していた反体制武装勢力を軍が撃退した他、タルビーサ市、ラスタン市、ダイル・バアルバ市、ガントゥー市、クサイル市、カルアト・ヒスン市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、SANA(12月27日付)によると、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殲滅した。

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ハマー県では、SANA(12月27日付)によると、アブー・ウバイダ村近くの検問所を襲撃した反体制武装勢力を軍が撃退し、多数の戦闘員を殺傷した。

またバスィーリーン村でも軍が反体制武装勢力を交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月27日付)によると、タイバ町の農園で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シャームの民のヌスラ戦線の指導者の一人を名乗るアブー・アドナーンなる人物が『タイム』(12月27日付)に対して、米国によるテロ組織指定を、「西洋と抑圧的な国連安保理の手口、さらには国際社会の虚言で、我々には関係ないし、我々には何の意味もない」と却下した。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表は、『ハヤート』(インターネット版、12月27日付)に対して、アサド政権がアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表に「全権を委任された暫定政府の発足」に同意する意思を伝えたと語った。

アブドゥルアズィーム代表によると、アサド政権がアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表に対して同意したのは以下4点。

1. 暴力の停止。
2. 逮捕者・捕虜の釈放。
3. 救援活動の安全確保。
4. 現状を終わらせ、新憲法を制定し、議会選挙と大統領選挙を実施するための全権を委任された暫定政府の発足。

しかし、アサド大統領の残留の是非は継続審議中だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のワリード・ブンニー報道官は、イスタンブールでのシリア国民評議会事務局会合での記者会見で、「アサド家を含まないあらゆる政治的解決を受け入れる…。彼らに対する我々の第一条件は国を去ることだ」と述べた。

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自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官のルワイユ・ミクダードはムスタクバル・テレビ(12月26日付)に対して、アレッポ県アアザーズ地方で誘拐されたレバノン人(シーア派)巡礼者の解放のための交渉を今後は行わないと決定し、サアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル議員にその旨伝えたと述べた。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はシリア滞在を終え、陸路でベイルートに向かった。

SANA, December 27, 2012
SANA, December 27, 2012

ダマスカスのシャラトン・ホテルを発つ前、ブラーヒーミー共同特別代表は、記者団に対して、シリアで選挙が実施されるまでの期間、全権を委任された暫定政府を発足する必要があると述べるとともに、紛争解決のため「真の変革」が必要だと強調した。

ブラーヒーミー共同特別代表は「求められている変革は事態を修復したり取り繕ったりするものではない。シリア国民は真の変革を求めている」と述べた。

しかしこの「真の変革」がアサド大統領の退任を伴うか否かについては明言を避けた。

一方、米国とロシアとの間で取引があったとの一部報道については、否定した。

そのうえで、紛争解決が「シリア人どうしの見解を近づけることを通じてなされる…。国際社会と隣国は悪意ではなく、善意をもって支援しなければならない」と述べた。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェヴィッチ報道官は、次期大統領選挙への出馬断念を条件に2014年の任期終了までアサド大統領を存続させることで米国と合意したとの一部報道に関して、「そのような計画はない」と述べ、否定した。

また「米国をはじめとする国々は、ジュネーブでの文書に合意しておきながら、シリア政府との対話を行わないまま、反体制勢力を支援することで、180度態度を変えた」と批判した。

さらに「選挙で選ばれた大統領の退任を対話の礎石にしようとすることは、ジュネーブでのすべての合意に違反している」と付言した。

一方、シリア政府による化学兵器使用の可能性に関して、「シリア危機への外国の介入を先導する情報」と一蹴した。

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ロシア国防省は、対テロ作戦特別海兵部隊を地中海に派遣し、自国船警備のための訓練を行う、と発表した。

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カタールのハマド・ブン・ハリーファ・アール・サーニー首長は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とカタールで会談し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問などについて協議した。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「我々はシリアで起きていることを見ており、航空兵器が国民に対して使われている。彼ら(アサド政権)は国際条約で禁止された武器を含むいかなる手段を使用することも躊躇しないだろう」と述べた。

UPI(12月27日付)が報じた。

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フランスは、アサド大統領がシリアの政治移行プロセスにおいて一切の役割を担うことを拒否するとの姿勢を改めて示した。

AFP, December 27, 2012、Akhbar al-Sharq, December 27, 2012、al-Diyar, December 27, 2012、al-Hayat, December 28, 2012、Kull-na Shuraka’, December 27, 2012、al-Kurdiya News,
December 27, 2012、al-Mustaqbal TV, December 26, 2012、Naharnet, December
27, 2012、Reuters, December 27, 2012、SANA, December 27, 2012、The Time, December 27, 2012、UPI, December 27, 2012、Zaman al-Wasl, December 27,
2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県で軍がワーディー・ダイフ軍事基地周辺などへの「過去最大規模」の砲撃を実施するなか、トルコではシリア国民評議会とシリア革命反体制勢力国民連立の主催で「ハサカ県国民大会」が開かれる(2012年12月26日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(12月26日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、シャブアー町、ヤブルード市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で、パレスチナ人を含む反体制武装勢力がパレスチナ人民委員会(PFLP-GCが統括)の民兵と交戦した。

同監視団によると、軍がヤルムーク区周辺への砲撃を行い、またタダームン区で反体制武装勢力と交戦した。

『ワタン』(12月26日付)は、「周辺地域に撤退していた武装集団が戻ってきたのを受け」、ヤルムーク区で戦闘が再開し、複数の世帯が避難を余儀なくされた、と報じた。

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アレッポ県では、SANA(12月26日付)によると、ハーン・アサル村、タッル・シュガイブ村、カブターン・ジャバル村、アナダーン市、ラスム・アッブード村、マンナグ村、バヤーヌーン町・マーリア市回廊、タッル・リフアト市、ジブリーン市、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市ブスターン・カスル地区などで、軍が反体制武装勢力を交戦し、ハッターブ大隊戦闘員など多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(12月26日付)によると、反体制武装勢力がムハルダ発電所を破壊し、県のほぼ全域で電力供給が停止した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺などへの軍の砲撃で反体制武装勢力の戦闘員19人が死亡、数十人が負傷した。

同監視団によると、この砲撃は過去数ヶ月間において最大規模。

また同基地周辺では、軍と反体制武装勢力が交戦、軍側にも数十人の死傷者が出た、という。

一方、SANA(12月26日付)によると、トゥウーム村、アラブ・サイード村、サルジャ村、ワーディー・ダイフ地区周辺などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月26日付)によると、レバノン領内からクサイル地方ジュースィーヤ村に潜入を試みたイスラームの盾旅団を名乗る反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、同旅団を指揮するムハンマド・ヌール・クッバジーを含む戦闘員ほぼ全員を殲滅した。

またヒムス市ダイル・バアルバ地区でも、軍が反体制武装勢力を殲滅した。

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ラッカ県では、ラッカ県では、シリア人権監視団が、カフターニーヤ市郊外の農園を軍が砲撃し、子供8人を含む20人が死亡したと発表した。

これに対し、SANA(12月26日付)は、反体制武装勢力がカフターニーヤ市を襲撃し、女性、子供を含む多数の市民を殺害したと報じた。

また軍は、マアダーン地方で灯油を積んだ貨物トラック3台を襲撃しようとした反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、逮捕したという。

国内の動き(シリア政府の動き)

アサド大統領はムハンマド・ユースフ・フサインを国家評議会議長に任命した。

SANA, December 26, 2012
SANA, December 26, 2012

SANA(12月26日付)が報じた。

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ロイター通信(12月26日付)は、ダマスカス国際空港消息筋の話として、ベイルートのアメリカン大学病院で治療を受けていたムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣が空路で帰国したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団は、2011年3月以降の死者数が45,048人に達したと発表した。内訳は民間人31,544人、軍兵士11,217人、離反兵1,511人、身元不明者776人。

同監視団のアリー・アブドゥッラフマーン代表によると、上記死者の他に数千人の行方不明者がおり、また「シャッビーハ」(政権支持者)の死者数は含んでいないという。

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在外のシリア国民評議会のムハンマド・ヤースィーン・ナッジャールは、トルコのイスタンブールで『ハヤート』(12月27日付)に対して、「革命家たちの勝利をハイジャックし、政治、経済といったすべての領域で反体制勢力に押し付けようとする」動きがあるとして、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の民主的変革諸勢力国民調整委員会(国内で活動)使節団との会談を批判した。

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トルコのシャンウルファ市で、反体制活動家らが「ハサカ県国民大会」の名で声明を出し、12月23、24日に大会を開いたと発表した。

同大会の閉幕声明によると、大会は、シリア国民評議会とシリア革命反体制勢力国民連立の主催で開催され、ハサカ県のアラブ人、クルド人、アッシリア教徒、チェチェン人、ヤズィード派など広範な階層の代表者が参加した。

参加者は主に以下3点を合意した。

1. 革命武装勢力を統合し、ハサカ県革命軍事評議会を結成する。
2. 自由シリア軍への敵対行為を革命全体への敵対行為をみなす。
3. 県内に暫定文民評議会を設置し、自治を行う。

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軍憲兵隊長のアブドゥルアズィーズ・ジャースィム・シャッラール少将が、ユーチューブ(12月26日付)を通じて離反を宣言し、「国民の革命に加わる」と発表した。

Kull-na Shurakā’, December 26, 2012
Kull-na Shurakā’, December 26, 2012

「軍が国を護るという基本的な任務から逸脱し、殺戮破壊集団に成り下がった」のが離反の理由。

『ハヤート』(12月27日付)によると、シャッラール少将は無名で、その任務は軍内の警察活動に限られていた。

またロイター通信(12月26日付)は、シリア治安消息筋の話として、シャッラール少将が「1ヶ月以内に退役予定だった」と伝えた。

しかしBBC(12月27日付)など欧米諸国の主要メディアは、「これまで最高位の士官の離反」などと過剰報道に終始した。

アナトリア通信(12月26日付)によると、シャッラール少将は家族とともに、ジルヴェキョズ国境通行所を通過し、トルコのハタイ県に入国した。

http://www.youtube.com/watch?v=hdbhJYftN_g&feature=player_embedded

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自由シリア軍マアッラト・ヌウマーン軍事評議会議長を名乗るハイサム・ウファイスィー大佐は、「イドリブ解放作戦」を開始したと発表した。ロイター通信(12月27日付)が報じた。

諸外国の動き

アラブ連盟は、ヨルダンのザアタリー避難民キャンプで避難生活を送るシリア人の間で、エイズや結核などの病気が蔓延し始めていると警鐘を鳴らした。

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ダマスカスを訪問中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は张迅駐シリア中国大使と会談した。

AFP, December 26, 2012、Akhbar al-Sharq, December 26, 2012、al-Hayat, December 27, 2012、Kull-na Shuraka’, December 26, 2012、al-Kurdiya News,
December 26, 2012、Naharnet, December 26, 2012、Reuters, December 26, 2012,
December 27, 2012、SANA, December 26, 2012、UPI, December 26, 2012、al-Watan, December 26, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ブラーヒーミー共同特別代表が民主的変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーム代表らと面会するなか、イスラエル副首相はシリア軍がサリン・ガスを使用したとする主張を一蹴(2012年12月25日)

反体制勢力の動き

ダマスカスに滞在中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表ら反体制組織の使節団とシェラトン・ホテルで会談した。

AFP(12月25日付)によると、使節団は、ハサン・アブドゥルアズィーム代表、ラジャー・ナースィル(委員会執行委員会書記長)ら6人から構成されていた。

アブドゥルアズィーム代表は、ブラーヒーミー共同特別代表が「日曜日(30日)まで(シリア国内での)折衝を続け、この危機を解決させるための国際社会のコンセンサスを確実なものとするために活動するだろう」と述べた。

ナースィルは、「会談が終わるまで、全般的な印象を明らかにすることはできない」としつつ、アサド政権首脳とブラーヒーミー共同特別代表との追加会談によって「合意ないしは前向きな成果」がもたらされることへの「大いなる希望」を持っていると述べた。

そのうえで「全権を担い、国を安全へと導く暫定政府」を発足する必要があると強調するとともに、政治的解決こそ唯一の出口」と述べ、「現体制を残すことなく、新たな民主的体制を建設する」との意思を示した。

民主的変革諸勢力国民調整委員会はブラーヒーミー共同特別代表と使節団の会談後に声明を出し、「アラブ諸国や国際社会の努力は依然として不充分で、外国の介入のなかには消極的なものもあり、あたかもシリアの根絶を狙っているかのようだ」との姿勢を示した。

また会談でブラーヒーミー共同特別代表が、政治的解決に向けた国内情勢の整備、反体制勢力の分裂克服が必要で、「米国とロシアのコンセンサスが政治的解決の基軸となる」との立場を示したことを明らかにした。

さらに同声明によると、ブラーヒーミー共同特別代表は、「軍事的決着」をめざすことに警鐘をならし、「勝者はシリアという国家を見出すことはないだろう…。国家を存続すべきで、イラク・シナリオを繰り返してはならない」と述べたという。

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地元調整諸委員会は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に関して、「現体制に…殺戮と破壊を継続させる新たなチャンスを与える」と非難し、「アサドをはじめとするすべての軍、治安機関、政治高官の退任が、紛争解決に向けたあらゆるイニシアチブを成功させるうえでの不可欠な条件」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は声明を出し、「連立指導部はブラーヒーミーに直接、体制およびその首脳の権限が維持されることを拒否する…。体制救済のためのいかなる政治的解決もアサド退任をもって開始されなければ、拒否すべき」と述べ、ダマスカス訪問を非難した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に関して、「専制体制が犯した罪と腐敗すべての清算」を主張し、「未来のシリアに殺人者・犯罪者がいる場所はない」と述べ、否定的な姿勢を示した。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は、アレッポ市郊外の基地でAFP(12月25日付)の取材に応じ、そのなかで、武装闘争の戦略を変更したことを明らかにし、都市部での戦闘に代えて、郊外各地の軍の基地を包囲し、兵士離反を誘い、突撃に向けて弱体化を図っていると述べた。

アカイディー大佐によると、反体制武装勢力は現在、クワイリース、ナイラブ、マンナグの三つの軍事基地を包囲している、という。

また、アカイディー大佐の部隊は「いかなるアラブ諸国、外国からも支援を受けていない」と弁明した。

『ハヤート』(12月26日付)によると、アカイディー大佐は25,000~30,000人の戦闘員を指揮している。

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スカイ・ニュース・アラビック(12月25日付)は、ムハンマド・アドナーン・アラブー人民議会議員(バアス党、アレッポ県諸地域B部門選出)が離反した、と報じた。

同報道によると、人民議会議員の離反者はアラブー議員が3人目だという。

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『ガーディアン』(12月25日付)は、ジハード・マクディスィー外務在外居住者省スポークスマンが、米ワシントンに滞在し、彼のレバノンへの逃走を支援した米各機関の援助を受けている、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ヤルダー市などが軍の砲撃を受け、アルバイン市・ハラスター市間で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月25日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー郊外、ハラスター市、ヤブルード市郊外などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、複数の反体制武装集団がハーリム市を数ヶ月におよぶ包囲の末に完全制圧した(未確認情報)。

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シリア人権監視団は、クナイトラ県ゴラン高原のハーン・アルナバ市で、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した、と発表した(未確認情報)。

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アレッポ県では、SANA(12月25日付)によると、カフルナーハー村、フライターン市、ズィルバ村、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市ナッカーラ地区、カッラーサ地区、ブスターン・カスル地区、ハイダリーヤ地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(12月25日付)によると、タッル・カルターン市、ムーリク市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

また、軍武装部隊総司令部は声明を出し、シリアの国民および国家に敵対する外国と結託した武装テロ集団が、同県郊外の村々を襲撃し、民間人を殺害、脅迫、略奪行為を続けている、と批判し、同集団掃討にあたっていると発表した。

一方、シリア人権監視団によると、サラミーヤ市で元政治犯で活動家のファイサル・ハッラークが車で遺体で発見された。

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ヒムス県では、SANA(12月25日付)によると、東ブワイダ市、ジュースィーヤ村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、バーバー・アムル団の指導者ら多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月25日付)によると、ブスラー・シャーム市の砦を占拠しようとした反体制武装勢力を軍が撃退した。

またタスィール町で軍が反体制武装勢力を殲滅した。

シリア政府の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣とアフマド・アルヌース同省次官がベイルート経由でモスクワに向かった。

レバノンの動き

AFP(12月25日付)は、ベイルートのアメリカン大学に入院中のムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣を、レバノンの弁護士が「1986年(レバノン内戦中)のトリポリ市バーブ・タッバーナ地区での宗教関係者らや子供に対するジェノサイド」で告訴した、と報じた、

諸外国の動き

『ル・フィガロ』(12月25日付)は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、アサド大統領の2014年までの残留を前提とした暫定政府発足を骨子とする提案を携えて、シリアを訪問している、と報じた。

同提案は、アサド大統領は2014年の任期終了まで大統領職を務め、次期大統領選挙に出馬しないことを求めている、という。

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イスラエルのモシェ・ヤアロン副首相は、イスラエル軍のラジオで、シリア軍がサリン・ガスを使用したとする反体制勢力の主張を証拠がないと述べ否定した。

副首相は「我々は反体制派の報告を見た。こうした報告は今回が初めてではない。反体制派は国際社会の軍事介入を望んでいる」と述べた。

そのうえで「今のところ、実際に化学兵器の使用は確認されておらず、そうした証拠もない。しかし、我々は事態を懸念して見ている」と明言した。

さらに「我々が見た(ユーチューブなどでの化学兵器が使用されたと訴える)映像が化学兵器使用の結果だとの確証はないが、おそらくは別のものだろう」と付言した。

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イラン外務省報道官は、訪問先のアンカラで、シリア情勢に関して、「政府から反体制諸派に至るすべての集団がシリアで民主的選挙を実施するために協力し合うべきで、選挙こそ双方が危機解決のために従うべき唯一の方法」と述べた。

アナトリア通信(12月25日付)が報じた。

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UAEのアブドゥッラー・ブン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のムハンマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とアブダビで会談し、非宗派主義的な政治的移行プロセスを支持することを伝えた。AFP(12月26日付)が報じた。

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ローマ法皇ベネディクト16世はクリスマスを祝してメッセージを発表し、そのなかでシリアでの「流血停止」、「支援促進」、「紛争の政治的解決の模索」を呼びかけた。

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ロイター通信(12月25日付)は、イタリア籍貨物船2隻がロシアからシリアのバーニヤース港(タルトゥース県)に灯油約42,000トン(4,000万ドル相当)を搬送した、と報じた。

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イラク・クルディスタン地域政府大統領報道官は、クルディスタン・シリア間の国境通行所で閉鎖されたヵ所はないと発表した。

AFP, December 25, 2012、Akhbar al-Sharq, December 25, 2012、Le Figaro, December 25, 2012、The Guardian, December 25, 2012、al-Hayat, December 26, 2012, December 27, 2012、Kull-na Shuraka’, December 25, 2012、al-Kurdiya
News, December 25, 2012、Naharnet, December 25, 2012、Reuters, December 25,
2012、SANA, December 25, 2012、Sky News Arabic, December 25, 2012、UPI, December
25, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒムス県で軍・治安部隊が反体制派戦闘員に対してガス兵器を使用した疑惑が生じるもロシアは意に介さず、トルコでジャズィーラ・ユーフラテス解放戦線が発足し「テロ組織」民主統一党を退ける必要性を強調(2012年12月24日)

国内の動き(シリア政府の動き)

アサド大統領はダマスカス訪問中のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談した。

SANA, December 24, 2012
SANA, December 24, 2012

会談後、宿泊先のシェラトン・ホテルに戻ったブラーヒーミー共同特別代表は、「シリアの状況は依然として懸念を呼ぶものだ。我々はすべての当事者が、シリア国民の切望する解決に向かうことを希望する」と述べた。

またアサド大統領と「いつものように将来とり得る措置に関して意見を交換した」と付言した。

一方、SANA(12月24日付)によると、アサド大統領は、ブラーヒーミー共同特別代表に対して、シリア国民の国益に資するあらゆる努力を成功させ、主権と独立を維持することに専心する意思を示した。

会談には、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、アフマド・アルヌース外務在外居住者省次官らが同席した。

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クルディーヤ・ニュース(12月24日付)は、「シリアのクルド人地区」で行った最新の世論調査結果として、回答者の87.6%が自由シリア軍の進入に反対、10%が賛成、2.4%が分からないと回答したと報じた。

