アラブ連盟によるイニシアチブに対し反体制勢力内で賛否両論の声が錯綜、ダマスカス郊外県では軍・治安部隊が「これまでもっとも激しい」逮捕・捜索活動を実施(2011年10月18日)

アサド政権の動き

『インディペンデント』(10月18日付)は、バッシャール・アサド大統領夫人のアスマー・アフラス女史が9月に、デモでの負傷者の治療に当たっているシリア人援助隊員と懇談した際の様子を報じ、隊員の一人の証言を掲載した。その内容は以下の通り。

http://www.touchesvelvet.com/
http://www.touchesvelvet.com/

「我々は彼女にデモ参加者が殺されていると話した…。我々は治安部隊がデモ参加者を攻撃していると話した…。何の反応もなかった…。毎日起きている普通の話を話されたかのように…、彼女はまったく反応しなかった…。彼女は現下の状況において働くことの危険について尋ねた…。彼女はここで起きているすべてを見ている…。彼女が知らないはずない」。

また同記事は、「彼女がどのような意見を持っていようと、彼女は完全に身動きがとれない…。体制は彼女が反対意見を述べることも国を去ることも許さない」とのアラブ・英国理解評議会のクリス・ドイル議長の話を紹介した。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/so-what-do-you-think-of-your-husbands-brutal-crackdown-mrs-assad-2372008.html

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ワリード・ムアッリム外務大臣は、ムハンマド・リダー・シャイバーニー在ダマスカス・イラン新大使との会談し、「非合法」であるシリア国民評議会を承認、ないしは接触する国家に対して厳しい措置を講じると述べた。

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イスラエル占領下のゴラン高原で15年間拘束されていたシリア人捕虜、ウィアーム・アンマーシャ氏(1981年生まれ、レジスタント、1998年にイスラエルによって逮捕、2005年に禁固20年の有罪判決)がマジュダル・シャムスに帰還し、住民から歓迎を受けた。

しかしシリア国営メディアはハマースとイスラエルによる捕虜交換を大々的に報じたこととは対照的に、同氏帰還の報道を控えた。

その理由に関して、「アフバール・シャルク」(10月18日付)は、アンマーシャ氏が獄中でシリア国内の反体制運動を支持したためと報じた。同報道によると、スワイダー調整(委員会)のフェイスブック上のページで、「シリア国民の革命との連帯を叫びハンストを行ったという理由で、シリアのメディアがシリア人捕虜の一人が釈放されなかったことを無視するのはおかしい」と述べたという。

http://www.youtube.com/watch?v=X9Xg6rAr7Bc

反体制勢力の動き

国内外の反体制勢力から、アラブ連盟外相会談での決議をめぐって賛否両論の声があがった。

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国民民主諸勢力国民調整委員会は、アラブ連盟外相会議での決定を審議するための会合を開いた。

会合後、ハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役が声明を読み上げ、「シリアの危機解決の出口を作り出し、暴力と殺戮、そして武装デモの停止をめざすアラブ連盟の努力を委員会は歓迎する」と発表した。

また声明は、委員会を「国内の反体制勢力の主要な代表」と位置づけたうえで、アラブ連盟使節団のシリア訪問と同使節団との対話を受け入れる意向を示す一方、外国の軍事介入を拒否するとの姿勢を改めて表明した。

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Akhbar al-Sharq, October 18, 2011
Akhbar al-Sharq, October 18, 2011

国民民主イニシアチブのムハンマド・サルマーン代表(元情報大臣)は、『バラド・ナー』(10月18日付)の取材に対して、アラブ連盟の声明が「まったくバランスがとれていない」と述べたうえで、「我々は2ヵ月前から、シリアでの解決のための国民的なイニシアチブを提起してきた」とし、その解決が「純粋な国内問題」で「実施が義務づけられた外国の産物」であるべきでないとの立場を示した。

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変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール代表は、国民対話の重要性を改めて強調したうえで、「シリア国内の愛国的な反体制勢力は外国の干渉を拒否する」と述べ、アラブ連盟外相会議の決議に異議を唱えた。

またトゥーニー・ダウラ神父も同様に、外国の干渉拒否、国民対話の必要性を強調した。

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Elpha.com(10月18日付)は、バッカーラ部族のシャイフの一人ハーリド・ハラフ氏が、アラブ連盟外相会議の決議を、アサド政権に「対話の余地」を与え、「老若男女を殺害する機会を次から次へと与えるだけ」と非難し、「我々シリアの部族は、アラブ連盟のイニシアチブを完全に拒否する」と述べたと報じた。

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スワイダー県では、国民諸勢力連合の結成が発表された。

フェイスブックで発表された発足声明において、同連合は自らを「シリア革命の一部」と位置づけ、アサド政権の打倒を呼びかけるとともに、シリア国民評議会への支持を表明した。

また声明によると、同連合は約16の政治・文化・社会組織、調整諸委員会から構成され、スワイダー県の活動家・支持者500人が声明に署名し、参加している。

http://www.facebook.com/notes/%D8%AA%D8%AC%D9%85%D8%B9-%D8%A7%D9%84%D9%82%D9%88%D9%89-%D8%A7%D9%84%D9%88%D8%B7%D9%86%D9%8A%D8%A9-%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D9%88%D9%8A%D8%AF%D8%A7%D8%A1/%D8%A8%D9%8A%D8%A7%D9%86-%D8%AA%D8%AC%D9%85%D8%B9-%D8%A7%D9%84%D9%82%D9%88%D9%89-%D8%A7%D9%84%D9%88%D8%B7%D9%86%D9%8A%D8%A9-%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D9%88%D9%8A%D8%AF%D8%A7%D8%A1/172218149529786

反体制運動掃討

シリア軍部隊(兵士約60人)が、レバノンのベカーア県ヘルメル郡カーア地区に逃げ込んだシリア人2人を追跡して、レバノン領に侵入した。

同部隊は逃走したシリア人1人を殺害、もう1人を逮捕した。

逮捕されたシリア人は負傷しているという。カーア地区の住民によると、1日中激しい銃声が聞こえたという。

『ナハール』(10月19日付)によると、侵入したシリア軍は第4師団で、殺害されたシリア人の氏名はアフマド・アーディル・アブー・ジャバルを殺害、逮捕されたシリア人の氏名はアンマール・ヤーティー・アブー・ジャバル。

一方、レバノン軍報道官は作戦がレバノン領内ではなくシリア領内で行われたと述べた。

Kull-na Shurakā’, October 18, 2011
Kull-na Shurakā’, October 18, 2011

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ヒムス県では、複数の活動家・目撃者によると、各所で反体制デモや離反兵と軍・治安部隊の戦闘が行われ、過去24時間で民間人27人、軍人7人が死亡した。

ヒムス市では軍・治安部隊がバーブ・スィバーア地区に突入し、准将1人を含む45人の離反兵を逮捕した。

これに関してヒムス県の活動家の一人はAFP(10月18日付)に対して、「我々の革命は平和的であり、体制打倒までそうあり続ける。デモ参加者との連帯を表明して離反した離反兵と我々は無関係だ」と述べた。

匿名の活動家によると、クサイル市で兵士約40人が離反し、レバノンに脱走、これを受け軍・治安部隊がクサイル市を包囲した。

ヒムス県の活動家の一人はAFP(10月18日付)に対して、クサイル市で夜間のデモを呼びかけ、約5,000人が参加し、その場で体制打倒まで平和的な革命を行うことを確認した。

シリア人権監視団によると、兵員輸送車や装甲車が市内に展開し、バイクなどに発砲し、5人が負傷した。地元調整諸委員会によると、治安部隊とシャッビーハが市内各所に検問所を設置し、住民の移動を禁じ、また住民のバイクを没収し、焼却した。

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ダマスカス郊外県では、軍・治安部隊が「これまでもっとも激しい」(シリア人権監視団)逮捕・捜索活動を行った。

シリア人権監視団と地元調整諸委員会によると、サクバー市、ハムーリーヤ市、カフルバトナー町、ジスリーン町、マディーラー市、ミスラーバー市、ハラスター市東部、ドゥーマー市東部、アルバイン市東部で大規模な逮捕・捜索活動が行われた。

シリア革命総合委員会によると第4機甲師団と共和国護衛隊の約40,000兵がダマスカス郊外県で軍離反者を掃討するため、グータの複数の地域で作戦を展開した。

複数の活動家・目撃者によると、ムウダミーヤト・シャーム市で完全武装した複数の兵士が離反し、ラウダ・モスク、ウマリー・モスク周辺に結集、多数の空軍情報部兵士が(ドゥマイル)空軍基地から派遣され、激しい戦闘を行った。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、多数の戦車、装甲車がダイル・ザウル市に展開し、治安当局が活動家のファーディル・ジャブル氏、ジャアファル・カースィム氏を逮捕した。ジャブル氏は治安当局に逮捕される際に、逃走を試み、撃たれ、負傷したという。

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ダルアー県では、複数の活動家・目撃者によると、各地でデモ参加者が治安部隊の発砲を受けた。

シリア人権監視団によると、フラーク市で軍・治安部隊の発砲により、3人が殺害された。またイフスィム村ではシリア軍士官1人と兵士3人が離反兵によって設置されたと思われる時限爆弾によって殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、17歳の青年が流れ弾にあたって死亡した。

SANA(10月19日付)は、ハマー県のムハルダ市・ハマーミーヤート村間でハマー県消費機構の貨物車が武装テロ集団に襲撃され、積んでいた砂糖4トンが盗まれたと報じた。

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SANA(10月19日付)は、イドリブ県アズマーリーン村でピックアップ・トラックに積まれた大量の武器弾薬を押収し、乗っていた男性2人を逮捕したと報じた。

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シリア人権擁護連盟は、複数の消息筋のデータを総合し、10月18日に3月半ば以降のシリア国内の被害状況を発表し、アサド大統領が人道に対する罪を犯していると非難、その裁判を行うべきだと述べた。

同連盟によると、主な被害状況は以下の通り:

死者数:3,482人
殺害された子供の数:212人
殺害された女性の数:99人
負傷者数:少なくとも4,232人
当局の拷問による死者数:191人
行方不明者数:約5,000人
医療活動中に逮捕された医師、薬剤師の数:少なくとも250人

諸外国の動き

エジプトの中東通信(10月18日付)は、アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務副長が、アラブ連盟外相会議の決議に関して「連盟はシリアからの公式の回答を待っている状況にある」と述べたと報じた。

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レバノンのムスタクバル潮流は、バアス党創設者で山地県アレイ郡在住のシブリー・アイサミー氏失踪(誘拐)などレバノン国内でのシリア人の失踪・誘拐に在レバノン・シリア大使館とシリアの治安機関が関与していると非難し、同問題に対して必要な措置を講じるよう求めた。

レバノンの自由国民潮流のミシェル・アウン議員は、アサド政権が倒れれば、多元的体制ではなく過激なイスラーム主義体制がシリアにできるだろうと警鐘をならした。

AFP, October 18, 2011、Akhbar al-Sharq, October 18, 2011, October 19, 2011、AP, October 18, 2011、Balad-na, October 18, 2011、Elpha.com, October 18, 2011、The Independent, October 18, 2011、al-Hayat, October 19, 2011、Kull-na Shuraka’, October 18, 2011、al-Nahar, October 19, 2011、Reuters, October 18, 2011、SANA, October 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア国民評議会が会合を開き事務局メンバーを決定、また同評議会の使節団がトルコ外相と初会談(2011年10月17日)

反体制勢力の動き

『ワタン』(10月17日付)は、国民民主諸勢力国民調整委員会がファーイズ・サーラ氏とミシェル・キールー氏の離反を否定したと報じた。

同報道によると、同委員会渉外局長のアブドゥルアズィーズ・ハイイル氏が「サーラは執行部の退任を申し出たが、依然として委員会メンバーである…。委員会を標的とした噂」と述べ、否定したという。

Kull-na Shurakā’, October 17, 2011
Kull-na Shuraka’, October 17, 2011

両氏の離反に関しては、『ザマーン・ワスル』(10月16日付)がハーズィム・ナハール氏、ファーイズ・サーラ氏、ミシェル・キールー氏が委員会を脱退したと報じていた。

国民民主諸勢力国民調整委員会がホームページを立ち上げた。

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アラブ連盟本部でのバッシャール・アサド政権と反体制勢力との対話を呼びかけたアラブ外相会議の決定に関して、シリア国民評議会は、政権による民間人殺戮という事態を受け「原則」拒否し、当事者間の対話のための連盟閣僚委員会の設置を「死んだ決定」と評した。

これにより、アラブ外相会議の決定は、アサド政権と反体制勢力双方から拒否されたこととなった。

 

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シリア国民評議会使節団はトルコのイスタンブールでアフメト・ダウトオール外務大臣と会談した。

同評議会が外国政府外相と会談するのはこれが初めて。

ダウトオール外務大臣は「残念ながら、我々の呼びかけにもかかわらず殺戮は止んでいない。だから我々がすべての当事者と会合を持つことは自然だ」と述べた。

会談では、平和的に民主化運動を行うよう評議会に求めるとともに、シリアの現状は長くは続かないだろうと強調した。

シリア国民評議会のメンバーでトルコ在住のハーリド・ハウジャ氏はAFP(10月18日付)に対して、評議会執行部を発足するための会合がイスタンブールで開催され、代表者たちが出席したと述べた。

シリア国民評議会は10月16、17日の両日、イスタンブールで事務局会合を開催、閉会後に声明を出し、事務局メンバー、事務局長、執行部メンバーを選出したと発表した。

同声明によると、事務局メンバーは以下の通り:

ブルハーン・ガルユーン(事務局長)
サミール・ナッシャール
ムハンマド・ファールーキウ・タイフール(シリア・ムスリム同胞団)
バスマ・カドマーニー(報道官)
アブドゥルバースイト・スィーダー(クルド人活動家)
アフマドゥルアハド・イスティーフー(アッシリア教徒活動家)
アフマド・ラマダーン
アフマド・サイイド・ユースフ
アブドゥルハミード・アタースィー
アブドゥルイラーフ・ターミル・トゥラード・ムルヒム
イマードッディーン・ラシード
ジャブル・シューフィー
ワーイル・ミルザー
ムハンマド・バッサーム・ユースフ
アナス・アブダ
カーティリーン・タッリー
ムティーウ・バティーン
ナジーブ・カドバーン
ナズィール・ハキーム

また執行部メンバーは以下の通り:

ブルハーン・ガルユーン議長(任期は3ヵ月)
サミール・ナッシャール
ムハンマド・ファールーク・タイフール
アブドゥルアハド・イスティーフー

http://www.levantnews.com/index.php?option=com_content&view=article&id=9482:-19-5-&catid=81:syria-politics-headlines&Itemid=55

在米反体制活動家のラドワーン・ズィヤーダ氏はRT(10月17日付)に対して、シリア国民評議会がロシア上院(連邦会議)国際問題委員会のミハイル・マルゲロフ委員長との会談を呼びかけていると述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(10月17日)は、先週末、ダマスカス県旧市街のハリーカ地区で、自転車に乗った男が密閉された箱をハリーカ広場に放置して立ち去り、その5分後に箱のなかから、録音された革命を鼓舞する歌やシュプレヒコールが再生された、と報じた。

その後近くの商店主が警察に通報、爆発物処理班などが駆けつけ、同地区は一時閉鎖された。

箱のなかにはカセットデッキとリモコン装置が入っていただけだったという。

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ムハンマド・マフルーフ氏(ラーミー・マフルーフ氏の父)とブトルス・ハッラーク氏は、10月9日にオリエント・チャンネルで発足が宣言された反体制組織、シリア民主主義のための連立に関して、連名で声明を出し、同組織に参加していないと発表した。

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シリア人権侵害文書センターは、3月以来約250人の医師、薬剤師が逮捕されたと発表した。また先週だけで25人の医師、薬剤師が身柄拘束されたと付言した。

地元調整諸委員会によると、軍・治安部隊は最近、「負傷者の治療を行っている疑いのある民間の病院やクリニックを標的にしている」という。

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ルワイユ・フサイン氏が率いるシリア国家建設潮流は「アラブ連盟がシリア情勢に関心を示すことを歓迎する」としたうえで、外相会議の声明への支持を表明し、「シリアの反体制勢力がアラブ連盟の呼びかけに応じることを希望する」との声明を出した。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(10月17日付)は、学校校長の一人の話として、全国の学校にバアス党の「統一、自由、社会主義」という基本原則を学生に連呼させないよう口頭で通達があり、数日前から朝礼などでは「単一のアラブ民族、永遠の使命を担う」という党のスローガンのみが連呼されるようになったと報じた。

なお、バアス党に関しては、「統一、自由、社会主義」がスローガンだと広く誤解されているが、正式なスローガンは「単一のアラブ民族、永遠の使命を担う」で、「統一、自由、社会主義」は実現目標、基本原則である。

反体制運動掃討

ヒムス県、ハマー県、イドリブ県、ダイル・ザウル県で学生らによる反体制デモが発生したと報道されたが、情報源はそのほとんどがロンドンを拠点とする在外反体制組織のシリア人権監視団であった。

同監視団はまた離反兵が軍・治安部隊を要撃したとも発表しており、反体制運動が一般市民による平和的デモから散発的な武装闘争にシフトしている事実を暗に認めた。

SANA, October 18, 2011
SANA, October 18, 2011

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ヒムス県クサイル市と軍・治安部隊と離反兵が衝突し、シリア人権監視団などによると、この戦闘で7人が殺害された。

クサイル市での衝突に関して、約20人の正規軍兵士が離反し、その後25輌の戦車が同地に進入した、という。

シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安部隊が発砲し、3人が死亡した。また治安部隊は大規模な逮捕・捜索活動を行っており、少なくとも25人を逮捕した。

SANA(10月18日付)は、信頼できる消息筋の話として、ヒムス市ハーリディーヤ地区での治安維持部隊と武装テロ集団との戦闘により、武装テロ集団メンバーのジャースィム・アッファーラ氏ら6人を殺害、15人の指名手配者を逮捕したと報じた。またバーブ・スィバーア地区では大量の武器弾薬を応酬し、武装テロ集団のリーダー1人を逮捕したと報じた。

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イドリブ県ザーウィヤ山一帯で軍・治安部隊と離反兵が衝突し、シリア人権監視団などによると、この戦闘で士官を含む4人が殺害された。

シリア人権監視団によると、離反兵はイフスィム村近くで爆発装置を用いて軍の車輌を爆破した、という。また戦闘はマアッラト・ヌウマーン市近くでも発生し、17人が負傷した。

シリア人権監視団によると、カフル・アイン村で治安部隊が発砲し、2人が死亡した。またヒムス県ラスタン市郊外で今月初めに逮捕された青年の遺体がハマー県ハマー市の家族に引き渡された。

また同監視団によると、ハース、ジューバース、マアッラト・ハルマ、イフスィム、カフルニブルで学生が反体制デモを行った。

SANA(10月18日付)は、武装テロ集団がサラーキブ市郊外の石油パイプラインを襲撃したと報じる。同報道によると、その後、パイプラインに石油を盗むための穴数十カ所があけられていたことが発見されたという。

『クッルナー・シュラカー』(10月17日付)は、イドリブ県になるシャッビーハがジャーナリスト・ビジネスマンのガッサーン・アッブード氏の自宅を襲撃し、家財道具を破壊、庭園のオリーブの実を強奪したのち、木を切り倒した、と報じた。

同報道によると、アッブード氏は自らが経営するオリエント・チャンネルにたびたび出演し、反体制抗議運動を鼓舞していた。

アッブード氏はこれまでにもオリエント・チャンネルの買収を試みていたラーミー・マフルーフ氏と対立した際も、さまざまな嫌がらせを受け、同チャンネルのダマスカスの事務所が閉鎖処分を受けていた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルズィーター市に軍・治安部隊の戦車、装甲車、四輪駆動車が進入し、11人を逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で治安当局がフラート大学の学生6人を逮捕した。ダイル・ザウル市では、中高生も参加した反体制デモが発生した。

諸外国の動き

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は記者会見で、アサド大統領による憲法草案準備委員会に関して、「体制が毎日殺戮、投獄、拷問を続けているなか、信頼を欠くものである」と非難するとともに、GCCのイニシアチブのもとにアラブ連盟がシリア内政に干渉することを歓迎した。

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国連潘基文事務総長は、「アサド大統領は手遅れになる前に暴力を停止する」としたうえで、「3,000人を殺害するなど受け入れられない」と改めて非難の意を表した。

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英国の石油企業ガルフサンズ社は、8月以降に石油生産(241,112バレル/日)にかかる代金をシリア側から受け取っていないと発表した。

同社は石油生産の90%以上をシリア国内で行っている。

AFP, October 17, 2011, October 18, 2011、Akhbar al-Sharq, October 18, 2011, October 19, 2011、AP, October 18, 2011、al-Hayat, October 18, 2011, October 19, 2011、Kull-na Shuraka’, October 17, 2011,
October 18, 2011、Reuters, October 18, 2011、SANA, October 18, 2011、al-Watan, October 17, 2011、Zaman al-Wasl, October 16, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア情勢をめぐってアラブ連盟緊急外相会議が開催、シリア政府と国民対話開始のための連絡調整を行うことが決定される(2011年10月16日)

反体制運動掃討

AFP(9月16日付)は、2ヵ月前から軍・治安部隊は反体制活動家を第1の標的として、反体制運動を掃討しようとしおり、活動家数千人が逮捕、数十人が殺害、数十人が失踪している、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、複数の活動家によると、ザバダーニー市で治安部隊による大規模な逮捕・捜索活動が行われ、少なくとも100人が逮捕された。また同市からレバノン国境地帯にかけて戦車、装甲車などに支援された兵士数千人が展開した。

マダーヤー町でも治安部隊が検問所を数十カ所設置し、逃走する軍離反者などの摘発を強化した。シリア革命総合委員会によると、同市では複数の兵士が離反したという。

また地元調整諸委員会によると、軍・治安部隊はザバダーニー市、マダーヤー町の入り口などに検問所を設置し、往来を禁じ、無差別逮捕、無差別発砲、家屋の破壊を行ったという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団などによると、ティールマアッラ村、ガントゥー市で軍・治安部隊が無差別発砲を行った。同監視団によると、ヒムス市内での逮捕者数は923人に上ったという。

SANA(10月17日付)は、ヒムス県内で関係当局が車2台に積まれていた密輸武器・弾薬を応酬したと報じた。

Kull-na Shurakā’, October 16, 2011
Kull-na Shurakā’, October 16, 2011

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イドリブ県では、シリア人権監視団などによると、ムサイフラ町に軍・治安部隊が突入した。

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ダルアー県では、地元調整諸委員会によると、ダーイル町でゼネストが行われた。ゼネストは15日から続けられているという。

SANA(10月17日付)は、ダルアー県の街道の一部を武装テロ集団が封鎖して、市民の往来を妨害していると報じた。

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ダイル・ザウル県では、複数の活動家によると、ダイル・ザウル市のダウワール・サイユーフで離反兵と軍・治安部隊が衝突し、大きな爆発音が聞こえた。

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SANA(10月17日付)は、ハマー市のジャラージマ地区で武装テロ集団が治安維持部隊を要撃、部隊兵士2人が戦士したと報じた。

また武装テロ集団はハマー市郊外のカルナーズでムーサー・アシーシュ元警部を誘拐した。

このほかハマー市のガーブ水資源センターの警備員の1人が武装集団に襲撃されて死亡した。

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ダマスカス第2刑事裁判所は、シリア人民民主党幹部で5月28日に逮捕されたマーズィン・ウダイ氏の釈放を決定した。ウダイ氏は30,000シリア・ポンドの保釈金を支払っていた。

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ダマスカス県マイダーン地区で反体制デモと治安当局の衝突の巻き添えとなって死亡したパレスチナ人のアラー・サフリー氏の葬儀が行われた。

葬儀は、治安当局による厳戒態勢のもとで行われ、反体制活動家の参列は阻止された。

反体制勢力の動き

『ザマーン・ワスル』(10月16日付)は、国民民主諸勢力国民調整委員会の指導的メンバーであるハーズィム・ナハール氏、ファーイズ・サーラ氏、ミシェル・キールー氏が同委員会を脱退したと報じた。

同報道によると、サーラ氏はフェイスブックで自身がもはや同委員会のメンバーでないことを明らかにしたという。

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アラブ連盟外相会議開始に先だって、シリア国民法議会はカイロで声明を出し、アラブ連盟に対して、アサド政権が危機解消に向けたアラブ諸国のイニシアチブに応じない場合、「激しい」措置をとるよう呼びかけ、アラブ連盟におけるシリアのメンバーシップ凍結、民間人保護のための国際的な努力の呼びかけ、シリア国民の正当な代表としてのシリア国民評議会の承認を求めた。

声明全文はhttp://international.daralhayat.com/internationalarticle/319296を参照。

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在ベイルート・シリア大使館前でシリアのクルド人反体制活動家がデモを断行、大使館の警備員ともみ合いになり、1人が負傷。

イラク・クルディスタン・テレビのベイルート特派員によると、デモには約50人が参加し、ミシュアル・タンムー氏の暗殺などに抗議した。

アサド政権の動き

『クッルナー・シュラカー』(10月17日付)は、アブドゥルハイ・サイイド氏が10月16日付で、シリア・アラブ共和国憲法草案作成国民委員会のマズハル・アンバリー委員長に辞表を提出したと報じた。

辞任の理由は明らかにされなかったが、辞表では「私は法律家として、理想的な憲法草案が制憲委員会での対話を通じた起草去れるものと信じており…、これを踏まえ、委員会活動への参加を辞退します」と書かれていた。

諸外国の動き

SANA, October 16, 2011
SANA, October 16, 2011

アラブ連盟緊急外相会議において、閣僚委員会のシリアへの派遣、シリア政府と反対勢力の会合開催、アラブ連盟本部(カイロ)での対話会合を求めることで合意した。

また、発砲・流血の停止、暴力的デモの停止、政治犯の釈放、平和的政権移譲を含む改革実施のための行程の確定を改めて呼びかけた。

ハマド・ブン・ジャースィム・アール・サーニー首相兼外務大臣が読み上げた閉幕声明では、「本決定発行から15日以内に、アラブ連盟の支援のもと、連盟本部でシリア政府とすべての反体制勢力による包括的国民対話大会を実施するための必要な調整を行う」と明記された。

またカタール、アルジェリア、スーダン、オマーン、エジプト各国外相とアラブ連盟事務局長からなる閣僚委員会を設置し、アサド政権による暴力・殺戮停止、軍事デモの停止、国民対話開始のための連絡調整をシリア政府と行うことが決定された。

同委員会の委員長はカタール外務大臣が務めるという。

またハマド外務大臣は同決定がシリア以外のすべての加盟国外相によって合意されたと付言した。

この合意に対して、ユースフ・アフマド大使は拒否(保留)するとともに、シリアが主権国家である点を強調、アラブ連盟本部(カイロ)での反体制勢力との対話実施が認められないとの意思を示した。またシリアでの反体制抗議行動の扇動にカタールが偏向した消極的役割を担っていると強く非難した。

この緊急外相会議は、GCCの呼びかけにより開催された。

なお『ハヤート』(10月17日付)は、アラブ連盟の複数の消息筋の話として、16日にカイロで始まった外相会議で、危機打開のために平和的な対応や反体制勢力との対話をアサド政権が行わなかった場合に連盟のメンバーシップを凍結するという方向で調整していたと報じた。

同消息筋によると、これは、アサド政権へのさらなる圧力をめざす国々(GCC諸国)とシリアのメンバーシップ凍結に反対する国々(レバノン、スーダン、イエメン、アルジェリア)の主張の間をとった妥協案だという。

ワリード・ムアッリム外務大臣は本会合を欠席しており、シリアの代表はアフマド在カイロ・アラブ連盟大使が務めた。

AFP, October 16, 2011、Akhbar al-Sharq, October 17, 2011、al-Hayat, October 17, 2011、Kull-na Shuraka’, October 16, 2011, October 17, 2011、Reuters,
October 16, 2011、SANA, October 17, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 17, 2011、Zaman al-Wasl, October 16, 2011などをもとに作成。

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シリア・アラブ共和国憲法草案作成国民委員会が設置、国連安保理ではロシア、中国、英仏独、ポルトガルがシリア情勢をめぐって激しく対立(2011年10月15日)

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は大統領令第33号を発し、シリア・アラブ共和国憲法草案作成国民委員会を設置した。同委員会は、4ヵ月以内に憲法改正案を策定することを任務とする。

委員会メンバー29人(法律の専門家、政治家など)は以下の通り:

