ファイヤード国家安全保障担当首相顧問を含むイラクの使節団がアサド大統領と会談、ドーハで開かれたアラブ連盟閣僚委員会でシリアへの監視団派遣についての議定書問題が審議される(2011年12月17日)

アサド政権の動き

イラクのファーリフ・ファイヤード国家安全保障担当首相顧問らイラクの使節団がシリアのダマスカスを訪問し、アサド大統領と会談した。

SANA, December 17, 2011
SANA, December 17, 2011

『ハヤート』(12月17日付)によると、同使節団は、ヌーリー・マーリキー首相によるシリア情勢打開のためのイニシアチブを携えてアサド大統領と会談した。

またシリアに次いで、エジプトのカイロを訪問し、アラブ連盟首脳と会談し、シリアの反体制勢力にイラクのイニシアチブを提示する予定。

マーリキー内閣筋によると、使節団は国民同盟ブロックのメンバーからなっているという。

これに対してクルディスタン民主党のアブドゥッサラーム・ブルワーリー氏は、「シリアの反体制勢力は、対話ではなく、体制打倒を支持する人たちに耳を傾けたいと考えている」と述べ、マーリキー首相のイニシアチブに消極的な姿勢を示した。

またイラーキーヤ・ブロックのハイダル・ムッラー氏は、マーリキー首相のイニシアチブが政府のコンセンサスに基づいていないと述べ、疑義を呈した。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流は声明を出し、ロシアの国連安保理決議案に関して、弾圧停止を求めるBRIC諸国の忠告をアサド政権が無視した結果であると評価した。

反体制(武装)運動

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カフルシャムス町に治安部隊が突入し、民間人6人を殺害した。

一方、SANA(12月17日付)によると、マアルバ町を武装テロ集団が襲撃し、市民1人を殺害した。

また治安部隊が県北西部で武装テロ集団と交戦し、指名手配者10人を殺害、数十人を逮捕、大量の武器を押収した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市で民間人4人が殺害された。

また隣接する村でも1人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルサジュナ村で治安部隊が発砲し、子供2人を含む3人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、150台以上の軍の装甲車輌がアブディーター村に侵入し、市民1人、離反兵1人を殺害した。

市内では離反兵が軍・治安部隊と激しく交戦し、軍・治安部隊の戦車・兵員輸送車輌4輌を破壊したという。

一方、SANA(12月17日付)によると、マストゥーマ村で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、治安維持部隊の士官1人が死亡した。

アラブ連盟の動き

カタールのドーハでアラブ連盟閣僚委員会が開かれ、アラブ監視団のシリアへの派遣に関する議定書問題について審議した。

会合後、議長のハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が記者会見を開き、シリア情勢をめぐるアラブ・イニシアチブや連盟の決議を国連に提出することを連盟に要請するための決議案を、12月21日にカイロで開催予定のアラブ連盟外相緊急会合に提出することが合意されたと発表した。

そのうえで「安保理における他国の決議に代えてこれを採用することをめざす」と述べ、ロシアが提出した決議案に対抗させることを暗示した。

諸外国の動き

レバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方で、シリア領内のヒート村からレバノン領内のクナイスィー村に向かって越境しようとしたレバノン人が敷設されていた地雷に触れ、爆死した。

またベカーア県バアルベック郡アルサール地方でシリア軍がレバノン人青年に発砲・殺害した。

AFP, December 17, 2011、Akhbar al-Sharq, December 17, 2011、al-Hayat, December 18, 2011、Kull-na Shuraka’, December 17, 2011、Nahar.net, December 17, 2011、Reuters, December 17, 2011、SANA, December 17, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

各地で「過去数週間で最大」規模の反体制デモが発生、チュニジアでは3日間にわたるシリア国民評議会の大会が開催(2011年12月16日)

反体制デモ

ダルアー県、ヒムス県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県などで金曜礼拝後に反体制デモが発生した。

反体制勢力によると、ゼネストと並行して敢行された反体制デモは過去数週間のなかでは最大規模だという。

『ハヤート』(12月17日付)によると、ジャーナリストのシリア入国が規制されているため、デモ参加者の実数を知ることはできないが、「過去数週間で最大」だという点は確かだと報じた。

Sham News Network, December 16, 2011
Sham News Network, December 16, 2011
Sham News Network, December 16, 2011
Sham News Network, December 16, 2011

しかし、ゼネストに関して言うと、休日にあたる金曜日に就労するシリア人はそもそもほとんどいない。

なおこの動きに関して、フェイスブック上の反体制ページは「アラブ連盟が我々を見殺しにしている金曜日」と銘打った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハーリディーヤ地区、ダイル・バアルバ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、インシャーアート地区、バーブ・アムル地区など各所で合わせて20,000人以上がヒムス市で金曜礼拝後に反体制デモに参加した。

これに対して治安部隊が発砲し、複数が死亡した。

地元調整諸委員会によると、ヒムス市では9人が殺害された。

複数の活動家によると、クサイル市への治安部隊の砲撃で1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、フルクルス町、タッルカラフ市、タルビーサ市、カルティーン市、フーラ地方、タッルドゥー市でもデモが発生した。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家・目撃者によると、ダイル・ザウル市での金曜礼拝後のデモに対して治安部隊が発砲し、複数が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、各都市で数万人が街頭で抗議行動を行ったという。地元調整諸委員会によると、これにより2人が殺害された。

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ハマー県では、地元調整諸委員会によると、3人が殺害された。

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ダルアー県では、地元調整諸委員会によると、3人が殺害された。

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ハサカ県では、シリア革命総合委員会によると、カーミシュリー市にシャッビーハが侵入し、活動家らを逮捕した。

SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011
SANA, December 16, 2011

親体制デモ

一方、SANA(12月16日付)によると、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、ヒジャーズ駅前、アレッポ県アレッポ市のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)、タルトゥース県タルトゥース市、ドゥライキーシュ市、バーニヤース市、ハサカ県マーリキーヤ市、スワイダー県マフアラ市、ヒムス県ヒムス市アクラマ地区、ヒルバト・ティーン・ヌール町などで、国民統合と自決を確認し、アサド政権の改革支持と外国の干渉拒否を訴える大規模集会が開催された。

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またSANA(12月16日付)によると、「複数地区で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃したにもかかわらず、数名が死傷したに過ぎなかった」。

事実、先月半ば以来、金曜日ごとに軍・治安部隊を襲撃・要撃してきた離反兵は、目立った「戦果」を発表していない。

反体制勢力の動き

チュニジアでシリア国民評議会の大会が開催された。

開会の辞でブルハーン・ガルユーン事務局長は、「アサド政権は終わった。いかなる代償を払っても、シリアは民主的になるだろう。また国民は自由になるだろう」と述べ、体制転換への意思を強調した。

一方、反体制勢力の活動に関しては「さらなる力を得るため、反体制勢力を統一せねばならない。この大会を通じて、より大きな組織、より明確な方向性、そしてより大きなエネルギーを得ねばならない」と述べた。

大会には、シリア国民評議会メンバー約200人のほかに、各国大使、チュニジア国会議員、各国人権団体らも出席した。

またチュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領が会場を訪問し、ガルユーン事務局長と会談した。

大会は3日間の予定。

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『ラアユ』(12月16日付)は、12月初めのスイスでの会談で、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長がヒラリー・クリントン米国務長官に対して15ページからなる英語の報告書を渡し、そのなかで民間人保護を名目に、イドリブ県ジスル・シュグール地方から地中海岸地域を「安全地帯」に設置し、そこを反体制勢力の政治・軍事活動の基地とすることを提案したと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)および『サウト・クルード』(12月19日付)は、ハサカ県(ダルバースィーヤ市で「西クルディスタン人民議会」が12月16日に初めて召集され、選出議員359人中335人が出席し、現下のシリア情勢について審議するとともに、暫定政府(ディーワーン)を選出した、と報じた。

会合では、体制の抜本的変革に向けた平和的、民主的な民衆運動への支持、外国の干渉拒否、暴力と宗派主義の拒否、クルド民族主義政治運動の統合、シリアの反体制勢力糾合に向けた努力の継続、クルド人の地方議会設立などが確認された。

同会合には元PKK戦闘員多数が傍聴していたという。

西クルディスタン人民議会は、PKKに近いクルド民族主義者たちによって構成され、アサド政権はその活動を黙認している。

http://sawtalkurd.blogspot.com/2011/12/blog-post_5844.html

対シリア制裁に向けたアラブ連盟の動き

シリア情勢を審議するためにカイロで17日に開催が予定されていたアラブ連盟外相会議が無期延期となり、代えてドーハで閣僚委員会会合を開催することが決まった。

『ハヤート』(12月17日付)によると、外相会議延期は、シリア政府がナビール・アラビー事務総長に返信したアラブ監視団派遣にかかる議定書受諾に対する回答を再審議するため。この再審議により、複数の消息筋は、シリア側による議定書署名の場所、時期が確定する、という。

一方、複数のアラブ外交筋によると、再審議は、ロシアが国連安保理に提出したシリア問題に関する決議案への対応を協議するためだという。

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諸外国の動き

フランス外務省報道官は、「シリア情勢の混乱に対して安保理決議を採択する必要があることを認めたロシアの決定は大きな進展」としつつ、「安保理は人道に対するこの罪を非難せねばならない」との意思を示した。

フランスの国連代表は、ロシアの決議案に関して、「偉大な出来事」と評価しつつも、「陰謀だ。なぜならロシアは一歩一歩前進しているように見せようとしているが、決議案はバランスを欠いており、中身がない」と批判、「多くの修正を必要とする」と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、「この問題は安保理内で検討する必要がある」と評価しつつ、「支持できない要素を含む」と述べ、ロシアの決議案が体制による弾圧と国民の抵抗を同列に扱っていることに異議を唱えた。

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ロシア外務省報道官は、西側諸国による安保理決議案の評価を受けて、「この決議は客観的でバランスがとれており、アラブ連盟の提案に従って対話を行う必要があることを政府と反体制勢力双方に明確に示している」と述べ、決議案の肝である政府、反体制勢力双方の暴力への批判的姿勢を改める意思がないことを改めて示した。

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トルコ通商省は声明を出し、トルコがシリアを回避してアラブ諸国への輸出品の搬出することで、シリアは年間100,000,000ドル損失するだろうと述べた。

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UNHCRは、シリアからの避難民の数が4,510人に達したと発表した。

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イスラーム諸国会議(OIC)のエクメレッディン・イフサン・オグル事務局長は『ハヤート』(12月17日付)に対して、シリアへの軍事介入には反対の意思を示しつつ、国連安保理で事態打開のための審議がなされるべきとの立場を示した。

AFP, December 16, 2011、Akhbar al-Sharq, December 16, 2011、al-Hayat, December 17, 2011、Kull-na Shuraka’, December 16, 2011, December 22, 2011、Naharnet.com,
December 16, 2011、al-Ra’y, December 16, 2011、Reuters, December 16, 2011、SANA, December 16, 2011、Sawt al-Kurud, December 19, 2011、Sham News Network, December 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダイル・ザウル県、ハサカ県、ラッカ県の部族長代表らがアサド大統領の改革支持・挙国一致を掲げる大会を開催、ロシアと中国がシリア情勢に関する安保理決議案を審議するための緊急会合の開催を求める(2011年12月15日)

アサド政権の動き

SANA(12月15日付)は、ダイル・ザウル県、ハサカ県、ラッカ県の部族長代表が、ダイル・ザウル市で大会を開き、アサド大統領の改革支持、挙国一致のための結束を確認したと報じた。

SANA, December 15, 2011
SANA, December 15, 2011

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SANA(12月15日付)は、ナジャーフ・アッタール副大統領がエジプトのメディア関係者の使節団と会談し、シリアの反体制運動に関して、「改革や民主主義とは関係ない」と述べたと報じた。

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人民議会は2012年度の予算を可決した。

SANA(12月15日付)によると、同予算は総額1,326,550,000,000シリア・ポンドで、前年度(835,000,000,000シリア・ポンド)より15.6%増。

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ロイター通信(12月15日付)によると、西側の経済制裁により、シリア・ポンドが下落していると報じた。

同報道によると、公定レートは3月時点の1ドルあたり47シリア・ポンドから54シリア・ポンドに下落、また闇レートは1ドルあたり59~62シリア・ポンドとなっている、という。

また外貨準備高は反体制運動発生以前の170億ドルから数十億ドルとなっており、また2011年のシリアの輸入総額は19億ドルに達するという。

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DPI(12月17日付)がカイロの複数の消息筋から得たところによると、アーディル・サファル内閣顧問のミハイル・サリーム・カースーハ氏がエジプトの著名な法律家とともに自家用ジェット機でカイロを訪問した。

『クッルナー・シュラカー』(12月17日付)によると、「ミハイル・サリーム・カースーハ」という名前は、総合上表局外務課のミシェル・カースーハ准将の外交パスポートに記載された氏名で、最近までフランスの大使館に勤務していたが、国外追放処分を受けたという。

同筋によると、カースーハ准将は、エジプトの左派やリビアのカッザーフィー政権支持者、さらにはシリア・ムスリム同胞団と接触し、アサド政権への支持強化、反体制勢力の弱体化の工作活動を行っているとされる。

反体制運動の動き

自由シリア軍のマーヒル・イスマーイール・ヌアイミー少佐は離反兵と軍・治安部隊との戦闘に関して、「軍であれ、治安機関であれ、シャッビーハであれ、民間人に対して武器を向けるあらゆる者に対して、我々は応戦し、可能な限りの損害を与える」と述べた。

また軍人への攻撃を行わないよう離反兵に呼びかけたシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長の声明に関しては、「この体制の軍の基盤に関する情報不足」に基づく内容と非難した。

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SANA(12月15日付)は、シリア外務省がムハンマド・バッサーム・アマーディー前大使(在スウェーデン、~2009年)を懲戒処分としたと報じた。

Kull-na Shuraka', December 15, 2011
Kull-na Shuraka’, December 15, 2011

同報道によると、アマーディー前大使は、英『タイムズ』紙とのインタビューでアサド政権を批判、これを受けるかたちで監督検査中央委員会が2008年以降の前大使の執務状況を調査し、大使在任中の汚職と違反の事実をつきとめ、3月18日付で職務停止処分と予防的措置として資産凍結を決定したという。

これに対して、アマーディー前大使は、トルコのイスタンブールで声明を出し、アサド政権による弾圧を非難、革命諸勢力、調整者、書評議会のための「国民会合」の発足を宣言した。

前大使によると、この新組織には地元調整諸委員会などからなり、反体制勢力の多数派を代表しているという。

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『イクティサーディー』(12月15日付)は、ヌーファル・アブドゥッラー人民議会議員が政党問題委員会に新党結成にかかる申請書を提出したと報じた。

新党の名は「民主前衛党」。「労働者人民勢力の同盟」をスローガンとし、平等、自由の実現をめざすとともに、自らを民族主義勢力と位置づけている。

新党結成にかかる申請は、シリア民主党、団結党に続いて3件目。

http://all4syria.info/web/wp-content/uploads/2011/12/Aliqtisadi.com-TaliaaPartyFounders.pdf

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クルド国民行動憲章連立加盟組織、シリア・クルド・ムスタクバル潮流、革命運動家や調整諸委員会の代表が新たなクルド人の政治的ブロックを発足することで合意したとの声明が発表された。

この声明は、シリア・クルド民主合意によるシリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)への参加表明に対抗した動きと見られる。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権の存続に言及することは、国民の要求と革命の目的からの逸脱であるとの姿勢を示し、「マイノリティ、マジョリティといった概念を廃することをめざす」と述べた。

反体制(武装)運動掃討

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町・ジーザ町・ブスラー・シャーム市間の交差点にある軍・治安部隊検問所で軍・治安部隊と離反兵が激しく交戦し、軍・治安部隊の兵士が少なくとも27人殺害された。

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ハマー県では、SANA(12月15日付)によると、ハマー市で、当局が、武装テロ集団の武器、弾薬、爆発物、電子機器などを大量に発見・押収した。

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ヒムス県では、SANA(12月15日付)によると、ヒムス市で、ムーサー・リファーイー退役空軍准将が武装テロ集団に誘拐された。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月15日付)によると、マダーヤー町で武装テロ集団がしかけようとしていた爆弾が爆発し、テロリスト1人が死亡、3人が負傷した。

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シリア人権監視団によると、イドリブ県、ヒムス県、ハマー県で軍・治安部隊と離反兵の戦闘で民間人、軍人合わせて33人が死亡した。

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地元調整諸委員会は、反体制運動が10ヵ月目に突入した12月15日、フェイスブック(http://ar-ar.facebook.com/LCCSy)で犠牲者数を発表した。

それによると、死者数は5,216人で、うち1,872人がヒムス県で殺害され、968人が離反兵だという。

諸外国の動き

ロシアと中国はシリア情勢に関する安保理決議案を国連安保理メンバー各国に回付、同決議を審議するための緊急会合を呼びかけた。

複数の消息筋によると、緊急会合は16日に開催される予定。

ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表は記者会見で決議案の内容に関して詳述しなかったが、複数の消息筋によると、それは、アサド政権による弾圧を非難し、制裁を科そうとするに西側諸国の決議に対抗するもので、アサド政権を含む「すべての当事者」の暴力を非難、その停止を呼びかける内容、だという。

なお制裁に関しては言及されていない。

西側消息筋が『ハヤート』(12月16日付)に語ったところによると、EUはロシアに対して、シリアに関する国連決議採択の必要を力説したのに対し、ロシアは外国の介入を認めないとの条件でこれを受け入れたという。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は訪問中のリビアのトリポリで、「日々行われる人道に対する犯罪」を改めて非難し、アサド大統領に退任を求めた。

フランス外務省のベルナルド・ヴァレロ報道官は、ヒムス県とレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地域の間の国境地帯でのシリア軍による市民への発砲(14日)に関して、「シリアの当局はレバノンの主権と領土を尊重せねばならない」と警鐘を鳴らした。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「By All Means Necessary」と題した報告書を発表した。

同報告書は軍・治安部隊の離反兵約60人へのインタビューをもとに、アサド政権による弾圧の実態を批判的に評価している。

http://www.hrw.org/sites/default/files/reports/syria1211webwcover_0.pdf

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イラーキーヤ・ブロックのウサーマ・ヌジャイフィー代表は、テレビでのインタビューで、シリア情勢打開に向けたマーリキー首相のイニシアチブを「前向きでない」と非難、アラブ連盟のイニシアチブを支援すべきだと述べた。

AFP, December 15, 2011、Akhbar al-Sharq, December 15, 2011, December 17, 2011、DPI, December 17, 2011、al-Hayat, December 16, 2011、al-Iqtisadi, December 15, 2011、Kull-na Shuraka, December 15, 2011, December 17, 2011、Naharnet.com,
December 15, 2011、al-Quds al-‘Arabi, December 15, 2011、Reuters, December 15, 2011、SANA, December 15, 2011などをもとに作成。

 

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イラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が閉幕、イスラエル国防軍公式ラジオの記者が「アサド大統領の指導下での民主化を国際社会が支持すべき」との見解を述べる(2011年12月14日)

アサド政権の動き

SANA(12月14日付)はイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が閉幕したと報じた。

会合では、シリアからイランへの輸出品68品目の関税率を60%引き下げる優遇措置が合意された。

SANA, December 14, 2011
SANA, December 14, 2011

会合後、アーディル・サファル首相がイランのアリー・ネクザード運輸大臣と会談し、シリア・イラン関係の維持強化を確認したと報じた。

反体制(武装)運動

ロイター通信(12月14日付)は、元政治犯でアラウィー派のムハンマド・サーリフ氏が、同氏の親戚4人がヒムス県ヒムス市で過去数週間の間に武装したスンナ派によって殺害されたと語ったと報じた。

サーリフ氏によると、親戚はアラウィー派であったために殺害されたという。

サーリフ氏はシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長が11月に発表した宗派主義的殺戮に反対する声明の作成にあたった人物。

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ハマー県では、複数の活動家によると、軍・治安部隊の発砲で13人が殺害された。

またシリア人権機構、シリア人権監視団によると、アシャーリナ村近くで離反兵が軍のジープ4台を要撃し、兵士8人を殺害した。

この要撃は、軍がハッターブ村で市民が乗った車を攻撃し、5人を殺害したことへの報復だという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ラジャート高原で離反兵と軍・治安部隊が交戦し、後者の兵士3人が負傷した。

また軍・治安部隊がフラーク市に侵入し、逮捕・追跡作戦を行った。

このほか、ブスル・ハリール市、ジャースィム市ではシリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊による砲撃が行われた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ゼネスト解除のためにルクンッディーン区に治安部隊が多数展開した。

シリア革命総合委員会によると、バルザ区で、ゼネスト解除のために治安部隊が展開した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で電話が不通となり、総合情報部施設近くで銃声が聞こえた。

ムウダミーヤト・シャーム市では、複数の活動家によると、治安部隊が家々に発砲した。

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イドリブ県では、サラーキブ市で活動家多数が逮捕された。

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ヒムス県とレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地域の間の国境地帯で軍・治安部隊が市民に発砲し、レバノン人2人(羊飼い)、シリア人5人が負傷した。負傷者たちはレバノン領内に搬送された。

MTV(12月14日付)によると、シリア軍はレバノン領内で発砲した。

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ラタキア県では、SANA(12月14日付)によると、ラタキア市で武装テロ集団がしかけた爆弾2発が発見され、爆発物処理班が撤去した。

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シリア人権監視団は、14日の死者が24人に達したと発表した。

24人中13人はハマー県で、5人はヒムス県ヒムス市、3人がイドリブ県マアッラトミスリーン市、1人がダルアー県、1人がダイル・ザウル県、1人(イラク人)がダマスカス郊外県ザバダーニー市で殺害されたという。

反体制勢力の動き

シリア・クルド民主合意は、シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)への参加を表明した。

シリア・クルド国民評議会(シリア・クルド国民大会)に関してはhttp://www.ac.auone-net.jp/~alsham/2011_10/27.htmlを参照。

レバノンの動き

レバノンの3月14日勢力事務局は定例会合を開き、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、アサド政権が事件の背後にいると主張するとともに、「ヒズブッラーも攻撃の責任を負っている。なぜなら同組織は南部とUNIFIL展開地域の治安を掌握しているからだ…。同組織が疑わしい活動に気づかないことなどあり得ない」と非難した。

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レバノンのヒズブッラーとアマル運動はサイダー市で幹部会合を開き、UNIFIL(フランス軍)に対する攻撃を非難するとともに、関係当局による事件の調査と容疑者逮捕を求める一方、UNIFILに対して国連安保理決議第1701号に従い、引き続きレバノン国軍の支援を行うよう強調した。

諸外国の動き

イラン外務省のアラブ・アフリカ問題担当のフセイン・ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン次官補は、カタールのハーリド・ビン・ムハンマド・アティーヤ外務担当国務大臣と会談し、シリア情勢に関して、国民の殺戮を支持しないとしつつも、アサド政権への圧力を拒否すると述べた。

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トルコ外交筋はAFP(12月15日付)に対して、キリス市にシリア人避難民を収容するキャンプ(総面積31.5ヘクタール)を建設中で、現在国境地帯に点在するキャンプで避難生活を送るすべてのシリア人を一カ所に収容すると述べた。

同報道によると、現在トルコで避難生活を送るシリア人の数は8,525人。

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国連の潘基文事務総長は記者会見で、シリア情勢に関して、「5,000人以上がシリアで命を落とした…。現状が続くことがあってはならない」と述べ、国際社会に対して行動を呼びかけた。

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米国務省でシリア問題を担当するフレデリック・ホフ氏は米議会の公聴会で、アサド政権を「生ける屍の集団」と形容、アラブ連盟のイニシアチブが失敗した場合、国際社会が体制による弾圧からシリア国民を保護するために行動すべきだと証言した。

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ヨルダンの首都アンマンで、シリア国民支援アラブ委員会(アリー・アブー・スッカル議長)が発足した。

同委員会はシリア国内での反体制運動の支援、シリア国民への救援などを目的とする。

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『フィナンシャル・タイムズ』(12月14日付)は、中化集団公司(シノケム)の傘下にあるエメラルド・エナジー社がEUの対シリア経済制裁に従うことに同意したと報じた。

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ガレイ・ザハル(イスラエル国防軍のラジオ)のアラブ問題記者ジャッキー・ホーギー氏はグローブス(12月14日付)に寄稿し、アサド大統領の指導下での民主化を国際社会が支持すべきだと述べた。

同記事によると、ホーギー氏は「彼(アサド大統領)が去れば、整然とその権威を継承する者などいないし、誰がどのように支配するかも分からなくなる…。アサドの退任を切望する者は、アラブ世界の心臓部分にあらたな不安定地点を生み出すことを主唱しているようなもので…そこにはリアルポリティクスが考慮されていない」と述べた。

また「シリアのバッシャール・アサド大統領が支援を必要としているのなら、西側は危機解決策を案出するため真摯な外交努力を行うべきだ」と付言した。

http://www.globes.co.il/serveen/globes/docview.asp?did=1000706768&fid=4111

AFP, December 14, 2011、Akhbar al-Sharq, December 14, 2011, December 15, 2011、The Financial Times, December 14, 2011、Globes-Onlines, December 14, 2011、al-Hayat, December 15, 2011, December 16, 2011、Kull-na Shuraka, December 14, 2011、MTV,
December 14, 2011、Naharnet.com, December 14, 2011、Reuters, December 14,
2011、SANA, December 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

イドリブ県で治安部隊による反体制武装勢力掃討が行われるなか、ダマスカスでイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が開始(2011年12月13日)

反体制(武装)運動

イドリブ県では、ロンドンを活動拠点とするシリア人権監視団によると、イドリブ市で殺害された市民の葬儀に参加した数千人に治安部隊が発砲し、6人が死亡した。

ファッティーラ村・カフル・ムーサー村間で拷問の跡が残った遺体が発見された。

ヒーシュ村で13人の兵士が離反、装甲兵員輸送車輌に放火したのに対し、軍が激しい発砲を加えた。

カフル・ヤフムール村を車で移動中のトルコ人(トルコ系サウジ人)のムニール・ムハンマド・ドゥーラール氏が治安部隊に射殺された。

これに対して、SANA(12月13日付)は、イドリブ県での反体制武装闘争掃討に関して以下の通り報じた。

アイン・バイダー村の国境警備隊が、トルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団15人を殺害した。

サラーキブ市近くでガーニム・イブラーヒーム・ハサン准将(アサド軍事工科大学付)が暗殺された。

マアッラトミスリーン市、カフル・ヤフムール村、ハザーヌー町で武装テロ集団が公共財産、私有財産を破壊し、住民を脅迫、うちハザーヌー町では軍・治安部隊が武装集団と交戦し、武装集団メンバー1人を殺害、武器を押収した。

アリーハー地方のムハムバル村近くでスーマル運輸刊行者のバスが武装テロ集団によって放火された。

ハザーヌー町で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団1人を殺害、多数を負傷させたと報じた。

カフルタハーリーム村では、武装テロ集団がしかけた爆弾3発を爆弾処理班が撤去した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で老人1人を含む2人が殺害された。

ラスタン市では大きな爆発が起こり、市内が完全に停電した。

12日深夜から13日未明にかけて、ラスタン市・タルビーサ市間でガス・パイプラインが爆破された。負傷者はなかった。

SANA(12月13日付)は、武装テロ集団の犯行と報じたが、シリア人権監視団は、「革命運動家、離反兵とは無関係」と発表し、シリア軍・治安部隊が同地域を空爆していたと反論した。

一方、『クッルナー・シュラカー』(12月13日付)は、ヒムス県ヒムス市内でアサド政権支持者が多く住む(アラウィー派地区の)ザフラー地区で配布されるはずであったマフルカート社のプロパンガスが、反体制活動が激しく続くバイヤーダ地区で、道路封鎖を行っていた若者らによって接収され、同地区住民に配給されたと報じた。

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ダルアー県では、複数の活動家によると、ヒルバト・ガザーラ町で爆発とともに激しい銃撃戦が起きた。

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なお、シリア革命総合委員会によると、約30人が軍・治安部隊によって殺害された。

アサド政権の動き

SANA(12月13日付)は、ダマスカスでイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が始まったと報じた。

会合はシリアのムハンマド・シャッアール経済大臣、イランのアリー・ネクザード運輸大臣が各国の代表を務めた。

会合では、経済、通商、投資関係強化を目的として四つの分科会を設置することで合意した。

なおSANA(12月13日付)は、この動きと並行して、イランの国会でシリア・イランの自由貿易協定に関する二国間合意が承認された、と報じた。

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ダマスカス県のサブウ・バハラート広場とヒジャーズ駅前で、アラブ連盟の対シリア経済制裁決議に反対する集会が開かれた。

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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は『ラアユ』(12月13日付)の取材に対して、報酬と引き替えに共和国ムフティーを辞任するよう反体制勢力に求められたことを明らかにした。

ハッスーン師はこれに対して、反体制勢力に改革プログラムを提示するよう求めたが、「だれも何も私に与えなかった」と述べた。

また息子の殺害に関して、「革命運動家たちは、大学から出てきた息子を殺した。なぜなら、私が彼らに加わることを拒んだからだ。彼らは私を殺すと脅迫している…」と明らかにした。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の使節団がカイロでアラブ連盟の高官と会談し、シリアへの監視団派遣に関する議定書、対シリア経済制裁、体制転換などに関して意見を交換した。

バスマ・カドマーニー報道官は、会談後の記者会見で、アラブ連盟が議定書に対するアサド政権の修正要求の一切を拒否したことを明らかにした。

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シリア・クルド国民大会(シリア・クルド国民評議会)の加盟組織、共同行動憲章の加盟組織、アファーヒー青年連立、クルド青年調整連合が一同に介して、クルド民族主義運動の統一に関して意見を交換した。