同世論調査は、シリア国内外で暮らす500人を対象とし、そのほとんどがインターネットを通じて回答した、という。

al-Kurdīya News, December 24, 2012
al-Kurdiya News, December 24, 2012

回答の選択肢は、「はい、自由シリア軍はシリア全土の軍である」、「いいえ、クルド人が自分たちの地域を自衛する」、「分からない」の三つ。

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『ガーディアン』(12月24日付)は、NATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備に対抗するかたちで、シリア政府がロシア製の地対空ミサイルを導入、ロシアの軍事顧問団が常駐している、と報じた。

同紙によると、ブークM2、パーンツィリーS1などが多数買い入れられたという。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方の都市・村(ジスリーン町など)に対して、軍が空爆を行った。

またムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市などでは軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月24日付)によると、ヤブルード市各所、ドゥーマー郊外、スバイナ町、フサイニーヤ町、ダーライヤー市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

アクス・サイル(12月25日付)が自由シリア軍消息筋の話として、ジャルマーナー市で軍事情報局の部隊司令官が反体制武装勢力の要撃を受け、暗殺された、と報じた。

反体制武装勢力は同市で車に爆弾を仕掛けて爆発させ、市民5人を殺害、現場に駆けつけた部隊を要撃した、という。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で、軍が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団が、シャームの民のヌスラ戦線、部族自由人旅団、シャーム自由人大隊が、軍および体制支持者との交戦の末、アラウィー派が多く済むマアーン市の大部分を制圧したと発表した。

この戦闘で反体制武装勢力戦闘員11人と、軍・体制支持者20人以上が死亡した。

またハーニー・ハマウィーを名乗る活動家は、反体制武装勢力は地対空兵器を使用して、マアーン市郊外で戦闘機を撃墜したと主張した。

一方、SANA(12月24日付)によると、ラターミナ町、マアーン市で、軍が住民の要請を受け反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアズィーズィーヤ市の検問所、アブー・ウバイダ村(ムハルダ市郊外)などで、軍は反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、手製のロケット弾などを押収した。

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アレッポ県では、SANA(12月24日付)によると、アレッポ市カルム・マイサル地区、旧市街、ライラムーン地区、フライターン市、マアーッラ・アルティーク村、ハイヤーン町、ズィルバ村、カフルナーハー村、ナッカーリーン村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市ブスターン・カスル地区では、反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が誤爆し、多数の戦闘員が死傷したという。

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ヒムス県では、SANA(12月24日付)によると、ラスタン市で、軍が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(12月25日付)は、シリア国内外の有識者が「www.creatvesyria.com」を開設し、体制派、反体制派双方における穏健な「サイレント・マジョリティ」による対話を呼びかけている、と報じた。

このサイトは、反体制派のアーリフ・ダリーラ、タイイブ・ティーズィーニー、カミール・ウートラークジー(研究者)、親体制派のマーズィン・ビラール、マーズィン・バイティンジャーナ、ファーティフ・ジャームースら約40人が立ち上げた。

Akhbar al-Sharq, December 24, 2012
Akhbar al-Sharq, December 24, 2012

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に合わせるかたちで、ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団は、ヒムス県の複数の活動家の話として、「日曜(23日)夜、ヒムス市ハーリディーヤ・バイヤーダ戦線で、6人の反体制派戦闘員が、白い煙を放つ無臭のガスを吸って…激しいめまいや頭痛をもよおした」と発表した。

同監視団によると、「軍が放った爆弾が壁に衝突して白い煙を出し…、明らかに伝統的兵器とは異なる」が、「ガスの種類は特定できない」という。

同様の発表はこれまでにも地元調整諸委員会が行っており、それによるとヒムス市ハーリディーヤ地区で、軍が反体制勢力に対して、麻痺症状、呼吸困難、視覚障害などをもたらすガスを使用したのだという。

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クッルナー・シュラカー(12月24日付)は、フェイスブックの情報として、トルコのシャンウルファ市のホテルで、アラブ、トルクメン、クルドの部族長、キリスト教徒、自由シリア軍の司令官合わせて600人が集い、ジャズィーラ・ユーフラテス解放戦線を発足したと報じた。

Kull-na Shuraka', December 24, 2012
Kull-na Shuraka’, December 24, 2012

クルディーヤ・ニュース(12月25日付)によると、会合は3日間にわたって開かれ、シリア国民評議会メンバーでシリア革命反体制勢力国民連立メンバーでもあるナウワーフ・バシールが指導、「テロ組織」である民主統一党の要求を退ける必要、同党に対抗するため自由シリア軍を派遣する必要を確認した、という。

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シリア国民評議会は、ハマー県ハルファーヤー市で発生し、60人以上が死亡したとされるパン屋への「樽爆弾」による空爆を「虐殺」と非難した。

パレスチナ人の動き

PFLP-GC(ラーマッラー)のフサーム・アラファート報道官は、ダマスカス県ヤルムーク区での反体制武装勢力との戦闘の指揮を執っていた政治局メンバーのニダール・アルヤーンが、シャームの民のヌスラ戦線によって同地区で暗殺されたと発表した。

アラファート報道官はまた、シリア革命反体制勢力国民連合が「この犯罪の全責任」を負っていると非難した。

諸外国の動き

ロイター通信(12月24日付)は、トルコ高官の話として、トルコがこれまでの拒否の姿勢を撤回し、NATOの非軍事活動へのイスラエルの参加を2013年以降認めることに合意したと報じた。

トルコは、2010年5月にガザへの支援物資を運んでいたマヴィ・マルマラ号がイスラエル軍の襲撃を受けて以降、イスラエルの参加を拒否していた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、RT(12月24日付)に対して、「シリアが化学兵器を使用するとは思わない。そのようなことをしたら、政府にとって政治的自殺行為のようなものだ」と述べた。

AFP, December 24, 2012、Akhbar al-Sharq, December 24, 2012、’Aks al-Sayr, December 25, 2012、The Guardian, December 24, 2012、al-Hayat, December 25, 2012、Kull-na Shuraka’, December 24, 2012、al-Kurdiya News,
December 24, 2012, December 25, 2012、Naharnet, December 24, 2012、Reuters,
December 24, 2012、SANA, December 24, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

民主統一党のムスリム共同党首がイラクを訪問しマーリキー首相と会談したことを明らかにしつつ、自党が民主的変革諸勢力国民調整委員会から除名されたとの報道を否定(2012年12月23日)

国内の動き(シリア政府の動き)

アサド大統領は2012年法律第35号を発し、2013年会計年度の予算(1兆3830億シリア・ポンド)を確定した。

al-Hayat, December 23, 2012
al-Hayat, December 23, 2012

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、記者団に対して、『アフバール』(12月17日付)が全文掲載したファールーク・シャルア副大統領の発言を「2300万のシリア人の意見」と高く評価した。

SANA(12月23日付)が報じた。

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アレッポ県では、SANA(12月23日付)によると、アレッポ市ジュルーム地区で発生した武装テロ集団の退去を求める民衆デモに、反体制武装勢力が発砲し、複数の市民が負傷した。

国内の暴力

ハマー県では、複数の活動家が、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア訪問に合わせて、ハルファーヤー市のパン屋(パン配給所)近くに軍が空爆を行ったと主張した。

シリア人権監視団、地元調整諸委員会は、この空爆によって「60人以上」が死亡したと発表した。

また、別の活動家は「200人」が死亡したと主張した。

一方、SANA(12月23日付)によると、ムハルダ市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またSANA(12月23日付)はその後、反体制武装勢力がハルファーヤー市を襲撃し、女性子供を含む住民を殺害した、と報じた。

同報道によると、これを受け、軍がハルファーヤー市の武装テロ集団を掃討する作戦を行ったという。

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ダルアー県では、ヨルダンのペトラ通信(12月23日付)によると、ヨルダン領内に逃げようとした若者が頭を撃たれて死亡した。

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アレッポ県では、SANA(12月23日付)によると、アルバイド村、カウワル村、サフィーラ市、アナダーン市、マンスーラ村、ナッカーリーン村、アレッポ市ブスターン・カスル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、バニー・ザイド地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月23日付)によると、ダーライヤー市内で、反体制武装勢力が武器兵站の搬送に使用していた地下トンネルを軍が発見した。

またダーライヤー市、アクラバー村、バイト・サフム市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、ドゥーマー市郊外では、イスラーム旅団とグータの盾旅団の間で略奪品の分配をめぐる衝突が発生し、多数の反体制武装勢力戦闘員が死亡した。

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イドリブ県では、SANA(12月23日付)によると、マアッル・シューリーン村、マアッル・シャムサ村、タフタナーズ、ヒルバト・マールティーン村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月23日付)によると、ガントゥー市、ザアフラーナ村、東ブワイダ市などで、反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(12月23日付)が、タッル・ブラーク町住民の話として、自由シリア軍が同市に進入し、軍がこれに対抗するかたちでヘリコプターを上空で旋回させている、と報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月23日付)が入手した声明によると、アブドゥー・フサームッディーン元石油鉱物資源省次官が、シリア革命反体制勢力国民連立の駐トルコ大使就任を「不適任」を理由に辞退した、と報じた。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はクルディーヤ・ニュース(12月23日付)に対して、イラクを訪問し、ヌーリー・マーリキー首相と会談したことを明らかにした。

al-Kurdiya News, December 23, 2012
al-Kurdiya News, December 23, 2012

同報道によると、この訪問は民主的変革諸勢力国民調整委員会へのジャラール・ラータラバーニー大統領の招待を受けたものだったが、ターラバーニー大統領の病状悪化で大統領との会談は実現しなかったという。

ムスリム共同党首は、民主統一党が民主的変革諸勢力国民調整委員会から除名されたとの一部情報を否定した。

諸外国の動き

イスラエルのアモス・ギルアド国防省軍政局長はイスラエル国防軍のラジオで、「彼(アサド大統領)が去ったと仮定すると、中東…に混乱が生じ、彼の代わりに誰が現れるかなど分からないだろう。我々はバランスをとらねばならない。世界全体がこのことに対処しなければならない」と述べた。

またアサド政権による化学兵器使用の可能性について、ギルアド国防省軍政局長は「現時点で、化学兵器は(アサド政権の)管理下にある」と述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、ベイルートから陸路でダマスカスに入った。

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アラブ連盟は常駐代表レベル会合を開き、シリア国内のパレスチナ人およびパレスチナ難民キャンプへの攻撃を非難した。

AFP, December 23, 2012、Akhbar al-Sharq, December 23, 2012、al-Hayat, December 23, 2012, December 24, 2012, December 25, 2012、Kull-na Shuraka’,
December 23, 2012、al-Kurdiya News, December 23, 2012、Naharnet, December
23, 2012、Reuters, December 23, 2012、SANA, December 23, 2012などをもとに作成。

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ダマスカス県カーブーン区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し5人が死亡する一方、シリア国民評議会が「シリア革命は宗派的でなく、無血」と主張(2012年12月22日)

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、5人が死亡、数十人が負傷した。

SANA(12月22日付)によると、シリア・アラブ・テレビのカメラマン、ハイダル・サムーディー(1967年生まれ)がカフルスーサ区の自宅前で反体制武装勢力に射殺された。

またSANA(12月22日付)によると、タダームン区で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

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ハマー県では、ハマー郊外アンサール旅団司令官を名乗るラシード・アブー・フィダーなる活動家が、キリスト教徒が多数住むムハルダ市とスカイラビーヤ市の住民に対して、「アサドの悪党とシャッビーハの放逐と、我々の村への砲撃停止のため、役割を果たすよう警告を発する」と脅迫した。

アブー・フィダーは「もしそうしなければ(反体制武装勢力に協力しなければ)、我々はアサドの悪党とシャッビーハのアジトに突入する勇士を送り込むだろう」と両市への攻撃を予告した。

またシリア人権監視団によると、カブル・フィッダ村、ラムラ村などで軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(12月22日付)によると、軍がカスル・アブー・サムラ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市を軍が空爆・砲撃した。

一方、SANA(12月22日付)によると、ハウラ地方ブルジュ・カーイー村、ヒムス市スルターニーヤ地区、ジャウバル区で軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーライル村、ムーハサン市を軍が空爆した。

一方、SANA(12月22日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で軍が反体制武装勢力と交戦し、ハドラー大隊、ユーフラテス大隊などを名乗る集団の戦闘員多数を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハムーリーヤ市、ズィヤービーヤ町、アルバイン市、ハラスター市などに軍が砲撃を加え、ダーライヤー市では軍と反対武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月22日付)によると、フジャイラ村、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、アルバイン市、バフダリーヤ村、フサイニーヤ町などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、「アンサールッラー」のメンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

また、軍武装部隊総司令部は声明を出し、シャブアー地方の軍事技術中隊の一つが反体制武装勢力に襲撃され、司令官1人を失いつつも応戦・撃退した、と発表した。

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アレッポ県では、SANA(12月22日付)によると、アターリブ市、タカード村、サフィーラ市、タッル・ズィーターン市、ワディーヒー村、フライターン市、アレッポ市シャッアール地区、ブスターン・バーシャー地区、イシャーラート地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月22日付)によると、ガッサーニーヤ村、タフタナーズ市、タヒーラ市、マアーッラ・ニウサーン市、ビンニシュ市、アリーハー市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(12月22日付)によると、ルバイア地方サラヤー村で軍が反体制武装勢力のアジトを攻撃破壊、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

国内の動き(シリア政府の動き)

12月5日に逝去したイグナティウス4世ハズィームの後任として東方正教会アンタキア総主教に選出されたヨハネ10世ヤーズジーはダマスカスで就任後初の記者会見を開き、「我らキリスト教徒はこの国に残る…。我々は常に自らの国の民、そして祖国とともにあった。外国人に立ち向かうとき、市民権や祖国の意味を悟る。ときにそうした外国人はキリスト教徒だった」と述べた。

SANA, December 22, 2012
SANA, December 22, 2012

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OTV(12月22日付)は、ジハード・マクディスィー前外務在外居住者省報道官がベイルートに滞在していると報じた。

反体制勢力の動き

ヨルダンのサラフィー主義潮流のアブドゥルカーディル・シハーダ(アビー・ムハンマド・タフターウィー)は、21日にダルアー県での戦闘でマフムード・アブー・タビーフが死亡したと発表した。

アブー・タビーフはザルカー県出身のヨルダン人サラフィー主義者。

UPI(12月22日付)が報じた。

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シリア国民評議会は、シリア国内の紛争が「宗派的」様相を帯びてきたとした国連の国際調査委員会の報告に対して、「シリア革命は宗派的でなく、無血だ…。シリア社会が直面している唯一の分断は、殺人的体制…と、自由と平等を求める人々の社会の間の分裂だ」と述べた。

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元駐シリア・イラク大使のナウワーフ・ファーリスは滞在先のカタールで『ハヤート』(12月23日付)に対して、「アサド政権の同盟者たちは体制が終わったと考えるようになったが、シリアにとってもっとも危険なのは体制崩壊後だ」と述べた。

また「シリア革命反体制勢力国民連立が国際社会においてシリアに資する正しい決定に立脚できなければ、シリア国民にとって大災難だ」としたうえで、「国内と連携し、国民の意思を反映すれば、いかなる勢力も同連合に意見を押し付けることはできない」と強調し、同連立が外国の影響下にないと断じた。

一方、ファーリスは、体制転換後に新政党を作る意思があることを明らかにした。

レバノンの動き

ナハールネット(12月22日付)は、ヒムス県タッルカラフ地方でシリア軍によって殺害されたレバノン人サラフィー主義者の遺体3体をシリア当局がレバノン側に引き渡した、と報じた

諸外国の動き

SANA(12月22日付)は、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)アンタキア市で、数千人の市民がAKPの対シリア政策やNATOによるパトリオット・ミサイル配備に反対するデモを行った、と報じた。

SANA, December 22, 2012
SANA, December 22, 2012
al-Hayat, December 23, 2012
al-Hayat, December 23, 2012

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、「シリアの内戦は座礁に乗り上げており、アサド大統領を退任させようとする国々の努力は失敗に終わるだろう」と述べた。

AFP, December 22, 2012、Akhbar al-Sharq, December 22, 2012、al-Hayat, December 23, 2012、Kull-na Shuraka’, December 22, 2012、al-Kurdiya News, December 22, 2012、Naharnet, December 22, 2012、OTV, December 22, 2012、Reuters, December 22, 2012、SANA, December 22, 2012、UPI, December 22, 2012などをもとに作成。

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反体制武装勢力がアレッポ空港でシリア航空機RB201便を攻撃、シリア民主フォーラムのキールー氏は「個人や体制ではなくシリアの存在を擁護している」としたシャルア副大統領の発言を評価(2012年12月21日)

国内の動き(シリア政府の動き)

シリアのドゥルーズ派のシャイフ・アクル、フサイン・ジャルブーウの国葬がスワイダー県スワイダー市で執り行われた。

SANA(12月21日付)が報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、ロイター通信(12月21日付)によると、反体制武装勢力がアレッポ空港でシリア航空機RB201便を攻撃した。

SANA, December 21, 2012
SANA, December 21, 2012

ハルドゥーンを名乗る反体制活動家はロイター通信に対して、威嚇射撃によりRB201便のタイヤを破壊し、離陸不能にしたとしたうえで、「我々は政府に、軍用機も民間機もすべて我々の手の届くところにあるというメッセージを送りたかった」と述べた。

またハルドゥーンは「ダマスカス空港で行われたことは、どんなに高い代償を払おうとも、アレッポでも行われるだろう」としたうえで、「今後、(旅客機は)標的になるだろう」と述べ、民間人にアレッポ空港をしないよう警告した。

『ハヤート』(12月22日付)は、反体制武装勢力が「政府が民間機によってイランの武器や兵士を送り込んでいる」とこうしたテロ行為を自己正当化している、と報じた。

またAFP(12月21日付)によると、アレッポ市ザフラー地区で、反体制武装勢力が空軍情報部に隣接する軍の拠点と武器庫を攻撃したが、軍の反撃を受け、複数の戦闘員が負傷した。

一方、SANA(12月21日付)によると、ハイヤーン町、ズィルバ村の街道沿い、カフルダーイル村、アルバイド村、アレッポ市ブスターン・カスル地区、マルジャ地区、旧市街などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を破壊、装備を破壊した。

SANA, December 21, 2012
SANA, December 21, 2012

他方、シリア人権監視団は声明を出し、スペイン人記者がアレッポ市ブスターン・カスル地区でのデモの最中に何者かに発砲され、野戦病院で治療を受けている、と発表した。同地区は反体制武装勢力の支配下にあるという。

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ダマスカス県では、AFP(12月21日付)などによると、ヤルムーク区での戦闘激化を受けて避難していたパレスチナ人数千人が同地区に戻った。

複数の住民によると、地区内には、反体制武装勢力も、PFLP-GCの民兵もいないという。

同地区に至る主要幹線道路は車両通行止めとなっているが、マイクロバスの往来、脇道の車輌通行は許可されている、という。

しかしシリア人権監視団によると、ヤルムーク区内でパレスチナ人民兵と反体制武装勢力が交戦した。

同監視団によると、反体制武装勢力と交戦したのは、アサド政権を支持する人民諸委員会とパレスチナ諸派の民兵。

また同監視団によると、タダームン区などで、軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ハジャル・アスワド市などで軍が反体制武装勢力と交戦した。

またルハイバ市では、反体制武装勢力が軍を襲撃した、という。

一方、SANA(12月21日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、ズィヤービーヤ町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス県ジャウバル区、スルターニーヤ地区を軍が空爆、また両地区では軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月21日付)によると、ハウラ地方で、軍が反体制武装勢力の爆弾製造工場を攻撃、破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ地方のラスィーフ村、ジャニーン村などで、軍が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(12月21日付)によると、ヒルバト・ハジャーマ村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月21日付)によると、ガッサーニーヤ村、アーリヤ市、ビンニシュ市、タフタナーズ市、サラーキブ市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

一方、SANA(12月21日付)によると、タマーニア町などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア民主フォーラムのミシェル・キールーはパリで、『アフバール』(12月17日付)が全文掲載したファールーク・シャルア副大統領の発言を「体制、個人ではなくシリアという祖国の国益を踏まえた高官の初の発言」と評価し、「反体制勢力が合意すれば、移行期を監督するかもしれない」と述べた。

クッルナー・シュラカー(12月21日付)が報じた。

シャルア副大統領は「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している…。解決は地域の主要諸国と国連安保理を含んだかたちでの歴史的関係正常化を通じてなされねばならない…。関係正常化はすべての暴力の停止、挙国一致内閣の発足が保障されねばならない」と述べていた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、「ハウラーン地方およびアラブ山地方の民」(ドゥルーズ派)に対して、民間人の誘拐、脅迫を行わないよう呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イラン外務省による紛争解決のための6項目提案を「沈没不可避のシリアの体制という船に命綱を投げる絶望的試み」と批判、拒否した。