1. マズハル・アンバリー(委員長)、2. アブドゥルカリーム・ウダイ、3. カマール・シャラフ(元教育大臣)、4. ムハッラム・タイヤーラ、5. アーディル・ジャームース、6. ムンターズ・ファワーヒーリー、7. アズィーズ・シュクリー(国際関係の教授)、8. アッブード・サッラージュ(ダマスカス大学法学部長)、9. フアード・ディーブ、10. サーム・ダッラ、11. サイード・ヌハイリー、12 ミハイル・ナクール、13. ファールーク・バーシャー、14. カドリー・ジャミール(人民変革解放人民戦線議長)、15. ニザール・サキーフ(弁護士組合総裁)、16. アフマド・イードゥー、17. アブドゥッラフマーン・ザカーヒー、18. ジャースィム・ザカリヤー、19. ムハンマド・ハイイル・アッカーム、20. カンダ・シャンマート、21. アブドゥルハイ・サイイド、22. ジャミーラ・シュルバジー、23. アマル・ヤーズジー、24. サーリフ・イブラーヒーム、25. ウムラーン・ズウビー(弁護士)、26. ナビーフ・ジャラーヒジュ、27. イスマト・アナービリー、28. マフムード・ユーヌス、29. アフマド・クズバリー。

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SANA(10月16日付)は、ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問が訪問先のインドネシアで「シリア政府は東方の友好国に目を向ける戦略的姿勢を採用し、これらの国々と協力・強調の方法を強化する」と述べたと報じた。

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サーミー・ハイミー駐英シリア大使は、英国外務省を訪問し、英国側から大使館放火・襲撃での対応の遅れに関して謝罪を受けた。

反体制運動掃討

ダマスカス県では、マイダーン地区でのイブラーヒーム・シャイバーンくん(10歳、14日にデモに参加して殺害)の葬儀に参列した市民に治安部隊が発砲し、2人が死亡、5人が負傷した。

地元調整諸委員会によると、葬儀には数万人が参列し、「国民は大統領処刑を望む」などと連呼し、治安部隊に投石を開始、治安部隊がこれに応戦するかたちで実弾を使用した。

SANA, October 16, 2011
SANA, October 16, 2011

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団は、ダイル・ザウル市の「もっとも有力な革命活動家の一人」ズィヤード・ラフィーク・ウバイディー氏(42歳)が同市で治安当局に殺害されたと発表した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ナーズィヒーン地区に仕事で向かおうとしていた青年1人が殺害された。ヒムス市内各所には軍・治安部隊の検問所が設置されているという。

オガレット・ニュースによると、タルビーサ市でラーミー・サアドゥー・ラシュウくん(18歳)が治安部隊に殺害された。

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ダルアー県では、ダーイル町で犠牲者(14日に殺害された7人)の葬儀に約15,000人が参列した。

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イドリブ県では、治安当局が、カフルナブル市と隣接する森林地帯で活動から31人を逮捕した。

反体制勢力の動き

国内での漸進的な変革をめざす反体制組織、人民変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール議長は、ロシア訪問の成果を発表するためにダマスカス県で開いた記者会見で、ロバート・フォード在ダマスカス米大使を追放すべきだと述べた。

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Kull-na Shurakā’, October 15, 2011
Kull-na Shurakā’, October 15, 2011

 

CNNは、離反兵からなるとされる反体制軍事組織の自由将校運動の司令官フサイン・ハルムーシュ大佐の妻でトルコに避難中のガフラーン・ヒジャーズィーさんをインタビュー。

ヒジャーズィーさんは、8月29日にハルムーシュ大佐がトルコ警察とともに避難民キャンプを出て、そのまま失踪した当初から「私は夫がシリア人に引き渡されたと確信している」と述べた。なおCNNの取材にはトルコの私服警官が同行し、ハルムーシュ大佐をめぐる問題がシリア・トルコ関係においてセンスィティブであることが伺われたという。

諸外国の動き

複数の匿名外交筋によると、国連安保理の非公式会合で、ロシア、中国と、英仏独、ポルトガルがシリア情勢をめぐって激しく対立した。

同筋によると、西側諸国が国連人権高等弁務官の声明への支持を表明したのに対して、ロシアの国連代表が「会合の議題ではない」と反発したという。

AFP, October 15, 2011、CNN, October 15, 2011、al-Hayat, October 16, 2011、Kull-na Shuraka’, October 15, 2011、Reuters, October 15, 2011、SANA, October 16, 2011、UPI, October 15, 2011などをもとに作成。

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各地で合わせて数万人が反体制デモを組織し12名が殺害される、国連人権高等弁務官がシリアにおける「内戦」の勃発に関して警鐘を鳴らす(2011年10月14日)

反体制運動掃討

ハサカ県カーミシュリー市では約20,000人のクルド人がミシュアル・タンムー氏追悼の行進に参加した。

Kull-na Shurakā’, October 14, 2011
Kull-na Shuraka’, October 14, 2011

ミシュアル・タンムー氏の遺族は声明を出し、クルド民族主義勢力と遺族が合同葬儀を執り行うことで合意した同勢力の10月8日の声明の内容を否定、遺族は同勢力代表者の参列、弔辞を拒否したことを明らかにし、同勢力がクルド人を欺いたと非難した。

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複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊による厳戒態勢のなか、各地で合わせて数万人が金曜の礼拝後に反体制デモを行い、シリア人権監視団によると、12人が殺害された。

このうち7人がダルアー県ダーイル町で、同vで2人、ダマスカス郊外県サクバー市で1人、ダマスカス県カダム区で1人、アレッポ県アナダーン市で1人が殺害されたという。

シリア人権監視団によると、デモが発生したのは、ヒムス県ヒムス市内各所、イドリブ県、マアッラト・ニウマーン市、サラーキブ市、サルミーン市、カフルナブル市、ビンニシュ市、ヒーシュ村、マアッラト・ハルマ村、カフルサジュナ村、カフルハムザ村、マアッラト・ミスリーン市、ハーン・スブル村、タフタナーズ市、ラタキア県ラタキア市、ダマスカス郊外県キスワ市、ドゥーマー市、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市など。

また地元調整諸委員会によると、ハマー市内クスール地区、アレッポ市郊外のアナダーン市でデモが行われた。

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SANA(10月15日付)は、インヒル市内の検問所が武装集団に襲撃され、シリア軍兵士1人が殺害されたと報じた。またダルアー市のウマリー・モスク近くの複数のカ所で爆弾が発見され、爆発物処理班が撤去したと報じた。

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SANA(10月15日付)は、ヒムス県タルビーサで旅客バス(ダマスカス発アレッポ行)が武装テロ集団に襲撃され、運転手、女性1人、警官が負傷したと報じた。

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複数の活動家によると、ハマー県ハマー市で離反しようとしたアブドゥルマジード・ミスリー大佐が殺害された。

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シリア人権監視団によると、13日に各地で激化した離反兵と軍・治安部隊の戦闘で25人が殺害された。最大の被害が出たのはイドリブ県ビンニシュ市で、死者数は15人にのぼるという。またダルアー県でも激しい戦闘の末9人が殺害された。

一方、ヒムス県での戦闘では、治安部隊兵士1人が離反兵との戦闘で死亡、これにより一昨日以来の戦闘での死者は軍人、民間人合わせて36人となった。

これに関して、『ティシュリーン』(10月14日付)は、軍高官の話として、ビンニシュ市で13日に武装テロ集団が治安維持部隊を要撃し、10人が死亡、19人が負傷したと報じた。

アサド政権の動き

アリー・アブドゥルカリーム在ベイルート・シリア大使は、レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣と会談し、バアス党創設者の一人であるシブリー・アイサミー氏(アレイ在住)の失踪事件にシリア大使館が関与しているとの一部情報に関して「何の証拠もない」と否定するとともに、レバノンからシリアへの「扇動キャンペーンと武器密輸」に対して強い反対の意思を表明した。

反体制運動をめぐる動き

離反兵の一人、共和国護衛隊のマーヒル・ラフムーン・ヌアイミー少佐が、アラビーヤ(10月14日付)で、シリア国内全体で先週だけでも300人以上の兵士が離反したと述べた。

同少佐によると、そのほとんどが共和国護衛隊の兵士だという。この300人のなかには、ダルアー県ハーッラ市で離反した第9師団の兵士多数、スワイダー県のハウラーン地方にあるヌアイミーヤ空軍基地で離反した約60人などがおり、ダマスカス郊外県でも約70人の兵士が離反し、自由シリア軍がその身柄を保護しているという。

このほか、ダマスカスに「体制維持部隊」として展開し、デモ弾圧にあたっている警官隊は実は共和国護衛隊の隊員であると述べた。

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一方、自由将校運動の創設メンバーの一人であるイブラーヒーム・マジュブール大尉は、アラビーヤの電話取材に対して、離反名の数が10,000人以上に達していると答えた。

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フェイスブックなどによると、軍事情報局ダルアー支部長のルワイユ・アリー准将がダルアー県のダーイル町で要撃に遭い暗殺された。

諸外国の動き

ナバメセム・ピレー国連人権高等弁務官は声明で、「3月以降の死者数は3,000人を越え、そのうち少なくとも187人が子供である」と発表、内戦をもたらしかねないと警鐘をならした。

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スイス外務省の国際法局長は記者会見で、「スイス政府が凍結したバッシャール・アサド大統領および彼の政権に関連する資産の総額は45,000,000スイス・フランにのぼる」と発表した。

AFP, October 14, 2011、Alarabia.net, October 14, 2011、Akhbar al-Sharq, October 14, 2011, October 19, 2011、Facebook、al-Hayat, October 15, 2011、Kull-na Shuraka’, October 14, 2011, October 19, 2011、Reuters, October 14, 2011、SANA, October 15, 2011、Tishrin, October 14, 2011などをもとに作成。

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アサド政権が「通常の生活」を取り戻したラスタン市の様子を公開する一方、EUが声明のなかで同政権による反体制抗議運動への弾圧を改めて非難(2011年10月13日)

アサド政権の動き

情報省は、アラブ諸国・外国の新聞・テレビ局の報道関係者約80人をラスタン市に案内し、同地の状況を公開した。

SANA, October 13, 2011
SANA, October 13, 2011

同行したヒムスのガッサーン・アブドゥルアール知事は、ラスタン市が「通常の生活」を取り戻したと宣言した。

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在ワシントン・シリア大使館は、「米国およびシリア国内で反体制デモを行う人々の映像ビデオ、音声テープなどの情報を集め…(これらの人々に)おそらく危害を加えた」との容疑で逮捕・起訴されたムハンマド・アナス・ハイサム・スワイド氏をめぐる問題に関して声明を出し、「根拠がなく、決して受け入れられない」と否定した。

反体制運動掃討

イドリブ県では、複数の活動家によると、軍の戦車装甲車がビンニシュ市に侵入し、離反兵と戦闘した。シリア人権監視団によると、この戦闘で民間人5人が犠牲となった。

シャーム・ニュース・ネットワーク(10月14日付)は、この戦闘に際して、ビンニシュ市内の総合情報部内務治安課支部内で銃撃戦があったと報じ、同支部内の兵士が離反したことを示唆した。

またオガレット・ニュース・ネットワーク(10月14日付)はこの戦闘で複数の民間人が負傷したと報じた。

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ダルアー県では、シリア革命総合委員会によると、ハーッラ市で少尉1人を含む複数の国軍兵士が離反した、軍と戦闘状態に入った。これにより、軍兵士6人と、離反兵2人、民間人1人が死亡した。

Sham News Network, October 13, 2011
Sham News Network, October 13, 2011

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ハサカ県では、カーミシュリー市近郊に民間人の服をまとった軍・治安部隊兵士と多数の戦車が展開した。これは数日前に暗殺されたミシュアル・タンムー氏の遺族との連帯を求めるデモに備えた動きと見られる。

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ヒムス県では、軍・治安部隊がヒムス市掃討作戦を継続した。

シリア人権監視団によると、クスール地区に早朝、軍・治安部隊が突入し、19人を逮捕した。またタルビーサ市では、複数の活動家によると1,200人以上がこれまでに逮捕され、ライフラインが遮断されたままだという。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、自由シリア軍がハマー市総合情報部内務治安局支部を襲撃するなど、各地で軍・治安部隊と戦闘し、シャッビーハに「大きな打撃」を与えたという。

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空軍情報部のラドワーン・マドルーシュ准将がアサド政権による殺戮と犯罪に抗議して離反するとの声明を読み上げる映像がインターネット上で配信された。http://www.youtube.com/watch?v=qggn-5zR5_o&feature=share

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン議長はフランス24のインタビューに応じ、「EUと西側諸国はロシアや(対シリア制裁に)慎重な態度をとる国々を満足させるため、政治的に可能なすべてを行っていない、充分強力な立場や行動が示されたとは思えない」と述べた。

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AKI(10月13日付)は、反体制活動家のアンワル・ブンニー弁護士が、アサド大統領によってまもなく設置が宣言されると言われる憲法改正委員会や政権主導の憲法改正に関して「美化しようとする試みであり、彼ら(アサド政権)は改革への意思があり、改革プロセスが実行されていることを示そうとしているだけだ。しかし、改革は社会全体の参加…、政権交代なくしてはあり得ない…。憲法は抜本的な再検討を必要としており、政権交代や多数派支配に基づく多元的な民主社会を再構築する必要がある」と述べたと報じた。

Kull-na Shuraka', October 13, 2011
Kull-na Shuraka’, October 13, 2011

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シリア変革大会(アンタルヤ)は声明を出し、シリア国民評議会発足への歓迎の意を示した。

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アレッポ県では、アレッポ市のロシア領事館前でデモが発生、参加者はロシアの国連安保理での対シリア制裁決議案採決時の拒否権発動に抗議してロシア国旗を焼いた。http://www.youtube.com/watch?v=g9WyvQMluD8&feature=related

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フェイスブックの「シリア革命2011」ページは15日に「軍自由運動家の金曜日」と銘打って、離反兵への支持を表明するとともに、各地で反体制デモの実施を呼びかけた。

諸外国の動き

EUは声明を出し、アサド政権による反体制抗議運動への弾圧を改めて非難し、「政権を支援する機関の資産を新たに凍結する」と発表した。この機関が何を指すのか具体的に明示しなかったが、複数の外交筋によると、シリア商業銀行が制裁対象になる、という。

これに対して、ロシア外務省報道官は、「EUが外交問題において一方的な制裁を行おうとすることを懸念している」と述べた。

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Facebook
Facebook

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド政権が大使館などを通じて英国内でのシリア人反体制活動家を脅迫しているとして、サーミー・ヒヤーミー在ロンドン・シリア大使を外務省に呼び出し抗議を行った。

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SANA(10月13日付)は、シリアの電力省がドイツのシーメンス社とダマスカス県北方に位置するナースィリーヤ発電所の設備拡張事業の契約に合意したことをイマード・ハミース大臣が発表したと報じた。

同契約は305,000,000ユーロ規模で、発電所拡張に関するすべての材料、設備などを行うことを定めている。これにより同発電所は351メガワット/日の電力供給が可能になるという。

同事業は、アラブ諸国の基金が融資するほか、EU諸国からの融資についても現在議論が行われているという。

なお政府発表によると、シリア全土の発電量は5,500~6,200メガワット/日。

AFP, October 13, 2011、Akhbar al-Sharq, October 13, 2011、AKI, October 13, 2011、AP, October 13, 2011、al-Hayat, October 14, 2011、Kull-na Shuraka’, October 13, 2011、SANA, October 13, 2011, October 14, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県中心でシリア人「数千人」がアサド大統領を支持するデモを組織、またイスラーム教ウラマー世界連盟のユースフ・カラダーウィー議長がシリア国民評議会への支持を表明(2011年10月12日)

アサド政権の動き

ダマスカス県中心にあるサブウ・バフラート広場にシリア人「数千人」(『ハヤート』10月13日付)が集まり、国内での暴力行使拒否、挙国一致、殉教者家族との連帯、そしてシリアに対する陰謀を阻止したロシアと中国への謝意の表明がなされた。この集会は、フェイスブックの「我が祖国シリア、我が指導者バッシャール・アサド」ページで若者たちが呼びかけ、内務省にデモ実施を申請、認可を受けていた。

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

 

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

 

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

 

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

 

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

参加者は「国民と軍はあなたとともにある、祖国の指導者よ」、「シリアは我らの国、アサドは我らの指導者」といった垂れ幕・プラガード、シリア、ロシア、中国の国旗などが掲げられた。

SANA(10月13日付)が公開した集会の写真を見る限り、「数千人規模」と発表されてきた反体制勢力の金曜礼拝後の反体制デモの規模をはるかに越える動員がなされたことがわかり、アサド政権の動員力の高さ、反体制勢力側の誇張が再確認できる。

なおSANAは参加者が100万人にのぼったと報じた。

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大統領府声明によると、バッシャール・アサド大統領は、シリア民族社会党のアスアド・ハルダーン党首と会談し、シリアは「困難な段階を乗り越え、国民の意思を実現した」と述べた。

また同会談で、アサド大統領は「民族主義的ダイナミズムと国民感情をシリア国民の間で強化し、地域で起きている事態を利用してアラブ民族感情を弱体化させようとする外国の陰謀に対抗するため、民族主義政党の役割を活性化することが重要」と述べた。

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『ザマーン・ワスル』(10月12日付)は、アサド政権が国土の40%の治安を掌握しておらず、15%に至っては軍事的にも制圧されていないとの調査結果を伝えた。同調査によると、アサド政権が軍事的・治安的に掌握しているのはダマスカス、アレッポ、タルトゥースおよび一部の郊外の45%に過ぎないという。しかしこのデータの出典、調査方法は明確ではない。

 

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

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反体制活動を行う一部の弁護士に対して、バアス党シリア地域指導部民族治安局から活動自粛の最後通告を行うよう要請があったことを伝える弁護士組合のニザール・サキーフ総裁の文書がフェイスブックで公開された。

同文書は9月5日付で、ダイル・ザウル県支部長宛に発信されていた。

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ハサン・ジャラーリー内務省市民問題担当次官は、2012年に電子チップの入った新たなIDを国民に発行すると発表した。

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NNA(10月12日付)は、10月12日、シリア軍部隊がレバノンのベカーア県ワーディー・アンジャル内にレバノン国軍が設置した土嚢からレバノン領内に約400メートル入った地点に再展開した。反体制活動家追跡のために侵入・展開したものと思われる。

なお「レバノンの声」ラジオによると、シリア軍部隊は10月6日にもビカーア県アルサール地域に侵入し、レバノン在住のシリア人1人に発砲、殺害したという。

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内務省のハサン・ジャラーリー次官は、シリアの身分証明書の発給を受けた「ハサカ県の外国人」(クルド人)の数が60,000人にのぼったことを明らかにした。またシリア国籍の取得を申請している「ハサカ県の外国人」の数が106,116人に達していると述べた。

クルド人に対する国籍付与は、2011年4月7日にアサド大統領が発令した「ハサカ県の外国人に対する国籍付与法」に基づく措置である。

反体制運動掃討

Kull-na Shurakā’, October 12, 2011
Kull-na Shuraka’, October 12, 2011
Kull-na Shurakā’, October 12, 2011
Kull-na Shuraka’, October 12, 2011

マナールは、シリア民主党のアフマド・クーサー書記長が政党法に基づく初の認可を受けたと報じた。

同報道で、クーサー書記長は「反体制運動は敵対的ではない。我々は民主主義と表現の自由を実践し、政府や体制の過ちを見つけたらそれに光をあてる」と述べ、「今日起きていることは、シリアに対する世界的な戦争であり、それはさまざまな武器を駆使して行われている…。この陰謀は、民族的・人民的意志、強い意志を通じて阻止されるものである…。国民には要求があり、それは正当なものだが、陰謀はこうした要求よりも巨大である」と付言した。

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シリア司法当局は反体制活動家のワリード・ブンニー弁護士(8月6日逮捕)を釈放した。ブンニー弁護士は「デモ扇動と宗派主義的亀裂の助長」の容疑で身柄拘束されていたが、保釈金115シリア・ポンドを支払い釈放となった。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区から大きな爆発音が聞こえ、またバーブ・アムル地区から7時間にわたって激しい銃声が聞こえた。同監視団によると、ヒムス市のダイル・バアルバ地区で10日に負傷した青年がヒムス市の軍事病院で死亡した。

またヒムス市ハーリディーヤ地区は依然として軍・治安部隊に包囲されており、3日前から大規模な逮捕・追跡活動が行われていた。

オガレット・ニュース・ネットワーク(10月12日)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区のタカウウィー・モスクに対して軍・治安部隊が砲撃を加えたと報じた。

SANA(10月13日付)は、ヒムス県の関係当局は95人の指名手配者を逮捕するとともに、「武装テロ集団」が「破壊行為」に使用していた(使用しようとしていた)車輌、武器、弾薬、爆発物などを押収したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市の総合情報部内務治安課分所近くから巨大な爆発音が聞こえ、同市市街地に軍・治安部隊が多数展開し、通行禁止となった。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市で治安部隊による大規模な逮捕・追跡活動が行われ、23人が逮捕された。

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ダルアー県では複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊が家宅捜索・逮捕活動を行い、ジハード・アターッラー・マハーミード氏の自宅でムハンナド・ファトヒー・マハーミード氏を逮捕した。

諸外国の動き

米法務省は、シリア系米国人1人が米国内のシリア人反体制活動家に対するスパイ活動を行ったとして、10月10日に逮捕・起訴したと発表した。

逮捕されたのはムハンマド・アナス・ハイサム・スワイド氏(47歳)で、「米国およびシリア国内で反体制デモを行う人々の映像ビデオ、音声テープなどの情報を集め…(これらの人々に)おそらく危害を加えた」容疑(有罪となれば最長で禁固40年)で連邦裁判所に起訴された。

起訴状によると、スワイド氏は2011年8月3日からシリアのムハーバラートのために活動していた、という。

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カタールのハマド・ブン・ハリーファ・アール・サーニー首長はジャズィーラ(10月12日付)でテレビ演説を行い、シリア国民評議会の発足を「重要なステップ」と高く評価し、アサド政権に対してシリアの国益のために同評議会と「相互理解」に達するよう呼びかけた。

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英国外務省は声明を出し、中東局長がシリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン議長、バスマ・カドマーニー報道官、ニブラース・ファーディル氏と会談したと発表した。

同局長は会談後に、「シリア国民評議会の発足はシリアの反体制勢力の代表者を広く糾合するうえで前向きなステップだ」と述べたという。

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イスラーム教ウラマー世界連盟のユースフ・カラダーウィー議長は声明を出し、シリア国民評議会への支持を表明した。

AFP, October 12, 2011、Akhbar al-Sharq, October 12, 2011、Damas Post, October 12, 2011、al-Hayat, October 13, 2011, October 15, 2011、Kull-na Shuraka’, October 12, 2011,
October 14, 2011、NNA, October 12, 2011、SANA, October 13, 2011、SNS, October
12, 2011、Zaman al-Waṣl, October 12, 2011などをもとに作成。

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政府内で近日中の憲法改正委員会の設置が発表される一方、仏外相がシリア国民評議会議長と会談するも同評議会の承認に関しては保留(2011年10月11日)

反体制運動掃討

ヒムス県では、シリア人権監視団や地元調整諸委員会などによると、ヒムス市が2日にわたる砲撃によって「ゴーストタウン」と化し、街は廃墟と化し、住民は姿を消した。人権活動家らによると、治安部隊の発砲で3人が殺害され、約115人が逮捕された。

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

シリア人権監視団によると、ヒムス市のバイヤーダ地区、同ダイル・バアルバ地区、そしてクサイル市で若者がそれぞれ1人、合計3人が殺害された。10月10日のダイル・バアルバ地区でのデモで負傷した市民1人が死亡した。

SANA(10月12日付)は、ヒムス市のバイヤーダ地区とハーリディーヤ地区での「武装テロ集団掃討作戦で」、指名手配者144人を逮捕し、大量の武器弾薬、化学薬品を押収したと報じた。またTNT爆弾が仕掛けられた車、軍の偽造ID、偽造紋章なども発見された。さらにヒムス国立病院内で爆発物を発見し、爆弾処理班が撤去した。

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アレッポ市では治安当局によって逮捕されていた市民1人が拷問で死亡した。

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『クッルナー・シュラカー』(10月11日付)は、ダマスカス大学医学部学生の証言として、学部内に監視カメラが設置されていると報じた。

アサド政権の動き

大統領府声明によると、バッシャール・アサド大統領はフサイン・マジュリー元法務大臣を団長とするヨルダン使節団と会談したと発表した。

同声明によると、ヨルダン使節団は、シリアの安定を支持し、外国による内政干渉の試みを拒否するとの意思を示した。これに対してアサド大統領は「シリアがめざしているのは、アラブ人すべてがめざしているものであり、それは民族主義的プロジェクト、レジスタンスの思考である」と述べ、国内情勢に対して「より強く、予防的に」対処すると述べたという。

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SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

『ワタン』(10月11日付)は、バアス党シリア地域のムハンマド・サイード・バヒーターン副書記長が、48時間以内にアサド大統領が憲法改正委員会を設置すると述べたと報じた。

同記事はまた、副書記長がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相に関して、「アラブ人以上にアラブ・イスラームの指導者として振る舞い、アラブ人とイスラーム教徒を擁護しようとしてきた手法は、プロパガンダとして挫折した」と酷評し、またカタールに関しても「ダマスカス郊外県のドゥーマー市でさえカタールよりも大きいことを皆知っているが、そんな小国がリビアの空爆に参加し、戦費を支払っている」と非難したと続けた。

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SANA(10月11日付)は、選挙最高委員会が12月12日投票予定の統一地方選挙準備のために、各県の分科委員会の委員長を召集したと報じた。

同報道によると、選挙最高委員会は「選挙行程に関する各県の分科委員会での合意や提案をもとに、(統一地方選挙のための)特別なウェブサイトを設置し、選挙登録を済ませていない国民に可能な限り早急に投票用紙を配布するために内務省と調整を行うことを決定した」。また司法当局による選挙行程の[完全なる監督」によって、選挙の「公明性と民主制を保障するための必要なあらゆる措置を講じる」ことを強調した。

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ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官は訪問先のマレーシア首都クアラルンプールにある外務省外交関係研究所で講演し、シリアが外国の圧力、メディアの攻撃、テロに曝されつつも改革を進めていると強調した。

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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は、ロバート・フォード米大使ほか西側諸国(フランス、トルコ、ドイツ、英国、カナダ、日本など)による弔問(イドリブ県で暗殺された末息子サーリヤ氏に対する弔問)を受けた。

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ダマスカス県の国連事務所前で市民が抗議の座り込みを行い、外国による内政干渉への拒否の姿勢を示した。

SANA, October 12, 2011
SANA, October 12, 2011

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『ガーディアン』(10月11日付)は、ダマスカス県内のアニーサ・マフルーフ氏(ハーフィズ・アサド前大統領の妻)の家に、アサド大統領、マーヒル・アサド大佐、ブシュラー・アサド女史が集まり、反体制デモについて議論し、現政権維持のために結束を強めていると報じた。

同報道は、アイマン・アブドゥンヌール氏(元バアス党員、反体制ジャーナリスト)やデイヴィッド・リーシュ氏(シリア研究者)などのコメントをもとに、アスマー・アフラス(アサド大統領の妻)が政策決定に参加していないこと、アースィフ・シャウカト副参謀長(中将、ブシュラー女史の夫)とアサド家との「微妙な関係」などについてまとめているが、アサド家の「家族会議」が実際に行われていることを示す根拠はまったく示していない。

http://www.guardian.co.uk/world/2011/oct/11/assads-syria-ruling-family?INTCMP=SRCH

反体制勢力の動き

ムハンマド・サルマーン元情報大臣が代表を務める国民民主イニシアチブは、元大臣、ジャマール・スライマーン氏(芸術家)、ジョルジート・アティーヤ氏ら41人のメンバーがアサド大統領と9月24日に会談し、民主的代議政体と市民国家への移行方法などに関する「共通のヴィジョン」を提示したと発表した。

これに対して、アサド大統領は歓迎の意を示したという。

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シリア人民解放変革戦線のカドリー・ジャミール代表はロシアのモスクワで記者会見を行い、「我々は、政府と反体制勢力の対話を妨害するような外国の干渉を阻止したロシアと中国の拒否権発動を歓迎している」と述べ、「我々は会合を重ねるなかで二つの点で意見が一致した:外国の干渉に反対、すべての紛争当事者による対話支持、という2点において」と付言した。

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ミシェル・キールー氏は訪問先のパリで記者会見を行い、「もし体制が国民を弾圧する政策を続ければ、外国の干渉を招くことになるだろう。すべての国が今日、シリア情勢に介入しており、シリアは国際紛争の主戦場になろうとしている」と警鐘をならした。

