ダマスカス県では前日に引き続き軍が攻勢をかける反体制武装勢力と交戦、キール―氏「ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍の交戦はきわめて危険」(2013年2月7日)

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(2月8日付)、AFP(2月7日付)によると、前日に引き続き、ジャウバル区、南部環状地区(ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市)で、軍が県内に攻勢をかける反体制武装勢力と交戦した。

ロイター通信(2月7日付)は、イスラーム旅団のイスラーム・アッルーシュを名乗る戦闘員の話として、ジャウバル区でもっとも戦闘が激しく行われたと報じた。

アッルーシュによると、反体制武装勢力の攻撃は、ムライハ市やアドラー市の基地・拠点が制圧されていない現下において、ダマスカス県の制圧ではなく、同県の防衛ラインに配置されている狙撃地点などの制圧が目的だという。

別の活動家によると、この攻撃は、スンナ派の離反士官によって指揮され、迫撃砲、対空砲、装甲車などが投入されている、という。

これに対し、『ワタン』(2月7日付)は、5日晩に「ダマスカスへの攻撃が行われるとの情報が流れたのを受け…、軍が先制攻撃を行い、テロリストを殺傷、アジトを破壊した」と報じた。

一方、SANA(2月7日付)によると、カーブーン区の遠距離バス発着所(カラージュ・ボールマーン)に反体制武装勢力が迫撃砲2発を発射し、女性、子供を含む市民6人が殺害された。

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ダマスカス郊外県では、AFP(2月7日付)によると、ザマルカー町で軍と反体制武装勢力が交戦した。

またSANA(2月7日付)によると、アルバイン市、ザマルカー町、アドラー市、タッル・クルディー町、ドゥーマー郊外、ハラスター市、ダーライヤー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、スバイナ町、ハジャル・アスワド市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃・追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍が16日間におよぶ戦闘の末、反体制武装勢力からカルナーズ町を奪還した。

またSANA(2月7日付)によると、カルナーズ町、ハウワーシュ村などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊のメンバーなど複数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(2月7日付)によると、マーイル地方、マンナグ村、タッルアラン市、ワディーヒー村、マンスーラ村、サフィーラ市、ハーン・トゥーマーン村などで軍が反体制武装勢力を攻撃・追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、カーディー・アスカル地区などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、ジュンド・シャーム大隊、北部解放旅団、シャームの民のヌスラ戦線、タウヒード旅団のメンバーなど複数の戦闘員、外国人を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(2月7日付)によると、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区、カフル・アーヤー村、アーミリーヤ市、ラスタン市などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月7日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マアッラト・ヌウマーン市、カフルルーマー村、マアリー市、シャグル市、ジャーヌーディーヤ町などで軍が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(2月7日付)によると、サルマー町で軍が反体制武装勢力の武装車輌などを破壊した。

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ハサカ県では、SANA(2月7日付)によると、カーミシュリー市郊外の幹線道路で、軍が反体制武装勢力を逮捕、武器・弾薬を押収した。

反体制勢力の動き

ミシェル・キールーは『シャルク・アウサト』(2月7日付)に対して、ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍の交戦を「きわめて危険でシリア全土に影響をもたらしかねない」と警鐘を鳴らす一方、自身の「市民平和革命保護国民委員会」による停戦努力がシリア革命反体制勢力国民連立の活動の一環ではないことを明らかにした。

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シリア革命反体制勢力国民連立のリヤード・サイフ副議長が声明を出し、アフマド・マアーッズ・ハティーブ議長がアサド政権との条件付きでの対話に応じる意思を示したことに関して、原則支持の姿勢を表明しつつ、アサド家の排除を通じて対話を積極的に進めるべきだと主張した。

同声明でサイフ副議長は、政治的解決がアサド大統領、およびアサド家が支配を続ける限りは不可能としたうえで、シリア社会のすべての勢力にアサド家排除が必要だとのメッセージを発信することで、条件付き対話を積極的に推進すべきだと述べた。

また、ロシア、イランにアサド政権支持を断念するよう求めた。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダーム報道官は、AKI(2月7日付)に対して、委員会が入閣をめぐってアサド政権と密約を交わしたとの一部報道を否定し、「民主的体制のもとで主導される移行期政府以外は参加しない」と述べた。

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ザマーン・ワスル(2月7日付)は、ヒムス市の活動家の話として、自由シリア軍が6日にアフマド・ムニール・ムハンマド県知事襲撃を試みたと報じた。

活動家らは、この襲撃の目的が暗殺ではなく、「ヒムスの人口構成を変えようとする体制への協力という犯罪行為」を止めさせることだったとして、暗殺が失敗したことを自己正当化した。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(2月7日付)は、民主統一党人民防衛隊が、ハサカ県のイラク国境に近いカフフ村(バーニー・シャクヴァティー村)を包囲したと報じた。

村で人民防衛隊の兵士が発砲を受けたのが理由だという。

諸外国の動き

イスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談が閉幕声明を発表し、閉会した。

閉幕声明では、エジプト、イラン、サウジアラビア、トルコによるシリア問題四カ国連絡グループがシリアの危機解決のため具体的な努力を行うことを確認した。

また国連安保理がシリアの危機をめぐって有効策を打ち出せないことに懸念を表明しつつ、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の活動への支持を改めて表明した。

さらに反体制武装勢力の統合を呼びかけた。

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イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は滞在先のカイロで記者会見を開き、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領、トルコのアブドゥッラ・ギュル大統領との三者会談で、シリアの危機解決に向けて参加国の姿勢が徐々に接近しつつあると述べた。

アフマディーネジャード大統領は「自由と選択の自由はすべての国民の権利で、侵害されてはならない基本的権利だ…。すべての政府は国民にこの権利を保障することを付託されている」としたうえで、「自由は、戦争によってではなく、政府と国民の相互理解によってもたらされる」と強調した。

そのうえで「政府と反体制勢力の立場を愛国的相互理解を通じて近づけたい…。幸運なのは、エジプト、イラン、トルコの見方が少しずつ近寄っていることだ」と述べた。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領はトルコのアブドゥッラ・ギュル大統領と改めて会談し、シリア情勢などについて協議した。

会談後の記者会見で、ムルスィー大統領は「我々は四カ国のイニシアチブの枠組みのなかで新たなアイデアを提示し、シリアをめぐる問題のそのほかの当事者にともにこのイニシアチブをどう完成させるかを協議した」と語った。

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レオン・パネッタ米国防長官とマーティン・デンプスィー米統合参謀本部議長は上院軍事委員会で、国防総省がシリアの反体制勢力への武器供与を支援していたことを認めた。

シリアの反体制勢力への武器供与案は、2012年夏にヒラリー・クリントン国務長官、デヴィッド・ペトレイアスCIA長官によって示されたが、バラク・オバマ大統領は、紛争激化を懸念して、この提案を却下した。

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イスラエルのテレビ局チャンネル2は、米国のデジタル・グローブ社が撮影した衛星画像にダマスカス郊外県ジャムラーヤーの軍科学研究センターが破壊されていない状態で写っていたと報じた。

この画像はイスラエル軍の越境空爆後に撮影されたという。

AFP, February 7, 2013、Akhbar al-Sharq, February 7, 2013、AKI, February 7, 2013、al-Hayat, February 8, 2013、Kull-na Shuraka’, February 7, 2013、al-Kurdiya News,
February 7, 2013、Naharnet, February 7, 2013、Reuters, February 7, 2013、SANA,
February 7, 2013、al-Sharq al-Awsat, February 7, 2013、al-Watan, February 7, 2013、Zaman al-Wasl, February 7, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国民評議会は自由シリア軍がダマスカス県とイドリブ県などで重要な勝利を収めたと突如発表、自由シリア軍参加のハサカ県革命軍事評議会は声明を出し人民防衛隊との停戦継続の条件を提示(2013年2月6日)

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(2月6日付)は、アレッポ県アレッポ市で、「国民対話会合:憲章、救済プロジェクト」と題して、県内の宗教界、経済界、有識者、若者らによる会合が開催されたと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は突如声明を出し、自由シリア軍がダマスカス県とイドリブ県マアッラ・ヌウマーン市の複数の戦略拠点などを攻撃し、重要な勝利を収めた、と発表し、「重要な勝利」の詳細を明らかにしないまま、シリア革命反体制勢力国民連立を含むすべての反体制勢力に自由シリア軍への支援を煽動した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長はBBC(2月6日付)に対して、アサド政権との条件付きでの対話の呼びかけが「審判の日まで続くわけではない。来週日曜日(2月10日)までの女性の釈放。シリアで(日曜日に)女性が一人でもいることが分かれば、このイニシアチブは政権に拒否されたものとみなされる」と述べた。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア渉外局長は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長がアサド政権との条件付きでの対話に応じる意思を示したことに関して「連立発足以来もっとも重要な政治的出来事」としたうえで、この意思表明によってアサド政権の危機解決政治プログラムは「致命傷を負った」と述べた。UPI(2月6日付)が報じた。

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RT(2月6日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立がニューヨークに国連代表部とワシントンに駐米代表部を開設する準備を進めていると報じた。

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ハサカ県革命軍事評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊との停戦継続の条件として、クルド民族旗の掲揚禁止と、シリア革命反体制勢力国民連立に同市を明け渡すよう求めた。

自由シリア軍に属すると主張する同評議会の声明にいて受諾が要求されている項目は以下の通り:

1. シリア革命反体制勢力国民連立はシリアの政治、行政を運営する唯一の勢力である。
2. 民主統一党の民兵のラアス・アイン市からの撤退と、自由シリア軍の駐留。
3. ラアス・アイン市のすべての勢力からなる自治評議会の発足。
4. 自由シリア軍によるラアス・アイン市および同市周辺の住民への攻撃停止。
5. 自由シリア軍によるハサカ県の旅行者・商品の往来の保障。
6. 民主統一党の検問所撤廃。
7. 自由シリア軍が管理するラアス・アイン市の国境通行所の公認。
8. ハサカ県でのクルド民族旗の掲揚禁止。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会のユースフ・ファイサル議長はクルド語のサイトを通じて声明を出し、そのなか「我々は、(シリア革命反体制勢力国民連立の)ハティーブ議長はイニシアチブに関心はない。なぜなら彼は我々に相談しなかったし、我々はそのことを承認しないからだ。いずれ必要な時に我々の態度を明示する」と批判した。

そのうえで「シリア・クルド国民評議会は、多元的民主国家建設をもたらし、シリアにおけるクルド人民の完全な権利を保障する政治的解決を支持する」と付言した。

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(2月8日付)によると、反体制武装勢力が県内各所を制圧するための攻撃を開始したのを受け、共和国護衛隊がジャウバル区、南部環状地区に対して砲撃を加えた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月6日付)によると、アルバイン市、ザマルカー町、ハラスター市、スバイナ町、タッル・クルディー町、ドゥーマー市郊外、フジャイラ村、ザバダーニー市、ヒッラーン・アワーミード村、カフリーン町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(2月6日付)によると、サフィーラ市、アターリブ市、アナダーン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、バニー・ザイド地区、カルム・マイサル地区、スッカリー地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月6日付)によると、ジャズラ市の浄水場を襲撃した反体制武装勢力を、軍が撃退した。

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ヒムス県では、SANA(2月6日付)によると、タドムル市で、反体制武装勢力が自爆テロを行い、女性1人を含む市民多数が死亡、数十人が負傷した。

シリア人権監視団によると、この自爆テロは総合情報部の支部に対して行われ、19人が死亡した、という。

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ハマー県では、SANA(2月6日付)によると、ブラーク村にある工場(防衛工場機構)近くで、反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、多数が死傷した。

諸外国の動き

エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領は、イスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談の開会の辞で、シリア革命反体制勢力国民連立以外の反体制勢力に連立との協調を呼びかけるととともに、アサド政権には「私益を国益に優先させる者は去り、国民が残ると歴史が語っている」と述べた。

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サウジアラビアのサルマーン副首相兼国防大臣はカイロで開催されたイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談で、アブドゥッラー国王に代わって演説し、「アラブ・イスラエル紛争とシリア危機悪化はイスラーム世界が直面する最大の危機」と位置づけ、これらの問題にサウジアラビアが「歴史的、宗教的」な立場に基づいて対処していると述べた。

シリア情勢に関しては、シリアの人道状況の悪化がアサド政権による殺戮、拷問によるものだと一方的に非難し、「シリア国民の犯罪や暴力を抑止するための必要な決議を採択し、すべての可能な手段で体制転換を完了させるべきだ」と国連などに求めた。

しかし、サルマーン副首相兼国防大臣は、サウジアラビアが陰に陽に支援するシャームの民のヌスラ戦線などのテロの是非については触れなかったにもかかわらず、「テロは人間社会の安全と平和に対する危険な現象」だと指摘、「テロとの戦いにあらゆる手段をもって取り組んでいる」と矛盾した発言をした。

なおアブドゥッラー国王は首脳会談開催直前に「個人的な事情」(『ハヤート』2月7日付)で帰国した。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領、トルコのアブドゥッラ・ギュル大統領がカイロで会談し、シリア情勢について協議した。

エジプトのヤースィル・アリー大統領報道官によると、会談では、シリアにおける殺戮やインフラ破壊を停止させる仕組みについて意見が交換された。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣はイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談出席のため訪問したカイロで記者団に対して、「みなが…シリアでの危機解決の最初のステップを踏み出そうとしている…。我々、反体制勢力、ムアーッズ・アフマド・ハティーブ同志、そして関係諸国がだ」と述べた。

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北京訪問中のファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、中国の楊潔チ外交部長と会談した。

会談で楊外交部長は、シリアでの早急な危機解決と安定回復を希望すると述べる一方、中国が、客観的かつ公正な立場で政治的解決に向けた努力を続けるとの意思を示した。

SANA(2月6日付)が報じた。

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アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は東京を訪問し、岸田文雄外務大臣らと会談した。

AFP(2月7日付)によると、グレーテル高等弁務官は、シリア情勢に関して「我々が現在対処すべき最悪の災害」と述べ、人道支援を呼びかけたという。

日本政府は民主党政権以来、欧米諸国とともに、アサド政権に退陣を求める一方、在外活動家からなるシリア革命反体制勢力国民連立を支援する立場をとることで、シャームの民のヌスラ戦線などサラフィー主義者のテロを事実上後押してきた。

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クルディーヤ・ニュース(2月6日付)は、イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領の指示のもと、イラクからシリアのクルド人地域に小麦1,000トンが人道支援として提供された、と報じた。

AFP, February 6, 2013、Akhbar al-Sharq, February6 , 2013、BBC, February 6, 2013、al-Hayat, February 7, 2013, February 8, 2013、Kull-na Shuraka’, February 6, 2013、al-Kurdiya
News, February 6, 2013、Naharnet, February 6, 2013、Reuters, February 6,
2013、RT, February 6, 2013、SANA, February 6, 2013、UPI, February 6, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ラアス・アイン市でクルド最高委員会とキール―氏含む「市民平和革命保護国民委員会」が会合を開き、民主統一党と自由シリア軍の間の戦闘を停止させる手段について協議(2013年2月5日)

国内の動き(シリア政府の動き)

『ワタン』(2月5日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との対話に応じる意思を示したことに関して、「ハティーブの発言には欠けているものがあり、国民に最低限受け入れられる対話、協議をもたらすには不充分だ」と報じた。

また「この声明はヌスラ戦線を擁護した過ち…を正そうとする政治的計略と評価し得る…。政治的には重要な発言だが、2年近く、機を逸したものである」と付言した。

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クッルナー・シュラカー(2月5日付)は、複数の消息筋の話として、ラーミー・マフルーフがベラルーシでのシリアテルの支店開設の認可を得た、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(2月5日付)は、アサド政権と民主的変革諸勢力国民調整委員会の間で、次期内閣において後者が6閣僚に配分されるとの秘密合意がなされている、と報じた(未確認情報)。

6閣僚とは、教育大臣ないしは高等教育大臣、環境大臣、経済大臣、農業大臣、国務大臣の5閣僚と、もう1閣僚はハイサム・マンナーアに与えられるポストだが任所は未定だという。

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Syria News(2月6日付)は、シリア・ポンドの米ドルに対する買為替レートが1ドル=80.20ポンドに、売為替レートが80.50ポンドに改訂された、と報じた。

これまではそれぞれ79.27、79.99ポンドだった。

なお闇レートは、平均で92.75、93.50ポンド程度で推移しているという。

反体制勢力の動き(在外)

シリア国民評議会執行部は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との交渉の意思を示したことを「革命の目的と義務に反している」と断じたうえで、「連立の制度のもとで諮られておらず、また協議もされていない個人的決定で…連立の結成合意に矛盾している」と拒否した。

またイランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣との会談については、「イランが現体制を支持する限り、シリア国民評議会が拒否している措置」と非難した。

そのうえで、こうした独断行動が反対勢力の亀裂を助長すると警鐘を鳴らした。

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シリア革命総合委員会メンバーでヒムス県の活動家だというハーディー・アブドゥッラーは、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との対話に応じる意思を示したことに関して、「残念ながら、体制による破壊と殺戮の…時間を与えた…アラブ諸国や国連のこれまでのイニシアチブ以下」と非難した。

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シリア革命反体制勢力国民連立メンバーでシリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー前事務局長は、イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領に対して謝意を示した。