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クッルナー・シュラカー(12月21日付)は、シリア情報通信センターの情報として、シリア国民評議会執行委員会は近く、ハサカ県のアラブ系部族、クルド系部族、アッシリア政党の代表者約60人を一同に介して、国民和解会合を開催する予定だと報じた。

執行委員会のアブドゥルアズィーズ・ムスラトによると、この会合ではハサカ市からの軍の撤退、離反した警官や民間人などからなる自警団の設置などがめざされるという。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はEUロシア首脳会談後の記者会見で、「シリアは我々の国境から遠くない。我々はシリアで混乱が拡がることを望んでいない」と述べた。

プーチン大統領はまた「我々にとって重要なのは、シリアの体制であり…、シリア政府の擁護ではない…。長期的合意に至るため、まずシリアの将来について合意せねばならない…。すべての当事者が対話のテーブルに着かねばならない」と強調した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、RT(12月21日付)に対して、「地域のプレーヤーのなかには、なぜアサド大統領に退任を求めて、亡命先を提供しないのか、と我々に言う者がいる…。答えは単純だ。そうしたことを提案する者がそうした思いをめぐらすなら、それをアサド大統領に直接伝えるべきだ…。なぜ彼らは我々を配達人として利用するのか?」と述べた。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はジプチ首相との会談後、記者団に対して、「スカッド・タイプのミサイルの発射を我々は監視でき、そうした行為を遺憾に思う…。それは絶望的な体制が崩壊に近づいていることを示すものだ」と述べた。

NATOに近い消息筋によると、ラスムセンNATO事務局長はシリア軍が20日にスカッド・ミサイルを発射したと認識している、という。

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国連総会は、シリア政府および政府を支持する民兵(シャッビーハ)による重大かつ体系的な人権侵害を非難し、シリア政府に暴力停止を求める声明を採択した。

決議は135カ国が賛成したが、ロシア、中国など12カ国が反対、36カ国が棄権した。

同決議は、すべての当事者による暴力停止も補足的に求められている。

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UPI(12月21日付)によると、日本政府は、シリアでの戦闘激化を踏まえ、UNDOFに参加している自衛隊の撤収命令を発した。

ゴラン高原派遣の自衛隊の部隊は来年3月に交代する予定だったが、政府は今日(金曜日)の安全保障会議で近日中に任務を終了させることを決定した。

森本敏防衛大臣は関係機関高官らと会談し、自衛隊をゴラン高原から撤退させることを決定したという。

森本大臣は撤退決定に関して、地域の治安状況が重要な任務の続行を困難にしたと述べる一方、国際社会が日本のゴラン高原における17年間の活動を高く評価しているが、このようなかたちで任務を終了することを期待していなかったと指摘した。

AFP, December 21, 2012、Akhbar al-Sharq, December 21, 2012、al-Hayat, December 22, 2012、Kull-na Shuraka’, December 21, 2012、al-Kurdiya News, December 21, 2012、Naharnet, December 21, 2012、Reuters, December 21, 2012、SANA, December 21, 2012、UPI, December 21, 2012などをもとに作成。

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パレスチナ人数千人がヤルムーク区に帰還するなか、国連人権理事会が任命した国際調査委員会によるとシリアが「明らかに宗派的」様相を帯びる(2012年12月20日)

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(12月20日付)はサッカー・シリア代表がイラク代表戦に1対0で勝利し、西アジア・チャンピオン・カップを制したと報じた。

SANA, December 20, 2012
SANA, December 20, 2012

ユーチューブ(12月21日付)で、サッカーのシリア代表チームの選手が観客席に向かって委任統治時代のシリアの国旗がプリントされたTシャツを見せる映像が公開された。

http://www.youtube.com/watch?v=6IIppAurmv8

http://www.youtube.com/watch?v=gfFN3sEUaU4

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SANA(12月20日付)によると、シリアの外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長に、ヤルムーク区の状況に関する書簡を送付し、武装テロ集団を支援する国々に対して、テロ集団との密接な関係を駆使して、同集団を難民キャンプからただちに退去させ、パレスチナ難民の生命を護るべきだと主張した。

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『ワタン』(12月20日付)は、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は、マフムード・ムバイヤド消費者保護局長とイヤード・アッルーシュ財産保護局長を新たに次官に任命し、イマード・アスィール現次官とともにパン、灯油、ガス不足に対処すると報じた。

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アサド大統領は、ハサン・ジャラーリー少将に代えてアーディル・ダイリー少将を内務省次官に任命した。

国内の暴力

ダマスカス県では、AFP(12月20日付)が、複数の住民の話として、パレスチナ人数千人がヤルムーク区に戻ったと報じた。

これらのパレスチナ人は、午前6時から軍の検問所を通過し、ヤルムーク区に徒歩で戻り、軍は「車の通行を禁じ、またキャンプに入る者に、自己の責任で入るよう警告していた」という。

SANA(12月20日付)によると、ヤルムーク区の住民(パレスチナ人)は大規模なデモ行進を行いながらキャンプに入り、武装テロ集団の退去を訴えた。

住民の一人によると、「キャンプ内に数千人はいた自由シリア軍の戦闘員はだいぶいなくなった。一部が路地でお茶を飲んで、水たばこを吸っているだけだ」という。

しかし反体制武装勢力の戦闘員の一人によると「正規軍が退去するまでは去らない」という。

パレスチナのワファー通信(12月20日付)は、パレスチナ各派が、シリア領内のパレスチナ難民キャンプを「安全地帯」とすることに合意したと報じた。

同通信社によると、ファタハをはじめとする各派は、自由シリア軍と軍のキャンプからの撤退、各派からなる非武装の監視委員会の設置、同委員会による治安維持を率先して実現しようとしているという。

しかしPFLP-GCのアンワル・ラジャー報道官は、「武装テロ集団とは何らの合意にも達しておらず…、(避難民の帰還は)パレスチナ人民の決断によるものだ。数千人が行進して帰還することで決断した…。人々は避難ではなくキャンプでの死を選ぶ」と述べた。

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シリア人権監視団は、12月15日にファールーク・シャルア副大統領の親戚のザイドゥーン・ズウビーとその弟のスハイブがダマスカス県内のカフェで軍事情報局に逮捕された、と発表した。

同監視団によると、2人はシャルア副大統領の母方の親戚で、反体制活動に従事しており、またこの2人と合わせて5人の活動家も逮捕された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、県北部のイドリブ県に通じる街道に位置するムーリク市の検問所8カ所を反体制武装勢力が襲撃した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ハラスター市、ダーライヤー市などに対して軍が砲撃を加え、ダーライヤー市では軍と反体制武装勢力が交戦した。

また同監視団によると、反体制武装勢力がランクース市郊外の対レバノン国境地点を制圧したという。

一方、SANA(12月20日付)によると、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、バフダリーヤ村、サイイダ・ザイナブ町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(12月20日付)によると、ドゥワイリーニーヤ市、サフィーラ市、ウワイジャ地区、マアーッラ・アルティーク村、ハイヤーン町、アレッポ市ブスターン・カスル地区、サイフ・ダウラ地区、カーディー・アスカル地区、カルム・マイサル地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(12月20日付)によると、ラスタン市郊外で軍が反体制武装勢力の武器搭載車輌を破壊した。

反体制勢力の動き

アンサール・イスラーム連合のアブー・ムアーッズ・アーガー報道官は、ロイター通信(12月20日付)に対して、数日中にダマスカスで軍に対する特殊軍事作戦を開始するだろうとテロ予告を行った。

アンサール・イスラーム連合はダマスカス県、ダマスカス郊外県を中心に反体制武装活動を行う武装集団の連合体。

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ロシア紙『コメロサント』(12月20日付)は、モスクワの外交筋の話として、ロシア人技師2人とイタリア人技師1人を誘拐している反体制武装勢力から5000万シリア・ポンド(約53万ユーロ)の身代金の支払い要求があった、と報じた。

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Zaman al-Wasl, December 20, 2012
Zaman al-Wasl, December 20, 2012

ザマーン・ワスル(12月20日付)は、イドリブ県ザーウィヤ山のカンスカフラ村の洞窟で、大学・高校の学生約300人が5日間にわたって「自由シリア学生国民連合」結成大会を開催したと報じた。

同サイトが公開した写真には、老人や子供が多く写っている。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長がイラクを訪問、フダイル・フザーイー副大統領と会見した。

フザーイー副大統領がウェブで発表した声明によると、この会談で、副大統領は、イラクが武器、資金の通路とならない」と述べた。

なおマンナーアは19日にはヌーリー・マーリキー首相と会談していた。

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ユーチューブ(12月20日付)で軍の第155旅団がヒムス県ナースィリーヤ村で13日にスカッド・ミサイルを発射したとする映像がアップされた。

http://www.youtube.com/watch?v=9doZHpmCyB0&feature=player_embedded

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、「我々はアサド政権の運命に関心はない…。シリアで今後何が起きるかを懸念している。反体制勢力が政権を担った後、現政権にいる人々を殺すことを我々は望まない」と述べた。

またプーチン大統領は「我々は…シリアの解体と終わりなき内戦から救い出すため、問題解決に至ることを指示している」と付言した。

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国連人権理事会が任命した国際調査委員会は、最新の報告書でシリアの紛争において「すべての宗派」脅威にさらされ、「明らかに宗派的」様相を帯びてきたとの見方を示した。

同報告書は、「人種・宗教集団間の対立は常に存在していた」としつつ、「アラウィー派と…スンナ派といった宗派どうしの分断が明らかになっている」と断じた。

また「それ以外の宗派、例えばアルメニア人、キリスト教徒、ドゥルーズ派、パレスチナ人、クルド人、トルクメン人も紛争に巻き込まれている」と指摘した。

そのうえで「みなが国からの避難を余儀なくされているか、殺されている…。各宗派は存続の危機に立たされていると考えている。それゆえこれまでに増して、今日、対話を通じた関係正常化が必要となっている」としている。

しかし同報告書の分析は、社会の宗派的多様性が必然的に宗派対立をもたらすという過度の単純化が前提となっており、具体的な根拠を欠いており、プロパガンダとして利用される危険が高い。

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国連安保理は、シリアへの武器供与を行っているとしてヤース・エアー社、SAD輸出入社の二社を制裁リストに追加した。

AFP, December 20, 2012、Akhbar al-Sharq, December 20, 2012、Facebook, December 20, 2012, December 21, 2012、al-Hayat, December 21, 2012、Kull-na Shuraka’, December 20, 2012、al-Kurdiya News,
December 20, 2012、Naharnet, December 20, 2012、Reuters, December 20, 2012、SANA,
December 20, 2012、al-Watan, December 20, 2012、Zaman al-Wasl, December 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県で中立的なパレスチナ人勢力が自由シリア軍と軍の交渉を試みる一方、民主的変革諸勢力国民調整委員会のマンナーア在外局長はシリア革命反体制勢力国民連立などによるヌスラ戦線への支持に疑義を呈する(2012年12月19日)

国内の動き

アレッポ県では、SANA(12月19日付)によると、アレッポ市カッラーサ地区で、住民が武装テロリストの退去を求めるデモを行った。

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ロイター通信(12月19日付)は、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣が空路ベイルートを訪問、アメリカン大学病院で、12日のダマスカス県カフルシューバー地区の内務省施設を狙った連続爆破事件で負った傷の治療を受けたと報じた。

国内の暴力

ダマスカス県では、AFP(12月19日付)が、中立的なパレスチナ人勢力が自由シリア軍と軍の交渉を仲介し、ヤルムーク区での戦闘の回避を試みている、と報じた。

同報道によると、交渉は自由シリア軍、親アサド政権のパレスチナ人武装勢力双方のヤルムーク区からの退去を目的としているが、「現時点では成果を得てない」という。

『ワタン』(12月19日付)は、軍がヤルムーク・キャンプへの突入に備え、部隊を増援し、民間人保護のためキャンプに至る街道を封鎖している、と報じた。

AFP(12月19日付)は、「ラースィム」を名乗る活動家の話として、ヤルムーク・キャンプにほとんど住民は残っていない、と報じた。

パレスチナの複数の消息筋は『ハヤート』(12月21日付)に対して、ダマスカス県内でハマースを除くパレスチナ各派(ダマスカス10派)の代表が会合を開き、難民キャンプの中立化、反体制武装勢力とPFLP-GCの民兵双方の退去を求めることで合意したと述べた。

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同じくダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バサーティーン地区で軍の空爆・砲撃とともに、激しい戦闘が発生した。

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ダマスカス郊外県では、『ワタン』(12月19日付)によると、軍がダーライヤー市の反体制武装勢力の最後の拠点を攻撃し、甚大な被害を与えた。

またSANA(12月19日付)によると、ダーライヤー市で軍がシャームの民のヌスラ戦線への追撃を継続、多数の戦闘員を殺傷、その拠点に甚大な被害を与えた。

さらに、ドゥーマー市郊外などでも軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

一方、シリア人権監視団によると、ハラスター市、ザバダーニー市、アルバイン市、ザマルカー町などで、軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、県北部のマジュダル検問所周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月19日付)によると、ヒヤーリーン町などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

また、反体制武装勢力はハルファーヤー市の高圧送電システムを襲撃、設備を破壊し、同変電所は操業停止を余儀なくされたという。

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アレッポ県では、SANA(12月19日付)によると、フライターン市、アナダーン市、カフルハムラ村、ウワイジャ地区、アズィーザ市、サフィーラ市、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市シャイフ・サイード地区などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(12月19日付)によると、反体制武装勢力がアウラム・ジューズ市の変電所を襲撃した。

一方、軍はラーミー村などで反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月19日付)によると、ムジャイイル市で治安維持部隊が反体制武装勢力の攻撃に対して応戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

反体制武装勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長は、『ガーディアン』(12月19日付)で、「マラケシュでのシリアの友連絡グループに出席した多くの者(反体制活動家)が、アル=カーイダと関係があると米国が考える組織を支援することはどう解釈すべきなのか」と自問し、シリア革命反体制勢力国民連立、シリア・ムスリム同胞団などがシャームの民のヌスラ戦線のテロ活動を支援することに疑義を呈した。

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シリア革命反体制勢力国民連合と自由シリア軍参謀委員会が共同声明を出し、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、サリーム・イドリース参謀長ら両組織の代表が会合を開き、アサド政権の打倒、治安機関の解体、国民の自衛をめざすことを確認したと発表した。

会合場所など詳細は発表されなかった。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、一部反体制武装勢力がロシア人とイラン人の襲撃を行うと発表したことに関して、非難・拒否の立場を示した。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は、レバノンのムスタクバル潮流のウェブサイトのインタビューに応じ、そのなかでアサド大統領の退任が政治的対話の条件だと述べるとともに、ヒズブッラーにアサド政権支持を改めるよう呼びかけた。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド民主党(アル・パールティ)のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長は、15日に結成されたクルド民主政治連合に関して、現時点で武装化する意思はないと述べた。

諸外国の動き

ラドワーン・ヌワイサー国連人道問題調整事務所(OCHA)地域調整官は、シリア人避難民約100人と約400万人の被災者への人道支援に、2013年上半期だけで15億ドルが必要だと述べた。

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UNRWAのリサ・ギリアム氏は、ダマスカス県ヤルムーク区への反体制武装勢力進入により、パレスチナ人約10万人が避難したと述べた。

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ジャーナリスト保護委員会は2012年の1年間に67人のジャーナリストが取材中に殺害され、うち28人がシリアで死亡したと発表した。

AFP, December 19, 2012、Akhbar al-Sharq, December 19, 2012、The Guardian, December 19, 2012、al-Hayat, December 20, 2012, December 19, 2012、Kull-na Shuraka’, December 19, 2012、al-Kurdiya
News, December 19, 2012、Naharnet, December 19, 2012、Reuters, December 19,
2012、SANA, December 19, 2012、al-Watan, December 19, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県ヤルムーク区で反体制武装勢力が「明らかに進軍」し戦闘が激化、フォード駐シリア米大使がイラクのマーリキー首相と会談しアサド政権退陣への固辞を示す(2012年12月18日)

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(12月19日付)などによると、ヤルムーク区で反体制武装勢力が「明らかに進軍」、住民の一人は「自由シリア軍のメンバー数百人がキャンプ内にいる」と述べた。

同住民らによると、ヤルムーク区内のモスクなどから軍が拡声器で住民に「12時までに」避難するよう呼びかけ、多くの住民(パレスチナ人)が避難したという。

複数の目撃者によると、軍はダマスカス郊外県へと通じる入り口以外のヤルムーク区の入り口を封鎖し、反体制武装勢力に対する掃討作戦の準備をしている、という。

『ハヤート』(12月19日付)によると、反体制武装勢力は現時点で、ヤルムーク区内のタカッドゥム通り、ウルーバ通り、サラースィーン通りの三つの街区を占拠している、という。

ヤルムーク区内では、PFLP-GCの民兵組織(人民諸委員会、兵員約700人)が抵抗を試みたが、ほどなく反体制武装勢力に降伏し、拠点を明け渡し、シリア軍の拠点へと撤退した、という。

一方、パレスチナ人の一部は「革命家」に合流した、という。

シリア人権監視団によると、ヤルムーク区およびダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市周辺で軍とPFLP-GCの民兵が反体制武装勢力と激しく交戦した。

『ハヤート』(12月19日付)によると、ヤルムーク区に居住するパレスチナ人約15万人のほぼ半分がすでにダマスカス県内の安全な場所ないしはレバノンなどに避難している、という。

一方、SANA(12月18日付)によると、ハジャル・アスワド市で、軍が反体制武装勢力を追撃し、アンサールッラーのメンバーら多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍が反体制武装勢力の攻勢を受け、県北部(カフルヌブーダ町、ヒヤーリーン町、ハマーミーヤート村、ハルファーヤー市、シャイフ・ハディード村、バーブ・ターカ村、ハスラーヤー村)の拠点・検問所から撤退した。

反体制武装勢力の攻勢により、軍兵士多数が殺害、捕捉されたという。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月18日付)によると、ザマルカー町、ハラスター市郊外、ドゥーマー市、ダーライヤー市、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町で、軍が反体制武装勢力を追撃し、イスラーム旅団メンバーら多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月18日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(12月18日付)によると、アナダーン市、マンスーラ村、カフルダーイル村、アレッポ市旧市街などで、軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月18日付)によると、イドリブ市、ザルダナー村、サラーキブ市などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月18日付)によると、クサイル市郊外、ラスタン市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き

シリア・アラブ共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は、アサド国立図書館での講演で、「在外の反体制活動家だと主張する者たちは最終的には対話のテーブルに着くことを強いられるだろう」と述べた。

ハッスーン師はまた「対話のテーブルに着くことを強いられる前にイニシアチブを発揮し、自らの活動を停止すべきだ…。なぜなら体制転換は力ではなく、対話によってのみなされるからだ」と付言した。

SANA(12月19日付)が報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍中央広報局のファフド・ミスリーは声明を出し、イラン外務省が発表した危機打開の6項目提案に関して、「イラン人が交渉のテーブルをダマスカスからテヘランに持っていこうとしており、このことは彼らがシリアの危機に関与していることを示すものだ」と述べ、拒否すると発表した。

ミスリーはまた同声明で「アサド政権は諸外国、友好国、同盟国の忠告に耳を傾けようとしない」と述べ、イラン以外の諸外国の関与については是認する姿勢を示した。

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作家・記者のヤースィーン・アブドゥッラティーフは反体制組織のシリア・ジャーナリスト連盟発足声明から自身の名前を削除するよう求め、組織からの脱会を宣言した。

脱会の理由は、「曖昧な」財務状況。

パレスチナ人の動き

『ハヤート』(12月19日付)は、ダマスカス県ヤルムーク区での戦闘激化を受け、パレスチナ各派内で異なる三つの対応策が示されている、と報じた。

同報道によると、この三つの対応策とは以下の通り:

1. シリア国内のパレスチナ難民キャンプでの戦闘回避の要求(ファタハ、PFLP、DFLP)
2. 武装した人民委員会の結成を通じた自由シリア軍の進入阻止とキャンプ防衛(PFLP-GC、サーイカ)
3. 非武装の人民委員会の結成と人道支援(イスラーム聖戦)

レバノンの動き

『ナハール』(12月20日付)は、ナジーブ・ミーカーティー内閣閣議で、シリア人、パレスチナ人避難民の流入をめぐる問題が審議され、ジュブラーン・バースィール電力水資源大臣(自由国民潮流)、アリー・カーンスー国務大臣(シリア民族社会党)が対シリア国境の封鎖を主張したと報じた。