キールー氏は「シリアを破滅させる可能性のある」軍事干渉を拒否するとの姿勢を示しつつ、国際監視団の派遣などを通じた住民の「法的保護」を原則支持していると述べた。

一方、シリア国民評議会の発足に関して、「シリアの反体制運動統一に向けた前進」と述べつつ、「最終的な立場(シリア国民評議会への参加の是非)は、評議会が何をするかにかかっている。我々は評議会がすべての反体制勢力に手をさしのべ、いかなる意見も排除しないことを望む」と述べた。

キールー氏は国民民主変革諸勢力国民調整委員会の使節団の一員としてフランスを訪問した。またフランス訪問に先立って、スウェーデンのストックフォルムを訪れ、シリア国民評議会の会合に出席した。同使節団には、キールー氏の他、ファーイズ・サーラ氏が参加した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン議長は、フランスのアラン・ジュペ外務大臣と初めて公式にパリで会談した。

Kull-na Shurakā’, October 11, 2011
Kull-na Shurakā’, October 11, 2011

会談は「シリア、自由に向かって:告知と団結の夕べ」と題されたパーティーに合わせて行われ、評議会のバスマ・カドマーニー報道官も出席した。

またパーティーには、リオネル・ジョスパン元仏首相、フランスの複数の国会議員、駐ブリュッセル・パレスチナ大使、駐パリ・パレスチナ大使、駐UNESCO・パレスチナ大使も出席していた。なおシリア国内からはミシェル・キールー氏ら国民民主変革諸勢力国民調整委員会のメンバー複数がパリを訪問した。

会談に先立ってジュペ外務大臣は「私は(ガルユーン)議長とカドマーニー報道官の招きで、自由と基本的人権を求めて平和的に闘争するシリア国民へのフランスの支持を表明するためにここに来た」と述べつつ、シリア国民評議会の承認に関しては「議題に上っていない。なぜなら、シリア国民評議会がそのように求めていないから」と慎重な態度を示した。

一方、ガルユーン議長は、パリでLBCのインタビューに応じ、そのなかで、「(アサド大統領が)自らの過ちを精算せずに地位を追われれば、他の罪人と同じ運命をたどるだろう…。彼は今や罪人だ。数万のシリア人の殺戮・逮捕命令を下した第一の責任者だからだ…。どのようにしてこの罪を免れられるのか…?免れえないだろう」としたうえで、「バッシャールとの交渉はない、専制体制とのいかなる関係正常化もない…。シリア国民は(アサド政権による)この改革が空疎な言葉に過ぎないことを理解している」と述べた。

また外国の軍事干渉に関しては「我々は軍事干渉を求めることは決してないだろう…。NATOの介入ではなく民間人の保護のために全力を尽くす」と述べた。

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クルド民族主義政党・組織がシリア・クルド国民運動諸政党の名で声明を出し、カーミシュリー市でのミシュアル・タンムー氏葬儀に対する発砲(2人が死亡)を非難し、民主的変革、自由と民主主義の実現を改めて求めた。

諸外国の動き

中国外交部の劉為民報道官は、「我々はシリア政府が改革に関する約束を履行するべく早急に行動しなければならないと考えている…。またシリアのすべての当事者は政治的関係正常化のプロセスに参加しなければならない」と述べた。

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クウェートのムハンマド・スバーフ外務大臣は、記者会見で、アラブ諸国の外相がシリア問題をめぐって会談を予定しており、現在日程調整中である、と述べた。

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「エジプトのための民主同盟」はシリア国民評議会をシリア国民の代表として承認することを決定した。

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イスラーム協力機構のエクメレッディン・イフサンオール事務局長は声明でシリア情勢における「軍事的衝突の激化」に警鐘をならしつつ、外国の介入を拒否するとの姿勢を明示した。

AFP, October 11, 2011、Akhbar al-Sharq, October 11, 2011、Damas Post, , October 11, 2011、DP-News, October 11, 2011、The Guardian, October 11, 2011、al-Hayat, October 12, 2011、Kull-na Shuraka’, October 11, 2011、Reuters, October
11, 2011、SANA, October 11, 2011, October 12, 2011、al-Waṭan, October 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

軍・治安部隊がヒムス市に「もっとも大規模で激しい攻撃」を加える一方、EUが外相声明を出し「シリア国民評議会の発足は前向きな措置である」と同評議会への歓迎の意思を初めて公式に示す(2011年10月10日)

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で、軍・治安部隊が3月に反体制抗議行動が始まって以来「もっとも大規模で激しい攻撃」を加えた。

Akhbar al-Sharq, October 10, 2011
Akhbar al-Sharq, October 10, 2011

同監視団によると「グータ地区の総合情報部内務治安課(ヒムス)支部やハーリド・ブン・ワリード・モスク近くで激しい銃声が聞こえ、また空軍情報部(ヒムス)支部近くでも爆発音と激しい銃声が聞こえた」。

地元調整諸委員会は声明を出し、「(ヒムス市でのこれまでの)殉教者の数は革命の犠牲者の3分の1におよび、数日前からさらに状況は悪化している」と述べた。

また「ヒムス市内各所は真の戦争状態にあり、爆発音が絶えず…、機関銃、対空砲などの集中砲火が続き、多くの家が破壊された。そしてこれにより、9人が死亡し、数十人が重傷を負った」という。

またハーリディーヤ地区では数十人が逮捕されたという。

この戦闘によって14人の民間人と17人の兵士が死亡し、過去48時間の犠牲者の数は40人以上となった。

一方、SANA(10月11日付)は、ヒムス市のザイダル街道で治安維持部隊が武装テロ集団に襲撃され、部隊の兵士2人が殺害されたと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、民間人3人が殺害された。

この3人は拷問で死亡した青年の葬儀に参列していたという。

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SANA(10月11日付)は、武装テロ集団がハマー県ムハルダ市郊外のジャルマ村のマムドゥーフ・ラスラーン・アラブ村長を誘拐したと報じた。

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SANA(10月11日付)は、イドリブ県のアイン・バイダーとハムーシーヤ間で武装集団が治安維持部隊を要撃し、部隊の兵士2人が殺害されたと報じた。

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自由シリア軍司令官のリヤード・アフマド大佐は、逃亡先のトルコで『ヒュッリーイェト・デイリー・ニュース』(10月10日付)の取材に応じ、そのなかでアサド政権打倒のための「国際的な軍事支援」を求めた。

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反体制弁護士のラッザーン・ザイトゥーナ女史(34歳)は「アンナ・ポリトコフスカヤ賞」の受賞を受けて、ロイター通信(10月10日付)の取材に応じ、反体制運動が平和的でなければならないとしつつ、「7ヵ月間にわたる血の弾圧と反体制勢力の不統一、そして国際社会が行動に訴えないなかで、革命の軍事化が表面化するのは当然」と述べた。

ザイトゥーナ弁護士は家族や友人の活動家らが投獄されて以降、国外に逃れ、民主化のための地下活動を行っている。

しかし筆者が9月下旬にシリア国内で平和的・漸進的な民主化をめざす国内在住の反体制活動家に聞き取りを行ったところによると、ザイトゥーナ弁護士と同じく反体制弁護士のスハイル・アタースィー女史の個人的な不仲が、地元調整諸委員会とシリア革命調整連合の対立に反映されているという。

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シリアのアッシリア教徒筋がAKI(10月10日付)に語ったところによると、カーミシュリー市でのミシュアル・タンムー氏暗殺を受けて、アルメニア教徒の反体制活動家も暗殺の恐怖にさらされている、という。

一方、シリア・アッシリア民主機構はスウェーデン政府に対して、シリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認するよう求めた。

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複数の活動家によると、ダマスカス大学で数学講師を務めるハウラ・ハイダル・ハイダル女史が、理学部で1年生の前にして「武装集団についての話は作り話で、軍と治安部隊がデモ参加者を殺害する作戦を行っている」と述べた後に辞意を表明した。

その場にいた学生によると、この辞意表明に対して、講堂にいた学生たちは5分間にわたり拍手喝采したが、その後、学生の一人が治安当局の所属証を提示し、彼女を連行した。

これに対して学生たちは彼女をかくまおうと抵抗したという。

アサド政権の動き

ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官は訪問先のマレーシア首都クアラルンプールで、「武装集団」が暴力の背後にいると改めて述べた。

また「我々と(トルコと)の間は、考えられている以上に良い関係があった。それゆえ、我々はトルコが、シリアにおける多元主義と民主化の路線を支持すると期待しており、シリア情勢を悪化させ、武装集団を支援するような発言を行わないはずだと考えている」と述べるとともに、一部の国がシリア国内の宗派対立や分断を支援するために武器や資金を援助していると断じた。

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『イクティサーディー』(10月10日付)は、ミシュアル・タンムー氏暗殺後閉鎖されていたカーミシュリー市の対トルコ国境が再び開通したと報じた。

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カナダ在住のキリスト教徒反体制活動家のミハイル・サアド氏はフェイスブックでシリア・ムスリム同胞団への加入を申請したと発表。

諸外国の動き

EUは外相声明を出し、「シリア国民が統一的なプログラムを作り上げたことを歓迎する…。シリア国民評議会の発足は前向きな措置である」と同評議会への歓迎の意思を初めて公式に示した。

またフランスのアラン・ジュペ外務大臣はシリアの反体制勢力と接触する意向を示す一方、イタリアのフランコ・フラティニ外務大臣は「まず彼らが誰なのかを知ることが重要」としたうえで、「我々は計画、提案、そしてもし可能なら行程が欲しい」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシアと中国がシリア情勢をめぐって「よりバランスのとれた」決議案を提出する用意があると述べた。

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西側諸国が支援するリビア暫定評議会は、シリア国民評議会を承認し、シリア大使館を閉鎖すると発表した。

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「アフバール・シャルク」(10月10日付)は、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は10月6日のイスタンブールでの作家・ジャーナリスト(30~40人が参加)との懇談で、アサド大統領との会談について語ったと報じた。

同報道によると、ダウトオール外務大臣は、3度にわたるアサド大統領との会談で、軍の撤退や憲法改正などを含む改革を求めたが、その都度、忠告を無視され、「トルコはアサド(大統領)への信頼を失い、国民の側につくことを決定した」と述べたという。

またトルコが現在、シリア国内での宗派・エスニック対立を懸念しているとしたうえで、アサド大統領がこのカードを「最後のカードにしようとしている」と非難したという。

一方、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相が準備しているとされる制裁に関しては「シリア国民ではなく、政権に対するもの」と述べ、詳細には触れなかった。

さらにシリア国内情勢に関しては「政権内でクーデタが起きるかもしれない」との見方を示した。

AFP, October 10, 2011、Akhbar al-Sharq, October 10, 2011, October 14, 2011、AKI, October 10, 2011、al-Hayat, October 11, 2011、al-Iqtisadi, October 10, 2011、Reuters, October 11, 2011、SANA, October 11, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領がラテン・アメリカ諸国の使節団と会談、シリア国民評議会のメンバーらは国際監視団のシリアへの派遣を要求することで合意(2011年10月9日)

アサド政権の動き

大統領府声明によると、バッシャール・アサド大統領は、ベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、ラテン・アメリカ左派政権6カ国(ALBA)の使節団と会談し、シリアが実行している措置は「政治改革と武装デモの掃討」という二つの基軸に力点が置かれていると述べ、「改革プロセスは継続中であり、それはいかなる外国勢力の動きとも結びついていない主権に根ざした決定に沿って行われている」と述べた。

SANA, October 9, 2011
SANA, October 9, 2011
SANA, October 9, 2011
SANA, October 9, 2011

これに対してALBA使節団は、メディアなどでのシリアに対するネガティブ・キャンペーンに反対の意思を示すとともに、シリア内政への外国の干渉を拒否するとの姿勢を示した。

またワリード・ムアッリム外務大臣は、ALBA使節団との会談後の記者会見で「反体制のシリア国民評議会を承認するいかなる国に対しても我々は厳しい措置をとる」と述べた。

またタンムー氏暗殺に関して「武装テロ集団が殉教者ミシュアル・タンムー氏を暗殺した…。この反体制活動家は外国の干渉を要求し、ハサカ県で内乱を起こそうとしていた潮流に身を置いていた」と述べた。

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イフバーリーヤ・チャンネルは共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師の演説を放送、そのなかでハッスーン師は、「シリアがひとたび爆撃を受けたら、レバノンとシリアのすべての男女は欧州とパレスチナの地で殉教者となるだろう。このことを、欧州に言いたい。このことをアメリカに言いたい。我々は今、おまえたちに立ち向かうため殉教者になる用意がある。もしシリアを爆撃したら、あるいはレバノンを爆撃したら、明日は目には目を、歯には歯をという結果が待っている」と述べた。http://www.youtube.com/watch?v=F6sJa8iiOmM

http://www.youtube.com/watch?v=F6sJa8iiOmM

反体制運動をめぐる動き

ミシュアル・タンムー氏の息子のファーリス・タンムー氏はAP(10月9日付)の取材に対して、「我々のメッセージは、父が生きていようといまいと、革命を継続せねばならない、というものである…。シリアで独裁がなくなるまで闘争は続くだろう」と述べた。

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スウェーデンで会合を続けていたシリア国民評議会のメンバー約90人は2日間の審議を終え、国際監視団のシリアへの派遣を要求することで合意した。

しかし、外国の軍事的介入には依然として反対の意思を示した。

一方、シリア国民評議会の使節団がエジプトの首都カイロに到着した。

使節団はブルハーン・ガルユーン、アディーブ・シーシャクリー、バスマ・カドマーニー、ヤースィル・ナッジャール、ワーイル・マルザ、サミール・ナッシャール、ファールーク・タイフール、ジャビル・シャウキー、イマードッディーン・ラシード、ムハンマド・サルミーニーの10人。

エジプト国内で反アサド政権の世論形成を目指す予定。

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『シャルク・アウサト』(10月9日付)は、シリア・ムスリム同胞団のリヤード・シャカファ最高監督者が、「同胞団による(マイノリティ宗派への)脅迫は(政権による)ねつ造であることを西側は気づくようになった…」と述べたと報じた。

またシャカファ最高監督者は、同胞団と米国が接触していることを否定しつつ、EUとは間接的に対話を行っていると述べた。

また「我々には組織基盤がない。単に支援しているだけだ」と述べ、シリア国内での動員力のなさを認めた。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、シリア治安当局はナウワーフ・ブン・ラーギブ・バシール氏(7月31日逮捕)を釈放した。

同氏に関してはアラビーヤが死亡報道を流し、シリア・アラブ・テレビがこれを否定していた。

バシール氏はダマスカス宣言事務局メンバーでバッカーラ部族の代表と目されている。

Akhbar al-Sharq, October 8, 2011
Akhbar al-Sharq, October 8, 2011

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シリア人権監視団によると、ドゥマイル市で10月8日に殺害された青年の葬儀に対して、治安部隊が発砲し、4人を殺害した。

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シリア人権監視団によると、ハマー県のジブリーン地区で3人が軍・治安部隊、シャッビーハに殺害された。

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複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊がヒムス市周辺への展開を続け、ライフラインは遮断されたままだという。

諸外国の動き

ロシアのミハイル・ボグダノフ外務次官はロシアのRIAノーヴォスチ通信の取材に答え、ロシア高官がアサド政権と反体制勢力の対話の場を準備していることを示唆した。

同副大臣は、モスクワでの両者の対話に関して、「我々は今のところこうした提案を正式にしてはいないが、こうした動きがないとは言わない。なぜか?なぜならそれが建設的なステップだと考えているからである」と述べた。

なおシリア国内の反体制勢力の使節団が10月10日にロシアを訪問することになっている。

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『ワシントン・ポスト』(10月9日付)は、イラク政府がアサド政権を政治的にも財政的にも支援している、と報じた。

同紙によると、最近、シリアの使節団が二度イラクに招聘され、通商関係強化のための合意を締結したという。

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ミシュアル・タンムー氏暗殺に抗議するかたちで、ロンドンとウィーンのシリア大使館前で反体制デモが行われた。

またベルリンのシリア大使館、ハンブルグの領事館前でも反体制シリア人によって襲撃された。

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ドイツ外務省報道官は、ミシュアル・タンムー氏暗殺を非難しつつ、ベルリンのシリア大使館へのシリア人反体制活動家の襲撃を非難した。

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トルコ外務省は声明を出し、ミシュアル・タンムー氏暗殺に関して「反体制勢力を弾圧する試みを厳しく非難する」と発表した。

AFP, October 9, 2011、Akhbar al-Sharq, October 9, 2011、AP, October 9, 2011、al-Hayat, October 9, 2011、October 10, 2011、Kull-na Shuraka’, October 9, 2010、Reuters, October 9, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 9, 2011、SANA, October 10, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

カーミシュリー市で開かれたタンムー氏の葬儀に数万人が参列、またシリア国民評議会のメンバー約90人がストックホルムで会合を開催(2011年10月8日)

ミシュアル・タンムー氏暗殺をめぐる動き

ハサカ県カーミシュリー市でミシュアル・タンムー氏の葬儀が行われ、数万人が参列、「国民は大統領の処刑を望む」といったシュプレヒコールを連呼した。

またアームーダー市でも葬儀が行われ、会葬者がハーフィズ・アサド前大統領の像を破壊した。

シリア人権監視団によると、治安部隊が会葬者に発砲し、少なくとも4人が死亡した。

Kull-na Shurakā’, October 8, 2011
Kull-na Shuraka’, October 8, 2011

タンムー氏の遺体はクルドの「国旗」で包まれ、棺は花で埋め尽くされた。

ミシュアル・タンムー氏の暗殺を受け、シリア・クルド国民運動(12のクルド民族主義政党・組織)が声明を出し、「我々は、残忍な政治的暗殺の罪に反対し、我々の社会においてなじみがなく、ハサカ県の安定を見出し、不安と内乱をもたらそうとするこうした行為や方法を非難する…。自由と尊厳の殉教者への哀悼の意を表しつつ、我々はシリアのクルド人民大衆にこうした残忍な犯罪の背後に隠されている棄権の目的に警戒し目覚めるよう呼びかける。また、政府に対して、国民の生活の安全を守れなかったことの責任を追及する…」と述べた。

Kull-na Shurakā’, October 8, 2011
Kull-na Shurakā’, October 8, 2011

しかしこれに対して、シリア・クルド・イェキーティー党とシリア・クルド・アーザーディー党が声明を出し、アサド政権の関与に言及していないシリア・クルド国民運動の声明が「我々二党の立場を表現していない」として拒否の姿勢を示すとともに、タンムー氏暗殺をアサド政権によるものと断じて、同政権を痛烈に非難した。

Kull-na Shurakā’, October 8, 2011
Kull-na Shuraka’, October 8, 2011

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、AFP(10月8日付)の取材に答え、タンムー氏暗殺について「我々は大きな懸念を感じている。体制はシリア国民評議会メンバーへの復讐に転じる決定をした」と述べた。

反体制運動をめぐる動き

スウェーデンの首都ストックホルムで、シリア国民評議会のメンバー約90人が会合を開き、行動計画に関して審議した。

ブルハーン・ガルユーン議長も出席した。

また『クッルナー・シュラカー』(10月8日付)によると、シリア国内からミシェル・キールー氏、アーリフ・ダリーラ氏も出席したという。

会合はオロフ・パルム国際センターが主催した。

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Akhbar al-Sharq, October 8, 2011
Akhbar al-Sharq, October 8, 2011

国民民主変革諸勢力国民調整委員会はダマスカス郊外県のダーヒヤト・ハルブーンで拡大会合を開き、その後、記者会見で執行部メンバーの氏名を発表した。

新執行部メンバーは以下の通り。アフマド・ファーイズ・ファウワーズ、バッサーム・マリク、ジャマール・ムッラー・マフムード、ハサン・アブドゥルアズィーム(総合調整役)、ハサン・アウダード、ラーイド・ナクシュバンディー、ラジャー・ナースィル、シュクリー・マハーミード、サーリフ・ムスリム・ムハンマド、ターリク・アブー・ハサン、アーリフ・ダリーラ、アブドゥルアズィーズ・ハイイル、アドナーン・ワフバ、ファーイズ・サーラ、ムハンマド・ハリース、ムハンマド・サイイド・ラッサース、ムハンマド・サマーディー、ムハンマド・アンマール、ムハンマド・フライターニー、ムハンマド・ムーサー・ムハンマド、マフムード・マルイー、ムンズィル・ハッダーム、マンスール・アタースィー、ムニール・ビータール、マイス・クライディー、ナーイフ・サッルーム、ナスルッディーン・イブラーヒーム。

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SANA(10月9日付)は、ハマー市マザーリブ地区で武装集団と治安維持部隊が交戦し、同部隊の士官(中尉)1人が戦士、26人が負傷したと報じた。

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SANA(10月9日付)によると、ヒムス県ヒムス市でTNT火薬5キロの時限爆弾を当局が発見・撤去した。

またラスタン市でも武装テロ手段の爆弾が発見・撤去された。

アサド政権の動き

アナトリア通信(10月8日付)は、シリアがハサカ県カーミシュリー市の対トルコ国境を閉鎖したと報じた。

ミシュアル・タンムー氏葬儀への駐トルコ・クルド人の参列を阻止するための動きと思われる。

諸外国の動き

米ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官はタンムー氏暗殺に関して「アサドの対話への約束は空疎で…アサド大統領は、国がさらに危険な方向に向かう前に今すぐに去らねばならない」と述べた。

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キャサリン・アシュトン欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は声明を出し、ミシュアル・タンムー氏暗殺を「最近発生した明確な目的をもった一連の暗殺」と位置づけ、「決して受け入れられない」と述べ、「人種対立や宗派対立を煽る行為」と非難した。

AFP, October 9, 2011、Akhbar al-Sharq, October 8, 2011、al-Hayat, October 9, 2011、Kull-na Shuraka’, October 8, 2011, October 9, 2011、October
10, 2011、SANA, October 9, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県・ヒムス県・イドリブ県などで数千人が反体制デモを組織するなか、ハサカ県でシリア国民評議会メンバーのミシュアル・タンムー氏が暗殺される(2011年10月7日)

ミシュアル・タンムー氏暗殺

ハサカ県カーミシュリー市ではシリア国民評議会メンバーでシリア・クルド・ムスタクバル潮流スポークスマンのミシュアル・タンムー氏(1957年生まれ)が自宅で武装集団に暗殺された。

また彼の息子と活動家のラーヒダ・ラシュキールー女史が負傷した。

シリア人権監視団によると、4人の武装した男がタンムー氏の自宅に侵入し、自宅内で同氏を殺害した。

Kull-na Shurakā’, October 7, 2011
Kull-na Shuraka’, October 7, 2011

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クルド青年調整連合によると、タンムー氏はイスタンブールでの反体制勢力の大会に参加しており、「シリア国内の声を大会で代弁し、シリア国民の統合を強調してきた」という。

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SANA(10月8日付)は、タンムー氏を「国民的(愛国的)反体制活動家」と評価し、「国民統合と国内の平和に打撃」を与えることを狙った「武装集団」による暗殺と断じた。

反体制運動をめぐる動き

複数の活動家・目撃者によるとダマスカス郊外県、ヒムス県、イドリブ県ジスル・シュグール市で金曜日の礼拝後に数千人が反体制デモを行った。

これに先立ち、フェイスブックの「シリア革命2011」では「シリア国民評議会を支持する金曜日」のデモが呼びかけられていた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ザバダーニー市で民間人3人が殺害された。

またSANA(10月8日付)は、ザマルカー町とヒムス市で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、同部隊の士官1人と兵士2人が負傷したと報じた。

しかしSANA(10月8日付)は、ザバダーニー市では金曜日の午後の礼拝後にデモが発生しなかったとする地元の財界の言葉を伝えた。

Akhbar al-Sharq, October 8, 2011
Akhbar al-Sharq, October 8, 2011

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ヒムス県では、ヒムス市の各地区で反体制デモが実施され、シリア人権監視団によると、ヒムス市でのデモで4人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市で反体制デモが実施された。

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イドリブ県では、マアッラト・ヌウマーン市で、治安部隊がデモ参加者に発砲し、5人が負傷した。

またシリア人権監視団によると、ジスル・シュグール市郊外のヒルバト・ジャウズ村で1人が殺害された。

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SANA(10月8日付)は、ダルアー県の2カ所で当局が爆弾を発見・除去したと報じた。

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SANA(10月8日付)は、アーティフ・ナッダーフ・タルトゥース県知事がバーニヤース市のモスクが治安部隊に包囲されているとの一部報道が事実無根だと述べたと報じた。

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SANA(10月8日付)は、ハマー県のムフティー、アブドゥルバースィト・スライマーン師が、市民がモスクを訪れ礼拝することを阻止しているとの一部衛星テレビ局の報道を否定したと報じた。

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ナウワーフ・ブン・ラーギブ・バシール氏のいとこのファウワーズ・バシール氏はシリア・アラブ・テレビ(10月7日付)の取材に答え、死亡報道を否定した。

バシール氏はダマスカス宣言事務局メンバーでバッカーラ部族の代表と目されている。

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在米反体制活動家でシリア国民評議会の渉外関係局長となったラドワーン・ズィヤーダ氏は『ハヤート』(10月8日付)の取材に対して、「ヒムス市近郊のラスタン、タルビーサ、そしてダルアー市といった都市は住民のほとんどがいなくなり放置されている」と述べたうえで、こうした都市の制圧が「体制が人々の忠誠心を勝ち取ったことを意味しない」と指摘、「時は体制ではなく革命にとって有利である」と断じた。

また活動家と治安部隊が「互いに疲弊している」と述べ、反体制デモが衰退傾向にあることを否定した。

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シリアの反体制ジャーナリストは自由ジャーナリスト連合を結成。

アサド政権の動き

ファイサル・ミクダード外務次官は国連人権理事会に出席し、「全国レベルの調査を実施するだろう」と述べ、国内での殺戮を調査する意思を示したが、民間人への発砲を拒否した離反兵をシリア軍が殺害したとの批判については否定した。

また「過激な武装集団」によってシリア人が毎日殺されているなかで、改革を実施するにはさらなる時間が必要だと述べた。

さらに「我々は近日中に国連人権高等弁務官に殉教者のリストを提出する。彼らは公務員や警察官であり、テロリストが殺害したその数は1,100人以上にのぼる」と述べた。

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『デイリー・テレグラフ』(10月7日付)は、アサド家がシリア国外に所有する不動産の売却を始め、その額は10,000,000英ポンドにのぼる、と報じた。

売却されているのはリフアト・アサド前副大統領が所有していた不動産など。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ大統領はテレビで、「ロシアは他の国々と同様、シリアの流血が止むことを望んでおり、シリアの指導部が必要な改革を実行することを要求する。シリアの指導部がこの改革を実行できないのであれば、去らねばならない。しかしこのことは、NATOや西側各国が決めることではなく、シリア国民とシリアの指導部が決めることだ」と述べ、外国による体制打倒の試みを改めて拒否する姿勢を示した。

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10月5日晩、ヒムス県ヒムス市でロシアのストーリー・トランス・ガス社が襲撃された。

これを受けロシア外務省は声明を出し、在ダマスカス・ロシア大使館に同社と在留ロシア人を保護するための必要な措置を早急に講じるよう支持するとともに、襲撃を厳しく非難した。

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UNICEFは3月以来シリアの反体制抗議運動への弾圧で187人の子供が殺害されたと発表し、強い懸念の意を示した。

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デンマークのロシア大使館前でシリアの反体制活動家が抗議デモを行った。

AFP, October 7, 2011、Akhbar al-Sharq, October 7, 2011、Daily Telegraph, October 7, 2011、al-Hayat, October 8, 2011、Kull-na Shuraka’, October 7, 2011、October 8, 2011、Reuters,
October 7, 2011、SANA, October 8, 2011などをもとに作成。

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アサド大統領が第4次中東戦争勃発38周年を記念してダマスカス県内の戦没者追悼碑を訪問し、戦没者に哀悼の意を表明(2011年10月6日)

シャッビーハ

AFP(10月6日付)は、複数の反体制活動家や研究者の証言をもとに、シャッビーハの実態について報じた。

SANA, October 6, 2011
SANA, October 6, 2011
SANA, October 6, 2011
SANA, October 6, 2011

それによると、ダマスカスで暮らしている研究者は匿名を条件に「シャッビーハは体制にいかなる残忍の方法をとることも許されているツールで、いかなる機関とも結びついていない…。老人であれ子供であれ容赦なく殴打しているが、体制はそれを無罪放免としている」と述べたという。