スィーダー事務局長は、バールザーニー大統領が、かつてシリア革命への支持を表明したこと、クルド人どうしの対立を解消すべくクルド最高委員会の設立を支援したこと、シリアへの人道支援を支援していることに謝意を示した。

反体制勢力の動き(国内)

ドゥーマー市で反体制活動をしているというアブー・ナディームなる活動家はフェイスブック(2月5日付)で、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との対話に応じる意思を示したことに関して、「親愛なるダウトオールよ、我々がアサドの占領を終わらせるために交渉するのが気に入らないなら、兵站を送るか、黙ってろ」と綴り、支持を表明した。

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クッルナー・シュラカー(2月5日付)は、シリア報道と表現の自由センターのマーズィン・ダルウィーシュ代表、フサイン・ガリール、ハーニー・ズィーターニーが釈放されたと報じた。

また収監中のアブドゥッラフマーン・ハマーダ、マンスール・ウマリーの2人も近く釈放される、という。

5人は2012年2月にダマスカスで空軍情報部に人のメンバーとともに逮捕されていた。うち8人は5月に釈放されていた。

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ユーチューブ(2月5日付)で、反体制武装勢力(ファトフ旅団メンバー)が軍に協力したとの理由で市民4人を処刑するビデオがアップされた。

シリア人権監視団によると、このビデオは2012年1月にアレッポで撮影されたものだという。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(2月5日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市でクルド最高委員会と「市民平和革命保護国民委員会」が会合を開き、民主統一党保護部隊と自由シリア軍の間の戦闘停止の方途をめぐって協議した。

「市民平和革命保護国民委員会」はシリア民主フォーラムのミシェル・キールー代表、アブドゥルバーリー・ウスマーン、タミーム・ザーヒド、ヤースィル・イヤードからなり、両者の停戦を実現するために5日にトルコからシリアに入国した。

一方、クルド最高委員会側からは、イルハーム・アフマド、アブドゥッサラーム・アフマド、イスマーイール・ハムユ、アフマド・スライマーン、アールダール・ハリールが協議に参加した。

民主統一党によると、この会合で、クルド最高委員会は、自由シリア軍との対話開始を提案するとともに、委員会によるラアス・アイン市の自治、すべての武装勢力の撤退、被災者への物資提供の自由の保障などを提案した。

なお民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘は1月30日以降小康状態にある、という。

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シリア・クルド国民評議会は、ハサカ県ダイリーク市(マーリキーヤ市)郊外のスィーマールカーとティグリス川対岸のイラク(イラク・クルディスタン地域政府実効支配地域)のフィーシュハーブールの間の国境通行所を開設し、通商関係強化を図ると発表した。

数日中に、ティグリス川に軍事用橋梁を架けるという。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サビール地区のマルハブ兵舎周辺で軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、多数の死者が出た。

また軍は、ハナースィル市を制圧し、サフィール市およびアレッポ市南西部に向かって進軍した。この進軍は、反体制武装勢力によるワーハ市とサフィーラ市の科学研究センターの包囲を解除することが目的だという。

なおハナースィル市制圧では、子供6人を含む市民9人が死亡したという。

一方、SANA(2月5日付)によると、タッル・ハースィル村・タッルアラン市間の交差点、ハナースィル市、サフィーラ市、カフルナーハー村、マーイル町、ジャブール市などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、複数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

またアレッポ市では、シャッアール地区、バニー・ザイド地区、マサーキン・ハナーヌー地区、シャイフ・サイード地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

他方、アレッポ市ではアフマド・ハムザ人民議会議員の兄弟のハーリド・ハムザが反体制武装勢力に拉致され、殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カルナーズ町が軍の空爆・砲撃を受けた。

一方、SANA(2月5日付)によると、ムガイル村で軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殲滅、拠点・装備を破壊、同村を制圧した。

またハルファーヤー市での戦闘で、軍はファールーク大隊の複数の戦闘員を殲滅した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市などが軍の空爆・砲撃を受けた。

一方、SANA(2月5日付)によると、ダーライヤー市、ザバダーニー市、タッル・クルディー町、ドゥーマー市郊外、ハラスター市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、武器・拠点を破壊した。

またハーン・シャイフ(パレスチナ難民キャンプ)地方の住宅地で、反体制武装勢力が車に仕掛けようとしていた爆弾が誤爆し、戦闘員2人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(2月5日付)によると、ガントゥー市、ヒムス市ジャウバル区、スィブガ地区、タルビーサ市、タッルドゥー市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(2月5日付)によると、アブー・ズフール航空基地の襲撃を試みた反体制武装勢力を軍が要撃し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

またジスル・シュグール市郊外のヤアクービーヤ村、シャグル村、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺などで、軍が反体制武装勢力と交戦、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月5日付)によると、ダイル・ザウル市内各所、サーリヒーヤ市、ヒサーン村、アザーウィー村で、軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殲滅した。

諸外国の動き

『ハヤート』(2月6日付)は、フランスのジェラール・オロ国連代表大使がアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が「シリアの危機解決の鍵を米国とロシアが握っていると考える過ちを犯した」と述べた、と報じた。

オロ国連代表大使はまた「米国とロシアが明日合意したとしても、シリアを救済することなどできない…。なぜなら現地で戦っている者がシリアの運命を決めるからだ」と付言した。

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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との対話に応じる意思を示したことに関して、「シリア政府が和平に少しでも関心があるなら、今席につき、連立と話をしなければならない。そうすれば我々はハティーブの呼びかけを強く支援するだろう」と述べた。

しかし「ハティーブは…アサド政権に安住の地がなければならないと考えているとは思わない」と付言した。

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イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領は、マヤーディーン(2月5日付)に対して、「戦争は解決策ではない…。戦争をもって支配する政府にとって、その執政はきわめて難しい。同じ方法で権力に付く集団にとっても、執政はきわめて困難だ…。シリアで宗派戦争が行うべきでない」と述べ、「国民どうしの愛国的相互理解を実現」を呼びかけた。

一方、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆については「弱さゆえの行動」と非難した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との対話に応じる意思を示したことに関して、「このような対話の開催を促すのに必要なあらゆる支援を行う」と歓迎の意を示した。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は中国を訪問し、北京の外交部で翟雋外交副部長と会談した。

SANA(2月5日付)によると、会談で、ミクダード副大臣は危機解決政治プログラムについて説明、支持を求めた。

これに対して、翟外交副部長は、中国が2012年6月のジュネーブ合意、国際法、国連憲章に基づき、シリアの危機への外国の干渉を認めないとの姿勢を改めて示した。

AFP, February 5, 2013、Akhbar al-Sharq, February 5, 2013、Facebook, February 5, 2013、al-Hayat, February 6, 2013、Kull-na Shuraka’, February 5, 2013、al-Kurdiya News,
February 5, 2013、al-Mayadin, February 5, 2013、Naharnet, February 5, 2013、Reuters,
February 5, 2013、SANA, February 5, 2013、Syria News, February 6, 2013、Youtube,
February 5, 2013、al-Watan, February 5, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハティーブ議長が政権退陣を前提に「シャルア副大統領」と対話を行う用意があると述べ、アサド大統領には危機解決に向けた対話に対する「明確な姿勢」を呼びかけ(2013年2月4日)

国内の動き(シリア政府の動き)

『イクティサーディー』(2月4日付)は、財務省が128人の資産を「テロ活動に関与した」容疑で凍結した、と報じた。

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カルディア教会アレッポ副司教区のアントワーン・オードー司祭はAFP(2月5日付)に対して、アレッポ市内のキリスト教徒の惨状を訴える一方、「西欧は(シリアの)キリスト教徒に何ら関心を払っていない。誰も我々に耳を傾けていないかのようだ。彼らにとって我々が生きようが死のうが関係ないのだ。西欧にとっての最優先は経済力と消費社会だけなのだ」と批判した。

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ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣はシリア・アラブ・テレビ(2月4日付)のインタビューに応じ、そのなかでイスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆について「成果を出さない反体制武装集団を我々が追撃していることへの報復として空爆した」との見方を示した。

フライジュ国防大臣によると、イスラエル軍戦闘機が破壊したダマスカス郊外県ジャムラーヤーの軍科学研究センターは、反体制武装勢力がたびたび制圧を試み襲撃していた、という。

国内の暴力

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市北部に展開する第17師団司令部の北東部で軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マイダーン地区で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、車を運転していた男性1人が負傷した。

またカーブーン区で軍が砲撃を行い、子供1人を含む3人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カフルバトナー町、ハラスター市、ザマルカー町、ドゥーマー市、ハジャル・アスワド市などが空爆・砲撃を受けた。

一方、SANA(2月4日付)によると、タッル・クルディー町、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ダーライヤー市、アドラー市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(2月4日付)によると、カフルナーヤー市、フライビル村、ハナースィル市、クシャイシュ市、ICARDA周辺などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市のカーディー・アスカル地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区、シャイフ・サイード地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月4日付)によると、アブーズフール航空基地を熱ミサイルで攻撃しようとしていた反体制武装勢力を軍が攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

またナイラブ村、シャビーバ軍事基地周辺などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

一方、自由シリア軍自由大隊の副司令官を名乗るナキブ・ハサンなる活動家は、AFP(2月4日付)に対して、反体制武装勢力がジスル・シュグール市を包囲し、同市攻略を進めているが「3~4のアラウィー派の村が同市への我々の突入を阻んでいる」と述べた。

ジスル・シュグール市郊外の農村住民によると、これらの村から攻撃があった場合、軍が村を破壊すると警告しているため、反体制武装勢力は同市への進軍ができないという。

AFP(2月4日付)によると、ジスル・シュグール市、イドリブ市はイドリブ県において反体制武装勢力の手に落ちていない二大都市で、ジスル・シュグール市周辺にシャームの民のヌスラ戦線はいないが、シリア人サラフィー主義者からなるシャーム自由人大隊が展開しているという。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月4日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で軍が反体制武装勢力と交戦し、ファルカーン旅団、カーディスィーヤ大隊メンバーを含む複数の戦闘員を殺傷した。

またジャズラ市でも軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(2月4日付)によると、ダルアー市、ハルバ・カイス村、タスィール町、ワーディー・ヤルムーク市、サフム・ジャウラーン村、シャイフ・マスキーン市、イズラア市、ヒルバト・ガザーラ町、タイバ町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(2月4日付)によると、タッルカラフ地方に潜入しようとした反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、多数の戦闘員を殺傷した。

またラスタン市郊外、カフル・アーヤー村、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ロシア外務省は、声明を出し、シリアの「過激派」が2月3日にロシア人2人とイタリア人1人を釈放したと報じた。

この3人は2012年12月12日にヒムス県ハスヤー市一帯の街道で拉致され、釈放にあたってシリア当局が反体制武装勢力の戦闘員複数名を釈放した。

これに関して、SANA(2月4日付)は、シリア当局が外国人質3人の「解放作戦」を実行したと報じた。

同報道によると、釈放されたロシア人の1人はアレッポ県の鉄鋼所で働く技師、もう1人は通訳だという。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、アラビーヤ(2月4日付)のインタビューに応え、そのなかでファールーク・シャルア副大統領と政権退陣を前提に対話を行う用意があると述べた。

インタビューのなかで、ハティーブ議長は「重要なのは、体制が退陣のための対話という原則を受け入れることだ…。個人的には、体制がこれを受け入れれば、我々が扉を閉ざすことはあってはならないと考えている」と述べた。

ハティーブ議長は外国の圧力を受けて、政権との条件付きでの対話に応じる意思を示したのではないと断じたうえで、政権内の具体的交渉相手を誰にするかについて「例えば、副大統領だ。彼は危機開始当初から、事態が正しい方向に向かっていないと考えていた」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はジャズィーラ(2月4日付)を通じて、アサド大統領に危機解決のための対話に対する「明確な姿勢」を示すよう呼びかけた。

ハティーブ議長は「体制は明確な姿勢をとらねばならない。我々は国益のために手を差し伸べている。我々が平和的に退陣するよう支援しようとしている。現下の体制におけるイニシアチブとは是非を述べることだ」と続けた。

また「事態を解決したいと思うなら、体制は参加してもよい…。真剣で誠実であれば放り出されることはなく、反体制勢力によって歓迎されるだろう」と述べた。

さらに「体制がこの危機から国民を脱出させたいなら、我々はみな、人命喪失や破壊を最小限に食い止めるかたちで国益と政権退陣のために助け合うだろう」と付言した。

そのうえで「私は体制に、国民へ傲慢で上から目線の考え方を止めよと、言いたい。バッシャール博士よ、この国は深刻な危機に曝されていると私はお前に言いたい。少しでもいいから蛮行を止めよ。眠る前にお前の子供の目を見れば、少しは人間性が戻るはずだ。解決策が分かるだろう」と述べた。

一方、ミュンヘンでのロシア外相、米副大統領との会談の内容に関して、「すべての反体制勢力の間で合意されていることがある。我々はさらなる流血と破壊を望んでいない。それゆえ危機解決のため政治的イニシアチブをとっている…。このイニシアチブによって体制は去らねばならない…。これが会談の基軸をなしていた」と述べた。

また「アメリカ人、ロシア人、イラン人、欧州人のなかに解決策をイメージできるものなどいない。シリア国民のみが解決策を決する。それゆえ我々は、シリアの体制指導部に、さらなる破壊が生じるまえに出口を探させよ、と言いたい」と強調した。

さらに「国民にさらなる流血を避けたいという明確なメッセージを伝えたいなら、私が要求した通り、まずは逮捕者を釈放することから始めよ…。私は冗談を言っているのではない。政治的ジョークではない…。一度でもいいから真剣に対処するよう体制に求めているのだ」と付言した。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のムンズィル・ハッダーム広報局長はフェイスブック(2月4日付)で声明を出し、そのなかでシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長がアサド政権との条件付きでの対話を行う意思を示したことに関して「歓迎の意」を示した。

声明でハッダーム局長は「ハティーブ議長の発言は、国民調整委員会をはじめとする民主的勢力、人民大衆から歓迎されている」と述べた。

そのうえで「国民調整委員会、連立、シリア民主フォーラム、シリア国民救済大会参加組織、ジュネーブでのシリア反体制勢力大会参加組織をはじめとする様々な反体制勢力が連絡を強化し、交渉の基礎と原則に関して合意形成するための会合を開く」ことを呼びかけた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、党機関紙『アンバー』(2月4日付)で、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権との対話に応じる意思を示したことを「大胆な決断」と支持した。

諸外国の動き

クルディーヤ・ニュース(2月4日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市で戦闘を続ける民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍・サラフィー主義者の調停を行うため、トルコから入国しようとしているミシェル・キールー(シリア民主フォーラム代表)ら「市民平和革命保護国民委員会」をトルコ当局が妨害している、と報じた。

同報道によると、「市民平和革命保護国民委員会」は対シリア国境の国境通行所で3時間待たされた末、翌日の訪問を伝えられたという。

国境通行所のシリア両側では、クルド最高委員会の使節団が4時間にわたって「市民平和革命保護国民委員会」の入国を待っていたという。

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『ハヤート』(2月5日付)は、2月6日にカイロで予定されているイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談の準備会合で、閉幕声明のシリア情勢に関する文言の内容をめぐって、イランを含む各国が、サウジアラビア、トルコと対立していると報じた。

同報道によると、イランを含む各国は、アサド政権による弾圧を一方的に批判するのでなく、すべての当事者に暴力停止を呼びかけることを主張したのに対し、トルコとサウジアラビアはアサド政権を非難することに固執したという。

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イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記長は滞在先のダマスカスで記者団に対して、「シオニスト政体は、33日戦争、22日戦争、8日戦争(レバノン紛争、2008年と2012年のガザ侵攻)のときと同じようにシリアに対して最近行った空爆を後悔するだろう」と述べた。

またジャリーリー書記は「シリアの国民と政府はこの問題を深刻に捉えており、イスラーム世界はシリアを支援する…。アサド大統領はシオニスト政体との戦闘においてイスラーム世界の最前線に位置している」と付言した。

一方、シリア国内の混乱については、「当初から、我々はすべての当事者に対話のテーブルにつき、国民対話を実現させるよう求めてきた…。アサド大統領のイニシアチブはこの対話の基礎となるだろう」と述べた。

また「善意を示した者(シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長)は、これまでに自分たちが依拠してきた誤った方法から目を背けねばならない。解決策は国民の権威のもとに結実せねばならず、国民が自らの運命を決めねばならない」と付言した。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は訪問先のベルリンで、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長との会談について触れ、「対話を継続することで合意した」と述べた。

また「シリア軍は強大で、充分な能力を持っている。外国からの戦闘員など必要ない…。我々は(アサド政権に)経済支援を行っている。ガソリンや小麦を送っている。またイラク経由で電力を供給しようとしたが、この試みはいまだ成功していない」と述べた。

AFP, February 4, 2013、Akhbar al-Sharq, February 4, 2013、Alarabia.net, February 4, 2013、Aljazeera.net, February 4, 2013、DP-News, February 5, 2013、Facebook, February 4, 2013、al-Hayat, February 5, 2013、al-Iqtisadi, February 4, 2013、Kull-na Shuraka’, February 4, 2013、al-Kurdiya News, February 4, 2013、Naharnet, February 4, 2013、Reuters, February 4, 2013、SANA, February 4, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア、イラン、ロシアはともにハティーブ議長によるアサド政権との対話の意思について歓迎の意を示す、一方トルコやカタールなどは不快感をあらわに(2013年2月3日)

国内の動き(シリア政府の動き)