諸外国の動き

米NBC特派員のリチャード・エンゲルは、NBC(12月18日付)に対して、シリアでの取材中に「アサド大統領を支持する政府系の民兵で、シャッビーハの名で知られる集団」に誘拐・拉致されたと述べた。

Akhbar al-Sharq, December 18, 2012
Akhbar al-Sharq, December 18, 2012

NBCによると、エンゲルは取材チームとともに、12月13日にトルコ経由でシリアに入国(不法入国)後、何者かによって誘拐、5日間拉致され、消息を絶っていたという。

エンゲルらは、イドリブ県マアッラトミスリーン市に近い場所に監禁され、その後17日に別の場所に移動中、反体制武装勢力のシャーム自由人大隊の検問所で脱走、18日早朝にトルコに無事避難した、という。

イドリブ県マアッラト・ミスリーン市は反体制武装勢力が制圧したと主張している地域である。

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ロバート・フォード駐シリア米大使(米国勤務)は、バクダードを訪問し、米大使館にヌーリー・マーリキー首相らイラク首脳、『ハヤート』記者らを招き懇談した。

『ハヤート』(12月19日付)によると、この懇談で、フォード大使は、米国が思い描く「政治的解決」が、アサド政権存続と両立せず、政権交代が反体制勢力側の本質的条件で、このことに関して交渉の余地はないと述べた。

米国自身が同意した2012年6月のジュネーブ合意に関して、「米国、ロシア、安保理常任理事国、トルコ、アラブ連盟はジュネーブ宣言を合意したが…、反体制勢力は彼(アサド大統領)およびその取り巻きがいかなる政治的枠組みに参加することにも同意しないだろう」と述べ、実現不可能だとの見方を示した。

また7月のカイロでの反体制勢力大会で、シリアの反体制勢力がジュネーブ合意を事実上受諾したことに関しては、「しかしアサドが何よりもまず退任しなければならない」と述べ、アサド政権退陣が、反体制勢力ではなくむしろ米国の要求であることを暴露した。

一方、反体制勢力の過激化傾向に関して、フォード大使は「米国政府にとって最大の恐怖は、長期間暴力が続くことで、それは、(シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長に代表される)穏健な声が徐々にかき消され、過激派がより大きな影響力を行使することだ」と述べ、こうした懸念ゆえにシャームの民のヌスラ戦線をテロ組織に指定したことを明らかにした。

そのうえでフォード大使は「数日前、自由シリア軍の士官は私にヌスラ戦線は反体制武装勢力の戦闘員の3分の1以下を占めるに過ぎず、それ以外の武装大隊は反体制武装闘争において重要な役割を占めており…、ヒムスにはファールーク大隊、アレッポにはタウヒード旅団、ダマスカスにはそれ以外の大隊がおり、戦闘員の大多数は過激派でないと述べた」ことを明らかにした。

なお、マーヒル・アサド大佐が事実上の司令官を務める共和国護衛隊(推計約1万人)は、シリア軍(約30万人)の30分の1程度を占めるに過ぎない。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表がエジプトを訪問し、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談、シリア情勢について協議した。

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国連世界食糧計画(WFP)報道官はジュネーブで記者会見を開き、シリア国内での「暴力激化」、「人員不足」、「燃料不足」により、食糧人道支援が充分に行うことができなくなっている、と述べた。

シリア・アラブ赤新月社によると、250万人が食糧援助を必要としているが、同報道官は過去数週間の暴力の激化で支援物資を搬送する貨物車両が襲撃されるケースが急増していると述べた。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は訪問中のモスクワでロイター通信(12月18日付)に対して、「我々はそれ(アサド政権崩壊)を大いに疑っている。シリア軍も国家機関も円滑に機能している」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラで記者団に対して、「(パトリオット・ミサイル)システムを批判するのではなく、イランはシリア政府に国民の弾圧や国境でのトルコに対する挑発を止めるよう言うべきだ…。シリア政府に明確なメッセージを向ける時が来た」と述べた。

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イタルタス通信(12月18日付)は、ロシア国防省の話として、ロシア軍が新たに戦艦2隻を地中海に派遣したと報じた。

同通信社は、両艦がタルトゥース港に寄港するかは明らかにしなかったが、バルチック艦隊消息筋の話として、両艦がシリアからのロシア人退避させる場合に参加する可能性はある、と報じた。

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イスラーム諸国会議機構(OIC)のエクメレッディン・イフサン・オグル事務局長は、ジェッダでの記者会見で、シリア情勢に関して「終わりの始まり」と評し、アサド政権に対して「国民のための犠牲」を求めた。

AFP, December 18, 2012、Akhbar al-Sharq, December 18, 2012, December 19, 2012、al-Hayat, December 19, 2012, December 20, 2012、Kull-na Shuraka’, December 18, 2012, December 19, 2012、al-Kurdiya News, December 18, 2012、al-Nahar, December 20, 2012、Naharnet, December 18, 2012、Reuters, December 18, 2012、SANA, December 18, 2012, December 19, 2012などをもとに作成。

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ハルキー首相を団長とする閣僚使節団がアレッポ市を訪問、ダマスカス県では親アサド政権パレスチナ人民兵が反体制武装勢力およびパレスチナ人戦闘員と交戦(2012年12月17日)

国内の動き

ワーイル・ハルキー首相を団長とする閣僚使節団がアレッポ市を訪問し、ムハンマド・ワヒード・アッカード県知事、アレッポ県の経済・社会・宗教界の代表と会談、アレッポ県のライフライン復旧、食糧(パン)・燃料(灯油)供給に尽力するとの意思を伝えた。

SANA, December 17, 2012
SANA, December 17, 2012

使節団は、ハルキー首相の他、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣、イマード・ムハンマド・ディーブ・ハミース電力大臣、ムハンマド・ヤフヤー・マアッラー高等教育大臣、ハズワーン・ワッズ教育大臣、ムハンマド・ザーフィル・ミフバク経済対外通商大臣、アドナーン・アブドゥー・サフニー工業大臣、サイード・ムウズィー・フナイディー石油鉱物資源大臣、ジャースィム・ムハンマド・ザカリヤー社会問題労働大臣、サアド・アブドゥッサラーム・ナーイフ保健大臣などから構成されていた。

SANA(12月17日付)が報じた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、「パレスチナ人の閉塞状況の責任は国連と国際社会にある。なぜならパレスチナ人民の合法的な権利に関わる国連決議を履行しないからだ」と述べた。

またムアッリム外務在外居住者大臣は、「シリアがパレスチナ人同胞に対して数十年にわたり与えてきたものは、他のいかなる国も及ばない」と付言した。

さらにムアッリム外務在外居住者大臣は、パレスチナ人に対してヤルムーク区で「テロ集団」に潜伏先や支援を提供せず、テロリストを放逐せねばならないと呼びかけた。

この発言はヤルムーク区に対する軍の攻撃への「重大な懸念」を表明した潘基文国連事務総長の発言を受けたもの。

SANA(12月17日付)、シリア・アラブ・テレビ(12月17日付)などが報じた。

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『アフバール』(12月17日付)はファールーク・シャルア副大統領のインタビュー全文を掲載した。

そのなかで、シャルア副大統領は、「大統領閣下との面談する機会を与えられた者はみな、これが長期にわたる紛争になり、陰謀が強大で、その当事者が多様だと大統領から聞くことになろう…。彼は最終的な勝利を実現するまで事態を軍事的に決着させようとする意志を隠すことはない…。そのうえで政治的対話は現実的に行い得るものとなる」と述べた。

12月14日に行われたインタビューで、シャルア副大統領はまた「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している…。解決は地域の主要諸国と国連安保理を含んだかたちでの歴史的関係正常化を通じてなされねばならない…。関係正常化はすべての暴力の停止、挙国一致内閣の発足が保障されねばならない」と付言した。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で、アサド政権を支持するパレスチナ人民兵(PFLP-GC)が、シリアの反体制武装勢力およびパレスチナ人戦闘員と交戦した。

ダマスカス郊外県では、反体制武装勢力によると、軍が増援部隊を派遣しダーライヤー市包囲を強化した。

一方、SANA(12月17日付)によると、ズィヤービーヤ町、フジャイラ村、フサイニーヤ町、ザマルカー町、ドゥーマー市、ハラスター市などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、「軍事評議会」メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハルファーヤー市郊外の軍の検問所を、反体制武装勢力が攻撃したが、軍の反撃を受け、戦闘員7人が死亡した。

しかし同監視団によると、反体制武装勢力はハマー市郊外の「ほとんどの検問所を襲撃し…、シャイフ・ハディードの検問所の軍を撤退させた」という。

反体制武装勢力による攻撃は、ハルファーヤー市、カルナーズ町、カフルズィーター市、カフルヌブーダ町などの検問所に対して行われているという。

この攻撃に先立って、自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)のカースィム・サアドッディーン大佐が声明を出し、「ハマー市解放作戦」を開始したと発表した。

また自由シリア軍ハマー県軍事評議会は、「アッラーの恋人」旅団、「アビー・フィダー」旅団、「アフル・バイト」旅団が「ハマー解放作戦」を開始したと発表した。

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アレッポ県では、SANA(12月17日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月17日付)によると、ムサンミヤ地方で軍がシャームの民のヌスラ戦線メンバー多数を殲滅した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シンシャール街道で軍の車輌に仕掛けられた爆弾が爆発し、兵士4人が死亡した。

またラスタン市が軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(12月17日付)によると、サムアリール村、ブルジュ・カーイー村などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長が声明を出し、シリア国内でアサド政権の弾圧で死亡したパレスチナ人の数が900人に上る(未確認情報)と発表した。

レバノンの動き

米財務省は、ミシェル・サマーア元情報大臣を「特別指定国際テロリスト」(Specially Designated Global Terrorist)に指定した。

パレスチナ人の動き

ワファー通信(12月17日付)によると、マフムード・アッバースPA大統領は声明を出し、シリアのパレスチナ人居住区・キャンプへの攻撃を回避するため、アラブ連盟事務総長、国連事務局長と電話で協議した。

また同声明によると、駐シリアのパレスチナ諸派から、事態収拾のために早急に介入するよう要請があった。

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PFLP-GCのフサーム・アラファート報道官はラーマッラーで声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区のモスクに対するシリア軍の空爆に関して、「シリアの政治指導部、とりわけアサド大統領にこの犯罪の詳細についての釈明、犯罪者の処罰、公式の謝罪を求める」と述べた。

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PFLP-GCのアンワル・ラジャー報道官はダマスカスでAFP(12月17日付)に対して、ラーマッラーのアラファート報道官の声明を「戦線とは何の関係もない」と批判、「戦線の見解を表明はダマスカスの中央情報局からのみ発せられる」と述べた。

諸外国の動き

『ハヤート』(12月19日付)によると、国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長は国連安保理に対してシリア訪問の報告を行い、そのなかでシリア政府に対して、人道支援のため国連および人道支援機関が反体制勢力と直接連絡を取り合うことに同意するよう求め、シリア政府がこれを承諾したとを明らかにした。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア軍によるダマスカス県ヤルムーク区への空爆に関して「パレスチナ難民キャンプの治安の責任はシリア当局にある」と述べるとともに、「パレスチナ人が受けている暴力は…国際法違反だ」と述べた。

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トルコの『ラディカル』(12月17日付)は、12月3日のロシアのウラジーミル・プーチン大統領のイスタンブール訪問時にレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が2013年第1四半期中のアサド大統領の退任とシリア革命反体制勢力国民連立への政権移譲を骨子とする紛争解決策を提示していた、と報じた。

同紙によると、この提案は、米国、ロシア、エジプト、カタール、国連の間で審議されているという。

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『ハヤート』(12月19日付)は、パトリオット・ミサイル配備のためNATOドイツ軍がトルコに到着した、と報じた。

AFP, December 17, 2012、al-Akhbar, December 17, 2012、Akhbar al-Sharq, December 17, 2012、al-Hayat, December 18, 2012, December 19, 2012、Kull-na Shuraka’, December 17, 2012、al-Kurdiya News, December 17, 2012、Naharnet, December 17, 2012、Reuters, December 17, 2012、SANA, December 17, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍がダマスカス県ヤルムーク区のパレスチナ難民居住区に対して初めての空爆を実施、シャルア副大統領「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している」(2012年12月16日)

国内の動き

ワーイル・ハルキー首相は、「テロとの戦いへの決着、武装テロ集団残党の殲滅に向けて、我らが武装部隊の犠牲と戦果を通じて断固且つ積極的に対処している」と述べた。

SANA(12月16日付)が報じた。

SANA, December 16, 2012
SANA, December 16, 2012

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ファールーク・シャルア副大統領は、『アフバール』(12月16日付)のインタビューに応じ、そのなかで政権も反体制武装勢力も現下の紛争を軍事的に決着することはできないだろう、と述べた。

12月14日に行われたインタビューで、シャルア副大統領はまた「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している…。解決は地域の主要諸国と国連安保理を含んだかたちでの歴史的関係正常化を通じてなされねばならない…。関係正常化はすべての暴力の停止、挙国一致内閣の発足が保障されねばならない」と付言した。

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アレッポ県では、SANA(12月16日付)によると、アレッポ市サビール地区などで、市民数百人がシリア軍支持、武装テロ集団の退去を訴えるデモを行った。

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SANA(12月16日付)は、シリア・イラン経済通商閣僚級会合が開かれ、シリア・イラン合同銀行開設、救急車両などの医療機器・物資のシリアへの供与などを合意したと報じた。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区のパレスチナ難民居住区に対して軍が初めて空爆を行った。

空爆は同地区内のバースィル病院周辺、ジャーウーナ地区に対して行われ、多数の死傷者が出たという。

またAFP(12月16日付)は住民の話として、アブドゥルカーディル・フサイニー・モスクが標的となり、多数が死傷したと報じた。

同モスクにはダマスカス県南部からの避難民約600人が避難していた。

またシリア人権監視団によると、ヤルムーク区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市周辺で、PFLP-GCの戦闘員とパレスチナ人を含む反体制武装勢力が、2日前から行われている、という。

『ハヤート』(12月17日付)によると、このほかハジャル・アスワド市、アサーリー地区に対しても空爆が行われた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ハラスター市、ズィヤービーヤ町、アルバイン市などで軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(12月16日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ハラスター市郊外、バイト・サフム市、ザマルカー町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、複数の反体制活動家によると、タウヒード旅団などがアレッポ市北部の歩兵学校の施設を制圧した、と発表した(未確認情報)。

シリア人権監視団によると、軍はアレッポ歩兵学校から完全撤退したが、周辺の検問所に部隊を展開させている、という。

また『ハヤート』(12月17日付)は、トルコの複数の高官の話として、シリア軍が国境地帯のアアザーズ市を空爆し、多数の住民がトルコ領内に避難したと報じた。

一方、SANA(12月16日付)によると、アターリブ市、アレッポ・イドリブ街道各所、フライターン市、アアザーズ市、アレッポ市アンサーリー地区、カーディー・アスカル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃・拠点攻撃を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月16日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(12月16日付)によると、ハルファーヤー市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月16日付)によると、ヒムス市郊外の石油パイプラインを反体制武装勢力が破壊した。

一方、ラスタン市では軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、タッルカラフ市では国境警備隊がレバノン領からの潜入を試みる反体制武装集団を撃退した。

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イドリブ県では、SANA(12月16日付)によると、ジスル・シュグール市郊外、サラーキブ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

アクス・サイル(12月16日付)は、自由シリア軍がダイル・ザウル市の政治治安部を完全制圧した(未確認情報)と発表した、と報じた。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、そのなかで3月14日勢力に対して「一部の人物(ハリーリー前首相)がダマスカス空港を経由して帰国するのを待つべきでない…。あなたたちが間違った計算をしているという事実にあなたたちの注意を向けたい…。2ヶ月でシリア政府が崩壊すると言っているが…、何も起きないまま2年が経った」と述べた。

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ナハールネット(12月16日付)は、ヒムス県タッルカラフ市での11月30日のシリア軍によるレバノン人イスラーム主義者要撃で殺害されたレバノン人の4人の遺体が新たにシリア当局からレバノン側に変換された。

パレスチナ人の動き

マフムード・アッバースPA大統領は声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区に対する空爆の「即時」停止を求めた。

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ハマースのイスマーイール・ハニーヤPA内閣は声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区に対する空爆に関して、キャンプ住民を標的とした空爆を非難、攻撃の停止を求めた。

諸外国の動き

スペイン地政学研究所のバラー・ミハイル研究員は、アサド政権崩壊が間近だとの宣伝を強化した最近の欧米諸国の指導者やメディアの言動・報道に関して、「クーデタか軍事介入、ないしはシリアの反体制勢力への外国からの兵站支援の激増がなければ、シリアの政権は崩壊し得ない」と否定した。

AFP(12月16日付)が報じた。

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イラン外務省は声明を出し、6項目からなるシリア危機解決案を発表しだ。

同解決案の骨子は以下の通り:

1. 国連監視下でのすべての暴力、武装活動の停止。
2. シリア国民への人道支援の配給。
3. 対シリア経済制裁の解除。
4. 新議会および制憲法議会の選挙実施を目的とした暫定政府樹立のための国民対話。
5. 大統領選挙後の政府、反体制武装勢力双方による政治犯の釈放。先導報道の停止。
6. 被害状況調査委員会の設置。復興。

AFP, December 16, 2012、al-Akhbar, December 16, 2012、Akhbar al-Sharq, December 16, 2012、‘Aks al-Sayr, December
16, 2012、al-Hayat, December 17, 2012, December 18, 2012、Kull-na Shuraka’, December 16, 2012、al-Kurdiya News, December 16, 2012、Naharnet, December 16, 2012、Reuters, December 16, 2012、SANA, December 16, 2012、UPI, December 16, 2012などをもとに作成。

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ムアッリム外相が国連人道問題担当事務次長と面会し「欧米諸国の制裁を非難し、その解除を求める」よう伝えるなか、民主的変革諸勢力国民調整諸委員会は民主統一党を除名したとの一部報道を否定(2012年12月15日)

シリア政府の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はシリアを訪問し、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(12月15日付)によると、会談でムアッリム大臣は、シリア国民の惨状は欧米諸国による経済制裁によるものだとしたうえで、「これらの国々の制裁を非難し、その解除を求める」よう伝えた。

SANA, December 15, 2012
SANA, December 15, 2012

一方、アモス副理事長は、ダマスカスの国連事務所がシリア政府との調整のもとに人道支援を継続すると伝えた、という。

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『リワー』(12月15日付)は、政権を離反したとされるジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官のもとに、アサド大統領がアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣を派遣したと報じた。

同報道によると、マクディスィー次官はベイルートに滞在している、という。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍とパレスチナ人民兵が反体制武装勢力と交戦した。

またカダム区では、2度爆発があり、ヤルムーク区とバルザ区では砲撃があった。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バイト・サフム市、ムウダミーヤト・シャーム市を軍が空爆・砲撃した。

またダーライヤー市に軍の増援部隊が派遣された。

一方、SANA(12月15日付)によると、ズィヤービーヤ町、フジャイラ村、フサイニーヤ町などで、軍が反体制武装勢力を追撃、ダーライヤー市、ハラスター市などで特殊作戦を実施、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(12月15日付)によると、ムスリミーヤ村、アナダーン市、ズィルバ村、アアザーズ市、アレッポ市スッカリー地区、シャイフ・ルトフィー地区、マルジャ地区、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

タウヒード旅団は、アレッポ市北部の士官学校攻撃に参加していた司令官の一人アブー・フラート(ユーズフ・ジャーディル大佐)が死亡した、と発表した。

アブー・フラートは離反前は機甲師団の司令官を務め、離反後アレッポ市サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区などでの破壊工作(解放作戦)に参加していた。

AFP(12月15日付)が報じた。

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ハマー県では、SANA(12月15日付)によると、サラミーヤ市郊外で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市が軍の空爆を受けた。

一方、SANA(12月15日付)によると、ラスタン市で、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

反体制武装勢力の動き

AFP(12月15日付)によると、アブドゥー・フサームッディーン元石油資源省次官が記者会見を開き、アンマンでシリア国家機関就労者自由国民連合なる組織の発足が宣言された。

フサームッディーン元石油資源省次官によると、同連合は、体制崩壊時に約150万人に達すると推計される公務員を保護することを目的とし、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相を議長とし、本部をドーハに設置する、という。