またシリアを逃れてレバノンで活動している地元調整委員会のウマル・イドリビー代表は、「シャッビーハは、正規軍のような単一の統合された組織ではない」としたうえで、「彼らは、シリア国民を攻撃、殺戮するため、さまざまな地域の様々な宗派の武装した民間人からなる集団であり…。軍とは異なり誰に対しても責任を負っていない…。シリア人はシャッビーハとそれ以外の市民を区別できるが、外国人にはほとんどできない」と述べた。

しかしこの発言は自らに敵対する親体制のシリア人を「シャッビーハ」だと決めつける脅迫ともとれる。

なおシャッビーハは「シャバフ」(亡霊)をもとに作られた造語で、地中海岸で密輸を行う犯罪集団を指す言葉として数十年前にラタキアで使われるようになった。

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は第4次中東戦争勃発38周年を記念して、ダマスカス県カシオン山にある戦没者追悼碑を訪れ、戦没者に哀悼の意を表した。

この弔問には、ダーウード・ラージハ国防大臣、ファフム・ジャースィム・フライジュ参謀長ら政府、軍、バアス党の幹部が同行した。

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SANA(10月7日付)は、外務省高官が、8月9日のアサド大統領とトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣のダマスカスでの会談でアサド大統領が中東地域の安定にかかわる「脅迫」をしたとの一部メディアの報道に関して、事実無根であると発表したと報じるとともに、いかなる仲介もなされなかったと述べ、シリア・ムスリム同胞団の入閣をめぐる交渉が行われたことを否定した。

イランのファルス通信(10月4日付)はシリア外務省は、この会談で、アサド大統領が「誰かがシリアにミサイルを撃ち込めば、中東を炎上させるのに6時間とかからない。ヒズブッラーがイスラエルを攻撃し、イランが湾岸の西側船舶を攻撃するからだ」と述べたと報道していた。

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シリア軍はレバノンのベカーア県バアルベック郡アルサール地域に侵入し、シリア人のアリー・ハティーブ氏を追跡・殺害した。

同氏はレバノン人女性と結婚し、アルサール地域に居住していたが、シリア軍が追跡・殺害した理由は不明である。

反体制勢力の動き

フェイスブックの「シリア革命2011」ページは10月7日に「シリア国民評議会は我々の代表である。私、あなた、そしてすべてのシリア人の金曜日」と題したデモを呼びかけた。

またこの呼びかけのなかで、リヤード・トゥルク氏(ダマスカス国民民主変革宣言)は、「今日(10月7日)、我々はシリア国民評議会の誕生への歓迎を宣言する。我々はすべての革命勢力が一つのスローガン、民主的市民体制確立のもとに統一するよう呼びかける」と述べた。

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しかし、国内の反体制勢力からは、シリア国民評議会の活動に対する牽制・批判が相次いだ。

国民民主変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム総合調整役は、「すべての国民のための国民的計画を平等の原則のもとに策定し、国民の権利を尊重する議会制の民主的市民国家の建設をめざす」と述べるとともに、「審議に基づく代議制の民主的平和的体制への移行」を呼びかけた。

また「国内での大会」の開催を強調し、外国の干渉に異議を唱えた。

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なおSANA(10月6日付)は、シリア・アラブ・テレビが国民民主変革諸勢力国民調整委員会の会合に記者団を派遣し、その様子を報じようとしたが、アブドゥルアズィーム総合調整役の開会の辞の直後、会場を追放された、と報じた。

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人民変革解放人民戦線のカドリー・ジャール代表とアリー・ハイダル氏(シリア民族社会党インティファーダ派党首)は、ダマスカスで記者会見を開き、8月9日にモスクワに訪問することを発表するとともに、シリア国民評議会を拒否するとの姿勢を明らかにした。

彼らはイスタンブールでの大会の「基本的問題が…民間人の保護という暗号で外国の干渉を求めている点であり、それは飛行禁止空域の空爆を意味する」と述べた。

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複数のクルド人青年が共同声明を出し、シリア国民評議会への支持を表明しつつも、同委員会執行委員会にクルド人青年らの代表が参加していないと述べ、同評議会がクルド人による包括的な大会の合意のもとに代表を輩出することを求めた。

その一方、クルド民族主義諸政党が準備しているクルド国民大会に関して、若者勢力の参加が制限しているとの理由で、出席しないと発表した。

共同声明を出したのは、サワー・青年連立、カーミシュロー自由青年の春、シリア・クルド青年運動総合調整局、カーミシュロー自由活動家連合、ダイラカー・ハムコー・クルド青年調整局、カルキリア連立、クルド自由共産主義者青年調整局。

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イドリブ県では、複数の活動家によると、ザーウィヤ山で、離反兵がトルコ国境に潜伏する村々をシリア軍部隊が攻撃した。

イドリブ県では数百人の兵士が民間人への可能な暴力の行使を拒否し、離反しているという。

シリア人権監視団によると、この攻撃により、シリア軍兵士7人、民間人と離反兵5人が死亡し、数十人が負傷したという。

ダルアー県では、9月25日に治安当局の実弾で重傷を負い、10月5日に死亡したバースィル・シハーダートくん(17歳)の葬儀に約15,000人が参列した。

シリア人権監視団によると、葬儀後にデモが発生し、ロシア、中国による安保理での拒否権発動への抗議や体制打倒が叫ばれた。

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ダイル・ザウル県では、治安当局によって早朝29人が逮捕された。

シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市クーリーヤ地区とブーカマール市で大規模な逮捕・捜索活動が行われたという。

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SANA(10月7日付)は、ヒムス県のクサイルで武装集団が治安維持部隊を要撃し、同部隊兵士2人と民間人1人が死亡したと報じた。

SANA(10月7日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区で大量の武器を押収したと報じた。

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アラビーヤ(10月6日付)は、反体制活動家で身柄拘束中のナウワーフ・ブン・ラーギブ・バシール氏が獄中で拷問を受け死亡したと報じた。

バシール氏はダマスカス宣言事務局メンバーでバッカーラ部族の代表と目されている。

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シリア・アッシリア民主機構の在欧支部代表のアブドゥルアハド・イスティーフー氏は、シリア国民評議会が近く国際的に承認されるだろうとのプレスリリースを発した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先のドミニカで、ロシアと中国が安保理で拒否権を発動したことに関して、「このことは決して忘れない」と述べた。

米国務省のヴィクトリア・ノーランド報道官は、「合衆国はシリア政府に対してさらなる圧力をかけるため、多くの国々とともに活動するだろう」と述べた。

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ドイツ外務省報道官は、国連安保理でのシリア制裁決議案をめぐる審議後、シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表が「ヨーロッパでユダヤ人を弾圧したドイツは、今や欺瞞に満ちた決議案提出のあくどい仲介者の役割を演じるに至っている」と発言したことを受け、10月6日にラドワーン・ルトフィー在ベルリン・シリア大使を外務省に呼び出し、抗議したと発表した。

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フランスのベルナール・ヴァレロ報道官は、ラファー・ナーシド女史の即時釈放を求めた。

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国連人権高等弁務官は、2,900人以上のシリア人が抗議運動開始以降殺害され、また「同数値以上」の行方不明者がいると発表した。

こうしたなか西側の外交筋は、EUがシリア商業銀行など、ダマスカスに対して制裁を拡大すると述べた。

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マーティン・ネシルキー国連事務総長報道官は、潘基文事務総長がシリアでの反体制抗議運動の弾圧をめぐって、安保理が合意に達することができなかったことに遺憾の意を示すとともに、シリアでの暴力に関して「受け入れられない」と改めて非難したと述べた。

AFP, October 6 , 2011、Akhbar al-Sharq, October 6, 2011, October 9, 2011、Alarabia.net, October 6, 2011、AP, October 6, 2011、DP-News, October 6, 2011、al-Hayat, October 7, 2011、Kull-na Shuraka’, October 6, 2011、Reuters, October 6, 2011、SANA, October 7, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

英・仏・独・ポルトガルが対シリア制裁を定める安保理決議案を提出するも、ロシアと中国による拒否権発動により否決される(2011年10月5日)

ザイナブ・フスニーさんをめぐる情報戦

ザイナブ・フスニーさんをめぐる情報戦に関して、レバノン民主主義人権機構のナビール・ハラビー所長はジャズィーラ(10月5日)に出演し、ヒムス市のザイナブさんの家族が、シリア・アラブ・テレビに出演した女性が本人だと確認したと述べた。

SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011

また①シリア・アラブ・テレビで証言したザイナブさんが依然として生存しており、②ザイナブさんとされる遺体の身元確認のために提示された情報がすべてシリア司法当局とシリア政府によるものだとしたうえで、ザイナブさんが逮捕・拷問のちに死亡したとの情報に根拠がなかったと指摘した。

そのうえで、ザイナブさんがシリア国内のムハーバラートで現在も身柄拘束されていると断じたうえで、シリア国外のより安全な場所に彼女を移すとともに、ザイナブさんとされる女性の遺体の身元を解明するべきだと主張した。

国連安保理の動き

英仏独ポルトガルが提出した安保理決議案の採決が行われ、ロシアと中国が拒否権を発動、またブラジル、インド、南アフリカ、そしてレバノンは棄権し、否決された。

同決議案は、民間人に対する暴力が停止されない場合、シリア政府への制裁を行うとしたもので、BRICS各国は、反体制勢力による武力行使への対処の必要を訴える一方で、人権保護を口実とした西側の主権侵害に強い拒否の姿勢を示した。

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決議案が否決されたことに関して、スーザン・ライス米国連代表は、ロシアの拒否権発動を「陳腐なごまかしで、国民の側につくのではなく、シリア政府への武器売却を行うことを選んだ…。勇敢なシリア国民は、自由と基本的人権という要求を誰が安保理で支持し、誰が支持しなかったかを区別できる」と非難した。

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フランスの国連代表は「シリア国民と安保理にとって悲しい日」と表明し、「我々はアサド大統領が安保理での採決の結果がデモ参加者へのさらなる暴力を認めるものとみなさないことを望んでいる。しかしこの拒否権が最後の道ではない。我々は再び安保理に戻る。屈服はしない」と述べた。

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英国は拒否権発動を「スキャンダラスで残念な過ち」と非難した。

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SANA, October 5, 2011
SANA, October 5, 2011

ドイツは「シリア政府に圧力をかけ」、制裁を科すためあらゆる努力を行うと述べた。

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一方、西側諸国の批判に対して、ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表は「採決された決議は、外部介入の哲学に依っている。我々はダマスカスに対するこうした行動には同意できない。シリア政府への制裁という脅迫は受け入れられないと考える…。アラブ世界をはじめとする指導者の正統性を決定するのは、パリでも、ロンドンでも、ワシントンでもない…。政府の暴力のみを非難し、過激派の暴力の責任を無視する決議案は偏っている」と述べた。

またロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は「我々はアサド政権の弁護人ではない…。我々は暴力の継続が完全に拒否されるべきだと考えており、平和的デモへの弾圧を非難する…。しかし同時に、我々は過激な反体制勢力がしだいに、一部の住民の怒りを利用し、公然たるテロ戦術へと移行する意思を隠さないことを非難する」と反論した。

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中国外交部報道官は、「一部の国はシリアへ盲目的なかたちで圧力をかけ、制裁をかけると脅迫するために決議案を提出した。これは事態改善に資さない」と述べた。

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インドの国連代表は、「シリアは中東の安定に関して重要な国だ」としたうえで「国民のデモ権は保護されるべきだが、政権は国民を軍事・武装集団から保護する義務がある…。重武装した勢力が国家権力やインフラに対して暴力行為を行ったときにのみ、各国は措置を講じることができる」と述べた。

反体制勢力の動き

『シャルク・アウサト』(10月5日付)は、ダマスカス県のムハージリーン区で反体制勢力が抗議デモを行い、アサド大統領の公邸に接近したと報じた。デモ参加者はアサド大統領の処刑を求めてシュプレヒコールを連呼したが、治安部隊に排除され、多数が逮捕された。

Kull-na Shuraka', October 5, 2011
Kull-na Shuraka’, October 5, 2011

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反体制活動家は、平和的デモへの弾圧に抗議するため、ダマスカス県中心の主な広場の噴水の赤く染めるキャンペーンを断行、サブウ・バハラート広場、ファハーマ、ジスル・アブヤド、バーブ・ムサッラー地区、ヤルムーク難民キャンプなどの広場の噴水から赤く染められた水が噴出した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン議長は、ロシア、中国の安保理での拒否権発動に関して、暴力行為を「助長するだろう」と述べた。

また「アサド政権の軍事的・ファシズム的な計画を支援することは、シリア国民が平和的革命にとどまることを促すものではない」と述べた。

Akhbar al-Sharq, October 5, 2011
Akhbar al-Sharq, October 5, 2011

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シリアの女性活動家ラザーン・ザイトゥーナ氏は、ロシア、中国の安保理での拒否権発動に関して、「シリア人殺害の共犯者」と非難した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で治安当局に逮捕されていた男性が殺害され、家族に引き渡された。

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は2011年政令第391号を発し、2011年12月12日に統一地方選挙を実施することを決定。法律全文はhttp://www.sana.sy/ara/2/2011/10/06/373635.htmを参照。

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ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問は、国連安保理でのロシアと中国の拒否権発動を「歴史的」と評価、「外国諸国や諸国民への覇権や軍事介入に対抗する勢力が世界に存在することが分かり、シリア人は安堵している」と述べた。

またシリア国民評議会発足に関して「イスタンブールで集まり、評議会を結成した反体制勢力はそのほとんどがムスリム同胞団からなっている…。彼らにはシリア国内において法的にはまったく認定されておらず、居住してもいない。彼らは現実やシリア国民と接していない…」と述べたうえで、「外国の介入を支持するいかなる反体制勢力も拒否する」と繰り返した。

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SANA(10月6日付)は、シャフバー青年連合の主催で、スワイダー県シャフバーで全長100メートル、幅50メートルのシリア国旗が掲揚され、アサド政権による改革プログラムへの支持を表明。

SANA, October 5, 2011
SANA, October 5, 2011

その他諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は訪問先の南アフリカで、シリア政府への批判の語気を強め、同政府を「慈悲と恥を知らない専制的体制であり、海からも国民に砲撃を加えている」と述べた。

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シリア国民評議会発足に関して、レバノンの3月14日勢力執行部は声明を出し、「専制と血塗られた虐殺を行う体制に対するシリア革命の行方に大きな変化をもたらす拠点となるだろう」と支持を表明。

AFP, October 5, 2011、Akhbar al-Sharq, October 5, 2011、AKI, October 5, 2011、al-Hayat, October 6, 2011、Kull-na Shuraka’, October 5, 2011、Reuters, October 5,
2011、SANA, October 6, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 6, 2011、Zamān al-Wasl, October 6, 2011などをもとに作成。

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サファル内閣が先週施行された輸入規制の廃止を決定する一方、露外相は西側諸国が作成した対シリア安保理決議を支持しない意向を改めて表明(2011年10月4日)

ザイナブ・フスニーさんをめぐる情報戦

ヒムス市で誘拐・殺害されたのち、首と四肢を切断され家族に引き渡されたとされていたザイナブ・ヒムスィーさんがシリア・アラブ・テレビに出演し、反体制勢力の主張や海外メディアなどの報道がねつ造であると暴露した。

SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011

ヒムスィーさんによると、実家の家族は自身の生存をいまだ知らないという。

また自身が殺されたとの報道を知った際、警察に事情を話そうとしたが、周囲の人たちから「治安当局に拷問を受ける」と言われ、止められていたことを明かした。

しかし10月4日に警察に出頭し、真実を話すことを決意したという。

また、自身が当局に逮捕されたことがなく、また自宅が実家のような襲撃を受けたことがないと述べた。

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フェイスブックの「ザイナブ・フスニー」ページ(http://www.facebook.com/Zeinab.AlHosni?ref=ts)のウォールに掲載された写真。

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アサド政権の動き

SANA(10月6日付)は、アーディル・サファル内閣が先週決定された輸入規制に関して、「内閣は昨日(5日)の閣議で、5%以上の関税率が設定された輸入品に関する決定の廃止を決めた」と報じた。

この決定に関してムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣は、「輸入品(規制)に関する決定は、市場に悪影響を与え、物価上昇をもたらした…。予想以上にマイナスに作用すると判断するに至り、国民の正当な要求に応えるかたちで同措置を廃止した」と述べた。

SANA, October 4, 2011
SANA, October 4, 2011

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バッシャール・アサド大統領は、ダマスカスを訪問したレバノンのアラブ社会主義連合のアブドゥッラフーム・ムラード書記長、ベイルート・海岸大会フォローアップ委員会のカマール・シャーティーラー総合調整役、ムラービトゥーンのムスタファー・ハムダーン指導委員会書記長と会見し、中東情勢について意見交換を行った。

『サフィール』(10月5日付)は、アサド大統領がこの会談で、今週中に憲法改正委員会が発足し、すべての政党が平等に処遇される人民議会選挙が実施され、与党となった勢力が自由に憲法改正を行い、そのうえで彼らが望む候補者を選出するための大統領選挙が実施されるだろう、と述べたと報じた。

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在ヨルダン・シリア大使館は声明を出し、バフジャト・スライマーン大使が9月30日にヨルダンを砲撃すると脅迫したとの一部報道を否定。

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ダマスカス第二刑事裁判所は、2009年3月に汚職の罪で逮捕・拘留されていたビジネスマンのフィラース・バックール氏の保釈要求を認めた。保釈金は4,000,000シリア・ポンド。

バックール氏はインターネット・通信関連会社のイナーナー通商グループの元会長で、通信機構インターネット局元局長のサーミル・ナーシト局長、通信省通信調整局元局長のサーリフ・サーリム氏とともに身柄拘束されていた。

反体制勢力の動き

アナトリア通信(10月4日付)は、自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐が「シリアの反体制勢力は、体制打倒に向けて対立を統一せねばならない」とアサド政権に対する反体制勢力の抵抗闘争の統一を呼びかけた、と報じた。

同通信によると、この呼びかけはトルコの首都アンカラから行われ、このことは9月以来、一般民衆によるデモに代わってシリア国内での反体制運動の中心を占めるようになった軍離反者の武装闘争さえも在外(亡命)活動家によって指導されていることを示唆するものである。

Akhbar al-Sharq, October 4, 2011
Akhbar al-Sharq, October 4, 2011

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『シャルク・アウサト』(10月4日付)は、カイロ滞在中の反体制活動家のムハンマド・マアムーン・ヒムスィー元人民議会議員が、「イラン政府、ヒズブッラーなど、シリア国民に対して殺人罪を犯したいかなる当事者とも協力・対話することを拒否する」と述べたと報じた。

またトルコで発足宣言がなされたシリア国民評議会に関して、ヒムスィー氏は在エジプトの反体制勢力を代表するかたちで、シリア・ムスリム同胞団が大きな役割を果たしているとしたうえで、「(同胞団と)トルコとの関係によって、シリア国民の利益やシリアの国益を犠牲となってはならない」と警鐘を鳴らしたという。

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シリア共産主義者統一国民委員会のカドリー・ジャミール代表は、ロシアのRIAノーヴォスチ通信の取材に対して、「街頭でのデモを通じて体制を転覆させようとする試みは失敗した。反体制勢力は体制と同様、息詰まっている」と述べた。

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「アレッポ国民結束宣言」を名乗る組織が声明を出し、アサド政権が進める国民対話への支持を表明し、反体制勢力への参加を呼びかけるとともに、外国の干渉拒否、米大使の追放を主唱した。

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シリア人権監視団は、8月にダマスカスで逮捕された活動家6人が、国家に対する暴動の扇動、宗派主義的亀裂の助長、「ダマスカス再生諸委員会」と称する非合法組織の結成、インターネットを通じた偽情報の発信など容疑でダマスカスの民事裁判所に起訴されたと発表した。

起訴されたのは、アースィム・ハムシュー、ルーディー・ウスマーン、ヒンナーディー・ザフルート、ウマル・アフマド、シャーディー・アブー・ファフル、ガッファール・サイード。

主な武力衝突

イドリブ県では、シリア人権監視団など複数の活動家によると、ザーウィヤ山一帯のカフルハーヤー、シャンナーン、サルジャに囲まれた地域で軍と離反兵が衝突、兵士3人と民間人1人の合わせて4人が死亡した。殺害された兵士のうち、1人は同地域の基地に駐留する兵士で、2人は離反兵と見られる。

SANA(10月5日付)は、イドリブ県シャラフ村で武装テロ集団が治安維持部隊を攻撃し、治安維持部隊の軍曹1人が死亡したと報じた。

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ダルアー県では、調整諸委員会によると、ダーイルで治安部隊と離反兵が衝突した。

同組織によると、離反兵はダーイルの検問所を襲撃し、士官1人を負傷させた。

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ヒムス県では、タルビーサでも軍と離反兵の衝突が続いた。

またシリア人権監視団によると、タルビーサ市近郊のダール・カビーラ村の検問所で民間人3人が殺害された。

シリア人権監視団によると、ヒムス市のカラービース地区で身元不明の市民2人の遺体が発見された。

シリア人権監視団によると、共産主義活動家のムスタファー・アリー氏(52歳)が、ヒムス市ジュッブ・ジャンダリー地区で何者かに撃たれ暗殺された。また同地区では、何者かが車に発砲し、乗っていた子供1人が死亡、父親が負傷した。

シリア人権監視団によると、クサイル市では、市民2人が殺害され、2人が負傷した。

SANA(10月5日付)は、ヒムス県ヒムス市のサラーフッディーン通りに武装集団が設置した爆弾が爆発したと報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、西側諸国が作成した対シリア安保理決議に関して、「このような文言を支持することはできない…。シリアに対する制裁の余地を残しているがゆえに、受け入れられない」と述べた。

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SANA(10月6日付)は、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領が、テヘランでマフムード・アブラシュ人民議会議長と会見し、「いかなる外国の干渉もシリア国民の利益、そして中東地域のどの国民の利益にもならない」と述べたと報じた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は訪問先の南アフリカの首都プレトリアでプレスリリースを出し、国連安保理での対シリア決議の採択およびアサド政権への制裁を支持するとの立場を改めて示した。

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米上院は圧倒的多数の支持によりロバート・フォード在シリア米大使の留任を可決した。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、ラミヤー・シャックール在仏シリア大使に対して、「フランス外務省に数度にわたって呼び出し…、我が国の領内で暴力や脅迫行為を外国が行い、またシリア国内で我が国民に対して同様の行為を行うことを受け入れないだろう」と述べた。

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スウェーデン外務省は、「外交官としてふさわしくない振る舞いを外交官が行うのであれば、彼らはスウェーデンにおいて歓迎されないだろう」と発表し、スウェーデン在住の反体制シリア人への脅迫を行っているとされるシリア大使館職員を追放したことを明らかにした。

外務省はまたこうした行為が続けば、さらなる追放措置を行うと付言した。

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アムネスティ・インターナショナルは在外シリア大使館高官が「組織的」に在外反体制勢力活動家への嫌がらせを行い、反体制的な言動を抑えようとしていると非難した。

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カナダ外務大臣はカナダの企業によるシリア産石油輸入、石油および石油製品の運搬を禁止する措置を講じると発表した。

AFP, October 4, 2011、Akhbar al-Sharq, October 4, 2011, October 5, 2011、al-Hayat, October 5, 2011、Kull-na Shuraka’, October 4, 2011、Reuters, October 4, 2011、al-Safir, October 5, 2011、SANA, October 5, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 4, 2011、UPI, October 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

米国防長官がイスラエル国防大臣との共同記者会見のなかでアサド大統領退任の必要を強調、シリア革命総合委員会が発足したシリア国民評議会への支持を表明(2011年10月3日)

諸外国の動き

イスラエル訪問中のレオン・パネッタ米国防長官はエフード・バラク国防大臣との会談後の共同記者会見で、米国および西側諸国が「明確にアサドが去らねばならない」と考えていると述べ、「政権の抵抗は続いているが、私はきわめて明確に、それが時間の問題で近く起きると思っている。いつかは分からないが」と述べた。

SANA, October 3, 2011
SANA, October 3, 2011

一方のバラク国防大臣は、アサド政権の余命が数えるほどしかないとしたうえで、その崩壊がイランによって支援されている武装集団の「過激派枢軸」にとって「大打撃」となるだろうと述べた。

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シリア国民評議会発足に関し、米国務省高官は、『ハヤート』(10月4日付)に対して、バラク・オバマ米大統領が「平和的な政治的変換を支援するあらゆるシリアのグループ」を歓迎していると述べた。

しかし「残念ながら、シリア国内でこうしたグループが会合を開けないでいる」と述べ、シリア国民評議会をアサド政権に代わり得る政治主体とみなすことには慎重な姿勢を示した。

米財務省は、シリアへの通信機器の輸出を禁止した。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、「フランスは改めて、反体制勢力の分断を試み、野蛮な弾圧を続けるシリア政府に対して、改革と民主主義を希求するシリア国民の政治的表現を尊重するよう呼びかける」と述べ、シリア国民評議会の発足を歓迎した。

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国連安保理では、シリアに対する決議案をめぐる審議が続いているが、ロシアは依然としてシリア政府に圧力をかけるような決議の採択に反対し、政府、反体制勢力双方の暴力を非難するべきだとの姿勢を崩さなかった。

一方、西側諸国は、制裁発動への猶予を設けた決議案の採択を主張した。

反体制運動をめぐる動き

イドリブ県で襲撃されたサーリヤ・ハッスーン(共和国ムフティー、アフマド・バドルッディーン・ハッスーンの息子)が死亡し、アレッポ市で葬儀が執り行われ、数千人が参列した。

SANA(10月4日付)は、イドリブ県のトルコ国境近くで大量の武器弾薬が押収されたと報じた。

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複数の活動家によると、軍部隊がダマスカス郊外県、ダイル・ザウル、ヒムス近郊のタルビーサに突入した。またイドリブ県サラーキブ市を攻撃し、負傷者がでたという。

同活動家らによると、治安部隊はラスタン市で大規模な逮捕活動を行っており、この3日間で少なくとも3,000人が身柄拘束された。

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ハマー県では、カフルズィーター市で軍・治安部隊による攻撃が続いた。

SANA(10月4日付)は、ハマー県ハマー市サーブ-ニーヤ地区で、武装集団が治安維持部隊を襲撃、治安部隊兵士2人を殺害、2人を負傷させたと報じた。

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SANA(10月4日付)は、ヒムス県フルクルス地域で、武装集団が治安維持部隊を襲撃、治安部隊兵士1人を殺害、1人を負傷させたと報じた。

またヒムス市東部で武装集団がヒムス県庁職員の乗ったバスを要撃し、4人を殺害したと報じた。

さらにシャンシャール橋近くでヒムス県税関局の巡回パトロールが武装集団に襲撃され、職員1人、武装集団メンバー1人が死亡したと報じた。

このほか、ヒムス市内で救急車が襲撃を受け、また拷問の跡が残った電気技師のイーサー・ハサン氏の遺体が発見されたと報じられた。

SANA, October 3, 2011
SANA, October 3, 2011

 

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第三の道運動は記者会見を開き、メンバーのムハンマド・ハバシュ人民議会議員がアサド政権による弾圧を非難し、「治安的解決では問題に対処していない」と非難。

またハバシュ人民議会議員は、シリア国民評議会の発足に歓迎の意思を示すとともに、同評議会でコンセンサスにいたった提案を提示するよう呼びかけた。

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シリア革命総合委員会が、シリア国民評議会の発足への支持を表明。

またツイッター、フェイスブック上では、シリア国民評議会の発足を支持するページが立ち上げられた。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は、カタールのブルッキングズ・センターで後援を行い、「シリア国民評議会が反体制勢力の80%を代表している」と述べた。

アサド政権の動き

進歩国民戦線中央委員会会合が開かれ、「民間人の国際的保護」を口実として外国の介入を呼び込もうとする動きに異議を唱えた。

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『ダマス・ポスト』(10月3日付)は、教育省高官筋の話として、同省が民間の教育施設(学校、学院)設置に関して治安当局の認可取得を廃したと報じた。

AFR, October 3, 2011、Akhbar al-Sharq, October 3, 2011、AP, October 3, 2011、Damas Post, October 3, 2011、al-Hayat, October 4, 2011、Kull-na Shuraka’, October 3, 2011、SANA, October 4, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

「反体制勢力の統一体」としてのシリア国民評議会が正式発足、議長はガルユーン氏に(2011年10月2日)

シリア国民評議会正式発足

イスタンブールで一部の反体制勢力が開いていた会合が閉幕、シリア国民評議会を「反体制勢力の統一体」として正式発足することを宣言した。

またバッシャール・アサド政権との対話を改めて拒否し、「革命進展と現政権打倒という我らが国民の要求実現のため必要な支援を拡充する」ための活動を進めることを明言した。