アサド大統領はシリアを訪問中のイランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記と会談し、イスラエル軍によるシリアへの越境空爆などについて協議した。

SANA, February 3, 2013
SANA, February 3, 2013

SANA(2月3日付)によると、アサド大統領は会談で、越境空爆によって、イスラエルが敵対的な外国勢力とともにシリアに対して行っていることの真の役割が、シリアの不安定化と弱体化にあることが暴露された、と述べた。

一方、ジャリーリー国家安全保障最高会議書記は、越境空爆に対して、シリア政府が英知をもって対処すると信頼していると応えるとともに、イランがシオニストという敵に対してレジスタンスを続けるシリア国民を全面支援し、外国の陰謀や計略に立ち向かうために引き続きシリアと調整を行うと述べた。

またシリア国内の混乱に関しては、アサド大統領が提示した危機解決政治プログラムを高く評価し、国民対話実施に向けてイランが全面支援を行う用意があることを改めて伝えた。

なおジャリーリー国家安全保障最高会議書記はアサド大統領との会談に先立ち、記者団に対して「イランはシリアに対して、イスラエルの攻撃に対する応えを期待している」と述べた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住大臣は、イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記と会談し、「イスラエルのシリアに対する残忍な攻撃は、シリアのインフラ、開発施設を破壊するために武装テロ集団と直接関係を持っていることを示すもので、イスラエルと武装テロ組織の役割は調和している」と述べた。

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アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長が条件付きで政府との対話の意思を示したことに関して、「対話の扉は、それを望むすべての者に例外なく開かれている…。対話には暴力を拒否するという基礎があるが、これは条件ではなく、対話を成功させる要素だ」と述べた。

またハティーブ議長が条件として提示した、在外シリア人のパスポート延長については、ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会が法的追求の停止、在外活動家受け入れのための文書発行の保証を進めていると述べた。

さらに、逮捕者16万人の釈放については、シリア革命反体制勢力国民連立に逮捕者リストの提示を求めたいとの意向を示した。

ダマス・ポスト(2月3日付)が報じた。

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AFP(2月3日付)は、非欧米諸国のNGOがイラクからトルコ経由でシリア北西部の4つの避難民キャンプに、人道支援の一環として燃料ストーブ2,000台を提供したと報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、アレッポ市アンサーリー地区で軍の空爆により女性1人、子供5人を含む11人が死亡したとシリア人権監視団が発表した。

活動家によるとアンサーリー地区は反体制勢力の制圧下にはない、という。

また同監視団などは、アレッポ市で、イブラーヒーム・アッズーズ元人民議会議員が、妻と娘2人とともに「反体制武装勢力の手で殺された」と発表した。

一方、SANA(2月3日付)によると、アレッポ市シャイフ・サイード地区で、大量の武器を持ち込もうとした反体制武装勢力を軍が攻撃し、戦闘員を殲滅、武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市でイスラーム主義の反体制武装勢力が「結球し、大きく前進した」とシリア人権監視団が発表した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月3日付)によると、タッル・クルディー町、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、ザバダーニー市で、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、ハムザ大隊、アカバ・ブン・ナーフィウ大隊、イスラーム旅団、殉教大隊メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月3日付)によると、アリーハー市、アブー・ズフール市、タッル・サラムー村、ウンム・ジャリーン村、ハミーディーヤ村、ブサンクール村、ラーミー村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(2月3日付)によると、タッルカラフ市郊外のザーラ市、カルアト・ヒスン市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ラッカ県では、シャームの民のヌスラ戦線とタブカ自由人大隊が、軍との戦闘の末、ラッカ市とタブカ市の間に位置するバアス・ダムと周辺の農村を制圧したとシリア人権監視団が発表した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長は、フェイスブック(2月3日付)でミュンヘンでの各国外相らとの会談での自身の発言の要旨を発表した。

それによると発言の主な内容は以下の通り:

1. 国際社会はシリア国内でのアサド政権による虐殺に充分対処していない。
2. 化学兵器をめぐる言説は、イラクの大量破壊兵器問題のウソに似た奇異な問題ではあるが、アサド政権はすでにあらゆる兵器を用いて国民を虐殺している。
3. 革命家たちの銃は、シリア国民が自由を得るまで下ろされることはない。
4. 「我々の軍」は現地で大きな成功と成果を収めているが、善意として政府との対話の意思を表明し、平和的な政権退陣もめざす。

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シリア革命反体制勢力国民連立の政治委員会メンバーの一人は、ムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長とイランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣と会談に関して、「政治的な嵐を巻き起こした。イラン外相との会談はまったく不必要だ。なぜなら無駄だからだ。イランはアサドを全面支援している。このままだと彼はシリア外相とも会談してしまうだろう」と厳しく非難した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のワリード・ブンニー報道官は、「ボールはロシア・サイドにある…。ロシアは国民への殺戮を行う者ではなくシリア国民の公正な要求を支持しなければならない…」と述べ、ロシアがアサド政権に圧力をかけることへの期待を寄せた。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド民主党(アル・パールティ)のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長は、『サフィール』で民主統一党サーリフ・ムスリム共同党首がイラク・クルディスタン地域のマスウード・バールザーニー大統領を批判したことを受け、フェイスブック(2月3日付)で「ムスリムはシリア政府と関係がある。それは純粋に治安に関わるもので、中級士官から情報発信というかたちをとっている」と述べた。

また「民主統一党がクルド人地域を支配しているというのは正しくない。シリアの治安機関が依然として決定を行い、支配を続けている」と暴露した。

そのうえで「ムスリムと彼の党は、シリアのクルド人の民族的権利を獲得したいとは考えておらず、現体制の地方自治…に関する自治を得たいと考えているだけだ」と非難した。

レバノンの動き

NNA(2月3日付)は、イスラエル軍戦闘機がナバティーヤ県上空のレバノン領空を侵犯したと報じた。

諸外国の動き

イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長との会談に関して、「とても光栄だ」と述べ、「引き続き連絡を取り合うことを決めた」ことを明らかにした。

また「反体制勢力と政府が対話のテーブルを囲んで座る余地を与えねばならない…。ハティーブ氏に私はこう言った。集って、国際社会の監視下での大統領選挙の実施を調整しなさい…。流血を止めたいのなら、非難の応酬を続けていてはならない」と述べ、ハティーブ議長が条件付きでアサド政権と対話を行う意思を表明したことに歓迎の意を示した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権と対話を行う意思を表明したことに関して、「非常に重要なステップだ。なぜなら連立は政権とのいかなる対話も全否定していたからだ」と高く評価した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は滞在先のミュンヘンで、「シリア政府と反体制勢力の間で対話が行われねばならないと言う者がいる。しかしそれは間違った道だ。それは解決策でない」と述べた。

また「もし明日、アサド政権下で選挙が行われたら、反体制勢力の指導者たちは立候補できるのか?」と自問し、アサド大統領が「シリアでの虐殺の責任をまずとるべきだ」と付言した。

トルコ政府は、シャームの民のヌスラ戦線など外国人サラフィー主義者のシリアへの潜入・テロ活動、自由シリア軍によるクルド人地域への侵攻を支援している。

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『ハヤート』(2月4日付)は、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が滞在先のミュンヘンで、シリア革命反体制勢力国民連立のムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長とロシア・イラン外相とミュンヘンでの会談に関して、国際社会がシリアの紛争に介入することを躊躇していると不快感を示し、国連安保理に対してシリアでの虐殺に対して責任ある行動を求めたと報じた。

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イスラエルのエフド・バラク国防大臣は滞在先のミュンヘンで、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆に関して、「数日前の事件に関してあなた方が新聞で読んだことに、私は何も言うことはできない…。しかし率直に言うと…、レバノンに高度な武器システムが持ち込まれることが許されてよいとは考えていないと述べてきた」と述べ、越境空爆を事実上認めた。

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『ニューヨーク・タイムズ』(2月3日付)は、匿名高官の話として、2012年夏にヒラリー・クリントン国務長官(当時)とデヴィッド・ペトレイアスCIA長官が、シリアの紛争に米国が巻き込まれることを懸念し、シリアの反体制武装勢力への武器供与、軍事教練計画を却下していたと報じた。

同計画は、武装勢力の評価と、一部近隣諸国の支援のもとでの武器供与を求めており、米大統領選挙後に再検討されるかに思われたが、ペトレイアスCIA長官の辞任によってお蔵入りとなったという。

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『サンデー・タイムズ』(2月3日付)は、イスラエルが、シリアからの原理主義過激派の攻撃を抑止するために、シリア領内の対イスラエル国境沿いに幅10キロの緩衝地帯を設置することを検討していると報じた。

この計画はイスラエル軍によって作成され、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に提出されたという。

AFP, February 3, 2013、Akhbar al-Sharq, February 3, 2013、DamasPost, February 3, 2013、Facebook, February 3, 2013、al-Hayat, February 4, 2013, February 5, 2013、Kull-na Shuraka’, February 3, 2013、al-Kurdiya
News, February 3, 2013、Naharnet, February 3, 2013、The New York Times, February 3, 2013、NNA, February 3, 2013、Reuters, February 3, 2013、SANA, February 3, 2013、The Sunday Times, February 3, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装勢力がアレッポ市シャイフ・サイード地区を制圧するなか、シリア革命反体制勢力国民連立のハティーブ議長がミュンヘンを訪問し露外相、米副大統領、イラン外相らと相次いで会談(2013年2月2日)

国内の動き(シリア政府の動き)

ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会は各県知事と会談し、各県での国民対話開始の準備方法をめぐって協議した。SANA(2月2日付)が報じた。

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進歩国民戦線は声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるダマスカス郊外県ジャムラーヤーの軍科学研究センターへの越境空爆を厳しく非難した。

国内の暴力

アレッポ県では、反体制武装勢力がアレッポ市シャイフ・サイード地区を制圧した、とシリア人権監視団が発表した。

同監視団によると、反体制武装勢力は12日にわたる戦闘で同地区を制圧、この戦闘で戦闘員26人、軍兵士数十人が死亡し、同地区長が制圧後に反体制武装勢力によって射殺されたという。

またこの制圧と前後して、シャイフ・サイード地区のほとんどの住民は避難を余儀なくされ、同地区に展開していた軍部隊も撤退、その後軍が同地区を複数回にわたって空爆した。

なおシリア人権監視団によると、シャイフ・サイード地区は、ナイラブ航空基地やアレッポ国際空港を攻撃するうえでの要衝だという。

このほかシリア人権監視団によると、サフィーラ市、ダイル・ハーフィル市、タッル・リフアト市、タルアルン市周辺を軍が空爆した。

一方、SANA(2月2日付)によると、カラースィー村、ダイル・ハーフィル市、ワディーヒー村、サフィーラ市、マンナグ村などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市では、スッカリー地区、カルム・マイサル地区、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区、旧市街、アシュラフィーヤ地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、アルバイン市、ハラスター市などが軍の空爆・砲撃を受けた。

一方、SANA(2月2日付)によると、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、アルバイン市、バイト・サフム市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また反体制武装勢力がサフナーヤー市の変電所を襲撃し、同市が停電となった。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シャーグール区イブン・アスカルで車に仕掛けられた爆弾が爆発し、1人が負傷した。

一方、SANA(2月2日付)によると、カダム区で警察が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷した。この戦闘で警官1人が死亡、2人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ市、タフタナーズ航空基地などに軍が空爆を行った。またヒーシュ村近くの国際幹線道路で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(2月2日付)によると、サラーキブ市で反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が誤爆し、戦闘員15人が死亡、また爆発に巻き込まれて子供1人が死亡、市民22人が負傷した。

またワーディー・ダイフ周辺などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、アーミリーヤ市での軍と反体制武装勢力の戦闘で、「政府を支持する民間人10人」が死亡した。

一方、SANA(2月2日付)によると、タルビーサ市、カフルラーハー市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月2日付)によると、ダイル・ザウル市各所で軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はドイツを訪問し、ミュンヘンでの安全保障会議に出席するため同地に滞在中のロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

西側諸国が支援する在外の反体制組織の指導者がロシアの外務大臣と会談するのは今回が初めて。

会談内容については明らかにされなかったが、ロイター通信(2月2日付)は、セルゲイ外務大臣がハティーブ議長をモスクワに招待したと報じた。

ハティーブ議長は会談後に「ロシアには明確なビジョンがあるが、我々は危機軽減のための対話を歓迎しており、詳細についてより多くの議論をしなければならない」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、ミュンヘンでの安全保障会議に出席するため同地に滞在中のジョー・バイデン米副大統領と会談した。

シリアの反体制組織の指導者が米副大統領と会談するのは今回が初めて。

ハティーブ議長はバイデン米副大統領との会談に関して、ロイター通信(2月2日付)に対して、「流血と人名損失を最小限に抑えつつ、いかに体制を排除するかを議論する」ことが会談の主な目的だったと述べた。

その一方で「私はカイロであれ、チュニジアであれ、イスタンブールであれ、シリア政府の代表と直接席をともにする用意があると宣言する」と述べ、条件付きでの対話に応じる意思を改めて示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長はイランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣と滞在中のミュンヘンで会談した。

45分間にわたる会談を終えたハティーブ議長は記者団にロイター通信(2月2日付)に「我々はシリア国民の苦しみを終わらせるための解決策を案出しなければならない点で合意した」と語った。

クルド民族主義勢力の動き

al-Kurdīya News, February 1, 2013
al-Kurdiya News, February 1, 2013

クルド最高委員会のアフマド・スライマーン報道官は声明を出し、同委員会に暫定政府発足の意思があるとしたフェイスブックなどでの書き込みを否定した。

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クルディーヤ・ニュース(2月2日付)は、クルド最高委員会がハサカ県ダイリーク市(アラビア語名マーリキーヤ市)郊外のスィーマルカー国境通行所を経由してシリア領内に持ち込まれる灯油およびガソリン1リットルに対して0.03米ドルの関税を、また入国税として1,000シリア・ポンドを課すことを決定した、と報じた。

諸外国の動き

ドイツ南部のミュンヘンでの安全保障会議に出席するため同地に滞在中のジョー・バイデン米副大統領とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が会談した。

会談には、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表も参加し、シリア情勢をめぐって協議が行われた。

会談後、バイデン副大統領は、ロシアとの間に依然として「大きな意見の隔たりがある」と述べた。

また「我々は、シリアの反体制勢力がさらに統合、団結するため、関係国と協力している…。我々はアサドが権力にとどまることを企む暴君だと考えている。だが彼にはもはや国民を指導することなどできない」と付言し、反体制勢力をさらに支援するよう国際社会に求めた。

これに対し、ラブロフ外務大臣は、関係当事国がブラーヒーミー共同特別代表の指導のもとに結集し、「進展が実現した」とみなし得るような暫定的な解決策を案出すべきだと米国に伝えたことを明らかにした。

また「アサド大統領退任を交渉の前提条件とする固執した姿勢こそが、シリアの悲劇継続の最大の原因だ」と述べた。

さらに「我々のパートナー(西側諸国)は、これらの武器(化学兵器)を反体制武装集団が入手する可能性に最大の脅威を抱いている点で一致している」と付言した。

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イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記がシリアを訪問し、ワーイル・ハルキー首相と会談し、二国間関係、シリアでの紛争、イスラエルによる越境攻撃などについて協議した。

SANA(2月2日付)によると、ジャリーリー書記は、アサド政権による危機解決政治プログラムの実施と危機の政治的解決への支持を改めて表明した。

また1月30日のイスラエルによるダマスカス郊外県への越境空爆については、「地域の治安と安全を脅かす行為」と非難する一方で「シリアに対する陰謀の失敗」を確信しているとの意思を示した。

会談に先だって、ジャリーリー書記は記者団に対して、イスラエルの越境空爆が「レジスタンスを打ち砕こうとする絶望的な試みを通じて、シリア国民に復讐しようとしている」と非難していた。

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レオン・パネッタ米国務長官は、AFP(2月2日付)に対して、「シリアでの混乱は、これらの武器(化学兵器)が国境を越えてヒズブッラーの手にわたる可能性を一大関心事とする環境を作り出した」と述べた。

またイスラエル軍によるシリアへの越境空爆に関しては、「SA-17のような洗練された兵器や生物科学兵器がテロリストの手に渡らないようにするために、あらゆることをしなければならないと(イスラエルに)表明してきた…。米国はこれらの兵器がテロリストの手に渡らないようにするためのあらゆる措置を支持する」と述べた。

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AFP(2月2日付)は、米高官からの情報として、イスラエル軍が1月30日に越境空爆したのが、レバノンに武器を輸送していると思われる車列ではなく、ダマスカス郊外県に配備されていたロシア製のSA-17地対空ミサイル・システムと化学兵器を貯蔵していると思われる施設だったと報じた。

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ハマースのハーリド・ミシュアル政治局長は、ヨルダン国営テレビ(2月2日付)とのインタビューに応じ、そのなかでシリア情勢を「陰謀ではなく(アラブの)春」だとしたうえで、「国民に対する軍事的オプションをとるシリア政府を支持することはできない」と述べた。

AFP, February 2, 2013、Akhbar al-Sharq, February 2, 2013、al-Hayat, February 3, 2013, February 4, 2013、Kull-na Shuraka’, February 2, 2013、al-Kurdiya News, February 2, 2013、Naharnet, February 2, 2013、Reuters, February 2, 2013、SANA, February 2, 2013、UPI, February 2, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

