『ウォールストリート・ジャーナル』:バアス政権は少なくとも300人の子どもを家族から強制的に引き離し、自らが管理する孤児院に収容(2025年6月7日)

『ウォールストリート・ジャーナル』は、バアス政権が少なくとも300人の子どもを家族から強制的に引き離し、自らが管理する孤児院に収容していたことが明らかになったと報じた。

同誌が機密文書、元拘束者へのインタビュー、アフマド・シャルア移行期政権当局の関係者の証言に基づき伝えたところによると、バアス政権は、子どもを反体制派の家族に対する圧力手段として利用し、少なくとも3,700人の子どもが、家族と共に逮捕されたか、大規模な家宅捜索や一斉拘束の際に失踪し、行方不明だという。
そのなかには、2013年に夫のアブドゥッラフマーン・ヤースィーン氏が逮捕された後、自身も拘束された歯科医で元シリア代表のチェス選手ラーニヤ・アッバースィー氏の子どもたちも含まれており、その消息は今も分かっていない。

同誌は、子どもたちが「SOS子どもの村」が運営する孤児院に収容されている可能性を示す新たな証拠を得たとしている。

「SOS子どもの村」は、2014年から2018年の間に身元が分からない子ども139人をシリア国内の施設で受け入れたことを認め、その後、こうした受け入れを行わないよう当局に要請され、大半の子どもたちは当局に引き渡されたが、その後の行方は確認できていないとした。

同紙は、ラーニヤ氏の夫ヤースィーン氏の家族が今なお孫の行方を追っていることを伝え、孤児院のウェブサイトに掲載された写真や元女性囚人の証言、さらにはAIを用いた顔画像の再構築など、あらゆる手段を用いていると報じた。

また、家族はラーニヤ氏の子どもに似た少年のDNA鑑定を実施したが、結果は一致しなかったという。

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ムスタファー情報大臣はヒムス県南東部の米有志連合実効支配地(55キロ地帯)内にあるルクバーン・キャンプが解体され、国内避難民(IDPs)が帰還したと発表(2025年6月7日)

ハムザ・ムスタファー情報大臣はXを通じて、ヒムス県南東部の米有志連合実効支配地(55キロ地帯)内にあるルクバーン・キャンプが解体され、国内避難民(IDPs)が帰還したと発表した。

ポストの内容は以下の通り。

ルクバーン難民キャンプの解体と避難民の帰還によって、旧体制の戦争マシーンが生み出した避難の物語における悲惨で痛ましい一章に幕が下ろされた。
ルクバーンは単なるキャンプではなかった。それは「死の三角地帯」とも呼ばれ、包囲と飢餓の過酷さを象徴する場所であり、体制が人々を荒涼たる砂漠で過酷な運命に晒した証人でもあった。
帰還への一歩一歩のなかで、痛みの砂の間から、すべてのシリア人の心に大きな希望が芽生え、誰もが住める新たな祖国を築こうとする強い決意が湧き上がってくる。
ルクバーンの終焉は、他のキャンプの解体へと続く新たな道の始まりであり、日々新たに湧き起こる意志と、それを支える国家の後押しによって、すべての避難民が自らの家へと帰還する日が訪れるだろう。

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ラーイド・サーリフ緊急事態災害大臣は、ルクバーン・キャンプの解体について、Xを通じて以下の通り綴った。

ルクバーン難民キャンプの閉鎖は、我々の避難民が直面してきた最も過酷な人道的悲劇の一つの終わりを意味する。この一歩が、他のキャンプにおける苦しみを終わらせ、人々が尊厳と安全のうちに故郷へ戻るための道の始まりとなることを願っている。

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SANAはルクバーン・キャンプについて以下の通り報じた。