しかし、シリア・クルド国民大会(シリア・クルド国民評議会)へのクルド民族主義勢力の糾合、反体制運動への対応などで意見の統一には至らなかった。

SANA, December 13, 2011
SANA, December 13, 2011

諸外国の動き

ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は、安保理でシリアの人権状況について報告し、死者数が5,000人に達したと語った。

また安保理に対して、シリアにおける「人道に対する罪」を国際刑事裁判所に付託するよう提言した。

ピレイ国連人権高等弁務官は、約230人の証言をもとに、14,000人以上が逮捕され、少なくとも12,000人が周辺諸国で難民申請を行い、数万人が国内で避難していると報告し、またヒムス市の惨状に警鐘を鳴らした。

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ピレイ国連人権高等弁務官の報告を受け、西側諸国から対シリア圧力強化を主唱する発言が相次いだ。

ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、「躊躇を続ける安保理諸国は見解を変える必要があると考える」と述べ、国連安保理がシリア政府による反体制勢力への弾圧を非難するための行動をとるべきだとの立場を示した。

またフランスの国連代表は、シリアの現状に関して、安保理が「シリアで現在起きていることに関して道義的責任を負う」べきと述べた。

米国の国連副代表も、「安保理が数ヵ月間沈黙してきたことは非合理的だと考える」と述べた。

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これに対してシリアのバッシャール・ジャアファリー代表は、「人道的介入へと事態を導き、シリアの人権状況が危機的であるとの言説を定着させ、自らの干渉を正当化しようとしている」と述べ、ピレイ国連人権高等弁務官の報告を厳しく非難した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、チュニジアのムラード・マドリスィー外務大臣とモスクワで会談した。

会談後の記者会見でラブロフ外務大臣は、「反体制勢力内の武装過激派への圧力を拒否する者が、安保理の活動をロシアが妨害していると非難するなら、こうした立場は非道徳的だ」と述べた。

また、西側諸国の偏向した姿勢に関して、「シリアの合法的な当局に対する過激な武装集団の暴力を非難することを臨んでいない」と非難した。

さらに武装闘争を行う一部の反体制運動に関して、「彼らの目的が人道的な惨劇をもたらし、外国の介入を要求する際の口実にしようとしていることは疑う余地がない」と述べた。

他方、西側の制裁に関しては、「国民に悪影響が及ぶだけ」と拒否の姿勢を示した。

そのうえで「シリアへの外国の干渉は内戦とさらなる犠牲者をもたらすだけ」と述べるとともに、8月の国連での声明が「シリア人自身の対話を通じた政治的プロセスによって事態を正常化することを強調している」と指摘、「一部の安保理諸国がシリアに対する言動を変更することで、ダマスカスの体制転換について云々し、対話から手を引くよう呼びかけている」と非難した。

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バーレーンのハマド・ビン・イーサー国王は、『デイリー・テレグラフ』(12月13日付)に掲載されたインタビュー記事で、「我々の政府に反対する多くのバーレーン人が、シリアで教練を受けている複数の証拠がある」と暴露した。

ハマド国王によると、シリアによるバーレーン反体制派の支援は、シリアおよびイランをめぐる問題の関心をバーレーン、サウジアラビア、クウェートに反らすことが目的だというが、同国王のシリア・バッシングもまた、バーレーンの反体制勢力弾圧に対する不満や関心をシリア、イランへと反らそうとする動きとみなすことができよう。

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サウジアラビアに滞在するレバノンのサアド・ハリーリー前首相は、レバノン南部でのUNIFIL(フランス軍)攻撃やカチューシャ砲発射に関して、ツイッターで「レバノンの子飼いを通じたバッシャールからのシリアのメッセージだ」と綴った。

AFP, December 13, 2011、Akhbar al-Sharq, December 13, 2011、The Daily Telegraph, December 13, 2011、al-Hayat, December 14, 2011、Kull-na Shuraka, December 13, 2011, December 15, 2011、Naharnet.com, December 13, 2011、al-Ra’y, December 13, 2011、Reuters, December 13, 2011、SANA, December 13, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア全国で統一地方選挙の投票が実施されるなか、イラクのマーリキー首相がオバマ米大統領と会談しシリア情勢について議論(2011年12月12日のシリア情勢

統一地方選挙

統一地方選挙の投票が全国で実施された。

これに関して、SANA(12月12日付)は、約1400万人が投票を行ったと報じる一方、「選挙法にかかる2011年政令第101号の初めての実質的実施と見なし得るもので、人民議会および地方議会の議員選出を調整するための礎石となり、健全な選挙プロセス、立候補者の権利…、有権者の投票の自由…を保障する」動きだと評価した。

SANA, December 12, 2011
SANA, December 12, 2011

しかしSNN、オガレット・ニュース・ネットワークといった反体制メディアや調整連合などは、ダルアー県、スワイダー県ハウラーン地方、ヒムス県、イドリブ県の各都市では、ゼネストによって投票は完全にボイコットされたと反論した。

またシリア人権監視団は、「イドリブ県では数十人が投票場に行っただけ」と発表した。

反体制(武装)運動掃討

シリア革命総合委員会によると、イドリブ県で市民3人、ハマー県で3人、ヒムス県で1人が治安部隊の弾圧で殺害された。

またシリア人権監視団によると、軍・治安部隊と離反兵による戦闘がイドリブ県、ダルアー県で続いた。

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これに対して、SANA(12月12日付)は、イドリブ県アイン・バイダー村の国境警備隊が、トルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団15人を殺害したと報じた。

またサラーキブ市近くでガーニム・イブラーヒーム・ハサン准将(アサド軍事工科大学付)が暗殺された。

さらに軍・治安部隊とシャッビーハが、トルコ国境に近いマアッラトミスリーン市とカフル・ヤフムール村に突入し、17人を殺害した。

住民はこの突入に対して幹線道路を封鎖して対抗、また軍・治安部隊に離反兵が反撃したほか、イドリブ・バーブ・ハワー街道を巡回する治安部隊を襲撃し、士官1人を含む7人を殺害した。

一方、ダルアー県では、武装テロ集団がスィフム・ジャウラーン地方の治安維持部隊を襲撃し、隊員3人を殺害したと報じた。

またこれに対して、軍・治安部隊が応戦し、テロリスト4人を殺害したと報じた。

さらにヒムス県タッルカラフ地方で武装テロ集団が投票所を襲撃し、投票箱を奪ったが、関係当局がこれを奪還したと報じた。

またヒムス市内各所で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロ集団の指導者など多数を逮捕したと報じた。

ハマー県では、ムハルダ市近郊の街道に武装テロ集団がしかけた爆弾3発が爆発したと報じた。

反体制勢力の動き

武装闘争の是非をめぐって、シリア国民評議会と自由シリア軍の見解の相違が改めて浮き彫りになった。

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シリア革命支援委員会のマフムード・ハムザ代表はRT(12月12日付)に対して、シリア国民評議会が民間人保護のために国連での対シリア非難決議の採択を求めていると述べた。

また反体制抗議行動に関して「個人的に行われる一部の事件を除いて、100%平和的だ」と断じつつ、シリア国民評議会が自由シリア軍に「民間人支援のための政治的な支援」を求めていることを明らかにした。

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自由シリア軍メンバーでトルコのアンタキアで避難生活を送るアイハム・クルディー大尉はロイター通信(12月12日付)に対して、同軍がさらなる武器弾薬を必要としているとしたうえで、シリアが内戦、ないしは長期的紛争に突入することを回避するために外国の介入が不可避だとの見方を示した。

また同大尉によると、現在も小隊、連隊レベルでの離反が相次いでおり、その数は10,000人以上に達しているという。

レバノンをめぐる動き

レバノン南部県のUNIFIL展開地域のマジュダル・スィリム村のカースィーヤ渓谷からイスラエル領に向かってカチューシャ砲が発射された。

砲弾はイスラエル領に達せず、レバノン領内のフーラー村に着弾、女性1人(55歳)が負傷した。

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外務省のジハード・マクディスィー報道官は、フランスのアラン・ジュペ外務大臣が12月9日のUNIFIL襲撃へのアサド政権とヒズブッラーの関与を推定したことに「外務省はシリアとのこの行為とのいかなる関係をも断固として否定する」反論した。

またジュペ外務大臣の発言およびそれに類する発言が「いかなる証拠も書いており、シリアをめぐる事実のねつ造」をねらっていると指摘した。

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ヒズブッラーはフランスのアラン・ジュペ外務大臣の発言に関して声明を出し、そのなかで、「ジュペはシリアとヒズブッラーを露骨に非難した。しかし彼自身、自分の言葉を裏付ける証拠を持っていないと認めている」と述べ、UNIFIL(フランス軍)攻撃への嫌疑を否定した。

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はムフタール市での党祝典で、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、「我々は昨日ロケット弾によるメッセージを受け取った。これは危険なメッセージであり、レバノン領を経由し、レバノンの安定、南部、レバノン全土を犠牲として我々の隣国からフランスに対して送られたものだと思われる」と述べ、アサド政権の関与を示唆した。

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イスラエルの国営ラジオ(12月13日付)は、イスラエル治安筋の話として、ロケット弾がイスラエル領内のキルヤト・シュモナを標的としていたと述べるとともに、「ヒズブッラーの継続的な火遊びは治安悪化をもたらす」と非難したと報じた。

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『サフィール』(12月13日付)は、ナジーブ・ミーカーティー内閣閣議で、3月8日勢力の一部閣僚が、UNHCRが検討しているシリア人避難民の難民登録およびキャンプ設営措置に関して、「政治、行政、財政、治安、人口的」な負担との立場を示し、拒否したと報じた。

アサド政権の動き

『クドゥス・アラビー』(12月12日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会において、大統領の資格要件として、一部の委員が「大統領の宗教はイスラーム教である」との規定を削除することを求める一方、大多数の委員はこの提案に反対していると報じた。

同報道は複数の消息筋の話として、このほか大統領の任期は1期7年とし、資格年齢は40歳に戻されることが濃厚だという。

一方、公用語に関してアラビア語以外の言語を認定しないというのが委員全員の意見で、宗派マイノリティ、エスニック・マイノリティに関する規定も盛り込まない方針だという。

「バアス党は国家と社会を指導する党である」と定めた憲法第8条は廃止され、多党制が明記されるという。

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ファールーク・シャルア副大統領はムハンマド・リダー駐シリア・イラン大使と会談した。

複数のイラン消息筋によると、会談でシャルア副大統領は、イランとシリアの戦略的関係の重要性を強調するとともに、「米国と西側の各国体制は腐敗しており、中東地域の国民にアイデンティティを押しつけようとしている」と非難した。

一方、アラブ連盟によるイニシアチブに関して、「我々はアラブ連盟との対話に合意しているが、彼らはシリアにおける外国の干渉を拒否せねばならない」と述べた。

諸外国の動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相が米国を訪問し、バラク・オバマ大統領と会談した。

両首脳は、米軍のイラク撤退後の両国間の戦略合意の活性化に関して確認した。

だが、シリア情勢に関しては、認識の違いが浮き彫りになった。

すなわち、マーリキー首相は、アサド政権とシリアの反体制勢力の仲介におけるイラクのイニシアチブを強調し、アサド大統領に退任を要求する権利はないとの姿勢を明示したのに対し、オバマ大統領は、アサド政権の正統性が「国民を殺したことで失われた」と述べた。

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ガルフサンズ石油社によると、同社および中国シノケム社が西側諸国の対シリア経済制裁強化を受けるかたちで、シリア国内での操業を停止した。

またこれに先立ち、カナダのサンコール・エナジー社もシリア国内での操業中止を発表した。

Akhbar al-Sharq, December 12, 2011、AFP, December 12, 2011、al-Hayat, December 13, 2011、Kull-na Shuraka, December 12, 2011、Naharnet.com, December
12, 2011, December 13, 2011、al-Quds al-‘Arabi, December 12, 2011、al-Safir, December 13, 2011、SANA, December 12, 2011、Reuters, December 12, 2011などをもとに作成。

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軍・治安部隊がイドリブ県やダルアー県などの離反兵の拠点に激しい攻撃を加えるなか、地元調整諸委員会などが「尊厳のストライキ」と銘打たれたゼネストを各地に呼びかけ(2011年12月11日)

反体制(武装)運動掃討

『ハヤート』(12月12日付)によると、軍・治安部隊が対トルコ国境のイドリブ県ザーウィヤ山、ヒムス県内の対レバノン国境地域、ダルアー県の対ヨルダン国境地帯などの離反兵の拠点に対して激しい攻撃を加えた。

攻撃は離反兵の包囲、寸断を目的としているとされる。

もっとも激しい掃討作戦が行われたのはダルアー県のブスル・ハリール地方で、多数の離反兵が結集していたとされる。

同地は離反兵が身を隠すことができる丘、洞窟があり、ダマスカス郊外県へのアクセスも容易で、「生きた神経」と目されてきた。

軍・治安部隊が西側と南側から砲撃を行い、離反兵数百人がこれに応戦、多数の死者が出た模様。

なおイドリブ県ザーウィヤ山の戦闘では、シリア人権監視団によると、兵員輸送車2台が炎上した。

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『ザマーン・ワスル』(12月11日付)は、シリア軍の第18師団内で大規模な兵士の離反が発生したと報じた。

同師団は、ヒムス県内のヒムス市およびその郊外で反体制運動の弾圧活動を行ってきた部隊で、司令官はワジーフ・ハビーブ准将が務める機甲師団。

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一方、SANA(12月11日付)は、ヒムス県内、ヒムス・ファカルシュ街道で、アブー・リバーフ・ガソリン・スタンドのマーヒル・ガディール所長が武装テロ集団に暗殺されたと報じた。

またタッルカラフ地方で、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー1人を逮捕、複数を逮捕、武器を押収したと報じた。

ゼネスト

Kull-na Shuraka’, December 12, 2011
Kull-na Shuraka’, December 12, 2011

地元調整諸委員会などが「尊厳のストライキ」と銘打ってゼネストを呼びかけたが、市民の反応は二分された。

反体制勢力が続く、ヒムス県各地、ハマー県各地、イドリブ県ザーウィヤ山、ダルアー県各地、ダイル・ザウル県各地、ハサカ県カーミシュリー市など、ダマスカス郊外県各地(ハラスター市など)では呼びかけに答えて、商店主らが店を閉め、学生らは授業をボイコットした。

だが、ダマスカス県、アレッポ県アレッポ市、ラタキア県ラタキア市など主要都市を含むそれ以外の地域では、ゼネストの呼びかけに応える動きはほぼ見られなかった。

なおゼネストに応えた地域は、過去数ヵ月間にわたる弾圧によって、多数の住民が避難、逮捕、そして殺害され、都市機能が麻痺しており、同地域の市民らがゼネストに応えたのか、そもそも日常生活を送ることすらままならないのかを判断することは(反体制勢力が配信する映像からは)判断できない。

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地元調整諸委員会によると、治安部隊が、ゼネストを行う市民に対して、店を開けるよう脅迫、また「無差別発砲」を行い、民間人14人が殺害した。

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SANA(12月11日付)など、シリアの各メディアは、ほとんどの地域で市民が反体制勢力のゼネストに応じず、平常通りの日常を過ごしたと報じた。

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なお反体制勢力によると、尊厳のストライキは、以下6つの段階からなっている。①職場閉鎖、作業停止、携帯電話使用停止、②商店でのストライキ、③大学など教育機関でのストライキ、④交通機関のストライキ、⑤公共機関のストライキ、⑥国際幹線道路の封鎖。

Kull-na Shuraka’, December 12, 2011
Kull-na Shuraka’, December 12, 2011

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は『シュピーゲル』(12月11日付)に対して、「反体制勢力はもはや殺人者らと交渉する準備はしてない」と述べ、アサド政権との交渉・和解の可能性を否定した。

しかしその一方、「政府を代表せず、国家機関を代表している文民・軍当局と対話する準備はある…。我々はイラクが犯した過ちを繰り返したくない。我々は公共機関を維持したいと考えており、そのなかには治安機関、社会機関などがある」と述べた。

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シリア国民評議会の使節団はイタリアを訪問し、ジュリオ・テルツィ・ディ・サンタガータ外務大臣と会談した。

団長を務めたブルハーン・ガルユーン事務局長は、国際社会およびアラブ連盟に対してロシアに圧力をかけ、可能な限り早期に国連安保理決議採択を実現するよう呼びかけた。

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反体制活動家のミシェル・キールー氏は、RT(12月12日付)に対して、「国際問題化は国内の役割を廃し、弱化させる」と述べ、シリア情勢への諸外国の干渉に改めて疑義を呈した。

そのうえで、「3月に始まった大衆運動の原点に戻り、単一の人民という考え方に戻り、自由、民主主義、市民性、市民国家をめざす必要があり、いかなる理由であれ、内紛を回避しせねばならない。それが宗派的性格を持っているとしたらなおさらだ」と述べた。

一方、アサド政権との交渉の是非に関して、「移行期間の考え方を開放的にする必要がある…。十把一絡げに体制転換と要求するのではなく、国民的危機の解決策を案出するため政権幹部も参与する道が残されているということを納得させるためには」と述べたうえで、シリア国民評議会が「移行期間に関して交渉すること、さらには軍機関と協力することに同意したと発表した」と付言し、反体制勢力とアサド政権の交渉の可能性への期待感を示した。

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アルジェリア当局は、シリア国民評議会、シリア革命支援総合委員会が予定していた会合の開催を中止した。

同会合は、アルジェリア国内のシリア革命支援委員会が主催した連帯週間の一環として予定されていた。

アサド政権の動き

外務省のジハード・マクディスィー報道官は、「シリア軍は、国家に対して武器を向ける者たちから民間人を保護し、体制・治安を維持するために存在している」と述べた。

また「一部地域で起きている事に関して、平和的抗議行動という言葉はもはや当てはまらない」と付言した。

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ヨルダンのシリア大使館は声明を出し、首都アンマンにある領事部が委任統治領シリアの旗を持った集団に襲撃され、参事官、副大使、領事ら、侵入を阻止した大使館員数名が負傷したと発表した。

しかし反体制勢力はシャッビーハが暴行を加えたと主張している。

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『クッルナー・シュラカー』(12月11日付)は、バアス党が党員に対して統一地方選挙での投票を義務づける支持を通達したと報じた。

同報道はまた、携帯電話会社のシリアテルとMTNがSMSを通じて「あなたの投票が明日を作る」というメッセージを発信し、投票を促した。

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SANA(12月11日付)は、選挙最高委員会のハラフ・アリ=アッザーウィー委員長が第10期統一地方選挙の投票に合わせて定例会合を開催すると発表するとともに、立候補者、開票結果などを公開するためのウェブサイト(www.hce.gov.sy)を開設したことを明らかにした。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、フランス国際放送(12月11日付)に対して、レバノン南部県でのUNIFIL(フランス軍)襲撃に関して、「我々はシリアがおそらく(攻撃の背後に)いると考えているが、証拠はない」と述べ、シリアの関与を推定した。

またヒズブッラーがアサド政権の代わりに攻撃したと考えているのかとの問いに対して、「もちろんだ。ヒズブッラーは(レバノンにおける)シリアの武装部門だ」と応えた。

**

『ハヤート』(12月12日付)は、イラク高官の話として、イラク政府がアサド政権とシリアの反体制勢力双方から、イラクの仲介を活性化させるための「前向きなシグナル」を待っていると報じ、イラクがすでにアサド政権に仲介のための使節団をすでに派遣したとの一部報道を否定した。

なお同報道によると、シリアの反体制勢力は、イラクの仲介を「中立的」とみなしていない。

Akhbar al-Sharq, December 12, 2011、AFP, December 11, 2011、AKI, December 11, 2011、al-Hayat, December 12, 2011, December 14, 2011、Kull-na Shuraka’, December 11, 2011、Reuters,
December 11, 2011、SANA, December 11, 2011、Zaman al-Wasl, December 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

PKKのオジャラン前党首がアサド政権に対し反体制運動弾圧を支援するため「1000人の戦闘員を派遣する」とのメッセージを送付したと報じられる(2011年12月10日)

反体制運動掃討

シリア人権監視団によると、ヒムス県で民間人3人、ダルアー県(農村)で2人、イドリブ県(マアッラト・ヌウマーン市での葬儀)で4人が治安部隊の弾圧で殺害された。

またダマスカス郊外県のハラスター市では治安機関の拷問の末、市民3人(3週間前に逮捕されていた)が死亡した。

一方、ハマー県では、活動家によると、7人が負傷した。またシリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県ハジーン市に武装部隊が突入し、13人を逮捕した。

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一方、SANA(12月10日付)は、イドリブ県マアッラ・ニウマーンの発電ユニット救急センターを武装テロ集団が襲撃したと報じた。

またSANA(12月11日付)は、イドリブ県のハーン・シャイフーン地方で、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団指導者3人を殺害した。

さらにカフルタハーリーム町で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー多数を殺害、逮捕、武器を押収したが、軍・治安部隊兵士1人が戦死、6人が負傷したと報じた。

一方、ジスル・シュグール地方のアリーハー市内の行動を武装テロ集団が封鎖しようとして、軍・治安部隊と交戦した。

これにより、武装テロ集団メンバー1人が死亡、複数が負傷、軍・治安部隊兵士も複数名が負傷した。

ヒムス県では、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、フーラ地方で誘拐されていた男女11人を釈放した。他方、ヒムス市で消火活動に向かっていた消防車が武装テロ集団に襲撃された。

ハマー県では、当局が指名手配中の武装テロ集団メンバーと交戦し、3人を殺害し、8人を逮捕した。

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NNA(12月10日付)は、10日未明にシリアからレバノン領内(北部県アッカール郡)に負傷して避難してきたシリア人女性が搬送先の病院で死亡した、と報じた。

諸外国の動き

『シャルク・アウサト』(12月10日付)は、トルコの複数の消息筋の話として、PKKのアブドゥッラー・オジャラン前党首(トルコで収監中)がシリア政府に宛てたメッセージをトルコの諜報機関が入手したと報じた。

同報道によると、このメッセージは「2週間前にクルド民族主義者の拠点の一つで押収された文書の一つ」、そのなかでオジャラン前党首は、アサド政権による反体制運動弾圧を支援するため1,000人の戦闘員を派遣すると記されているという。

なお複数のトルコ筋によると、PKKの現指導部メンバーのほとんどはシリア出身のクルド人であり、またイラク領内のキンディール山地にはシリア出身のクルド人戦闘員が多く潜伏し、同地からトルコに対する武装闘争を行っている、という。

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AFP(12月10日付)は、トルコのアンタキア市(シリア領アレキサンドレッタ地方)で暮らす住民の多くは、アサド政権の改革を支持していると報じた。

同市の住民の多くはアレヴィー派。

トルコ国内のアレヴィー派の数は推計で数十万人で、その多くがハタイ県(アレキサンドレッタ)のアンタキア市などに暮らしている。

ハタイ県(アレキサンドレッタ地方)は1930年代、当時シリアを委任統治していたフランスからトルコに割譲され、現地住民らによる激しい抵抗が行われた。

この運動を指導したザキー・アルスーズィー氏はその後、ダマスカスでアラブ・バアス党(現在のアラブ社会主義バアス党)を結成した。

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『ハヤート』(12月11日付)は、対シリア経済制裁を審議するためにカタールのドーハで開催予定だったアラブ連盟外相会議が延期となったと報じた。

延期の理由は、ナビール・アラビー事務総長からワリード・ムアッリム外務大臣へのメッセージの回答を待つため。

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潘基文国連事務総長はジャズィーラ(12月11日付)で、「アサド大統領はシリアの大統領として、現在起きていることすべてに対する責任を負っている。彼は、国民保護という重要な責任を果たさねばならない。改めて、国民殺戮を直ちに停止するよう求める」と述べた。

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フランスのベルナール・ヴァレロ報道官は、シリア情勢に関して「ヒムスに対する治安部隊の軍事攻撃準備に関する情報に深い懸念」を表明し、アサド政権による民間人弾圧を強く非難した。

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米国のヴィクトリア・ノーランド報道官は、ヒムスへの「攻撃が行われた場合、シリア政府は責任を免れない。アサド大統領は、行われるあらゆる殺戮作戦の責任者とみなされるだろう」と述べた。

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英国の中東担当大臣も同様の懸念を表明した。

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サウジアラビア滞在中のサアド・ハリーリー・レバノン前首相は、UNIFIL(フランス軍)の攻撃に関して、ツイッターで「バッシャールからの別のメッセージだ」と綴り、アサド政権の関与を疑った。

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米国務省のジェニファー・ラサミマナナ中東・北アフリカ局担当報道官は、反体制テレビ局のオリエント・ニュースのインタビュー(12月10日付)に応え、米国がシリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認するだろうと述べた。

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アラブ議会連盟のアリー・サーリム・ディクバースィー議長はシリア情勢に関して「集団虐殺」が行われていると非難した。

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アサド大統領との単独インタビューを行ったABCの取材チームは、アサド政権が国内での自由な取材を約束したにもかかわらず、ダルアー県への訪問を「武装集団の攻撃の危険がある」との理由があるとして認めなかったことを明らかにした。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、反体制運動弾圧で負傷した市民をヒムス市で治療してきたイブラーヒーム・ナーヒル・ウスマーン医師がトルコ国境で治安部隊によって殺害されたと報じた。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はオーストリア外相と会談した。

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シリア国民評議会メンバーでアラウィー派のムンズィル・マーフース氏は、シリア国内のアラウィー派の大多数は反政府だ、と断じた。

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3月15日革命殉教者委員会は、反体制運動弾圧で死亡した4,300人の氏名を公開した。

http://all4syria.info/web/wp-content/uploads/2011/12/Torture-Victims-in-Syria.xls

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、統一地方選挙においてバアス党が作成した立候補者のリスト「国民統合リスト」に進歩国民戦線加盟政党のシリア共産党ユースフ・ファイサル派の立候補者が記載されていないと報じた。

ファイサル派排除の背景に関して、同報道は、反体制デモに同派の青年組織が参加しているためと報じ、メンバーの一人バッシャール・アフマド氏が8月1日に逮捕され、刑事裁判所ダマスカス第三法廷で裁判を受けていることを明らかにした。

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SANA, December 10, 2011
SANA, December 10, 2011

SANA(12月10日付)は、ダマスカス県のサブウ・バハラート広場で数千人の市民がロウソク集会を開き、軍・治安部隊の犠牲者を追悼したと報じた。

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SANA(12月10日付)は、タルトゥース県タルトゥース市で、青年らが組織する社会団体が、バアス党タルトゥース支部前に国内で2番目に大きい垂れ幕を掲揚し、会場に多くの支持者が集まったと報じた。

SANA, December 10, 2011
SANA, December 10, 2011

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『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、国内の灯油、ガス供給状況に関してレポートした。

同レポートによると、灯油の価格は15シリア・ポンドから27シリア・ポンドに上昇しているという。

またプロパンガスは、反体制運動が行われている地域では、1ボンベあたり、270シリア・ポンドから1,000シリア・ポンドに上昇している。

しかし、共和国護衛隊隊員などが多く住む地域には十分な供給がなされているという。

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フェイスブックはシリア・アラブ・テレビのページを閉鎖した。これに関してシリアのラジオ・テレビ機構は声明を出し、真実を隠蔽する試みだと非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月10日付)は、アーディル・サファル首相がスワイダー県知事に宛てた書簡で、「デモ抑止基金」を設置し、デモ参加者の反体制活動を抑止するため可能な限りの物的支援、金銭的支援を行うよう指示したと報じ、文書のコピーを掲載した。

AFP, December 10, 2011、Akhbar al-Sharq, December 10, 2011、al-Hayat, December 11, 2011、Kull-na Shuraka’, December 10, 2011、NNA, December 10,
2011、Reuters, December 10, 2011、SANA, December 10, 2011, December 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

レバノン南部でUNIFIL偵察車輌を標的とする爆弾攻撃が発生する一方、米国・NATOの軍事専門家がトルコ領内で離反兵に対する軍事教練を行っていると報じられる(2011年12月9日)

反体制(武装)闘争掃討

『ハヤート』(12月10日付)によると、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県など各地で金曜礼拝後に反体制デモが発生し、数千人が参加した。

シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると治安部隊の発砲で少なくとも35人が殺害された。

シリア革命総合委員会によると離反兵3人を含む40人が殺害された。

一方、SANA(12月9日付)は、ヒムス県、ダルアー県、イドリブ県、ラタキア県で、武装テロ集団の襲撃により、少女1人を含む市民2人、大佐1人が殺害され、市民4人と治安維持部隊13人が負傷したと報じた。

なお反体制勢力は「尊厳のストライキの金曜日」と銘打って、12月11日日曜日にゼネストを呼びかけた。

al-Hayat, December 10, 2011
al-Hayat, December 10, 2011

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で子供2人(10歳、12歳)を含む9人が殺害され、アクラブ町で14歳の少年が殺害された。

またクサイル市、タールドゥー市でも治安部隊がデモ参加者に発砲した。

一方、SANA(12月9日付)によると、シンシャール村で武装テロ集団によって士官1人が暗殺された。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、2人が殺害された。

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アレッポ県では、アレッポ市のサラーフッディーン地区などでデモが発生した。治安部隊はモスクに続く道を封鎖するなどの対抗措置をとっていたという。なおシリア革命総合委員会によると、1人が殺害された。

al-Hayat, December 10, 2011
al-Hayat, December 10, 2011

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、女性1人と12歳の少女が殺害された。

一方、SANA(12月9日付)によると、タファス市で、武装テロ集団の襲撃によって少女1人が殺され、治安維持部隊兵士5人と市民4人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で1人が殺害された。

またサクバー市、ドゥーマー市で離反兵と治安部隊が激しい交戦を行い、クドスィーヤー市のモスクでデモが発生し、ヒムス市包囲に抗議した、という。

一方、SANA(12月9日付)によると、ドゥーマー市で、爆発物処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾3発を撤去したが、別の3発は撤去前に爆発した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市で1人が殺害された。

一方、SANA(12月9日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市では、「関係機関」が、武装テロ集団に拉致されていたアウドゥッラー・アブー・ヌクタ准将を釈放した。