発足会合では、元公務員約30人とシリア革命反体制勢力国民連立のメンバーが参加した、という。

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民主的変革諸勢力国民調整諸委員会は声明を出し、ハイサム・マンナーア在外局長と民主統一党を除名したとの一部報道を否定した。

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ヨルダンのサラフィー主義武装集団の指導者アビー・ムハンマド・タフターウィーは、ダマスカス県カフルスーサ区の内務省施設を狙った連続爆弾テロの実行犯の葬儀(ヨルダンのブクア・キャンプで実施)で、シャームの民のヌスラ戦線に、「進め。汝らはアッラーとともにある…。ヌスラ戦線はシャームを解放し、そこからテルアビブの中心部に進軍する」と述べ、イスラエルへの攻撃を呼びかけた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(12月15日付)は、シリア・クルド国民評議会を構成する4党がクルド民主政治連合を発足したと報じた。

シリア・クルド民主政治連合は、シリア・クルド民主党(アル・パールティ)アブドゥルハキーム・バッシャール派、シリア・クルド・イェキーティー党、シリア・クルド・アーザーディー党ムスタファー・ジュムア派、同ムスタファー・ウースー派からなる。

発足声明を発表したシリア・クルド・イェキーティー党のイスマーイール・ハンムーによると、連合の結成は、統一政党発足のための移行段階に過ぎない、という。

レバノンの動き

ナジーブ・ミーカーティー首相は、シリア司法当局によるとサアド・ハリーリー前首相とウカーブ・サクル国民議会議員への逮捕状発行に関して、「政治的であり法的に無効」だと述べた。

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NNA(12月15日付)は、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア領から迫撃・銃撃があり、住民が一時避難したと報じた。

パレスチナ人の動き

シリアの複数の反体制活動家とパレスチナ筋によると、PFLP-GCのアフマド・ジブリール書記長が息子とともにダマスカス県ヤルムーク区からタルトゥース市に避難した。

ロイター通信(12月15日付)が報じた。

諸外国の動き

イラン学生通信(12月15日付)は、イラン軍のハサン・フェイルーズ・アバーディー参謀長がNATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備に関して、「世界大戦をもたらし得る」と批判した、と報じた。

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NATOのジェームス・スタビリディス欧州軍最高司令官のは、「数日前、シリア領内で政府によりスカッド・ミサイルが反体制武装勢力を標的として発射され、数発がトルコ国境から非常に近い場所に着弾した。これは非常に懸念すべき事態だ」と述べた。

そのうえで「シリアは混沌とした危機的状況になる。しかし我々は、NATO加盟国国境の防衛を毅然と行わねばならない」と述べ、スカッド・ミサイルの着弾をパトリオット・ミサイル配備と結びつけようとした。

AFP, December 15, 2012、Akhbar al-Sharq, December 15, 2012、al-Hayat, December 16, 2012、Kull-na Shuraka’, December 15, 2012、al-Kurdiya News,
December 15, 2012、al-Liwa’, December 15, 2012、Naharnet, December 15, 2012、NNA, December 15, 2012、Reuters,
December 15, 2012、SANA, December 15, 2012、UPI, December 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

在内野党・反体制派からなるシリア平和的変革勢力連立の使節団がモスクワを訪問し露外相と会談するなか、民主的変革諸勢力国民調整委員会がハイサム・マンナーア在外局長と民主統一党の除名を決定(2012年12月14日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市・サラーキブ市間に位置するズィルバ村にある軍運営学科で、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

この戦闘により、反体制勢力の戦闘員9人と軍兵士8人が死亡した、という。

al-Hayat, December 15, 2012
al-Hayat, December 15, 2012

一方、SANA(12月14日付)によると、サフィーラ市、ムスリミーヤ村、ハンダラート・キャンプ、アレッポ市スッカリー地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市および周辺の村々が軍の砲撃を受け、ワーディー・ダイイフ基地周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月14日付)によると、マアッルバリート村、ハーッス村、マアッラト・ヌウマーン市郊外、ヤアクービーヤ村などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(12月14日付)によると、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、シャブアー町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(12月14日付)によると、ダイル・ザウル市労働者住宅地区、ブーサラヤー地区、ジュバイラ地区、マリーイーヤ村、ヒサーン村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなどを殺傷した。

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ハサカ県では、SANA(12月14日付)によると、ハサカ市西部で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス市では、SANA(12月14日付)によると、ラスタン市、タルビーサ市郊外で、軍が反体制武装勢力の拠点に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

また国境警備隊がレバノン領からの潜入を試みる戦闘員を撃退した。

シリア政府の動き

シリア国内で活動する与野党・反体制組織からなるシリア平和的変革勢力連立の使節団がモスクワを訪問し、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

SANA, December 14, 2012
SANA, December 14, 2012

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使節団には、団長のカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣(人民意思党、変革解放人民戦線)のほか、ファーティフ・ジャームース(平和的変革の道潮流)、ターリク・アフマド(シリア民族社会党)、マーズィン・ビラール(世俗民主主義潮流)らが参加した。

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ロシア外務省によると、会談において、両者はジュネーブでの合意(2012年6月)に沿って、即時暴力停止と、政治プロセスを通じた早急な転換を進める必要があるとの認識で一致した。

またRT(12月14日付)によると、ロシア外務省は、ジャミール副首相を「国内の野党を象徴する一人」として迎えた。

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ジャミール副首相は、会談後の記者会見で、外国の介入拒否と暴力停止という姿勢に依拠し、国民対話を通じた平和的解決のみが、シリアの危機解決の唯一の解決策だと述べた。

また在外の反体制勢力が外国による内政干渉を招いていると批判した。

一方、米国がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表」と承認したことに関しては、「民主主義の基礎、シリア国民の自決権への打撃」と非難した。

また米国がシャームの民のヌスラ戦線をテロ組織に指定したことについては、「この問題をめぐる米国との関係の経験を踏まえると、米国を信用できない。なぜならシリアの武装集団は西側から命令と支援を受けているからだ…。またなぜヌスラ戦線だけを(テロ組織の)リストに加えたのか…と感じる。彼ら(西側)は、ヌスラ戦線を口実にシリアの内政に干渉しようとしている」と主張した。

反体制勢力の動き

Elaph.com(12月14日付)などによると、反体制活動家がSNSなどを通じて「シリアでのテロに反対、アサドのテロに反対」と銘打ったデモの実施を呼びかけた。

『ハヤート』(12月15日付)はフェイスブックなどの情報をもとに、イドリブ県カフルナブル市などでシャームの民のヌスラ戦線との連帯を訴えるデモが発生したと報じた。

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ロイター通信(12月14日付)は、イドリブ県ジスル・シュグール市にあるシーア派のモスク、フサイニーヤ・モスクが反体制武装勢力によって焼き討ちにされる映像がインターネット上にアップされた、と報じた。

同報道によると、映像は13日にユーチューブにアップされたが、事実確認は取れていないという。

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Elaph.com(12月14日付)は、マフムード・マルイー弁護士の話として、カイロで12月20日に予定されている民主的変革諸勢力国民調整委員会の中央評議会会合で、執行委員会の改選、組織の再編を行うとともに、ハイサム・マンナーア在外局長と民主統一党を除名する、と報じた。

マンナーアと民主統一党の除名は「革命とシリアの街頭の立場との調和」を目的としている、という。

執行委員会メンバーでもあるマルイーによると、民主的変革諸勢力国民委員会は現在、執行委員会メンバーの多くがカイロに逃れており、主要な活動拠点も同地にあるという。

カイロに逃れたメンバーとしては、マルイーの他、マイス・ウライディー、マンスール・アタースィー、アブドゥッラフマーン・ハリーファ、ザカリヤー・サッカール、リーム・ファルハ、シュクリー・マハーミード(以上執行委員会メンバ-)、ムフイーッディーン・ハブーシュ(中央評議会メンバー)、マアムーン・ハリーファ(欧州支部書記長)などがいる。

またマルイーは、一部のメンバーが民主的変革諸勢力国民調整委員会の組織名を勝手に使用している、と述べた。

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シリア人権監視団によると、2012年3月以降の死者数が、43,088人に達したと発表した。うち30,195人が民間人、1,450人が離反兵、10,751人が軍兵士、だという。

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自由シリア軍参謀委員会を発足した反体制武装勢力は「シリア・アラブ共和国最高軍事司令評議会」の名で声明を出し、12月8日にトルコのハタイ県アンタキア市で開催された会合の詳細を発表した。

同声明の内容は以下の通り:

  • 550人以上の軍事評議会指導者、革命評議会指導者、各旅団・大隊指導者が出席。
  • 「革命勢力委員会」を設置し、261人の委員を選出。
  • 「最高軍事司令評議会」を設置し、5つの戦線(地区)から6人ずつの合計30人(士官19人、民間人革命家11人)を評議員に選出。
  • 5つの戦線から10人(軍人5人、民間人5人)を評議会副議長(副参謀長)に選出。
  • 評議会議長(参謀長)のもとに5つの戦線を統括する部局およびその長、武装委員会、財務委員会を設置。
  • その下に各県の革命評議会を配置。
  • 最後に、シリア・アラブ共和国の最高軍事権威、国防大臣である評議会議長(参謀長)を選出。

最高軍事司令部評議会メンバーは以下の通り:

1. 東部地区
ズィヤード・ハーッジ・ウバイド空軍大佐
アドナーン・ムハンマド・カウカブ中佐
ラーギブ・バシール・トゥウマ
ヤルマズ・サイード
ファラジュ・ハンムード・ラファジュ
ウマル・ダーダー

2. 北部地区
アフマド・イーサー・シャイフ
ムスタファー・アブドゥルカリーム
ジャマール・ハーリド・マアルーフ
アブドゥルジャッバール・アカイディー大佐
マフナー・ジャファーラ
アフマド・ウバイド

3. ヒムス地区
カースィム・サアドッディーン空軍大佐
ラーミー・ダーラーティー
アブドゥルハリーム・ガンヌーム少佐
イヤード・ジュムア
ムンズィル・アフマド・サッラース
アブドゥッラフマーン・スワイス大佐

4. 西部・中部地区
アブドゥルマジード・ドゥバイス准将
マーズィン・クナイフディー少佐
カマール・ハマーミー
フザイファ・ムスタファー・シャグリー
ユースフ・ムハンマド・ハサン
サアドゥッディーン・ハーシミー

5. 南部地区
ザフラーン・アッルーシュ
ハーリド・フサイン・アルヌース
ハーリド・ムハンマド・ハウラーニー大佐
ファーディー・サアド・アースィミー
アブドゥッラー・リファーイー大佐
イブラーヒーム・トゥーシー

参謀長は以下の通り:

サリーム・イドリース

副参謀長は以下の通り:

1. ヒムス地区
ファーティフ・ハッスーン大佐
ウサーマ・サーイフ・ジュナイディー

2. 東部地区
ムハンマド・アッブード中佐
サッダーム・ジャマル

3. 西部・中部地区
ムスタファー・ハーシム大佐
アブドゥルファッターフ・ウルーブ

4. 北部地区
アブドゥルバースィト・タウィール大佐
アブドゥルカーディル・サーリフ

5. 南部地区
ズィヤード・ファフド准将
バッシャール・アワド・ズウビー

部局およびその長は以下の通り:

1. ヒムス戦線
アブドゥッラー・バフブーフ大尉(作戦課長)
ウマル・シャムスィー中尉、ザカリヤー・ターハー(諜報課長)
アクラマ・バックール大尉(兵站装備課長)
アフマド・アブドゥッラフマーン・ハマウィー(事務財務課長)
ハーリド・バッカール(暫定法務課長)
ガーニム・サアドゥッディーン(暫定法務課長)

2. 東部戦線
ラーギブ・ハマド大佐(作戦課長)
ウマル・トゥラード少佐(諜報課長)
ウサーマ・ジャースィム少佐(兵站装備課長)
ムスタファー・イブラーヒーム中佐(事務財務課長)
アフマド・アーイド・ハルフ大佐(暫定法務課長)

3. 北部戦線
フサイン・アカイディー准将(作戦課長)
アリー・ザイン中佐(諜報課長)
ムハンマド・ムスタファー・バックール(兵站装備課長)
ファドル・ハッジー大佐(事務財務課長)
アブドゥッラフマーン・ハサン准将(暫定法務課長)

4. 南部戦線
マジード・サイイド・アフマド中佐(作戦課長)
ジャワード・サイード少佐(諜報課長)
アフマド・ナーイフ・フサイン少佐(兵站装備課長)
マズィード・ダッハーン少佐(事務財務課長)
ムハンマド・ワズィール(暫定法務課長)

5. 西部・中部前線
バースィル・スィルウ少佐(作戦課長)
マナール・シャムスィー(兵站装備課長)
マーヒル・ナッバハーン大佐(事務財務課長)
アブドゥッラッザーク・フライジャ(暫定法務課長)
ムハンマド・アワド大佐(諜報課長)

武装委員会は以下の通り:

1. 北部戦線
アブドゥルジャッバール・アカイディー大佐
ジャマール・マアルーフ

2. 東部戦線
ズィヤード・ハーッジ・ウバイド大佐
ファラジュ・ハンムード・ファラジュ

3. 西部・中部戦線
フザイファ・ムスタファー・シャグリー
ユースフ・ハサン

4. ヒムス戦線
カースィム・サアドッディーン大佐
アブドゥルハリーム・ガンヌーム少佐

5. 南部戦線
アブドゥッラー・リファーイー大佐
ハーリド・アルハウラーニー大佐

財務委員会は以下の通り:

1. 北部戦線
アフマド・ウバイド
アフマド・イーサー・アブー・イーサー

2. 東部戦線
ラーギブ・トゥウマ
アドナーン・カウカブ中佐

3. 西部・中部戦線
カマール・ハマーミー
サアドッディーン・ハーシミー

4. ヒムス戦線
ムンズィル・アフマド・サッラース
ラーミー・ダーラーティー

5. 南部戦線
ハーリド・アルヌース
ファーディー・アースィミー

諸外国の動き

ロシア外務省は声明を出し、ミハイル・ボクダノフ外務副大臣が「政府はますます支配を失いつつある」と述べたとの国内外報道に関して、そうした発言は行われなかったと否定した。

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ロシア外務省報道官は、モスクワで記者会見を開き、「我々は自らの立場を変えることはなかったし、今後も変えることはないだろう」と述べた。

またNATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備が紛争の政治的解決を促さないと批判した。

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RT(12月14日付)は、ブラジルのデルマ・ロセフ首相がモスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談、ロシアの対シリア政策への全面支持を表明した。

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SANA(12月14日付)によると、中国外交部報道官は、シリア情勢に関して、公正かつ平和的な解決のため、シリア国民の主導のもと政治的移行プロセスを推し進める必要があり、そのために国際社会が建設的な支援を行うべき、と述べた。

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米国防総省報道官は、レオン・パネッタ国防長官がパトリオット・ミサイル発射台2基と兵士400人をトルコ軍支援のために派遣する文書に署名した、と発表した。

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ドイツの国会は、トルコにパトリオット・ミサイル発射台2基と兵士400人を派遣することを承認した。

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デヴィッド・キャメロン英首相は、「アサド大統領に、あらゆる選択肢が用意されている、という曖昧さのないメッセージを向けたい…。シリアでの移行プロセスが可能な限り早急に行われるよう反体制勢力と協力したい」と述べた。

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イスラーム諸国会議機構(OIC)のエクメレッディン・イフサン・オグル事務局長は、シャームの民のヌスラ戦線に関して、「イスラームを主唱する者すべてがイスラームを代表していない」と述べた。

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イラク移民避難民省高官は『ハヤート』(12月15日付)に対して、国連難民高等弁務官事務所とは別に、イラクが単独でシリア人避難民に滞在許可を付与することは不可能だ、と述べた。

AFP, December 14, 2012、Akhbar al-Sharq, December 14, 2012、Elaph.com, December 14, 2012、al-Hayat, December 15, 2012、Kull-na Shuraka’, December 14, 2012, December 15, 2012、al-Kurdiya News, December 14, 2012、Naharnet, December 14, 2012、Reuters, December 14, 2012、SANA, December 14, 2012などをもとに作成。

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ラアス・アイン市で人民防衛隊と自由シリア軍が交戦、シリア外務省高官は軍が反体制勢力にスカッド・ミサイルを使用したとの報道を否定(2012年12月13日)

国内の暴力

ダマスカス県では、SANA(12月13日付)によると、カタナー市で早朝、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、子供7人を含む16人が死亡、20人以上が負傷した。

同報道によると、爆発は、カナター市の住宅街ラアス・ナブア地区のミハイル・スィムアーン学校前で発生した。

またジュダイダト・ファドル町でも、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、女性3人、子供2人を含む8人が死亡、30人以上が負傷した。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月13日付)によると、ジャウバル区で反体制武装勢力が家族を襲撃し、母親が死亡、子供2人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月13日付)によると、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町などで、軍が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(12月13日付)によると、ラアス・アイン市ダウワール・ハサカ地区で、民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍が交戦し、後者の軍事評議会メンバー1人と使徒末裔大隊の戦闘員1人が死亡、5人が負傷したと報じた。

民主統一党はこの戦闘で人民防衛隊に死傷者は出なかったとしているが、複数の目撃者によると隊員2人が負傷した、という。

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アレッポ県では、SANA(12月13日付)によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区、フライターン市、マアーッラト・アルティーク村、ヤーキド・アダス村、ダーラ・イッザ市、ハンダラート・キャンプ、ムスリミーヤ村、などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、タウヒード旅団メンバーや外国人戦闘員などを含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(12月13日付)によると、反体制武装勢力がヒムス市郊外のジャンダル街道で労働者が乗ったバスを襲撃、多数が負傷した。

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ハマー県では、SANA(12月13日付)によると、サラミーヤ地方で、灯油を積んだ貨物車が反体制武装勢力に襲撃された。

反体制勢力の動き

UPI(12月13日付)は、ヨルダンのサラフィー主義潮流の発表として、シャームの民のヌスラ戦線におけるムジャーヒドゥーン・シューラー評議会およびシャリーア委員会が、アブー・アナス・サハーバをアミールに任命することを決定した、と報じた。

サハーバはヨルダンのザルカー市出身。

なおサハーバの前任のアミール、アブー・ジュライビード・トゥーバースィーもザルカー市出身で、イラクのアル=カーイダ機構のアブー・ムスアブ・ザルカーウィーの姉妹の夫だという。

アミール交代の理由、トゥーバースィーの消息について、ヨルダンのサラフィー主義潮流は明らかにしていない。

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『ワタン』(12月13日付)は、12日にダマスカス県カフルシューバー地区の内務省施設を狙った連続爆破事件がムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣を狙った暗殺テロだったと報じた。

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ダマスカス県カフルスーサ区での12日の連続爆弾テロに関して、シャームの民のヌスラ戦線はフェイスブック(12月13日付)で声明を出し、戦線メンバー2人による自爆攻撃だったと犯行を認めるともに、休憩施設で休憩中だったムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣を狙ったと発表した。

この自爆テロおよびその後の交戦で多数の治安要員と「シャッビーハ」を殺害したと戦果を鼓舞したもの、シャッアール内務大臣を殺害したとは宣言しなかった。

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AFP(12月13日付)は、スペイン空軍の元士官のルイス・モナーズなる人物が、同国の経済危機を受けて、シリアに入国し、反体制武装勢力の教練を行っていると報じた。

AFPの取材に対して、モナーズは「私は傭兵ではない」としたうえでシリアに入国したのが「無抵抗の子供が殺される映像に我慢できなかった」と述べた。

モナーズは2度シリアに入国、一度目は自費でイドリブ県、アレッポ県に入り、二度目は在外シリア人の援助を受け、ファールーク大隊と接触したという。

モナーズによると、彼が教練した戦闘員はシリア人だけで、誰も戦死しておらず、教練を通じて、10代前半の子供たちとも交流したという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、ロイター通信(12月13日付)とのインタビュー(12日)に応じ、反体制武装勢力(シャームの民のヌスラ戦線など)がダマスカス周辺に進軍するなかで、シリア国民は外国の軍隊の介入を必要としなくなった、と述べた。

またシリアでのイスラーム主義過激派の台頭に関して、国際社会および地域の諸勢力に責任があると非難した。

一方、ハティーブ議長は、アサド大統領が権力移譲と出国の提案をしてくれば検討する、と述べたが、そうした提案はなされていない、という。

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ザマーン・ワスル(12月13日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立が近くトルコのイスタンブールにも事務所を設置すると報じた。