ルクバーン難民キャンプにおける10年に及ぶ避難生活の苦難は、そこに避難していた家族たちの退去によって幕を閉じた。彼らにとってこのキャンプは長年、旧体制の弾圧から逃れるための避難所であった。
今回の出来事は、単なるテントや簡素な施設の撤去ではなく、長年にわたり包囲と飢餓、基本的サービスの欠如に苦しめられた避難民問題における大きな転換点を意味する。
ルクバーン・キャンプは2014年、砂漠地帯の中心、シリア・イラク・ヨルダン三国国境の交差点に設置された。旧体制の戦争によって家を追われた数万人のシリア人がこの地に避難し、その最盛期には10万人以上を収容していた。しかし、その悲惨な状況は、国際人権団体から「世界最悪の避難所のひとつ」と評されるほどであった。
旧体制による厳しい包囲のもと、キャンプには生活の最低限の条件すら整っておらず、病気や栄養失調が蔓延し、適切な医療があれば防げたはずの死亡例も多数発生した。
避難民たちの苦しみは食料や医薬品の不足にとどまらず、ロシアの支援を受けた旧体制による包囲によって、完全な孤立状態に置かれていた。国連の報告書では、キャンプが包囲され、長年にわたり人道支援の搬入がほぼ不可能であったことが繰り返し指摘されている。
国際機関の度重なる訴えにもかかわらず状況は改善されず、やがて避難民たちはより安全で生活に適した場所を求めて徐々にキャンプを離れていった。
そして、昨年12月8日にシリア国民の革命が勝利し、旧体制の支配から解放されたことで、避難民たちは10年以上前に逃れた故郷への帰還を開始した。この帰還は単に家や土地を取り戻すことではなく、失われた「生活」そのものを取り戻す営みであった。解放後に新たに形成された部族の長老会や地域評議会との連携のもと、家族たちは旧体制の戦争が破壊したものの再建に取りかかっている。
ルクバーン・キャンプの解体は、仮設テントや避難所の撤去にとどまらず、戦争によって強制された悲劇的な避難の時代に終止符を打つものである。国内外の他のキャンプで今も生活を余儀なくされているシリア人にとって、この出来事は避難問題の全面解決、そしてすべての人が故郷に戻るための希望の光となっている。
国家は被災地域の再建に向けたあらゆる手段を講じる姿勢を示しており、シリア現代史におけるこの暗黒の一章はついに閉じられつつある。シリア国民は今、新たな章、「帰還・安定・自由と尊厳ある生活」の章を開こうとしている。

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一方、シリア人権監視団は、ルクバーン・キャンプについて以下の通り紹介した。

2015年後半に設立されたこのキャンプ(ルクバーン・キャンプ)は、紛争地域から逃れてきた数千人のシリア人にとっての避難所となり、2016年には住民の数は約9万人に達していた。

しかし、国際機関が実質的な役割を果たさず、病人の受け入れや人道的支援の提供を拒否したことで、このキャンプは孤立と苦しみの象徴へと変わった。

シリア人権監視団は、このキャンプの状況を特別に重視し、何年も続いた人道的大惨事に対して難民問題を扱う国際機関が沈黙する中、キャンプの避難民たちの声を世界に届けてきた。

ルクバーンの住民たちは、極めて過酷な状況に苦しみ、特に新型コロナウイルスのパンデミック時には、緊急治療を提供していたヨルダン側の医療拠点が閉鎖されたことで、その苦しみはさらに悪化した。

状況はさらに悪化し、2020年第1四半期には、旧体制とそれを支援する「イランの民兵」による厳しい包囲のもと、食料や医薬品の搬入が禁じられ、特に子どもたちの間で死亡例が報告される事態となった。

また、過去数年間にキャンプからの脱出を試みた者は、法的保護や安全の保証がない中で、旧政権の治安部隊による恣意的な拘束の危険に晒されていた。

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イスラエル軍戦車部隊が占領下ゴラン高原からクナイトラ県ジャッバー村郊外に侵入し、シリア領内に向けて集中砲火を浴びせ、その後撤退(2025年6月7日)

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル軍戦車部隊が占領下ゴラン高原からジャッバー村郊外に侵入し、シリア領内に向けて集中砲火を浴びせ、その後撤退した。

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米主導の有志連合が駐留するハサカ県カスラク村の基地に軍事兵站物資を積んだ貨物車輛40輌からなる車列がダイル・ザウル県から到着(2025年6月7日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合が駐留するカスラク村の基地に、軍事兵站物資を積んだ貨物車輛40輌からなる車列がダイル・ザウル県から到着した。

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シャルア暫定大統領とラティーファ夫人は首都ダマスカスの人民宮殿で、全国各地からの女性代表団、学生代表団を迎える(2025年6月7日)