またサラーキブ市で電力省の貨物車輌3輌が武装テロ集団に襲撃されたという。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家によると、ダイル・ザウル市で治安部隊が催涙弾を使用し、デモ排除を試みた。

アサド政権の動き

SANA, December 9, 2011
SANA, December 9, 2011
SANA, December 9, 2011
SANA, December 9, 2011

SANA(12月9日付)は、ダマスカス県、タルトゥース県のタルトゥース市、バーニヤース市、アレッポ県のアレッポ市、スワイダー県のサルハド市、ヒムス県ヒルバト・ハマーム村、ヒムス市ワーディー・ザハブ地区、ダーヒヤト・ハーリド・ブン・ワリード地区、カラム・ザイトゥーン地区、ハサカ県のハサカ市などでアサド政権を支持する大規模集会が開催されたと報じた。

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シリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は記者会見を開き、ABCが放映したアサド大統領のインタビューに関するニュースと、アサド大統領のインタビューでの実際の発言を比較し、ABCのニュースがアサド大統領の発言の内容をゆがめていると批判した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は、ロイター通信(12月9日付)に対して、民間人の保護のための軍事作戦を控え、「自衛的措置」に活動を限定するよう自由シリア軍に要請したと述べた。

この発言に関して、『ハヤート』(12月10日付)は、国内で政権の弾圧に実際に対抗し、武装闘争をしている自由シリア軍のメンバーとシリア国民評議会の間に「緊張が高まっている」と報じた。

シリア国民評議会と自由シリア軍は先日、両組織の活動を調整することで合意しているが、こうした緊張の高まりは、国内で活動する離反兵、戦闘員を両組織(とりわけ自由シリア軍)が掌握していないことを示すものと考えられる。

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シリア国民評議会は、声明を出し、ヒムス市での「虐殺」の危険に警鐘を鳴らした。

UNIFIL襲撃

レバノンの南部県スール市の街道で走行中のUNIFIL偵察車輌を標的とする爆弾が爆発し、フランス兵5人と民間人2人が負傷した。

爆発現場には深さ1メートルのクレーターができた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、「テロ行為」と非難し、犯人逮捕と事件再発防止への意思を示した。

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ナジーブ・ミーカーティー首相も「国際平和維持軍のだけでなく、レバノンおよび南部県の治安と安全を標的としている」と強く非難した。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長(アマル運動書記長)は、「UNIFILに対するテロ攻撃はレバノンと南部県の不安定化をねらったものだ…。爆破はイスラエル人に資するだけだ」と非難した。

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ヒズブッラーは声明を出し、「レバノンの治安当局がこのような攻撃を終わらせるため最大の努力を行うことを求める」と発表した。

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マルワーン・ハマーダ国民議会議員(民主会合ブロック)はAFP(12月9日付)に対して、「シリアが今日起きたことの背後におり、メッセンジャーがヒズブッラーであることは明白だ…。この地域ではヒズブッラーの同意なしに何も起きない」と断じた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は「卑劣な行為」と非難した。

一方、ベルナール・ヴァレロ外務省報道官は、「我々は今のところ、特定の勢力を批判するような情報を得ていない」と述べ、事件とシリアでの反体制運動弾圧の関係を断言するには至っていないことを明らかにした。

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国連の潘基文事務総長は、報道官を通じて強い批判の意を表した。

諸外国の動き

『ミッリイェト』(12月9日付)は、米国とNATOの軍事専門家が、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)で離反兵に対して軍事教練を行っていると報じた。

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アラブ連盟のアフマド・ベンフッリー事務副長は『ハヤート』(12月10日付)に対して、ナビール・アラビー事務総長が、アラブ監視団のシリアへの派遣受諾に関してシリア政府が示した条件への回答をワリード・ムアッリム外務大臣に送り、それに対するシリア側の再回答を待っていることを明らかにした。

『ハヤート』(12月10日付)によると、アラビー事務総長の回答のなかで、シリアの条件の是非を判定するにはアラブ外相会議で審議する必要があるとの立場を示しているという。

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アラブ連盟のハーリド・ブン・ナーイフ・ハッバース事務総長顧問は『ハヤート』(12月10日付)に対して、アラブ諸国、諸外国が、アサド大統領とその家族の亡命先提供を条件に、アサド大統領に退任を受け入れさせようと努力している、と述べた。

UAEが受け入れに応じる姿勢を示しているほか、東欧が候補となっているという。

なおシリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は「事務局長からの回答を受け取った。現在検討中である」と述べた。

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BBC(12月9日付)は、シリア政府が対トルコ国境通過地点2カ所を閉鎖したと報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、シリアの内政に干渉することを望まないとしつつ、「地域の安全保障が危機に曝されれば、沈黙してはいられないだろう」と述べた。

またダウトオール外務大臣は、アサド大統領に対して「もし誠実であるのなら」、デモ参加者に対する殺戮を「処罰」するよう求めた。

一方、アサド大統領のABCでのインタビューに関して「治安部隊が過ちを犯す可能性があることを認めているようなものだ」と評した。

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レバノンの進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、『マジャッラ』(12月9日付)のインタビューに応え、シリアのドゥルーズ派は反体制抵抗運動の抑圧に関与すべきでないと述べた。

またヒズブッラーに関して、「ヒズブッラーの武器はイスラエルに対抗することが主たる任務だ…。シリアの体制と何から何まで連帯するべきでない」と述べた。

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イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は、イラーキーヤ・チャンネルのインタビュー(10月9日付)で、イラク政府が「シリア国内外の反体制勢力と接触しているが、武装集団と我々は関係がない」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、アサド大統領のABCでのインタビューでの「国連が信頼できる機関だと誰が言ったのか?」という発言に対して、「信頼性のある重文な情報が政府軍の手で4,000人以上が殺害されたことを示している。人権理事会はそのことを様々な出所を通じて実際に明示した。これらの出所は完全に信頼できるものだ」と反論した。

また、ナバネセム・ピレイ人権高等弁務官も記者会見で「実際に目撃した証人の証言、スカイプを通じて国外に発信された多くの情報」に依拠した被害報告だとしたうえで、「シリア大統領に易々とこれらのことを拒否する資格などない」と反論した。

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サウジアラビアのトゥルキー・ファイサル前総合情報庁長官は、シリア情勢に関して、アサド大統領は自ら権力の座を去ることはないだろうとしつつ、アラブ連盟がシリアでの虐殺に手をこまねいている訳にはいかないと述べた。

AFP, December 9, 2011、Akhbar al-Sharq, December 9, 2011, December 10, 2011、BBC, December 9, 2011、al-Hayat, December 10, 2011、al-Majalla, December 9, 2011、Naharnet.com, December 9, 2011、Reuters, December 9, 2011、SANA, December 9, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会と国民民主変革諸勢力国民調整委員会が反体制勢力の統一大会の開催などに関して原則合意、アラブ連盟事務総長が訪問先のバグダードでイラク政府に対しシリア制裁をめぐる姿勢変更を求める(2011年12月8日)

反体制(武装)闘争

SANA(12月8日付)は、ヒムス県のヒムス精油所北西に位置するスルターニーヤ地方で、シリア石油輸送社が所有する石油パイプラインが犯罪破壊集団に破壊されたと報じた。

しかし地元調整諸委員会は、軍の砲撃によるものと非難した。

SANA, December 8, 2011
SANA, December 8, 2011

ヒムス石油精製所は、政府の発表によると380,000バレル/日の石油を生産し、国内の需要の多くをまなかっている。

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ヒムス県では、SANA(12月8日付)によると、タッルカラフ地方で当局が武装テロ集団が隠していた大量のPRG弾や中距離迫撃砲などを押収した。

またサダド地方で、税関当局が武装テロ集団と交戦し、テロ集団メンバー複数と税関当局職員1人が負傷した。

一方、シリア人権監視団、シリア革命総合委員会などによると、ヒムス市で少なくとも9人が治安部隊の攻撃で殺害され、フーラでは8人が負傷した。

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イドリブ県では、サラーキブ市の放送局近くで離反兵と軍・治安部隊が交戦し、軍の兵員輸送車輌が爆破された映像が公開された。

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ダルアー県では、複数の活動家によると、離反兵を逮捕するためタイバ町に治安部隊が突入した。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家によると、ドゥーマー市、マダーヤー町で離反兵と治安部隊が交戦した。

アサド政権の動き

SANA, December 8, 2011
SANA, December 8, 2011

アサド大統領はダマスカスを訪問したレバノン・ドゥルース派聖職者の使節団(レバノン民主党のタラール・アルスラーン党首を団長とする約70人)と会談した。

SANA(12月8日付)によると、使節団は、シリアと地域を分断しようとする陰謀に対抗するシリアの政府、国民を支持するとの立場を表明した。

これに対して、アサド大統領は「シリアは国民のおかげで、そしてまた同胞である友好的な人々の支援ゆえに協力である…。シリアは現状を克服し、いかなる圧力のもとでもその姿勢、原則、そして主権を放棄しない」と述べたという。

使節団はその後、ドゥルーズ派が多く住むスワイダー県を訪問した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月8日付)は、12月12日投票予定の統一地方選挙の投票会場となるダマスカス県内の学校に、投票用紙が詰め込まれた投票箱が運ばれたと報じた。

反体制勢力の動き

AKI(12月8日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、カイロで続けられている在外の反体制組織であるシリア国民評議会と、シリア国内で活動を行う国民民主変革諸勢力国民調整委員会の間で行われている準備会合で、アラブ連盟主催による反体制勢力の統一大会の開催などに関して原則合意に達したと報じた。

同合意によると、統一大会には100人から150人が参加し、うち20%の参加者は両組織にいずれにも属さない無所属活動家とし、残り80%は両組織で等分するという。

また、現体制の完全な打倒、外国の軍事介入の拒否、国際法に基づく民間人の保護、すべての政治犯釈放、平和的デモ継続に向けた行動といった一般原則に関しても合意した。

さらに多元的民主制を確立するための体制転換期をめぐっても合意した、という。

Kull-na Shuraka', December 8, 2011
Kull-na Shuraka’, December 8, 2011

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シリア国内で活動する反体制勢力の重鎮リヤード・トゥルク氏(シリア人民民主党前書記長)は声明を出し、イランとヒズブッラーに対して、アサド政権を支持しないよう呼びかけた。

同声明でトゥルク氏は、「ヒズブッラーの戦略的な的はイスラエルであって、アラブ諸国、とりわけシリアの革命ではないはずだ…。この党がシリア革命の行方にいかなるかたちで介入しても、シリアの革命、党自体、そして同党をシリアと結びつけるであろう将来にまったく資さない…。私は、この党の指導部に対して、専制的で崩壊が避けられない体制を支援するのでなく、ハマースの指導部のように沈黙していて欲しいと考えていた」と述べた。

一方、イランに関しては「イラン政府には、シリア国民の正当な要求を見て見ぬふりをし、シリアの独裁体制や国民に対する犯罪行為を無条件で支持している者がいる」。

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ジャズィーラの女性キャスターのルーラー・イブラーヒーム氏は、フェイスブックの自らのページで以下のようにつづりシリア国民評議会など反体制勢力のメディアへの対応を非難した。

「シリア国民評議会や反体制勢力のメンバーの多くが、早朝にメディアと話すことを拒んでいます。電話でもです。今日も、その一人が我々の同僚に「真夜中に電話してくるな」と怒鳴りました。6時45分だったのに。あなたたちにはまぶたを閉じて寝る権利はあります。あなたたちがくつろぐことが大事だと思っています…。不愉快な思いをさせてすみません」。

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Kull-na Shuraka', December 8, 2011
Kull-na Shuraka’, December 8, 2011
Kull-na Shuraka', December 8, 2011
Kull-na Shuraka’, December 8, 2011

シリア・クルド青年調整連合は声明を出し、アサド政権が国籍を取得したクルド人に徴兵義務にただちに服すよう求めていることを明らかにし、すでに徴兵年齢を越えた国籍回復者の徴兵免除と、国籍回復者への補償を求めた。

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『インディペンデント』(12月8日付)は、トルコ領内の対シリア国境地域を取材し、自由シリア軍がイドリブ県内の対トルコ国境沿いに位置するアイン・バイダー村を拠点に反体制武装闘争を行っていると報じた。

同報道によると、自由シリア軍のメンバーのなかには、離反兵だけでなく、反体制デモを行ってきた民間人も参加している、という。

また「トルコで多くの人々がアスアド(自由シリア軍司令官)の召集を待っている」という。

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『シャルク・アウサト』(12月8日付)は、自由シリア学生連盟の話として、アレッポ大学での学生の反体制デモで150人以上の学生が逮捕されたと報じた。

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俳優のムハンマド・アール・ラシー氏が、反体制デモに参加したとの容疑で、ダマスカス県内の自宅で逮捕された。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は訪問先のバクダードで会見し、アラブ連盟監視団のシリアへの派遣に関する議定書をめぐる問題に関して、「イラク政府は…我々はシリア政府と接触し、問題を終わらせると述べた」と述べ、イラク政府が問題解決において「重みと能力」を持っていることを強調した。

また「ボールは今、シリアのコートにある…。もし経済制裁を停止して欲しいなら、署名せねばならない…。彼らはいつでも来て署名できる」と付言した。

イラク政府筋によると、アラビー事務総長はヌーリー・マーリキー首相との会談で、対シリア経済制裁に関するイラクの姿勢変更を求めるための提案を示した。そのなかには、1990年のクウェート侵攻以降の対イラク国連制裁決議など、イラクと一部アラブ諸国の関係改善を疎外する問題の撤廃などが含まれていたという。

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一方、イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は、イラクがアラブ連盟の大多数の国々の決定に反対しないとしつつ、イラクの立場を理解して欲しい、と述べた。

また対シリア制裁をめぐる姿勢が、マーリキー内閣のイラン寄りの姿勢によるものだとの見方に関しては、これを否定し「これは、自由で、独立した、主権に基づく決定で、我々の国益に基づいている」と述べた。

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アラビーヤ(12月8日付)は、アラブ監視団のシリアへの派遣にかかるアラブ連盟議定書の署名に関して、ロシアがアサド政権に圧力をかけ、条件付きでの署名を求めたと報じた。

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フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官は記者会見で、アサド大統領のABCでのインタビューに関して、「正義を逸脱している」と述べ、弾圧・殺戮の責任はないとした大統領の発言を厳しく批判した。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、シリア情勢に関して、軍事的解決はないとの見方を示した。

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国連安保理で、シリア情勢に関する会合が開かれ、フランスがナバネセム・ピレイ人権高等弁務官を招聘し、シリアにおける人道に対する犯罪に関して意見を聴取することを提案した。

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ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は訪問中のレバノンでマロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教と会談し、「シリア国民に対するシリア政府の蛮行を終わらせるべく国際社会と地域の努力を支援」するよう求めた。

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サウジアラビアに「避難」中のレバノンのサアド・ハリーリー前首相は、ツイッターでアサド政権に関して「余命は限られていると思う…。自発的、ないしは力ずくかでシリアを去らざるを得ない」と綴った。

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イスラーム教ウラマー世界連盟は、シリア国民評議会への支持を改めて表明した。

AFP, December 8, 2011、Akhbar al-Sharq, December 8, 2011, December 9, 2011、AKI, December 8, 2011、Alarabia.com, December 8, 2011、Facebook、al-Hayat, December 9, 2011、The Independent, December 8, 2011、Kull-na Shurakā’, December 8, 2011、Naharnet.com, December
8, 2011、Reuters, December 8, 2011、SANA, December 8, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, December 8, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が米ABCによるインタビューに答え「我々は国民を殺していない」と断言、反体制勢力「共に」運動がダマスカスで第1回大会(2011年12月7日)

シリア・アラブの春(シリア革命2011)顛末記

2011年12月7日のシリア情勢

アサド政権の動き

米ABCがバッシャール・アサド大統領との単独インタビューを報じた。

アサド大統領の主な発言は以下の通り。

SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011

「率直に言うと…、あなた(アサド大統領にインタビューしたバーバラ・ウォルター氏)はここ(シリア)に住んでいない。どのようにこれらのこと(子供を含む民間人の弾圧や拷問)を知ったのか?ここに来て実際に見てみなければならない…。それ(子供の拷問)は正しいニュースではない…。私は(拷問された子供の)父親と会った。子供の父親も子供もメディアで言われているように拷問されたことはなかったと言っている」。

「国連が信頼できる機関だと誰が言ったのか?」(国連人権理事会がシリアでの死者数が4,000人を越え、人道に対する罪が行われているとの決議を採択したことに関して)

「殺害された人の多くは政府を支持していた、その逆ではない…。(治安機関などによる)蛮行のすべては個人によるものでもなく、特定機関によるものでもないということを理解しなければならない…。弾圧政策と一部の高官による過ちとの間には違いがある。大きな違いがあるのです」。

「我々は国民を殺していない。国民を殺す政府などない。もし政府が狂った人間に指導されていれば別だが」。

「我々は自分たちが民主的国家だなどと言ったことはない…。我々は計画に向かって進んでいる…。完全な民主制になるには時間と成熟が必要だ」。

「国民を守るために最善を尽くしてきた…。最善を尽くしているときに罪悪感など感じることはできない。失われた命に対して済まないとは感じる。しかし人を殺していないのに有罪だと感じるだろうか。つまり有罪に関わる問題ではない」。

http://abcnews.go.com/International/defiant-syrian-president-bashar-al-assad-denies-ordering/story?id=15098612#.Tt9a8XK3Nv8
http://abcnews.go.com/International/bashar-al-assad-interview-defiant-syrian-president-denies/story?id=15098612&page=2

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、アサド大統領のインタビューでの発言に冠して、「合衆国をはじめとする多くの国々はシリアでの悲惨な暴力とアサド政権が犯したことを非難することで一致しており、何が起きているか、そして誰がそれに責任を負っているかをよく知っている」と非難した。

カーニー報道官はまた「インタビューを観た人のなかにアサド氏の答えに信頼に値するものがあったと考える者がいるとは思えない」と付言した。

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これに対してシリアのジハード・マクディスィー外務省報道官はただちに記者会見を開き、「シリアには憲法に基づき国の治安と安全を守る任務に就く部隊がある。すべての者が責任のもとに行動しており…、これは司法のしくみに従っている」と述べ反論した。

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SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011

アサド大統領は法律第23号を発止、一部食糧品、サービスに対する消費支出税の税率引き下げを決定した。

対象となったのは、ホテル、食堂などでのサービス料、植物油、動物油など。

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『クッルナー・シュラカー』(12月7日付)は、ダマスカス県の複数の情報筋の話として、県職員幹部に対して、統一地方選挙でバアス党、さらにはアサド政権支持者を支援するよう口頭で要請があったと報じた。

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SANA(12月7日付)は、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市で、アラブ連盟の経済制裁に反対する集会が実施されたと報じた。

SANA, December 7, 2011
SANA, December 7, 2011

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サーイル・クドスィー人民議会議員はフェイスブックで12月1日の人民議会の会合で現政権と反体制勢力からなる挙国一致内閣の発足を提案した、と綴った

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AKI(12月7日付)は、アラブ連盟の対シリア経済制裁やEUの追加制裁により、シリア・ポンドが闇レートで1ドル60ポンドまで下落した、と報じた。

反体制勢力の動き

「共に」運動はダマスカスで第1回大会を開催した。

国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役、ダマスカス国民民主宣言のリヤード・サイフ前人民議会議員、タイイブ・ティーズィーニー氏、ムハンマド・ムリッス氏、マイ・スカーフ女史が来賓として招かれた。

大会は来賓による講演のち、国内の平和やマイノリティの役割を保障するための各委員会、他の政治組織との調整を行うための各委員会を設置、それそれが部会を開き、審議を行った。

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AKI(12月7日付)は、アレッポのカルディア派司教区のアントワーン・ウードゥー区長がイタリア司教会議のメディアを通じて、「シリアはアサドとともにあろうがなかろうが、自らの路を進み続けることができるだろう…。国民はリビアで起きたような暴力を回避する路を選択せねばならない」と述べたと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(12月7日付)は、ハサカ県カーミシュリー市で、取材した市民に「灯油危機など存在しない」と言わせようとしたドゥンヤー・チャンネルの特派員が市民によって追放されたと報じた。

これ以前にも、反体制デモを取材しようとした同チャンネルのカメラマンがデモ参加者の若者に殴打され、追放されていたという。

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シリア国民評議会渉外担当責任者で在米のラドワーン・ズィヤーダ氏は、アサド大統領が国連人権高等弁務官事務所が発表した犠牲者数に疑義を呈したことに関して、「自身が犯した刑事犯罪への責任を否定する前兆」と非難した。

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AFP(12月7日付)は、トルコに避難しているシリア人の多くが、トルコ当局の一部が避難民をシリアに引き渡していることに恐怖を感じていると報じた。

反体制(武装)闘争

イドリブ県では、複数の目撃者によると、サラーキブ市の対トルコ国境付近で離反兵と軍・治安部隊が交戦した。シリア人権監視団によると、同地での軍・治安部隊の逮捕・追跡活動により、少なくとも3人の活動家が逮捕された。

またシリア人権監視団によると、ザーウィヤ山に近いラーミー村に軍・治安部隊の車輌約50輌が突入した。これにより、16歳の少年1人が殺害され、20人が負傷した、という。

このほか、トルコに向かう国際幹線道路での軍と離反兵との戦闘での負傷者複数名がハーン・シャイフーン市で死亡した。

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ヒムス県では、複数の目撃者・活動家によると、過去2日間にわたる軍・治安部隊の大規模な砲撃により、多数の住民が避難した。

シリア人権監視団によると、市内の離反兵が兵員輸送車輌を破壊した。離反兵は民間人によってかくまわれ、市内で活動しているという。

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ハマー県では、複数の目撃者・活動家によると、ハマー市のスィバーヒー交差点に軍・治安部隊の戦車・装甲車が多数展開、また市内各所で軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行った。

ハマー市郊外で離反兵と軍・治安部隊が交戦し、離反兵3人が殺害された。またハマー市のフーラ地区で女性1人が射殺された。

一方、SANA(12月8日付)は、シリア軍がハマー県内でアレッポ街道を寸断しようとしていた武装テロ集団と交戦し、「テロリスト」1人を殺害したと報じた。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、治安部隊がアレッポ大学の工学部に突入し、反体制デモを行った学生多数を逮捕した。

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ダマスカス郊外県では、ハラスター市、カフルバトナー町で治安部隊が大規模な逮捕活動を行った。

諸外国の動き

トルコの通商大臣はNTVで「シリアからの商品に対して30%の関税を科すだろう」と述べ、追加制裁の発動を示唆した。

またトルコ政府は、エジプト製品の海路による直接輸入と、イラク製品に陸路よる直接輸入を開始したと発表した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問中のリトアニアで記者団に対して、アラブ連盟によるシリア危機解決に向けたイニシアチブは「シリアをめぐるアラブ連盟の計画に関して、忍耐と責任を示す必要がある」と述べた。

また「我々は連盟のイニシアチブを支持するが…、このイニシアチブが警告になることにはきっぱりと反対する」と述べ、それが外国の干渉の口実になることへの警戒感を示した。

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イラクのアブドゥルハリーム・ズハイリー首相顧問(政務担当)は、シリア・イラク関係に関して「イラクはその運命をアサド大統領と共にはしない。すべての可能性に対処し、そのなかには体制崩壊も考慮されている。しかしこの可能性の影響を恐れている」と述べた。

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レバノンのマロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教はのマロン派司教会議後に「地域の緊張や分断をレバノンにもたらすことでは、アラブの大義との結束を示すことにはならない」と述べ、シリアの混乱がレバノンに波及することへの警戒感を示した。

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『ラアユ』(12月7日付)は、米高官が、ロバート・フォード米シリア大使のシリア帰国に関して、「アサド体制はいつ崩壊する」か分からないなか、「ポスト・アサド段階におけてシリア人の国家建設を支援するためだ」と述べたと報じた。

ABC, December 7, 2011、AFP, December 7, 2011、Akhbar al-Sharq, December 7, 2011、AKI, December 7, 2011、al-Hayat, December 8, 2011, December 9, 2011、Kull-na Shuraka’, December 7, 2011、Naharnet.com, December 7, 2011、al-Ra’y, December 7, 2011、Reuters, December 7, 2011、SANA, December 7, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ナスルッラー書記長が3年超ぶりに大衆の前に姿を現しアサド政権への支持を改めて表明、シリア国民評議会のメンバーらがジュネーブでクリントン米国務長官と会談しポスト・アサド体制について議論(2011年12月6日)

ヒズブッラー書記長の演説

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がアーシューラーを記念してベイルート郊外(ダーヒヤ)に姿を現し、支持者らの前で演説、アサド政権への支持を改めて表明、シリアの反体制勢力を非難した。

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ナスルッラー書記長が大衆の前に姿を現すのは、2008年7月以来初めてで、会場には数十万人が集まった。

演説で、ナスルッラー書記長はシリア情勢に関して以下のように述べた。

「我々の立場は当初から明確だ。我々はシリア政府が同意し、シリア国民が主唱している改革を支持している…。また我々はレジスタンスを行い…、レジスタンス運動を支援してきた国家を支持する…。しかしシリアで改革、安全、治安、対話、国民の平和を望まず、破壊を望んでいいる者がいる…。イスタンブールで結成され、一部の西側・アラブ諸国が支持するシリア国民評議会は、米国とイスラエルへの信任状を提示した…。シリアにおいて(反体制勢力によって)求められているのは、改革、汚職撲滅、多元主義などではない。裏切りと屈服の体制だ…」。

http://www.youtube.com/watch?v=l30bz-9R-48

http://www.youtube.com/watch?v=l30bz-9R-48

反体制(武装)闘争

イドリブ県では、SANA(12月6日付)によると、アイン・バイダー村のシリア・トルコ国境地域において、トルコ側から武装テロ集団約35人が潜入を試み、国境警備隊が交戦の末にこれを阻止した。

同報道によると、この交戦によって、武装テロ集団メンバー多数が負傷し、一部はトルコ側に逃げ去った。

また逃げ去ったトルコ領内では、逃げ帰った負傷者らを搬送する車の音が聞こえた、という。国境警備隊側に死傷者はなかった。

しかし、トルコ外務省は、シリア側のこの報道を否定した。

またシリア革命総合委員会によると、県内で1人が治安部隊によって殺害された。

このほか、複数の活動家によると、カフルタハーリーム村に、17台の軍車輌が侵入し、弾圧を行った。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市で21人が治安部隊によって殺害された。

複数の活動家によると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区では、12回にわたった爆発音が聞こえ、激しい銃声が鳴り響いた。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市ズハラー地区でシャッビーハに誘拐されたとされる市民34人の遺体が発見された。ズハラー地区はアサド政権支持者が多く住む地区。

これに対し、SANA(12月6日付)は、武装テロ集団が、空軍パイロットのクサイ・ハーミド・ムスタファー大佐をヒムス市マサーキン・ミスファー地区にある自宅前で襲撃、暗殺したと報じた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団と地元調整諸委員会によると、ダーイル町で離反兵と軍が激しい交戦を行う一方、治安部隊が同市周辺地域で大規模な逮捕・追跡活動を行った。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、1人が治安部隊によって殺害された。

一方、SANA(12月6日付)によると、ハマー県郊外で、武装テロ集団が、教員2人を誘拐、殺害した。

またこのほかにも市民3人を惨殺したという。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家によると、ハラスター市で共和国護衛隊に援護された治安部隊が逮捕・追跡活動を行った。

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アレッポ県では、シリア・クルド青年調整連合アレッポ調整委員会は声明を出し、アレッポ大学経済学部前で学生が反体制デモを行ったと発表した。

しかしまもなく治安部隊が排除し、学生数十人を逮捕したという。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はパリでCNN(12月6日付)のインタビューに応え、イランがシリア国民の弾圧に「荷担している」と非難し、アサド政権支持を止めるよう求め、「これが、シリア・イラン関係に関して我々が望んでいない結末を回避する最後のチャンスだ」と警告した。

ガルユーン事務局長はまた、レバノンのヒズブッラーに関して「シリア国民は、ヒズブッラーを完全に支持していた。しかし今日、国民はヒズブッラーがこの善意に答えず、自由のためのシリア国民の闘争を支持していないことに驚いている」と述べた。

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シリア国民評議会メンバー7人からなる使節団がヒラリー・クリントン米国務長官とジュネーブで会談した。

使節団は、ブルハーン・ガルユーン事務局長、バスマ・カドマーニー報道官、ハイサム・マーリフ弁護士ら。

会談でクリントン米国務長官は、「体制打倒以上の内容の民主的平和的プロセス」を保障し、ポスト・アサド体制において、「法による支配、人権尊重を宗派、人種を問わず保障する」ことを反体制勢力に求めた。

シリア国民評議会のナジーブ・ガドバーン氏(在米)は、ヒラリー・クリントン米国務長官との会談で、評議会の使節団が、「ボスニア紛争時のようにシリアの民間人を保護するための回廊の設置を求めた」と述べたうえで、同回廊の設置が「ある種の航空禁止空域の設定」をもって始動するべきだとの考え方を示した。

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その後、シリア国民評議会の使節団(ガルユーン事務局長ら)はアルジェリアへと発った。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、評議会のメンバーがEU議会でのシリア情勢に関するシンポジウムで、300万人の生活必需品が不足しているとしたうえで、事態が「急速に悪化し、深刻な人道的危機に達しつつある」と窮状を訴えたと述べた。

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トルコのアンタリアを拠点とするシリア変革大会のアンマール・カルビー事務局長とウマル・ミクダード氏は、アンカラのドイツ大使館の招きで西側諸国10カ国の代表と会談した。

カルビー事務局長はこの会談で、アサド政権打倒や反体制勢力統合の必要を訴えた。

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12月6日、英国のスカイ・ニュースがヒムス県への潜入ルポを放映した。

http://www.youtube.com/watch?v=j4OtU7ZqaFs&feature=player_embedded

http://www.youtube.com/watch?v=j4OtU7ZqaFs&feature=player_embedded

アサド政権の動き

AFP(12月6日付)は、ABCがアサド大統領に単独インタビューを行ったと報じた。西側のテレビ局が大統領にインタビューするのは3月以降で初めて。12月7日に放映予定。