民主統一党のムスリム党首が人民防衛隊と自由シリア軍・サラフィー主義者の戦闘に関して、「西クルディスタンを占領しようとする戦略的枠組み」を非難(2013年2月1日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(2月1日付)によると、ハラスター市郊外、ドゥーマー市、シャイフーニーヤ村、アルバイン市、ヒッラーン・アワーミード村、ダーライヤー市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

一方、クッルナー・シュラカー(2月1日付)は、ハーン・シャイフーンのパレスチナ人難民キャンプを軍が数日前から包囲・砲撃している、と報じた。

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アレッポ県では、SANA(2月1日付)によると、アズィーザ市、ハーディル村、カラースィー村、マンスーラ村、マーイル町、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市バニー・ザイド地区、カルム・マイサル地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(2月1日付)によると、ナイラブ村、アリーハー市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(2月1日付)によると、ハウラ地方、ラスタン市、アイン・フサイン村、アーミリーヤ村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(2月1日付)によると、カーミシュリー市で激しい戦闘があり、市内全域が一時停電となった。

反体制勢力の動き

シリア民主フォーラムが声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権と対話に応じる意思を示したことに関して「祖国、自由、公正、平等、市民権といった概念への近視眼によるもので、体制ではなく反体制勢力を追い込む」と非難し、議長に改めて発言の真意を説明するよう求めた。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は『サフィール』(2月1日付)のインタビューに応じ、そのなかでイラン・クルディスタン地域のマスウード・バールザーニー大統領のトルコとの同盟関係がクルディスタンの弱体化を目的としていると批判した。

トルコからラアス・アイン市への自由シリア軍・サラフィー主義者と民主統一党人民防衛隊との戦闘に関して、ムスリム共同党首は、西クルディスタン(シリア)を占領しようとする戦略的枠組みのなかでの軍事行動だと指弾した。

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ユーフラテス通信(2月1日付)がクルド最高委員会のイルハーム・アフマドの話として伝えたところによると、同委員会福祉治安税関委員会がハサカ県ダイリーク市で会合を開き、イラク・クルディスタン地域・シリア・クルド地域間のスィーマールカーに通商用の国境通行所を常設し、近く設置することを決定したと報じた。

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クルド最高委員会のアフマド・スライマーンは、クルディーヤ・ニュース(2月1日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立と自由シリア軍に対して、ラアス・アイン市への攻撃に対して断固たる姿勢で拒否すべきだと述べた。

レバノンの動き

ナハールネット(2月1日付)が軍の発表として伝えたところによると、ベカーア県バアルベック郡の対シリア国境に位置するアルサール市郊外で、パトロール中のレバノン軍部隊が要撃され、兵士2人が死亡、多数が負傷した。

また軍部隊を要撃した武装集団の戦闘員も複数が負傷したという。

ジャディード・チャンネル(2月1日付)などは、この要撃の背景に、アルサール市でのハーリド・フマイイド誘拐・発砲事件があると報じた。

OTV(2月1日付)によると、フマイイドは、2011年のレバノンでのエストニア人拉致事件の容疑者の一人で、最近自由シリア軍に加入した、という。

またLBCI(2月1日付)は、レバノンの治安当局が、フマイイドを「テロ集団」メンバーとして監視していたと報じた。

一方、SANA(2月1日付)は、ムスタクバル潮流および自由シリア軍との交戦でレバノン軍兵士多数が死亡したと報じた。

諸外国の動き

退任を翌日に控えたヒラリー・クリントン米国務長官は、自らの任期を振り返り、そのなかで米国が「イランとヒズブッラーのシリアでの活動によって邪魔されてきた」、「ロシアはアサド支持に関して受け身の傍観者などではなく、かなり積極的だった」と述べる一方、「出来ることはやった」と自賛した。

AFP, February 1, 2013、Akhbar al-Sharq, February 1, 2013、al-Hayat, February 2, 2013、al-Jadid, February 1, 2013、Kull-na Shuraka’, February
1, 2013、al-Kurdiya News, February 1, 2013、Naharnet, February 1, 2013、OTV,
February 1, 2013、Reuters, February 1, 2013、al-Safir, February 1, 2013、SANA, February 1, 2013などをもとに作成。

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軍がアレッポ市アシュラフィーヤ地区に対して実施した空爆によりシリア・クルド民主統一党の幹部1名が死亡する一方、与野党含む党連合がイスラエル軍戦闘機によるシリア領空侵犯・空爆を非難する声明を発表(2013年1月31日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(1月31日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ハラスター市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ナブク市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、クルディーヤ・ニュース(1月31日付)によると、アレッポ市アシュラフィーヤ地区を軍が空爆し、14人が死亡、42人が負傷した。

複数の目撃者によると、空爆はアシュラフィーヤ公園近くの第1交差点に対して集中的に行われ、空爆と前後して自由シリア軍の戦闘員が軍の戦車を攻撃・破壊した、という。

一方、SANA(1月31日付)によると、アレッポ市カルム・マイサル地区、カースティールー地区、バニー・ザイド地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、アンダーン自由人旅団の指導者を含む多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)は声明(2月1日付)を出し、1月31日のアレッポ市アシュラフィーヤ地区での空爆・戦闘によって、党幹部の一人カマール・ムスタファー・ハナーンが死亡したと発表した。

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イドリブ県では、SANA(1月31日付)によると、アルバイーン山、ダフビーヤ地方、ブワイダ地方などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(1月31日付)によると、ラスタン市東部の反体制武装勢力拠点、またヒムス市スルターニーヤ地区、クサイル市郊外などを軍が攻撃・破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立の政治委員会はカイロで会合を開いた。

『ハヤート』(2月1日付)などによると、会合では、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長がアサド政権との条件付きで対話に応じる意思を示したことに議論が集中した。

同報道によると、この会合で、ハティーブ議長は自身の発言が「個人的な意見に過ぎず、(和解)イニシアチブではない」と述べ、連立もこの見解を組織の方針として作用せず、現体制が崩壊するまで対話を行わないとの基本姿勢を確認しなかったという。

また会合に参加したシリア革命評議会のジブル・シューフィーによると、ハティーブ議長は、アサド政権との対話に関して「条件付きであっても対話を提案することが、体制にプレゼントを与えることに等しい」との見解を示したという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のムンズィル・マーフース駐フランス代表(大使)は、EURO1(1月31日付)で、「我々はバッシャールの代表と対話の用意がある。可能であれば、政治的解決に至るため、体制内の誰かに権限を移譲してもよい」と述べた。

しかし、アサド大統領自身を含む現政権の首脳については、「戦争犯罪者」であるために対話への参加を認められない、と条件を示した。

また1月31日にアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が条件つきでアサド政権との対話に応じるとの姿勢を示したことについては、「事態打開への特別な責任を感じているのだろう」と理解を示した。

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トルコのイスタンブールで活動する反体制活動家66人が共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権と対話に応じる意思を示したことを「正しい方針」と評価し、支持を表明した。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、クウェートでの国連主催のシリア支援国会議参加国への人道資金援助に謝意を示した。

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ロイター通信(1月31日付)は、ダイル・ザウル県マヤーディーン市(人口54,000人)を占拠する武装勢力のなかで、シャームの民のヌスラ戦線が影響力を増している、と報じた。

同報道によると、ヌスラ戦線は、女性のズボン着用禁止、酒類販売禁止、子供への宗教教育、シリアでのカリフ制樹立の主唱、民主化を求める人々への脅迫などを行っている、という。

なお同報道によると、シリア国内で反体制武装活動を行う戦闘員の数は約8,000人いるのだという。

諸外国の動き

サウジアラビア日刊紙『ワタン』(1月31日付)は、シリア反体制勢力の信頼できる複数の消息筋の話として、アサド政権がヒズブッラーに化学兵器を供与した、と報じた。

イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆へのシリア国内の対応

シリアの外務在外居住者省は、イスラエルによるシリアへの越境空爆に関して、イクバル・サンガUNDOF司令官を呼び出し、イスラエルとの停戦合意(1974年)への違反への抗議の意を正式に伝え、再発防止のために必要な措置を講じるよう求めた。SANA(1月31日付)が報じた。

また国連安保理議長、事務総長宛てに書簡を提出し、そのなかでイスラエルによるシリアへの越境空爆を「中東地域の安定と安定、国際の平和に深刻な危険となるイスラエルの攻撃を防ぐという責任を果たすことに安保理は失敗した」と非難したうえで、「自衛権、領土と主権を防衛する義務をシリアは有する」と表明した。

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ワーイル・ハルキー首相は緊急閣議を開き、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆への対応を協議した。SANA(1月31日付)が報じた。

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シリア人民議会は声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆を強く非難した。SANA(1月31日付)が報じた。

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SANA(1月31日付)によると、シリア国内では、与党のバアス党シリア地域指導部、アラブ社会主義連合党、アラブ社会主義者運動、変革解放人民戦線、人民意思党、シリア民族社会党インティファーダ派、野党のシリア祖国党、シリア民主党が、イスラエル軍戦闘機によるシリア領空侵犯・空爆を非難する声明を発表した。

イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆への在外反体制勢力の対応

シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆を「今回が初めてでない」としつつ、シリア軍が各地で空爆を続けるなかで「アサドの戦闘機とシオニストの戦闘機を区別…できるのか」と述べ、アサド政権も同様に非難されるべきだとの姿勢を示した。

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シリア国民評議会は声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆を「自由な自己にとって主権侵害を見ることはもっとも困難」だとイスラエルを非難したうえで、イスラエルの攻撃を防げないアサド政権を「祖国防衛に関心がなく、自衛の責任を果たそうともしていない」と糾弾した。

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元軍憲兵隊長で2012年12月に政権を離反したアブドゥルアズィーズ・ジャースィム・シャッラールは、AP(1月31日付)に対して、イスラエル軍戦闘機が空爆したダマスカス郊外県ジャムラーヤー地方の軍科学研究センターに関して、「武器開発で知られているが、化学兵器や非伝統的兵器はない…。しかしイラン人やロシア人が常駐している」と述べた。

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クッルナー・シュラカー(1月31日付)は、住民の証言をもとに、ダマスカス郊外県ジャムラーヤー地方への空爆は、イスラエル軍戦闘機によるものでなく、シリア軍戦闘機による誤爆だと断じた。

同報道によると、シリア軍戦闘機は、軍科学センターを自由シリア軍の拠点と誤認し空爆、その直後、迫撃砲9発が突如としてセンターおよびその周辺に着弾、周辺の軍部隊は何もなかったかのように攻撃を見ていたという。

イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆へのレバノン国内の対応

ヒズブッラーは声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆を「シリアで過去2年起きているが何であるのか、そしてこの国を破壊し、軍を弱体化させることの犯罪的目的を完全に暴露」する行為と非難した。

また国際社会とアラブ諸国に対して、イスラエルの「醜悪な攻撃」を非難するよう呼びかけつつ、「我々は(国際社会やアラブ諸国が)非難と断固たる対応に失敗してきたことに慣れっこだ」と暗に批判した。

イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆への諸外国の対応

ロシア外務省は声明を出し、イスラエルによるシリア領内への越境空爆に関して「重大な懸念」を表明したうえで、情報が正しいということが分かれば非難する、との姿勢を示した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、イスラエルによるシリアへの越境空爆に関して、「アラブ諸国へのイスラエルの攻撃を抑止することに国際社会は責任を負うべき」と主張し、「イスラエルはこの犯罪行為を断行するため、シリアの政治・治安状況の混乱を利用した」と非難した。

また「この攻撃がもたらす結果のすべてにイスラエルは責任を負うべきであり…、シリアには国土、主権を防衛する権利がある」と付言した。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、イスラエルによるシリアへの越境空爆に関して、「西洋とシオニストの政策と合致し、安定と治安を回復しようとするシリア国民・政府の成功を妨げるべく行われた…。テロ組織のシオニストの目的は合致している」と非難した。

またホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は「シリア郊外へのシオニスト政体の攻撃は、テルアビブに深刻な影響をもたらすだろう」と述べた。

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ベン・ロードス米国家安全保障担当補佐官は、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆に関連して、「シリアはヒズブッラーに武器を供与することで地域をこれ以上不安定化させるべきでない」と述べた。

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国連の潘基文事務総長は声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆に関して、「深い懸念」の意を示し、すべての当事者に自制を求めた。

AFP, January 31, 2013、Akhbar al-Sharq, January 31, 2013、AP, January 31, 2013、al-Hayat, February 1, 2013、Kull-na Shuraka’, January 31, 2013, February 1, 2013、al-Kurdiya
News, January 31, 2013、Naharnet, January 31, 2013、Reuters, January 31,
2013、SANA, January 31, 2013、al-Watan (Riyadh), January 31, 2013などをもとに作成。

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イスラエル軍戦闘機がゴラン高原シャイフ山北部の高原地域を侵犯し複数施設を空爆する一方、シリア革命反体制勢力国民連立のハティーブ議長が条件付きでアサド政権と対話に応じる意思を示す(2013年1月30日)

イスラエルによる越境空爆

AFP(10月30日付)は、イスラエルの複数の治安筋の話として、シリアからレバノンに入国した車列を(レバノン領内で)イスラエル軍戦闘機が攻撃した、と報じた。

またイスラエルの匿名治安筋によると、イスラエル軍戦闘機は、レバノンに武器を輸送していると思われる車列をシリア領内でグリニッジ標準時23時30分(現地時間30日2時30分)に攻撃したという。

この報道に関して、イスラエル軍報道官はコメントを控えている。

なおこの攻撃に先立ち、イスラエル軍は28日にアイアンドーム防空システム2基を北部(占領下のゴラン高原方面)に配備していたほか、イスラエル政府・軍高官らが、シリアからヒズブッラーへの大量破壊兵器供与の可能性への危機感を表明していた。

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シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、イスラエル軍戦闘機がゴラン高原シャイフ山(ヘルモン山)北部の高原地域を低空で侵犯し、ダマスカス郊外県ジャムラーヤー地方にある軍の科学研究センターを空爆、同センター施設と隣接する民生の機器開発センター施設、駐車場を破壊、センター職員2人が死亡、5人が負傷したと発表した。

同声明は、この攻撃をシリアの主権と領空へのあからさまな侵犯と非難したうえで、イスラエル軍戦闘機がシリア・レバノン国境地帯での車列を攻撃したとの一部報道が誤りだと指摘した。

また同声明は、イスラエルの攻撃をレジスタンス支持やアラブの大義を堅持するシリアへの挑戦だとしつつ、報復権を行使する可能性については明言しなかった。

SANA(1月30日付)が報じた。

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AFP(1月30日付)は、ジャムラーヤー地方住民の話として、6発のロケット弾(ないしはミサイル)が施設に命中し、施設は半壊、2人が死亡したと伝えた。

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レバノンのNNA(1月30日付)は、レバノン領内でイスラエル軍戦闘機による空爆が起きた事実はない、と報じた。

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米匿名高官はAP(1月30日付)に対して、ヒズブッラーに供与される武器を積んだ車列を攻撃するための越境空爆が数日前からイスラエル軍によって準備されていたとしたうえで、武器のなかにはロシア製のSA-17地対空ミサイルなどが含まれていたと述べた。

なおジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、イスラエル軍の空爆に関して、「これらの報告に関してコメントすることはない」と述べた。

国内の動き(シリア政府の動き)

シリア外務在外居住者省は、国連安保理議長と事務総長に宛てて書簡を送付、そのなかでアレッポ市ブスターン・カスル地区クワイク川岸で60体以上の遺体が発見された事件に関して、シャームの民のヌスラ戦線の犯行と断じ、国際社会に断固たる姿勢で対応するよう求めた。

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クッルナー・シュラカー(1月30日付)は反体制運動に協力的な大統領府消息筋の話として、アサド大統領がファールーク・シャルア副大統領を解任する意向を持っていたが、イランより、バアス党シリア地域大会を開催し、党内の人事改編の一環として副大統領の退任を進めるよう進言を受け、解任を思いとどまったと報じた(未確認情報)。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(1月30日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、スバイナ町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月30日付)によると、サフィーラ市、マンナグ村、ナッカーリーン村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、ズィー・ヌーライン旅団のメンバーなど多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、バーブ街道、アーミリーヤ地区、タッル・ザラーズィール地区、カルム・マイサル地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(1月30日付)によると、バスル・ハリーラ市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(1月30日付)によると、シャッダーディー市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、撃退した。

またクルディーヤ・ニュース(1月30日付)は、ラアス・アイン市で反対武装勢力に誘拐された市民が遺体で発見されたと報じた。

遺体は両手を後ろでに縛られ、拷問の跡が残っていたという。

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ヒムス県では、SANA(1月30日付)によると、ラスタン市、アイン・フサイン村、タルビーサ市郊外などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領内からタッルカラフ地方に潜入しようとした反体制武装勢力を国境警備隊が撃退した。

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ハマー県では、SANA(1月30日付)によると、カルナーズ町、ハウワーシュ村、ハマーミーヤート村、カフルヌブーダ町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月30日付)によると、イドリブ・サルミーン街道沿い、ラーミー村、カフルズィーター市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、アブー・バクル大隊メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、クッルナー・シュラカー(1月30日付)は、ジスル・シュグール市郊外の対トルコ国境に位置するジャーヌーディーヤ町に展開していた軍が突如として撤退した、と報じた(未確認報道)。