事務所設置はカイロ(本部)に続く動きで、アブドゥー・フサームッディーン元石油鉱物資源省次官が所長に就任する見込みだという。

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シリア人権機構Mafは声明を出し、反体制人権活動家のズハイル・ブーシュがカイロで何者かに暗殺された、と発表した。

国内の動き(アサド政権の動き)

カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は、イタルタス通信(12月13日付)に対して、シリア国内で活動する反体制勢力・野党は、シリアの友連絡グループの出席者を「シリアの敵」とみなしている、と述べた。

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SANA(12月13日付)は、シリア外務在外居住者省の高官の話として、シリア領内で反体制勢力への攻撃のために軍が10日にスカッド・ミサイルを使用したとの欧米諸国の報道が、国際社会におけるシリアのイメージと地位を貶めようとする噂に過ぎない、と否定した。

同高官によると、スカッド・ミサイルは長距離ミサイルで、武装テロ集団の攻撃には使用されない、と付言した。

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シリア民族社会党のナズィール・ウズマ政治局長が声明を出し、12日のダマスカス県カフルスーサ区の内務省施設に対する爆弾テロで、党政治局メンバーで人民議会議員のアブドゥッラー・カイルーズが死亡した、と発表した。

カイルーズは、アレッポ市選挙区B部門選出の人民議会議員。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、『インディペンデント』(12月13日付)に対して、米国をはじめとする国々(シリアの友連絡グループ会合参加国)がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表」と承認したことに関して、「現地情勢を変えるものではなく、いかなる成果も実現できない武装テロ集団を後押しすることを目的にしている」と非難した。

**

アサド大統領は、アブドゥルカリーム・ハリールの任期終了を受け、ハーラ・ガザールをシリア投資委員会総裁に任命した。

**

シリアン・デイズ(12月13日付)は、シリア証券委員会消息筋の話として、ムハンマド・ラーディブ・シャッラーフの任期終了を受け、シリア商業銀行頭取のガッサーン・カッラーウがダマスカス証券市場運営委員会議長に就任した、と報じた。

諸外国の動き

シリア軍が10日に反体制武装勢力の攻撃にスカッド・ミサイルを使用したとの欧米メディアの報道に関して、ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、そうした情報をつかんでいないとしたうえで、「もし(報道が)本当だとしたら、無実の人々の命を軽視した…絶望的な行動だ」と述べた。

**

ロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣は「反体制勢力の勝利に備えるかどうかだが、もちろん、そうした可能性は排除されない。現実を見なければならない。こうしたかたちで進む動きがある…。政府はますます支配を失いつつある」と述べた。

RT(12月13日付)によると、ボクダノフ外務副大臣はまた「彼ら(反体制武装勢力)は勝利が近い、アレッポ制圧間近だ、ダマスカス制圧間近だ、と言っている…。諸外国による反体制勢力の承認、戦闘員の教練、武器支援は、彼らにとって天啓のようなものだ」と付言した。

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ロシアのヴァレリー・ゲラシモフ参謀長は、「シリアの紛争解決が第3者の介入や武力行使を経ない、当事者どうしのみによってのみ可能だと強く確信している」と述べた。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、アサド政権の「崩壊は近い。時間の問題だ」と述べた。

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オーストリア外務省は、モロッコ(マラケシュ)でのシリアの友連絡グループ会合の議長総括で、議長国のモロッコがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表と承認した」と発表したことに関して、「すべての参加国が採用した決定ではない。議長国による声明だ」と述べ、オーストリア政府が来週月曜日(12月17日)のEUの会合での方針に準じるとの姿勢を示した。

AFP, December 13, 2012、Akhbar al-Sharq, December 13, 2012、al-Hayat, December 13, 2012, December 14, 2012、The Independent, December 13, 2012、Kull-na Shuraka’, December 13, 2012、al-Kurdiya News, December 13, 2012、Naharnet, December 13, 2012、Reuters, December 13, 2012、SANA, December 13, 2012、Syrian Days, December 13, 2012、UPI, December 13, 2012、al-Watan, December 13, 2012、Zaman al-Wasl, December 13, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアの友連絡グループ会合がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認するなか、自由シリア軍アレッポ軍事評議会議長は米国によるヌスラ戦線のテロ組織指定に遺憾の意を示す(2012年12月12日)

シリアの友連絡グループ会合

モロッコのマラケシュでシリアの友連絡グループ会合(第4回閣僚級会合)が開催され、130カ国が参加、議長総括でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」と承認した。

al-Hayat, December 13, 2012
al-Hayat, December 13, 2012

閉幕時に発表された声明で、「参加者はシリア国民連立をシリア国民の正統な代表として承認する」と明言された。

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会合では、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣が、シリア革命反体制勢力国民連立が統一指導部を結成することが「希望の光」になるとしたうえで、1億ドルを反体制勢力に支援すると発表した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、アサド政権に関して「すでに終わっている」としたうえで、国際社会に対して停戦を科し、政権移譲を保障するよう求めた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、「現在のキーポイントは(シリア革命反体制勢力国民連立が)さらなる支援を得ることだ」としつつ、「我々の支援は武器以外の人道支援に集中するだろう」と述べた。

そのうえでアサド政権に退陣を呼びかけた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、会合前に記者団に対して、「現時点で、我々は行動しないことを決めた」と述べ、反体制勢力への武器支援を行わない意思を示した。

また、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定に関しては、「ジハード主義者がこのメカニズム(シリアへの将来の武器禁輸緩和措置)に加わる余地はない。これに関して、ヌスラ戦線がテロ組織に指定された今、さらなる議論を行う必要がある」と述べた。

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米国のウィリアム・バーンズ国務副長官は、4000万ドルの支援をシリア国民に対して行うと発表した。

ヒラリー・クリントン米国務長官は体調不良により会合を欠席した。

**

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、アラウィー派に対してアサド政権に対する市民的不服従を呼びかけた。

また、イランとヒズブッラーに対して、アサド政権への支持を止めるよう求めた。

一方、オバマ米大統領によるバラク・オバマ米大統領がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表だと考えることに決めた」と発言したことに謝意を示した。

しかし、ハティーブ議長は、シリアの友連絡グループ会合で、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定を再考するよう求め、シリア国内の「テロ」を支持する姿勢を示した。

ハティーブ議長は「一部の政党と、思想、政治的・イデオロギー的ビジョンの違いがあるが、反体制武装勢力の武装はシリアの体制を打倒することが目的であることは疑う余地がない」と述べた。

そのうえで「体制と戦う組織の一つをテロ組織とみなす決定は再検討の必要があり…、革命家の銃はすべて犯罪を犯す体制を打倒することを目的としている」と強調した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍アレッポ軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はAFP(12月12日付)に対して、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定に遺憾の意を示した。

アカイディー大佐は「この決定は残念だ。ヌスラ戦線は、非難されるべき何らの違法行為も、我々とともに戦う外国および外国勢力には行っていない」と述べ、自由シリア軍が「外国勢力」に依存している事実を明らかにした。

また「(米国は)シリア政府高官をテロ組織のリストに加えるべきだ」と付言した。

**

シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、米国によるシャームの民のヌスラ戦線のテロ組織指定を非難した。

声明で、シリア・ムスリム同胞団は、「一部の国がシリア国内で活動する革命勢力をテロ組織のカテゴリーに含めた暴挙を、性急で、誤った、非難されるべき措置だとみなす…。自由と人間の尊厳をめざす計画を支援することに矛盾している」と述べた。

また「テロ非難は国際社会の公式なコンセンサスがなされるべき」と述べ、米国の単独行動を非難した。

しかし、国連の承認を得ていないシリア革命反体制勢力国民連立が欧米諸国によって「シリア国民の正統な代表」として承認されることには何らの疑義も呈さなかった。

国内の暴力

ダマスカス県では、カフルスーサ区の内務省施設前で爆弾が連続して爆発し、民間人と内務省職員5人が死亡、23人が負傷した。

SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012
SANA, December 12, 2012

内務省が発表した声明によると、爆発は午後5時半頃に3回起き、最初の2回は時限爆弾、3回目は約200キロの爆発物が仕掛けられた車の爆発によるものだったという。

SANA(12月12日付)が報じた。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月12日付)によると、マッザ86地区で、反体制武装勢力がセルヴィスに仕掛けた爆弾が爆発し、子供1人と女性2人の合わせて3人が死亡、8人が負傷した。

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同じくダマスカス県では、SANA(12月12日付)によると、カナワート区の裁判所裏で2大の車に仕掛けられた爆弾が連続して爆発し、1人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月12日付)によると、ジャルマーナー市内で、即席爆弾2発が連続して爆発し、市民1人が死亡、4人が負傷した。SANA(12月12日付)が報じた。

またダーライヤー市、アクラバー村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊、爆発物などを押収した。

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アレッポ県では、SANA(12月12日付)によると、軍がハンダラート・キャンプ、フライターン市、カブターン・ジャバル村、カフルダーイル村、サフィール市、タッル・ラッハール村、ダーラ・イッザ市、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、旧市街、ライラムーン地区などで反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷し、装備を破壊した。

またアレッポ市、ニール通りおよびカルアジー病院・スーク・マハッリー交差点を反体制武装勢力が迫撃砲で攻撃し、子供数名を含む市民9人が死亡、多数が負傷した。この攻撃を受け、治安部隊が展開し、武装勢力と交戦、追撃したという。

SANA(12月12日付)は、軍が市民の往来を妨害していた反体制武装勢力を殲滅したことで、アレッポ国際空港への高速道路が「通常通りの運用」を回復した、と報じた。

**

ハマー県では、シリア人権監視団が、11日晩にアクラブ町でアラウィー派住民が襲撃されたと発表した。

同監視団によると、「もっとも可能性が高いシナリオは、反体制武装勢力がアクラブ町に居住するアラウィー派の複数の家族に退去を求め、スンナ派の宗教関係者と退役軍人からなる代表がアラウィー派住民に退去するよう説得しに行った」のだという。

退去の理由は定かでない。

しかし交渉が行われているさなか、反体制武装勢力とアラウィー派住民が住む住居にいた武装集団が交戦、複数回の爆発が起き、9人が死亡、百人以上が負傷した、という。

犠牲者の内訳は、アラウィー派6人、反体制武装勢力戦闘員2人、スンナ派宗教関係者1人。

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ヒムス県では、SANA(12月12日付)によると、ラスタン市、タルビーサ市、タッルドゥー市、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

**

イドリブ県では、SANA(12月12日付)によると、サルジャ村、ハーン・スブル村、サラーキブ市などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺害した。

またジスル・シュグール市郊外で軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃、ハーミディーヤ市、マアッラト・ヌウマーン市、アリーハー市で反体制武装勢力の追撃を行った。

レバノンの動き

サアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「アサドは人道的・政治的倫理を欠いた獣だ」と罵倒、「暗殺やテロの計画に参加したかどでレバノンの法廷に出廷することなるだろう」と述べた。

しかしハリーリー前首相は2008年、父であるラフィーク・ハリーリー元首相暗殺にシリアが関与したとの主張を取り下げていた。

**

シリアのムハンマド・マルワーン・ルージー・ダマスカス第一検事長は、サアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル国民議会議員への逮捕状発行に関して、両名の身柄がシリア当局に引き渡されなければ、「国際法違反」だと述べた。SANA(12月12日付)が報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、バラク・オバマ米大統領がシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表だと考えることに決めた」と発言したことに関して、「非常に驚いた…。米国がこの連立を武装化することでの勝利に賭けることを決めた、と我々は結論するに至っている」と非難した。

ラブロフ外務大臣はまた、オバマ米大統領の発言がジュネーブ会議での合意に反していると付言した。

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ギリシャ外務省は声明を出し、アテネのシリア大使館に対して、シリア人外交官2人の退去を要請したと発表した。

同要請は11日に行われたという。

AFP, December 12, 2012、Akhbar al-Sharq, December 12, 2012, December 13, 2012、al-Hayat, December 13, 2012、Kull-na Shuraka’, December 12, 2012、al-Kurdiya News,
December 12, 2012、Naharnet, December 12, 2012、Reuters, December 12, 2012、SANA,
December 12, 2012などをもとに作成。

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米国がヌスラ戦線を「テロ組織」に認定しつつシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表」として承認、民主統一党も同連立との交渉に加わる意思を示す(2012年12月11日)

米国の動き

ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は記者会見を開き、外国テロ組織(FTO)およびイラクのアル=カーイダに関する大統領令第13224号(2004年10月15日)を修正し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを「イラクのアル=カーイダの新たな別称(new alias)」に加え、「テロ組織」に追加認定する、と発表した。

ヌーランド報道官によると、ヌスラ戦線は2011年11月以降、40件以上の自爆攻撃を含む約600件のテロ攻撃をシリア各地で行っている。

これらの攻撃において、ヌスラ戦線は自らを「合法的なシリアの反体制勢力」と位置づけようとしているが、実際にはイラクのアル=カーイダがシリア国民の闘争を「ハイジャック」しようと試みている、と指摘した。

また暴力的で宗派主義的なヌスラ戦線のヴィジョンは、大多数の反体制勢力を含むシリア国民の意思に反しており、アサド後のシリアにおいて、過激主義とテロのイデオロギーは居場所はないと断じ、すべての責任あるシリア人に、アル=カーイダをはじめとする過激派に対して声高に拒否の姿勢を示すよう呼びかけた。

なおアサド政権については、「国民に対する力の行使を選択したことで、アル=カーイダの暴力的な過激派を引き込む環境を作り出した」と非難、アサド後のシリアに向けた政治的転換が始まれば、シリア国民と中東にとって事態は好転するだろう、と述べた。

http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2012/12/201759.htm

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『ハヤート』(2012月12月12日付)は、米高官の話として、シャームの民のヌスラ戦線の「テロ組織」認定は、「シリアの反体制武装勢力における過激でない勢力」の武装支援を促すだろう、と報じ、この動きがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民に正統な代表と承認」する準備とみなした。

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レオン・パネッタ米国務長官は、「この方面において敵対的な措置がとられていることを新たに示すものはない」と述べ、アサド政権が化学兵器使用を準備している動きが現在のところ見られないと述べた。

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バラク・オバマ米大統領はABC(12月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認することを決定したと発言した。

バーバラ・ウォルターズとの対談でオバマ大統領は、「シリアの反体制派の連立は充分包括的で、シリア国民を十分反映・代表しており、彼らがアサド政権に反対するシリア国民の正統な代表だと考えることを決心した」と述べた。

またオバマ大統領は「承認が責任を伴うことは明らかだ…。彼らが自らを効果的に組織し、すべての組織の代表となり、女性やマイノリティの権利を尊重する政治的転換にコミットすると確かめたい」と付言した。

http://abcnews.go.com/Politics/OTUS/exclusive-president-obama-recognizes-syrian-opposition-group/story?id=17936599

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ABC(12月11日付)は、オバマ政権高官が「大統領は将来の武器供与を決して排除していない」としつつ、「武器供与は政治的解決を促すかたちでなされねばならない」と述べ、米国がシリアの反体制勢力への武器供与に依然として慎重である、と報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市北部のムスリミーヤ村にある砲兵学校周辺で、軍と反体制武装勢力の交戦が続いた。

同砲兵学校には約3000人の軍兵士が駐留しており、2週間前から反体制武装勢力が包囲しているが、制圧は「きわめて困難で、数千人の戦闘員を要する」という。

またアレッポ市内では、ブスターン・バーシャー地区で軍が攻撃を強めており、バーブ街道地区では市民7人が何者かに殺害された、という。

さらにシリア人権監視団は、声明を出し、アレッポ市郊外のシャイフ・スライマーン軍事基地を制圧したシャームの民のヌスラ戦線、ムハージリーン大隊、ムジャーヒディーン・シューラー評議会が、シャイフ・スライマーン地区の科学センター・貯蔵庫の制圧を完了した、と発表した。

制圧に際して、激しい戦闘が起き、軍の兵士35人が殺害され、64人が負傷、40~50人の兵士が逃走という。

一方、SANA(12月11日付)によると、軍がアレッポ国際空港に至る高速道路の各所で掃討作戦を行い、空港への往来を阻止していた反体制武装勢力戦闘員数十人を殲滅した。

またアレッポ市ブスターン・バーシャー地区、シャッアール地区、タッル・ザラーズィール地区、ブアイディーン地区、ライラムーン地区、ムスリミーヤ村、ファーフィーン村、バーブニス村、バーブ・ダイル・ハーフィル街道、タッル・リフアト・ファーフィーン交差点などで、軍が反体制武装勢力と交戦、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市周辺、ハラスター市などで軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、反体制武装勢力の戦闘員30人が殺害された。

一方、SANA(12月11日付)によると、アクラバー村、ズィヤービーヤ町、シャブアー町、ダーライヤー市で、軍がシャームの民のヌスラ戦線の追撃を続け、リビア人戦闘員など多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム市で爆弾が爆発し、複数の市民が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ハトラ村での砲撃で子供を含む市民7人が死亡した。

一方、SANA(12月11日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ハトラ村などで、軍が「ムスタファー大隊」、「カーディスィーヤ大隊」を名乗る武装集団と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。

SANA(12月11日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ハトラ村などで、軍が「ムスタファー大隊」、「カーディスィーヤ大隊」を名乗る武装集団と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月11日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区、タルビーサ市などで、軍が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

SANA, December 11, 2012
SANA, December 11, 2012

シリア国内(アサド政権)の動き

アレッポ県では、SANA(12月11日付)によると、アレッポ市マアーディー地区で市民数百人が「武装テロ集団」の退去を求めるデモを行った。

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アサド大統領は、ダマスカス県およびダマスカス郊外県のモスク、高等学校、宗教学校で宗教教育を行う女性教師と面談した。

面談には、ムハンマド・アブドゥルサッタール・サイイド宗教関係大臣が同席した。

会談において、アサド大統領は、健全なイスラーム的教育指導の必要を強調する一方で、アラブ性(ウルーバ)とイスラーム教がシリア社会の主柱として不可分の関係にあると語った。

SANA(12月11日付)が報じた。

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『ワタン』(12月11日付)は、シリア公式筋の話として、政権を離反し、国外に逃走したとされるジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官に関して、同省が「3ヶ月の長期休暇の取得に同意し、公的な枠組みのもと国を離れている」と報じ、離反が「噂」に過ぎないと付言した。

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クッルナー・シュラカー(12月11日付)は、シリア外務在外居住者省筋の話として、シリア政府に敵対的な複数の国の大使館の閉鎖を同省が求めていると報じた。

反体制勢力の動き

トルコのハタイ県アンタキア市で発足した自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長(准将)は、シャームの民のヌスラ戦線が「過激主義とは無縁で、アサドの悪党から祖国を護ろうとしている」と支持し、米国務省が同組織を国際テロ組織に指定したことを非難した。

また「西側がヌスラ戦線の若者と語らえば、考えていたのは逆だったと分かるだろう。あご髭をたくわえている者すべてがテロリストではない」と付言した。

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クッルナー・シュラカー(12月11日付)はフェイスブックからの情報として、ダマスカス宣言事務局のジャブル・シューフィー(シリア国民評議会事務局メンバー)が、シリア革命反体制勢力国民連立が発足をめざしている暫定政府に関して、「暫定政府を発足すれば血塗られた体制が終わり、凍結された資産が返還される…と思っている人々」に「我々は彼ら(欧米諸国など)の約束を信用しない」と述べ、拒否の姿勢を示したと報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月11日付)はフェイスブックからの情報として、民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダームが、ロシアと米国が2014年のシリアの大統領選挙までに、著名な反体制勢力指導者を首班とする挙国一致内閣を発足するかたちで事態の収拾をめざすことで合意したとの情報を得たと綴った、と報じた。

クルド民族主義勢力の動き

クルド最高委員会のムスタファー・ウースー(シリア・クルド・アーザーディー党書記長)はクルディーヤ・ニュース(12月11日付)に、シリア・クルド国民評議会の執行委員会が、モロッコ(マラケシュ)で12日に開催されるシリアの友連絡グループ会合に派遣する使節団の設置と、クルド人の権利の憲法での名文保障の承認のためシリア革命反体制勢力国民連立との交渉を行うことを決定した、と述べた。

また民主統一党に関しては、シリア・クルド国民評議会とシリア革命反体制勢力国民連立の交渉を承知し、同党自身も参加を検討していると述べた。

そのうえで、シリア・クルド国民評議会がシリア革命反体制勢力国民連立に正式に参加する場合、評議会ではなく、クルド最高会議として参加することになるだろう、と付言した。

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西クルディスタン人民議会のイーサー・ハンムー(クルド最高委員会メンバー)はクルディーヤ・ニュース(12月11日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立との交渉を行う「使節団は、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会を代表し、クルド人の名のもとに交渉を行うだろう」と述べた。