シリア国民評議会発足声明はイスタンブールで会合閉幕後に開かれた記者会見で、ブルハーン・ガルユーン氏によって読み上げられた。同声明の主な内容は以下の通り。

「本声明に署名する諸勢力は、反体制勢力と平和的革命の統一体として国民評議会の発足を宣言する…。
(評議会は)シリア革命を主導する組織名であり、内外の革命を代表し、シリア国民諸集団の動員のため活動する…。それによって民族、人種、宗教的・政治的信条に基づく差別のない市民国家の建設をめざす…。それは平和的革命の原則と目的を遵守するすべてのシリア人に開かれている評議会である…。
(評議会は)反体制勢力の独立性を体現した主権と、自由実現をめざすことで体現されるシリア国民の主権を担った無所属団体である…。
国民評議会は、相互互恵と国益維持という原則のもと、アラブ世界、中東地域、国際社会のすべての団体、政府とともに活動し、国家を守る者たち権に抵触するようないかなる外国の干渉をも拒否する…。革命の要請に従い、国民評議会は、関係する国際機関・団体に対して、シリア国民に対する責任を果たし、シリア国民に対して宣言された戦争から彼らを保護し、政権による犯罪や人権侵害の停止のため、国際法の条項を駆使したあらゆる手段をもって行動することを求める…
政権が行う宗派主義的扇動は国民統合を脅かし、国を内戦と内政干渉へと向かわせている…。
国家機関、とりわけ政権によって真の任務から背かされてきた軍を保全する…」。

発足声明に署名したのは、ダマスカス国民民主宣言のサミール・ナッシャール事務局長、シリア国民評議会執行委員会のバスマ・カドマーニー報道官、ブルハーン・ガルユーン氏、シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者、クルド民族主義諸政党・組織代表のアブドゥルバースィト・スィーダー氏、アッシリア民主機構のアブドゥルアハド・サティーフー氏。

シリア国民評議会メンバーのハサン・ハーシミー氏は、同評議会の執行部が29人から構成され、以下7つの潮流が参加すると述べた。地元調整諸委員会6人、シリア・ムスリム同胞団および諸部族5人、ダマスカス国民民主宣言4人、リベラル派(ガルユーン氏ら)4人、クルド民族主義勢力およびキリスト教徒4人、無所属5人、議長1人。

「外国の干渉」を否定しつつも、「国際的な保護」を要請したことに関して、ガルユーン氏は「民間人保護に関する国連憲章の規定の適用を求めており、国家を守る者たち権を侵害しない」と答えた。そのうえで「いかなる干渉も、シリア国民を代表する国民評議会の合意のもとに行われる」と付言した。

またシリア国民評議会が国際社会の承認を受けるか否かに関して、ガルユーン氏は「もっとも困難だったのは評議会の結成だった。その承認はより容易である」と答えた。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=wN-2xYz8d0Q

なお閉幕時にガルユーン氏がシリア国民評議会の議長に選出された。

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Akhbar al-Sharq, October 2, 2011
Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

シリア国民評議会メンバーの一人でシリア・ムスリム同胞団のアフマド・リヤード・シャカファ最高監督者は、ジャズィーラのインタビューに応え、「シリア国民と我々はシリア領内への外国のいかなる軍事干渉も拒否している。しかし、もし体制が国民への殺戮を続ければ、飛行禁止空域など、それを阻止する様々な手段がある…。もし体制が迫撃砲や戦車での砲撃を続ければ、それを沈黙させるための航空機による介入はあり得る」と述べた。

シリア国民評議会メンバーの一人で、ダマスカス国民民主宣言のサミール・ナッシャール氏は、「我々は国連や国際社会の諸勢力にこの体制による殺戮行為を停止させるためにふさわしいと考えられるあらゆる措置を講じるよう求める…。金融を通じたものであれ、軍事的な方法であれ」と述べた。

これらの発言は、外国の軍事介入を否定したシリア国民評議会の基本姿勢に反するものであることは言うまでもなく、同評議会内で同問題をめぐる認識の違いがあることが早くも露呈した。

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シリア人権監視団によると、ダマスカス県のカダム区で晩、シリア国民評議会の発足を歓迎するデモが行われた。

同様の支持デモはハマー、ヒムス、イドリブ、ダルアー、ダイル・ザウルでも発生したという。またフェイスブックの「シリア革命2011」ページによると、ダマスカス郊外県ザバダーニー市でも支持デモが発生した。

その他の反体制勢力の動き

ヒムスで軍離反者たちが「シリア軍離反諸大隊軍事評議会」の発足を発表した。

同評議会は、ハーリド・ブン・ワーリド大隊、ナシャーマー大隊、ヒムス大隊、タルビーサ自由運動家大隊、ウマル・ブン・ハッターブ大隊、アリー・ブン・アビー・ターリブ大隊、アビー・ザッル・ギファーリー大隊からなる。

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011
Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

自由シリア軍を指導するリヤード・アスアド大佐によると、現在離反兵の数は10,000人以上に達し、彼らはアサド政権に忠誠を誓う秘密警察、軍事情報局、空軍情報部などを攻撃している、という。

しかし、軍離反者たちは声明を出し、「増援部隊の強化、アサドの悪党どもが用いる武器を受けて…、我々は自由のための闘争を継続するため、(ラスタン市からの)撤退を決定した」を発表した。

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シリア革命調整連合のムハンマド・ラッハール議長は『シャルク・アウサト』(10月2日付)に対して、革命暫定評議会とサラーフッディーン・アイユービー軍を発足、後者は先週から反体制武装闘争を開始したと述べた。

なお9月末に筆者がシリアのダマスカスで行った調査によると、シリア革命調整連合は地元調整委員会と対立している。またイスタンブールでの反体制勢力の会合やダマスカスでの国民民主変革諸勢力国民調整委員会の会合にも参加していない。

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政党法制定によって設置された政党問題委員会は11政党の申請書類の提出を受けた。同委員会メンバーのヤースィル・カルザリー書記が明らかにした。

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国民民主変革諸勢力国民調整委員会の総合調整役のハサン・アブドゥルアズィーム弁護士は『ハリージュ』(10月2日付)のインタビューに応え、自らが書記長を務めるアラブ社会主義連合民主党が政党法に従って政党申請を提出しないと述べた。

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カイロとモスクワのシリア大使館前でシリア人数十人が無期限の座り込みを開始し、ロシア政府によるアサド政権支持に抗議。

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作家でジャーナリストのイブラーヒーム・ジャビーン氏が10月2日、シリア・アラブ・テレビを辞職するとともに、ジャーナリスト連合、アラブ作家連合を退会。

また声明を出し、シリア・アラブ・テレビを「悪党の画面、殺戮・流血の道具」と酷評した。

反体制活動(弾圧)をめぐる動き

ヒムス県、ハマー県、イドリブ県各地では、軍・治安部隊による離反兵掃討作戦が続いた。

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イドリブ県では、軍・治安部隊がシャフシャブー山、ガザーラ村、シャフルナーズ村を戦車で攻撃し、離反兵の掃討をめざした。

SANA(10月3日付)は、共和国ムフティーのアフマド・ハッスーン師の息子サーリヤ・ハッスーン氏がイドリブ県サラーキブ市で武装集団に襲撃され、重傷を負い、サラーキブの病院に搬送されたと報じた。同氏はイドリブ県サラーキブの市立大学エブラ大学近くでアレッポ大学の歴史学の教師ムハンマド・ウマル氏とともに襲撃された。ウマル氏は死亡した。

シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市で数日前に逮捕された2人の遺体が家族に引き渡された。

SANA(10月3日付)は、イドリブ県ウービーン地域で「武装集団」が貨物列車を襲撃し、車掌、副車掌が負傷、車輌3輌が脱線した」と報じた。

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011
Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

SANA(10月3日付)は、イドリブ県バサーミス村で武装テロ集団が住民1人を誘拐、殺害した徒報じた。

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ヒムス県では、軍・治安部隊がヒムス県、ダイル・フール村を包囲。同村では若者たちが抵抗しているという。

シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ市で重傷を負っていた市民が死亡した。

『ザマーン・ワスル』(10月2日付)は、ブルハーン・ガルユーン氏の弟ムハンマド・ハイイル・ガルユーン氏と息子のムハーブ・ガルユーン氏がヒムス県で逮捕されたと報じた。

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SANA(10月3日付)は、10月1日、ハマー県カフルヌブーダ町で治安維持部隊が武装集団の襲撃を受け、5人が死亡、8人が負傷したと報じた。

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ラッカ県ではラッカ市の住宅地区で治安部隊が大規模な活動家・デモ参加者の逮捕・追跡作戦を展開。同市では早朝から市議会議事堂前で住民によるデモが行われ、抗議行動は2月23日通り、マンスール通りへと拡大したという。

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SANA(10月3日付)は、ダルアー県ジーザ町出身の指名手配者アフマド・ハーリド・イカーブ氏が、自らがオートバイで運んだ爆弾の爆発に巻き込まれて死亡したと報じた。

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3月にダマスカス県旧市街のハリーカ地区で独りシリア国旗を掲げて自由と民主主義を求め身柄拘束されていたムルーワ・グムヤーン女史の逮捕後の消息が不明に。同女史は活動家から「シリア革命の起爆剤」と讃えられている。

 

SANA, October 2, 2011
SANA, October 2, 2011

 

フェイスブックによる反体制デモの呼びかけ

『ドゥンヤー・ワタン』(10月2日付)は、フェイスブックで「シリア大学インティファーダ」が呼びかけられたことを受け、治安当局は各地の大学前で厳戒態勢を敷き、学生たちの取り調べを強化している、と報じた。

なお「シリア大学インティファーダ」の呼びかけに応じたかたちでの大学生による抗議行動が行われたとの信頼できる報道は今のこところない。

Akhbar al-Sharq, October 2, 2011
Akhbar al-Sharq, October 2, 2011

諸外国の動き

ニコラ・サルコジ仏大統領の妻カーラ・ブルーニ氏は世界的な心理アナリストのラファー・ナーシド女史の釈放を求める。

AFP, October 2, 2011、Akhbar al-Sharq, October 2, 2011, October 4, 2011、Aljazeera.net, October 2, 2011、AP, October 2, 2011、Dunya al-Watan, October 2, 2011、al-Hayat, October 3, 2011, October 4, 2011, October 6, 2011、al-Khalij, October 2, 2011、Kull-na Shuraka’, October 2, 2011、SANA, October 3, 2011、al-Sharq al-Awsat, October 2, 2011、Zamān al-Wasl, October 2, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア軍がラスタン市を完全制圧するなか、英・仏・独・ポルトガルがシリアに対する安保理決議案の修正案を作成(2011年10月1日)

ラスタン市制圧

シリア軍は昨日、ヒムス県ラスタン市のほぼ全土を制圧した。同地では軍が、離反兵・武装集団と5日にわたって戦闘を行ってきた。

SANA, October 1, 2011
SANA, October 1, 2011

SANA(10月2日付)は、軍・治安部隊が「武装テロ集団」を掃討し、ラスタン市を制圧し、同市は平静を取り戻した、と報じた。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、シリア軍はラスタン市の約80%を制圧。また同氏によると、ラスタン市(ダマスカス北180キロに位置)との連絡は困難になっており、早朝、同市から避難してきた住民の一人によると、夜中に激しい銃声があったという。

その他の反体制運動弾圧をめぐる動き

シリア人権監視団によると、10月1日の死者は3人、これにより9月30日(金曜日)以降の死者数は22人にのぼった。

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ヒムス県タルビーサ市では、9月30日(金曜日)に殺害された青年の遺体が家族に引き渡された。

空軍情報部はヒムス市ハーリディーヤ地区で反体制活動家のマンスール・アタースィー氏を逮捕した。同氏は国民民主変革諸勢力国民調整委員会のメンバー。

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ダマスカス郊外県では、ハラスター市で9月30日(金曜日)の軍・治安部隊の逮捕・追跡作戦で重傷を負っていた青年1人が死亡した。

またシリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県のクドスィーヤー市で青年1人が死亡した。同青年は金曜日のデモで重傷を負っていた。

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SANA(10月2日付)は、ダマスカス県カダム区で武装テロ集団が市民4人を殺害した、と報じた。

Facebook
Facebook

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SANA(10月2日付)は、ダイル・ザウル県ブーカマール市で爆発物を発見、解除したと報じた。

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フェイスブックの「シリア革命2011」は「ラスタン救済の土曜日」と銘打って反体制抗議行動を呼びかけなかったが、デモは発生しなかった。

反体制勢力の動き

イスタンブールでシリア国民評議会のもとで運動統一をめざす反体制勢力による会合(9月30日開催)が続いた。

地元調整諸委員会によると、「対等な参加を原則とする国民評議会の結成」と「2日以内に公式声明によって発足を宣言すること」に合意した、という。

また地元調整諸委員会によると、この会合には、ダマスカス国民民主宣言、シリア・ムスリム同胞団、シリア国民評議会暫定執行委員会、クルド民族主義諸政党、アッシリア民主連合、シリア革命総合委員会、地元調整諸委員会、シリア革命最高評議会、そしてブルハーン・ガルユーン氏らが参加した。

出席者の一人でシリア国民評議会メンバーのハーリド・ハウジャ氏によると、この会合後にシリア国民評議会議長、各分科会の委員長が選出される。

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国民民主諸委員会国民調整委員会はダマスカス県内で会合を開き、執行部メンバー24人を選出した。

委員会はこの24人をシリア国民評議会に提示し、参加の可否を問う、という。

24人のうち13人が反体制政党の代表者、5人が調整諸委員会の代表者、5人が無所属活動家、1人が総合調整役。

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在米人権調整事務局のヒシャーム・ナッジャール氏は声明を出し、アサド政権がロシア人技術者を暗殺し、その責任を反体制勢力に帰せることで、ロシア政府の支持を確固たるものにしようとしていると述べた。

なお1970年代末から1980年代初めにかけてのシリア・ムスリム同胞団とハーフィズ・アサド前政権の対決時にも、ロシア人技術者が前者の「テロ」の標的となっている。

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政権を離反したハマー市のアドナーン・バックール前検事総長は、アラビーア(10月1日付)で、各国大使館に対して、デモ参加者を保護・支援するよう呼びかけた。

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「アフバール・シャルク」(10月1日付)は、「(リフアト・アサド副大統領は)1982年のハマー市でのシリア・ムスリム同胞団に対する掃討作戦(ハマー暴動、ハマー虐殺)の第一の責任者だ」と『シュピーゲル』紙(2011年6月)に対して述べたアブドゥルハリーム・ハッダーム前大統領の発言に対して、リフアト・アサド前副大統領はフランス司法当局に対して名誉毀損で訴えを起こした、と報じた。

R・アサド前大統領は反体制勢力内に身を置くが、この動きは、B・アサド政権のデモ弾圧への非難を強めていたハッダーム副大統領を貶める効果を持つと思われる。

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シリア人権監視団は、4ヵ月前に逮捕されて以降消息不明となっているバーニヤース市の活動家アナス・シャグリー氏(23歳)の安否に関して「深い懸念」を表明した。

同氏は3月半ば以来、反体制運動を指導し、バーニヤース市民に「恐怖の壁を打ち破れ」と呼びかけてきた。

諸外国の動き

英仏独ポルトガルはシリアに対する安保理決議案の修正案を作成。

ロシアと中国が制裁決議採択に対して拒否権の発動も辞さない態度を示すなか、4カ国は態度を軟化させ、「制裁」という文言を削除し、「明確な措置」とトーンダウンした。

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在シリア米大使館は声明を出し、ロバート・フォード米大使の車列が市民に襲撃された際、子供をひいて、その場から逃げ去ったとの一部報道が事実無根と述べた。

APF, October 1, 2011、Akhbar al-Sharq, October 1, 2011、AKI, September 30, 2011、CNN, October 1, 2011、al-Hayat, October 2, 2011, October 3, 2011、Kull-na Shuraka’, September 30, 2011,
October 1, 2011、Reuters, October 1, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

国連安保理での対シリア決議に関する審議がロシア・西側諸国間の対立にもかかわらず採決に向けて進行、各地で数万人が金曜礼拝後の反体制デモに参加(2011年9月30日)

離反兵との戦闘

ヒムス県ラスタン市での軍・治安部隊と離反兵との戦闘が引き続き行われ、シリア人権監視団によると、約250輌の戦車が激しい砲撃を行い、市内の複数の地区で貯水場、発電所などが破壊された。

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ハマー県カフルズィーター市で軍・治安部隊と離反兵が衝突、複数の活動家、目撃者によると、昨日のハマー市での戦闘で少なくとも11人が死亡した。シリア人権監視団によると、11人の内訳は民間人が5人、軍・治安部隊兵士が6人。

反体制デモをめぐる動き

数万人がヒムス県、イドリブ県、ダマスカス郊外県、ダルアー県、ハマー県各地で金曜礼拝後にデモを行い、軍・治安部隊が発砲、数十人が死傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市シャンマース地域などで金曜礼拝後のデモで少女1人を含む6人が射殺された。また同市複数の地区で19人が負傷した。

またシリア人権監視団によると、ラスタン市では子供1人を含む2人が殺害された

一方、SANA(10月1日付)は、ラスタン市で「武装テロ集団」が士官2人を含む兵士7人を殺害し、タッルカラフ市でも治安維持部隊兵士1人を殺害したと報じた。またヒムス県、イドリブ県で10人が「武装テロ集団」の襲撃によって死亡したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によるとサラーキブ市で1人が殺害された。

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SANA(10月1日付)はダマスカス郊外県ドゥーマー市で爆発物処理を行っていた兵士6人が爆発に巻き込まれ、3人が死亡したと報じた。

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SANA(10月1日付)は、ダルアー県ダルアー市ウマリー・モスク南の農地で12キロの爆発物が発見され、除去されたと報じた。またウマリー・モスク近くの別の場所でも爆発物が発見された。

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SANA(10月1日付)は、ハマー県ハマー市カフルズィーター地区で爆発物処理を行っていた兵士が爆発に巻き込まれ、1人が死亡したと報じた。

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SANA(10月1日付)は、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市で爆発物が発見され、除去されたと報じた。

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デモに先立って、フェイスブックの「シリア革命2011」ページが「我らがシャームとイエメンのための勝利の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。

しかし、同ページが呼びかけた9月25日、27日、29日の抗議行動がいずれも不調に終わっていたこと、そして30日のデモが金曜日の礼拝後に一部の都市で行われたに過ぎないことから、インターネットやSNSによる動員がほぼ奏功していないことがわかる。

なお筆者がシリアで9月下旬に行った調査によると、これらのデモの多くは、数十人規模に過ぎず、また30分程度、長くて1時間弱で解散している、という。

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フェイスブック上で「シリア大学インティファーダ」というページが立ち上げられ、大学の新学期が始まる10月2日(以降)、各大学での反体制デモを呼びかけた。http://www.facebook.com/Syrian.Revolution?ref=ts#!/revelutionofuniversity

反体制勢力の動き

アラビーヤ(9月30日付)のインタビュー番組でアーリフ・ダリーラ氏は、反体制勢力が武装闘争を行わないとしたうえで、宗派間対立の激化の懸念を否定した。

またアサド政権に関しては、その唯一のビジョンが支配の維持と国民の略奪にあると批判した。

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在米の反体制活動家のラドワーン・ズィヤーダ氏はUP(9月30日付)の取材に対して、外国の干渉を呼び込もうとしているのは、反体制勢力ではなく、野蛮な弾圧を続けるアサド政権である、と述べた。

ズィヤーダ氏は反体制運動開始当初から外国による干渉を再三にわたって求めてきたが、反体制勢力の多くが外国の干渉に異議を唱えるなか、彼のこの発言はこれまでの姿勢の責任をアサド政権に押しつける動きとも解釈できる。

諸外国の動き

シリア政府による先週の輸入規制措置を受けて、トルコの経済大臣は「300,000,000ドルもの貿易規模を持つトルコは、指摘されているような影響を受けないだろう。しかし、シリアが負わねばならない潜在的負担は、シリアの経済を完全に転覆させることになろう」と述べ、脅迫した。

一方、トルコ外務省は、同国が、反体制運動収束を支援する代わりに、バッシャール・アサド政権にシリア・ムスリム同胞団の入閣を提案したとの一部報道を強く否定した。

トルコ外務省報道官は「これらの言い分は、現実と何ら関係ない」と述べた。

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国連の安保理での対シリア決議に関する審議は、ロシアと西側諸国に対立にもかかわらず採決に向けて議事が進行、採決は10月4日(火曜日)に行われる見込みとなった。

決議採択に関して、西側諸国は、BRICS諸国、とりわけブラジル、インド、南アフリカの懐柔を試みているという。9月の議長国であるレバノンは採決そのものに反対の姿勢をとってきた。

インド代表は、木曜の晩、「決議案を採択するよう脅迫している国があるが、こうした戦略は有益ではない…。過激派による暴力行為の責任を追及すべきである」と述べた。

西側外交筋は、ロシアによる決議案反対の真の理由は、30日間の制裁猶予と武器禁輸に関する呼びかけに関する文言にある、と指摘した。

一方、米国はロバート・フォード大使襲撃未遂事件を受けるかたちで、安保理決議案にシリア政府に外交官の保護を遵守させるための文言追加を求めた。

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スイス経済省はシリアの石油部門への新規投資を禁止することを決定・発表し、制裁を強化した。

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NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務局長はブリュッセルの欧州政治研究センターで、シリアへの軍事介入の可能性を改めて否定。

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ウィリアム・ヘイグ英外務大臣は、反体制勢力にシリアの民主化とアサド大統領退任に向け糾合するよう呼びかけた。

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「アフバール・シャルク」(10月4日付)は、ヴェネズエラのウーゴ・チャベス大統領がアサド大統領と電話会談を行い、リビアのムアンマル・カッザーフィー大佐とともにアサド大統領を「兄弟」を評し、シリアの現政権への支持を改めて表明したと報じた。

そのほか

「アフバール・シャルク」(9月30日付)は西側諸国の経済制裁とシリア政府による輸入禁止措置がシリア経済に及ぼす影響に関して予測。

同記事は、経済学者のフサイン・アンマーシュ氏のアラビーヤ・ネットでの発言をもとに、この二つの措置によって外国との取引が事実上不可能になったとしたうえで、複数の経済アナリストが、これによってシリアの物価が15~20%上昇すると予測していると指摘した。

また経済学者のナビール・スッカル氏の分析をもとに、この措置によって打撃を受けるのが、シリア政府でなく、一般の市民であると指摘した。

一方、西側の石油部門への制裁に関しては、石油輸出による収入が70~80%に落ち込むだろうとのアンマーシュ氏の推計を紹介した。

AFP, September 30, 2011、Alarabia.net, September 30, 2011、Akhbar al-Sharq, September 30, 2011, October 1, 2011, October 4, 2011、al-Hayat, October 1, 2011、Kull-na Shuraka’, September 30, 2011、Reuters, September 30, 2011、SANA, October 1, 2011、UP, September 30, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス県で駐シリア米大使の車列が襲撃される、国連安保理の西側諸国はシリア政府非難決議の原案を緩和することで妥協点を模索するも米国は関心を示さず(2011年9月29日)

米大使襲撃

ロバート・フォード駐シリア米大使が乗った車列がダマスカス県内にある反体制活動家のハサン・アブブドゥルアズィーム弁護士(国民民主諸勢力国民調整委員会代表)の事務所を訪問した際、市民の襲撃を受ける。http://www.youtube.com/watch?v=3PzqdON1_eI

http://www.youtube.com/watch?v=3PzqdON1_eI

Kull-na Shurakā’, September 29, 2011
Kull-na Shuraka’, September 29, 2011

ラジャー・ナースィル弁護士はAKI(9月29日付)に対して、数百人の市民、治安要員、シャッビーハが事務所周辺を包囲しており、あたかも明確な襲撃命令を受けているかのようだった、と述べた。

米大使が反体制勢力指導者らと会談を続けるなか、西側消息筋によると、シリア政府は米大使「追放を検討」しているという。

またSANA(9月30日付)は、外務省筋が、「暴力の助長に関与」していると非難したと報じた。

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なおAKI(9月29日付)によると、国民民主諸勢力国民調整委員会は、米国だけでなく、スペイン、トルコの外交団の訪問も受けているという。

離反兵掃討作戦続く

シリア軍部隊はヒムス県ラスタン市とタルビーサ市での攻撃を拡大した。

複数の活動家、住民によると、約200輌の戦車が昨日、ラスタンに新たに向かう一方、タルビーサは、武装部隊と民間人への発砲を拒否して離反した兵士との間の戦闘のなかで激しい砲撃に曝された。

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ラスタン市では多くの犠牲者が出て、その数は3日前の戦闘開始以来27人にのぼった。

地元調整委員会によると、ラスタン市での犠牲者のうち、2人が離反兵、それ以外が住民だと発表した。

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タルビーサ市では、複数の目撃者によると、サウラ通り、ブサンクー通りで空爆により火災が発生。複数の住居が完全に破壊。貯水槽などが標的となり、ライフラインが寸断。

その他の反体制運動をめぐる動き

イドリブ県のマアッラト・ヌウマーン市で生徒たちがデモを行い、シャッビーハや軍・治安部隊の弾圧に曝された。

一方、SANA(9月30日付)は、マアッラト・ヌウマーン市北の国際幹線道路沿いのハーン・スブル村で、「武装テロ集団」がムハンマド・アブドゥルアズィーズ・ダフルージュくんを殺害したと報じた。

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SANA(9月30日付)は、「武装テロ集団」のメンバーの一人、ビラール・ハッスーン氏が、シリア・アラブ・テレビでヒムス市国立病院のハサン・イード外科部長暗殺や軍・民間人への発砲を計画、実行したと証言したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、9月30日、10月1日の2日間の予定でイスタンブールで非公式会合を開くと発表した。

同報道官によると、会合には、シリア・ムスリム同胞団、ダマスカス国民民主変革宣言、ブルハーン・ガルユーン氏、クルド民族主義諸政党、国民民主変革諸勢力国民調整委員会などが参加し、シリア国民評議会のメンバーを最終確定し、諸委員会を設置するという。

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ミシェル・キールー氏は国民民主諸勢力国民調整委員会に参加する政党・政治組織、活動家がシリア国民評議会に参加する意思がないことを明らかにした。

その理由としてキールー氏は「国民評議会に参加した反体制活動家がシリア国内の危機解決のため外国の干渉を指示している」ためと述べ、「これに対して、国内の反体制勢力はこのような介入に反対している」と明言した。

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SANA, September 29, 2011
SANA, September 29, 2011

AKI(9月29日付)は、シリア人権協会のファーイズ・ファウワーズ所長が、ロシア上院の使節団との会談に関して、自身が国民民主諸勢力国民調整委員会を代表していないことを明らかにしたうえで、個人の見解として、「シリア革命の根本に持てる者と持たざる者の亀裂の拡大」という原因があることを説明したと語ったと報じた。

アサド政権の動き

『ダマス・ポスト』(9月29日付)は、シリア政府の複数の高官が近く発足予定の憲法改正委員会に反体制勢力のメンバーが参加する見込み、だと報じた。

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タルトゥース市で市民数十万人が参加し、全長2.3キロの巨大なシリア国旗を掲揚し、アサド大統領による改革路線支持、外国の干渉拒否を訴えた。

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シリア高官は、6月以来、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相が、破壊行動停止への協力の条件として、シリア・ムスリム同胞団に主要閣僚ポスト四つを与えるよう求めてきたが、アサド大統領はこの提案を拒否した」ことを明らかにした。

シリア高官によると、8月9日、アフメト・ダウトオール外務大臣はシリア側にこの提案を行った、という。

SANA, September 29, 2011
SANA, September 29, 2011

諸外国の動き

国連安保理メンバーの西側諸国は、シリア政府を非難する声明案において国際刑事裁判所に関する文言を削除する一方、制裁発動への猶予を15日から30日に延ばすことで、妥協点を模索した。

この修正案に関して、ブラジルが支持する意向を示した。

一方、米国は西側の決議案に関して「歯の抜けた弱い」内容とみなし、採択に向けた動きに参加しなかった。

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レバノンのウマル・カラーミー元首相がシリアを訪問し、アサド大統領と会談。

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ロイター通信(9月29日付)は、レバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリドに避難するシリア人たちが、「体制が打倒されるまで戻ることはできない」と述べるとともに、シリアによるレバノン主権侵害が続くなかで自らの身の安全も保障されていないと語ったと報じた。

同報道によると避難民たちは地元小学校に仮住まいをして、地元NPOの支援を受けているという。

ただし本ウェブサイト作成者が9月下旬に行った調査によると、ワーディー・ハーリドに滞在するシリア人のほとんどは半定住労働者、ないしは季節労働者であり、また同村は反シリアのムスタクバル潮流が有力だという。