反体制勢力の動き

シリア国民革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は声明を出し、ワーイル・ハルキー首相による反体制勢力に対話参加を呼びかけるための各県分科委員会の設置(1月29日)を批判し、①160,000人に達する逮捕者の釈放、②在外シリア人が保有する期限切れのパスポートの更新と2年以上の有効期間延長、をシリア政府に求め、この2点を対話の条件とすると発表した。

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シリア国民評議会は声明を出し、シリア政府との対話に二つの条件を提示したシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長の声明を「連立の立場を表現しておらず、現体制との対話の一切を拒否するとした内規に矛盾する」と厳しく批判した。

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カフルナブル市(イドリブ県)地元評議会は、シリア革命反体制勢力国民連立に宛て公開書簡を発表し、そのなかで同市への人道支援配給が遅れていると批判した。

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クルディーヤ・ニュース(1月30日付)は、クルド語サイトからの報道として、ハーリド・ミシュアル大隊のウサーマ・ヒラール司令官が、ラアス・アイン市の「解放」のため同市に進入したが、民主統一党人民防衛隊によって阻止されたと語ったと報じた。

ヒラール司令官によると、ミシュアル大隊は425人の戦闘員からなり、ハサカ革命軍事評議会(ハサン・アブドゥッラー大佐)の傘下で戦闘を行っている。

またラアス・アイン市侵攻には、シャーム外国人大隊、ジャズィーラ自由人大隊、グワイラーン自由人大隊、使徒末裔大隊などが参加したという。

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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領が声明を出し、アラブ諸国首脳に対して、シリア国民を救済するための軍事的連立組織の結成、シリア人への武器供与を呼びかけた。

また一部のアラブ諸国が、シリア革命反体制勢力国民連立、自由シリア軍参謀委員会の結成を通じて、実行力のある政治・軍事組織を排除したことが、反体制勢力の対立を助長している、と批判した。

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市民権潮流(欧州)は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が条件付きでアサド政権と対話に応じる意思を示したことに関して、「内戦や社会的構成への破壊的影響を回避するあらゆる政治的解決のプロジェクトに共鳴する」と支持を表明した。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、イスラエル軍戦闘機によるシリアへの越境空爆を、シリア国内のいかなる政治勢力にも受け入れられない敵対行為を非難、アサド政権に対して、軍を民衆に向けるのではなく、「主権の番人」とするよう求めた。

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地元調整諸委員会は声明を出し、ラアス・アイン市への自由シリア軍・サラフィー主義者の侵攻(と民主統一党人民防衛隊との戦闘)を「革命の敵以外の何者にも奉仕しないアジェンダ…が入り込んていることの明白な兆候」と非難した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(1月30日付)は、クルド最高委員会が特別委員会を設置し、シリア革命反体制勢力国民連立との連絡態勢を整えようとしていると報じた。

特別委員会の設置は、ラアス・アイン市への侵入を続ける自由シリア軍・サラフィー主義者と民主統一党人民防衛隊の戦闘を受けたものだという。

諸外国の動き

国連主催のもと、クウェートでシリア支援国会議が開催され、59カ国の代表、国連潘基文事務総長ら13の国際機関の代表が出席した。

会議では、クウェート、サウジアラビア、UAEがそれぞれ3億ドル、米国が1億5500万ドルの供与を発表し、参加国による援助額の総計は10億ドル以上となった。

しかし国連は、国外避難民100万人と国内被災者400万人の救援に15億ドルが必要だとしており、各国の支援はこれに達しなかったことになる。

なおシリア政府、シリア革命反体制勢力国民連立の代表はいずれも招待されなかった。

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国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長は、支援国会議出席のため訪れたクウェートで、「我々は現地で多くのパートナーとともに活動しており、政府に直接資金が行っているなどということはない」と述べ、シリア国内の人道支援の配給で政府支持者が優遇されているとの見方(国境なき医師団)を否定した。

AFP, January 30, 2013、Akhbar al-Sharq, January 30, 2013、AP, January 30, 2013、al-Hayat, January 30, 2012, January 31, 2013、Kull-na Shuraka’, January 30, 2013,
January 31, 2013、al-Kurdiya News, January 30, 2013、Naharnet, January 30,
2013、NNA, January 30, 2013、Reuters, January 30, 2013、SANA, January 30,
2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市の反体制武装勢力占拠区域で60体以上の遺体が放置されているのが発見される一方、ラアス・アイン市での戦闘のため自由シリア軍・サラフィー主義者がトルコから増援部隊を投入していることが明らかに(2013年1月29日)

国内の動き(シリア政府の動き)

ワーイル・ハルキー首相は、危機解決政治プログラムの方針に沿って、反体制勢力を含む政治団体、職業諸組合、人民諸組織、NGO、宗教団体、経済団体などに、国民対話大会の形式と内容を検討するための対話への参加を呼びかけるための分科委員会を各県に設置する決定を発した。

同分科委員会は、各県知事を委員長とし、バアス党支部指導部書記長、県議会議長、県警察署長、人民議会和解委員会、国民和解問題担当大臣事務局の代表からなる。

またハルキー首相は、周辺諸国に避難しているシリア人の帰国を監督するための委員会を設置した。

同委員会は、最高支援会議の代表を委員長とし、国民安全保障会議、外務在外居住者省、法務省、内務省、国民和解問題担当大臣事務局、赤新月社・海運法問題担当大臣事務局、シリア赤新月社の代表からなる。

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バウワーバ(1月29日付)は、アスマー・アフラス大統領夫人が妊娠5ヶ月目を迎えた、と報じた。

Youtube, August 23, 2012
Youtube, August 23, 2012

アサド大統領はアスマー夫人との間に、長男ハーフィズ(2001年生まれ)、長女ザイン・シャーム(2003年生まれ)、次男カリーム(2004年生まれ)の3人の子供を設けている。

国内の暴力

アレッポ県では、反体制武装勢力が占拠するアレッポ市ブスターン・カスル地区のクワイク川岸で、60体以上の男性の遺体が放置されているのが発見された。

遺体のほとんどは20歳代から30歳代の男性の遺体で、後ろ手に縛られ処刑された跡が見られた。

これに関して、クッルナー・シュラカー(1月29日付)は、発見された遺体のうち17人が空軍情報部に身柄拘束されていた市民で、遺体発見場所のブスターン・カスル地区は政府軍が支配していたと報じた。

一方、SANA(1月29日付)は、報道筋の話として、遺体の多くがシャームの民のヌスラ戦線によって誘拐・処刑されたものだと多くの住民が認めていると報じた。

同報道によると、誘拐・処刑された住民の多くは、ヌスラ戦線への協力を拒否し、同戦線に住宅地からの退去を要求していたのだという。

http://www.youtube.com/watch?v=W5HQeS-Tpl0&feature=youtu.be

http://www.youtube.com/watch?v=W5HQeS-Tpl0&feature=youtu.be

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同じくアレッポ県では、クッルナー・シュラカー(1月29日付)は、アレッポ市内で反体制武装勢力(自由シリア軍)がタルトゥース県出身の空軍士官4人を暗殺した、と報じた。

一方、SANA(1月29日付)によると、サフィーラ市、ハルバシュ村、ナッカーリーン村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、ハイダリーヤ地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月29日付)によると、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍・サラフィー主義者の戦闘が続き、アラブ系住民がクルド民族主義政党である民主統一党の側について戦う一方、自由シリア軍・サラフィー主義者はトルコから増援部隊を投入していると報じた。

またクルディーヤ・ニュース(1月29日付)は、ラアス・アイン市での戦闘に関する現地取材レポートを掲載した。

同レポートによると、ラアス・アイン市で民主統一党人民防衛隊と交戦している自由シリア軍は、ハサカ軍事評議会、使徒末裔大隊、ミシュアル・タンムー大隊、アーザーディー大隊で、いずれもトルコから戦車・装甲車4輌を伴い潜入した。

また戦闘には、アレッポ県からの外国人戦闘員、そしてラッカ県革命軍事評議会も参加している、という。

民主統一党は、ラアス・アイン市での戦闘で、自由シリア軍の兵士120人以上が死亡、約70人が負傷したと発表する一方、地元の調整組織などによると、自由シリア軍側の死者は40人程度だという。

一方、同調整組織によると、民主統一党人民防衛隊の兵士は12人が死亡、25人が負傷したという。

民間人の死者は、クルド・シリア文書センターによると13人にのぼる。

同レポートによると、民主統一党人民防衛隊は「治安スクウェア」と呼ばれるラアス・アイン市の要所を奪還し、戦闘は現在国立病院周辺で激しく行われている、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月29日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、ズィヤービーヤ町、バービッラー市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(1月29日付)によると、クスール地区で、アブドゥッラッザーク・クタニー人民議会議員の車に仕掛けられた爆弾が爆発し、同議員が負傷した。

また旧市街のシャーリウ通りで、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、商店主1人が負傷した。

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ヒムス県では、SANA(1月29日付)によると、カルナーズ町、ヒムス市東部、ブルハーニーや市、サクラジー市、アーミリーヤ市、クサイル市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(1月29日付)によると、イドリブ中央刑務所周辺、ジスル・シュグール市、アブー・ドゥフール市などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またカフルタハーリーム町では、反体制武装勢力どうしが略奪品の分配をめぐって衝突し、複数の戦闘員が死傷した。

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ダイル・ザウル県では、マサール・プレス(1月29日付)が、ダイル・ザウル市内の政治治安部を自由シリア軍が制圧・解放したと報じた(未確認情報)。

反体制勢力の動き

ジュネーブで民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長の主導のもと1月28日から続けられていたシリアの反体制活動家による「民主的シリアと市民国家のためのシリア国際会議」が閉幕声明を発表して閉会した。

閉幕声明の骨子は以下の通り:

1. 2012年6月のジュネーブ合意を暴力停止の基礎とする。
2. 同じくジュネーブ合意に基づき、政府と反体制勢力の交渉を通じた政治プロセスを確立し、移行期政府を樹立し、全権を委任し、国際社会の監視のもとで国会、大統領選挙を行う。
3. 現地情勢の進捗を踏まえた「ジュネーブ合意2」の成立を呼びかけ、国連憲章第7章のもとに安保理が政治プロセスを監督する。
4. 避難民への人道支援と補償。
5. シリアの国民統合の維持、人権、基本的自由を尊重した政体、近代社会、市民的平等の確立。
6. 上記合意の実行するため、民主的市民的勢力結集を目的とする委員会と、国際社会との協調・調整を目的とする委員会の設置。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、アレッポ市ブスターン・カスル地区で60体以上の遺体が発見されたことに関して、アサド政権による新たな「虐殺」と断じ、国際社会に対して事件の調査と国際刑事裁判所での審理・処罰を呼びかけた。

諸外国の動き

新華社通信(1月29日付)は、中国外交部の洪磊報道官がシリア情勢に関して、「シリア政府と反体制勢力の双方にプラグマティズムに則り…、すべての関係当事者が政治的対話と移行プロセスを早急に開始できるような解決策をめざすべき」だと述べたと報じた。

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国連難民高等弁務官事務所報道官は、周辺諸国に避難したシリア人の数が70万人を超えたと述べた。

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クウェートで1月30日に開催予定の国連シリア支援国会議に先立って、EUはシリア人避難民に対する1億ユーロの追加支援を行うことを発表した。

EUはすでに1億ユーロを供与している。

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ロバート・フォード駐シリア米大使は『ハヤート』(1月30日付)のインタビューに答え、そのなかで「米国がシリア革命反体制勢力国民連立を破綻させようとしているとの言説は奇妙な話で…シリア政府から発せられているのだろう」と述べ、同連立を支持・支援を続けていることを強調した。

しかし移行期政府発足に関して、それが発足されればシリア革命反体制勢力国民連立に対するのと同じように支持するとしつつ「彼らの統合がきわめて重要であり…、この暫定政府発足宣言がこの統合を脅かして欲しくないと思っている」と暗に消極的な姿勢を示した。

また「政府の発足は反体制派の連立を結成することとは違う。政府は、官僚機構や…人々にサービスを提供する体制を必要とする。現在こうした状況が充分だと言えるのか?」と述べ、シリアの反体制勢力の力量不足を暗示した。

一方、シリアの現状に関しては、アサド政権が「徐々に現地での支配力を失っている…が、彼(アサド大統領)は自由シリア軍が自身の宮殿の門前に来るまで勝っていると考え続けるだろう」と述べた。

さらに、シャームの民のヌスラ戦線などサラフィー主義勢力の台頭に関しては「自由で民主的なシリアでどうしてアル=カーイダのような組織が受け入れられようか。シリア人は寛容で、宗派的に多様だ…。しかしヌスラ戦線は最初からイスラーム国家を建設すると述べ、選挙を拒否している」と排除する意向を改めて示した。

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『ハヤート』(2月2日付)は国連安保理の複数の西側外交筋の話として、1月29日の国連安保理の非公式会合でアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が提案した紛争和解に向けた6項目提案を明らかにした。

同報道によると、この非公式会合においてブラーヒーミー共同特別代表は、「国連安保理によるイニシアチブとすべく」この6項目を提案したという。その骨子は以下の通り:

1. シリアの独立、主権、国土保全は維持されねばならない。
2. 移行プロセスの目的は、シリア国民が尊厳権と人権を合法的に行使することを認める者でなければならない。
3. 2012年6月のジュネーブ合意に基づき、行政権の全権を有する移行期政府を樹立する。また移行期政府発足のための会合を開始する前にシリアのすべての当事者がこのことを明確にする。
4. ジュネーブ合意が規定する「全権を有する移行期機関」に関して、アサド大統領が移行プロセスにおいて何らの役割も果たさないという意味で理解する。
5. 実質的交渉は、反体制勢力を完全に代表する確固たる代表団と現政権の文民・軍人からなる代表団の間で行われる。
6. 交渉は国外で開始され、合意された期間内に行うものとする。それにより選挙、憲法の再検討・修正・承認を迅速に行うことを担保する。

ブラーヒーミー共同特別代表はまた、アサド政権や反体制勢力との意見交換を通じて、現行の大統領制から議院内閣制に移行することが困難ではないと判断したと述べる一方、シリア国民が人種、宗教、言語を超えて法の前の完全なる平等を享受することを安保理が明確なかたちで支持表明することが肝要だと強調した。

さらに、シリア国内での殺戮に関しては、国際調査機関による調査、責任者の処罰を支持する意向を示した。

AFP, January 29, 2013、Akhbar al-Sharq, January 29, 2013、Albawaba.com, January 30 2012、al-Hayat, January 30, 2013, January 31, 2013, February 2, 2013、Kull-na Shuraka’,
January 29, 2013, January 30, 2013、al-Kurdiya News, January 29, 2013、Masarpress.com,
January 29, 2013、Naharnet, January 29, 2013、Reuters, January 29, 2013、SANA,
January 29, 2013、UPI, January 29, 2013、Youtube, January 29, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

仏外務省がシリア革命反体制勢力国民連立を支援するための国際会議を開催、これに対しシリア国内の反体制活動家らがジュネーブで「民主的シリアと市民国家のためのシリア国際会議」を開催(2013年1月28日)

シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣がドバイに到着したと報じた。

同報道によると、この訪問は数年前にジャミール副首相がUAEで起業したコンピューター、人工衛星関連の企業の運営状況を点検するためだという。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市の防空局周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。またダーライヤー市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月28日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、カフルバトナー町、ハッザ町などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またナブク市の軍人用団地の襲撃を試みた反体制武装勢力を軍が撃退した。

さらにヤブルード市では、反体制武装勢力どうしが、住民からの略奪品の分配をめぐって交戦し、多数の戦闘員が死傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘で、後者の戦闘員10人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月28日付)によると、東ブワイダ市、シューマリーヤ市などクサイル市郊外、ハウラ地方、ヒムス市ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(1月28日付)によると、マッルアナーズ市、マンナグ村、サフィール市、アナダーン市、バーブニス村、フライターン市などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、カルム・マイサル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月28日付)によると、ダルアー市、ブスル・ハリール市、ブスラー・シャーム市、サイダー町、ヌアイマ村、ラジャート高原などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(1月28日付)によると、ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市、ハルブンウーシュ市、カフルシャッラーヤー村などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月28日付)によると、ダイル・ザウル市内の軍の拠点を襲撃しようとした反体制武装勢力を軍が撃退した。

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ハマー県では、SANA(1月28日付)によると、カルナーズ町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、ファールーク大隊の司令官、シャーム自由人大隊メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

パリでの国際会議に対抗するかたちで、ジュネーブでシリアの反体制活動家らが「民主的シリアと市民国家のためのシリア国際会議」を開催し、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長らが出席した。

大会にはシリア人反体制活動家、アラブ諸国、欧米諸国など36カ国の活動家、研究者ら約200人が出席した。

大会委員長のマンナーアによると、大多数のシリア人が民主的市民国家の建設を求めており、政権による弾圧、暴力を通じた体制転換のいずれをも拒否していることを国際社会に告知することが大会の目的。

またパリでの国際会議との違いに関して、マンナーアは「違いは我々が民主的シリア人の集まりで、より多くのシリア人に対して呼びかけを行い…、シリア国内および避難民における民主的・市民的な勢力を作ろうとしていることにある。一方、パリで起きていることは、フランス外務大臣が自らの欲するものをシリア人に押し付けるための呼びかけに過ぎない」と非難した。