また「連立に対して、シリア・クルド国民評議会ではなく、クルド最高会議の名でクルド人全体を代表することを条件として求めるだろう。連立がこれに同意しない場合、我々は連立には参加しない。これが評議会と人民議会の立場であり、ホリール(アルビール)で合意したことだ」と付言した。

レバノンの動き

MTV(12月11日付)は、シリアの司法当局がサアド・ハリーリー前首相、ウカーブ・サクル国民議会議員、シリア人活動家のルワイユ・ミクダード(自由シリア軍参謀委員会政治広報調整官)に対して、テロ支援容疑で逮捕状を発行した、と報じた。

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ウカーブ・サクル国民議会議員は、シリア当局による逮捕状の発行に関して、「光栄」だと述べた。

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北部県トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区を地盤とするアラブ民主党のリフアト・イード党首は記者会見を開き、同地区とバーブ・タッバーナ地区の最近の衝突に自由シリア軍が関与している、と非難した。

また「ムスタクバル潮流がトリポリ住民をせき立て、ジャバル・ムフスィン地区を攻撃させている」としたうえで、「ムスタクバル潮流は市内の戦闘員をコントロールできていない。彼らは自由シリア軍にコントロールされている」と指摘した。

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ムスタクバル潮流は定例会合後に声明を出し、「アサド政権は、(タッル・カラフでシリア軍が殺害したレバノン人イスラーム主義戦闘員の)遺体を引き渡し、この問題をめぐってトリポリの人々を戦わせるように仕向けた」と非難した。

諸外国の動き

UNCHRは声明を出し、国外に避難したシリア人の数が509,559人に達している、と発表した。

このうち難民登録を行った(ないしは申請中の)シリア人は425,160人。

避難先別の避難民数の内訳は、レバノン154,387人、ヨルダン142,664人、トルコ136,319人、イラク65,449人、北アフリカ各国11,740人。

またこれ以外に難民として登録されていないシリア人がヨルダンで10万人程度、トルコ、エジプトでそれぞれ70,000人程度、レバノンに数万人いると推計されるという。

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フランスのジャン・イブ・ルドリアン国防大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「フランスや米国はそれが貯蔵されている場所、そして現在のところ使用されていないということを知っている」と述べた。

またシリアへの軍事介入の是非に関して、「現在、この問題は提起されていない。化学兵器の使用はまだ確認されていない…。アサドが化学兵器を使用したら、それはレッド・ラインを越えることになり、我々は同盟国との合意される措置を講じるだろう」と付言した。

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ロシアの経済紙『コメルサント』(12月11日付)は、匿名筋の話として、ロシアがアサド大統領の退陣を迫ろうとする米国の圧力を拒否している、と報じた。

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AFP(12月11日付)は、エクアドルのラファエル・コレア大統領が、「エクアドルに亡命を求めるいかなる者の申請に対しても、我々はそれを検討する」と述べ、アサド大統領が亡命を求めれば検討することを暗示したと報じた。

ABC, December 11, 2012、AFP, December 11, 2012、Akhbar al-Sharq, December 11, 2012、al-Hayat, December 12, 2012、Kull-na Shuraka’, December 11, 2012、al-Kurdiya News,
December 11, 2012、MTV, December 11, 2012、Naharnet, December 12, 2012、Reuters,
December 11, 2012、SANA, December 11, 2012、al-Watan, December 12, 2012、Zaman al-Wasl, December 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ県でサラフィー主義者の外国人武装集団がシャイフ・スライマーン軍事基地内に侵入し司令部を制圧する一方、ハサカ県ではシリア・クルド国民評議会がシリア革命反体制勢力国民連立への参加の是非を協議(2012年12月9日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団の声明によると、サラフィー主義者の外国人武装集団が、数週間にわたって反体制武装勢力によって包囲されていたシャイフ・スライマーン軍事基地内に進入、司令部などを制圧した。

SANA, December 9, 2012
SANA, December 9, 2012

同監視団は、イスラーム主義の複数の武装集団が「アレッポ市西部のシャイフ・スライマーン地方の第111大隊の3連隊および司令部を制圧した」と発表した。

戦闘により、反体制武装勢力の戦闘員2人と軍兵士1人が死亡、反体制武装勢力は兵士5人を捕捉した。

捕捉された兵士によると、同基地と近くの科学研究センターに駐留していた約140人の兵士がこの戦闘のさなかに逃走した、という。

AFP(12月9日付)は、制圧されたシャイフ・スライマーン軍事基地内の施設の一つに、サラフィー主義者の外国人武装集団の「黒い旗」が掲げられており、同集団はウズベク人が指導、アラブ人やチェチェン人から攻勢されていると報じた。

自由シリア軍の司令官の一人はAFP(12月9日付)に対して、「土曜日(8日)晩から、我々が基地に展開することのないまま、イスラーム主義者たちが(シャイフ・スライマーン軍事基地を)攻撃した」と述べ、同基地の制圧が自由シリア軍の戦果でないことを明らかにした。

一方、SANA(12月9日付)によると、ダーラ・イッザ市、カブターン・ジャバル村、ハンダラート・キャンプ、ムスリミーヤ村、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力への特殊作戦を実施、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、バイト・サフム市、アイン・タルマー村で軍と反体制武装勢力が交戦し、同地区が砲撃を受けた。

一方、SANA(12月9日付)によると、フジャイル市、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線メンバーの追撃を続け、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍と反体制武装勢力が交戦し、同地区が砲撃を受けた。

一方、SANA(12月9日付)によると、ファハーマ地区で反体制武装勢力が車に爆弾を仕掛け爆破させ、1人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイイフ軍事基地近くで軍と反体制武装勢力の戦闘が続いた。

一方、SANA(12月9日付)によると、アリーハー市郊外、サラーキブ市、ヤアクービーヤ村などで軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍がヒムス市旧市街を空爆した。

一方、SANA(12月9日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区で軍が「ファールーク大隊」の拠点を攻撃し、6人のテロリストを殺害した。

またハイダリーヤ村などのクサイル市郊外でも軍が反体制武装勢力を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、反体制武装勢力はヒムス市南部のアルメニア地区を砲撃し、市民4人が死亡した。

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ハサカ県ハサカ市・ラアス・アイン市間のアーリヤ交差点の自由シリア軍検問所で、ラアス・アイン市で窃盗・暴行を行った使徒末裔大隊の戦闘員らを自由シリア軍が逮捕した。クッルナー・シュラカー(12月9日付)が報じた。

アサド政権の動き

ヌマイル・ガーニム在アルジェリア・シリア大使は、政権を離反したとするアラブ諸国のメディアやツイッターなどの報道に関して、AFP(12月10日付)を通じて、「完全な誤報」と否定した。

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サワサナ(12月9日付)は、ジャズィーラのキャスターを去年辞職したルーナー・シブル女史がジハード・マクディスィーの後任として、外務在外居住者省の報道官に就任した、と報じた。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月9日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立がカイロで暫定政府の閣僚に関する人選のための協議を行ったが、12日のモロッコ(マラケシュ)でのシリアの友連絡グループ会合後に閣僚人事発表を延期することで合意した、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月9日付)は、アラブ社会主義民主党の執行委員会が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を表明した。

同党の党首(書記長)で民主的変革諸勢力国民調整員会代表のハサン・アブドゥルアズィームがこの参加を了承済みかどうかは不明。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月9日付)によると、離反士官のムハンマド・ハリール・アリー准将が、自由シリア軍の傘下にシリア・クルド合同軍事評議会(8人から構成)を設置したと発表した。

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クルディーヤ・ニュース(12月10日付)は、シリア・クルド国民評議会がハサカ県カーミシュリー市で執行委員会会合を開き、シリア革命反体制勢力国民連立への参加の是非を協議した。

会合は10日まで行われる見込みで、クルド人の権利を憲法で名文保障するとの要求が保障されることを条件として、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を決定するものと思われる。

この点に関して、シリア革命反体制勢力国民連立は、カイロで近く開催予定の会合で審議する予定だという。

またこれと合わせて、シリア・クルド国民評議会は、12日のモロッコ(マラケシュ)で開催されるシリアの友連絡グループへの派遣団の派遣を決定する模様。

なおクッルナー・シュラカー(12月10日付)によると、シリア・クルド進歩民主党、シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)が連立への参加に依然消極的だという。

レバノンの動き

住民どうしの衝突が続く北部県トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区、バーブ・タッバーナ地区で、再び激しい戦闘が起こり、AFP(12月9日付)によると、市民6人が死亡、40人が負傷した。

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ヒムス市タッルカラフ市郊外でシリア軍の要撃で殺害されたレバノン人イスラーム主義戦闘員のうち3人の遺体がシリア当局からレバノン当局に引き渡され、レバノン国内に搬送された。

諸外国の動き

『サンデイ・タイムズ』(12月9日付)は、米国はシリアの反体制武装勢力に武器を供与するための極秘作戦を開始した、と報じた。

同報道によると、米国はリビアのムアンマル・カッザーフィー前政権が保有していた迫撃砲、ロケット弾、地対空ミサイルSAM7などを購入し、中東地域における同盟国を通じて供与の準備を進めている、という。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は自身が議長を務めるアラブ連盟シリア問題閣僚委員会で、「この問題に対して国連安保理が現下の対応を続けることは受け入れられない」と述べた。

また「政権交代せねばならず…、彼(アサド大統領)とその政府は事態が明白で、結果が明白であることを知らねばならない」と干渉した。

シリア国内の反体制武装勢力を支援するハマド首相は「シリア人への早急な人道支援」が必要だと付言した。

一方、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、反体制勢力に関して「適切な時期に体制にとって代わるオルターナティブとなることは可能だ」としたうえで、「事態がダマスカスにまで至っているこの正念場において反体制勢力を糾合させる」よう、反体制勢力と関係のある国々に求めかけた。

そのうえでアサド大統領に「政権移譲プロセスを促すため」辞任するよう改めて求めた

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブでウィリアム・バーンズ米国務副長官、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ブラーヒーミー共同特別代表は、シリア危機の政治的解決が「依然として可能」との認識で一致したと述べた。

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クルディーヤ・ニュース(12月9日付)は、米国(ロバート・フォード米大使)、フランス、イタリア、オランダがシリア・クルド国民評議会に対して、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を求めるため、アブドゥルハキーム・バッシャール議長(在イラク)と連絡を頻繁にとっている、と報じた。

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イスラエルのモシェ・ヤアロン副首相は、ラジオ・イスラエルでアサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「自衛の用意はできているが…、現時点でこれらの兵器が我々に向けられる兆候はない」と述べた。

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ミハイル・オレン駐米イスラエル大使は、フォックス・ニュース(12月9日付)で、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「それらの武器が悪の手、例えばヒズブッラーの手に渡れば、それは我々にとって形成を一変させるもの(game-changer)となるだろう」と述べた。

またオレン大使は「我々は悪の手に渡る化学兵器に関して明確なレッドラインがある。70000発のロケット弾を持つヒズブッラーの手に化学兵器が渡ったらどうなるか想像できるか?」と付言した。

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駐シリア・ルーマニア大使がシリア国内の「治安情勢の悪化」を受け、ベイルートに退避、またルーマニア国民にシリア国外への退去を勧告した。

AFP, December 9, 2012、Akhbar al-Sharq, December 9, 2012、al-Hayat, December 10, 2012、Kull-na Shuraka’, December 9, 2012, December 10, 2012、al-Kurdiya
News, December 9, 2012, December 10, 2012、Naharnet, December 9, 2012, December
10, 2012、Reuters, December 9, 2012、SANA, December 9, 2012、al-Sawasana.com,
December 9, 2012、The Sunday Times, December 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

外国人戦闘員によるシリア紛争への直接関与が報じられるなか、トルコのアンタキヤ市で反体制武装勢力の統合司令部「自由シリア軍参謀委員会」の発足が発表される(2012年12月8日)

国内の暴力

AFP(12月8日付)は、外国人戦闘員がシリアの反体制武装勢力の側について紛争に直接関与するようになっていると報じた。

SANA, December 8, 2012
SANA, December 8, 2012

同報道によると、外国人戦闘員のほとんどはサラフィー主義集団に属し、戦闘を行っているが、その数、展開地域、実際の影響力については不明な点も多い。

しかしその多くは、トルコのハタイ県アンタキヤ市を経由してシリア領内に不法入国しているという。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤブルード市などで軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月8日付)によると、軍がフサイニーヤ町、フジャイラ村、アクラバー村郊外、マディーラー市、ミスラーバー市、アルバイン市、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ザマルカー町などでシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム旅団の追撃を続け、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(12月8日付)によると、フライターン市、カブターン・ジャバル村、ジャブール村、ムスリミーヤ村、ダーラ・イッザ市、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市カーディー・アスカル地区では、テロ集団退去を求める市民のデモに反体制武装勢力が発砲し、市民1人が死亡した。

一方、ザマーン・ワスル(12月8日付)は空軍情報部北部地区課長のアディーブ・サラーマ少将が、アレッポ市で暗殺されたと報じた

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ハマー県では、SANA(12月8日付)によると、ザラーキーヤート市などで軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市が軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(12月8日付)によると、タルビーサ市郊外のサアン村などで軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月8日付)によると、ダイル・サンバル村、マガーラ村、サルジャ村などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦、トルコ人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月8日付)によると、ヒルバト・ガザーラ町で反体制武装勢力どうしが略奪品の分配をめぐって衝突し、多数の死傷者が出た。

一方、自由シリア軍東部地区前線司令官の一人ムハンマド・ラーフィイーは『ハヤート』(12月9日付)に対して、ヤルムーク大隊をはじめとする部隊連合はシリア・ヨルダン国境地帯の大部分を制圧した、と語った(未確認情報)。

ラーフィイーによると、反体制武装勢力は、第3連隊本部など軍の検問所多数に突入、爆破し、国境地帯に展開しており、近日中に同地帯全土の制圧を宣言できるのだという。

他方、ヨルダン軍総司令部は声明を出し、シリア領から発射された迫撃砲がヨルダン領に着弾し、兵士1人が負傷したと発表した。

サミーフ・ムアーイタ内閣報道官は『ハヤート』(12月9日付)に対して、砲撃を受け、ヨルダン軍はただちに反撃を行ったと述べた。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(12月8日付)によると、ラアス・アイン市南西部のマナージール村とアルバイーン村に自由シリア軍が進入しようとしたが、村人が撃退した。

同報道によると、ラアス・アイン市周辺の農村では2日前から自由シリア軍と村人との間で戦闘が続いており、両村での戦闘では、自由シリア軍側に多数の負傷者が出て、3人がトルコ領内に搬送されたという。

国内の動き

シリアの外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長宛てに書簡を提出し、「いかなる状況でも」、「(化学兵器が)存在したとしても」、シリア政府が化学兵器を使用することはないと伝えた。

また、「テロ集団」がシリア国民に対して化学兵器を使用する可能性があると警鐘を鳴らした。

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クッルナー・シュラカー(12月8日付)は、国民安全保障会議議長のアリー・マムルーク少将が法務大臣に、レバノンのサアド・ハリーリー前首相とウカーブ・サクル国民議会議員を「シリア国内でのテロ支援」で起訴するよう要請した、と報じた。

反体制勢力の動き

Kull-na Shuraka', December 8, 2012
Kull-na Shuraka’, December 8, 2012

クッルナー・シュラカー(12月8日付)は、トルコのハタイ県アンタキヤ市で開かれていた反体制武装勢力代表者ら(550人が出席)の会合が統合司令部「自由シリア軍参謀委員会」を発足、メンバー30人を選出して閉幕した。

参謀委員会の主なメンバーは以下の通り。

サリーム・イドリース准将(参謀長、ヒムス県ムバーラキーヤ市出身)
ムスタファー・アブドゥルカリーム准将(副参謀長)
アブドゥルカーディル・サーリフ大佐(委員長補佐)
ミスカール・バティーシュ准将
アフマド・ハーリド・バドリー准将
ジャマール・マアルーフ(イドリブ県ザーウィヤ山地方)
アフマド・イーサー(イドリブ県ザーウィヤ山地方)
アブドゥルバースィト・タウィール(イドリブ県ザーウィヤ山地方)
アブドゥルジャッバール・アカイディー(アレッポ県、副議長)
アブドゥルカーディル・サーリフ(アレッポ県)
アドナーン・ラーシド
アフマド・クーシュ
ジャマール・ヌーリー
ファイサル・ヤークート
ウサーマ・ディヤーブ

Kull-na Shuraka', December 8, 2012
Kull-na Shuraka’, December 8, 2012

メンバー30人のうち20人が軍人、10人が文民だという。

トルコのハタイ県アンタキヤ市で設立・選出された「自由シリア軍参謀委員会」に関して、ロイター通信(12月8日付)は、メンバー(30人)の約3分の2がシリア・ムスリム同胞団のメンバーとその同盟者だと報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のムスタファー・サッバーグ書記長はAFP(12月8日付)に対して、アンタキアで選出が合意された「自由シリア軍参謀委員会」には、シャームの民のヌスラ戦線メンバーは含まれないことを強調した。

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サミール・シーシャクリーは、自身を革命反体制勢力国民連立が10日に発表予定の暫定政府首班の候補者だと報じた『シャルク・アウワト』(12月7日付)の記事に関して、事実を否定した。

クッルナー・シュラカー(12月8日付)が報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月8日付)は、シリア政府に近い消息筋の話として、ロシアが数日前に化学兵器の使用を消し去るための化学物質をシリア軍に供与した、と報じた(未確認情報)。

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ザマーン・ワスル(12月8日付)はアレッポ警察学校のサッルーフ・アフマド校長が政権を離反したと報じた。

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド政権に対して生物化学兵器をしないよう警告するとともに、英国がこれまでシリアへの軍事介入を否定したことはないと脅迫した。

しかし、化学兵器使用の可能性の根拠は示さなかった。

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国連人権高等弁務官事務所によると、イラクに避難したシリア人避難民の数が63,000人を越えた。

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国連のヘルヴェ・ラドス平和維持活動担当事務次長は、ゴラン高原でのシリア軍と反体制武装勢力の散発的戦闘の発生に対処するかたちで、UNDOFを増強すると発表した。

AFP, December 8, 2012、Akhbar al-Sharq, December 8, 2012、al-Hayat, December 9, 2012、Kull-na Shuraka’, December 8, 2012、al-Kurdīya News,
December 8, 2012、Naharnet, December 8, 2012、Reuters, December 8, 2012、SANA,
December 8, 2012、Zaman al-Wasl, December 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装勢力の代表らが30人の離反士官からなる「最高国防評議会」(仮名)の発足を発表、サリーム・イドリース准将が議長に(2012年12月7日)

国内の動き

『ハヤート』(12月8日付)によると、ヒムス県ハウラ地方などで、反体制活動家が街頭デモを行い、「シャームの土地への平和維持軍(派遣)に反対」といったプラカードを掲げて、国際社会の介入への拒否の姿勢を示した。

同報道によると、このデモは「シリアを、アサド政権を支持する地域と反体制武装勢力を支持する地域に分割」することへの拒否を示すものだという。

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SANA(12月7日付)によると、アレッポ県アレッポ市サーリヒーン地区、マルジャ地区、マイサル地区、ジャズマーティー地区、インザーラート地区などで「武装テロ集団」の退去を求めるデモが発生した。

これに対して、反体制武装勢力が発砲し、インザーラート地区では4人が死亡した。

またバーブ市、マンビジュ市、マーリア市でも同様のデモが発生した。

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アレッポ県では、シリア・アラブ・テレビ(12月7日付)によると、アレッポ市内で徐々に電力が復旧していると報じた(未確認情報)。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はロイター通信(12月7日付)に対して、ダマスカス郊外県での戦闘激化に関して、「戦闘が最終段階になったと期待することは非論理的だ」と述べた。

アブドゥッラフマーン代表はまた「大きな前進はメディア以外では生じていない。誰にとっても状況は確実に良いものではない。シリア経済は悪化しているが、革命家にとっても事態は良いものではない…。反体制勢力が制圧しているアレッポ市内の地区ではかろうじて食糧が手に入っているだけで、軍の砲撃に脅かされている…。しかし政府も多くの地区から撤退し、弱体化している」と述べた。

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ダマスカス軍事評議会のナビール・アーミルなる活動家は、ダマスカス国際空港が「戦争地帯」になったと宣言し、空港に近づく民間人と航空会社に「特別な責任」を負うよう警告し、無差別攻撃も辞さないとの意思を示した。

