ロシアはシリア政府の許可を経ない反体制派およびロジャヴァ支配地域へ人道支援継続に難色(2017年11月29日)

ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、米主導の有志連合が反体制派の自治を後押しすることで「シリア分割」を企図していると批判した。

ネベンジャ国連大使は「現行の人道支援の仕組みは、シリアの主権を侵害している…。修正がこの仕組みが延長されることはあり得ない…。有志連合はシリア分割をもたらそうとしている。なぜなら、(ダーイシュ(イスラーム国)の支配から解放された地域に自治権を与えようとしているからだ」と述べた。

なお、国連安保理では、安保理決議第2332号(2016年12月21日、http://www.securitycouncilreport.org/atf/cf/%7B65BFCF9B-6D27-4E9C-8CD3-CF6E4FF96FF9%7D/s_res_2332.pdf)によって2018年1月10日まで延長されたシリア領内への国外からの人道支援の任期切れが迫るなか、その延長についての審議が予定されている。

なお、シリア領内への国外からの人道支援は、国連安保理決議第2165号(2014年7月14日、http://undocs.org/S/RES/2165(2014))において、シリア当局に通告をすれば(その許可を得ずに)、反体制派の支配下にあるバーブ・サラーマ国境通行所(アレッポ県)、バーブ・ハワー国境通行所(イドリブ県)、ラムサー国境通行所(ダルアー県)、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるヤアルビーヤ国境通行所(ハサカ県)を経由して人道支援を行うことができる旨定められている。

AFP, November 29, 2017、ANHA, November 29, 2017、AP, November 29, 2017、ARA News, November 29, 2017、Champress, November 29, 2017、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2017、al-Hayat, November 30, 2017、al-Mada Press, November 29, 2017、Naharnet, November 29, 2017、NNA, November 29, 2017、Reuters, November 29, 2017、SANA, November 29, 2017、UPI, November 29, 2017などをもとに作成。

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