諸外国の動き

イスラエルのエフド・バラク国防大臣は、占領地ゴラン高原での軍事演習後に、アサド政権の崩壊は「数週間ないしは数ヶ月」という時間の問題だと述べた。国防相が明らかにした。

またアサド政権が崩壊し、シリアの反体制勢力が先進兵器を接収しないよう、ヒズブッラーがこれらの兵器をシリアから持ち出そうとしていると警鐘をならした。

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『サバフ』(12月6日付)は、トルコがシリアに対シリア経済制裁と合わせて、シリアの諜報機関との協力を停止したと報じた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、ヨルダン上院外交委員会で、シリア情勢に関して「アラブの家の枠組みのなかでシリア情勢を解決する」ことを支持すると述べ、西側諸国や国連の介入に消極的な意思を示した。

またアラブ連盟の対シリア経済制裁に関しては、「ヨルダンにはシリアと経済的な利益をともにし、国境、水をめぐる問題を共有し、シリアには多くのヨルダン人学生がいる。それゆえ、経済制裁に関する例外を近隣諸国に設けるよう求めた」と述べた。

ヨルダン公式筋によると、ヨルダン政府は、対シリア経済制裁の被害を抑えることを任務とした経済セクター最高委員会を設置した。

一方、信頼できる消息筋が『ハヤート』(12月7日付)に述べたところによると、ヨルダンの銀行は、連盟の制裁発動前にシリア中央銀行やシリア商業銀行との取引を停止していたという。

これは西側諸国などがすでに科している対シリア経済制裁の被害が及ぶことを回避するための措置だとのこと。

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米高官は、10月下旬にシリアから「避難していた」ロバート・フォード米大使が12月7日にダマスカスに戻ることを明らかにした。

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『ハヤート』(12月7日付)は、アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長の話として、ナビール・アラビー事務総長がシリア政府からの議定書調印に関するメッセージへの対応として、事務局長による回答、緊急外相会議の会合という二つの選択肢があり得ると報じた。

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ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官は、イタル・タス通信(12月6日付)に対して、ロシアがシリアに監視団を派遣する準備があることを明らかにした。

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フランスの石油会社Total社は、EUによる対シリア追加制裁に応じるかたちで、「授業員の安全を何よりも確保するため」、ダイル・ザウル県でのガス開発計画など、シリア国内での操業を停止したと発表した。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は、フランス議会で演説し、シリア情勢に関して内戦突入への懸念を表明し、アラブ連盟イニシアチブに「完全なる機会」を与えるべきだとしたうえで、「我々はシリア政府に対して圧力をかける一方で、反体制勢力に対話にふさわしい状況を準備するよう話している」と述べた。

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『タイムズ』(12月6日付)は、複数のパレスチナ高官の話として、ハマースがダマスカスから事務所やメンバーを退避させようとしていると報じる。

同報道によると、この動きは、ハマースがアサド政権への支持を控えるようになったことをうけたもので、これと関連してイランがハマースへの資金供与を停止すると脅迫している、という。

AFP, December 6, 2011、Akhbar al-Sharq, December 6, 2011, December 8, 2011、al-Hayat, December 7, 2011、Kull-na Shuraka’, December 7, 2011、Naharnet.com, December 6 ,2011、Reuters, December 6, 2011、SANA, December 6 ,2011、al-Shuruq, December 6, 2011、The Times, December 6, 2011、Youtubeなどをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟事務総長がアラブ監視団派遣に関する議定書をシリアが「条件付きで受諾」したと述べる一方、アサド政権は12月12日に控える統一地方選挙への各県ごとの立候補者数を公表(2011年12月5日)

アラブ連盟をめぐる動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は12月4日(日曜日)にワリード・ムアッリム外務大臣から受け取ったメッセージに関して、「これまで聞いたことのない新たなことが含まれている」と述べ、シリア側がアラブ監視団派遣に関する議定書を条件付きで受諾する意思を示したことを明らかにした。

アラビー事務総長はこの「条件」に関してアラブ諸国の外務大臣と検討中で、現在まだのところ結論には達してないとしつつ、対シリア経済制裁に関しては、10月27日の決議で発動が決定済みで、その解除には新たな決議を採択する必要があると述べた。

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シリアのジハード・マクディスィー外務省報道官は、ムアッリム外務大臣のメッセージに関して、「条件」を示したのではないとしたうえで、シリア側の理解に基づきアラブ連盟の行程表に協力する意思を改めて明らかにした。

SANA, December 5, 2011
SANA, December 5, 2011

マクディスィー外務省報道官は「条件とは協力の構造や本質が変わったときに示されるべきものだが、シリアが提示したものはその構造、本質のいずれにも抵触していない」と述べた。

なお『ハヤート』(12月6日付)によると、ムアッリム外務大臣が12月4日にアラビー事務総長に伝えたメッセージは、①議定書の署名をカイロの連盟本部でなく、ダマスカスで行う、②シリアの内政問題への外国の介入拒否という姿勢を議定書案と不可分なものとする、③シリアの加盟資格停止など、シリアの代表不在のなかで採決された決議・決定を破棄する、④合意内容を文書化する、といった内容が含まれている。

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ヨルダン外務省のムハンマド・カーイド報道官は、アラブ連盟の対シリア経済制裁に関して、同国が通商部門、航空機乗り入れを制裁対象から除外することを求めたと述べた。

ヨルダンの公式統計によると、2000年以来、ヨルダンはシリアに対して1,400,000ディーナール(2,000,000,000ドル相当)を輸出、シリアからは35,000,000,000ディーナール(5,000,000,000ドル相当)を輸入しており、サーミー・カムーフ産業通商大臣によると、ヨルダンの貿易収支の60%をシリアに依存している。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月5日付)は、統一地方選挙に関して、12月12日の投票日を1週間後に控えているにもかかわらず、各地での選挙運動はほとんど行われていないと報じた。

同報道によると、ダマスカス県で選挙運動を行っているのは、ハイサム・アブー・ハルブ氏(第4区)、シリア共産党バクダーシュ派のジュムア・ミッリー氏(第3区)だけだという。

また一部の県では反体制(武装)運動により選挙そのものも実施できないという。

なおSANA(12月5日付)が発表した各県の立候補者数は以下の通り:

立候補者総数:42,889人
ダマスカス県数1,926人
ダマスカス郊外県:4,146人
ヒムス県:3,655人
アレッポ県:7,850人
ラタキア県:3,083人
タルトゥース県:3,040人
イドリブ県:2,706人
ダイル・ザウル県:3,245人
ハマー県:1,921人
ラッカ県:2,473人
ハサカ県:4,353人
ダルアー県:2,127人
スワイダー県:1,603人
クナイトラ県:828人

また選挙区総数は1,335(153市、501村、681自治体)。

一方、内務省のハサン・ジャラール民事担当次官は、ハサカ県の外国人(クルド人)に対して、同県などで身分証明書取得申請を済ませ、統一地方選挙の投票登録を行うよう呼びかけた。

シリア商業銀行は、シリア・ポンドの為替レートを1米ドル=54シリア・ポンドに引き下げると発表した。

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SANA(12月5日付)は、ヒムス県東部のラカーマー村および同村周辺の住民が外国の介入拒否、アサド政権の改革支持を訴えるデモ行進を行ったと報じた。

SANA, December 5, 2011
SANA, December 5, 2011

反体制(武装)闘争をめぐる動き

シリア人権擁護連盟は、治安当局がシリア軍の士官・兵士64人を逮捕し、サイドナーヤー軍事刑務所(ダマスカス郊外県)に収監したと発表し、その氏名を公開した。

逮捕者の内訳は、大佐2人、中佐2人、少佐3人、大尉7人、中尉18人、少尉12人、軍曹4人、兵卒16人。

また同連盟は、11月初めにタドムル軍事刑務所(ヒムス県)に収監されていた逮捕者に対して「体系的な集団粛清」が行われたと発表した。

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シリア人権監視団などは、アサド政権による反体制運動弾圧に関して、以下の通り発表した。

ヒムス県:ヒムス市のダイル・バアルバ地区で、犠牲者の葬儀に参列していた会葬者に対して、治安部隊が発砲、市民4人が殺害され、5人が負傷した。また市内の国立病院近くで治安部隊の発砲により市民1人が殺害された。

ダルアー県:ダーイル町で離反兵が、中尉1人、警官1人を含む3人の軍・治安部隊要員を殺害した。また学生30人が逮捕された。

ダマスカス郊外県:ハラスター市での反体制デモに参加した学生10人が治安機関に逮捕された。反体制派の学生は親体制派の学生や治安当局の嫌がらせを受けているという。

ラタキア県:ジャブラ市でアサド大統領を侮辱したとされる高校生8人が逮捕された。またラタキア市のティシュリーン大学の学生60人が退学となった。

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一方、SANA(12月5日付)は以下の通り報じた。

ヒムス県:ヒムス市ハーリディーヤ地区で、治安維持部隊が武装テロ集団メンバー3人を殺害し、7人を負傷させ逮捕。市内の国立病院に向けて武装テロ集団が発砲する一方、農業局職員を乗せたバスを襲撃。ラスタン市で指名手配者8人を逮捕し、武器を押収。フーラ地方で1人を殺害。

イドリブ県:ザーウィヤ山でテロリスト11人を逮捕。

ラタキア県:ラタキア市スライバ地区で爆発物処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(12月5日付)は、トルコ政府がシリア国民評議会や自由シリア軍への支援を強めるなかで、PKK系のクルド民族主義反体制組織である民主統一党が、アサド政権の打倒をめざす反体制勢力支持と、アサド政権支持という二つの路線に備えて準備を始めた、と報じた。

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シリア国民評議会は声明を出し、国内各地の調整委員会などが12月11日からの開始を呼びかけているゼネストに関して、シリア国民に対して参加を呼びかけた。

なお12月12日は統一地方選挙投票日。

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『クッルナー・シュラカー』(12月5日付)は、「シャッビーハ」がダルアー県選出の者フィーク・ハリーリー人民議会の息子を誘拐し、身代金500,000ドルを要求したと報じた。

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シリア情報表現の自由センターは、映画監督のフィラース・ファイヤード氏が、11月30日から12月1日にかけて、訪問中のUAE(ドバイ)からシリアに空路で帰国する途中失踪した、と発表した。

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国連の潘基文事務総長は、クナイトラ県ゴラン高原のUNDOF展開地域内の村々で反体制デモが発生していることを明らかにした。

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『シュルーク』(12月5日付)は、シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サリーム報道官に対するインタビュー記事を掲載した。

同記事によると、サリーム報道官は「大国は、ゴラン高原における対イスラエル国境を保護者である政権(アサド政権)に代わり得る体制を探せないでいる」と述べる一方、イランが、アサド政権延命のためにイラクのヌーリー・マーリキー内閣、サドル潮流、そしてレバノンのヒズブッラーとともに結んでいる「宗派主義的結束」は「役にたたない」との見方を示した。

諸外国の動き

ジョー・バイデン米副大統領は、滞在中のイスタンブールで記者団に対して、アサド政権の崩壊は必ずしも大規模な宗派紛争にはならないとの見方を示した。

またアサド政権崩壊後、シリアへの支援のありようを再検討する旨合意したが、具体的な内容については議論しなかったと述べた。

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フランスのエリック・シュヴァリエ在シリア大使は12月5日、ダマスカスに戻った。

AFP, December 5, 2011、Akhbar al-Sharq, December 5, 2011、al-Hayat, December 6, 2011, December 7, 2011、Kull-na Shuraka’, December 5, 2011、Reuters, December 5, 2011、SANA, December 5, 2011、al-Shuruq, December 5, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

イドリブ県内の空軍情報部の複合施設で兵士複数名による離反が発生するなか、サファル内閣がトルコによる対シリア経済制裁発動への4点の対抗措置を承認(2011年12月4日)

アサド政権の動き

SANA(12月4日付)は、アーディル・サファル内閣が閣議を開き、トルコによる対シリア経済制裁発動への対抗措置に関して審議したと報じた。

同報道によると、この審議で以下4点が承認された。

1. シリア・トルコ自由通商協定の停止
2. トルコからのすべての輸入品に対する30%の課金
3. トルコに出国するディーゼル車輌に対して、排気量に応じて、灯油1リットルあたり80シリア・ポンドを徴収。
4. トルコの貨物車輌に対して、積載可能重量×総今日距離×0.02ユーロを徴収。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流は声明を出し、アサド政権に対してアラブ監視団受け入れに関するアラブ連盟の議定書を受諾するよう改めて求めた。

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『ワタン』記者のムハンマド・アミーン氏が12月4日付で声明を出し、「革命支持」を表明した。

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シリア情報表現の自由センターは、シリア・ヨルダン国境で反体制活動家のラッザーン・ガザーウィー女史が逮捕されたと発表した。

同女史はアンマンで開催されるアラブ世界報道の自由擁護会合に出席する予定だった。

反体制武装闘争をめぐる動き

複数の活動家によると、イドリブ県にある空軍情報部の複合施設で、3日晩から4日未明にかけて複数の工作員が離反し、施設を脱走した。

脱走に際して離反工作員と治安当局の間で交戦があったという。

イドリブ市のある活動家によると、離反兵が同複合施設近くに集結し、逃走を支援した模様。

『ハヤート』(11月5日付)によると、「秘密警察」における離反はこれが初めてだという。(筆者注:しかし、諜報機関や治安維持機関などからの離反は、フェイスブックなどで配信されている離反兵の映像などによるとたびたび行われている)

またシリア人権監視団によると、イドリブ県マアッラ・ニウマーン地方北部の検問所で治安当局が小型バスに発砲し、8人を殺害した。

一方、SANA(12月5日付)は、イドリブ県で治安維持部隊が武装テロ集団を追跡し、多数を殺害、逮捕し、大量の武器を押収したと報じた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安機関が車に発砲し、子供3人を含む4人を殺害した。

またラスタン市近郊のイッズッディーン町でも民間人2人が殺害された。

一方、SANA(12月5日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区でバアス大学のミヤーダ・スユーフィー教授が武装テロ集団の襲撃で殺害されたと報じた(シリア人権監視団は市内の検問所で殺害されたと発表している)。

また同報道によると、ヒムス市の別の地区でも市民複数が武装テロ集団によって殺害された。

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SANA(12月5日付)は、ダイル・ザウル県で爆弾を仕掛けようとしていた武装テロ集団のメンバーを治安維持部隊が発見し、殺害したと報じた。

諸外国の動き

トルコのザフェル・チャーラヤン経済大臣はシリア・トルコ自由通商協定停止などのシリアによる対抗措置に関して、「シリア国民、工場主、輸出業者、プロジェクト関係者を制裁している」と非難した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は『ハヤート』(12月5日付)の取材に対して、シリアのワリード・ムアッリム外務大臣がアラブ監視団受け入れに関する議定書の署名の是非に関して「2、3日の猶予」を求めてきたことを明らかにした。

アラビー事務総長はそのうえで「とにかく、彼らには好きなだけ時間はある。しかしアラブ諸国はあらゆる分野、セクターでシリアをボイコットすることを決定した…。ボイコットはすでに始まっている」と述べた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相は、ジョー・バイデン米副大統領の訪問を受けるかたちで、シリア情勢に関して、シリア国民評議会にバグダード訪問を呼びかけた。

法治国家ブロックのイフサーン・ヤースィーン議員は『ハヤート』(12月5日付)に対して、「シリアの体制が誰からも明らかなように、鉄拳支配を行う権威主義体制である現下において、イラクはシリアのデモ参加者の要求を支持している…。しかしこの問題にいかに対処するかをめぐるイラクの視点は他の国の視点とは異なっている」と述べた。

そのうえで同議員は「イラクはシリア国民評議会などのシリアの反体制勢力にバクダード訪問と危機の平和的解決のための対話を呼びかける」と述べつつ、「経済制裁は体制ではなく、シリア国民に打撃を与える、我々はイラクで同じような経験をした」と述べ、制裁に疑義を呈した。

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ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は訪問先のアンマンで記者団に対して、シリアでの「野蛮な弾圧」を停止させるための平和的な方法を検討している、と述べた。

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レバノンの進歩社会主義党党首、ワリード・ジュンブラート議員は、自身の誕生日に合わせて声明を出し、レバノン特別法廷をめぐる3月14日勢力と3月8日勢力との対立そのものを批判、シリアでの危機をめぐりレバノンが内戦に陥る危険に対処するべきだと主唱した。

AFP, December 4, 2011、Akhbar al-Sharq, December 4, 2011、al-Hayat, December 5, 2011, December 6, 2011、Kull-na Shuraka’, December 3, 2011,
December 4, 2011、Naharnet.com, December 4, 2011、Reuters, December 4, 2011、SANA,
December 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

各地で軍・治安部隊による治安作戦が継続し死傷者が発生するなか、アラブ連盟外相会議において対シリア経済制裁に関する実行技術委員会の提言が審議される(2011年12月3日)

反体制武装闘争

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市内の県庁、政治治安部支部、警察署などが隣接する中心街で軍・治安部隊と離反兵が3時間にわたって交戦し、軍・治安部隊兵士および警察官7人と、離反兵5人、民間人3人、合わせて15人が死亡した。

またアリーハー市では治安部隊がデモ参加者に発砲し、2人が殺害され、サラーキブ市で軍・治安部隊の兵員輸送車輌が爆破された、という。

しかしSANA(12月3日付)によると、サラーキブ市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト2人を殺害、多数を負傷させた。

またジスル・シュグール市南部のジャーヌーディーヤ町で、武装テロ集団が市民を襲い、1人が殺害され、2人が負傷し、ジスル・シュグール街道で武装テロ集団が旅客バスを襲撃し、市民1人を殺害した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で、軍・治安部隊が突入し、民間人1人が死亡した。

しかしSANA(12月3日付)によると、治安維持部隊が治安関連施設を襲撃した武装テロ集団と交戦し、1人を殺害した。

また爆弾処理班がヌアイマ村のモスク前に武装テロ集団がしかけた爆弾を撤去した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区で治安部隊の狙撃により、民間人6人が殺害された。

またラスタン市でも同様に2人が殺害され、タッルカラフ市では少なくとも27人が逮捕されたという。

しかしSANA(12月3日付)によると、関係当局がタッルカラフ市で武器・麻薬密輸で指名手配中の容疑者数十人を逮捕した。

また民間人と軍人を殺害・誘拐してきた武装集団メンバー14人を逮捕したという。

さらに、ヒムス市郊外で武装集団メンバー3人を逮捕し、大量の武器を押収し、ヒムス街道ズフーリーヤ交差点で労働者を載せたバスが武装テロ集団に襲撃され、女性労働者1人が死亡、10人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(12月3日付)によると、関係当局はハマー市郊外で武装集団メンバー36人を逮捕し、大量の武器を押収した。

またハマー市では爆弾処理班が武装テロ集団がしかけた爆弾2発を撤去した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(12月3日付)によると、ドゥーマー市で爆弾処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去した。

その他の反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は訪問先のブルガリアの首都ソフィアで「我々が安保理に何よりもまず求めているのは、無実の民間人を保護するしくみを構築することである」と述べた。

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反体制活動家のムハンマド・シャウワーフ氏はフェイスブックで、妻がイタリアで「シャッビーハ」に誘拐され、拷問を受けていると発表した。

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シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、RT(12月3日付)に対して、国連人権理事会による対シリア非難決議を「客観性をもった決議」と述べた。

アサド政権の動き

SANA(12月3日付)は、ラタキア県ジャブラ市で市民数千人が外国の内政干渉拒否、アサド政権改革支持を訴える集会に参加した。

またラタキア市ではハールーン広場での若者による座り込みが3日目に入った。

彼らは外国の内政干渉拒否、アサド政権改革支持を訴えている。

SANA, December 4, 2011
SANA, December 4, 2011

アラブ連盟の動き

アラブ連盟外相会議がカイロのアラブ連盟本部で開催され、対シリア経済制裁に関する実行技術委員会の提言を審議した。

会合では委員会が作成した制裁対象リストを承認したうえで、シリア国民に対する弾圧に関与した疑いのあるビジネスマン、アリー・マムルーク総合情報部長、ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長をリストに加えるよう求めた。

これにより制裁リストには以下19人が列記された:

ダーウド・アブドゥッラー・ラージハ国防大臣
ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣
アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ軍事情報局長
アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)
ルストゥム・ガザーラ准将(軍事情報局ダマスカス支部長)
マーヒル・アサド大佐(共和国護衛隊)
アイマン・ジャービル
ムハンマド・ジャービル
ジャミール・ハサン空軍情報部長
ジャーミア・ジャーミア准将(軍事情報局ダイル・ザウル支部長)
ハーフィズ・マフルーフ大佐(総合情報部)
アーティフ・ナジーブ前政治治安部ダルアー支部長
ドゥールヒンマ・シャーリーシュ共和国護衛隊大統領治安局長
ファイサル・クルスーム前ダルアー県知事
ムンズィル・アサド
ファウワーズ・アサド
ラーミー・マフルーフ
アリー・マムルーク総合情報部長
ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長

またシリア政府に対してアラブ監視団派遣に関する議定書および危機解決に向けたアラブ・イニシアチブを4日(日曜日)までに受諾するよう改めて求めた。

また近隣諸国が示した戦略物資などの対象除外品目リストに関しても承認し、リストを完成させるとともに、トルコ、ヨルダン、湾岸諸国を経由した通商路確保を検討するよう委員会に求めた。

加えて、シリアへのあらゆる武器輸出の禁止、シリアへの航空機乗り入れの50%削減を12月15日から実施することを決定した。

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アラブ連盟のアフマド・ベンヒッリー事務副長は、外相会議に先立って、アラブ連盟がシリアでの流血の停止と内戦回避のために行動していると述べた。

諸外国の動き

ジョー・バイデン米副大統領はイスタンブールで記者会見を行い、「我々はシリアでの野蛮な弾圧について議論した。この問題に関する我々の意見はトルコと一致している。我々は忍耐を失った。我々はアサド大統領に去るよう求める、という意見だ」と述べた。

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フランスのクロード・ゲヤン内務大臣は、フランス国内のシリア人反体制活動家が脅迫を受けているとしたうえで、彼らを保護する意思を明らかにした。

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国連のシリア情勢調査委員会の委員長は、2011年11月だけで56人の子供がシリアの治安当局に殺害されたと発表した。

なお同発表によると、3月以降の子供の犠牲者数は307人。

AFP, December 4, 2011、Akhbar al-Sharq, December 2, 2011, December 3, 2011、December 4, 2011、al-Fajr, December 2, 2011、al-Hayat, December 5, 2011、Kull-na Shuraka’, December 3, 2011、Reuters, December 4, 2011、SANA, December 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド政権の改革支持を訴える集会が各地で実施され散発的な反体制デモを圧倒するなか、国連人権理事会がシリア情勢をめぐって国連各機関に対し「適切な措置を講じる」よう求める決議を採択(2011年12月2日)

シリア国内各地で、外国の干渉拒否、アサド政権の改革支持を訴える集会が各地で実施、離反兵による武装闘争や金曜礼拝後の散発的な反体制デモを圧倒した。

アサド政権の治安維持能力が改めて示されるなか、国連人権理事会は、国内の混乱を助長するかのように、反体制運動弾圧を「人道に対する罪」と非難する決議を採択した。

外国の内政干渉拒否、アサド政権の改革支持を訴える集会

SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011

SANA(12月2日付)は、外国の干渉拒否、アサド政権による改革指示を訴える集会が各地で開催されたと報じた。

同報道は、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、タルトゥース県タルトゥース市、サーフィーター市、ラタキア県ラタキア市、スワイダー県スワイダー市、シャフバー市、ダマスカス郊外県ワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプ、サフナーヤー市、ハサカ県ラアス・アイン市での集会の写真を公開した。

各県での写真を見る限り、過去数週間の親体制集会と比して小規模ではあるが、地方都市で同時に親体制集会が行われたのはこれが初めてで、金曜礼拝後の散発的な反体制デモを圧倒したかたちとなった。

反体制デモ

シリア人権監視団とシリア革命総合委員会によると、金曜礼拝後に各地で反体制デモが各地で実施され、治安部隊の弾圧で民間人11人が殺害された。

フェイスブックでは「孤立地域の金曜日」の名のもとにデモが呼びかけられていた。

シャーム・ニュース・ネットワークなどは、ヒムス県ヒムス市、イドリブ県郊外などでデモが行われている映像を配信した。

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『クッルナー・シュラカー』(12月3日付)は、ハサカ県のラアス・アイン市で反体制デモが発生したと報じた。

デモではクルドの旗、独立期のシリア国旗が掲げられ、他の都市との連帯が訴えられたという。

SANA, December 2, 2011
SANA, December 2, 2011

デモが終わる頃、アサド政権の支持者が今度は体制支持デモを行ったが、同報道によると、その数は50人にも満たなかった。

一方、ダルバースィーヤ市、アームーダー市、カーミシュリー市、ダイリーク市でも反体制デモが行われた。

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レバノンの北部県アッカール郡の対シリア国境に位置するワーディー・ハーリド地方でシリア領内から発砲があり、4人が負傷した。

この発砲は、ヒムス県タッルカラフ地方での混乱を背景にしているという。

Sham News Network, December 2, 2011
Sham News Network, December 2, 2011
Sham News Network, December 2, 2011
Sham News Network, December 2, 2011

反体制武装集団の動き

シリア人権監視団によると、離反兵の一団が、イドリブ県ジスル・シュグール市とラタキア県ラタキア市にある空軍情報部施設を襲撃、数時間にわたって交戦し、空軍情報部兵士8人を殺害し、13人を負傷させた。離反兵側は1人が負傷したという。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐はロイター通信(12月2日付)に対して、シリア軍部隊への物資の供給を絶つため、軍車輌を集中的に攻撃している、と述べた。

アスアド大佐は、自由シリア軍の活動の詳細について言及せず、「離反兵は3ヵ月間に調整を初めて以降、戦術を変更した」としたうえで、兵舎を標的と述べ、その攻撃が対人ではなく軍の兵站を標的としていることを強調した。

なおこうした発表・映像に関して、SANA(12月2日付)は、イドリブでの民間人殺害の報道は「ねつ造」だと反論した。

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これに対してSANA(12月2日付)は以下の通り報じた。

ハマー県では、ハマー市サーブーニーヤ地区に武装テロ集団がしかけた爆弾2発を爆弾処理班が撤去した。また同市内の医療センターを武装テロ集団が襲撃した。

ダルアー県では、武装テロ集団が複数の治安機関施設を襲撃した。またヌアイム市では爆弾処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去した。

イドリブ県では、ハーン・シャイフーン市で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦した。

その他の反体制勢力の動き

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月2日付)は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長と単独インタビューを行い、その内容を報じた。

同報道は、アサド政権の高官がシーア派の一派のアラウィー派であり、シーア派のイランと同盟関係にあるとしたうえで、ガルユーン事務局長がこの状態をシリアの多数派を占めるスンナ派アラブにとって「異常だ」と述べたと伝えた。

またガルユーン事務局長は、アサド政権が崩壊した場合、「イランとの特別な関係はないだろう…。例外的な関係を清算することは、戦略的、軍事的同盟を解消することを意味する…。シリアの体制崩壊後は、ヒズブッラーとの関係もこれまでと同じものではなくなるだろう」と続けたという。

一方、イスラーム主義の台頭の可能性に関しては、「シリアでイスラーム主義者が独占する恐怖はないと思う…。彼らへの支持は10%にも満たない。ムスリム同胞団は30年にわたってほぼ亡命状態で、国内での調整はできない」と述べた。

一方、イスラエルが不当に占領するゴラン高原に関しては、その回復の必要を強調しつつ、武装闘争や武装組織の支援ではなく、交渉を通じて実現をめざすとの姿勢を示した。(筆者注:この姿勢はパレスチナのファタハの姿勢に類し、西側諸国が過去数年にわたって後押ししているものである)

http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204397704577070850124861954.html?KEYWORDS=burhan

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アルジェリアの『ファジュル』(12月2日付)は、マラフ・ビカーイー女史らシリアの反体制女性活動家らが声明で、シリア国民評議会が女性の代表者を周縁化(過小評価)していると非難したと報じた。

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反体制活動家のアクサム・バラカート氏はElpha.com(12月2日付)に対して、シリア国民評議会の活動が「高く評価でき、そのことを活動結果が証明している」と述べた。

バラカート氏は、「反体制活動家のなかには、事を妨害使用とし続けるシャッビーハも多くいるが、彼らの試みは失敗している」と付言した。

またイスラエルとの関係があるとの一部指摘に関しては、それを否定した。

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Elpha.com(12月2日付)は、シリア国内で反体制活動を行うワリード・ブンニー氏が、シリア国民評議会から脱退し、「シリアのすべての反体制勢力を包摂するため、評議会にメンバー拡大を受け入れさせる努力が失敗に終わったため、今後は反体制勢力統一のため無所属として活動を続ける」と宣言したと報じた。

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シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)がブルガリアの首相、外相と会談した。

諸外国の動き

国連人権理事会は特別会合を開き、シリアでの反体制デモ弾圧を「重大かつ体系的」人権侵害と非難、「人道に対する罪」と断じ、国連各機関に「適切な措置を講じる」よう求める決議を採択した。

決議には西側諸国、サウジアラビア、クウェート、カタール、ヨルダン、リビアなど37カ国が賛成し、ロシアと中国を含む4カ国が反対、6カ国が棄権した。

シリアのファイサル・ハマウィー代表は、「人権理事会はその任務を逸脱した」と述べ、シリア側が提示した情報や文書のすべてを無視していると、その姿勢を非難した。

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EUが官報で追加制裁の対象となる政府関係者、機関を公表した。

リストに記載された主な政府関係者、機関は以下の通り:

ムハンマド・ジャラーラーティー(財務大臣)
ムハンマド・ニダール・シャッアール(経済通商大臣)
ファフド・ジャースィム・フライジュ(一等中将、参謀長)
イブラーヒーム・ハサン(少将)
ハリール・ザグラフィーヤ(准将)
アリー・バラカート(准将)
タラール・マフルーフ(准将、共和国護衛隊、ワリード・アッカーウィー、ハサン・M・ユースフの義理の兄弟)
ナズィーフ・ハッスーン少将(総合情報部次長)
マアン・ジャディード(大尉、共和国護衛隊大統領治安局)
ムハンマド・シャッアール
ハーリド・タウィール
ガイス・ファイヤード(反体制デモ弾圧に関与、シャフィーク・ファイヤードの息子)

『ワタン』
シャーム・プレス
科学研究調査センター
Syronics
Sytrol(石油会社)
石油公社
ユーフラテス石油会社

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使はアラブ連盟による対シリア経済制裁に関して、「シリア危機解決における建設的役割を果たすための機会をアラブ連盟はつかみ損ねた」と非難した。

チュルキン国連大使は「シリアへの監視団派遣というアラブ連盟の計画は重要だが、シリア政府の修正提案は考慮・審議し得るものだった」と述べた。

また「シリアだけでなくイランをも対象としたかたちでの対決のシナリオがますます懸念されるようになっている」と付言した。

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ジョー・バイデン米副大統領はトルコの『ヒュッリイェト』(12月2日付)に対して、「合衆国の姿勢は明確だ。シリアの現体制は国民に対する蛮行を止め、アサド大統領は国民の意思を尊重する平和的転換を可能とするべく去らねばならない」と述べた。

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ロイヤルダッチ・シェル社はシリアへの追加制裁発動を受け、シリア国内での操業を停止するだろう、と発表した。

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SANA(12月2日付)は、イランのヌーリー・マーリキー首相がバクダードでの戦略研究会議で、出席者を前にして、「いかなる国に対しても経済制裁を科すことに拒否する。なぜならそれは体制ではなく国民に被害を与えるからだ」と述べた、と報じた。

AFP, December 2, 2011、Akhbar al-Sharq, December 6, 2011、Elpha.com, December 2, 2011、al-Hayat, December 3, 2011、Kull-na Shuraka’ , December 2, 2011, December 3, 2011、Reuters,
December 2, 2011、SANA, December 2, 2011、The Wall Street Journal, December 2, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ハマー市郊外で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦、国連人権理事会人権高等弁務官がシリアの情勢を「内戦」であると描写(2011年12月1日)

反体制勢力の動き

『ハヤート』(12月2日付)は、カイロで予定されていた反体制勢力の会合が頓挫したと報じた。

同報道がカイロ在住の反体制活動家ムハンマド・マアムーン・ヒムスィー前人民議会議員の話として伝えたところによると、ハイサム・マーリフ氏(シリア国民救済大会代表)が反体制勢力代表に対して、反体制勢力の立場の統一をめざすため、カイロの記者組合本部での会合を呼びかけていた。

しかしヒムスィー前人民議会議員によると、シリア情勢の「国際問題化、軍事介入、民間人保護のための航空禁止空域設定」の是非をめぐって出席者の意見が割れた。またシリア国民評議会の組織拡大を通じた反体制勢力の糾合についても意見対立が生じた、という。

ヒムスィー前人民議会議員は、一部の勢力が自らの意見を他の勢力に押しつけようとし、またシリア国民が殺戮、弾圧、逮捕に曝されていることの責任を追及した、と述べ、議事の様子に危機感を示した。

アサド政権の動き

SANA(12月1日付)は、ワリード・ムアッリム外務大臣が11月30日のジェッダでのイスラーム諸国会議理事会の緊急会合でのトルコ、カタールの発言に対して、「シリアへの監視団派遣に関するアラブ連盟の議定書(案)はシリアとの合意に基づかねばならない…。(シリアは)議定書が順守契約になることに反対する…。シリアは意図的黙殺のもとに発せられた決議を承認しない」と反論したと報じた。

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シリア外務省のジハード・マクディスィー報道官は、EUの制裁に関して、「正当性がなく、シリア国民の暮らしを標的とし、国民主権に対する重大な侵害で、あからさまな内政干渉」と非難した。

そのうえで、こうした決定・行動がシリアとEU諸国のこれまでの合意に反しているとし、地中海連合の加盟資格を自ら凍結すると発表した。

マクディスィー外務省報道官はまた、シリア・トルコ両国の自由通商協定を停止すると発表した。

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ダマスカス郊外県ダーライヤー市、サーフィーター市などで、アラブ連盟による対シリア経済制裁反対や外国の内政干渉拒否を訴える大規模集会が実施された。

ダーライヤー市はダマスカス郊外県内でもっとも反体制活動が激しかった町の一つである。

SANA, December 1, 2011
SANA, December 1, 2011
SANA, December 1, 2011
SANA, December 1, 2011

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『ザマーン・ワスル』(12月1日付)は、政府系企業や機関の職員多数が、「仕事に来なかった」との理由で減俸処分を受けていると報じた。

同報道によると、治安部隊の検問所が各地に設置されているため、職員の出勤が妨げられているという。

反体制運動掃討

ハマー県では、SANA(12月1日付)によると、ハマー市郊外で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、後者のメンバー5人を殺害、35人を逮捕、大量の武器を押収したと報じた。

またハマー市の特派員によると、武装テロ集団が市内の商店主に店を閉めるよう脅迫していると報じた。

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イドリブ県では、SANA(12月1日付)によると、のブダーマー地方(対シリア国境)では、国境警備隊がシリア領内に潜入しようとする武装テロ集団と交戦し、後者メンバー多数を殺害、逮捕した、と報じた。同報道によると戦闘では、国境警備隊兵士1人が犠牲となったという。

またサラーキブ市・イドリブ市間で、サラーキブ市の労働者の給与を運んでいた車が武装テロ集団に襲撃された。

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ヒムス県では、SANA(12月1日付)によると、フーラ地域で、武装テロ集団がしかけた爆弾2発を爆弾処理班が撤去した。

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地元調整諸委員会は、各地で「自由の殉教者への忠誠」の名のもと各地でゼネストを呼びかけた。

同委員会は、ハマー県ハマー市、イドリブ県ジスル・シュグール市、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県、ダイル・ザウル県の各地で市民がこの呼びかけに応えたとしているが真偽は定かでない。

地元調整諸委員会はまた、軍・治安部隊が各地で逮捕・弾圧活動を行い、ハマー県(トゥライミサ村など)で9人、ヒムス県ヒムス市で2人、イドリブ県で1人、合わせて12人を殺害した、と発表した。

同委員会とシリア人権監視団によると、軍・治安部隊の逮捕・弾圧は、ハマー県スーラーン市、ヒムス県ヒムス市、タッルカラフ市、ダマスカス郊外県ハラスター市、イドリブ県カフルタハーリーム町、ダルアー県ジャースィム市、ダーイル町などで激しく行われ、それ以外にも各地で軍・治安部隊と離反兵が交戦した、という。

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アレッポ県では、『ザマーン・ワスル』(12月1日付)によると、アレッポ大学内で学生が反体制デモを行った。多数の学生が参加したが、15分後の武装した治安維持部隊が大学に到着し強制排除した、という。

Kull-na Shurakā’, December 1, 2011
Kull-na Shuraka’, December 1, 2011

諸外国の動き

国連人権理事会のナバネセム・ピレイ人権高等弁務官は、2011年3月以降のシリア国内での死者数が4,000人を越えたとしたうえで、同国で内戦が発生していると危機感を示した。

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米財務省は、アウス・アスラーン(共和国防衛隊)、ムハンマド・マフルーフ(ラーミー・マフルーフの父)など政府・軍高官やアサド政権に近いビジネスマン、軍事航空公社、シリア不動産銀行といった機関を新たに制裁リストに追加した。

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EUは、11の企業・機関、12人の政府関係者らを新たに制裁リストに加えた。

またシリア政府発行の債券購入禁止、貸付停止、シリアの銀行の支店開設禁止、共同プロジェクト禁止、融資の禁止、インターネット等の監視に利用可能な技術輸出の禁止などを定めるとともに、地中海連合におけるシリアの加盟資格を停止した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はベルギーのブリュッセルを訪問しEU諸国外相らと会談した。

『ハヤート』(12月2日付)によると、アラビー事務総長は会談で、パレスチナ問題、アラブの春、連盟EU関係、シリアをめぐる問題へのEUの対応などについて意見交換し、連盟が外国の介入排除をめざしている点を強調した。

一方、キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表はアラブ連盟の「主導的役割」を改めて高く評価した。

またフランスのアラン・ジュペ外務大臣、シリアへの監視団派遣に向けて引き続き行動する意思を示した。

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モロッコのアブドゥルイラーフ・ベン・キーラーン新首相はシリア情勢に関して「想像に絶する」と述べた。

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「アフバール・シャルク」(12月1日付)は、レバノンの匿名の銀行筋は、レバノンの銀行がシリア人の顧客との取引への監視強化を開始したと報じた。

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クウェート外務省はシリア在住のクウェート国民に対して退避勧告を出した。

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サウジアラビア外務省次官は、シリア政府に対して暴力の即時停止とアラブ連盟外相会議の議定書への署名を改めて求めた。

AFP, December 1, 2011、Akhbar al-Sharq, December 1, 2011、al-Hayat, December 2, 2011、Kull-na Shuraka’, December 1, 2011、Reuters, December
1, 2011、SANA, December 1, 2011、Zamān al-Wasl, December 1, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

トルコ外相は3項目を骨子とする対アサド政権制裁の内容を発表、アラブ連盟対シリア制裁実行委員会は資産凍結・アラブ諸国渡航禁止の対象となるシリア高官らのリストを承認(2011年11月30日)

アサド政権の動き

SANA(11月30日付)は、シリア司法当局が「最近の事件に関与したが、その手を血で染めていない」逮捕者912人を釈放したと報じた

同報道によると、この措置は11月5日の553人の釈放、15日の1,180人の釈放に続くもの。

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SANA(11月30日付)は、選挙最高委員会が12月12日投票予定の統一地方選挙の立候補者総数を発表した。

同報道によると、立候補者総数は42,889人で県議会、市町村議会の17,588議席を争うという。

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SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011

アサド大統領はレバノンのイスラーム教ウラマー連合の使節団と会談した。

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投資委員会のアフマド・ディヤーブ総裁はイラクのビジネスマンからなる使節団と会談し、両国の通商・投資関係に関して意見を交換した。

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『ジダール』(11月30日付)は、1ドル60シリア・ポンド以上で両替を行っている複数の両替商に対して、当局が28日、29日に無差別の立ち入り捜査を行った、と報じた。

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Akhbar al-Sharq, November 30, 2011
Akhbar al-Sharq, November 30, 2011

「アフバール・シャルク」(11月30日付)などは、11月28日にワリード・ムアッリム外務大臣が記者会見で提示した資料(反体制勢力の武装化を示す資料)のなかに新たなねつ造が発覚したと報じた。

それによると、銃を持った女性の映像は、武装闘争を行っているのではなく、結婚式で祝砲を撃つもので、数年前に撮影されたという。

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SANA(11月30日付)は、タルトゥース県のタルトゥース市、バーニヤース市、ヒムス県のハワーシュ町、ハサカ県ハサカ市など各都市で、アラブ連盟の対シリア経済制裁反対とアサド政権の改革支持を訴える大規模集会を開催した。

またダマスカス県アラブ連盟事務所前では、ダマスカス大学学生がアラブ連盟の経済制裁に抗議するデモを行った。

さらにダマスカス県旧市街のウマイヤ・モスク前でもアラブ連盟の対シリア経済制裁に反対する夜間座り込みが行われた。

SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011
SANA, November 30, 2011

反体制運動掃討

SANA(11月30日付)は、ヒムス県の税関当局がヒムス県ミスヤーフで武装テロ集団の車から大量の武器、爆発物を応酬し、運転手らを逮捕した、と報じた。

また、ダルアー県、イドリブ県では当局が武装テロ集団複数名を逮捕する一方、ダイル・ザウル県では武装テロ集団がしかけた爆破物を処理した、という。

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シリア人権監視団によると、ダルアー県のダーイル町に軍・治安部隊の戦車・装甲車数十台が侵入し、離反兵と交戦、軍・治安部隊兵士7人が死亡した。また双方に19人の負傷者が出た。

地元調整諸委員会によると戦闘機が同市を空爆したというが真偽は定かでない。

またシリア人権監視団監視団によると、イドリブ県のサラーキブ市などで軍・治安部隊がデモ排除、逮捕が断行され、少なくとも民間人6人が殺害された。

地元調整諸委員会によると、ダマスカス県のカーブーン区、バグダード通り、アービド通り、シャアラーン、サブウ・バハラート広場で「銃声が聞こえ」、数十人が逮捕された。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟閣僚会議が設置した対シリア制裁実行委員会は、アラブ諸国への渡航禁止と資産凍結の対象となるシリア政府高官ら17人のリストを作成・承認した。

制裁リストには以下17人が列記されている:

ダーウド・アブドゥッラー・ラージハ国防大臣
ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣
アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ軍事情報局長
アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)
ルストゥム・ガザーラ准将(軍事情報局ダマスカス支部長)
マーヒル・アサド大佐(共和国護衛隊)
アイマン・ジャービル
ムハンマド・ジャービル
ジャミール・ハサン空軍情報部長
ジャーミア・ジャーミア准将(軍事情報局ダイル・ザウル支部長)
ハーフィズ・マフルーフ大佐(総合情報部)
アーティフ・ナジーブ前政治治安部ダルアー支部長
ドゥールヒンマ・シャーリーシュ共和国護衛隊大統領治安局長
ファイサル・クルスーム前ダルアー県知事
ムンズィル・アサド
ファウワーズ・アサド
ラーミー・マフルーフ

また、航空機乗り入れ禁止は15日からとすること、穀物、医薬品、医療機器、ガス、電気などを排除することを決定した。

実行委員会が承認した制裁案は12月3日(土曜日)にカタールのドーハで開催されるアラブ連盟外相会議で最終的に審議・承認される予定である。

イスラーム諸国会議の動き

イスラーム諸国会議(OIC)の事務局(エクメレッディン・イフサン・オグル事務局長)がサウジアラビアのジェッダで緊急会合を開き、シリア政府にアラブ連盟の諸決議への即時対応、弾圧の即時停止、反体制勢力との対話を呼びかけた。

会合後に採択・発表された閉会声明では、シリアの危機解消に向けたアラブ連盟による努力を歓迎するとともに、シリア政府に連盟が提示した(アラブ監視団派遣に関する)議定書への署名を求めた。また弾圧の停止、政治犯の釈放、人権侵害の停止、人道救援帰還の受け入れを呼びかけた。

『ハヤート』(12月1日付)によると、シリアの代表は、同声明の各条項に異議を唱え、とりわけ「アラブ連盟の努力を歓迎する」との文言に関しては、「アラブの諸提案を歓迎する」との変更を求め、シリア政府の姿勢にも配慮するよう求めた。

諸外国の動き

アフメト・ダウトオール外務大臣はアサド政権に対する制裁内容を発表した。制裁は以下3項目を骨子とする。

第1に、アサド政権を支持するビジネスマン多数のトルコへの渡航禁止と資産凍結で、対象となったビジネスマンは駐トルコの反体制勢力が親体制みなすビジネスマンで、主にアレッポを拠点にしている。

第2に、シリア・トルコ間の戦略的協力会議合意に基づく活動の停止。戦略的協力会議のもと、これまで経済、社会、安全保障などの分野で54の合意と議定書が交わされてきた。

第3に、シリアへの武器弾薬の売却停止、トルコ領経由での武器供与の禁止。

第4に、シリア中央銀行との取引停止、トルコ国内のシリア政府の資産、口座の凍結、シリア政府への借款の停止。

この制裁に関して、アブドゥッラー・ギュル大統領は、シリア国民への被害を回避するため、シリアへの水道、電気の供給は停止しないと述べた。

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レバノンのニコラー・ナッハース経済通商大臣はAFP(11月30日付)に対して、「レバノンはアラブ連盟の制裁実施を遵守する」と述べた。

しかし「レバノンはシリア政府、シリア中央銀行のいずれとも取引を行っていない」と述べ、実質的な制裁対象がないことを明らかにした。

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UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣は、対シリア経済制裁を回避するため、監視団を受け入れるよう改めて呼びかけた。

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ジャズィーラ(11月30日付)は、カタール航空が11月30日からダマスカス・ドーハ往復便の就航を中止したと報じた。

またエミレーツ航空は来週、ダマスカス・ドーハ往復便の就航を中止すると発表した。

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在米のシリア人反体制活動家のカースリーン・タッリー氏は、ニューヨークでロシア国連代表と会談し、BRICS諸国のシリアに対する姿勢の変更を求めた。

タッリー氏によると、同会談はアムネスティ・インターナショナルの活動の一環をなしており、会談では、現下のシリア情勢を国際刑事裁判所に付託すること、武器供与禁止、弾圧に関与した高官の資産凍結を求めた。

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イスラエルのマタン・ヴィルナイ民間防衛大臣はイスラエル空軍および治安部隊の攻撃力に関して、「どこでも攻撃する能力がある、ガザ地区やレバノン内の数キロメートルの地点から、レバノン、シリア国内の数百キロメートルの地点まで」と述べた。

AFP, November 30, 2011、Akhbar al-Sharq, November 30, 2011、Aljazeera.net, November 30, 2011、al-Hayat, December 1, 2011、Jidar.net, November 30, 2011、Naharnet.com, November 30, 2011, December 2, 2011、Reuters, November 30, 2011、SANA, November 30, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

サファル内閣がアラブ連盟の対シリア経済制裁による影響への対処について審議するなか、露外相がシリアへの圧力に対し改めて反対の意思を示す(2011年11月29日)

アサド政権の動き

イスラーム諸国会議機構(OIC)高官は、11月30日にサウジアラビアのジェッダで開催される執行委員会会合にシリアのワリード・ムアッリム外務大臣とイランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣が出席することを確認した。

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アドナーン・マフムード情報大臣はアーディル・サファル内閣が閣議を開き、アラブ連盟による対シリア経済制裁の「影響に対処する」施策について審議したと発表した。

SANA, November 29, 2011
SANA, November 29, 2011

情報大臣によると、閣議では、シリア国民に影響が及ばないとの連盟の主張とは裏腹に、シリア国民のさまざまな階層、集団に影響が出る点に議論が集中したという。

また閣議では経済省に対して、価格統制、一部商人による投機を抑制するよう要請がなされた。

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バアス党シリア地域指導部は声明を出し、アラブ連盟の対シリア経済制裁が国民の生活を標的とし、アラブ諸国の対話、政治・経済協力、共同行動の扉のすべてを閉ざしたと酷評した。

反体制勢力の動き

『ワタン』(11月29日付)は、国内で反体制運動をする国民民主イニシアチブ代表のムハンマド・スライマーン元情報大臣が、アサド大統領に内閣を総辞職させ、挙国一致内閣を発足するよう求めたと報じたと報じた。

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「シリア革命総合委員会クルド革命運動家」と称するグループが11月29日に声明を出し、イラク・クルディスタン地域のマスウード・バールザーニー自治政府大統領と28日に会談したと発表した。

会談したのは、シリア国内の反体制運動に直接関与していない10のクルド民族主義組織の代表からなる使節団。

会談で使節団は、①シリアの反体制運動とアサド政権の双方と等距離を保つこと、現下のシリア国内の政治勢力間の対立を踏まえ、②専制体制打倒という要求の内容を具体化すること、③憲法にクルド民族主義をシリア第2の民族主義と明記すること、そして④アサド家の支配(が続く場合)クルド人の自決権を憲法で保障すること、を求めるとの姿勢を明らかにした。

反体制運動掃討

シリア革命総合委員会によると、ダマスカス郊外県などで治安部隊の発砲により7人が殺害された。

また国内調整諸委員会によると、ダマスカス郊外県、ハマー県、ヒムス県などで少なくとも11人が治安部隊に殺害され、多数が逮捕された。

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ヒムス県では、SANA(11月29日付)によると、治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、4人を殺害、17人の指名手配者を逮捕した。

諸外国の動き

ロシアのインテルファクス通信(11月29日付)によると、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリアへの圧力に改めて反対の意思を示し、危機正常化に努力するよう求めた。

ラブロフ外務大臣は「今重要なのは、警告行動から手を引き、事態を政治的プロセスへと回帰させる試みである」と述べた。

また「現在シリアに対して措置を講じるよう求めている国も含めたすべての国が、イエメン情勢とはまったく異なる姿勢をとってきた。そこでは数ヶ月にわたってGCCが提案する平和的な関係正常化をめぐる交渉が行われたのに」と述べる一方、「シリアの問題に関してもこのような方法をとるべきである。なぜなら一部の国、とりわけアラブ連盟が行っている警告は問題を解決しないからである」と付言し、制裁に異議を唱えた。

さらにシリアへの武器禁輸を求める動きに関しては「不公正だ…。なぜなら武器禁輸措置はバッシャール・アサド政権にだけ及び、反体制勢力には適用されないであろうから」と却下した。そのうえで「武器禁輸措置がリビア軍にだけ適用され、反体制勢力が武器を入手できるなかで、リビアに何が起きたかを我々は知っている。フランス、カタールといった国々はこうした問題を恥ずかしげもなく云々していた」と述べ、シリアへの軍事制裁に改めて疑義を呈した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はトルコのカナル24(11月29日付)に対して、「もし弾圧が続けば、トルコはいかなるシナリオを採用する準備ができている。シリア政府は国民と和解する手段を見つけねばならない」と述べた。

また「数十万人が、イラク、レバノン、トルコ国境に流出している…。おそらく緩衝地域設置といった措置をとることを、トルコだけでなく国際社会すべてがおそらく求めている。我々はこうした事態になって欲しくないが、このシナリオについて検討し、準備をせねばならない」と述べた。

トルコのビンアリ・ユルドゥルム運輸大臣は、「状況が悪化すれば」イラク、ヨルダン経由をした湾岸諸国への輸送経路を確保するために支援することを明らかにした。

しかし、民間航空機のシリアへの乗り入れは継続し、シリアへの電力供給も制限しない、という。

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レバノンのニコラー・ナッハース経済通商大臣はナジーブ・ミーカーティー首相との会談後、「レバノンは(アラブ連盟の対シリア制裁決議に関する)決定によっていかなる影響も被らないだろう」と述べた。

ナッハース経済通商大臣は「現在、アラブ連盟が発した決議に従うと、同決議の規定が適用される取引がないことを見出した」と述べ、対シリア制裁決議がシリア・レバノン間の通商には適用されないとの見方を示した。

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米国務省のマーク・トナー副報道官は、アラブ連盟の制裁に関して「明確なメッセージであり、地域におけるアサドの隣人たちが彼の振るまい、そして彼の政府による民間人殺戮に…うんざりしているということだ」と述べた。

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サウジアラビア外務省は、シリア在住のサウジアラビア国民に退避を勧告した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は「シリアは人災へと突き進んでいる。EU、アラブ連盟、トルコはともに行動し、シリア国民を支援し続けばならない」と述べた。

AFP, November 28, 2011、Akhbar al-Sharq, December 2, 2011、al-Hayat, November 29, 2011、Kull-na Shuraka’, November 28, 2011, November 30, 2011、Naharnet.com,
November 29, 2011、Reuters, November 28, 2011、SANA, November 29, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣はアラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁発動に関する決議を「経済戦争」として非難、各地ではアサド政権の改革支持や外国の干渉拒否を訴える百万人集会が開かれる(2011年11月28日)

シリア・アラブの春(シリア革命2011)顛末記

2011年11月28日のシリア情勢

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣はダマスカスで記者会見を開き、アラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁発動に関する決議を「扉を閉ざした」、シリアに対する「経済戦争」だと非難した。

ムアッリム外務大臣は11月初めのドーハでの(アラブ連盟のワーキングペーパーに関する)アラブ連盟外相委員会とシリア政府使節団の合意の「文言と精神を遵守」するよう連盟に「再検討」を求め、ドーハでの合意に基づいて問題への対処を行うよう求めた。またシリアの加盟停止を定めたその後の決議を非難し、「一部の連盟加盟国が国際問題化しようとしている」と述べた。

また、カイロの連盟本部でのシリア政府と反対勢力との対話を求めるアラブ連盟の提案を、「アラブ連盟側の立場は明白で、カイロでの対話、挙国一致内閣、移行期間を求めているが、これは拒否される…。すべての人々が参加する対話が行われれば、挙国一致内閣に関する合意もなされるが、それは対話の後だ」と述べ、却下した。

アラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁発動決議、とりわけシリア中央銀行との取引停止に関しては、「経済的な側面からの宣戦布告で、前例のない措置」だと非難する一方、予防措置として、アラブ諸国におけるシリアの預金の95%を引き落とした」と述べた。

一方、ムアッリム外務大臣はアサド政権主導下の改革に関して、12月12日予定の統一地方選挙やシリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会の活動を上げて、「前進」していると述べるとともに、国民対話会議に関しては「国民対話は政府と反体制勢力の間で行われるものではない。政府、反体制勢力のいずれにも与していない国民が数百万人とおり、彼らには正当な要求がある」と述べた。

また国外の反体制勢力の国民対話への参加を「保障」する準備があると付言した。

また「(シリア・アラブ共和国)憲法(草案準備)委員会報道官は今日、新憲法の基本規定のなかに複数政党制が盛り込まれており、政党間を差別する余地はなく、世界の国々のほとんどの憲法と同様、新憲法には第8条はない」と述べ、「バアス党は社会と国家を指導する指導党である」との現憲法の前衛党規定が削除されることを明らかにした。

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SANA(11月28日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が新憲法草案(第1稿)作成のための会合を開催したと報じた。

委員会のサーム・ダッラ報道官によると、草案の大部分は完成し、残りの部分は今週末までに完成させる、という。

ダッラ報道官によると、新憲法の基本規定には、主権在民、三権分立、司法の独立、基本的人権の保障、すべての政党間の平等を原則とする政治的多元主義、地方分権などが盛り込まれているという。

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ダマスカス県の複数の広場、アレッポ県アレッポ市のサイフ・ダウラ広場、ハサカ県ハサカ市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市、スワイダー県スワイダー市、ヒムス県ヒムス市郊外、タルトゥース県タルトゥース市などシリア各地で、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える百万人集会が開催された。

SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011
SANA, November 28, 2011

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ムハンマド・ニダール・シャッアール経済大臣はAFP(11月28日付)に対して、アラブ連盟による対シリア経済制裁の影響を厳密にすることは困難だが、シリア経済に深刻な影響を及ぼすだろう」と述べた。

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シリア商業会議所が声明を出し、アラブ連盟の対シリア経済制裁がシリア国民全体に大きな被害をもたらすだろうと警鐘を発した。

反体制勢力の動き

Kull-na Shurakā’, November 27, 2011
Kull-na Shuraka’, November 27, 2011

シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)と自由シリア軍の指導部(リヤード・アスアド大佐ら)が会談した。

会談では両組織の連絡強化、協調体制構築について審議され、共同委員会を設置し、現地での活動、救援、情報、政務などで連携することで合意した。

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シリア国内で反体制活動を行う国民民主変革諸勢力国民調整委員会の報道官はAKI(11月28日付)に対して、ムアッリム外務大臣の記者会見は、アラブ連盟の要求を拒否した理由をシリア国民に満足させることに「失敗している」と非難した。

国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役は声明を出し、シリア国民への影響を回避しようとするアラブ連盟の対シリア経済制裁発動の試みを評価するとともに、連盟に対してアサド政権をさらに孤立させるべく行動を継続するよう求めた。

またアブドゥルアズィーム総合調整役はアーラム・チャンネル(11月28日付)に対して、アラブ連盟の経済制裁はシリア国民ではなくアサド政権に影響を与えると断じたうえで、アラブ連盟主導による「アラブ的解決」こそがシリアの危機打開をもたらすとの見方を示した。

アブドゥルアズィーム総合調整役はまた外国の軍事介入を改めて拒否するとともに、アサド政権に対して暴力と殺戮の停止、逮捕者釈放、平和的デモの認可を求め、体制転換と愛国的民主国家の建設を主唱した。

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シリア変革大会(アンタキア)は声明を出し、アラブ連盟の対シリア経済制裁に関して「アラブ連盟の進路における歴史的転換点」、「アラブの行動への新たな概念の構築」と高く評価した。

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『クッルナー・シュラカー』(11月28日付)は、シリア学生国民連合がダマスカス県内の大学生に対して、アサド政権を支持するデモへの参加を強要している、と報じた。

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al-Hayat, November 28, 2011
al-Hayat, November 28, 2011

シリア当局は、国内で30年にわたってマール・ムーサー修道院(ヒムス県ナバク地方)で布教活動を行ってきたイエズス会のイタリア人聖職者(パウロ・ダログリオ、Paolo Dall’Oglio)氏を11月21日付で国外追放処分とした。

同氏がシリア国内での弾圧を非難したことが理由だという。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、同監視団がマール・ヤアクーブ修道院(ダマスカス郊外県)のアグネス・マリヤム・サリーブ修道長から反体制運動弾圧の死傷者の情報を得ていたとの一部情報を否定した。

反体制運動掃討

ヒムス県では、SANA(11月28日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、3人を殺害、武器を押収した。

Kull-na Shurakā’, November 27, 2011
Kull-na Shuraka’, November 27, 2011

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イドリブ県では、SANA(11月28日付)によると、カフルナブル市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、2人を逮捕した。またイドリブ県北部で鉄道の線路にしかけられた爆弾2発が爆発したが、被害は限定的だったという。

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なお過去数ヶ月にわたり、反体制運動に対するシリア政府の弾圧の被害を発表してきたシリア人権監視団は、先週末から、「民間人の殉教者の数が27人に上った」(11月26日付)、「民間人の殉教者の数が32人に上った」(11月28日付)と犠牲者を積算して発表するようになっており、ジャズィーラなどアサド政権に対して敵対姿勢をとる一部のメディアを除いて、その数字を引用していない。