しかし『ハヤート』(1月29日付)によると、スイス当局は、フランスの圧力を受けて、活動家67人に対してビザ発給を拒否、入国を認めなかった。

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クルディーヤ・ニュース(1月28日付)は、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘停止を呼びかけるトルコのイスタンブールで活動家の声明への署名を、シリア革命評議会のハイサム・マーリフ代表が拒否した、と報じた。

拒否の理由は声明においてラアス・アイン市がクルド語の「セレ・カニ」と記されていたため。

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在外の人権組織12団体が共同声明を出し、軍と反体制武装勢力、民主統一党と反体制武装勢力の戦闘が続いているアレッポ県、ハサカ県のキリスト教徒に対する襲撃事件が多発していると警鐘を鳴らした。

共同声明を出したのは、アッシリア人権ネットワーク、シリア人権ネットワーク、シリア人権機構(SWASIAH)、アラブ人権機構、(シリア・)シリア人権機構(Maf)、ダマスカス人権研究センター、シリア・クルド人権委員会、DADなど。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月28日付)は、民主統一党が、ハサカ県カーミシュリー市西部にあるスライマーン・ヒラール氏の商店を焼き討ったと報じた。

同報道によると、ヒラール氏はラアス・アイン市に侵入した自由シリア軍ミシュアル大隊司令官のウサーマ・ヒラールの父親。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は党機関紙(アンバー)において、シリア情勢について言及し、そのなかでシリアのドゥルーズ派に対して、アサド政権が最近発足した国防隊に参加しないよう呼びかけた。

諸外国の動き

フランス外務省は、パリでシリア革命反体制勢力国民連立を支援するための国際会議を開催し、欧米諸国、アラブ諸国約50カ国と国際機関の代表、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーの約3分の1が出席した。

開会の辞でローラン・ファビウス外務大臣は、会合の目的を「体制の野蛮な抑圧に立ち向かう」シリア国民への支援と、シリアの「平和、多元主義、自由の未来を体現する反体制勢力への具体的支援」と明言した。

また、シリア革命反体制勢力国民連立が日に日に国民の支援を受けるようになっており、「国民の基本的ニーズ、そして和解をめざすシリアに関わる約束を履行する能力がある」と断じて、「シリア国民の正統な代表」である連立への国際社会の支援を求めた。

そのうえで、「国家と社会の崩壊が生じれば、真空を埋めようとする過激派が台頭する」と警鐘を鳴らした。

パリでの会議に出席したシリア革命反体制勢力国民連立のリヤード・サイフ副議長はファビウス外務大臣との共同記者会見で、「アサド政権が崩壊した場合、それに代わる政権を発足するための活動支援を必要としている…。シリア国民を支援する能力を我々が得るための支援が必要だ」と述べ、自らの無力を吐露した。

また移行期政府がシリア人の救済と解放区の運営を行ううえで不可欠だと述べたうえで、「義務を果たすための資金が必要」だと強調する一方、「アサドを当事者としないという条件のもとでの公正な対話」を歓迎すると述べ、対話を通じた紛争解決を事実上拒否した。

シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーでもあるシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は会議で、「数十億ドルが必要だ…。最低でも5億ドルが必要だ…。武器が必要だ」と資金・武器支援を国際社会に呼びかけ、紛争の平和的解決を拒否した。

『ハヤート』(1月29日付)は、フランス外交筋の話として、会議の目的が、シリア国民を支援する能力を持った反体制勢力の枠組みを強化・活性化することにあると報じた。

同消息筋は、「シリア革命反体制勢力国民連立の枠組みは不完全で、内部対立がある」と認めたうえで、「しかし事態を進展させ、政治的アクションを行うために最大限の努力を行う」べきだと述べ、会議の主旨を明らかにした。

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バラク・オバマ米大統領は『ニュー・リパブリック』(1月27日付)のインタビューに応じ、そのなかで、「シリアのような状況について、我々は、こうした状況下で別のことをできるかと問わねばならない…。軍事介入に効果はあっただろうか?…簡単な答えなどない」と述べた。

また『60ミニッツ』(1月27日付)とのインタビューにおいて、オバマ大統領は「シリアは、米国の安全保障を高めるだけでなく、シリア国民やイスラエル国民に適切に対処するかたちで我々が関与しなければならない古典的な例だ」と述べ、米国の対シリア政策を自己正当化した。

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イスラエルのアヴィ・ディヒター国内治安大臣は、イスラエル放送局(1月28日付)のインタビューに応じ、そのなかでレバノンのヒズブッラーがシリアの化学兵器貯蔵施設の近くに基地を建設していると断じ、ヒズブッラーがシリア情勢に乗じて大量破壊兵器の入手を試みていると批判した。

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『ハヤート』(1月29日付)は、イスラエル治安筋の話として、イスラエル軍がアイアンドーム防空システム2基を北部(占領下のゴラン高原方面)に配備した、と報じた。

同消息筋によると、配備は一時的な移動によるものだという。

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英国のブリタム・ディフェンスはHPで、リビアからシリアのヒムス県に化学兵器を密輸して使用し、シリア軍に嫌疑をかけ、シリアとイランへの欧米諸国の軍事介入の準備することをカタールが提案していたと暴露した。RT(1月28日付)が伝えた。

AFP, January 28, 2013、Akhbar al-Sharq, January 28, 2013、al-Anba’, January 28, 2013、al-Hayat, January 28, 2013, January 29, 2013, January 30, 2012、Kull-na Shuraka’,
January 28, 2013、al-Kurdiya News, January 28, 2013、Naharnet, January 28,
2013、Reuters, January 28, 2013、SANA, January 28, 2013、UPI, January 28,
2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア最高司法評議会が国民対話に参加する反体制派に対する法的追及の停止を決定する一方、露首相が「アサド政権存続の機会は減少しつつある」としつつ同政権による「致命的な失策」を指摘(2013年1月27日)

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(1月27日付)は、シリアの最高司法評議会が、国民対話に参加する反体制政治組織・活動家に対する法的追及の停止を決定したと報じた。

同報道によると、法的追及停止の対象となる組織は、内閣ないしは内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会が決定する、という。

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SANA(1月27日付)は、シリア外務在外居住者省高官の話として、シリア政府がメッカでの爆破テロを計画していたとする元駐ジェッダ領事館付徴兵担当官(イマード・マイーン・ヒラーク)の発言(1月25日)を否定したと報じた。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、戦闘は鉄道駅にまで及ぶ一方、ダマスカス・ダルアー間の国際幹線道路が一時閉鎖となった。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍が完全制圧をめざすダーライター市などで砲撃、戦闘があった。

またジャルマーナー市では、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民9人が負傷した。

一方、『ワタン』(1月27日付)は、ダーライヤー市周辺からムウダミーヤト・シャーム市に至る一帯を軍が完全制圧し、シャームの民のヌスラ戦線の複数の指導者が降伏、軍に投降した、と報じた。

またSANA(1月27日付)によると、軍がダーライヤー市ハリージュ地区の浄化を完了し、治安と安定を回復し、ヤブルード市などでも反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市内の南東部が砲撃を受けた。

複数の活動家によると、ヒムス市内の反体制武装勢力は、軍が数週間前に市の西部を制圧し、兵站能力が低下したことで、弱体化している、という。

一方、SANA(1月27日付)によると、ヒムス市ジャウバル区で軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

ロンドンを拠点としている反体制組織のシリア人権監視団は、AFP(1月27日付)に対して、2011年3月以降の死者数が50,009人に達したと発表した。

うち民間人の死者数は34,942人で、このなかには反体制武装闘争への参加者約8,000人、身元不明者1,619人が含まれ、また子供の死者数は679人、女性の死者数は2,120人だという。

このほか離反兵の死者数は1,619人、軍士官・兵士の死者数は12,283人だという。

なお同監視団によると、「数千人の行方不明者とシャッビーハ、そして数百人の外国人戦闘員」はこの数値には含まれていない。

しかし、上記の統計を総合すると、軍および親体制派民兵の死者数は約13,000人、反体制武装勢力の死者数は約10,000人、両者の戦闘に巻き込まれた死亡した非武装の犠牲者数は約28,000人となる。

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トルコから侵入し、ラアス・アイン市の制圧をめざすサラフィー主義者のシャーム外国人大隊は声明を出し、民主統一党人民防衛隊と「シャッビーハ」が流血停止を拒否していると批判する一方で、自らがアラブ人とクルド人の対立を助長する意思はないと明言、クルド人に対して、国土解放に参加するよう呼びかけた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー前事務局長は、『ハヤート』(1月28日付)に対して、シリアの友連絡グループ諸国の対応に関して、「危機解決ではなく、危機運営という考え方で対応している…。こうした方法は危機を長引かせ、多くの死者、破壊、そして過激化をもたらす」と批判した。

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野党の国民成長党のザーヒル・サアドッディーン党首はウィーンで声明を出し、1月25日から連絡がとれなかったハリール・ムスタファー・サイイド書記長がダマスカス県の自宅で逮捕されていたと発表した。

サイイド書記長(1976年生まれ)は国内での活動を統括し、野党と国内の反体制組織からなるシリア国民救済大会のフォローアップ委員会副委員長を務めている。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、サラミーヤ市での1月21日の自爆テロを実行したと発表した。

シリア革命反体制勢力国民連立やシリア・ムスリム同胞団など反体制組織は、アサド政権の自作自演だと主張していた。

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ首相は、CNN(1月27日付)のインタビューに応じ、そのなかでアサド政権存続の機会は減少しつつあるとしつつ、「それを決めるのはシリア国民だ」と強調した。

メドヴェージェフ首相は、アサド大統領の政策について「もっと早く行動し、穏健な反体制勢力に対話を呼びかけるべきだった…。これは致命的な失策だった」と述べた。

また「私は、シリアの高官がその(交渉の)用意がいなかったのだと思う。しかし、いかなる状況下でも政治エリートを退任させるための武力紛争が許されてはならない」と続けた。

さらに「彼(アサド大統領)が権力の座にとどまる機会はますます失われていると考えているが…、それを決めるはシリア国民であって、ロシアでも米国でもないと繰り返したい」と付言した。

そのうえで「欧米諸国、中東諸国がすべきは…、アサド大統領の退任、処刑、起訴を要求するだけでなく、当事者に交渉の席につくよう説得することだ」と強調した。

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イスラエルのスィルヴァン・シャローム副首相は、イスラエル軍ラジオ局(1月27日付)のインタビューに応じ、そのなかで、ヒズブッラーをはじめとする親アサドの武装組織が化学兵器を入手したら「これらの組織の能力が劇的に変わるだろう」としたうえで、それが「予防的作戦さえ含んだ異なったアプローチを必要とするレッドラインを越えた」動きとなると警鐘を鳴らした。

AFP, January 27, 2013、Akhbar al-Sharq, January 27, 2013、al-Hayat, January 28, 2013, January 29, 2013、Kull-na Shuraka’, January 27, 2013、al-Kurdiya
News, January 27, 2013、Naharnet, January 27, 2013、Reuters, January 27,
2013、SANA, January 27, 2013、al-Watan, January 27, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ジャミール経済問題担当副首相がロシアからシリアに様々な武器が供与されていることを明らかにするなか、シャーム自由人大隊などがイドリブ中央刑務所に突入し「100人以上の囚人を解放」(2013年1月26日)

国内の動き(シリア政府の動き)

カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は、ロシアの声ラジオ(1月26日付)に対して、これまでに締結された契約に従い、ロシアからシリアに様々な武器が供与されている、と述べた。

またRT(1月26日付)が伝えたところによると、ジャミール副首相は、シリア政府による化学兵器使用疑惑に関して、「カタールが資金援助する勢力、とりわけ過激派は、化学兵器を生産する実験を行い、そのための工場を持っていることは広く知られている…。このような挑発を行う者たちは、政治的解決を…阻止しようとしている」と述べた。

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『ハヤート』(1月27日付)は、複数のシリア人専門家による試算として、紛争により国内総生産がこれまでに35%減少、また今後も混乱が続けばさらに18%減少するだろう、と報じた。

また2012年に35%に達した失業率も、2015年まで紛争が続けば60%に達し、復興には450億ドルの資金が必要になるだろう、と予測した。

国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月26日付)によると、民主統一党人民防衛隊がトルコから潜入した自由シリア軍とラアス・アイン市各所で戦闘を続け、市東部では、自由シリア軍の砲撃や狙撃によって、多数の市民が死亡、民家が破壊された。

対する人民防衛隊は、ラアス・アイン市西部のマハッタ地区、イブラ地区の自由シリア軍の拠点に対して砲撃を加えたという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、25日に反体制武装勢力が突入したイドリブ中央刑務所内およびその周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

突入したのはシャーム自由人大隊などで、「100人以上の囚人を解放」する一方、戦闘で囚人10人が死亡したという。

一方、SANA(1月26日付)は、軍が住民の協力のもと、イドリブ・サルキーン街道沿いの中央刑務所襲撃を試みた武装勢力の残党の追撃が行われた、と報じた。

また、SANAによると、ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市、サルミーン市、アブー・ズフール市、ジスル・シュグール市郊外などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ムウダミーヤト・シャーム市が空爆・砲撃を受け、ダーライヤー市では軍と反体制武装勢力が交戦した。

また、クッルナー・シュラカー(1月26日付)は、ダマスカス郊外県のジュダイダト・アルトゥーズ町、ムウダミーヤト・シャーム市、クドスィーヤー市のガソリン・スタンドを人民諸委員会が選挙し、政府支持者のみに燃料を配給・販売している、と報じた。

一方、SANA(1月26日付)によると、ダーライヤー市、フサイニーヤ町、バフダリーヤ村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区が空爆を、バルザ区が砲撃を受けた。

またザーヒラ地区で、爆弾が仕掛けられた車が爆発し、男性1人が負傷した。

さらにティシュリーン地区で、軍と反体制武装勢力が交戦し、反体制武装勢力の戦闘員1人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区が砲撃を受けた。

またヒムス市カラービース地区の軍の拠点が反体制武装勢力に襲撃され、軍兵士15人が死亡した。

一方、SANA(1月26日付)によると、カフル・アーヤー村、東ブワイダ市、クサイル市郊外などで軍が反体制武装勢力の拠点を破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(1月26日付)によると、アターリブ市、マンナグ村、カフルアントゥーン市、タッル・アッジャール村、クワイリス市、サフィーラ市、アアザーズ市、マンビジュ市、カフルハムラ村、マーリア市、バーブ市、ズィルバ村、ICARDA地区、ドゥワイリーナ地方などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、マアスラーニーヤ地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(1月26日付)によると、ブライディージュ村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

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ダルアー県では、SANA(1月26日付)によると、ラジャート市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、SANA(1月26日付)によると、サウラ市郊外で、軍が反体制武装勢力と交戦し、ジャズィーラの盾大隊のメンバーを含む多数の戦闘員を殲滅した。

諸外国の動き

イランのメフル通信(1月26日付)は、アリー・アクバル・ヴェラヤティー最高指導者国際問題担当顧問が、「レジスタンス政策の強化に関して、シリアは地域においてきわめて重要な役割を果たしている。それゆえ、シリアへの攻撃はイランとその同盟国への攻撃とみなされるだろう」と述べたと報じた。

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ロバート・フォード駐シリア米大使は、トルコのシリア人避難民との面談後、記者団に対して、米国が「軍事的解決ではなく、政治的解決のみがシリアの危機を終わらせると確信している」としつつ、アサド政権が「移行期政府において役割を果たすことはあり得ない」と述べ、政治的解決を事実上否定した。

また「イランは、シリア国民が求める政治的転換にシリアを促すのに役立つような役割を演じていない…。彼らは武器を送り、専門家を派遣している。事実、彼らは革命防衛隊を派遣している」と付言した。

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NATO本部は、トルコ国境地帯に、パトリオット・ミサイル発射台1基の配備が完了したと発表した。

AFP, January 26, 2013、Akhbar al-Sharq, January 26, 2013、al-Hayat, January 27, 2013、Kull-na Shuraka’, January 26, 2013、al-Kurdiya News,
January 26, 2013、Naharnet, January 26, 2013、Reuters, January 26, 2013、SANA,
January 26, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヌスラ戦線がダマスカス郊外県サアサア町で爆弾テロを実行し兵士8名が死亡、ラアス・アイン市では人民防衛隊が複数の拠点を自由シリア軍・サラフィー主義者らから奪還(2013年1月25日)

国内の動き

SANA(1月25日付)などによると、宗教関係大臣の呼びかけを受け、シリア各地で多数の市民が、サラート・ハージャが行い、国内での治安と安全の回復を祈願した。

SANA, January 25, 2013
SANA, January 25, 2013

ダマスカス県では、旧市街中心に位置するウマイヤ・モスクで、ビラード・シャーム・ウラマー連合代表のムハンマド・サイード・ラマダーン・ブーティーが礼拝の導師を務めた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団などによると、サアサア町の軍事情報局施設の近くで、シャームの民のヌスラ戦線が爆弾を仕掛けた車を爆発させ、これにより少なくとも兵士8人が死亡、複数名が負傷した。

この爆弾テロを受けるかたちで、軍は同市を含む県東部に空爆を行った。

また、ドゥーマー市の軍検問所近くで、5人の男性の遺体が発見された。

一方、SANA(1月25日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、アクラバー村、ムライハ市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍・サラフィー主義者が交戦した。

『ハヤート』(1月26日付)などによると、この交戦の結果、人民防衛隊は市内のヒラーバート地区、国立病院などを奪還、自由シリア軍・サラフィー主義者は市内の複数の拠点を放棄し、トルコに撤退した。