ダマスカス国際空港の攻略を指揮しているというアーミルは「武装集団は、同地域を軍事的標的とするまでの2週間、民間人と航空会社が避難するのを待っていた」と述べた。

アーミルは「空港に突入はしないが、空港への往来を阻止する」と付言した。

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『ハヤート』(12月8日付)によると、トルコのハタイ県アンタキヤ市で反体制武装勢力の代表263人が集まり、30人の離反士官からなる統合司令部を選出することで合意した。

同報道によると、統合司令部は「最高国防評議会」という名称になる予定で、シリア国内で活動する各勢力のバランスを配慮して選出され、国内を五つの前線に分割し、各戦線での戦闘の連携・統括にあたる、という。

議長にはサリーム・イドリース准将が選出され、各戦線の司令官5人が副議長に就任する予定。

また各戦線の民間人5人も副議長に就任し、現地の市民の生活を監督する、という。

「最高国防評議会」に選出された主な士官は以下の通り。

サリーム・イドリース准将(議長)
ジャマール・マアルーフ(イドリブ県ザーウィヤ山地方)
アフマド・イーサー(イドリブ県ザーウィヤ山地方)
アブドゥルバースィト・タウィール(イドリブ県ザーウィヤ山地方)
アブドゥルジャッバール・アカイディー(アレッポ県、副議長)
アブドゥルカーディル・サーリフ(アレッポ県)

リヤード・アスアド大佐、ムスタファー・シャイフ准将ら在外の上級士官は、「トルコにいる」との理由で排除される、という。

しかしこの両名は、最近になってシリア国内に入り、活動を行うと宣言していた。

こうした点を踏まえると、トルコで組織作りが進められている「最高国防評議会」もまた在外組織の域を脱しない可能性がある。

なお、会合には、米英仏、アラブ湾岸諸国、ヨルダンの治安関係者も出席しており、10日に暫定政府の人事を発表する予定であるシリア革命反体制勢力国民連立への武器供与を正当化するための「武器受入先」を形式的に作ろうとする動きとも理解できる。

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自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、トルコ国内で息子が誘拐されたとの一部情報に関して、『クウェート』(12月7日付)に「問題が発生したが…、おかげさまで彼は安全な場所にいる」と述べた。

またシリア革命反体制勢力国民連立との関係に関して、「私と連立との間に何の接触もない。今まで、彼らは私に連絡を取ってきていない…。しかし我々は彼らがやることを支持したいと思っている」と述べた。

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シリア革命調整連合は、反体制武装勢力がこれまで103機のシリア軍戦闘機・ヘリコプターを撃墜した、と発表した(未確認情報)。

同連合によると、イドリブ県で43機、アレッポ県で19機、ダイル・ザウル県で17機、ダマスカス県・ダマスカス郊外県で16機、ダルアー県で3機、ラタキア県、ハマー県、ラッカ県でそれぞれ1機を撃墜した、という。

また103機のうち、59機がヘリコプター、44機が戦闘機。27機を空港で破壊、76機を撃墜した、という。

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シリア国民評議会は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、国際社会に「早急な行動」、「言葉でなく行動」を求めるとの声明を出した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市を軍が包囲し、砲撃を加えた。

SANA, December 7, 2012
SANA, December 7, 2012

またドゥーマー市、ハラスター市、東グータ地方一帯で軍が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(12月7日付)によると、軍がフサイニーヤ町、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市、マディーラー市、ミスラーバー市、アルバイン市などでシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、外国人戦闘員を含む複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(12月7日付)によると、カダム区、アサーリー地区で、軍が反体制武装勢力の戦闘員複数を殲滅した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地周辺、アレッポ市ライラムーン地区で軍と反体制武装勢力の戦闘が続いた。

一方、SANA(12月7日付)によると、ダーラ・イッザ市、カフルナーハー村、ハンダラート・キャンプ、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、旧市街などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線など反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、マナージール村でシャッラービーン部族の民兵が反体制武装勢力と交戦し、反体制武装勢力の戦闘員12人を殲滅した。

戦闘は、反体制武装勢力が穀物庫を擁する同村を襲撃したことを受けて発生した。

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ヒムス県では、SANA(12月7日付)によると、ヒムス市トゥルクマーン地区、バーブ・フード地区などで、軍が「預言者支援者大隊」、「ハーリド・ブン・ワリード末裔大隊」を名乗る反体制武装勢力と交戦、複数の戦闘員を殺傷した。

またクサイル市では、軍が反体制武装勢力を要撃するなどして、複数の戦闘員を殺傷した。

一方、ヒムス市のインシャーアート地区のモスク近くでシャームの民のヌスラ戦線が仕掛けた爆弾が爆発し、15人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(12月7日付)によると、ハマー市各所、サラミーヤ市郊外で軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(12月7日付)によると、ザーウィヤ山のサルジャ村、アイン・ハムラー村、ハーッス村、カフルルーマー村、ラービー村などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(12月7日付)によると、ブスラー・シャーム市で軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長は、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関して、「確認はとれないが、実際に使用されれば、非道な犯罪になるだろう」と述べた。

AFP, December 7, 2012、Akhbar al-Sharq, December 7, 2012、AKI, December 7, 2012、al-Hayat, December 8, 2012、Kull-na Shuraka’, December 7, 2012、al-Kurdiya News,
December 7, 2012、Naharnet, December 7, 2012、al-Ra’y, December 7, 2012、Reuters, December 7, 2012、SANA, December 7, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国務長官、露外相、ブラーヒーミー共同特別代表がダブリンで一堂に会してシリア情勢について協議するも、「興味深い決定」はなされず(2012年12月6日)

国内の動き

クッルナー・シュラカー(12月6日付)によると、ハサカ県ダルバースィーヤ市とラアス・アイン市の社会・政治団体の代表者がラアス・アイン市内に駐留する自由シリア軍司令部と会談、同市からの退去を求めた。

Champress, December 6, 2012
Champress, December 6, 2012

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ファイサル・ミクダード外務在外居住副大臣は、マナール・チャンネル(12月6日付)に出演し、アサド政権による化学兵器使用の可能性に関する欧米諸国の首脳らの発言に関して、「演劇じみた態度だ…。我々は、化学兵器があったとしても、シリア国民には使用されないし、国内で無責任なことはできないと言ってきた…。軍事介入を正当化するためにシリアが化学兵器を使用すると主張しているだけだ。こうした陰謀はワシントンと安っぽいその道具たちが行っているだけだ」と述べた。

またNATOによるトルコへのパトリオット・ミサイル配備については、「破産的措置」と非難した。

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クッルナー・シュラカー(12月6日付)は、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官の娘婿で軍事情報局のタマーム・サーリフ大佐の兄弟のムサンナー・サーリフが、ダマーローズ・ホテル(旧ダマスカス・メリディアン)社長を自ら辞し、米フロリダに去った、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、AFP(12月6日付)が、アブー・キナーンを名乗るダーライヤー市住民の話として、軍が「ゆっくりと(ダーライヤー市への)進軍」し、市内東部に駐留する一方、反体制武装勢力も「複数地点に駐留し…同市の約70%を占拠している」と報じた。

シリア人権監視団によると、東グータ地方とドゥーマー市での軍との戦闘で、反体制武装勢力の戦闘員6人が死亡した。

また戦闘はアルバイン市、サクバー市の周辺でも発生した。

同監視団によると、ザマルカー町、アクラバー村、バイト・サフム市、フジャイラ村、ブワイダ市、ドゥーマー市、ハラスター市、アルバイン市、ジスリーン町、ジュダイダ・アルトゥース市で軍が砲撃・空爆を行った。

一方、SANA(12月6日付)によると、ダーライヤー市、ズィヤービーヤ町、サクバー市、ザマルカー町、では、軍がシャームの民のヌスラ戦線を追撃し、多数のテロリストを殲滅した。

高官筋によると、「ダーライヤー市でのテロリスト浄化発表は近い」という。

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ダマスカス県では、シリア・アラブ・テレビ(12月6日付)などによると、カジャージュ・ダルアー近くのシリア赤新月社本部前で爆弾が仕掛けられた車が爆発、同本部の一部が損傷した。

またSANA(12月6日付)によると、マッザ区(マッザ86地区)で反体制武装勢力が車に爆弾を仕掛けて爆発させ、市民1人を殺害した。

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アレッポ県では、SANA(12月6日付)によると、ムスリミーヤ村、ハンダラート・キャンプ、アナダーン市、ダーラ・イッザ市、タッル・シュガイブ村、アブティーン村、アレッポ市ナイラブ地区各所などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

またシリア・アラブ・テレビ(12月6日付)は、シャームの民のヌスラ戦線がサフィール市から1キロの距離にあるガソリン・スタンドを制圧したとの情報を否定した。

一方、シリア人権監視団は、「3日前からマンナグ航空基地近く」で軍と反体制武装勢力が激しく交戦したと発表した。

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ヒムス県では、SANA(12月6日付)によると、ヒムス市バーブ・トゥルクマーン地区、アイスーン村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

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クッルナー・シュラカー(12月6日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市で5日夜から民主統一党人民防衛隊(YPG)と自由シリア軍が交戦している、と報じた。

レバノンの動き

シリアの反体制勢力に武器供与していることを暴露されたウカーブ・サクル国民議会議員(ムスタクバル潮流)は、トルコのイスタンブールで記者会見を開き、そのなかで「我々はシリアの子供たちにミルクを配っている」と弁明した。

またシリアの反体制勢力と武器取引を行っているやりとりを録音した肉声テープを暴露したOTVや『アフバール』について、「馬鹿」、「シャッビーハ」だと批判した。

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北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区での住民どうしの衝突が続き、4日以降の死者数は11人に達した。

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『ナハール』(12月6日付)は、ヒムス県タッル・カラフ市での11月30日のシリア軍によるレバノン人イスラーム主義者要撃で生き残ったレバノン人戦闘員が、レバノン当局に引き渡されず、シリアの法廷で裁判を受けることになるだろう、と報じた。

諸外国の動き

ドイツ政府はNATO外相会議の決定を受け、トルコの対シリア国境へのパトリオット・ミサイル配備に合意した。

パトリオット・ミサイル配備とともに、ドイツ軍兵士約400人も対シリア国境地帯に展開する、という。

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アイルランドの首都ダブリンで、ヒラリー・クリントン米国務長官、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が会談し、シリア情勢について協議した。

この三者会談に先だって、クリントン国務長官とラブロフ外務大臣が二者会談を行い、ブラーヒーミー共同特別代表の役割について協議した。

三者会談後、ブラーヒーミー共同特別代表は、「興味深い決定は下さなかった…。我々は事態が悪いという点で合意した。また我々はともに行動し、この問題をどのように掌握することができるかを検討しなければならない点でも合意した」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、バグダードでヌーリー・マーリキー首相と共同記者会見を行い、そのなかで「化学兵器を使用すれば、使用した者は四方において追及されるだろう…。私はシリア政府に懸念を表明した…。(化学兵器の使用は)国民に深刻な影響をもたらすだろう」と述べた。

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レオン・パネッタ米国務長官は、アサド政権が化学兵器の使用を検討していることを示す情報を得た、と述べた。

しかしこの情報がどのようなものかは具体的に述べなかった。

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NBC(12月6日付)は、「複数の米国高官」の話として、シリア軍がサリン・ガスを発生する化学物質を充填した爆弾を増産し、アサド大統領による投下命令を待っている状態だと報じた。

しかしその真偽は定かでない。

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英国外務省高官は、来週にシリアに対する武器禁輸措置の見直しを行い、シリアの反体制勢力への「物的支援」の強化をめざす、と述べた。ロイター通信(12月6日付)が報じた。

アサド政権への武装闘争がシャームの民のヌスラ戦線によって支援されている現状において、「反体制勢力」への武器供与はテロ支援を行うに等しい。

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統一ロシアのウラジーミル・ヴァシリエフ党首(下院議会議長)は、英国議会使節団と会談し、「我々は、シリアの現政府が自らの仕事を実行すべきだという意見において合意したし、合意している。しかし現在、この任務はシリア政府の能力を越えてしまっている」と述べた。

AFP, December 6, 2012、Akhbar al-Sharq, December 6, 2012、Champress, December 6, 2012、al-Hayat, December 7, 2012、Kull-na Shuraka’, December 6, 2012、al-Kurdiya News, December 6, 2012、al-Nahar, December 6, 2012、Naharnet, December 6, 2012、Reuters, December 6, 2012、SANA, December 6, 2012などをもとに作成。

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アサド政権が「決戦」としてのダマスカス防衛に「80,000人」の兵士を動員するなか、米国務長官がシリア政府による化学兵器の使用が「レッド・ライン」だと改めて強調(2012年12月5日)

国内の暴力

『ハヤート』(12月6日付)は、複数の反体制消息筋の話として、アサド政権がダマスカスの防衛を「決戦」とみなし、80,000人の兵士を動員している、と報じた。

シリア軍筋によると、ダマスカス県の幅約8キロにわたる「防衛ライン」の確保をめざしている。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、バイト・サフム市、ムライハ市、ザバダイン市などに対して軍が空爆を行った。

またこれらの都市およびアクラバー航空基地周辺で、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

さらにダーライヤー市、ザバダーニー市に対しても軍の空爆、砲撃は及んだという。

一方、『サウラ』(12月6日付)によると、ダーライヤー市、シャブアー町、バイト・サフム市、アクラバー村、フジャイラ村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員多数を殺傷した。

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アレッポ県では、AFP(12月5日付)が住民の話として、サフィール市が反体制武装勢力によって制圧された、と報じた。

住民によると、反体制武装勢力の戦闘員のほとんどは、シャームの民のヌスラ戦線メンバーで、その陣地には戦線の名が書かれ、彼らの車にはジハードの旗が掲げられているという。

一方、『サウラ』(12月6日付)によると、ダーラ・イッザ市、バーニース村、タッル・シャイール村、ファーフィーン村、サフィーラ市、アレッポ市シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区、旧市街、ブスターン・バーシャー地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバー多数を殺傷した。

またアレッポ市内の電力発電所を反体制武装勢力が襲撃し、複数地区の電力供給が停止した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラ・ヌウマーン市南部のバーブーリーン村の検問所を反体制武装勢力が襲撃し、軍兵士7人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のハミーディーヤ地区が軍の空爆を受けた。

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ヒムス県では、『サウラ』(12月6日付)によると、ヒムス市、クサイル市郊外などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷した。

しかし、ヒムス市ムハージリーン区とナズハ地区で、反体制武装勢力が住宅地を迫撃し、市民1人が死亡した。

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ハサカ県では、『サウラ』(12月6日付)によると、ハサカ市マサーキン・マハッタ地区で反体制武装勢力が市民を襲撃、1人を殺害した。

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ラタキア県では、『サウラ』(12月6日付)によると、カスタル・マアーフ街道で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の車輌4輌を破壊した。

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イスラエル国防軍報道官は、シリア領から発射された迫撃砲がイスラエルが占領するゴラン高原に着弾した、と発表した。死傷者はなく、同報道官は「誤射」による着弾だと付言した。

国内の動き(アサド政権の動き)

クッルナー・シュラカー(12月5日付)は、アサド政権支持者の間で、軍によるダマスカス郊外県での反体制武装勢力の掃討が遅れている背景として、自由シリア軍が首都周辺に総延長数キロにわたるトンネルを建設し、兵站支援を行っているからとの噂が広まっている、と報じた。

al-Thawra, December 6, 2012
al-Thawra, December 6, 2012

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『ハアレツ』(12月5日付)はヴェネズエラの複数の消息筋の話として、アサド大統領とその家族がラテンアメリカに政治亡命を申し出る書簡を送った、と報じた(未確認情報)。

同報道によると、この書簡は、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣を通じてヴェネズエラ、キューバ、エクアドルの当局に渡されたという。

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ザマーン・ワスル(12月5日付)は、ラッカ県のアリー・ハッダード副知事と同県執行委員会メンバー8人が、県行政、とりわけ穀物や燃料の配給への治安機関の介入に抗議して、辞表を提出した、と報じた。

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SANA(12月5日付)によると、ダマスカス郊外県のワーフィディーンでは、4日の反体制武装勢力の砲撃の犠牲となった市民の葬儀が行われた。

反体制武装勢力の動き

クッルナー・シュラカー(12月5日付)は、複数の反体制消息筋の話として、空軍情報部通信課長のナスル・アフマド・ファイヤード・マシュアーン准将が離反した、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(12月5日付)は、自由シリア軍の複数の士官が、12月2日だけで、MiG21、MiG23、戦闘ヘリコプター合わせて7機を撃墜したと証言している、と報じた(未確認情報)。

レバノンの動き

アリー・アブドゥルカリーム・アリー在レバノン・シリア大使は、アドナーン・マンスール外務大臣と会談し、シリア軍の要撃で11月30日に殺害されたサラフィー主義のレバノン人戦闘員の遺体を返還することを告げた。NNA(12月5日付)が報じた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、ウカーブ・サクル国民議会議員によるシリアの反体制勢力への武器供与を受け、「シリアの対立し合う当事者を武装させることは我々の義務ではない」と述べ、シリア情勢への不関与政策を貫徹するよう呼びかけた。

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北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で住民らの衝突が続き、AFP(12月5日付)によると、4日からの死者は5人となった。

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3月14日勢力事務局は声明を出し、アサド政権が北部県トリポリ市での混乱を煽っている、と非難した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、NATO外相会議後、アサド政権による化学兵器使用の可能性について「我々の懸念の元は、アサド政権が絶望感を増し、化学兵器使用に訴えること、ないしは管理できなくなることで、シリアで現在活動している何らかの集団に利すること」と述べ、化学兵器の使用が米国にとっての「レッド・ライン」だと改めて強調した。

また、紛争を終わらせるため、マラケシュのシリアの友連絡グループ会合で、できることを検討すると述べる一方、「彼ら(アサド政権)の崩壊は必然的」、「(紛争を終わらせるには)アサド政権は政治的以降への参加を決断する必要がある」と付言した。

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『ハヤート』(12月6日付)はニューヨークの西側外交筋の話として、米国政府がシャームの民のヌスラ戦線をアル=カーイダと関係がある「国際テロ組織」として指定する準備を進めている、と報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、「アサドは約700基の(地対地)ミサイルを保有している…。我々は現在これらのミサイルがどこに展開し、どのように、そして誰の手によって保管されているのかを知っている」と述べ、アサド政権の脅威を誇張した。

またトルコ・シリア国境地帯へのNATOのパトリオット・ミサイル配備に関して、「抑えがきかない集団による行為」に対処するためと述べ、アサド政権による化学兵器使用に関する欧米諸国のプロパガンダによって配備を正当化した。

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アナトリア通信(12月5日付)は、トルコ外務省が声明を出し、NATOによるトルコ・シリア国境地帯へのパトリオット・ミサイル配備の承認への「大いなる幸福の念」を表明した、と報じた。

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『ハヤート』(12月6日付)によると、ハンガリー外務省は、インターネットでダマスカスの大使館の活動を閉鎖し、職員をシリアから出国させるとともに、ハンガリー国民に退避勧告を出したと発表した。

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ロシア外務省が声明を出し、ダマスカス郊外県ワーフィディーンの学校に対する反対生成勢力の砲撃の犠牲者に哀悼の意を示すとともに、攻撃を「テロ攻撃」として強く非難した。

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インテルファクス通信(12月5日付)は、ロシア軍参謀筋の話として、ロシアの戦艦2隻が、タルトゥースの軍事基地への燃料を補給するため、タルトゥース港に到着した、と報じた。

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イラクのアリー・スィースターニー事務所のムハンマド・フサイン・ウマイディーは『ハヤート』(12月6日付)に対して、マルジャイーヤの使節団がカーイム市(アンバール県)のシリア人避難民キャンプを視察し、人道支援を行ったと述べた。

またウマイディーは「マルジャイーヤは…、危機の炎を煽らないため、いずれの当事者にも与することはない。マルジャイーヤの姿勢がバランスのとれたものだったのはそのためだ」と述べた。

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AFP(12月6日付)は、ヨルダン赤新月社がカタール赤新月社と、ヨルダン国内の病院でのシリア人避難民負傷者の治療を行うことで合意した。

AFP, December 5, 2012、Akhbar al-Sharq, December 5, 2012、Haaretz, December 5, 2012、al-Hayat, December 6, 2012、Kull-na Shuraka’, December 5, 2012、al-Kurdiya News,
December 5, 2012、Naharnet, December 5, 2012、NNA, December 5, 2012、Reuters,
December 5, 2012、SANA, December 5, 2012、al-Thawra, December 6, 2012、Zaman al-Wasl, December 5, 2012などをもとに作成。

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