諸外国の動き

『ミッリイェト』(11月28日付)は、イランのIRNAの報道を引用し、フランス軍部隊がトルコとレバノンでシリアの反体制勢力(自由シリア軍)の軍事教練を行っていると報じた。

同報道によると、フランス、英国、そしてトルコの当局はシリアで活動する反体制武装組織への武器供与を行うことで合意に達しているという。

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国連の独立人権調査委員会は報告書を発表し、シリア政府が国内で軍・治安部隊などを通じて人道に対する罪を犯していると認定し、民間人補語のための「早急な措置の実施」と、「すべての当事者への武器支給の停止」と提言した。

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EU諸国政府はブリュッセルで、シリア政府に対する追加の金融制裁を科すことで合意した。

12月1日以降に正式に発表される追加制裁では、EU諸国によるシリア政府発行の国債の取引禁止、EU域内でのシリアの銀行の支店開設禁止ないしはシリアの銀行によるEU内での投資禁止、石油・ガス関連設備の輸出禁止などが盛り込まれるという。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、France Info(11月28日付)に対して、「シリアの体制に残されている日は限られている」と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、改めて、シリアにアラブ監視団派遣に関する議定書に署名するようシリア政府に求めた。

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ロシア軍は、ロシア海軍は航空母艦などを含む艦隊を地中海に派遣し、タルトゥース港などに寄港する予定だと発表した。

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イラクのイラーキーヤ・ブロック(イヤード・アッラーウィー元首相代表)は、シリア政府に対して「内政問題への外国の介入を回避するため…アラブ連盟の決議を迅速に実行する」よう呼びかけた。

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レバノンの北部県トリポリ市にあるバーブ・タッバーナ地区(スンナ派地区)で、住民数十人がムアッリム外務大臣が記者会見で公開した写真を「同地区住民への中傷」だと非難し、抗議の座り込みを行った。

座り込みに参加した住民によると、シリア国外、とりわけレバノンから若者が流入しシリアで武装活動を行っていることの証拠としてムアッリム外務大臣が示した写真は、が2008年以降にフェイスブックで公開されている写真で、バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区(アラウィー派地区)との間の戦闘の写真だという。

AFP, November 28, 2011、Akhbar al-Sharq, November 28, 2011, November 29, 2011、AKI, November 28, 2011、DP-News, November 29, 2011、al-Hayat, November 29, 2011, December 2, 2011、Kull-na Shuraka’, November 27, 2011, November 28, 2011、Naharnet.com, November 28, 2011、Reuters, November 28, 2011、SANA, November 28, 2011、http://www.syriahr.com/などをもとに作成。

 

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アラブ連盟外相会議で14条の骨子からなる対シリア経済制裁決議が19カ国による承認のもと可決される、イラクおよびレバノンは採決に参加せず(2011年11月27日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟外相会議で対シリア経済制裁決議が19カ国の承認で可決された。

カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、イラクが採決で態度を「保留」、制裁には加わらないだろうと述べた。

また加盟資格停止中のシリアは採決には参加できず、レバノンも採決には参加しなかった。

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アラブ連盟外相会議での対シリア経済制裁決議の骨子は以下の通り:

1. シリア政府高官のアラブ諸国への渡航禁止およびアラブ諸国内の資産凍結。制裁対象はカタールが議長を務める実行委員会が決する。
2. シリア中央銀行との取引停止。
3. シリア政府との政府間の貿易取引の停止。ただしシリア国民に影響を及ぼす戦略物資は除外する。
4. シリア政府の資産凍結。
5. シリア・アラブ共和国との金融取引停止。
6. シリア商業銀行とのすべての取引の停止。
7. アラブ諸国の中央銀行とシリア中央銀行と間で行われている政府間貿易取引への融資停止。
8. アラブ諸国の中央銀行による銀行振込、債権取引の監視要請。ただしシリアの通貨による外国からの家族送金、シリア国内のアラブ諸国国民への送金は除外する。
9. アラブ諸国によるシリア国内でのプロジェクトへの融資の凍結。
10. シリアへの航空機乗り入れに関して、決議発動から1週間以内に実行技術委員会が閣僚委員会に対して、乗り入れ停止の期日を確定するための報告書を提出する。
11. 関連事項の実施状況のフォローアップをアラブ民間航空委員会とアラブ通貨基金に委任する。
12. シリア国内のアラブ関連機関、国際期間、アラブ連盟関連本部および職員は制裁から除外する。
13. 議長国カタールのもと、ヨルダン、アルジェリア、サウジアラビア、スーダン、オマーン、エジプト、モロッコ、そして連盟事務局の高官および専門家による技術実行委員会を設置し、シリア国民および周辺諸国民に直接の影響を及ぼす人道物資の除外を検討する。
14. 事態の進捗状況をフォローアップするため閣僚会議を会期中とする。

全文はhttp://international.daralhayat.com/internationalarticle/333414を参照。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、制裁決議に関して、「シリア政府が我々のメッセージを理解することを望む。そうすれば我々の問題は内輪で解決されるだろう」と述べた。

また「シリア政府が民間人を殺害し、無実の人々を弾圧するのに大使、トルコもアラブ連盟も沈黙を続けるなど誰も期待できない」と脅迫した。

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複数のアラブ外交筋によると、少なくともアルジェリアとオマーンが性急な制裁発動が、シリア政府でなく国民に災難をもたらすと警鐘をならした。

しかしカタールを中心とする制裁支持諸国は、シリア国民への被害を軽減するための手段やしくみを検討しつつ、段階的であっても制裁を発動する必要があるとの立場を貫いた。

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アラブ連盟の動きが外国の干渉を助長するとのシリア政府の批判に関してハマド首相は、「我々が行っていることすべてが外国による解決を回避すること」とし、「我々が真剣に対処しなければ、外国の干渉がないと保障することはできない」と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、「我々の最大の関心事はシリア国民への制裁の影響をどのように回避するかにある」と述べた。

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これに対して、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、『ハヤート』(11月28日付)に、シリアの近隣諸国から多くの意見が出されたことで、フォローアップ実行技術委員会が発足したことを明らかにした。

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UAEのアブドゥッラー・ビン・ザーイド外務大臣は、「シリアへの外国の介入はアラブ連盟においてそもそも提起されていない」と述べた。

アサド政権の動き

SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011
SANA, November 27, 2011

SANA(11月27日付)は、ダマスカス県、ラタキア県ラタキア市、タルトゥース県タルトゥース市など各地でアサド政権主導の改革支持、アラブ連盟の介入拒否を訴える大規模集会が開催されたと報じた。同集会は日中に開催されていたこれまでのアサド政権支持集会とは異なり、晩にまで及んだ。

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『バラドナー』紙のバッサーム・ジュナイド編集長は、シャームFM(11月27日付)とのインタビューで情報大臣の辞任を求めた。

『バラドナー』紙はバアス党内の汚職を非難する記事を掲載した記事を掲載した号を公刊しようとしたが、検閲を受け、同号は発禁処分となっていた。

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反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流が声明を出し、アラブ監視団派遣に関する議定書へのシリア政府の署名拒否を、国が置かれている危機を解消しないための口実を探し、反体制勢力の根絶のための時間稼ぎを行っていると非難した。

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シリア国民評議会はアラブ連盟閣僚会議での対シリア経済制裁決議採択に関して声明を出し、「体制の敗北」、「体制孤立化への重要なステップ」とみなすと評価した。

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UPI(11月27日付)は、エジプト在住の反体制活動家、サーイル・ナーシフ氏の妻(エジプト人)で、同氏が「シャッビーハ」に誘拐されたと発表していたムナー・アブドゥルワッハーブさんが無事発見されたと報じた。

Kull-na Shurakā, November 27, 2011
Kull-na Shuraka, November 27, 2011

同報道によると、ムナーさんは気を失い、路上で倒れていたという。

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国内で反体制活動を行うシリアのための第三潮流は声明を出し、アラブ連盟外相会議による対シリア経済制裁発動の決定が、シリアの危機の政治的正常化に向けた努力に資さない、と非難した。

反体制運動掃討

ヒムス県では、SANA(11月27日付)によると、ヒムス市で武装テロ集団が10歳の少年(サーリー・サーウードくん)を射殺したと家族が証言したと報じた。

同少年に関しては、アラブ諸国の衛星放送がシリア軍によって射殺したと報じていた。

またヒムス市ワルシャ地区で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、指名手配者11人を殺害、多数を逮捕し、大量の武器を押収した。また市内の別の地区でも交戦し、3人を殺害、大量の武器を押収した。

一方、シリア人権委員会によると、ランクース村で発生した反体制デモに治安部隊が介入、弾圧し、5人が死亡、少なくとも15人が負傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月27日付)によると、マアッルシューリーン村とガドファ村間で武装テロ集団が石油パイプラインの警備員を襲撃、交戦があったと報じた。同報道によると、これにより武装テロ集団のメンバー1人が死亡、1人が負傷し、彼らの武器が押収された。

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ダマスカス県では、シリア人権委員会によると、ルクンッディーン区、サーリヒーヤ区で治安組織による活動家逮捕、家宅捜索がなされた。

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ハマー県では、SANA(11月27日付)によると、破棄裁判所顧問のファーイズ・アスカル氏がハマー市で武装テロ集団に誘拐された

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シリア人権国民機構のアンマール・カルビー所長は声明を出し、11月27日の死者数が40人に上ったと発表した。

同声明によると死者はヒムス県で16人、ダマスカス郊外県で14人、イドリブ県で2人、ハマー県で4人、ダイル・ザウル県で3人、タルトゥース県で1人。

レバノンの動き

レバノンの北部県トリポリ市でムスタクバル潮流が「武器の秋…独立の春」と題した大規模集会を開催し、数十万人を動員した。

集会では、ムスタクバル潮流幹部や3月14日勢力の幹部が出席し、アサド政権による反体制デモ弾圧と、レバノン特別法廷をめぐるレバノン国内の対立激化を絡めて、ヒズブッラーや自由国民潮流を酷評した。

ムスタクバル潮流のムハンマド・カッバーラ議員は、「レバノンにおけるアサドのヘゲモニーは転覆させられねばならない」と述べ、「この政府(ナジーブ・ミーカーティー内閣)はレジスタンスとは無縁だ、なぜならシリア国民を攻撃するために狙撃手をシリアに派遣する者はレジスタンスなどではないからだ」と述べた。

同じくムスタクバル潮流のサミール・ジスル議員は、「彼らは、人々があらゆる専制者よりも強く、警察国家が人々の意思によって倒されるということをベイルートの春(独立インティファーダ)から学ばなかったのか」と述べ、レバノン特別法廷への資金供出を拒否しようとするヒズブッラーや自由国民潮流を非難した。

Naharnet, November 27, 2011
Naharnet, November 27, 2011

民主会合ブロック代表のマルワーン・ハマーダ議員は「私はヒズブッラーが倒れること、政府が転覆することを残念だとは思わないだろう。私はアサドの犯罪体制を決して許さない…」と述べた。そのうえでヒズブッラーと自由国民潮流を「全体主義という巨大な刑務所を構成する」と非難し、ミシェル・スライマーン大統領、ミーカーティー首相、そしてナビーフ・ビッリー国民議会議長に「レバノンが巨大な刑務所に囚われないよう」行動することを求めた。

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AFP(11月27日付)によると、アッカール郡シャイフ・アイヤーシュ村を車で通過した近くのアラウィー派の村落住民が村人2人をはね、村の10代の少年1人(スンナ派)が死亡した。

車で通過したアラウィー派の運転手もその後村人に殴られ、負傷し、病院に搬送されたという。

アラウィー派の運転手は、シャイフ・アイシャーシュ村の住民がトリポリ市での集会に参加しようとするのを阻止しようと挑発したという。

少年殺害に抗議し、シャイフ・アイシャーシュ村が道路を封鎖したが、警察・治安部隊が排除した。

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NNA(11月27日付)によると、アラウィー派が多く住むトリポリ市のジャバル・ムフスィン地区で、市内でのムスタクバル潮流の集会での祝砲によって、3人が負傷した。

これに関して、アラウィー派政党のアラブ民主党は、3人のうちの1人が集会の参加者がジャバル・ムフスィン地区に撃ち込んだ砲弾で負傷したと発表した。

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AFP(11月27日付)によると、集会参加者が打った祝砲でスンナ派1人が負傷したと報じた。

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AFP(11月27日付)によると、トリポリ市のジャバル・ムフスィン地区とバーブ・タッバーナ地区を分けるバアル・ダルウィーシュ地区に手榴弾が投げ込まれた。

諸外国の動き

ヨルダン政府は、シリア人避難民がヨルダン国内国境のラムサーに避難したのを受けて、シリア、ヨルダン両軍が交戦したとの一部情報を否定した。

ヨルダンのラーカーン・マジャーリー情報通信担当大臣は、『ハヤート』(11月28日付)に対して、シリア国境警備隊がシリア人家族が午後4時にヨルダンへの違法な越境を試みた家族(3人)に発砲したと述べた。

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カタールとバーレーンの外務省は、国民に対してシリアからの退避を勧告した。

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カタールのドーハで、シリア人労働者数千人が反体制デモを行った。

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エジプトのナセル主義アラブ民主党使節団がシリアを訪問し、アサド政権支持を表明した。一方同党のムハンマド・アブー・アッラー党首は、カイロでシリアの反体制勢力の使節団と会談し、シリア国民評議会を承認すると述べた。

AFP, November 27, 2011、Akhbar al-Sharq, November 27, 2011、al-Hayat, November 28, 2011、Kull-na Shuraka, November 27, 2011, November 28, 2011、Naharnet, November 27, 2011、NNA, November 27, 2011、Reuters, November 27, 2011、SANA, November 27, 2011、UPI, November 27, 2011などをもとに作成。

 

(C青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟経済社会委員会が対シリア経済制裁決議案を審議、ムアッリム外務大臣は同連盟にあてた書簡のなかで「シリア情勢の国際化と外国の内政干渉に実質的に合意するもの」としてこれを拒否する姿勢を明示(2011年11月26日)

アラブ連盟の動き

アラブ連盟経済社会委員会はカイロ空港近くのホテルで会合を開き、対シリア経済制裁決議案を審議した。

27日に外相会議で審議される対シリア経済制裁に関する提言では、人道物資や医療サービスの供給確保が必要だとし、そのためにアラブ連盟関連諸機関が赤十字社、赤新月社、国際赤十字委員会との調整、NGOなどとの協力を行うことが重要だとの立場を示した。

また同提言では、シリアとの連絡経路を確保し、援助物資などの供給要請に対応し得る体制を作ることを提案した。

さらに、シリア国民の社会状況への制裁の影響を回避するためにアラブが行動する必要を確認した。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、キプロスの外務大臣との会見後の記者会見で、「シリア問題に関してアラブの合意を支持する、なぜなら我々は決定の一部をなすからだ」としたうえで、「しかし24日のカイロでの閣僚委員会で、自らの国の国益も考慮されねばならないと述べた」と発言し、ヨルダンが対シリア経済制裁に消極的だとの姿勢を明示した。

またシリアからの避難民に関して、約100人のシリア兵が「私人として」ヨルダン国内に避難していると述べた。

一方、ラーカーン・マジャーリー情報通信大臣は、ヨルダンの治安当局が違法な越境を試みた約550人を逮捕したことを明らかにした。

このうち、約300人はヨルダン側の親戚が身柄を引き取り、25人は第三国に移動し、130人はシリアに送還され、残り約90人がヨルダン領内の避難センターに身を寄せているという。

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イラクのホシェル・ゼバリ外務大臣は、アラブ連盟外相会議で審議される対シリア経済制裁に関して、イラクが決議承認を「保留する」と述べた。

ゼバリ外務大臣はナジャフでの記者会見で、レバノンとヨルダンも同様の姿勢をとるだろうと述べた。

またジャラール・ターラバーニー大統領は、アサド政権に代わるオルターナティブ不在への懸念を示した。

ターラバーニー大統領は、「イラクに敵対する過激な勢力が登場する」危険への懸念を示すとともに、シリアへの外国の軍事干渉を拒否するとの姿勢を示した。

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アラブ連盟経済社会会議に出席したトルコのアリ・ババジャン経済大臣は、対シリア経済制裁に関して、シリア国民の基本的ニーズに直接害を及ぼさないこと、シリアの統合を維持することという二つの原則を遵守する必要があると述べた。

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣はアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長に対して書簡を送り、そのなかでシリアに対するアラブ連盟外相会議の決議を、連盟の意思とは逆に「外国の干渉をもたらす」と動きと非難し、「アラブ連盟の諸決議を拒否し、独立国としての決定に従う」との意思を示した。

同声明で、ムアッリム外務大臣は、シリア側の修正提案に関して、「シリアでの連盟の任務に関する誤解と曖昧な点を解消する」ためになされたが、「いくつかの重要な点に関して回答がなかった」と連盟の姿勢を批判した。

また11月24日の連盟外相会議の決議に関しては、シリアの安全と統一、そして外国の干渉回避を定めた導入部第4項と、国連決議に基づき必要な措置を講じるとした第5項が矛盾しており、後者が「外国の干渉の回避ではなく、外国の干渉への道を開くものと解釈できる」と指摘した。

一方、「連盟加盟国は既存の政府を尊重し、その転換をもたらすような行動をとならないよう誓約する」と規定した連盟憲章を引き合いに出し、シリア政府と反体制勢力との対話を通じて、移行期間の挙国一致内閣の発足を促す連盟の決議が憲章違反にあたると批判した。

そのうえで、連盟の決議が「シリア情勢の国際化と外国の内政干渉に実質的に合意するものとしか理解できない」として、決議を拒否する姿勢を明示した。

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ラタキア市でアサド政権の改革支持、アラブ連盟の決議拒否を訴える大規模集会が開かれた。

SANA, November 26, 2011
SANA, November 26, 2011

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「アフバール・シャルク」(11月26日付)は、シリアの民間銀行筋の話として、2011年第3四半期のシリアの民間銀行の取引 が反体制運動発生以前の20%に、融資 が16%に落ち込んだと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(11月26日付)は、国内での灯油やガスの供給が体制支持者のみになされていると報じた。

反体制勢力の動き

シリア国内で反体制活動を行うシリア民族社会党(インティファーダ派)のアリー・ハイダル党首は、ダマスカスで記者会見を開き、アサド大統領に対して危機解決のための歴史的責任を負うよう呼びかけ、「外科手術以外に手はない」と述べ、現内閣の総辞職とすべての勢力からなる挙国一致内閣の発足を求めた。

また包括的国民対話、恩赦の発令、すべての政治犯の釈放、平和的デモ弾圧の停止、汚職撲滅を求めた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー氏はアラビーヤ(11月26日付)に対して、クルド人、アラブ人などの代表の選出が「現状を踏まえた結果として例外的に生じた」ものであるとしたうえで、その活動が「民主的な正統性」ではなく、「活動成果に基づく正統性」だと述べた。

またシリア国内でクルド国民評議会や青年らによる調整委員会が独自の活動をしていることに関して、評議会におけるクルド人の代表は、クルド人の人口比に対応していないことを認める一方、「この評議会(クルド国民評議会)と連絡を取り合っている」と述べるとともに、近くシリア国民評議会の事務局メンバーにシリア・クルド人青年を追加する決定が出されていると付言した。

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国内で発足した反体制運動の「いっしょに」運動のダマスカス支部総合委員会が11月26日に会合を開き、活動方針などに関して審議した。

会合には、代表のバッサーム・ユースフ書記長、ムンズィル・ハッダーム総合関係局長、ジャマール・サーリフ氏、イッザ・バフラ氏らが出席した。

Kull-na Shurakā, November 27, 2011
Kull-na Shuraka, November 27, 2011

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エジプト在住の反体制活動家、サーイル・ナーシフ氏はエジプト国籍の妻(ムナー・アブドゥルワッハーブさんが「シャッビーハ」に誘拐されたと発表した。

在カイロ・シリア大使館はこの発表内容を否定している。

反体制勢力掃討

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のハーリディーヤ地区とワーディー・イーラーン地区で、治安部隊の発砲によって、10代の子供1人を含む3人が殺害された。

またバーブ・スィバーア地区でも市民1人が殺害された。

AFP(11月26日付)は、同報道は、アラウィー派が多く住むヒムス市ザフラー地区とスンナ派が多く住む同市バイヤーダ地区で、反体制運動の弾圧、軍・治安部隊と離反兵・活動家による暴力の応酬の犠牲者となった遺族への取材を通じて、ヒムス市内でスンナ派とアラウィー派の宗派対立が激化していると報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍の兵員輸送車輌が離反兵に襲撃され、軍兵士が少なくとも8人殺害され、40人以上が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、25日金曜日夜以降、シリア人権監視団によると、離反兵と軍・治安部隊が交戦し、軍兵士が少なくとも10人殺害され、数十人が負傷した。離反兵側も3人が負傷した。またダイル・ザウル市内には軍・治安部隊が多数展開し、活動家の逮捕・追跡作戦を行った。

諸外国の動き

国連人権のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は声明を出し、シリア赤新月社が約150万人分の食糧支援を申請したと発表した。赤新月社によると、約300万人のシリア人が弾圧の被害にあっており、数千人がレバノンやトルコに避難しているという。

しかし、同声明では、「国連は現在、住民が実際に何を必要としているかを評価できない」と述べ、アサド政権への情報開示を暗に求めた。

またフランスのアラン・ジュペ外務大臣が主唱している「人道回廊」に関しては、「現在までのところ、シリア国内の人道面でのニーズはこのようなしくみを正当化しない」と却下した。

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イラン国営石油会社のアフマド・カーレーバーニー社長は、メフル通信に対して、西側の制裁対象となっているシリア産の原油を購入する予定はないと述べた。

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レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官は、シリア情勢に関して、「1970年代のレバノンの経験を繰り返すべきでない」と述べるとともに、「暴力でなく対話を求めるようシリア国民に促したい。我々は銃弾箱ではなく…投票箱が必要なのだ」と力説した。

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駐シリア・フランス大使館はIFPOを治安上の問題を理由に閉鎖した。

AFP, November 26, 2011、Ahbar al-Sharq, November 26, 2011, November 27, 2011、‘Aks al-Sayr, November 27, 2011、Alarabia.net, November 26, 2011、al-Hayat, November 27, 2011、Kull-na Shuraka, November 26, 2011, November 27, 2011、Naharnet.com,
November 26, 2011、Reuters, November 26, 2011、SANA, November 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アラブ連盟事務総長が対シリア経済制裁を審議するための経済社会会合を正式に召集、会合にはトルコ経済相も参加(2011年11月25日)

親体制デモ

シリア・アラブ・テレビ(11月25日付)、SANA(11月25日付)は、ダマスカス県のサブウ・バハラート広場、バーブ・トゥーマー広場、ヒジャーズ駅前、ラタキア市、タルトゥース市、バーニヤース市、スワイダー市、カーミシュリー市などで、アサド政権の改革支持、アラブ連盟の決議拒否を訴える集会が開催されたと報じた。

しかしバッサーム・バグダーディー氏(一般市民)はフェイスブック(11月25日付)で、サブウ・バハラート広場でのアサド政権の改革支持の集会の参加者が限定的だったことを示す写真を公開した。

SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
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SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011
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SANA, November 25, 2011
SANA, November 25, 2011

反体制デモ

ヒムス県、イドリブ県、ダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県などの複数の都市で、離反兵と軍・治安部隊が交戦する一方、金曜礼拝後に反体制デモが発生した。

シリア人権監視団によると、ヒムス県で3人、ダイル・ザウル県で1人、ダルアー県で1人、ダマスカス郊外県で1人、合計で6人の民間人が治安当局によって殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市、サルミーン新、ハザーヌー町、タッフ市、タフタナーズ市で反体制デモが発生した。

またヒムスとの連帯を求めるザーウィヤ山、ハザーヌー町などでの夜間デモ(11月24日)の映像がYoutubeなどを通じて配信された。

しかしSANA(11月25日付)は、タフタナーズ市で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発し、サーイル・アドナーン・イッズくん(13歳)が巻き添えとなり死亡したと報じた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市各地に治安部隊が展開し、デモ発生の阻止を試みたが、数千人がデモを行った。

複数の活動家によると、軍・治安部隊は県内各地で離反兵と交戦しているが、被害・犠牲は明らかでないという。

ヒムス市では24日晩から、バイヤーダ地区、バーブ・アムル地区、ハーリディーヤ地区、グータ地区などで夜間デモが行われていたという。

また離反兵と軍・治安部隊の激しい戦闘が発生していたラスタン市との連帯を求めるダイル・バアルバ市での夜間デモ(11月24日)の映像がYoutubeなどで配信された。

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ハマー県では、SANA(11月25日付)によると、ハマー市マルアブ地区で武装テロ集団が仕掛けた爆弾を撤去しようとした工科部隊の兵士2人が爆発に巻き込まれて死亡した。

また市内のマルアブ地区、クスール地区、アラマイン通りで武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発したが、死傷者はなかったという。

また、SANA(11月25日付)によると、ハマー市のアルバイーン地区で武装テロ集団の襲撃で治安維持部隊兵士多数が負傷した。

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海外の複数のメディアは反体制勢力筋の話として、ダマスカス県バルザ区で戦闘があったと報じたが、SANA(11月25日付)はこの報道を「根拠がない」と否定した。

しかしヒムスとの連帯を求めるジャウバル区での夜間デモ(11月24日)の映像がYoutubeなどで配信された。

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ハサカ県ではクルド民族主義政党、青年活動家らの呼びかけにより、ラアス・アイン、ダルバースィーヤ、アームーダーなどで反体制デモが行われた。

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なおフェイスブックでは反体制勢力が「自由軍が我々を保護する金曜日」と銘打って、反体制デモを呼びかけていた。

SNN, November 25, 2011
SNN, November 25, 2011
SNN, November 25, 2011
SNN, November 25, 2011
Kull-na Shurakā, November 25, 2011
Kull-na Shuraka, November 25, 2011

アサド政権の動き

アラビーヤ(11月25日付)は、シリアの警察治安当局による反体制活動家の摘発において「アワーイリー」と呼ばれる密告者が大きな役割を果たしていると報じた。image14

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『ミッリイェト』(11月25日付)は、シリア政府がイドリブ県のラスーリヤー村近くPKKの武装活動家のキャンプを建設している、と報じた。

同報道によると、この動きは、トルコ政府がシリア国民評議会の事務所をイスタンブールに開設することを認めたことへの報復だという。

反体制勢力の動き

反体制組織のアラブ社会民主主義バアス党(シリア国民民主連合加盟組織)は声明を出し、ヒムス県での反体制活動家への弾圧や軍・治安部隊と離反兵の交戦を受けるかたちで、宗派主義的内戦発生への懸念を表明した。

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シリア国民評議会のジャブル・シューフィー氏は『ハヤート』(11月25日付)に対して、アラブ連盟が即時に経済制裁を科すことを望んでいると述べた。

諸外国の動き

アラブ監視団派遣に関する議定書受諾の猶予期間が11月25日正午に終わったのを受け、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は対シリア経済制裁を審議するための経済社会会合を正式に召集した。

11月26日に開催される同会議にはトルコの経済大臣も出席する。また11月27日開催予定の外相会議にもトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣が出席し、対シリア経済制裁の協調をめざす。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、イスタンブールでのイタリア外相との会談後の記者会見で、シリアへの対応に関して、「我々には、アラブ連盟と合意に達した行程表」があると述べた。しかし行程表の内容には言及しなかった。

またヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣はとの記者会見後の会見では、「我々の優先事項はアラブ連盟のイニシアチブを成功させること」と述べ、シリアでの問題解決に向けた連盟のイニシアチブを「最後に示された新たなチャンス」だったと述べた。

一方、トルコの副首相は、CNN-Turk(11月25日付)に対して、「我々はシリアへの介入を強く拒否する」と述べた。

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ロシア外務省報道官は、「現段階において、必要なのは、決議、制裁、圧力ではなく、シリア人どうしの対話だ」とのコメントを発表した。

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国連拷問禁止委員会のクラウディオ・グロスマン委員長は声明を出し、シリアで幼児逮捕や暴行など大規模な人権侵害がなされているとの複数の報告書を受け取ったと非難した。

AFP, November 25, 2011、Akhbar al-Sharq, November 25, 2011, November 28, 2011、Alarabia.net, November 25, 2011、Facebook、al-Hayat, November 26, 2011、Kull-na Shuraka, November 25, 2011、November 26, 2011、Reuters, November 25, 2011、SANA, November 25, 2011などをもとに作成。

 

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「武装集団」がタドムル・ヒムス間でアサド政権軍士官らに対する暗殺作戦を断行、アラブ連盟閣僚委員会が開催されシリアが求めていた議定書修正提案の却下を決定(2011年11月24日)

反体制勢力の動き

SANA(11月25日付)は、「武装テロ集団が暗殺作戦を断行し、パイロット6人、士官4人、空軍基地に勤務する士官クラスの技術者3人を殺害した」と報じた。

同報道によると、暗殺は「タドムル・ヒムス間」で24日午後に行われ、「このテロ作戦に複数の外国機関が関与し、勇敢な我らの武装部隊の戦闘能力を弱化させようとしていることを確認した」と断じた。

自由シリア軍もインターネットで声明を出し、ファールーク大隊が(24日)午後3時に、ヒムス・タドムル間のフルクルス町を走行中のタイムール空港の複数のパイロット士官が乗ったバスを攻撃し、その結果、アッラーのおかげで少なくともパイロット士官7人を殺害、そのなかには大佐1人、バスに登場していた軍曹2人、バスの運転手の曹長1人が含まれていると発表した。

しかしこの犯行声明をめぐっては情報が錯綜した。

すなわちヒムス県の活動家は「部族の武装集団」が攻撃を行ったと述べ、その後、自由シリア軍は犯行への関与を否定した。

なお同様の情報の錯綜は、ダマスカス県のバアス党支部への攻撃に関しても見られ、自由シリア軍は一度犯行声明を出したが、その後否定し、シリア政府がそのイメージを貶めようとして行った自作自演と非難した。