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レバノンのベカーア県ヒルミル郡ダイル・アシャーイル村で、たばこ、アルコール類をシリア国内密輸しようとしたシリア軍兵士を逮捕。

AFP, September 29, 2011、Akhbar al-Sharq, September 29, 2011、AKI, September 29, 2011、Damas Post, September 29, 2011、al-Hayat, September 30, 2011、Kull-na Shuraka’, September 29, 2011, September 30,
2011、Reuters, September 29, 2011、SANA, September 30, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

アサド大統領が政令を発し選挙法に基づく「選挙最高委員会」を新設、国連安保理ではシリアに対する決議をめぐって西側諸国・ロシア間で駆け引きが行われる(2011年9月28日)

ヒムス市での暗殺

シリア人権監視団によると、何者かが科学技術技師のアブドゥルカリーム・ハリール氏をヒムス市で暗殺した。

またSANA(9月29日付)は、ヒムス市にあるバアス大学に勤める同氏が「妻を職場に送る途中、武装テロ集団」に撃たれたと報じた。

Kull-na Shurakā, September 28, 2011
Kull-na Shuraka, September 28, 2011

シリア人権監視団によると、ハリール氏が暗殺される前日(27日)にもヒムスの反体制指導者2人が何者かに暗殺された。暗殺されたのは、バアス大学のナーイル・ダヒール理学部長、同大学建築工学部のムハンアド・アリー・アキール教授。

またヒムス市の病院のフサイン・イード外科医もヒムス市で27日に暗殺されたという。

複数の活動家によると、ハリール氏、イード外科医はいずれもアラウィー派、アキール氏はシーア派、ダヒール氏はキリスト教徒で、バッシャール・アサド政権がヒムス市内で宗派主義対立を助長するために標的としたと断じているが、真相は定かでない。

事実、シリア人権監視団は、アサド政権に近い技術者たちの暗殺を相次いで批判するとともに、ヒムス市住民に対して、「これらの暗殺にかかわった者」をつきとめるとともに、暗殺を非難し、暗殺をはじめとする暴力行為を控えるよう呼びかけ、反体制勢力のなかに暴力行為を行っている者がいることを暗に認めてしまった。

離反兵の掃討

シリア人権監視団によると、ヒムス県ラスタン市での離反兵と軍・治安部隊の戦闘で離反兵3人が殺害された。また士官のアフマド・ハラフも重傷を負い死亡した。

ラスタン市では、軍・治安部隊による離反兵の逮捕・掃討作戦が続いている。

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シリア革命調整連合は、ダイル・ザウル県で、離反兵が「ウマル・ブン・ハッターブ大隊」を結成し、軍・治安部隊、シャビーハと交戦したことを明らかにした。

その他の反体制運動をめぐる動き

軍・武装部隊による各地での逮捕・掃討作戦で、少なくとも9人が死亡した。犠牲者の多くはラスタンで殺害された。

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複数の目撃者によると、軍・治安部隊のバス10台がダマスカス県カダム区に進入し、逮捕・追跡作戦を行った。

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SANA(9月29日付)は、ヒムス市バイヤーダ地区でクビが切り落とされたアブドゥッラフマーン・マグリビー氏の遺体が発見されたと報じた。

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SANA(9月29日付)は、ハマー県ハマー市タアーウニーヤ地区でタイスィール・ウクラ大佐が武装テロ集団によって撃たれて戦士した、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(9月28日付)は、バースィル・サイード・マーニウ弁護士(弁護士組合ダマスカス支部)が、9月10日軍事裁判所に起訴されたと報じた。容疑はマーヒル・アサド大佐誘拐未遂。

マーニウ弁護士は7月4日にダマスカス県内の事務所で身柄拘束されていた。

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イスラーム無所属民主潮流は声明を出し、イスタンブールの会合には国内で活動する自分たち自身に加えて、ダマスカス国民民主宣言(シリア民主人民党、イスラーム無所属民主潮流、クルド民族主義政党5党、アッシリア変革機構、労働者党、リベラル・左派・世俗主義活動家)、シリア・ムスリム同胞団、国民行動委員会、在外反体制勢力諸会議代表、調整諸委員会、革命調整諸連合、革命自由運動家、シリア革命総合委員会、シリア革命最高評議会などが参加していると述べた。

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は2011年政令第374号を発し、選挙法に基づき「選挙最高委員会」を設置した。大統領府声明で発表された。

委員会メンバーはハラフ・アッザーウィー(控訴裁判所顧問)、ムハンマド・ハイダル・ジャッディー(同左)、アブドゥルファッターフ・イブラーヒーム(同左)、ムハンマド・アニース・スライマーン(同左)、フサナー・アスワド(同左)。また以下5人をメンバー候補とした。アントワーン・フィールー(控訴裁判所顧問)、アフマド・アルムーシュ(同左)、アブドゥー・シャフラー(同左)、ヒシャーム・シャッアール(同左)、ヒシャーム・ザーザー(同左)。

これを受け、選挙最高委員会がダマスカス県の控訴裁判所で第1回会合を開き、各選挙区の分科会を設置、そのメンバーを任命する。各分科会は3名からなり、検事、弁護市からなる。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

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レバノンのサリーム・フッス元首相がシリアを訪問し、アサド大統領と会談。シリア国内情勢について意見交換。アサド大統領は「おかげさまで痛ましい事件は終わった。事件に遭ったシリアの各都市は完全に安定を取り戻した」と述べた。

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ブサイナ・シャアバーンは、BBC(9月26日付)のインタビューに応え、アサド大統領が憲法改正委員会の設置を準備していると述べた。

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ムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣は、輸入規制に関して、一部の生活必需品を除外する可能性があると述べた。

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ワリード・ムアッリム外務大臣は国連総会出席のために訪問中のワシントンD.C.でがベネズエラ、パキスタン、ベラルーシ、マレーシアの外相と相次いで会談。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

諸外国の動き

国連安保理では、シリアに対する決議をめぐって、西側諸国とロシアの駆け引きが行われた。

西側消息筋によると、ロシアの国連代表は英国代表に対して、西側が決議案を公式発表する前に内容の検討を行うことを求める一方、西側に先んじてロシアの決議案を公式発表し、同案の採決に持ち込もうとしているという。

『ハヤート』(9月29日付)は西側およびロシアの決議案をそれぞれ入手、それによると西側の決議案は、シリア政府による弾圧を「人権侵害」と断じ、即時暴力停止を求めている。またシリア政府が2週間以内に弾圧を停止せず、また真摯な改革措置を講じなければ、制裁を科すとして、制裁発動に猶予を設けている。また人権侵害に関与している関係者の処罰、国際人権監視団と国連人権理事会の真相調査委員会の受け入れを求めている。またシリア政府の弾圧に関して「国際刑事裁判所に起訴されねばならない」と指摘し、シリア国民自身の指導のもとに包括的な政治プロセスを開始し、国民の要求を実現するよう呼びかけている。

これに対して、ロシアの決議案は、シリア政府と反体制運動双方の暴力停止を求めるとともに、アラブ連盟に対して当事者間の政治対話に向けた努力を行うよう呼びかけている。またシリアの反体制勢力に対しては過激派を排除するよう要求、シリアの危機解決が「平和的で、外国の干渉なし」に行われるよう求めている。

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『シャルク・アウサト』(9月28日付)は、レバノンの北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド出身の青年2人が失踪したと報じた。家族は何者かが2人を国境地帯で誘拐し、シリアのシャッビーハに引き渡したと疑っているという。

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英国大使はアサド政権は存続のためなら何でもすると述べた。

AFP, September 28, 2011、Akhbar al-Sharq, October 2, 2011、al-Hayat, September 29, 2011、Kull-na Shuraka’, September 28, 2011、Reuters, September 28、SANA, September 29, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 28, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣と潘国連事務総長との会談は「きわめて悪かった」、シリア国内では軍・武装部隊が戦車やヘリコプターなどを用いて離反兵の大規模逮捕・掃討作戦を開始(2011年9月27日)

反体制運動をめぐる動き

一般市民による反体制デモがバッシャール・アサド政権の弾圧によって低迷し、離反兵の活動が顕在化するなか、複数の住民・活動家や地元調整諸委員会によると、各地で軍・武装部隊が戦車、ヘリコプターなどを投入し、離反兵の逮捕・掃討作戦を大規模に展開し、複数の死傷者が出た。

Youtube
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市(人口40,000人)で早朝から、軍・武装部隊が大規模な作戦を開始、少なくとも20人が負傷し、うち7人が重傷だという。

複数の住民によると、治安部隊は戦車、ヘリコプターが砲撃を行うなかで、離反兵の追跡・掃討を行った。

また数十台の車輌が市内に進入したとの目撃情報もある。

こうしたなかデモ参加者への発砲命令を拒否した離反兵数百人が「ハーリド・ブン・ワーリド大隊」の名で反乱軍を結成し、インターネット上で声明を読み上げ、「ラスタンはシリア軍の墓場になるだろう」と連呼した(http://www.youtube.com/watch?v=UAVKpd8AnXM、9月26日付)。

同大隊はアブドゥッラフマーン・シャイフ少佐が指揮しており、戦車数輌を保有しているという。

またラスタン市では、離反兵のなかでもっとも階級が高いリヤード・アスアド大佐も活動を行っているという。

http://www.youtube.com/watch?v=UAVKpd8AnXM

ヒムス市では、シリア人権監視団によると、バイヤーダ地区で離反兵が装甲車や戦車を破壊、その後軍・治安部隊が攻撃を行い、少なくとも6人の民間人を殺害、7人が負傷した。

シリア人権監視団によると、ティールマアッラ村、タルビーサ市でも軍・治安部隊が展開し、発砲した。

SANA(9月28日付)は、ヒムス市ワアル地区で大量の武器弾薬を押収したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ザーウィヤ山のカフルルーマー村で民間人2人が殺害された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で治安部隊の発砲で民間人1人が殺害、5人が負傷した。まトゥスィール村でも軍・武装部隊が展開し、発砲した。

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アレッポ県では、地元調整諸委員会によると、タッル・リフアトに「治安部隊とシャッビーハの車」が進入した。

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ラタキア県では、地元調整諸委員会によると、ラタキア市とジャブラ市で生徒数十人が反体制デモを行った。

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ダイル・ザウル県では、地元調整諸委員会によると、生徒数十人が体制打倒を求めるデモを行った。

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SANA(9月28日付)は、ハマー県サラミーヤ地域のバルドゥーナ村で武装テロ集団が役場を襲撃し、職員1人が死亡したと報じた。

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Kull-na Shuraka', September 28, 2011
Kull-na Shuraka’, September 28, 2011

ダマスカス民主国民変革宣言が声明を出し、反体制勢力の統合に反対しているとの一部非難に反論した。

同声明によると、反体制勢力の統合を求めるシリア国民の要求を「当然の要求」としたうえで、国内外の反体制勢力を区別し、在外の反体制勢力の意図を疑問視する風潮を非難した。

そのうえで反体制勢力の統合が「共通の政治的ビジョン」に基づいて行われるべきと述べ、このビジョンが現段階においては、革命に対する姿勢、およびその目的実現に奉仕する活動に重点を置くべきと主張した。

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シリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、シリア国内での平和的革命に向けたあらゆる努力を支援することを表明した。

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シリア国民評議会メンバーのウサーマ・ムナッジド氏は『ハヤート』(9月28日付)に対して、国連総会出席のため訪米中のレジェップ・タイイップ・エルドアン・トルコ首相、アフメト・ダウトオール外務大臣、AKP代表らと会談したと述べた。

同氏によると、会談ではアサド政権による反体制運動弾圧をめぐる「トルコの新たな役割」について話し合われ、そのなかでトルコ側は同問題に粛々と対処し、すべての選択肢を検討していることを明らかにしたという。

また近くトルコが経済制裁を宣言するとの意思を示したことも明らかにした。

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9月18日に複数の地元活動家によって結成された「ガド」(明日)同盟は声明を出し、軍・治安部隊による弾圧を改めて強く非難した。

アサド政権の動き

ワリード・ムアッリム外務大臣は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、イランのアリー・アクバル・サーリヒー外務大臣、ブラジルのアントニ・パトリアタ外務大臣、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、潘基文国連事務総長と相次いで会談した。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

このうち潘国連事務総長との会談は、複数の消息筋は、「きわめて悪かった」と評した。

同消息筋によると、会談では「激しいやりとりが行われ、事務総長は会談の雰囲気、ムアッリムの言葉に激しい怒りを示した」という。またムアッリム外務大臣が「外交的でない言葉」を発したという。

諸外国の動き

国連安保理が会合を開き、パレスチナ問題を含む中東問題に関する審議が行われた。

『ハヤート』(9月28日付)によると、同会合において、フランスはシリア情勢に関するあらたな決議案を回付したという。

新決議案は「即時の制裁発動を定めていないが、2週間後にそうした措置を講じるとの警告が盛り込まれている」という。

複数の消息筋は、「2週間という事件的猶予は、シリア政府に改革と殺戮停止への真摯な姿勢を示す機会を与えるためのもの」だとしたうえで、ロシアは即時の制裁が盛り込まれていなければ反対はしないと楽観視した。

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国連安保理会合に出席したレバノンのナジーブ・ミーカーティー首相は会談後の記者団との懇談のなかで「レバノンの特殊性を踏まえると、我々は対シリア制裁決議を支持することはできない。なぜなら我々は制裁を実行できないからだ」と述べた。

またレバノンの銀行部門に関して、「国際社会の影響は受けないし、国際社会の要求に反対することもないだろう」と述べたが、ヒラリー・クリントン米国務長官との会談では、「レバノンの銀行におけるシリア人の預金」については議論されなかったと指摘した。

SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011
SANA, September 28, 2011

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は国連総会で演説、改めて「姉妹国シリアで孤立する国民に対して行われている軍事攻撃を非難」し、「アラブ連盟の決定に従い、攻撃を即時停止し、シリア国民の合法的要求に応えるための包括的改革を遅延なく実施する」よう呼びかけた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はロシア24チャンネルのインタビューに答え、西側諸国のシリアに対する姿勢を「安易だが安全でない戦略」と形容し、バッシャール・アサド大統領退任要求が「予測できない厳しい結果をもたらしかねない挑発」と非難し、国連安保理での対シリア制裁決議を支持しないと改めて述べた。

その一方で「再三にわたる提案にもかかわらず、シリア政府は外国メディアの取材をなかなか解禁せず、多いに曖昧な点が残る」と述べ、アサド政権の姿勢も批判した。

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米国務省マーク・トナー副報道官は、「過去数ヶ月の暴力のレベルを踏まえると、我々が今…反体制勢力がシリア軍に対して自衛のために武器を用い始めているとしても驚くべきことではない」と述べ、一般市民による反体制デモの収束に伴い、離反兵による散発的反乱が反体制運動の主流になりつつある現状を暗に黙認した。

一方米国財務省は米国のNPOや一部金融機関に、シリアに対する「人道支援」と「シリアの民主主義」や「非営利プロジェクト」を支援する「サービス」を提供することを決定した。

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レバノンの軍事裁判所で、シリア人アブドゥッラー・イブラーヒーム・ダギール氏の「武器弾薬密輸」容疑に関する裁判が行われ、禁固6ヵ月の有罪判決が下された。

ダギール氏はバアス党員でトリポリのレバノン大学で歴史学を専攻、トリポリの下宿で武器弾薬を押収された。

ダギール氏は1,400ドル相当の弾薬を購入したことを認めたが、密輸容疑は否定した。

またダギール氏の代理人は、シリア国内での「革命」、暴動が続くなかで、自らの身の安全を恐れて武器・弾薬を所有していたと述べた。

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FIDHはシリアでの反体制抗議行動に対する弾圧を改めて非難した。

そのほか

CNN(9月27日付)がDemocracy Councilと合同でシリアで世論調査を行った。

同調査によると、86%がアサド政権のパフォーマンスを否定的に評価し、88.2%が現政権では国の問題を解決できないと考えている。また71.1%が反体制運動を前向きに評価し、消極的な評価をしたのは5.5%に過ぎず、88%がデモ参加者と共通の関心を持っている(share the protestors’ concerns)という。

さらに3分の2以上が「民主主義が他の政治体制よりも好ましい」と考えており、アサド政権の改革だけでは国民の怒りは収まらないと考えていると答えた。アサド政権の存続を望んでいるのは11.5%に過ぎず、87.9%がアサド政権による改革ではデモ参加者を満足させられず、81/7%が政権交代を望んでいるとの結果が出た。

シリアの反体制勢力はトルコのイスタンブールで「円卓会議」開催のための準備会合を27日から本格化させ、反体制勢力の統合をめざした。

複数の消息筋によると、準備会合にはシリア・ムスリム同胞団、アンタルヤ会議の使節団、シリア国民保湯議会メンバーなどが参加するという。

シリア革命総合委員会はワシントンDCで27日に記者会見を開き、民間人保護のための飛行禁止空域の設定への支持を表明、また国連の潘基文事務総長とバラク・オバマ米大統領に書簡を提出し、武器禁輸措置とシリア政府高官の資産凍結を求めた。

地元調整諸委員会などとともに国内で反体制デモを組織・指導していたはずのシリア革命総合委員会が米国で過激な発言を行ったことは、シリアの反体制運動が外国に扇動されているとのアサド政権の主張に説得力を与えてしまうことは必至である。

AFP, September 27, 2011、Akhbar al-Sharq, September 27, 2011, September 28, 2011、AKI, September 27, 2011、CNN, September 27, 2011、al-Hayat, September 28, 2011、Kull-na Shuraka’, September 27, 2011、Reuters, September
27, 2011、SANA, September 28, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ムアッリム外務大臣が国連総会での演説のなかで「国民を保護、治安・安全を維持し、外国の介入に対抗する」必要性を強調、一方ヒムス県ではバアス大学の関係者2名が暗殺される(2011年9月26日)

反体制運動弾圧

複数の活動家・目撃者によると、軍・治安部隊は、抗議行動と軍離反者を掃討するため、ヒムス市、ラスタン市、クサイル市、ダルアー県各都市、ダマスカス郊外県各都市、イドリブ県各都市などで引き続き作戦を行った。

またクサイル市とイドリブ県内では離反兵4人がシリア軍によって殺害された。

SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011

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ヒムス県では、SANA(9月27日付)は、何者かが、ヒムスのバアス大学理学部に所属するナーイル・ダヒール准将と、同工学部のムハンマド・アリー・アキール副学部長を暗殺したと報じた。シリア人権監視団も殺害の事実を発表した。

シリア人権監視団によると、アースィー川で、身元不明の遺体2体が発見された。またヒムス市では、バイヤーダ地区で何ものかがシャマカ家の男性2人を誘拐した、という。さらにヒムス再生諸委員会のマルワーン・マルイー委員長が誘拐未遂に遭い、銃で撃たれ負傷した。

SANA(9月27日付)は、ヒムス市ハーリディーヤ地区で、イスラエル製の武器、爆弾、最新の通信機器を積んだ自動車を摘発した、と報じた。

これに対して、ヒムス大学自由学生連合が声明を出し、アキール副学部長が治安部隊の発砲により射殺されたことを主張、ロシア上院使節団がヒムス市訪問時に面談し、同市の実情について説明したことが、暗殺の原因と推定した。

http://www.facebook.com/notes/اتحاد-الطلبة-الأحرار-جامعة-حمص/بيان-هام-بشأن-اغتيال-الدكاترة-في-حمص-بتاريخ-26-9/219612531432929

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イドリブ県では、複数の目撃者によると、カフルアミーム村、ライヤーン村、シャイフ・イドリース村に軍・治安部隊が突入し、少なくとも17人を逮捕した。

しかしSANA(9月27日付)は、イドリブ県で武装集団が、マイクロバスをハイジャックし、カフルルーマー村の農村開発プロジェクトに所属する14人を誘拐したと報じた。

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ダルアー県では、複数の目撃者によると、ダーイル町で、市議会議事堂が放火されたのち、激しい発砲があった、という。

地元調整諸委員会によると、ダーイル町では25日晩からの軍・治安部隊の掃討作戦で5人が負傷した。またサナマイン市にも軍・治安部隊が突入したという。

一方、地元調整諸委員会によると、ナマル町から戦車が撤退したが、検問所が3カ所残されているという。

SANA(9月27日付)は、ダルアー県のヨルダン国境近くのナスィーブ村の家で、当局が大量の武器弾薬を押収したと報じた。またダルアー市内のダルアー大学近くに設置されていた爆弾を当局が撤去したと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 26, 2011
Kull-na Shuraka’, September 26, 2011

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ハマー県では、地元調整諸委員会によると、ハラファーヤー市などで6人が殺害された。

反体制勢力の動き

国民民主諸勢力国民調整委員会の執行部はダマスカスで会合を開き、在外の反体制勢力などとの糾合について議論、ダマスカス民主国民宣言、イスラーム主義諸勢力との運動の統合をめざすための交渉を続けることで合意した。

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人民変革解放人民戦線の使節団がトルコ訪問を終えて、シリアに帰国。帰国直後に記者会見を行おうとしたが、会場を確保できずに中止となった。

これに関して、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首は、労働総同盟が当局の許可なく9月25日の記者会見会場を提供したためと述べた。

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反体制活動家でシリア国家建設潮流を発足したばかりのルワイユ・フサイン氏がモスクワ・ニュース(9月26日付)のインタビューに応えた。

このなかでルワイユ氏は、「政権と対決するため、単一の政治的局を作る必要などない。我々は自由と権利のために闘っている。それは政治生活の産物であり、おそらく国内の政治や市民生活にかかわる様々な問題が濃縮されるだろう…。つまりそれは多様性であって断片化ではない。活力を意味している」と述べた。

また反体制勢力が諸外国に使節団を送っていることに関して、仲介は中立的であるべきとしたうえで、ロシアやトルコの仲介に関して、その真意が計りかねるため、「きわめて慎重になっている」と述べ、あくまでも国内の当事者のみでの問題解決をめざす意向を示した。

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シリア革命総合委員会が米国ワシントンDCで記者会見を行うとのプレスリリースを出した。

アサド政権の動き

中東諸国訪問中のレバノンのマシュリク・キリスト教会合の使節団(ルーカー・フーリー司教代表)はシリアを訪問しバッシャール・アサド大統領と会談した。

大統領府声明によると、アサド大統領は会談で、宗教・宗派間の差別を拒否し、過激主義に反対するとの立場を明らかにした。

SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011
SANA, September 27, 2011

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ワリード・ムアッリム外務大臣は国連総会で演説し、シリアが国内で政治・経済・社会改革を行う必要があるとしつつ、「現下の政治的圧力のもと…、国内の諸要求は二義的なものとなり、最優先課題は外国の圧力への対抗」となっていると述べた。

また「現在シリアが直面しているのは、国民のニーズや要求が、シリア国民の願望や利益とまったく異なる目的で利用されているという事態であり、平和的なこれらの要求は、武装集団による内乱助長や治安悪化をエスカレートさせ、それが外国の介入の口実となっている」と述べ、シリアが自らの力で国民を保護、治安・安全を維持し、外国の介入に対抗する、との意思を示した。

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ジャーナリスト連合のイリヤース・ムラード総裁、同連合執行部メンバー、メディア機関の代表ら数十人がダマスカス空港街道沿いにあるドゥンヤー・チャンネルの本社前で集会を行い、外国メディアによる「煽動」に反対するプラカードを掲げ、西側諸国の経済制裁に関して「シリア国民の意見の表明や選択の権利を奪う敵対行為」と非難した。

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『スーリーユーン・ネット』(9月26日付)は、複数の消息筋の話として、副参謀長のバッサーム・ナジュムッディーン・アンターキーヤ中将がアサド政権に対するクーデタを画策したため、アースィフ・シャウカト副参謀長(中将)に暗殺された、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(9月26日付)は、シリア首脳に近い消息筋の話として、数日以内に憲法改正委員会が設置され、そのなかには複数の反体制活動家もメンバーとして参加すると報じた。

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AFP(9月26日付)は、ダマスカスの自動車ディーラーの話として、自動車等の輸入規制により、自動車の価格が高騰している、と報じた。

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内務省は9月26日付で「凶悪犯」による政党結成を禁じる決定(決定第1134号)を発した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は米国の国営ラジオとのインタビューで、「状況改善のために改革措置を講じる代わりに、アサドは自らの地位の保身を望み、より攻撃的、暴力的になった」と非難した。

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ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は、キリスト教徒などシリアのマイノリティ宗派はアサド政権が崩壊した後にイスラーム主義者が台頭することを懸念している、と述べた。

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フランス外務省報道官は、ダマスカス県旧市街での大使に対する政権支持者の暴行を強く非難した。

Kull-na Shurakā’, September 26, 2011
Kull-na Shuraka’, September 26, 2011

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米国務省高官は匿名を条件に、ヒラリー・クリントン米国務長官が、国連安保理での対シリア制裁決議採択に向けた支援を中国の楊潔チ外務大臣に求めたことを明らかにした。

AFP, September 26, 2011、Akhbar al-Sharq, September 26, 2011, September 27, 2011、al-Hayat, September 27, 2011、Kull-na Shuraka’, September 26, 2011, September 27,
2011, September 28, 2011, October 14, 2011、Sooryoon.net, September 26,
2011、SANA, September 27, 2011などをもとに作成。

 

(C)青山弘之All rights reserved.