SANAによると、アフマド・シャルア暫定大統領とラティーファ・ダルービー夫人は、首都ダマスカスの人民宮殿で、全国各地からの女性代表団を迎え、イード・アル=アドハー(犠牲祭)の祝辞を受けた。
女性代表団との懇談のなかで、シャルア暫定大統領は「シリアの女性は、活動と建設の歩みにおける中心的要素であり、基本的なパートナーである」と述べた。

SANAは8日、シャルア暫定大統領とラティーファ夫人が女性代表団と面会した際の映像を公開した。

シャルア暫定大統領とラティーファ夫人は続いて、大学生と高校生からなる代表団を迎え、大統領は「シリアの若者たちは、シリア再建プロジェクトの強固な基盤である」と述べた。


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SANAによると、ムルハフ・アブー・カスラ国防大臣は、首都ダマスカスの関係者からなる代表団、部族・氏族評議会の代表団、大学生からなる代表団、ダマスカス郊外県政治局と労働者組合連合の代表団の訪問を受け、イード・アル=アドハー(犠牲祭)を祝う祝辞を受け取った。





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バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使:「トランプ大統領のヴィジョンとルビオ長官の実行力は、単に希望に満ちているだけでなく、実現可能である」(2025年6月7日)

トーマス・バッラク在トルコ米大使兼シリア担当特使は、Xを通じて、ホワイト・ハウスでドナルド・トランプ米大統領、マルコ・ルビオ国務大臣と会談したことを明かした。

ポストの内容は以下の通り。

午後はホワイト・ハウスでトランプ大統領およびルビオ長官とともに、中東問題について話し合った。内容のすべてがトルコとシリアに関するものだった。
大統領のヴィジョンと長官の実行力は、単に希望に満ちているだけでなく、実現可能であることを、私は保証できる。

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シリア人権監視団:2025年に入って以降、イスラエル軍の爆撃や砲撃により35人が死亡(2025年6月7日)

シリア人権監視団は、2025年に入って以降、イスラエル軍の爆撃や砲撃による犠牲者が6月6日の時点で35人を記録していると発表した。

犠牲者の内訳は以下の通り。
アフマド・シャルア移行期政権の国防省部隊兵士:死者9人、負傷者21人
身元不明者(レバノン人):死者2人
民間人:死者15人、負傷者3人
武装した民間人:死者9人

この間のイスラエル軍の攻撃は63回、うち航空攻撃が50回、地上攻撃が10回。

月別の攻撃回数、死傷者数は以下の通り。

2025年1月
攻撃回数:5回(すべて航空攻撃)
標的数:5ヵ所
犠牲者:民間人1人、軍関係者2人

アレッポ県:1回
ダマスカス郊外県:1回
スワイダー県:1回
ヒムス県:1回
クナイトラ県:1回(民間人1人と兵士2人死亡、1人重傷)

2025年2月
攻撃回数:13回(航空攻撃11回、地上攻撃2回)
標的数:16ヵ所
犠牲者:5人(民間人1人、作戦部所属兵2人、レバノン国籍2人)

航空攻撃
クナイトラ県:2回
ダマスカス郊外県:5回(民間人1人、正体不明2人、兵士2人死亡)
ダルアー県:2回
スワイダー県:1回
ヒムス県:1回

地上攻撃
ダルアー県:1回
ダマスカス郊外県:1回

2025年3月
攻撃回数:20回(航空攻撃16回、地上攻撃4回)
標的数:16ヵ所
犠牲者:民間人11人、兵士1人(合計12人死亡)

航空攻撃
ダマスカス郊外県:2回(うち1回はレバノン国境)
ダマスカス県:3回
タルトゥース県:1回
ダルアー県:3回(民間人4人、軍1人死亡)
クナイトラ県:1回
スワイダー県:1回
ヒムス県:4回(うち1回はレバノン国境)
ラタキア県:1回

地上攻撃
ダルアー県:2回(民間人7人死亡、他にも負傷者あり)
クナイトラ県:2回

2025年4月
攻撃回数:6回(航空攻撃4回、地上攻撃2回)
標的:6ヵ所
犠牲者:13人(うち国防省所属兵4人)

航空攻撃
ダマスカス県:1回
ダマスカス郊外県:1回
ハマー県:1回(国防省兵士4人死亡、12人負傷)
ヒムス県:1回

地上攻撃
ダルアー県:1回(地元武装勢力9人死亡)
クナイトラ県:1回

2025年5月
攻撃回数:11回(すべて航空攻撃)
標的:11ヵ所
犠牲者:民間人2人死亡、負傷者12人(うち民間人4人)