複数の活動家によると、自由シリア軍は、数千人がトルコに避難している一方、シリア国内で活動している離反兵もおり、必ずしも統率がとれた組織ではないという。

トルコ南部に潜伏する自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、AFP(11月24日付)の電話取材に応え、レバノンのヒズブッラーが反体制運動弾圧のために「傭兵」をシリアに派遣している、と断じた。

またアスアド大佐は、アサド政権の打倒を加速するため「戦略的標的」への外国軍の空爆を求めた。

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ヨルダンのアンムーン通信社(11月24日付)は、国内で反体制活動を指導してきた女性活動家のスハイル・アタースィー氏がヨルダンのシリア人避難民キャンプに非難したと報じた。

Akhbar al-Sharq, November 24, 2011
Akhbar al-Sharq, November 24, 2011

ジャマール・アタースィー民主的対話会議(市民社会運動体)の代表を務め、3月15日の内務省前での抗議行動(政治犯釈放を求める家族の座り込み)を主導したアタースィー氏は、治安当局の追跡を受け長らく国内に潜伏していたとされる。

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サウジアラビアの日刊紙『ワタン』(11月24日付)がフェイスブックから得た情報として、ヒムス市で殺害され、埋葬されたサウジアラビア人フサイン・ブン・バンダル・ブン・ハラフ・アンズィー氏の遺体が掘り出され、持ち去られたと報じた。

在ダマスカス・サウジアラビア大使館高官によると、フサイン氏の遺体は遺族に返還され、サウジアラビア国内で改めて埋葬されることになっていた。

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シリア救済委員会は声明を出し、アブドゥッラッザーク・イード政治局長、ウマル・ファールーク・ダンダシー執行部副議長、ウサーマ・マルーヒー顧問委員会委員長、アブドゥルガニー・ハマドゥー顧問委員会副委員長、ムスタファー・ハーニー・イドリース執行部長、アブドゥッラー・キナーン・ハーティム情報総合関係委員会委員長、ハリール・ミクダード革命委員会議長が、シリア国民評議会への参加を申請すると発表した。

アサド政権の動き

Kull-na Shurakā’, November 24, 2011
Kull-na Shuraka’, November 24, 2011

「アフバール・シャルク」(11月24日付)は、西側諸国の経済制裁により物資、とりわけ灯油不足が懸念されるなか、スイスに本社がある貿易会社AOTは海路でシリア国内に灯油を搬入し続けている、と報じた。

同社による灯油の搬入は、EUの経済制裁が人道目的での物資搬入を禁止していないために可能だという。

シリア国内の灯油不足は、とりわけ軍・治安部隊と離反兵との戦闘が激しいヒムス県において深刻である。その原因に関して、一部の専門家は、民間人弾圧に投入されている戦車、軍用車輌の燃料としているためだと指摘している。しかしアサド政権の支持者らは西側の経済制裁が灯油不足をもたらしていると非難している。

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ムハンマド・ニダール・シャッアール経済大臣は、AFP(11月24日付)の取材に対して、シリア経済が「決して容易でない危機である」と述べた。

シャッアール経済大臣はまた「我々の歴史において最悪の危機だと思う。なぜならそれは国民、商人や工場主、そして労働環境に直接及ぶからだ。万人が被害を被っている。これはまったく公正でない」と述べた。

さらに「もしこのような状況が続けば、事態は悲惨なものになる…。確実にシリア全体に害をもたらし、他のアラブ諸国にも波及するだろう」と述べた。

一方、アラブ連盟による対シリア経済制裁の可能性に関して、「一部の国が同意しないのはほぼ確実だ」と述べた。

そのうえで対応については、「自給自足、資源配分、生産、工場運営といった問題により活発に対処せねばならない」と述べた。

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SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011

 

SANA, November 24, 2011
SANA, November 24, 2011

ダマスカス県旧市街のバーブ・トゥーマ広場で、女性数千人がアラブ連盟の対シリア決議反対、アサド政権の改革支持を訴える集会を開いた。

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『クドス・アラビー』(11月24日付)は、いわゆる「危機管理チーム」議長を務めてきたバアス党シリア地域指導部のムハンマド・サイード・バヒーターン副書記長が議長職を解任され、代わってハサン・トゥルクマーニー副大統領補が後任に任命された、と報じた。

同チームは、政治、経済、外交、社会といった分野を専門とする大学教授らから構成されているという。

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インターネット紙『ハキーカ』(http://www.syriatruth.org、11月24日付)は、イマード・ムスタファー在米シリア大使の国内への異動に関して、アサド政権がワリード・ムアッリム外務大臣とブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問の政治的パフォーマンスやメディアでの活動に「激しいフラストレーション」を募らせていたことが背景にあると報じた。

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『トゥデーズ・ザマーン』(11月24日付)は、最近アサド大統領と会談した人々から意見聴取したロンドン在住の研究者(Ziya Meral)のレポートを掲載した。

同レポートによると、アサド大統領の発言は以下の4点を特徴としているという。

1. 米国政府はシリア政府高官に制裁を科すことで米国民を欺いているが、バラク・オバマ大統領をはじめ、同国政府高官は、アサド大統領が米国内に資産を持っていないことを知っている。
2. イスラエルはアサド政権の存続を望んでおり、アサド政権に対するいかなる強硬な動きも支持しない。
3. トルコの圧力は限定的で、AKPのパフォーマンスは世論向けに過ぎない。
4. アサド大統領はエジプトや湾岸諸国に不信感を抱いている。エジプトについては、中東の国と言うよりは北アフリカの国で実質的な影響力を持っていないとみなしている。サウジアラビアについては、過激派を延々と支援する最大の脅威だとみなしている。カタールについては、実質を伴わない野望を抱いているに過ぎないとみなしている。ヨルダンに関しては米国の操り人形に過ぎないとみなしている、という。

http://www.todayszaman.com/newsDetail_getNewsById.action?newsId=263835

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『クッルナー・シュラカー』(11月24日付)は、アサド政権の支持者は、ダマスカス県およびダマスカス郊外県でスンナ派との対決に備えて、アラウィー派が多く住む地域を支援するためのリスト作りを進めていると報じた。

同報道によると、バルザ区、アッシュ・ウルール地区、クドスィーヤー市、マッザ86地区などでは、アラウィー派に武器の配布が始まっているという。

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『クッルナー・シュラカー』(11月24日付)は、国営セクターで革命に同情的は職員350人以上が解雇されたと報じた。

アラブ連盟の動き

シリア情勢を審議するためのアラブ連盟閣僚委員会がカイロの連盟本部で開催され、アラブ監視団派遣などに関する議定書に対してシリア政府が求めていた修正提案を却下することを確認し、シリア政府に対して11月25日正午まで猶予を与え、それまでに同議定書を受諾するよう求めた。

また議定書に合意しなかった場合、連盟の経済社会会議を26日に招集し、シリアへの経済制裁を承認しすること、そして同会議の議事を27日に連盟閣僚会議で審議・承認することを決定した。

加えて、連盟外相会議は、シリア政府と反体制勢力に対して、連盟のイニシアチブに沿って国民対話会合を開き、過渡期を運営する挙行一致政府の樹立に関して合意するよう求めた。

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同決定の審議に際して、アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣は対シリア制裁を支持する動きを緩和するよう求めたが、採決では賛成した。

イラクのホシャル・ゼバリ外務大臣は、アサド政権がアラブ監視団の派遣に合意しているが、連盟閣僚委員会での審議を踏まえて最終決定をする意向だと述べ、アサド政権を擁護、採決を棄権した。

レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は連盟外相会議が始まる前にレバノンに帰国し、同国の代表が代わりに出席、外相会議の決定を却下するとの意思を伝えた。

エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は、連盟のあらゆる決定においてコンセンサスが必要だと述べ、戦略物資であるガス(エジプトがシリアに輸出している)、食糧、医薬品を制裁対象から外すよう求めた。

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一方、サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、リヤードでのGCC閣僚会合で、「シリアの危機解決のためにアラブ諸国が合意に達しなければ、問題は国際化し、国連に付託されるだろう…。我々は問題の国際化を望んでいない」と述べた。

反体制運動掃討

軍・治安部隊はヒムス県、イドリブ県各地で離反兵と交戦する一方、活動家弾圧を続け、1人が死亡、数十人が負傷した。

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ヒムス県ではラスタン市周辺の農地に軍の戦車、装甲車約50台が展開し、離反兵の拠点を攻撃した。シリア人権監視団によるとこれによって、離反兵2人が戦死、13人が負傷した。

シリア人権監視団によると、ヒムス市のバイヤーダ地区とカラム・ザイトゥーン地区で治安部隊が4人の「市民」を殺害した。

また同監視団は、フーラ地方で、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、前者に11人がでたと発表した。

これに対して、SANA(11月24日付)は、タッルドゥー市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー3人を殺害、武器を押収したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山一帯のバーラ村、イフスィム村が軍・治安部隊の攻撃に曝された。

またイブリーン村、アブディーター村でも大きな爆発音が聞こえたという。

これに対して、SANA(11月24日付)は、マアッラト・ヌウマーン市で武装テロ集団が教員を暗殺未遂したと報じた。

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ダルアー県では、SANA(11月24日付)によると、当局がダルアー市郊外で武装テロ集団を追跡中に大量の武器を押収した。

諸外国の動き

Naharnet.com, November 24, 2011
Naharnet.com, November 24, 2011

SANA(11月24日付)は、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカがシリア内政への外国の不干渉を改めて求めたと報じた。

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フランスのニコラ・サルコジ大統領はレバノンのサアド・ハリーリー前首相と会談し、シリアの体制は遅かれ早かれなくなるだろう、と述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、レバノンのオレンジ・TV(11月24日付)の取材に対して、フランス治安機関が自由シリア軍を軍事教練するため、トルコとレバノンの国境地帯に派遣されたとの一部報道を「根拠がない」と否定した。

治安機関(外務治安総局)派遣は『ル・カナール』誌(11月23日付)が報じていた。

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レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣は「レバノンの声」ラジオ(11月24日付)とのインタビューで、「レバノンはアラブ連盟が科すであろう対シリア制裁を承認しない」と明言した。

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『アフバール・ヤウム』(11月24日付)は、レバノンの3月14日勢力が、シリアでのアサド政権崩壊後にレバノンにおけるヒズブッラーの影響力排除をめざすための文書を準備していると報じた。

AFP, November 24, 2011、Akhbar al-Sharq, November 24, 2011、Akhbar al-Yawm, November 24, 2011、al-Hayat, November 25, 2011、al-Haqiqa, November 24, 2011、Kull-na Shuraka’, November 24, 2011, November 25, 2011、Naharnet.com, November 24, 2011、al-Quds al-Arabi, November 24, 2011、Reuters, November 24, 2011、SANA, November 24, 2011,
November 25, 2011、Todayszaman, November 24, 2011、al-Watan (Riyad), November 24, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会使節団が仏外務省と会談し「シリア国民の代表」としての支持を取り付ける、また同評議会議長は自由シリア軍への支持を明言(2011年11月23日)

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン理事長ら)はフランスのアラン・ジュペ外務大臣と会談した。

会談後、ジュペ外務大臣は、シリア国民評議会がイタリア、英国、ロシア、ベルギー各国政府の高官との会談を通じて、より広く(シリア国民の)代表しての資質を享有するようになった、と述べ、アサド政権が国際的孤立を深め、正統性をさらに失った場合、国際社会が同評議会をシリア国民の代表として承認するために努力すると述べた。

そのうえで「シリア国民評議会は我々がともに活動する法的基軸である」と述べ、最大限多くの反体制勢力を包摂する必要があるとの見方を示した。

また「人道回廊を我々は検討した。私は、次回のEU外相会合でこの問題を議題に含めるよう求める」と述べ、民間人を保護するための「人道回廊の設置」をめざす意向を示した。

これに対してガルユーン議長は、フランス政府に謝辞を述べるとともに、シリア国民評議会が自由シリア軍を支持すると明言し、民間人を保護するとともに、シリア軍を攻撃しないよう求めた。

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シリア国民評議会の使節団がスペインのトリニダード・ヒメネス外務大臣と会談した。

使節団はアフマド・ラマダーン氏(執行部メンバー、情報局長)、ウバイダ・ナッハース氏、バッサーム・アブドゥッラー、シャーディー・ハッシュ、イマード・ナッダーフ、ラーミー・ジャッラーフからなる。

会談で、外務大臣は、アサド大統領が退任する必要があると述べる一方、対話のチャンネルをアサド政権からシリア国民評議会に向けるとの意思を示した。

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シリア法律研究センターのアンワル・ブンニー弁護士はAFP(11月23日付)に対して、過去8ヵ月間で弁護士122人以上が逮捕されたと述べた。

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シリア反体制勢力統一国民イニシアチブの使節団が、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談し、同イニシアチブが発表した文書(11月20日付)を手渡した。

使節団は以下の活動家から構成されていた。

サラーフ・バドルッディーン(クルド人)
ナウファル・マアルーフ・ダワーリービー
ワヒード・サクル
バヒーヤ・マールティーニー(クルド人)
ディヤー・ダグマシュ
ハーズィム・アルウール
アンマール・カルビー

アサド政権の動き

外務省のジハード・マクディスィー報道官は、国連総会第三委員会での対シリア非難決議に関して、「バランスを欠く」と非難した。

マクディスィー報道官は「現段階において、国際社会における軍事問題化でなく、仲介努力が必要であるにもかかわらず…、シリアに対する政治的キャンペーンがなされるなかで」決議が採決されたと述べた。

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ラッカ県ラッカ市で市民数千人がアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴えるロウソク集会に参加した。

SANA, November 23, 2011
SANA, November 23, 2011

ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市でも市民数千人がアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える集会に参加した。

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地方自治省は、新地方自治法に従い、全国約700カ所に分館を新設した。

反体制運動掃討

ハマー県では、複数の活動家や住民によると、軍の機甲師団が離反兵の「物資供給ライン」と目されるガーブ渓谷のヒヤーリーン町を攻撃し、村人2人を殺害した。

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地元調整諸委員会は、タルトゥース県、ダルアー県、ハマー県、ダマスカス郊外県、ヒムス県の各地で、軍・治安部隊が大規模な逮捕・掃討作戦を行い、激しい銃撃、爆発が発生、複数が殺害、逮捕されたと発表した。

またシリア人権監視団も数十人が死亡したと発表した。

だがこれらの反体制組織が発表した死者数は過去数日間の死者数の累計であり、実際の死者数はより少ないものと思われる。

諸外国の動き

ロシア連邦会議国際問題委員会のミハイル・マルゲロフ委員長は「安保理での(対シリア制裁決議案に対する)ロシアの拒否権発動は、国際社会においてバッシャール・アサド大統領がその法的な地位を維持させるための最後の手段だった」と述べた。

そのうえでマルゲロフ委員長は「シリア大統領は(ロシアの)この姿勢が一つの意味を持っていることを理解せねばならない。改革、暴力停止、自由選挙の実施という意味を。これをシリア政府はただちに行わねばならない」とアサド政権に警告した。

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英国のデヴィッド・キャメロン首相は、ロンドンでトルコのアブドゥッラー・ギュル大統領と会談後、記者団に対して「シリアをめぐって有意義な会談を行った。同地では大規模な内戦の可能性が実際にある」と述べ、アサド政権への圧力強化と反体制勢力支持が必要だとの立場を示した。

ギュル大統領はウィルトン・パーク会議場で、アサド大統領が「民主的移行を指導し得るよう陰に陽に努力してきた」としたうえで、「にもかかわらず、バアス体制は国民に対して暴力と弾圧を加え続けている…。残念ながら、シリアは戻れない場所に来てしまった」と批判した。

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アルジェリアのムラード・マドリスィー外務大臣はアラブ連盟のイニシアチブを改めて評価したうえで、シリア政府に対して同イニシアチブを遵守し危機打開を試みるよう呼びかけた。

AFP, November 23, 2011、Akhbar al-Sharq, November 23, 2011, November 24, 2011、al-Hayat, November 24, 2011、Kull-na Shuraka’, November 23, 2011、Reuters, November 23, 2011、SANA, November 23, 2011などをもとに作成。

 

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国連総会第三委員会が112カ国の賛成のもと「シリア政府の人権侵害」を非難する決議を承認、クウェート外務次官が「湾岸諸国がシリアの反体制勢力に資金と武器を援助している」との言説を否定(2011年11月22日)

国連の動き

国連総会第三委員会は112カ国の賛成で、シリア政府の人権侵害を非難する決議を承認し、民間人に対する体系的且つ身体的な侵害の停止」、アラブ連盟のワーキングペーパーの即時実施を求めるとともに、「アラブ連盟が要請した場合、連盟監視使節団の派遣を支援するよう国連事務総長に」要請した。

同決議には、サウジアラビア、クウェート、カタール、バーレーン、モロッコ、ヨルダン、エジプトが賛成したが、レバノン、アルジェリア、イエメンが棄権、イラク、ジブチが欠席し、シリアへの関与のありかたをめぐるアラブ諸国内の意見の不一致が改めて明らかとなった。

またイラン、ラ米・アフリカ諸国13カ国が反対し、ロシア、中国など41カ国が棄権した。

これに先立ち、シリアは採決の中止を求めたが、賛成20カ国、反対118カ国、棄権29カ国で否決されていた。

同決議を支持した西側諸国は、安保理での審議の「青信号」と認識しているが、『ハヤート』(11月23日付)によると、サウジアラビアのアブドゥッラー・ムアッリム国連代表は、「安保理での審議はアラブの決定を待たねばならない」と述べたという。

アサド政権の動き

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、国連総会第3委員会でのシリア非難決議採択に関して、「この決議案は、我が国に対する政治的、情報的、そして外交的な戦争を布告するという枠組みのもとに提出された」と述べ、厳しく非難した。

ジャアファリー国連代表はまた「政治的決定を下そうとする我々の独立性を脅かし、我々が国民的な政治プログラムを前進させることを阻止する宣戦布告だ」と述べた。

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SANA, November 22, 2011
SANA, November 22, 2011
SANA, November 22, 2011
SANA, November 22, 2011

ラタキア県ラタキア市、タルトゥース県タルトゥース市、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町、ダマスカス県バーブ・トゥーマ、でアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模な集会が開かれ、多数の市民が参加した。

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アサド大統領に近い消息筋によると、大統領はイマード・ムスタファー在米大使を含む複数の大使を外務省付に異動とした。『クッルナー・シュラカー』(11月22日付)が報じた。

同報道によると、外務省付となった大使は以下の通り。

イマード・ムスタファー在米大使
マージド・シュドゥード在セルビア大使
ハラフ・ジャッラード在中国大使
ファールーク・ターハー在ベラルーシ大使

またムスタファー在米大使の後任は、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問が最有力視されている。

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AFP(11月22日付)は、西側諸国の制裁や、近く発動が予想されるアラブ連盟やトルコの制裁に関して、シリアの高官がいかに対処しようとしているかを報じた。

同報道によるとこの高官(匿名)は「我々は過去数年にわたる制裁で我々が置かれている厳しい状態にいかに対処するかを知っている…。ロシアは我々の政治的砦であり、イラク、レバノン、そしてイランは我々にとって「経済的な酸素」だ」と述べたという。

2009年のシリア公式統計によると、シリアは輸出の52.5%、輸入の16.4%をアラブ諸国に依存している。

主な輸出先は、イラク(31.4%)、レバノン(12.7%)、ドイツ(9.2%)、サウジアラビア(5.2%)。

一方主な輸入先は、中国(10.8%)、サウジアラビア(10.1%)、トルコ(7%)、UAE(5%)、レバノン(4.1%)、エジプト(4.1%)となっている。

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『ル・フィガロ』(11月22日付)はアサド大統領がドバイに60,000,000ドル相当の不動産(土地)購入したと報じた。

同報道によると、この不動産取得は退任後の住居を確保するためだという。

反体制勢力の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア革命支援国民委員会の使節団とカイロの連盟本部で会談した。

使節団は、タラール・ムハンマド・タルカーウィー氏を団長とし、シリア・クルド国民会議のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ議長らが参加した。

このうちシリア・クルド国民会議の代表はアラビー事務総長に書簡を手渡し、シリアのクルド人がシリアの反体制勢力の主要な一部分を構成していることを強調した。

シリア・クルド国民会議の代表の一人、カーミーラーン・ハーッジ・アブドゥー氏や『ハヤート』(11月23日付)に対して、同会議がクルド民族主義政党10党や無所属活動家らを代表していると述べるとともに、反体制勢力のヴィジョンの統一をめぐっては、さまざまな反体制勢力の「同盟」が好ましいと述べ、反体制勢力が「統合された一つの政党」に発展解消することに継承をならした。

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キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、シリア国民評議会の使節団(ブルハーン・ガルユーン事務局長ら)と会談した。

アシュトン上級代表は反体制勢力統一の努力を評価したという。

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シリア国民評議会は、11月21日のロンドンでのウィリアム・ヘイグ英外務大臣と使節団との会談で、ブルハーン・ガルユーン事務局長が英国側に、自由シリア軍の軍事活動を停止させるためトルコ当局に要請するよう求めたとの一部報道が「まったく根拠がない」と否定した。

反体制勢力掃討

シリア革命総合委員会は、治安部隊の弾圧によって、ヒムス県、イドリブ県、ハマー県各地で21人が殺害されたと発表した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、フーラ地方のカフルラーハー市とタッルドゥー市間で治安部隊が市民に発砲し、10代の子供4人が殺害された。

また同監視団によると、タルビーサで治安部隊の発砲により1人が殺害され、クサイル市では離反兵1人が殺害された。

ヒムス市では、同監視団によると、ハーリディーヤ地区で治安部隊が発砲した。

他方、ダイル・バアルバ市では、同監視団によると、1人が殺害された。

一方、SANA(11月22日付)は、ヒムス県ダイル・バアルバ市およびヒムス市アウラース地区で指名手配中の武装テロ集団メンバー14人を、ラスタン市およびタルビーサ市で5人を、タッルカラフ市で9人を逮捕したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、3人が治安部隊に殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、1人が治安部隊に殺害された。

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ダルアー県では、SANA(11月22日付)によると、ダルアー市郊外で多数の武装テロ集団メンバーが逮捕された。

イスラエルの動き

『ハヤート』(11月22日付)は、シリア国内での反体制勢力の武装化を受け、同国の混乱の波及に関するさまざまなシナリオを想定し、対応準備を進めていると報じた。

同報道によると、イスラエル国防軍は西岸でのパレスチナ人の入植地への流入に対処するための訓練を受けてきた軍部隊を占領中のゴラン高原に派遣したという。

諸外国の動き

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在ダマスカスのサウジアラビア大使館は、11月20日(月曜日)にヒムス県でサウジ人のフサイン・ブン・バンダル・ブン・ハラフ・アンズィー氏が殺害されたことを確認した。

サウジ国営通信(11月22日付)は、サウジ大使館高官が「強い懸念」を表明するとともに、「目に余る暴行」に関する曖昧な点を調査するようシリア政府に求めた。

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ヒムス市近郊でのバス襲撃事件を受け、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、「お前は死ぬまで戦っていると言っているが、どうしてゴラン高原で死ぬまで戦わないんだ」とアサド大統領を非難した。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は訪問中のクウェートで、「私は軍事干渉する意思はない。何よりもまず、シリア国民評議会が平和的活動を望んでおり、またアラブ諸国がこうした介入を要請していないからだ」と述べた。

フランス外務省報道官は、フランス大使を近くシリアに帰国させると発表した。

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米国は、現在米国滞在中のロバート・フォード駐シリア米大使のシリアへの帰国を治安上の理由で延期すると発表した。ビクトリア・ヌーランド米国務省報道官が発表した。

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AKI(11月22日付)は、アラブ連盟消息筋の話として、連盟が近くシリアに対する制裁を発動する準備を進めるなか、シリア情勢をめぐる安保理での審議を時期尚早とみなしていると報じた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、ヨルダン・テレビ(11月22日付)のインタビューで、シリアからの避難民に関して、「おそらく数十から数百人が正式なルートで民間人としてヨルダンに入国している。彼らは軍人ではない」と述べ、離反兵が自国に逃走・潜伏しているとの一部見方を否定した。

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クウェート外務省のハーリド・ジャールッラー次官は、湾岸諸国がシリアの反体制勢力に資金と武器を援助しているとのユースフ・アフマド連盟シリア代表の発言を否定した。

AFP, November 22, 2011、AKI, November 22, 2011、Akhbar al-Sharq, November 22, 2011、al-Hayat, November 22, 2011, November 23, 2011、Kull-na Shuraka’, November 22, 2011、Le Figaro, November 22, 2011、Reuters, November 22, 2011、SANA, November 22, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

露外相いわく西側諸国のシリア情勢への対応は「世界レベルの政治的挑発」、またサウジアラビア内閣がアサド政権に対しアラブ連盟ワーキングペーパーの完全実施を再度呼びかける(2011年11月21日)

アサド政権の動き

ダマスカス郊外県ドゥーマー裁判所の第一検事は、反体制活動家のマージド・サーリフ氏(9月14日逮捕)の釈放を決定した。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(11月21日付)は、ダマスカスの複数の外交筋の話として、ダマスカス県のイーマーン・モスクに隣接するバアス党支部への襲撃を実行したのが、空軍情報部のクサイ・マイフーブ大佐だと報じた。

同報道によると、離反兵はダマスカス県内のロシア大使館、政治治安部ファイハー支部、ファイハー・スタジアム内のナーディー・バラダーなどへの攻撃を計画している、という

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シリア・ムスリム同胞団が声明を出し、アサド政権がアラブ連盟のイニシアチブを拒否していると非難し、国連安保理に民間人保護を保障する措置を講じるよう求めた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長、ウサーマ・ムナッジド氏、ニブラース・ファーディル氏、国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア氏、ハラフ・ダーウド氏、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長と会談した。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、来週初めにカイロのアラブ連盟本部で、反体制勢力代表による拡大会合を行うと発表した。

反体制運動掃討

シリア革命総合委員会は複数の都市で14人が殺害されたと発表した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バイヤーダ地区で治安部隊の発砲により市民2人が殺害されたと発表した。同監視団によると、ヒムス市ではライフラインが依然として遮断されたままだという。

これに対してSANA(11月21日付)は、ヒムス市バイヤーダ地区で治安維持部隊が武装テロ集団メンバー4人を殺害し、そのなかには「同市の住民を脅迫してきた武装テロ集団の指名手配者リストの筆頭」に記載されてきた「ハーリド・ラージフ、通称バンダル」が含まれていると報じた。

またシリア人権監視団によると、クサイル市では治安部隊の発砲により2人が殺害された。

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ハマー県では、SANA(11月21日付)によると、ガーブ地方裁判所のブラーヒーム・ムハンマド検事長とカルア治安裁判所のイマード・ムハンマド裁判長が武装テロ集団によって誘拐未遂にあった。

シリア人権監視団によると、カルナーズ、ラターミナ、カフルヌブーダに軍・治安部隊が多数展開したという。

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イドリブ県では、SANA(11月21日付)によると、当局がマアッラ・ニウマーンでワーディー・ダイフの倉庫を襲撃しようとした武装テロ集団を逮捕した。

シリア人権監視団によると、イフスィム村で数千発の銃声が聞こえたという。

諸外国の動き

ロシアの複数の報道機関が伝えたところによると、セルゲイ・ラブロフ外務大臣は、西側諸国のシリア情勢への対応が「世界レベルで政治的挑発を行っているかのようである」と批判した。

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サウジアラビア内閣は閣議でアサド政権に対してアラブ連盟のワーキングペーパーの完全実施を改めて呼びかけた。

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サウジアラビア日刊紙『イクティサーディー』(11月21日付)は、アラブ連盟が近く、旅行、銀行送金、アラブ諸国内の資産凍結、プロジェクト中止、通称、アラブ自由通称地域における資格停止などといった経済制裁をシリアに対して科すだろうと報じた。

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トルコの複数の報道機関によると、メッカでの巡礼を終えて帰国しようとしていたトルコ人巡礼者を乗せたバスがヒムス市近くで襲撃され、トルコ人運転手1人と巡礼者1人が負傷したと報じた。

CNN-Turk(11月21日付)によると、このバスは道を間違ってヒムス市に近づき、襲撃を受けたのち、シリア軍が制止したという。

ドーアン通信(11月21日付)は複数の乗客の証言として、シリア軍兵士8人が検問所まで戻るよう指示したと報じた。また乗客の一人によると、兵士たちが無差別に発砲したという。

この事件を受けるかたちで、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、「限られた期間しか戦車や迫撃砲で支配を維持することはできない」と述べ、アサド大統領に呼びかけるかのように、「お前も去る日がくるだろう」と厳しく非難した。

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レバノンのアマル運動とヒズブッラーは共同声明を出し、「国際的な陰謀」と「脅迫」に対抗するシリアとイランを支持するとの姿勢を改めて示した。

AFP, November 21, 2011、Akhbar al-Sharq, November 21, 2011, November 23, 2011、al-Hayat, November 22, 2011、al-Iqtisadi, November 21, 2011、Kull-na Shuraka’, November 21, 2011、Naharnet.com, November 21, 2011、Reuters, November 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

自由シリア軍がダマスカス県内のバアス党支部に迫撃砲攻撃を行うなか、アサド政権が発した2011年政令第108号により国民情報会議が正式に発足(2011年11月20日)

反体制勢力の動き

ダマスカス県のイーマーン・モスクに隣接するバアス党支部に対して夜明け前に、自由シリア軍が迫撃砲で攻撃を加えた。

複数の住民によると、少なくとも迫撃砲2発が施設に撃ち込まれ、施設内にいた1名が負傷した。

目撃者の一人によると、「治安機関がある地区を閉鎖した。しかし建物から煙があがり、消防車が建物の周りに来ていた…。攻撃は夜明け前になされたが、建物はほぼ無人だった。政府への警告メッセージのようだった」という。