一方、クッルナー・シュラカー(1月27日付)は、民主統一党の治安部隊が、ハサカ県ラアス・アイン市、アームーダー市、カーミシュリー市での青年らによる反体制デモを強制排除したと報じた。

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AFP(1月26日付)は、スワイダー県ドゥルーズ山山頂を1月16日に反体制武装勢力の戦闘員約100人が占拠したことを受け、同県住民と軍が奪還に攻防を続けている、と報じた。

同報道によると、反体制武装勢力は、ダルアー県出身者などからなり、スワイダー市攻略のため、避暑地として使用されている山頂のコテージ7棟を占拠し、住民の要請を受けて当局が派遣した兵士4人を殺害したことを受け、戦闘が激化した。

両者の戦闘は、ハルドゥーン・ザインッディーン(ドゥルーズ派の離反士官)と彼が率いていた反体制武装集団の戦闘員7人が殺害されたことで決着したという。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区、タダームン区で軍が反体制武装勢力と交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラ・シヤーフ地区、スルターニーヤ地区、ジャウバル区などで軍が反体制武装勢力と交戦した。

またヒムス市各所、タドムル市周辺、クサイル市、東ブワイダ市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月25日付)によると、ハイダリーヤ村、タッルドゥー市、ラスタン市郊外、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区などで軍が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市中央刑務所周辺で、軍がシャーム自由人大隊、シャームの鷹旅団と交戦した。

複数の反体制活動家によると、シャーム自由人大隊、シャームの鷹旅団は刑務所内への突入に成功したという。

一方、SANA(1月25日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マアッラト・ヌウマーン市、ジスル・シュグール市郊外、イドリブ市・サルキーン市街道などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月25日付)によると、タッル・シュガイブ村、サクラーヤー村、タッル・ジブリーン市、クワイリス市などで軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、バーブ・ハディード、バーブ・ナイラブ、カースティールー地区、シャイフ・サイード地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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一方、SANA(1月25日付)によると、反体制武装勢力がダルアー市内の検問所を襲撃、占拠を試みたが、軍が撃退、多数の戦闘員を殺傷した。

またタファス市、タスィール町、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、ハイト村、アービディーン市、ダーイル町などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制武装勢力の動き

『ハヤート』(1月26日付)などによると、サウジアラビアのジェッダに駐在し、シリア軍徴兵局高官を務めていたという反体制活動家のイマード・マイーン・ヒラークは、シリア政府がハッジ期間中にメッカでの爆破テロを計画していた、と暴露した。発言の真偽は定かでない。

Akhbar al-Sharq, January 25, 2013
Akhbar al-Sharq, January 25, 2013

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アフバール・シャルク(1月25日付)は、24日のアサド大統領が参加した集団礼拝の映像に、2012年12月に殺害されたザイン・アービディーン・ビッリーの映像が映り込んでおり、過去の映像が用いられていたと報じた。

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自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)メンバー(ヒムス地区)のカースィム・サアドッディーン空軍大佐は、『ハヤート』(1月26日付)に対して、ヒムス県に対する軍の攻撃激化に関して、「ヒムスでの民族浄化を行おうとしている」と述べた。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は預言者聖誕祭を祝してテレビ演説を行い、そのなかでシリア情勢に触れ、「軍事情勢や地域・国際情勢の進展のすべてが、多くの党派の夢が実現しないことを示している」と述べ、欧米諸国、湾岸アラブ諸国、トルコ、レバノンの野党、シリアの反体制武装勢力、外国人サラフィー主義戦闘員によるアサド政権打倒の試みが失敗に終わることを示唆した。

諸外国の動き

ヨルダン国王アブドゥッラー2世は、第43回世界経済フォーラム(ダボス会議)で、ヨルダン国内のシリア人避難民流入に対処するためのさらなる支援を国際社会に求めた。

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AFP(1月25日付)は、英国警察当局がテロ活動支援のためにシリアに渡航しようとした男性(31歳)を逮捕・起訴したと報じた。

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『ハヤート』(1月25日付)は、ジハード・マクデイスィー外務在外居住者省報道官が米国にいるとのロバート・フォード駐シリア米大使の発言を米国務省高官が否定した、と報じた。

AFP, January 25, 2013、Akhbar al-Sharq, January 25, 2013、al-Hayat, January 25, 2013, January 26, 2013、Kull-na Shuraka’, January 25, 2013,
January 27, 2013、al-Kurdiya News, January 25, 2013、Naharnet, January 25,
2013、Reuters, January 25, 2013、SANA, January 25, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍がヒムス市および同市郊外での「野蛮な攻撃」を激化させるなか、シリア内務省は危機解決政治プログラムに基づいて最近出国した全ての市民に対し「国境の通関で帰国に必要なすべての措置を講じる」と発表(2013年1月24日)

国内の動き(シリア政府の動き)

シリア内務省は声明を出し、1月6日のアサド大統領の演説で示された危機解決政治プログラムに基づき、最近の事件を理由に国を去ったすべての市民に対して、その出国の適法性にかかわらず、国境の通関で帰国に必要なすべての措置を講じる、と発表した。

SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013

またシリア内務省はこれとは別に声明を発表し、危機解決政治プログラムに基づき、「国民対話への参加を望むすべての在外の反体制政治勢力に…ダマスカス国際空港、ジュダイダト・ヤーブース、ナスィーブ、カサブ、タンフの国境通行所経由でのシリアへの帰国を認める」と発表した。

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アサド大統領はダマスカス県ムハージリーン区にあるアクラム・モスクで預言者聖誕祭を祝して、午後の集団礼拝に参加した。

集団礼拝は宗教関係省が企画し、ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣、アフマド・バドルッディーン・ハッスーン共和国ムフティー、ワーイル・ハルキー首相をはじめとする政府・党幹部、イスラーム教宗教関係者、市民が参加した。

SANA(1月24日付)が報じた。

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ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣は、「モスクで行われる金曜日(1月25日)の礼拝後に、各地での治安と安全の回復への意思を示す礼拝(サラート・ハージャ)を行う」よう呼びかけた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月24日付)が慈善団体の話として伝えたところによると、ドゥーマー市中心部で、テロリストの退去を求める市民の大規模な集会が行われた。

SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013
SANA, January 24, 2013

国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区、旧市街、ハーリディーヤ地区などで、軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月24日付)によると、ハウラ地方、ラスタン市などで、軍が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、自由シリア軍が、ヌアイマ村、ダルアー市アブー・バクル・スィッディーク検問所、ブスラー・シャーム市イブン・カスィール検問所を制圧した。またブスラー・シャーム市が空爆を受けた。

一方、ザマーン・ワスル(1月24日付)は、占領下ゴラン高原に近いダルアー県のアービディーン村近くに展開する軍大隊と自由シリア軍ヤルムーク大隊の戦闘を、イスラエル軍戦闘機が上空から旋回・監視していた、と報じた。

同報道によると、この戦闘でヤルムーク大隊は軍大隊を制圧したという。

これに対してSANA(1月24日付)は、ブスル・ハリール市、ブスラー・シャーム市などで、軍が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アクラバー村などを軍が空爆・砲撃した。

一方、SANA(1月24日付)によると、ザマルカー町・アルバイン市間の街道で、軍が反体制武装勢力を浄化し、治安を回復した。またダーライヤー市、ハラスター市郊外、ドゥーマー市、アービディーン村、ハイフーン市で、軍が反体制武装勢力を追撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市、フライターン市、バヤーヌーン町、カフルハムラ村、アナダーン市、カール・ジブリーン村、アレッポ市のカーティルジー地区、ナイラブ地区などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(1月24日付)によると、カフルダーイル村、アッサーン村、アナダーン市、マンナグ村、タッル・アアジャール市、アイン・ダクナ村、カフル・アントゥーン市、マンスーラ村などで、軍が反体制武装勢力の拠点を破壊した。

またアレッポ市では、シャッアール地区、バニー・ザイド地区、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、カッラーサ地区、アーミリーヤ地区、タッル・ザラーズィール地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点・アジトを攻撃、破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のハウィーカ地区が軍の砲撃を受け、市内各所で軍と反体制武装勢力が交戦した。

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ハサカ県では、SANA(1月24日付)によると、ハサカ市北部で軍が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、声明を出し、軍がヒムス市および同市郊外での「野蛮な攻撃」を激化させていると非難し、「シリア全土の自由シリア軍に、ヒムス同胞への軍事支援」を呼びかけた。

諸外国の動き

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は記者団に対して、「最近の情報は、事態が膠着状態にあることを示している…。アサド打倒とシリア革命反体制勢力国民連立による権力掌握という我々が望んでいる解決策…に向かうような良い兆候はない」と述べた。

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ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、「シリアにおける紛争を政治プロセスへと変化させるうえでイランは積極的役割を果たすことができるし、そうする義務がある」と述べ、紛争解決へのイランの積極関与の必要を強調した。イタルタス通信(1月24日付)が報じた。

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サウジアラビアのアブドゥッラー・ブン・ヤフヤー・ムアッリミー国連常駐代表は、安保理の定例会合で、シリア情勢に関して、国連憲章第7章に基づく介入を改めて求めた。

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ロバート・フォード駐シリア米大使は、CNN(1月24日付)に、ジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官が、米国に滞在している、と述べた。真偽は定かでない。

AFP, January 24, 2013、Akhbar al-Sharq, January 24, 2013、al-Hayat, January 25, 2013、Kull-na Shuraka’, January 24, 2013、al-Kurdiya News,
January 24, 2013、Naharnet, January 24, 2013、Reuters, January 24, 2013、SANA,
January 24, 2013、Zaman al-Wasl, January 24, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

自由シリア軍副司令官が自軍を大会に招聘しなかったシリア革命反体制勢力国民連立を非難、各方面が自由シリア軍・サラフィー主義者と人民防衛隊の戦闘が継続していることへの懸念を表明(2013年1月23日)

国内の動き(シリア政府の動き)

ハマー県サラミーヤ市では、21日の自爆テロの犠牲者の葬儀が行われ、多数の住民が参列、挙国一致、治安維持、テロ活動根絶の必要を訴えた。SANA(1月23日付)が報じた。

SANA, January 23, 2013
SANA, January 23, 2013

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SANA(1月23日付)によると、ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会が会合を開き、シリア・ポンド下落など経済財政状況への対応を協議した。

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カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は、灯油、ガソリンなどの公定価格引き上げに関して、「政府内での立場と政府外の立場は異なる」と述べ、自身および変革解放人民戦線がこの決定に同意していないことを明らかにした。

シリア・ステップ(1月23日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市で軍と反体制武装勢力が交戦した。

またクッルナー・シュラカー(1月23日付)は、ムライハ市で自由シリア軍への武器・兵站支援を行ったとの容疑(テロ支援容疑)で17歳から45歳の市民40人が逮捕された、と報じた。

一方、SANA(1月23日付)によると、サイイダ・ザイナブ町、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ハラスター市、ドゥーマー市郊外、ザバダーニー市などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

SANA, January 23, 2013
SANA, January 23, 2013

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区の区役所近くで軍登坂体制武装勢力が交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アブー・タルタル村が砲撃を受け、女性1人、子供3人を含む一家5人が死亡した。

一方、SANA(1月23日付)によると、ドゥワイヒー市、ザハビーヤ村、マンスール市、ラスム・アッブード村などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、旧市街、ハーラト・シハーディーン地区、シャイフ・サイード地区、フルワーニーヤ地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

クッルナー・シュラカー(1月24日付)は、自由シリア軍はイラクのクルディスタン自治区に出稼ぎに向かう途中に逮捕されていたクルド人37人を釈放したと報じた。

37人はアレッポ県ラアス・アイン市に無事到着した。

釈放にあたっては、クルド自由人大隊などラアス・アイン市の自由シリア軍、シリア・クルド国民評議会、西クルディスタン人民議会、タッル・アブヤド市の自由シリア軍などが仲介にあたったという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区で軍と反体制武装勢力が交戦した。またハウラ地方、東ブワイダ市などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月23日付)によると、ハウラ地方、クサイル市郊外、ヒムス市スルターニーヤ地区、ジャウバル区、ハーラ・ヌール地区北部などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ブスラー・シャーム市で、反体制武装勢力が人民防衛隊の検問所を襲撃、その後軍と交戦した。

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ハマー県では、シャーム・ネット(1月23日付)が、カフルズィーター市、ラターミナ町に対して軍が地対地ミサイルを発射したと報じた(未確認情報)。

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ハサカ県では、『ハヤート』(1月24日付)によると、ラアス・アイン市に侵攻した自由シリア軍・サラフィー主義者と民主統一党人民防衛隊の交戦が続いた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍副司令官を名乗るマーリク・クルディー大佐はクルディーヤ・ニュース(1月23日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立は自由シリア軍を「マージナライズ」し、イスタンブールの大会に招聘しなかったと不快感を露わにした。

またシリア革命反体制勢力国民連立が設置したラアス・アイン危機管理委員会に関しては、「ラアス・アイン市の危機解決のための委員会が設置されたなどと、誰も我々に知らせてきていない」と述べた。

そのうえで「我々は各方面と連絡をとり、ラアス・アイン市での戦闘停止を試みている」と付言した。

一方、自由シリア軍・サラフィー主義者の侵攻に関しては「自由シリア軍だけが戦闘しているのではない。ヌスラ戦線のような複数の集団がいる」と述べ、戦闘が自由シリア軍以外の武装勢力によるものだと暗示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ラアス・アイン市での自由シリア軍と民主統一党人民防衛隊の戦闘に関して、遺憾の意を表明し、「体制はシリア人どうしの内乱を煽り、シリア革命を貶めようとしている」と指摘、戦闘の停止を呼びかけた。

シリア革命反体制勢力国民連立は、シリア国民評議会とともに、同様の呼びかけを再三行っているが、自由シリア軍とサラフィー主義者がラアス・アイン市への侵攻を停止する気配はない。

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シリア民主フォーラムが声明を出し、ラアス・アイン市での自由シリア軍・サラフィー主義者と民主統一党人民防衛隊の戦闘に関して、即時停戦、治安維持・共存を監督するための合同委員会設置などを骨子とする停戦案を発表した。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務総長はビデオ演説(1月23日付)で、シリア国民および自由シリア軍に対して、軍と反体制武装勢力の戦闘が激化しているヒムス市の救済を呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長は声明を出し、暫定政府発足には30億ドルが必要だが、友好国からこの額を提供する保障を得てないと発表した。

スカイ・ニュース(1月24日付)が報じた。

しかし、クッルナー・シュラカー(1月24日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立のアリー・アミーン・スワイドはフェイスブックで、ムアーッズ議長の声明が「公式の声明ではない」と綴った。

諸外国の動き

シリア在住ロシア人77人が、シリアからレバノンに出国、ベイルート国際空港からロシアへの帰国の途についた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、記者会見で「何もかもがアサド政権を打倒しようとする反体制活動家たちの躁病と衝突している…。交渉を受け入れないこうした立場が続く限り、進展は起こり得ず、戦闘は続き、人々は死んでいくだろう」と政府との対話を拒否する反体制勢力を強く批判した。

そのうえで、シリア革命反体制勢力国民連立に関して「アサド政権とその制度を打倒することを目的としているが、これはジュネーブ合意に完全に反する」と指弾した。

またラブロフ外務大臣は「西側諸国と中東諸国の一部は、シリア革命反体制勢力国民連立を歓迎した…。より建設的な姿勢をとるよう説得する前に反体制勢力を統合することが肝要だと(彼らは)言っていた…。しかし、紛争当事者を交渉のテーブルにつける試みはいまだなされていない」と対話を通じた紛争解決をめざそうとしない欧米諸国、湾岸アラブ諸国、トルコを暗に批判した。

シリア在留ロシア人の政府専用機によるベイルート経由での帰国に関しては、「我々は自国民に避難を開始したわけではない」と述べ、帰国希望者を支援しただけだと述べた。

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国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長は、世界経済フォーラム(ダボス)で、シリア情勢に関して「悲惨で、明らかに悪化している…。65万人以上が国を去った」と述べた。

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NATOのパトリオット・ミサイル配備作戦調整司令官のゲイリー・ディーキン准将(英国)は、今週中にトルコ国境地帯へのパトリオット・ミサイルの配備が完了すると述べた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を出し、シリアの反体制武装勢力がイドリブ県にあるシーア派の礼拝所とラタキア県にあるキリスト教の二つの教会を破壊、略奪を行ったと発表した。

同声明によると、この破壊行為は2012年11月から12月にかけて行われ、イドリブ県ズルズール市、ガッサーニーヤ村、ジュダイダ市では、非スンナ派の施設が反体制武装勢力による制圧後に破壊され、住民が拉致されたという。

これに関して、ズルズール市の複数の住民は、反体制武装勢力制圧以前の同市では、軍がシーア派の施設を軍事目的に使用していたと証言しているという。

http://www.hrw.org/news/2013/01/23/syria-attacks-religious-sites-raise-tensions

AFP, January 23, 2013、Akhbar al-Sharq, January 23, 2013、al-Hayat, January 24, 2013、Kull-na Shuraka’, January 23, 2013, January 24, 2013、al-Kurdiya
News, January 23, 2013、Naharnet, January 23, 2013、Reuters, January 23,
2013、SANA, January 23, 2013、Shabaka Sham, January 23, 2012、Sky News Arabic,
January 24, 2013、Syria Steps, January 23, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国連事務総長とブラーヒーミー共同特別代表がニューヨークで会談、民主的変革諸勢力国民調整委員会いわくラアス・アイン市への自由シリア軍とサラフィー主義者の侵攻は「アラブ・クルド内戦」への道を開く(2013年1月22日)