航空攻撃
ダマスカス県:1回
ハマー県:2回
ダマスカス郊外県:1回(民間人1人死亡、国防省関係者8人負傷)
ダルアー県:3回
ラタキア県:3回(民間人1人死亡、4人負傷)
タルトゥース県:1回

2025年6月1日〜6日)
攻撃回数:5回(航空攻撃3回、地上攻撃2回)
標的数:9ヵ所

航空攻撃
ダマスカス郊外県:1回
クナイトラ県:1回
ダルアー県:1回
地上攻撃
ダルラー県:1回
クナイトラ県:1回

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シリア人権監視団:前政権崩壊から半年で犯罪や混乱のなかで7,670人が死亡(2025年6月7日)

シリア人権監視団は、前政権崩壊(2024年12月8日)から半年が経過するのに合わせて、国内での犯罪や混乱のなかで死亡した犠牲者が6月6日の段階で7,670人を記録していると発表した。

このうち5,784人が民間人で、女性の犠牲者は422人、子どもは306人にのぼっているという。

月別の犠牲者数は以下の通り:

2024年12月8日~2024年12月31日
総死亡者数:2,354人
民間人:1,894人(男性:1,839人、女性:21人、子ども:34人)
非民間人:460人

2025年1月
総死亡者数:1,122人
民間人:679人(男性:480人、女性:146人、子ども:53人)
非民間人:443人

2025年2月
総死亡者数:603人
民間人:435人(男性:347人、女性:46人、子ども:42人)
非民間人:168人

2025年3月
総死亡者数:2,644人
民間人:2,069人(男性:1,828人、女性:144人、子ども:97人)
非民間人:575人

2025年4月
総死亡者数:452人
民間人:352人(男性:287人、女性:40人、子ども:25人)
非民間人:100人

2025年5月
総死亡者数:428人
民間人:295人(男性:227人、女性:19人、子ども:49人)
非民間人:133人

2025年6月1日〜6日
総死亡者数:67人
民間人:60人(男性:48人、女性:6人、子ども:6人)
非民間人:7人

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旧政権に対する反体制指導者の1人のジョルジュ・サブラー氏が帰国(2025年6月7日)

シリア人権監視団によると、旧政権に対する反体制指導者の1人のジョルジュ・サブラー氏が帰国し、ダマスカス国際空港で支持者らの出迎えを受けた。

サブラー氏は1947年、ヒムス県生まれ。ギリシャ正教徒。

人民民主党(旧シリア共産党政治局派)書記長、シリア国民評議会代表、シリア革命反体制勢力国民連立(シリア国民連合)幹部を歴任。



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イドリブ県で「アブー・アーイシャ・イラーキー」として知られるシャーム解放機構メンバーのイラク人がオートバイに乗った2人組に銃で撃たれて死亡(2025年6月7日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市のマギーラ地区で、正体不明の武装グループが商店を襲撃し、前政権とつながりがあるとされる男性1人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アズマーリーン村で、「アブー・アーイシャ・イラーキー」として知られるシャーム解放機構メンバーのイラク人がオートバイに乗った2人組に銃で撃たれて死亡した。

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米上院がシリアを「ならず者国家」のリストから削除することを承認(2025年6月7日)

米ホワイト・ハウスは6月7日(米東部時間6日)、Xを通じて、上院がシリアを「ならず者国家」のリストから削除することを承認したと発表した。

ポストの内容は以下の通り。

本日、米上院はシリアの名称を「ならず者国家」のリストから削除する決議を承認した。このリストに記載されている国々とは、米国が民生用原子力分野での協力や支援を行うことが禁じられている。
これまで、シリアはこのリストにおいて、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなどと並んで記載されていたが、今や記載はない。
もっとも、「ならず者国家」という呼称は米政府による公式な法的分類ではなく、政治的な表現に過ぎない。一方で、シリアは1979年以降、国務省により「テロ支援国家」に正式に指定されている。この指定により、シリアに対しては長年にわたり、米国からの対外援助の制限、防衛関連品の輸出および販売の禁止、軍民両用物資の輸出に対する厳格な規制、金融取引およびその他の分野での多様な制裁措置といった厳しい制限が課されてきた。

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