BBC(11月21日付)は、1台の自動車が同施設前を通過中に、施設の5階に向かって迫撃砲2発を発車したと報じた。

攻撃後に自由シリア軍が犯行声明を出した。同声明によると、政治犯釈放を拒否したことへの報復だという。

一方、『クッルナー・シュラカー』(11月20日付)は、ダマスカス県のイーマーン・モスクに隣接するバアス党支部に加えて、マイサート地区のウマイヤ病院に隣接する民族治安局が反体制武装集団の攻撃を受けたと報じた。

しかしこの攻撃に関して、自由シリア軍は犯行声明は出さず、また上記の声明においても指摘しなかった。

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トルコ南部で反体制武装闘争を指揮する自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐はジャズィーラ(11月20日付)の取材に対して、「一発の銃弾も密輸入していない…一発も…私はそう断言する。トルコからシリア領には1発の銃弾も入っていない」と述べ、トルコから軍事支援を受けているとの一部指摘を否定した。

またアスアド大佐は同武装組織が飛行禁止区域設置以外のいかなる外国の軍事介入も望まないと述べた。

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国外で活動するシリア革命総合委員会は、アラブ連盟のアラビー事務総長に、シリア・トルコ国境に緩衝地帯を設置するよう求める書簡を提出した。

書簡は同委員会のムハンマド・イッズッディーン氏が手渡した。

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地元調整諸委員会は声明を出し、空軍情報部がハラスター市で4ヵ月の新生児を誘拐し、指名手配中の父親に投降を求めていると非難した。

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占領地ゴラン高原のシリア人住民が声明を出し、シリア政府に対するアラブ連盟の強硬な姿勢を支持した。

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ヒムス市のスンナ派およびアラウィー派の宗教関係者が連名で「ヒムス・ウラマー声明」を出し、殺戮や誘拐の停止を呼びかけた。

反体制勢力と親体制勢力の衝突

エジプトの首都カイロにあるアラブ連盟本部前でアサド政権を支持するデモ参加者と反体制活動家が衝突した。

SANA, November 20, 2011
SANA, November 20, 2011

複数の反体制活動家によると、アサド政権を支持するデモはズハイル・アブドゥルカリーム氏(芸術家)とアブドゥルカリーム・フワンダ氏(大使館文化担当官)が中心となって組織したもので、反体制活動家が座り込みを行うテントの排除を試み、テントを焼き討ちにしようとしていた、という。

しかしSANA(11月20日付)は、アラブ連盟による対シリア決議や内政干渉を拒否するシリア国民の意思を伝えるべくカイロを訪問したシリア人使節団数十人が「国外の反体制活動家」に襲撃された、と報じた。

なお『クッルナー・シュラカー』(11月20日付)は、彼らがラーミー・マフルーフ氏から資金援助を受けていると断じた。

アサド政権の動き

英国の『サンデー・タイムズ』(11月20日付)はバッシャール・アサド大統領への単独インタビューを行った。

同記事におけるアサド大統領の主な発言は以下の通り。

「ほかのシリア人と同様に、私は我が国の国民の流血を目の当たりにして、もちろん痛みと悲しみを感じた…。しかし大統領としての私の役割は、言葉や悲しみではなく、行動だ。私の役割とは、さらなる流血を防ぐためにとるべき措置を考えることだ」。

「唯一の方法とは、武装した者たちを探し出し、武装集団を追い詰め、隣国からの武器の流入を阻止し、破壊活動を防ぎ、法律や秩序を執行することだ」。

「人間は時計を逆戻りさせることはできないが、この問題(女性や子供が殺害されている事態)に関して賢明に行動することはできる…。大統領としての私の役割は、一部の地域で生じている武装テロ行為によってもたらされるこの流血をいかに止めるかを知ることにある」。

「父親として当然、彼ら(子供を失った遺族)に同情している…。私は民間人と軍人双方の犠牲者遺族に多数面談し、彼らと席をともにして話をした」。

「闘いは続く。シリアを従属させようとする圧力も続くだろう…。しかし私はシリアが屈せず、圧力に抵抗し続けるとあなたに断言する」。

「8ヵ月を経て、我々に明らかになったのは…、問題が平和的デモに関するものではなく、武装行為に関するものだということだ」。

「我々は新たな議会を持つことになる。そしてその後に新たな内閣を持つことになる。そして我々は新たな憲法を持つことになる。この憲法が、新たな大統領をどのように選ぶかという基礎を定めるだろう」。

(自分の子供が大統領になることを望むかとの問いに対して)「私は子供たちにシリアのあらゆる階層の人々と関わるよう忠告している。そうすることで、彼らが成長したとき個人としての拡がりが出るからだ…。子供たちの将来など誰も決められない…。彼らの未来は私でなく、彼らが決めねばならない」。

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SANA, November 20, 2011
SANA, November 20, 2011
SANA, November 20, 2011
SANA, November 20, 2011
SANA, November 20, 2011
SANA, November 20, 2011

ダマスカス県のヒジャーズ駅前、ユースフ・アズム広場、外務省前などでアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模な集会が開催された。

スワイダー県スワイダー市でも県庁前でアサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴える大規模な集会が開催された。

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アサド大統領は、情報法の規定に基づき、2011年政令第108号を発し、国民情報会議を正式に発足した。

会議は以下のメンバーから構成されている。

ターリブ・カーディー(議長)
フアード・アブドゥルマジード・バラート(副議長)
アーディル・ヤーズジー
ナーディヤー・ハウスィト
ハサン・ムハンマド・ユースフ
ナーズィム・バッサース
ムハンマド・クッジャ
フアード・シュルバジー
アブドゥルファッターフ・アウド

同会議は、アサド政権が進める改革の一環として情報部門の整備を推進する。

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SANA(11月20日付)は、政党問題委員会がムハンマド・シャッアール内務大臣によって開催され、政党法に基づき提出された政党申請についての審議を行ったと報じた。

同報道によると、審議の結果、シリア民主党、団結党の二党が公認された。

反体制勢力掃討

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ市で軍・治安部隊の戦車、兵員輸送車数十用が侵入し、市民2人を殺害した。

また同監視団によると、マアッラト・ニウマーン地方のマアッルシャムサ村、ワーディー・ダイフ地方でも軍・治安部隊が展開し、激しい発砲を行った。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市で軍・治安部隊が発砲し、2人が殺害された。

また同監視団によると、ヒムス市内の複数の地区でも軍・治安部隊が発砲した。一方、ハムラー地区では数千人が反体制デモを行ったという。

しかし、SANA(11月20日付)は当局が武装テロ集団メンバー58人を逮捕したと報じた。またカフル・アーヤー村で密輸されようとしていた灯油3,000リットルを押収したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市に兵員輸送車輌十数台が侵入し、逮捕・追跡作戦を展開し、15人を逮捕した。

しかしSANA(11月20日付)は、ハラスター市およびドゥーマー市で、当局が武装テロ集団5人を逮捕し、2人を殺害したと報じた。

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シリア・クルド国民評議会執行委員会メンバーでシリア・クルド人権一般的自由擁護機構(DAD)代表の反体制活動家ムスタファー・ウースー氏が逮捕された。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟は声明を出し、シリアへの使節団派遣に関するシリア政府の修正提案を拒否することを表明した。

シリア危機に関する閣僚委員会メンバーとナビール・アラビー事務総長の会合後に発表された声明は、「シリア側が議定書に関して提案した修正と追加は、文書の本質に抵触し、シリアの危機解決と民間人保護拡充を目的とするアラブ連盟の計画を実行しようとする使節団の任務の本質を変更する」とし、修正提案を却下した。

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複数の外交筋が『ハヤート』(11月21日付)に述べたところによると修正提案は15項目からなっていた。

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連盟による修正提案拒否を受け、ワリード・ムアッリム外務大臣は記者会見を開き、この決定を強く非難した。

ムアッリム外務大臣は「議定書は、シリアの国家としての役割を完全に無視している。シリアはこの使節団の安全に責任がある一方、使節団はシリアとの調整を無視しようとしている。この国(シリア)は、使節団との調整なしに存在している。使節団がどうやって行きたい場所に行くというのか?我々は、「行きたいところに行きなさい、しかし我々に安全を守る人材を送れるよう連絡しなさい」と言っているだけだ」と述べた。

またムアッリム外務大臣は、米国やトルコが「シリアを内戦へと追いやろうとしている」と批判した。

諸外国の動き

カナダのハリファックスで開かれた国際安全保障会議に出席したイスラエルのエフード・バラク国防大臣は、シリア情勢に関して、「この体制を終わりへと導く兆候が加速的に現れている」と指摘したうえで、アサド政権が「戻れない地点まで来てしまっている。自らの権威や正統性を回復し得る余地はない…。私にとって明らかなのは、数週間前にカッザーフィーの身に起きたこと、そしてその前にサッダーム・フセインに起きたことが彼に今置きようとしているということだ」と述べた。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は『サンデー・テレグラフ』(11月20日付)に対して、「専制的体制、一党体制はいる場所は地中海岸にはもはやない」と述べた。

またギュル大統領は訪問中の英国で『ガーディアン』(11月20日付)のインタビューに応え、「シリアは今や袋小路に入ってしまった。それゆえ変革は必然だ」と述べつつ、「平和的な方法による変革が外国の介入を通じて実現するとは思わない。国民が変革を実行せねばならない…。内戦は誰も望んでいない」と述べた。

他方ロイター通信(11月20日付)によると、トルコ政府がシリアの民間人補語のための飛行禁止空域と緩衝地帯の設定を検討している、とトルコ各紙(11月20日付)が報じた。

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イスラーム諸国会議機構のエクメレッディン・イフサン・オグル事務局長は、ドーハで『ハヤート』(11月21日付)に対して、「問題を国際化する前に、シリア国内で問題解決がなされねばならない」と述べ、シリアの問題が国際化することへの危機感を表明するとともに、アサド政権に暴力の停止を求めた。

AFP, November 20, 2011、Akhbar al-Sharq, November 20, 2011, November 22, 2011、BBC, November 20 ,2011、The Guardian, November 20, 2011、al-Hayat, November 21, 2011、Kull-na Shuraka‘, November 20, 2011、Reuters, November 20, 2011、SANA, November 20, 2011、The Sunday Times, November 20, 2011などをもとに作成。

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シリア国民評議会に属さない在外の活動家らが「反体制勢力統一のためのイニシアチブ」を立ち上げる、またその立ち上げメンバーが反体制勢力分裂の責任を負っているとしてシリア国民評議会を非難(2011年11月19日)

反体制勢力の動き

カイロで反体制勢力の統合をめぐって2日にわたって協議を続けてきたシリア国民評議会に属さない在外の活動家、サーディク・ジャラール・アズム(思想家)、アブドゥッラッザーク・イード(ダマスカス国民変革宣言在外代表)、アンマール・カルビー(シリア人権機構代表)らは、カイロで反体制勢力統一のためのイニシアチブを立ち上げた。

同イニシアチブは、彼らが出した声明によると、「シリア国民の要求を表現する単一・共同ビジョンの欠如、シリア人と国際社会の信頼を得るような単一の反体制勢力の主体の欠如」といった事態を受けた動きだという。

また同イニシアチブは、「バッシャール・アサドを頂点とする体制の完全な打倒、国際社会による民間人保護、飛行禁止区域などを通じた安全地帯の創出、国際社会による体制の正統性剥奪と孤立化、人権侵害の安保理、国際刑事裁判所への提訴・起訴、自由シリア軍と離反兵の支援…、体制打倒を加速させるためのアラブ・国際機関との協力」を求めた。

同イニシアチブは、26人のメンバーからなる連絡委員会を設置し、「さまざまな勢力と連絡…調整を行い、国民的大義に資する共通ビジョン、統一母体の確立」をめざす。

協議会に参加した中道党のムハンマド・アリー・ハラフ書記長は『ハヤート』(11月20日付)に対して、シリア国民評議会が反体制勢力分裂の責任を負っていると非難し、同評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長に対して「国民的責任をとり、カイロで直ちにすべての勢力との包括的・総合的会合をただちに開き、行き過ぎと疎外をやめ、評議会の組織を修正・拡大することですべてのシリア人に参加の余地を与え、国内の調整諸委員会を含んだかたちで修正拡大国民評議会として反体制勢力を統合する」よう求めた。

ハラフ書記長はまたシリア国民評議会の構成が「シリア・ムスリム同胞団とダマスカス民主変革宣言の間で配分され、若干のマイノリティが移植」されていると非難、「独占と不正に満ちた配分」と酷評した。

なお「シリア反体制勢力統一国民イニシアチブ」と名づけられたこの運動の声明は11月20日付で公開された。http://all4syria.info/web/archives/37940

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シリア・ムスリム同胞団のズハイル・サーリム報道官は声明を出し、「シリア国民が西側ではなくトルコの軍事的介入を受け入れるだろう」とのムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者の発言(17日)が「個人的見解であり同胞団の組織とは関係ない」と釈明した。

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シリア法律研究センターのアンワル・ブンニー弁護士は、AKI(11月19日付)に対して、アサド政権によるアラブ監視団派遣議定書への修正要求が「陰謀でアラブの要求への拒否」と非難した。

反体制運動掃討

民間人と離反兵15人、空軍情報部兵士4人が殺害された。

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

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ヒムス県では、ロンドンで活動するシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、ヒムス・サラミーヤ街道沿いのムフターラ村近くで空軍情報部の車が離反兵の襲撃を受け、情報部兵士4人が殺害された。

クサイル市では離反兵と軍・治安部隊が交戦し、市民2人、離反兵2人が死亡した。

ヒムス市では治安部隊の狙撃で1人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルタハーリーム村に治安部隊が突入し、民間人7人が殺害された。

これに対し、SANA(11月19日付)は、関係当局が、ザーウィヤ山に近いカフルナブル市やカフルルーマー村などで、140人以上の指名手配者を逮捕したと報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団、地元調整諸委員会によると、ハラファーヤー市、シャイザル町などで軍・治安部隊による逮捕・追跡活動が行われた。

アサド政権の動き

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

マナール(11月19日付)は、非公式筋の話として、シリア軍が「幻想破壊」作戦の名のもとに対トルコ国境地帯全体(幅20キロ)に展開し、軍の許可のない往来を禁じる動きに出たと報じた。

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SANA(11月19日付)は、ラタキア県ジャブラ市でアサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴える市民数千人がデモ行進を行ったと報じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、事務局でアラブ監視団派遣に関する議定書に対してシリアが求めた修正提案について審議した。

連盟高官は「問題は猶予の問題ではなく、より複雑である」と述べ、修正提案に関してアラブ諸国の意見の相違があることを示唆した。

修正提案には、人権組織メンバーの参加拒否、監視団へのシリア使節団の随行、訪問先の病院・刑務所の制限、軍・治安機関施設への立ち入り拒否、「破壊分子」との積極禁止、などが盛り込まれており、アラビーヤ(11月19日付)によると、それは18項目からなる、という。

イスラエルの動き

48年パレスチナ人(イスラエル国籍を持つパレスチナ人)およびパレスチナ人数十人が西エルサレムにある米領事館前でアサド大統領を支持するデモを行った。

アサド大統領の写真を掲げたデモ参加者は、「アラブ性の砦シリアに対する帝国主義と陰謀よ、倒れろ」、「シリアから手を離せ」などといったシュプレヒコールを上げた。

イスラエル警察・治安部隊は領事館周辺に展開したが、デモを強制排除しなかった。

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

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SANA(11月19日付)は、イスラエル占領下のゴラン高原にあるブクアーター村で「アラブ連盟の決定反対、レジスタンスのシリア支持」と題した集会が開かれ、地元シリア・アラブ人住民が出席したと報じた。

同集会ではギリシャ正教会のアターッラー・ハンナー大司教(エルサレム司教区)などが出席した。

レバノンの動き

レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官は、欧州のカトリック教徒使節団と会談した。

会談でアウン氏は、「現地での事実と異なったレポートをする世界のメディアの報道に対応することは重要なことだ」と述べ、ジャズィーラなどの扇動放送を批判した。

そのうえで、「シリアにおける戦争が進行中だ。なぜならこの戦争の背後にある真の動機は改革要求ではないからだ」と述べ、シリアの地域における弱体化をねらった動きを牽制した。

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レバノンのフアード・スィニューラ元首相は『シャルク・アウサト』(11月19日付)に対して、「もしわたしがナジーブ・ミーカーティー首相だったら、私はアラブ連盟外相会議で(対シリア決議に関する)投票で棄権していただろう」と述べた。

 

SANA, November 19, 2011
SANA, November 19, 2011

ヨルダンの動き

ヨルダン政府は、アラブ連盟の監視団派遣が決定した場合、監視員を派遣する用意があると発表した。

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ヨルダン・ムスリム同胞団のハマーム・サイード最高監督者は、「流血を停止」するためなら、同胞団がシリアへのアラブ軍の派遣を支持する、と述べた。

AFP, November 19, 2011、AKI, November 19, 2011、Akhbar al-Sharq, November 19, 2011、Alarabia.com, November 19, 2011、al-Hayat, November 20, 2011、Kull-na Shuraka’, November 19, 2011, November 20, 2011、al-Manar,
November 19, 2011、Naharnet.com, November 19, 2011、Reuters, November 19,
2011、al-Sharq al-Awsat, November 19, 2011などをもとに作成。

 

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アサド政権を支持する市民らが危機発生以来初めて金曜日に各地で大規模な集会を断行する、トルコ外相が離反兵による武力攻撃を黙認するような発言(2011年11月18日)

アサド政権支持集会と反体制デモの発生

バッシャール・アサド政権を支持する市民が、3月の危機以降初めて反体制勢力がデモを行う金曜日に各地で大規模な集会を断行し、アサド政権の改革支持、外国の干渉拒否を訴えた。

一方、反体制勢力も複数の都市で金曜礼拝後にアサド政権打倒を求めるデモを行い、数千人が参加した。しかし、SNN(11月18日付)がフェイスブックなどで公開した映像を見ると、参加者の少なさが目立った。

なおこれに先だって、フェイスブックなどでは「大使追放の金曜日」と銘打ってデモが呼びかけられていた。

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ダルアー県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民8人が治安機関の発砲により殺害された。

シリア人権監視団によると、ジャースィム市、インヒル市、ナワー市、ハーッラ市で治安部隊が展開し、デモを阻止した。

他方、SANA(11月18日付)は、ダルアー市ウマリー・モスク近くで武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃、治安維持部隊兵士2人が負傷したと報じた。またタスィール町で武装集団のメンバー1人を逮捕したと報じた。

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ハマー県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民4人が治安機関の発砲により殺害された。

SNN, November 18, 2011
SNN, November 18, 2011

他方、SANA(11月18日付)は、ハマー市クスール地区で爆弾が爆発し、治安維持部隊兵士2人が死亡したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民3人が治安機関の発砲により殺害された。

シリア人権監視団によると、治安部隊がハラスター市、ヤブルード市でのデモに発砲し、強制排除を試み、複数が負傷した。

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ヒムス県では、シリア革命調整諸委員会によると、デモに参加した市民2人が治安機関の発砲により殺害された。

シリア人権監視団によると、ヒムス市バイヤーダ地区では子供1人が負傷した。

SNN, November 18, 2011
SNN, November 18, 2011

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン地方では地上電話、携帯電話が遮断されるなかで、デモが断行され、17人が負傷した。

またタッフ村で反体制デモが発生した。

地元調整諸委員会によると、カフルナブル市のモスク周辺に治安部隊が展開し、デモを阻止した。

SNN, November 18, 2011
SNN, November 18, 2011

他方、SANA(11月18日付)は、マアッラト・ニウマーン地方で指名手配中の武装テロ集団メンバー10人が逮捕されたと報じた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市でデモが発生し、治安部隊が発砲し強制排除を試みた。

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ダマスカス県では、ダマスカス県旧市街の中心に位置するウマイヤ・モスク前で金曜礼拝後に数千人が集まり、その後、ハマディーヤ市場を経て、サブウ・バフラート広場まで行進した。参加者はアサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴え、今後毎週金曜日、広場で集会を行い、自らの意見を主張すると述べた。

一方、地元調整諸委員会によると、マイダーン地区のモスク前、カーブーン区、アサーリー地区でデモが発生した。

これに対して、SANA(11月18日付)は、カーブーン区、アサーリー地区でのデモが発生したとの発表は「まったく正しくない」と報じた。またイドリブ県、ハマー県、ダマスカス郊外県での発砲に関する報道・発表についても否定した。

SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011
SANA, November 18, 2011

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ラタキア県では、ラタキア市ハールーン交差点(広場)近くに数千人が集まり、アサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴えた。

またSANA(11月18日付)はジャブラ市のガズィー・モスクに治安部隊が突入したとの一部報道に対して事実とは異なると否定した。

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タルトゥース県では、タルトゥース市のコルニーシュに市民が集まり、アサド政権の改革支持、外国の干渉反対を訴えた。

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ハサカ県では、『クッルナー・シュラカー』(11月19日付)によると、アームーダー市、カーミシュリー市、ラアス・アイン市、ダルバースィーヤ市ではクルド人がクルドの旗などを掲げて反体制デモを行った。

反体制組織の動き

地元調整諸委員会は、SANAダイル・ザウル支局のアラー・ハドル局長が、民間人弾圧に抗議して辞意を示したことを受け、当局は同局長を逮捕した、と発表した。

しかしSANA(11月18日付)は、「ダイル・ザウル支局長はアラー・ハドル氏ではなくラミヤー・ラダーウィー女史であり…、ハドル氏は5ヵ月前にダイル・ザウル県フラート大学に異動となり、ダイル・ザウル支局とは何の関係もない」と否定した。

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シリアの複数の反体制組織がカイロに使節団を派遣し、会合を開き、反対勢力の政策・方針の統一、シリア国民評議会との関係の調整などを審議した。

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シリア国民評議会事務局メンバーで在米反体制活動家のラドワーン・ズィヤーダ氏は『ハヤート』(11月19日付)に対して、評議会使節団のロシア訪問が「良好だった」としたうえで、ロシアの姿勢変化に期待を寄せた。

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トルコのアンタルアで反体制活動を行うシリア変革大会は、アラブ連盟に対してシリアへの経済制裁を発動するよう求める声明を出した。

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イスラエル占領下のゴラン高原住民が、アラブ連盟の対シリア決議を支持する声明を出した。

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『シャルク・アウサト』(11月18日付)は、在外シリア人反体制活動家が、ジャーナリスト、人権活動家、国際機関代表らを載せた「自由船団」をシリアに派遣することを検討していると報じた。

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『ガーディアン』(11月18日付)は自由シリア軍がいかに兵員を確保し、各地に配備しているかを、複数の証言をもとにまとめた。

それによると、自由シリア軍はレバノン北部の対シリア国境沿いに潜伏し、シリア側から避難してくる離反兵を保護している。元治安部隊兵士によると「一昨日(11月16日)、私は30人を連れてきた」という。

またシリア情勢悪化を受けてシリアから帰国したレバノン人によると、「(離反)兵のほとんどは出身地には展開していない…。だから彼らが(レバノンに)入国すると、(シリア国内の)出身地に最も近い場所に送られる」という。例えば、11月16日にレバノンに逃れてきた離反兵は、トルコに送られ、その後出身地近くに配置され、軍・治安機関を攻撃するのだという。

これらの離反兵の資金源に関して、離反兵によると、誰が出資しているかは分からないが、離反兵の一人によると、「私が知っているのは調整委員会のメンバーに連絡しているということだ…。彼らは離反兵を連れて行くが、私は彼らを見たことはない」という。

http://www.guardian.co.uk/world/2011/nov/18/free-syria-army-lebanese-border?INTCMP=SRCH

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シリア国家建設潮流、国民民主変革諸潮流国民調整委員会の代表団および無所属活動家からなる使節団が、パリの英国大使館で英国外務省高官と会談した。

アサド政権の動き

ムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティー師は、シリア・アラブ・テレビ(11月18日付)が放映した金曜日の説教で、イスラーム諸国会議機構やアラブ連盟の代表者たちは、アッラーが命じ、アッラーの使徒が求めた協力に反している、と述べた。

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SANA(11月18日付)は、各地の金曜礼拝でイマームやハティーブらが、アラブ連盟の対シリア決議と外国の内政干渉への拒否の姿勢を示したと報じた。

アラブ連盟の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は声明を出し、ワリード・ムアッリム外務大臣からアラブ連盟監視団の法的状況および任務に関する議定書の修正を求める書簡を受け取ったと発表した。

同声明によると、連盟は「この修正(要求)は現在検討中である」というが、修正要求の内容は明らかにしなかった。

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この修正要求に関して、シリア人権国民機構のアンマール・カルビー所長はフェイスブックで、シリア政府の要求は「人権活動家を含まず」、「監視団はアラブ諸国の役人だけ」から構成しようとするものだと批判した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市で、レバノン人とシリア人数百人がアサド政権の打倒を求めるデモを行った。

デモでは、「バッシャール・アサドとともに去れ」、「今度はお前の番だ、ヒズブッラー」といったシュプレヒコールが繰り返され、ナジーブ・ミーカーティー首相の写真が焼かれた。

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アリー・アブドゥルカリーム在レバノン・シリア大使がレバノンのナビーフ・ビッリー国民議会議長と会談した。

会談で、アブドゥルカリーム大使はアサド政権が改革実施に邁進していると述べた。

一方、ビッリー国民議会議長は、「シリアに対する国際社会の圧力がその国民統合と、あらゆる挑戦に対処しようとする政府の責任を伴った政策の遂行を妨げている」と述べた。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン首相はモスクワでフランスのフランソワ・フィヨン首相と会談した。

会談後の記者会見でプーチン首相は、シリアでの反体制勢力の武装闘争激化とアサド政権の弾圧継続に関して「我々は自制と慎重な姿勢を求める。これが我々の立場だ」と述べた。

一方、フィヨン首相は、アサド政権が国際社会の呼びかけに「耳を閉ざしている」と非難し、「我々は国際的圧力を強化する以外にないと考えている。我々は国連に決議案を提出した。我々は可能な限り広範な指示が得られることを望んでいる」と述べた。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣はトルコを訪問し、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相、アフメト・ダウトオール外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ジュペ外務大臣はシリア情勢に関して「我々の努力を一つにして制裁強化にあたる時がきたと思う…。安保理がこの点において何らの行動をとっていないことは論理的でない」と述べた。

また「内戦が勃発すれば大惨事になる」としたうえで、反体制勢力に「武装反乱」を控えるよう呼びかけた。

一方ダウトオール外務大臣は、「政府は国民に耳を傾けずに、武器を向けた」とアサド政権の弾圧を改めて非難した。

ジュペ外務省は19日までトルコに滞在予定。

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キャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表がロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、アシュトン外務・安全保障政策上級代表は、「アサド大統領が去る時がきた」と述べ、改めて退任を求めた。

これに対してラブロフ外務大臣は、「対話はアサド政権が退任しなければ始まらないと言う一部の外国諸国からの支援を受けているとシリアの反体制勢力が宣言すれば、アラブ連盟のイニシアチブは何の価値も意味もなくなってしまうだろう」と反論した。

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フランス外務省報道官は、16日のダマスカス郊外県ハラスターでの空軍情報部コンプレクスへの離反兵による攻撃に関して、アサド政権が「無差別で野蛮な弾圧」を行っている結果だと述べた。

また「離反兵が増加するたびに、政権の弾圧能力は低下する」と述べ、離反を促すような姿勢を示した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、AFP(11月18日付)に対して、シリア国内での反体制勢力による武装闘争激化を内戦とみなすことに疑義を呈した。

ダウトオール外務大臣は、離反兵が「最近活動を開始した。それゆえに内戦の危険がある」としながらも、「内戦だと言うことは困難である、なぜなら内戦は二つの当事者が戦うものだが、シリアの現状は、大多数の住民が治安部隊の攻撃に曝されている」と述べ、離反兵の攻撃を黙認するとも捉えかねない姿勢を示した。

一方、シリア国民評議会に関しては、「政党」として承認している、と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、ABCに対して、アサド政権が「不幸なことに激化する武装反体制勢力の攻勢に耐ええられないだろう」と述べた。

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英国外務省は、ウィリアム・ヘイグ外務大臣がフランスィス・ゲイ前レバノン大使をシリアの反体制勢力との連絡担当代表に任命したと発表した。

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欧州議会はアサド政権に対して、アラブ連盟の要求に応じるよう求めた。

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カナダのトロント大学の研究グループは、シリアに科している制裁に違反するかたちで、シリア文化省、運輸省、ドゥンヤー・チャンネルなどのウェブサイトがカナダのサーバー上で公開されていることを明らかにした。

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イラン国会のアラーッディーン・ボロージェルディー外交委員会委員長は、アラブ連盟による対シリア決議に関して「歴史的な過ち」と非難した。

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ヨルダンの首都アンマンで、ヨルダン・ムスリム同胞団が金曜礼拝後にフサイニー・モスク前でデモを行い、ヨルダン国内の体制改革を求めるとともに、シリアへの外国の干渉に反対の意思を示した。デモには約1,000人が集まった。

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『ハヤート』(11月18日付)は、アサド政権崩壊が「ムスリム同胞団が主導するイスラーム主義帝国を出現させる」と述べたイスラエル国防省のアモス・ギラード政治・治安局長の発言をめぐって、イスラエル国内で現下のシリア情勢をめぐる意見の対立が生じていると報じた。

AFP, November 18, 2011、Akhbar al-Sharq, November 18, 2011、Facebook、The Guardian, November 18, 2011、al-Hayat, November 18, 2011, November 19, 2011、Kull-na Shuraka’, November 18, 2011, November 19, 2011, November 21, 2011、Naharnet.com, November 18, 2011、Reuters, November 18, 2011、SANA, November 18, 2011、al-Sharq al-Awsat, November 18, 2011、SNN, November 18, 2011などをもとに作成。

 

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