シリア当局が原材料・穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制するなか、シリア青年議会の主催により全国でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始(2011年9月25日)

反体制デモ弾圧

シリア人権監視団によると、24日から25日にかけてヒムス県、ハマー県で治安部隊によって13人が殺害された(うち12人がヒムスで殺害)。

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍部隊はトルコ国境近くサルミーン市、ナイラブ村、クマイナース村で突入・逮捕を行い、大規模な治安回復作戦を実施した。

これに先立ち、ナイラブ軍事基地の兵士40人が離反した。

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ヒムス県では、ラスタン市、クサイル市で軍の増援部隊が派遣された。

また避難しようとする市民を阻止するかたちで対レバノン国境地域にも軍部隊が増強され、レバノンのベカーア県ヘルメル郡カーア村に接する国境の通行所近くまで軍が展開した。

ヒムス市ハドル地区で数日前に重傷を負った少年が死亡した。

また負傷した後に市内の病院に搬送され、そのまま失踪していた少年の遺体が遺族に引き渡された。

また同市では、シリア人権監視団によると、ヒムス国立病院のハサン・イード外科部長が自宅前で殺害された。シリア・アラブ・テレビは「武装テロ集団」が暗殺したと報じた。

タルビーサ市では数日前に逮捕されていた少年の遺体が遺族に引き渡された。

SANA(9月26日付)は、ヒムス県ジスル・タッル・シュール近くで大量の武器弾薬、爆発物を積んでいた車輌を摘発したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、ドゥーマー市に治安部隊が展開した。

また複数の目撃者によるとザアファル市に複数の戦車、兵員輸送車が進入した。タルビーサ市とラスタン市を結ぶ地点に位置する同市では2日前から抗議行動が発生したという。

またハラスター市で9月23日(金曜日)に逮捕された青年の遺体が家族に引き渡された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市中心のジスル・ミズラーブ近くで28人の男性が帰宅途中に治安部隊の無差別発砲で撃たれて死亡した。

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フェイスブックでは、夜にザイナブ・ヒスニーさんの拷問・殺害に抗議するデモが呼びかけられたが、これに呼応する動きはほとんど見られなかった。

反体制勢力の動き

国内で活動を続ける共産主義者統一国民委員会のカドリー・ジャミール代表は、『ハヤート』(9月26日付)に対して、今週末にモスクワを訪問する使節団(7人)発足の連絡調整が行われていると述べた。

モスクワでは、外務省、ロシア連邦議会(上下両院)を訪問するという。

「使節団が国内の反体制勢力のみに限定されている点が重要だ」という。

思想家・社会学者のタイイブ・ティーズィーニー氏によると、使節団には、ジャミール氏のほか、シリア民族社会党インティファーダ派のアリー・ハイダル党首、アーリフ・ダリーラ氏が含まれるという。

一方、サリーム・ハイルベク氏によると、ファーイズ・サーラ氏は参加を辞退した。

Kull-na Shurakā’, September 25, 2011
Kull-na Shuraka’, September 25, 2011

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共産主義者統一国民委員会とシリア民族社会党インティファーダ派によって構成される人民変革解放人民戦線は労働者総連合本部で記者会見を行い、9月23日にトルコのイスタンブールを同戦線の使節団が訪問し、トルコの左派系諸政党10党の代表と会談したことを明らかにした。

ジャミール氏はこの記者会見で、10月21日に、戦線発足を正式宣言し、メンバー構成などを発表すると述べた。

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『ダマス・ポスト』(9月25日付)など複数のメディアは、ロシア高官と反体制勢力との折衝において議論されている危機打開に向けた「ロシア解決案」において、ブルハーン・ガルユーン氏ないしはハイサム・マーリフ氏のいずれかを首班とする構想が浮上していると報じた。

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シリア・クルド青年調整連合はカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市などで反体制デモを呼びかけた。

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「シリア・クルド無所属活動家の声」を名乗るグループが声明を出し、内外の反体制勢力に糾合を呼びかけた。

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フェイスブックの「シリア革命2011」ページは、9月25日に「シリア殉教者の花ザイナブ・フスニー」、27日に「シャイフ・ナウワーフ・バシールへの忠誠」、そして29日に「怒りのラタキア」と銘打ってデモを呼びかけた。

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アサド政権の動き

『ジュムフーリーヤ』(9月25日付)は、ワシントン、パリ、ブリュッセルで、バッシャール・アサド政権使節団とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の使節団が秘密裏に会合を重ねている、としたうえで、イスラエルがシリアの現政権の存続を「戦略上、国益にかなっている」とみなしていると報じた。

しかし、同紙が入手したとされる報告書によると、両国の秘密裏の接触は、ナクバ記念日のパレスチナ人による越境デモを通じてアサド政権が発した「メッセージ」を受けるかたちで再開された、という。

その際、ネタニヤフ首相は、シリア国内での弾圧に対する非難に国際社会が翻弄されないことを接触再開の条件とし、第3の当事者として米国やフランスが加わった、という。

またフランスでの接触では、アサド政権に近いレバノン人が仲介に当たっているという。

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『ナハール』(9月25日付)は、アサド大統領がムハンマド・サルマーン元情報大臣との接触を開始したと報じたうえで、この動きが反体制派との(水面下の)対話の始まりになり得るとの評価を下した。

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『クドス・アラビー』(9月25日付)は、アサド政権が国民対話会合に国内の反体制勢力を参加させるべく折衝を行っていると報じた。

同報道によると、シリア共産党ファイサル派のフナイン・ニムル議員と経済学者のムニール・ハムシュ氏が、国民民主諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表と会談し、国民対話会合への参加を促した、という。

アサド政権は、同調整委員会が第2回大会(9月18日)で発表した声明内容において、外国の干渉と混乱が拒否されたことに満足しており、「三つのいいえ」を国民対話会合において審議する意向を示したという。

一方、アブドゥルアズィーム氏は、声明において提示した諸要求が満たされることを国民対話会合出席の条件とする構えを見せた、という。

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SANA(9月26日付)は、国連総会出席のためニューヨークを訪問中のワリード・ムアッリム外務大臣が、オマーン、スーダン、キューバ、ウクライナの外務大臣とそれぞれ会談した、と報じた。改革実施や国民対話への決意を伝えた。

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ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣はヒムス県のアブドゥッラッザーク・バラカート警察署長を解任し、アドナーン・マフムード警部補を後任に着任させた。

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SANA(9月26日付)は、シリア青年議会(旧青年慈善活動委員会、イーハーブ・ハーミド議長)の主催により25日から全国各地でシリア・アラブ共和国憲法をめぐる対話を行うための会合が開始されたと報じた。会合は22カ所で行われ、9月27日まで続く。

各地で行われた会合では、憲法改正、政党法や情報法の実施・尊重、複数政党制など多角的に議論が展開された。

SANA, September 25, 2011
SANA, September 25, 2011

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EUの追加制裁に備えるかたちでシリア政府が発表した自動車・装飾品などの輸入禁止措置に関して、ダマスカス県サブウ・バハラート地区で自動車業を営む商人は匿名を条件に国内のビジネス界で「ショック」を引き起こしたと述べ、さらなる損害を被るだろうと懸念する者も現れたと危機感をあらわにした。

彼はまた「取引はない。状況は悪い。商人やビジネスマンはキャッシュでもクレジットでも物が買えなくなってしまっている…。この措置(自動車などに対する輸入規制)は、状況をさらに悪化させ、不確実性を増大させるだけだ」と述べた。『ハヤート』(9月25日付)が報じた。

またロイター通信(9月25日付)は、ビジネスマンの話として、シリア当局は、原材料、穀物を除くほとんどの製品の輸入を規制したと報じた。

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『アフラーム』(9月25日付)はイラクの消息筋の話として、シリア当局がイラク軍に対イラク国境に位置するダイル・ザウル県へのブーカマール市での密入国阻止を目的とした軍事行動を許可したと報じる。

レバノンの動き

国連総会出席のために訪米中のレバノンのムハンマド・サファディー財務大臣は、ワシントンDCで、クリスティン・ラガードIMF専務理事、チャールズ・コリンズ米財務次官、サウジアラビアのイブラーヒーム・アッサーフ財務大臣らと相次いで会談した。

ラガードIMF専務理事との会談では、EUによる追加制裁(石油部門への新規投資禁止など)など西側諸国による対シリア制裁に関して意見が交わされ、そのなかでサファディー財務大臣は、「レバノンがシリアの”肺”のようにみなされることはレバノンにとって有害だ…。国際社会がシリアへの制裁を望むのであれば、レバノンは代償を払わねばならない…。レバノンの銀行は、国際社会に反することを行わないよう措置を講じてきた」と述べた。

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AFP(9月26日付)は、シリア国境に接するレバノンの北部県アッカール郡ブカイア村(ワーディー・ハーリドを包摂)の経済、シリアでの反体制デモに伴う混乱、経済制裁で打撃を被っていると報じた。

現地住民の話によると、レバノンでもっとも貧しい地域の一つであるブカイア村は、シリアと舗装されていない数十の道で結びついており、この道を通じて日々行われる日用雑貨やサービスなどの「違法」な取引によって生活が支えられていた。

しかし数ヶ月前に、シリア軍がこれらの通路を制圧して以降、密輸は不可能となった。

またシリアから毎日訪れていた顧客も姿を見せなくなっているという。

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レバノン北部県のアリーダム村住民は、アサド政権支持者が乗るバス2台のシリアからの入国を阻止した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はCNNのインタビューに応え、アサド大統領に向けて「あなたはこのような残酷な行為によっては権力の座にとどまることはできない。国民の要求に答えることはできない」と述べた。

また「この動きはもう少し続くだろうが、遅かれ早かれ収束する。人々はシリアでさまざまなことを決め、それらは行われるだろう。シリア国民は、エジプト、チュニジア、リビア同様自由を欲している…。独裁体制は炎上し、崩壊する」と述べた。

AFP, September 25, 2011、al-Ahram, September 25, 2011、Akhbar al-Sharq, September 25, 2011, September 26,
2011、Damas Post, September 25, 2011、al-Hayat, September 25, 2011, September 26, 2011、al-Jumhuriya, September 25, 2011、Kull-na Shuraka’, September 25, 2011, September 26,
2011、al-Nahar, September 25, 2011、al-Quds al-‘Arabi, September 25, 2011、Reuters, September 25, 2011、Syria News, September
25, 2011、SANA September 25, 2011, September 26, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

EUはシリアテル社を含む6社および2個人に対する追加制裁を承認、ニューヨーク訪問中のムアッリム外務大臣が、アルゼンチン、カザフ、レバノンの外相と会談(2011年9月24日)

諸外国の動き

反体制デモの動員力が減退するなか、EUはシリアに対する追加制裁の承認を正式に発表し、発動した。

第7弾にあたる今回の追加制裁では、バッシャール・アサド大統領のいとこラーミー・マフルーフ氏が所有するシリアテル(携帯電話会社)、シャーム・ホールディング(持ち株会社)、サルーフ社(シリアの軍事産業に投資しているとされる)を含む6社、そしてタイスィール・カラー・アウワード法務大臣、アドナーン・ハサン・マフムード情報大臣の2人が対象となった。

この追加制裁により、制裁対象となった個人・機関は合わせて56人、18社・機関となった。

なお、制裁リストへの追加に関して、アウワード法務大臣は「無差別逮捕・投獄にかかる政策・行為を支持した」こと、マフムード情報大臣はシリア政府の「情報政策」に寄与したことを理由としてあげられている。

だが、閣僚の日常の執務以外に制裁の根拠を示せないEUの姿勢には手詰まり感がある。

この追加制裁をめぐり、『ハヤート』(9月24日付)は、複数の商人や専門家の証言をもとに、アサド政権への影響を分析した。

それによると、これまでの制裁によってシリアの石油の輸出は事実上不可能となり、アサド政権の収入が大幅減となってはいるが、現在までのところ支配力を脅かしてはいないという。

シリア政府はこれまでロシア、中国、インドなどに石油輸出先を転じようとしているが、現在までのところこれらの国々からの需要は高くない、という。

ある商人は「中国人やインド人に関して言うと…、もちろんいくらかは購入しようとしている。しかし経済的な実現性はなく、また購入に伴うビジネス上のリスクが解消されるほどの取引量にもなり得ない」と述べた。

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エリク・シュヴァリエ駐シリア・フランス大使は、ダマスカス県の旧市街キリスト教地区で「シャッビーハが鉄棒などで私たちの一行を襲い、女性たちが卵や石を投げてきた。彼らの行動は敵対的で、私たちは車に引き返した」と述べた。

大使ら一行は、襲撃を受ける前に、イグナーティーウス4世ハズィーム・アンタキア総大司教をはじめとするギリシャ正教司祭らと会談していた。

Kull-na Shurakā’, September 24, 2011
Kull-na Shuraka’, September 24, 2011

複数の目撃者によると、若い男女がアサド大統領を支持するシュプレヒコールを連呼し、襲撃した、という。

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国連総会出席のためニューヨーク滞在中のトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、24日(現地時間23日晩)、「トルコはシリア国旗を掲揚し武器を輸送していた船舶を繋留した…我々はシリアに武器を輸送するあらゆる船舶の航行を禁じると決定した。我々はこの決定をダマスカスに通達し、近隣諸国にも伝えた…。今後、空路および陸路でも武器を輸送する貨物車両、貨物機に対して同様の対応を行う」と述べた。

首相は詳細について明らかにしなかったが、アナトリア通信によると、マルマラ海で繋留したと報じた。

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CNN(9月24日付)は、国連人権高等弁務官事務所が、シリアでの反体制運動弾圧に「強い懸念」を感じており、「安保理がシリアをめぐる問題を国際刑事裁判所に提訴することが重要」との見解を持ちつつあると報じた。

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SANA, September 24, 2011
SANA, September 24, 2011

『イクティサーディー』(9月24日付)は、在シリア米大使感高官の話として、米国当局がシリア中央銀行のアディーブ・マイヤーら総裁にビザを発給したと報じた。

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SANA(9月25日付)は、ロシア外務省が声明を出し、BRICS諸国外相がシリアへの制裁強化が危機を激化させ、そのことが国内情勢をさらに複雑にし、地域の平和と安全を危機にさらすと考えていることを明らかにしたと報じた。

BRICS諸国外相は国連総会出席のため訪問中のニューヨークで会談を行った。

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SANA(9月25日付)は、ジャズィーラ・インターナショナル(英語放送)のニール・ルースィン(米国人)特派員が自らの記事(9月24日付)で、シリア国内の各所に武装集団がおり、治安維持部隊兵士約700人を要撃によって殺害したことを認めた。

同記事によると、シリアの複数の地域で7週間にわたり取材を行い、ダルアー、ハマー、ラタキア、アレッポ、ヒムス、ダマスカスを訪れた結果、多数の民間人の青年が村々やさまざまな地区で武装していることが確認できたという。

また取材を行った武装集団の指導者たちは、自らが治安部隊を要撃し6人の兵士を殺害したほか、ハマー・ヒムス街道でも要撃を行い、士官を殺害したことを認めた。

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イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は国連総会出席のため訪問中のニューヨークで『ニューヨークタイムズ』(9月24日付)の取材に応じ、シリア情勢に関して、反体制デモに伴う混乱を「陰謀」と断じたうえで、問題解決のため相互理解・尊重に基づく対話を行う必要があるとの見解を示すともに、外国による内政干渉が事態を悪化させるだけだと非難した。

アサド政権の動き

SANA(9月24日付)は、シリア軍副参謀長のバッサーム・アンターキーヤ中将が23日(金曜日)、「心臓発作」を起こして死亡したと報じた。

Kull-na Shurakā’, September 24, 2011
Kull-na Shuraka’, September 24, 2011

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SANA(9月25日付)は、国連総会出席のためニューヨークを訪問中のワリード・ムアッリム外務大臣が、アルゼンチン、カザフ、レバノンの外務大臣とそれぞれ会談したと報じた。

これらの外務大臣はアサド政権の改革路線への支持を表明するとともに、シリアが受けている外国の干渉やメディアの煽動がシリアの安定に抵触する動きだと理解を示したという。

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ファイサル・ミクダード外務次官は23日(現地時間22日)、ニューヨークの国連本部で開催されたOIC外相年次調整会合に出席し、演説を行い、外国と結びついた過激派のテロ行為にシリアが曝されていると強調した。

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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は『ナハール』(9月24日付)のインタビューに応え、フランス帰国後のレバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教と電話で会談し、シリア情勢をめぐる姿勢への謝辞を述べたと語った。

また近くレバノンを訪問する予定があることを明らかにした。

SANA, September 24, 2011
SANA, September 24, 2011

反体制運動をめぐる動き

複数の反体制活動家によると、ダルアー県フラーク市、ヒムス市、ハマー市、バーニヤース市、ダイル・ザウル市で反体制デモが発生し、死傷者が出た。

シリア人権監視団によると、15人が殺害された。

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シリア世俗主義者連盟設置委員会が発足し、第1回会合を開いた。

会合では暫定執行委員会のメンバー11人が選出された。暫定執行委員会は政党法に基づき公認申請を行う。

暫定執行委員会が出したプレスリリースによると、メンバーは以下の通り。イリヤース・ハルヤーニー、マーヒル・サッルーム、ムハンマド・ハッサーン・ムニール、イーリヤー・マアリー、マーズィン・ビラール、ムハンマド・ハーッブー、ハーラー・トゥーマー、サラーム・アイユーブ、ターミル・ラスーク、ハーリド・リファーイー、サーバー・トゥーバー。

メンバーの一人のマアリー氏は会見で「連盟は世俗的思考の普及を通じて単一のシリア社会の建設をめざす」と述べた。

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「ドゥルーズ山自由運動家」を名乗る集団が声明を出し、シリア「革命」への支持を表明した。

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シリア軍を離反したイブラーヒーム・マジュブール大尉はアラビーアの取材に対して、シリア軍を離反し、自由将校運動や自由シリア軍に参加している兵士の数は10,000人を越えていると述べた。

AFP, September 23, 2011, September 24, 2011、Akhbar al-Sharq, September 24, 2011、Alarabia.net, September 24, 2011、CNN, September 24, 2011、DPI, September 24, 2011、al-Hayat, September 24, 2011, September 25, 2011、al-Iqtisadi, September 24, 2011、Kull-na Shuraka’, September 24, 2011、al-Nahar, September 24, 2011、The New York Times, September 24, 2011、Reuters, September 23, 2011, September 24, 2011、SANA,
September 25, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ハヤート紙が国内の抗議行動の規模縮小に関する反体制側・政権側の見方を紹介、仏外相いわくシリアでは「宗派どうしが殺し合っている」(2011年9月23日)

反体制運動の規模縮小への反体制活動家、親政府顧問の評価

『ハヤート』(9月23日付)は、9月に入って以降、シリア国内での抗議行動の規模が低迷していることに関して、反体制側、政権側の見方を紹介した。

同記事によると、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長(在ロンドン)は次のように述べて、規模の縮小が逮捕・弾圧の結果であることを認めつつも、抗議行動そのものが低迷していないと主張した。

「ダルアーからカーミシュリー、イラク国境のブーカマールから海岸に至るまでデモは拡大しているが、大規模ではない…。ダイル・ザウル、ハマーは、国家の支配を脱却する段階に達していた…。両市では、数十万人が金曜日のデモで集まっていたが、現在はダイル・ザウルで数千人が集まるのみである」。

シリア革命調整連合報道官のウマル・イドリビー氏(在レバノン)は、次のように述べた。

「デモが縮小していないのは確かだ。体制による激しい弾圧がある場所での1日あたりの規模や密度を我々が縮小しているのであって、別の場所でのデモを準備している…。シリア軍がすべての地域を制圧しているなかでデモの再配置は複雑な状況下で行わざるを得ない。また数万人がこれまでに逮捕されたことでデモが妨げられていることも確かだ…。しかし運動は続いており、国民が革命の目的を実現しようとする意思は変わらない…。国際社会の対応が遅れていることが、おそらくは革命が平和的路線を逸脱する要因となっている…。むろん、このことは体制の責任だ。なぜなら体制は厳しい弾圧を行っているからだ。しかし、我々はすべてのデモが依然として平和的性格を維持していると確信している」。

一方、アサド政権に近いハーリド・アフマド氏は次のように述べた。「先週の金曜日はせいぜい25,000人から30,000人が各地でデモを行ったに過ぎない。つまり、8月の数値の10分の1に過ぎない…。抗議行動は止むことはない。しかしそれは衰退している。なぜならデモ参加者は、シリアの体制がチュニジアやエジプトとは異なり、張り子の宮殿のように崩壊しないと悟ったからだ」。

また国内の不安要因に関して、以下のように指摘した。

「4,000人の武装したサラフィー主義者がザーウィヤ山、ワアル地域に、そして2,000人がヒムスに潜伏しており、彼らを掃討するには多大な人的被害を伴うことになる…。これらの破壊分子は、武器という言葉以外理解しない」。

反体制デモ

シリア革命調整連合はフェイスブックの「シリア革命2011」ページで「反体制勢力統一の金曜日」のデモを呼びかけていたが、(この呼びかけに応じたか否かはともかく)、シリア国内でのデモは小規模・散発的なものに終わった。

複数の活動家らによると、金曜礼拝後に、ダマスカス郊外県(ハジャル・アスワド市など)、ダイル・ザウル県(約2,000人が参加)、ダルアー県、イドリブ県、ヒムス県などで体制打倒と民間人の国際的保護を求めるデモが発生したが、参加者は全国あわせて数千人に過ぎなかった。

なおシリア人権監視団によると、ハサカ県のカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市(約2,000人が参加)、ラアス・アイン市でもデモが行われたという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・ドゥライブ地区、バイヤーダ地区で6人が殺害された。

クサイル市では少女1人が、タルビーサ市では少年1人が、そしてザアファラーニーヤーでは1人が殺害された。

またシリア人権監視団によると、ヒムス市では活動家のムハンマド・サーリフ氏が空軍情報部に一時身柄を拘束されるが、まもなく釈放された。

サーリフ氏はロシア連邦議会の使節団と会談した反体制活動家の一人で、身柄拘束中、この会談の内容について尋問を受けたという。また数時間にわたる尋問で暴行を受けたという。

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イドリブ県では、シリア革命調整連合によると、青年1人が重傷を負い、死亡した。

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ダマスカス郊外県では、ザバダーニー市で22日に重傷を負っていた女性が死亡した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダルバースィーヤ市で反体制デモが発生、空軍情報部がフランス在住の反体制活動家マスウード・ハームド氏の兄弟を逮捕した。

複数の人権活動家によると、カーミシュリー市で少なくとも70人が逮捕される。治安当局はデモを強制排除するため催涙ガスを使用した他、活動家の家を捜索、逮捕を断行したという。

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SANA(9月23日付)は、ダイル・ザウル市で、武装テロ集団が治安維持部隊を要撃し、6人の兵士が負傷したと報じた。

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シリア・ムスリム同胞団シューラー会議が声明を出し、反体制勢力統一のためにすべての努力を行うことを発表した。

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ニューヨークでの国連総会出席のため、ワリード・ムアッリム外務大臣がオーストリアのウィーンを一時訪問。

「アフバール・シャルク」(9月23日付)によると、宿泊先のインターコンチネンタル・ホテル前ではオーストリア在住のシリア人が抗議の座り込みを行った。

ムアッリム外務大臣はEUの制裁(ビザ発給禁止)の対象となっている。

アサド政権の動き

SANA(9月23日付)は、ムハンマド・ニダール・シャッアール経済通商大臣が、「内閣は、関税率が5%を越える一部製品の輸入を、国民生活に不可欠で国内で生産されていない必需品を除き一時的に制限することを決定した」と発表したと報じた。

この決定は22日になされたもので「装飾品、観光用の車輌などが対象となり、国庫を外国セクターから保護することが目的」だという。

また同措置は「一時的」であることが強調された。

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『ラアユ』(9月23日付)は、8月29日に行われた在外シリア人の使節団とアサド大統領の会談での大統領の発言内容を報じた。

この会談で、アサド大統領は、湾岸諸国のシリアへの対応に関して、「矛盾した異なる姿勢で我々に対処している。第1の対応とは、高官の声明やメディアでの報道を通じた批判的なものであり、第2の対応とは、連日行われている連絡・接触を通じた改革への支持である」と述べたという。

またカタールとの関係悪化に関して、サアド・ハリーリー前首相の残留をめぐる意見の不一致と、リビアでの政変をめぐるシリアとGCCの意見の相違が根底にあると述べた。

トルコとの関係をめぐっては、「エルドアン首相、トルコ軍・治安当局は我々を支持している。唯一の反対者はアフメト・ダウトオール外務大臣で、彼はもとはというとムスリム同胞団のメンバーでその後サラフィー主義者になった」と非難した。

国内での反体制運動弾圧をめぐっては、一部の兵士がアサド大統領やマーヒル・アサド大佐を神聖視するような言動を行ったことを「誤り」と率直に認めたうえで、彼らがアル=カーイダ掃討のために訓練されており、そのことがデモ弾圧時にこのような行動を招いたと述べた。

またマーヒル・アサド大佐が「ジャージ姿」で国内での治安回復作戦を指揮していたとの噂に関しては、強く否定した。

諸外国の動き

フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、フランスのテレビのインタビューに対して「我々はすべての場所で(リビアで行ったような)戦争を行う意思はない」とつつ、シリアで「キリスト教徒対アラウィー派、スンナ派といったようにあたかも宗派どうしが殺し合っているようである。そして内戦になるという恐怖が高まっている。それゆえに断固たる行動が不可欠だ」と述べた。

また「一部の学校で子供たちが抗議行動を行い…軍が学校に介入している」と述べ、バッシャール・アサド政権の弾圧を非難した。

だが学校で具体的にどのような弾圧がなされているかについては詳述しなかった。

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スイスはEUによる制裁強化に追随するかたちで、シリアの石油部門に対する経済強化に踏み切った。経済省が発表した。

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国連人権高等弁務官報道官は、記者会見で、シリアでのデモ弾圧に関して懸念を表明、とりわけ国内外の反体制活動家の家族らが治安当局の弾圧の標的となっていることに警鐘を鳴らした。

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ファイサル・ミクダード外務次官は北朝鮮の朴吉淵(パク・キルヨン)外務次官とニューヨークで会談。

シリア情勢に関して、朴外務次官は外国の陰謀に対抗するシリア政府の姿勢への支持を表明した。

AFP, September 22, 2011, September 23, 2011、Akhbar al-Sharq, September 23, 2011、al-Hayat, September 23, 2011, September 24, 2011、Kull-na Shuraka’, September 23,
2011, September 24, 2011、al-Ra’y, September 23, 2011、Reuters, September 22, 2011, September 23, 2011、SANA, September 24, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダマスカス郊外県やヒムス県で治安作戦が強化、ベイルートではレバノン・シリア分科委員会が開催される(2011年9月22日)

反体制運動をめぐる動き

治安部隊はダマスカス郊外県の複数の都市における展開を強化し、電話、インターネットを遮断した。またヒムスでも作戦を続行し、1人を殺害した。

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ダマスカス郊外県では、シャーム・ニュース・ネットワークによると、キスワ市に、第4師団の兵士数百人が到着した。同部隊はピックアップ・トラック、対空砲を従えていた、という。また軍・治安部隊が検問所・バリゲードを設置し、市内への出入りを禁止。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

またキスワ市を含む複数の都市で、携帯電話、インターネットを遮断した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で1人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。また地元調整委員会によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区が包囲され、殺戮が行われた。

一方、シリア人権監視団によると、反体制活動家のムハンマド・サーリフ氏がヒムス市で逮捕された。

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ダルアー県では、SANA(9月22日付)が報じたところによると、武装テロ集団がジーザ町の街道で旅客バスを要撃し、治安維持部隊兵士5人を殺害、17人を負傷させた。武装集団は救急車両が負傷者を搬出することを阻止したという。

またSANA(9月22日付)は、ダルアー市11月16日広場の西側の家の庭で、治安当局が武装テロ集団が製造した爆薬(3キロ)を押収したと報じた。サッド地区でも5~20キロ掃討の爆薬を押収したと報じた。

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シリア革命調整連合はフェイスブックの「シリア革命2011」ページで「反体制勢力統一の金曜日」を呼びかけ、「体制打倒のための反体制勢力の糾合は国民的義務」と強調するとともに、「革命の原則に同調する国民評議会を支持しよう」と主唱し、シリア国民評議会への支持を表明した。

SANA, September 23, 2011
SANA, September 23, 2011

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ハイサム・マーリフ弁護士はアラビーヤ(9月22日付)のインタビューに応え、「シリアの反体制勢力の統合は間近であり、現在作業が進行中である」としたうえで、反体制勢力内でのさまざまな意見の存在が「自然なこと」と述べた。

また「反体制勢力は大きな一歩を踏み出しており、体制打倒と多元的・民主的国家への変革で合意に達した。それ以外の副次的な意見の相違はその後に議論されるだろう」と付言した。マーリフ弁護士は、国連人権理事会にNPO代表として参加している。

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シリア・アラブ・テレビは9月22日、アブドゥルカーディル・ハッラークを名乗る「シリア人テロリスト」が証言し、レバノンのムスタクバル潮流が「テロ攻撃の資金を援助している」と自供した。

SANA(9月23日付)によると、ハッラーク氏は「外国が資金援助する武装テロ集団に参加して多くの殺戮、脅迫、破壊行為を犯したことを自供」し、反体制抗議行動への参加に関しては、「モスクのイマーム、ハーリド・アブドゥルワーヒド師が煽動し、レバノン経由でムスタクバル潮流から届けられた資金を我々に配った」と証言した。

アサド政権の動き

レバノン・シリア分科委員会がベイルートの首相府で開催され、レバノンのベカーア県ウマル・ヤースィーン知事、レバノン・シリア最高会議メンバーのアフマド・ハーッジ・ハサン氏、シリア軍のアブドゥッラッザーク・ムトラク准将、そして両国の軍高官が参加した。

会合では、両国の農耕従事者の往来の簡素化に加えて、シリアへの武器密輸問題が議論された。

『シャルク・アウワト』(9月24日付)は、ヤースィーン知事の話として、この会合で「シリア側は武器問題への懸念を表明し、武器密輸が行われている疑いがあると述べ」、レバノン側に「この手のいかなる違反も許さないよう」強く求めた、と報じた。

これに対して、レバノン側は、「灯油、商品などを含むこの手の密輸を完全に阻止し、両国国境をめぐる問題を解決するため最大限協力している」と答えたという。

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シリア中央銀行のアディーブ・マイヤーラ総裁は、『ハヤート』(9月23日付)に対して、米国政府が同総裁へのビザ発給を禁じ、世界銀行、IMFの会合にシリアが代表を参加させることをはばんでいると非難した。

Kull-na Shurakā’, September 22, 2011
Kull-na Shuraka’, September 22, 2011

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『ワタン』(9月22日付)によると、シリア世俗主義者連盟の執行委員会選挙が9月24日に実施される。同選挙では26人が委員として選出される。同連盟は、シリア民族社会党(ターミル・ラスーク、サラーム・ラスーク)、シリア共産党(ハサン・ザーザー)、シリア民主党(サーバー・ウーバー)、シリア人権ネットワーク(アフマド・ハーズィム)のメンバー、無所属(イリヤース・ハルヤーニー)などからなる。執行委員会選出後、同連盟は政党法に従い公認申請を出すという。

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『ダマス・ポスト』(9月22日付)は、バアス党幹部の話として、近くアーディル・サファル内閣の改造が行われ、反体制勢力が入閣するかたちで多元主義の基礎が確立するだろうと報じた。

また同幹部は、近く実施予定の人民議会選挙、統一地方選挙に関しても、「これまでにないほどの民主的、多元的」になると述べたという。

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ギリシャ正教のアターッラー・ハンナー主教はシリア・アラブ・テレビ(9月22日付)のインタビューで、シリアに対する危険な陰謀が、その政治体制だけでなく、愛国的、民族的、アラブ的、人道的、精神的な役割を果たしてきた国家そのものに対して向けられていると警鐘をならした。

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ダルアー市郊外地域の国民対話会合で、治安・安定強化、メディアによる煽動と外国の内政干渉拒否に関して審議がなされた。

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ラタキア市のティシュリーン大学での国民対話会合が閉幕。

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シリアの女性総連合は声明を出し、トルコの避難民キャンプでのシリア人女性への暴行・強姦を強くに非難。

Kull-na Shurakā’, September 22, 2011
Kull-na Shuraka’, September 22, 2011

諸外国の動き

シリア訪問を終え帰国したロシア連邦議会使節団のイリヤス・オマハノフ副団長は、RTのインタビューで、アサド大統領が「反体制勢力と会談する意思と準備をしている」と述べた。また人民議会選挙、統一地方選挙に関して早期実施の可能性もあるとの見方を示した。

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ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は、ロイター通信の電話インタビューに応えて、「バッシャール・アサド大統領はシリア社会の主要なコミュニティにおいて持っていた支持を失い、民主主義を求めるデモ参加者への弾圧を強化することで、宗派主義的闘争の危険を冒そうとしている…。9月半ば以来、経済的な衰退、政権内部の分裂の兆候、軍のさらなる離反が起きているが、軍は依然として協力できわめて結束している」と述べた。

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『ヒュッリーイェト』(9月22日付)は、トルコ政府がシリアへの軍事物資を輸送していた空輸便を停止したと報じた。

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駐シリアEU委員会代表部は声明を出し、ヒムス市で赤新月社のフクム・ダッラーク・スィバーイー氏が銃で撃たれ死亡したことに哀悼の意を示した。

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『シャルク・アウサト』(9月22日付)は、地元消息筋の話として、シリア人避難民を受け入れているレバノン北部県アッカール郡の村々、とりわけナスーブ村、ムワンサ村で日々、シリア軍が「避難民を受け入れれば攻撃する」との脅迫を受けていると報じた。なおムワンサ村は9月15日にシリア軍の誤射を受けた。

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エジプト・ムスリム同胞団の離反者が結成した自由公正党は、アサド政権の正統性が失われ、革命の勝利は時間の問題、と発表。

AFP, September 22, 2011、Akhbar al-Sharq, September 22, 2011、Damas Post, September 22, 2011、al-Hayat, September 23, 2011, September 24, 2011、Kull-na Shuraka’, September 22, 2011、Reuters, September 22, 2011、SANA, September 23, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 22, 2011, September 24, 2011、al-Watan, September 22, 2011などをもとに作成。

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ヒムス県、イドリブ県で軍・治安部隊による活動家の逮捕・捜索作戦が続くなか、エルドアン首相はオバマ大統領との会談のなかでシリア政府との断絶を明らかにする(2011年9月21日)

対トルコ関係

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、バラク・オバマ米大統領と21日(現地時間20日)、ニューヨークで会談した。会談後の記者会見で、エルドアン首相は「シリア政府との連絡を絶った。このような段階に至るとはまったく期待していなかったが、残念ながら、この国の政府は我々にこのような決定をさせた…。我々は彼ら(米国)と協調して、可能な制裁を検討する…。もはやシリア政府を信頼できない」と述べた。

また首相は、アフメト・ダウトオール外相がヒラリー・クリントン米国務長官と会談を行い、ダマスカスに対して初となるトルコの制裁に関して調整を行うことを明らかにした。

ホワイトハウスのエリザベス・シャーウッド・ランダル報道官によると、両首脳は「シリア国民の要求に沿って事態を打開するため、シリア政府へのさらなる制裁を科す必要があるということを話し合い」、「さらなる圧力をかける必要」がある点で一致したと述べた。

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トルコ外務省は、トルコ領内のシリア人避難民キャンプで非道徳的な行為が行われているとのシリア国営筋の報道に対して、「暗黒のプロパガンダにして虚言」と反論し、遺憾の意を表明した。

シリア・アラブ・テレビは、トルコ領内の避難民キャンプで強姦されたとするジスル・シュグール出身のシリア人女性の複数の証言を放映していた。

またトルコの避難民キャンプで暮らすシリア人女性もシリア・アラブ・テレビでの報道内容をYoutubeなどを通じて否定した。

反体制勢力の足並みの乱れ

「アフバール・シャルク」(9月21日付)は、シリア国民評議会発足宣言にいたるまでのブルハーン・ガルユーン氏と「イスタンブール・グループ」の対立を、同氏のフェイスブックの書き込みをもとにまとめた。

Akhbar al-Sharq, September 21, 2011
Akhbar al-Sharq, September 21, 2011

それによると、シリア国民評議会発足に先だって9月10日にカタールのドーハで発足した「シリア国民連立」に関して、「イスタンブール・グループ」は「反体制勢力の統一を完了するためのシリア国民評議会の一機関」と連立を位置づけた声明の内容を不服として、署名を拒否したという。

また「イスタンブール・グループ」はガルユーン氏らに知らせることなく、シリア国民評議会の発足を宣言し、メンバーを近く公開すると発表した。

これを受け、ガルユーン氏はメンバー発表を遅らせるか、イスタンブールで人選を行うための審議するよう求めたが、「イスタンブール・グループ」は「そう約束したから」との理由で、これに応じなかった、という。

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地元調整諸委員会は声明を出し、イスタンブールで発足したシリア国民評議会への支持を表明。声明では「この評議会の活動、発足のしくみ、評議会内のメンバー構成に関していくつかコメントすべき点はあるが、地元調整委員会は、シリア国民評議会を支持し、同評議会が設置する各委員会への実質的な参加を決定し、反対政府勢力の統一と、分裂状態の克服をめざす」と述べた。またダマスカス国民民主変革宣言、クルド民族主義勢力などにシリア国民評議会への参加を呼びかけた。

なおシリア革命総合委員会は、20日に声明を出し、シリア国民評議会の発足について慎重な姿勢を見せている。

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AKI(9月21日付)は、ダマスカスで開催された国民民主変革諸勢力国民調整委員会の大会の閉幕声明に関して、アッシリア教徒の政治組織、代表が呼ばれなかったことに対して、アッシリア教徒たちが憤りを感じていると報じた。

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県、イドリブ県で軍・治安部隊による活動家の逮捕・捜索作戦が続く一方、シリア革命調整連合によると、治安当局は生徒たちによるデモを阻止するため、ダマスカス郊外県、ヒムス県、バーニヤース市、イドリブ県などの複数の学校に突入し、多数の生徒を逮捕した。

Akhbar al-Sharq, September 21, 2011
Akhbar al-Sharq, September 21, 2011

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イドリブ県では、シリア人権監視団と複数の住民によると、ザーウィヤ山に近い対トルコ国境付近で潜伏する離反兵に対して軍・治安部隊が激しい攻撃を行った。

ラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、とりわけイドリブ県ザーウィヤ山一帯は離反兵の拠点となっている。またハーリドを名乗る住民によると、同地域では後ろ手に縛られた多数の遺体が発見された。また男性2人の遺体が家族に引き渡された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団などによると、ヒムス市で軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、バーブ・スィバーア地区などで民間人6人が殺害され、3人の負傷者が病院で逮捕された。またヒムス市内の裁判所では反体制活動家のイマード・ダルービー弁護士が逮捕された。

これに対して、SANA(9月22日付)は、ヒムス市バーブ・アムル地区で武装テロ集団が治安維持部隊を攻撃し、3人が負傷したと報じた。

住民によると、ヒムス市郊外のフーラで一昨日から軍・治安部隊による激しい戦闘が行われているが被害は明らかになっていない。

シリア人権監視団によると、ラスタン市入り口で、軍・治安部隊がバスを襲撃し、11歳の少年とその母親が殺害、5人が負傷した。こうしたなか、同市では、離反兵が「ハーリド・ブン・ワリード大隊」を名乗る反体制部隊の発足を宣言した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、フワイズ村で、逮捕されていた若者の遺体が発見された。

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バーニヤース市では、シリア人権監視団によると、反体制デモを行った生徒5人が逮捕された。

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ダマスカス郊外県では、シリア革命調整連合によると、ハラスター市、アルバイン市などで、学校に治安当局が突入し、多数の生徒が逮捕された。

キスワ市でもデモに参加していた市民1人が軍・治安部隊の発砲で殺害された。

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ダルアー県では、シリア革命調整連合によると、ジャースィム市で、学校に治安当局が突入し、多数の生徒が逮捕された。

これに対して、SANA(9月22日付)は、ダルアー市サッド地区の農場で、武装テロ集団を逮捕、彼らが隠し持っていた大量の武器弾薬を押収したと報じた。

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「アフバール・シャルク」(9月21日付)は、アレッポで青年医師ハーリド・マラーイジー氏が失踪したと報じた。

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世界的な芸術家のマーリク・ジャンダリー氏がフェイスブックの自身のページで、暴行を受けた両親の写真を掲載。

アサド政権の動き

AKI(9月21日付)は、シリアの複数の高官筋の話として、バッシャール・アサド政権が10月に2度目となる包括的対話大会の実施を計画していると報じた。

同消息筋によると、大会への出席は、一連の措置実施と結びついており、政府の対話への真剣な姿勢を示すことで、反体制勢力にとって満足のいくものだという。

具体的には、対話は、治安的解決に代えて、政治的解決を危機打開の唯一の策とし、軍・治安部隊を都市から完全に撤退させ、すべての政治犯を釈放し、弾圧の責任者を起訴するといった一連の措置の一環をなすという。

しかし、クルド民族主義反体制勢力筋は、この呼びかけにほとんどのクルド民族主義政党が拒否するとの姿勢を示している。

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アンカブート・サイト(9月21日付)は、シリア反体制勢力筋の話として、ルストゥム・ガザーラ少将が20日夜にダマスカス郊外県ドゥーマー市で士官2人とともに襲撃され、死亡したと報じた。

しかし、フサイン・ハルムーシュ大佐が釈放されなければ士官を殺害すると予告していた自由将校運動は襲撃を否定。また『シリア・ニュース』(9月21日付)は信頼できる消息筋の話として、「治安機関高官への暗殺未遂に関する報道は事実無根である」と、暗殺の事実を否定した。

Kull-na Shuraka', September 21, 2011
Kull-na Shuraka’, September 21, 2011

 

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は国連総会での演説で、アサド政権による反体制運動の弾圧を非難、以下のように述べて、国連安保理に対シリア制裁決議の採択を求めた。

「問われていることは明白である。我々は、シリア国民と連帯せねばならないのか、彼らを弾圧する者たちと連帯しなければならないのか…。合衆国はシリアの指導者らに厳しい制裁を科した。我々はシリア国民の要求に応えるような政権の交代を支持している。多くの同盟国が我々の努力に参加している。しかしシリアを解放し、世界の平和と安全のために声を一つにせねばならない…。行動しないことは許されない。安保理がシリア政府に制裁を科し、シリア国民と連帯する時が来た」。

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ロバート・フォード駐ダマスカス米大使は自身がダマスカスにとどまって職務を継続していることに関して、米国がアサド大統領の退任をあきらめたわけではないと述べた。

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EUは、石油部門への新規投資の禁止、複数の政権高官および機関を制裁リストに追加からなるダマスカスへの追加制裁(第7弾となる制裁)を科すことで加盟27カ国が合意に達したと発表した。同決定は9月23日に正式に発効する。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相の顧問は、イラク政府がアサド大統領に退任を求めたとの一部報道を否定した。この報道は『ワシントン・ポスト』(9月20日付)が最初に「イラク政府はアサド大統領が退任することを長らく望んでいた、と報道官が述べた」と報じたもので、アリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、AFPに対して、「この発言(に関する報道)は正しくない…。イラク政府は他国の内政に干渉するような性格を持っておらず、またそのような方法もとらない。ましては退任を求めることはない…。この報道を完全に否定する」と述べた。

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レバノンの自由国民潮流代表のミシェル・アウン議員はUPI(9月21日付)に対して、以下のように述べ、アサド政権のもとでの改革支持の姿勢を改めて示した。

「シリアの政権が崩壊しても、キリスト教徒とイスラーム教徒は自由を得られないだろう…。安定なき変化の導入は暴力と混乱をもたらす。変化のない安定の導入は独裁をもたらすだろう…。我々はシリアで自由と民主主義が実現する憲法改正を声高に支持している…。もし平和的解決が可能なら、暴力に訴えるかたちでの問題解決は支持できない」。

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マイケル・ウィリアムズ国連事務総長中東問題特別顧問はレバノンのアウン議員と会談。シリア情勢に関して「暴力がまもなく収束し得ると希望している。我々はともに改革の必要を認識している。抜本的な改革がシリアだけでなくより広い地域の情勢を安定化させると考えている」と述べた。

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IMFは中東地域の社会情勢や混乱がシリアの経済成長にマイナスに作用し、2011年の経済成長率は2%にとどまるとの見方を示し、4月時点の経済成長予測3%から1ポイント下方修正した。

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アズハル機構のシャイフ、アフマド・タイイブ師が反体制勢力の使節団と会談し、シリア国内での流血を止めるようアサド政権に呼びかけた。

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国連のIRINは9月21日付のレポートによると、シリアでの反体制デモ弾圧による犠牲者数は5,360人にのぼると発表した。シリア政府は犠牲者の数が1,400人と発表している。レポートはhttp://www.irinnews.org/report.aspx?reportid=93772を参照。

AFP, September 21, 2011、al-Akhbar, September 21, 2011、Akhbar al-Sharq, September 21, 2011、AKI, September
21, 2011、 al-Ankabut, September 21, 2011、al-Hayat, September 22, 2011、Kull-na Shuraka’, September 21, 2011、Naharnet.com,
September 21, 2011、Reuters, September 21, 2011、SANA, September 22, 2011、Syria
News, September 21, 2011、UPI, September 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ロシア議会の使節団がシリア訪問を終えるなか、米大統領とトルコ首相が会談しアサド政権に対する「さらなる圧力」をめぐって見解を一致させる(2011年9月20日)

反体制勢力の動き――ロシア連邦議会使節団との会談――

ロシア議会の使節団がシリア訪問を終えた。最終日には、ダルアー市、ヒムス市、ハマー市を視察し、地元の住民や代表らと会談した。またダマスカスで晩に反体制勢力の代表10人と会談した。

ロシアの使節団と会談したのは、マルワーン・ハバシュ人民議会議員、シリア共産党カースィユーン派のカドリー・ジャミール書記長、ハムザ・ムンズィル氏、ミー・ラフビー女史、経済学者のアーリフ・ダリーラ氏、そしてアントゥーン・ドゥーラー・マロン派神父、アフマド・ファーイズ・ファウワーズ氏、サリーフ・ハイルベク氏。

ロシア使節団の一人のミハイル・カーブラ連邦議会法務委員会委員長は、使節団の訪問目的が「ロシア政府に現状に関して可能な限り多くの情報と真実を伝え、それによりロシアの今後の対応を決定すること」と述べるとともに、「問題解決はシリア人の手によるべきである。なぜなら外国による解決は異なったものとなるからだ」と強調した。

ハバシュ人民議会議員はロシア使節団との会談後、「治安専制体制を終わらせ、民主的・多元的国家を建設し、そしてまた外国の内政干渉を拒否する必要があるとの点で一致した。このことは、ロシアがシリア国民を支援せねばならないということである。しかしシリアでの若者たちの革命の方法、活動家をめぐって見解は一致しなかった。一方、調整委員会のメンバーは、会談で、革命が外国の陰謀によるとの見方を否定した」と述べた。

これに対して、AKI(9月21日付)によると、国民民主変革国民調整委員会の複数の幹部はロシア連邦議会の使節団と会談した反体制勢力に関して、「使節団は委員会に接触してこなかった。委員会は使節団と会談するかなる使節団も結成しなかった。ロシア側と何らの対話も行わなかった。会談したメンバーは委員会の知らない間に個人の資格で対話したに過ぎない」と述べた。また「ロシアの使節団と対話した面々の見解は、シリア政府の見解とさして変わらない」と批判した。

反体制運動をめぐる動き

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区、インシャーアート地区で2人が殺害された。複数の活動家によると、軍・治安部隊はヒムス市の入り口を閉鎖した。

同市では19、20日と大規模な反体制デモが行われていた。

Kull-na Shuraka', September 20, 2011
Kull-na Shuraka’, September 20, 2011

ヒムス市郊外のフーラで小中学生が登校を拒否し、体制打倒を求めるデモを行った。これに対して軍・治安部隊、シャッビーハが発砲し、10歳の子供一人を含む5人を殺害。

またバアルバ市、ダイル・バアルバ市、タドムル市、ラスタン市、カラム・シャーミー市、タルビーサ市、そしてヒムス市内各地(ハッターブ村バーバー・アムル、インシャーアート、クスール)などでも小中学生が同様のデモを行った。

一方、ヒムス市バーブ・スィバーア地区の住民がシャッビーハの一人を捕らえ、その蛮行を自供させた。彼の自供によると、シャッビーハは活動家を降伏させるため、その姉妹を誘拐し、強姦したうえ殺害したと自供した。彼自身も、人権活動家のムハンマド・ディーブ・ヒスニーさんの妹のザイナブ・ヒムスィーさん(19歳)を8月17日に誘拐し、兄に投降を迫った。

9月17日、ヒスニーさんの父親は治安当局の聴取を受けた後、ヒムス市軍事病院で遺体を引き取った。遺体はクビ、手足が切り離され、黒い袋に入れられていた。

これを受け、さらにヒムス市各所ではザイナブ・ヒスニーさんを讃えるデモが断行された。

これに対して、SANA(9月21日付)は、ヒムス市クスール地区の大ハディージャ学校近くで武装テロ集団が治安維持部隊に発砲し、1人が殉職、3人が負傷したと報じた。

またヒムス市内の国立病院周辺でも同様の事件があったが死傷者は出なかった。またシリア軍部隊は、ヒムス市バーブ・アムル地区西のジュダイダ・アースィー地区を通る石油パイプラインにしかけられた爆発物(TNT25キロ)を撤去したと報じた。

SANA, September 20, 2011
SANA, September 20, 2011

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ダマスカス郊外県では、キスワ市に兵員輸送車輌約40台が突入し、デモ参加者への逮捕・追跡作戦を展開。また活動家によると、治安部隊はドゥマイル市で離反兵8人に発砲し、2人を殺害、4人を逮捕した。2人は逃走したという。

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ダマスカス県バルザ区でも生徒が反体制デモを行った。

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イドリブ県では、カフル・ウワイド村で警官が何者かに殺害された。同村では軍・治安部隊による逮捕・捜索活動が続いていた。

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フェイスブックの「シリア革命2011」ページは「フサイン・ハルムーシュへの忠誠の火曜日」を呼びかけたが、これに呼応するようなデモはほとんど発生しなかった。

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アラビーヤ(9月20日付)は軍・治安当局に逮捕されたのち、拷問・殺害されたギヤース・マタル氏の家族の話が、同氏の遺体が家族に引き渡される前に臓器が盗まれたと語ったと報じた。

同氏の家族によると、マタル氏の腹部には大きな傷跡があったという。

またシリア人権委員会によると、複数の逮捕者の遺体から臓器が盗まれていたという。

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地元調整諸委員会が声明を出し、イスタンブールで発足したシリア国民評議会への支持を表明。

Facebook
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「アフバール・シャルク」(9月20日付)は、シリアのキリスト教徒有識者が声明を出し、レバノン・マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教やシリアのキリスト教会幹部のアサド政権支持の姿勢を拒否したと報じた。

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ジャズィーラの「イッティジャーフ・ムアーキス」(9月20日放送)でアサド政権を支持する作家・研究者のアブドゥルマシーフ・シャーミー氏とシリア国民評議会のムハンマド・アブドゥッラー氏が討論を行った。

番組終了直前にシャーミー氏がいすから落ちたことが、「アサド政権の崩壊を予兆する」、「体制を支持してきたことの報い」といった低俗な反響を呼ぶ。映像はhttp://www.youtube.com/embed/lKNqAx1BF5cを参照。

アサド政権の動き

ダマスカス県での国民対話会合が閉幕、挙国一致と社会的結束への参加と熱意に基づく充分な教育を通した社会的成長の重要性、家長による教育義務が確認されるとともに、対話、意見表明を通じた児童の教育を通じて、責任意識、リーダーシップ、自己への信頼を強化する必要が強調された。

また各県での開発・投資プロジェクトを通じて公正とバランスを実現すること、行政改革・制度再構築を通じた汚職撲滅、国内戦線の強化とレジスタンス支援などが確認された。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はニューヨークで昨晩(現地時間19日)、シリア危機とシリアでの民主主義への移行段階支援に向けた両国の調整について話し合った。

『ハヤート』(9月21日付)は複数の高官の話として、トルコは、アサド政権が「戻れない地点」まで来ていると認識し、過渡期を直接支援する措置をとるための最善の方法を検討している、と報じた。

一方、米国は、「アサド政権の崩壊は差し迫ったものではないが…、現状が続くことはあり得ず」、国際的孤立が政権崩壊において実質的な役割を果たすことになるとの見方をしている、という。

ホワイトハウス報道官は、バラク・オバマ米大統領が、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相との会談し、「さらなる圧力をかける必要」がある点で一致したと述べた。

この会談をめぐって、『ワシントン・ポスト』(9月19日付)は、米国がトルコとの協調を通じて、シリアでの内戦の可能性に対処する方途を検討している、と報じた。米国高官によると、米国はシリアの反体制勢力に糾合を迫っているが、その背景には、イラク戦争後の状況の再発(ポスト・フセインへの具体的なビジョン計画を書いたままフセイン政権打倒に踏み切ったこと)への懸念があるという。

国連総会に先立って、ヒラリー・クリントン米国務長官は20日(現地時間19日)、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が会見。複数の外交筋によると、この会談でクリントン国務長官は、「シリア政府が国民を殺害し、数千人を不当にも投獄するなかで、安保理で果たし得る確固たる役割を検討する」よう求めた。これに対して、ラブロフ外務大臣は、反体制勢力が「政府との対話を始め、過激派と距離を置こうとしている」と評価した。

また米国のスティーブン・チュー・エネルギー長官は、IAEA第55回年次大会で演説し、シリアに対して核開発疑惑問題解明のためIAEAに協力するよう求めた。

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一方、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はニューヨークで、ロシアが「シリア問題に関する決議を支持しているだけでなく、特別な決議案を持っている」と述べ、「政府側および武装集団によるあらゆる暴力の停止」を求める安保理決議を準備していることを明らかにした。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、ジャズィーラのインタビューに対して、アサド政権が「戻れない地点にまで来て」おり、「我々は今安保理で、シリアへのさらなる国際圧力を科すための新たな決議を検討中である」と述べた。

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ヒズブッラーが運営するマナール・チャンネルは、レバノン北部県クーラ郡でレバノン治安当局がシリアに武器を密輸していた集団を摘発した、と報じた。しかし同郡選出のファリード・ハビーブ議員(レバノン軍団)は、この報道を否定した。

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アラブ議会連盟は第2回定例会合で、シリアとイエメンのメンバーシップを凍結し、本部をダマスカスから転出することをアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長に提言。

Aljazeera.net, September 20, 2011、AP, September 20, 2011、AFP, September 20, 2011、Akhbar al-Sharq, September 20, 2011、September 21, 2011、Alarabia.net, September 20, 2011、DPI, September 20, 2011、al-Hayat, September 21, 2011、Kull-na Shuraka‘, September 20, 2011、SANA, September
21, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 21, 2011、The Washington Post, September 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

国連人権理事会は、治安部隊によるデモ参加者への攻撃が「激しさを増した」と断言(2011年9月19日)

反体制運動をめぐる動き

複数の活動家によると、ヒムス県、ダマスカス郊外県各地での軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、少なくとも9人が殺害され、ダルアー、アレッポ、バーニヤース、ラタキア、ダイル・ザウルで数十人が逮捕された。

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シリア人権監視団によると、ヒムス県のフーラ村での軍・治安部隊の逮捕・捜索活動により、5人が殺害された。

一方オガレット・ニュース・ネットワークによると、死者は8人にのぼるという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町に30台以上の兵員輸送車輌が突入した。同市では、体制打倒を求める大規模デモが発生した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市インシャーアート地区、ハーリディーヤ地区で女性が大規模デモを断行し、軍・治安部隊の発砲を受けた。またグータ地区、ハムラー地区通り、バイヤーダ地区、バーブ・アムル地区、クサイル市、タルビーサ市でもデモが発生した。

複数の活動家によると、ヒムス市郊外のフーラでの反対政府デモ発生を受けて、軍・治安部隊が同村に突入した際、検問所に配置された軍の兵士約12人が離反した。

アブー・ヤザンと名乗る住民は、「多くの離反兵が戦ったが、制圧された。また残された民間人も戦車からの無差別発砲で殺害された」と述べた。

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イドリブ県のハーン・シャイフーン市に軍・治安部隊の増援部隊が派遣された。

一方、SANA(9月20日付)は、イドリブ県ダイル・ガルビー村で武装テロ集団が兵役を控えた男性を自宅前で誘拐しようとするが、抵抗に遭い、男性の母親を殺害し、また家族数名が負傷したと報じた。

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ダマスカス郊外県ドゥマイル市で大規模な反体制デモが起き、2人が殺害された。

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ワフィーク・ハンサ氏(元東京外国語大学客員教授、詩人)は『アフバール』(9月19日付)とのインタビューに応え、「私は今も昔もシリアで体制転換が起きることを望んでいる…。しかしオルターナティブが混沌、宗派主義的戦争、あるいはシリアに対するNATOの軍事攻撃なら、私は体制を支持する」と述べる。記事はhttp://www.al-akhbar.com/node/21498を参照。

al-Akhbar, September, 19, 2011
al-Akhbar, September, 19, 2011

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『シャルク・アウサト』(9月19日付)は、ワシントンの米高官が、シリア軍を離反した兵士の数が約10,000人に上り、そのほとんどが自由シリア軍と自由将校運動に合流していると見ていると報じた。

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ハリール・マアトゥーク弁護士は、シリア民主人民党のジョルジュ・サブラー氏が釈放されたと発表した。同氏は7月に自宅で逮捕されていた。

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『ザマーン・ワスル』(9月19日付)は、ヒムス市で少女15人がシャッビーハに誘拐されたと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(9月19日付)は、反体制技師がシリア国民技師委員会を発足したと報じた。同委員会は、シリア国内技師家族への支援、アラブ技師連合によるシリア人技師保護の要請、軍・治安部隊の弾圧の犠牲となった技師のリスト作成、逮捕された技師の人権保障のための必要な法整備などをめざす、という。

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シリア言論犯擁護機構は声明を出し、弁護士組合ハサカ支部長が、反体制活動を行うムスタファー・ウースー弁護士、ファイサル・アブディー・バドル弁護士、ファーディル・ムハンマド・サリーム弁護士の懲戒処分とするための手続きを開始したことを非難。

諸外国の動き

国連人権理事会は、治安部隊によるデモ参加者への攻撃が「激しさを増し」、先週だけでも死者数が100人以上にのぼった、と警鐘をならした。

キユングワ・カン国連人権問題副高等弁務官は「今日までに2700人が軍・治安部隊の手で殺害され、しかもその中の少なくとも100人が子供である…。人道に対する罪を犯した者の処罰を行うことが重要である。高等弁務官事務所は、シリアでそのような罪が犯されている可能性があると見ている」と述べた。そのうえで、シリア政府の代表に対して、国際的刑事犯罪の調査への協力を求めた。

しかしシリアのファイサル・ハッバーズ・ハマウィー代表は、これに対して「バイアスがかかっている」と反論し、「シリアには多くの悪党がいて…、無実の民間人を攻撃し、警察署を破壊し、多くの治安部隊兵士を殺害した…。多くの者が逮捕され、暴力を煽るためにデモ参加者に発砲したと自供している」と述べた。

Akhbar al-Sharq, September 19, 2011
Akhbar al-Sharq, September 19, 2011

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、ニューヨークで、ダマスカスの高官がシリアで犯した「人道に対する罪」で処罰されねばならない、と述べた。

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『サフィール』(9月19日付)は、レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣が、国連総会に先立って、シリアのワリード・ムアッリム外務大臣とニューヨークで会談し、対応を協議・調整する予定である、と報じた。

AFP, September 19, 2011、al-Akhbar, September 19, 2011、Akhbar al-Sharq, September, 19, 2011, September 21, 2011、al-Hayat, September 20, 2011, September 21, 2011、Kull-na Shuraka‘, September 19,
2011、Naharnet, September 19, 2011、Reuters, September 19, 2011、al-Safir, September 19, 2011、SANA, September 20, 2011、al-Sharq al-Awsat, September 19, 2011、Zaman al-Wasl, September 19, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.