国内の動き(シリア政府の動き)

ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会は、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣、および内務省各部局長と会合を開き、在外の反体制活動家・組織代表が国民対話大会出席のためにシリアに帰国する際の身柄保障の方法などについて協議した。

SANA(1月22日付)が報じた。

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シリアの外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を提出、ハマー県サラミーヤ市での自爆テロに関して、シャームの民のヌスラ戦線の犯行だと断じたうえで、シリア領内でのテロを非難し、断固たる姿勢で対処するよう求めた。

SANA(1月22日付)が報じた。

al-Hayat, January 23, 2013
al-Hayat, January 23, 2013

国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月22日付)によると、ラアス・アイン市に対して自由シリア軍が迫撃砲・戦車などで住宅地に激しい砲撃を加え、子供2人を含む民間人4人と民主統一党人民防衛隊の戦闘員1人が死傷した。

砲撃では、シリア・クルド国民評議会のラアス・アイン市副代表の自宅も破壊されたという。

同報道によると、戦闘で負傷した自由シリア軍の兵士はトルコ領内に搬送されたが、トルコ当局は戦火を逃れて避難しようとする市民の入国を阻止している、という。

またトルコ国境近くに展開する自由シリア軍が民間人2人を狙撃、射殺した。

犠牲者の父親は、クッルナー・シュラカーの電話取材に対して「バアス体制でもこんなことはしなかった」と怒りを露わにしたという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で軍と反体制武装勢力が激しく交戦、過去3日で双方に130人以上の死者が出た。

一方、SANA(1月22日付)によると、シャーイル山(ハマー県)西部のガソリン・スタンドを反体制武装勢力が襲撃したが、軍が撃退し、装備を破壊した。

またラスタン市では、軍の反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、軍事評議会をなのる武装集団の戦闘員複数を殲滅した。

このほか、アービル村、ハイダリーヤ村、西ブワイダ市、ウンム・サフル村、カフル・アーヤー村、クサイル市郊外、ヒムス市(ジャウバル区、スルターニーヤ地区などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月22日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、ムライハ市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月22日付)によると、クワイリス市、ウワイジャ地区、バービース村、ブンヤーミーン市、マンスーラ村、サフィーラ市などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

またアレッポ市では、サーフール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、シャイフ・サイード地区、旧市街、バニー・ザイド地区、ブスターン・バーシャー地区、シャイフ・ナッジャール地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(1月22日付)によると、カフルズィーター市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(1月22日付)によると、ウンム・ジャリーン村、サーリヒーヤ村などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、「国際社会の意思」に基づく暴力の即時停止とその遵守、「立法権、行政権を有し、すべての国家機関を通じて国家運営を行う全権を有する移行期政府」の発足を主唱し、政治的解決に向けた自らのヴィジョンを改めて明示した。

また声明において委員会は、ラアス・アイン市への自由シリア軍とサラフィー主義者の侵攻を「アラブ・クルド内戦への道を開き…国益に資さない」と非難する一方、国防隊創設による体制派民兵の「合法化」を「国家の根底に觝触し、内戦を促す」と指弾した。

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長とアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はニューヨークで会談し、シリア政府と反体制勢力双方による殺戮・破壊行為の増大への懸念と失望を表明するとともに、両者への外国の武器供与を批判した。

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ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣は、シリア情勢が明確な結論を得ないままに長期化するとの見方を示した。

ボグダノフ副大臣は「当初は2、3ヶ月で決着する期待があったが、もう2年が経過している。事態は異なったかたちで推移しており、紛争は長引くだろう」と述べた。

ロシアの複数の通信社が伝えた。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣はリヤードでのアラブ経済サミット後の記者会見で、シリア問題に関して、国際社会、とりわけ国連安保理に適切な危機解決策を講じるため、早急に介入するよう呼びかけた。

サウード・ファイサル外務大臣は「シリア政府は、テロリストが国民と戦っていると国民に納得させいようとしている。現政府と反体制活動家の間に政治的解決が実現しそうにはない」と述べた。

そのうえで「我々は大きな岐路に立たされている…。自らの国の歴史と国民を破壊した者と交渉などできようか?」と述べ、アサド政権との交渉を拒否すべきだと主張した。

AFP, January 22, 2013、Akhbar al-Sharq, January 22, 2013、al-Hayat, January 23, 2013、Kull-na Shuraka’, January 22, 2013、al-Kurdiya News,
January 22, 2013、Naharnet, January 22, 2013、Reuters, January 22, 2013、SANA,
January 22, 2013などをもとに作成。

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シリア革命反体制勢力国民連立はイスタンブールで1月16日から続けられていた大会を閉幕、移行期政府の構想は先送りに(2013年1月21日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ハムーリーヤ市、バイト・サフム市、ムライハ市、アクラバー村、ザマルカー町などを軍が空爆した。

またダーライヤー市などに対して、軍が砲撃を行った。

一方、SANA(1月21日付)によると、ドゥーマー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、バフダリーヤ村などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(1月22日付)によると、20日夜から21日にかけて複数の地区(とりわけ県南部)で大規模な停電が発生した。

シリア人権監視団によると、停電はナブク市の変電所が破壊されたことによるものだという。

これに関して、イマード・ムハンマド・ディーブ・ハミース電力大臣は、武装テロ集団が主要な電力供給ラインを破壊したことで停電が発生し、普及までに若干の時間を要すると発表した。

一方、『ハヤート』(1月22日付)はロシア大使館近くに迫撃砲2発が着弾し、女性3人が死亡したと報じた(未確認情報)。

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ハマー県では、SANA(1月21日付)によると、サラミーヤ市で爆弾が仕掛けられた車が爆発(自爆テロ)し、女性、子供を含む25人が死亡、多数が負傷した。

その後、SANA(1月22日付)は死者が32人に達したと報じた。

この自爆テロに関してシリア人権監視団は、死者は42人で、そのほとんどが自警組織「人民諸委員会」のメンバーだったと発表した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区で軍の狙撃により5人が死亡、カラム・ジャバル地区では軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月21日付)によると、ハーン・アサル市、アターリブ市、ダイル・ジャマール村、タッル・シュガイブ村、ダール・イッザ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、シャイフ・サイード地区、ブスターン・カスル地区、サーフーラ地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市とダマスカス県を結ぶ街道で軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、軍の士官1人が死亡、多数の兵士が死傷したという。

一方、SANA(1月21日付)によると、タルビーサ市、タッルドゥー市、ラスタン市、ガントゥー市、東ブワイダ市、タッル・ウンム・サフル村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ市への軍ヘリコプターの攻撃で、女性2人、子供3人を含む市民8人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(1月21日付)によると、反体制武装勢力がナワー市の学校を襲撃、施設を破壊した。

国内の動き(シリア政府の動き)

『ワタン』(1月21日付)は、国内通商消費者保護省がガソリン、小麦、小麦粉の公定価格を引き上げることを決定したと報じた。

この決定により、高オクタン価ガソリンは1リットルあたり60ポンドから95ポンドに、小麦粉は1トンあたり33,515ポンドから34,685ポンドに、硬質小麦は1トンあたり26,155ポンドから27,460ポンドに、軟質小麦は25,650ポンドから26,949ポンドに引き上げられる。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立は、イスタンブールで1月16日から続けられていた大会を移行期政府発足の目処が立たないままに閉幕した。

これに関して、『ハヤート』(1月22日付)は、組閣の延期の背景に、在外活動家の資金不足にあると報じた。

同紙が、複数の消息筋の話として報じたところによると、大会での移行期政府をめぐる審議では、その権能をめぐって意見の対立が生じ、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が会議の途中(1月20~21日)にカタールに財政支援を求めるためにイスタンブールを去ったことで、議事の進行が滞った。

また同紙によると、反体制活動家のルワイユ・サーフィーは、ハティーブ議長がカタールで反体制武装勢力への追加の財政支援を求めたとしたうえで、「この訪問は、移行期政府発足の決定によい結果をもたらすだろう。なぜならシリア革命反体制勢力国民連立の各当事者は、連立を支援する国際基金が設立されるまではこうした内閣の発足に合意しないからだ」と述べた。

さらにサーフィーは、「資金なしで、我々はどのように国を支配することができようか?組閣する場合、我々は、政府の支配を脱した…シリア北部の地域に戻り、シリア国内で活動しなければならない。資金なしにどのように戻るのか」と付言した。

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シリア国民評議会が出した声明によると、大会での移行期政府発足をめぐる審議では、革命諸勢力、反体制勢力、自由シリア軍、友好国との協議を通じて、暫定内閣発足に関する見解を聴取するための委員会の設置を決定した。

この委員会は、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、ジョルジュ・サブラー・シリア国民評議会事務局長、アフマド・サイイド・ユースフ、ブルハーン・ガルユーン、アフマド・アースィー・ジャルバー、ムスタファー・サッバーグから構成され、10日以内に連立の総合委員会に報告を提出し、連立はこの報告にふさわしい措置を講じる予定だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、イスタンブールでの大会で移行期政府の発足が先送りとなったことを受け、同内閣が将来的にその活動を引き継ぐことになる7つの委員会の設置を決定したと発表した。

7つの委員会とは、外交緊急委員会、電話・インターネット通信委員会、国境管理委員会、ラアス・アイン危機管理委員会、避難民問題委員会、革命負傷者委員会、革命諸勢力市民平和連絡委員会。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ハサカ県ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘に関して、すべての当事者に停戦を呼びかけるとともに、イスタンブールの大会で設置が決定されたラアス・アイン危機管理委員会のメンバーを発表した。

同声明によると、ラアス・アイン危機管理委員会メンバーは、サーリム・ムサッリト、アブドゥルバースィト・スィーダー、バフザード・イブラーヒーム、アブドゥルアフマド・イスティーフー、ムハンマド・ムッラー、ヤースィル・ファルハーン、スブヒー・ダーウードからなる。

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シリア革命反体制勢力国民連立はイスタンブールでの大会(約60人が出席)の閉幕声明で、国連に対してシリア政府への人道支援の停止を求める外交努力を行うと発表した。

また移行期政府発足に関して、「解放区の市民の問題に対処する暫定政府発足の問題を議論し、国内情勢、国際情勢が暫定政府の早急な発足を必要としているとのコンセンサスに達した」と発表し、組閣が失敗したことを暗に認めた。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はアラブ経済サミット出席のため訪問したリヤードで、「アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が行ったすべての折衝は、この危機を緩和し、移行期を開始するためのいかなる希望の光ももたらしていないと認めざるを得ない」と述べた。

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AFP(1月21日付)は、トルコのハタイ県イスケンデルン市の港に、ドイツ軍が保有するパトリオット・ミサイルがNATOでの決定に従い、陸揚げされた、と報じた。

AFP, January 21, 2013、Akhbar al-Sharq, January 21, 2013、al-Hayat, January 22, 2013, January 23, 2012、Kull-na Shuraka’, January 21, 2013,
January 22, 2013、al-Kurdiya News, January 21, 2013、Naharnet, January 21,
2013、Reuters, January 21, 2013、SANA, January 21, 2013, January 22, 2013、al-Watan, January 21, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ムアッリム外相がインタビューのなかでシリア政府高官として初めて「調整」に対話を呼びかける、民主的変革諸勢力国民調整委員会が「シリア領内にテロを輸入」しているとしてトルコ政府を非難(2013年1月20日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ダーライヤー市などに対して、軍が空爆を行い、5人が死亡した。

またハッラーン・アワーミード市近郊のバーリカ村に対する軍の空爆で、女性1人、子供3人を含む1家5人が死亡したという。

『ワタン』(1月20日付)は、政府に近い消息筋の話として、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市周辺の反体制武装勢力が、軍の攻撃によって、拠点の多くを破壊され、甚大な被害を受け、フェイスブック上で活動する調整を通じて、支援物資、医療支援を呼びかけている、と報じた。

そのうえで「軍はアジトに残っているテロリストを殲滅するための特殊地上作戦を行うだろう」と付言した。

一方、SANA(1月20日付)によると、ムライハ市、ダーライヤー市で軍が反体制武装勢力と交戦、ハムザ・ブン・アブドゥルムトリブ大隊軍事評議会、使徒末裔大隊のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またドゥーマー市郊外、ハラスター市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、アクラバー村でも軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区に軍が砲撃を加え、反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(1月20日付)によると、タルビーサ市、ハウラ地方、サブガ市、東ブワイダ市、カフル・アーヤー村などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、複数の活動家によると、シャームの民のヌスラ戦線の指導のもとに反体制武装集団がアレッポ国際空港とナイラブ航空基地の防衛を任務とする第80旅団第599防空大隊の基地に突入した。

突入した反体制武装勢力は、大量の武器弾薬を奪い、撤退したという。

一方、SANA(1月20日付)によると、アレッポ市アンサーリー地区などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またバーブ市、クワイリス市、マーリア市、アッサーン村、タームーラ村、ドゥワイリーナ地方東部、シャイフ・ナッジャール市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(1月20日付)によると、ブスラー・シャーム市の砦を襲撃しようとした反体制武装勢力に軍が応戦し、戦闘員を殲滅した。

またバスラー・ハリール市などで軍が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

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イドリブ県では、SANA(1月20日付)によると、ビンニシュ市、サンバル市、クーリーン市、アリーハー市、イフスィム町、ダイル・サンバル村などで軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またワーディー・ダイフ軍事基地周辺でも軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き(シリア政府の動き)

危機解決に向けたプログラムに関する内閣の決定を実施するための閣僚委員会(作業チーム)が、高等救済委員会メンバーと合同会合を開き、高等救済委員会が、シリア赤新月社、赤十字国際委員会、各県の関係当局などとの連携・調整のもと、国外避難民の帰国、家族訪問の促進、各県の被災者への支援拡充などを行うことを確認した。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア・アラブ・テレビ(1月20日付放映)のインタビューで、アサド大統領の1月6日の演説が「曖昧だった移行期へのシリアによる解釈」だとしたうえで、「とりわけ調整、そして若い世代」をはじめとする反体制武装勢力に対話を呼びかけた。

シリア政府の高官が「調整」に対して直接対話を呼びかけるのはこれが初めて。

ムアッリム外務在外居住者大臣はまた、アサド大統領の危機解決に向けたプログラムが「外国からのイニシアチブへの道を閉ざす」ものだと評価した。

そのうえで「彼ら(欧米諸国、湾岸アラブ諸国、トルコなど)は、船が揺らいだ時に船長が最初に逃げることはないという事実を無視している」と述べ、「アサド大統領の退任という意味での政治体制の変換を前提とする」欧米諸国などの取り組みは成功しないだろう強調し、これらの国が、大統領の進退について言及することは許されないとの立場を示した。

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AFP(1月20日付)は、UAE在住の複数のシリア人の話として、アサド大統領の母アニーサ・マフルーフが10日ほど前からドバイに滞在していると報じた。

アニーサ・マフルーフは、数ヶ月前から同国に滞在する大統領の姉のブシュラー・アサド一家の住居の近くに居を構え、滞在している、という。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会はフェイスブック(1月20日付)を通じて声明を発表し、トルコ政府が「シリア領内にテロを輸入」していると批判した。

声明において同委員会は、トルコから潜入する反体制武装勢力が「個人ないしは集団で孤立した市民や、シリア政府がもはや代表していない国民の財産である国家機関への攻撃を行っている」と指弾した。

また「大多数の(ラアス・アイン)市民は、避難を強いられ、住居や財産を放棄し、それらをこうした大隊が略奪している。そしてこれにより、民主統一党人民防衛隊は、地域住民を護るため、攻撃への応戦を余儀なくされている」と指摘した。

そのうえで「革命に侵入した不純物であり、外国、とりわけトルコのアジェンダを代表しているこうした集団を厳しく非難する。これらの国は、主権を明らかに違反するかたちで、こうした集団に武器を供与し、外国人戦闘員、兵站、装甲車を国境を越えて潜入させており…、シリア国民、自由と尊厳のための革命に奉仕していない」と付言した。

さらにトルコ政府に対してあらゆるかたちで圧力をかけ、こうしたテロ支援を停止させるよう国際社会に呼びかけた。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、ハサカ県ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘に関して、反体制武装勢力の「目的が体制と対決することでなく、住民が望もうが望むまいが、支配できるならどこでも支配しようとしていることを示すものである」と批判した。

また「ラアス・アイン市には現在住民はいなくなってしまっている…。これらの大隊の目的には多くの疑義が呈されている。彼らは常にトルコ領から…入ってきているが、その一方でトルコ当局はラアス・アイン市の避難民の入国を阻止していることを知っている」と付言した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のムンズィル・マーフース(在パリ代表)は、ムアッリム外務在外居住者大臣のテレビでの発言に関して、「反体制勢力国民連立は、ムアッリム外務在外居住者大臣や体制とともに組閣を行うことはない。なぜなら、国民を殺害し、政治的解決に繋がるあらゆるものを拒否する体制と検討することなどないからだ…。(アサド大統領の)演説は政治解決検討の可能性を根絶した」と述べ、アサド政権との対話を拒否した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のルワイル・サーフィーは「我々はこれらの人々を信用していない。彼らは政治をもてあそんでいるだけだ」と述べ、アサド政権との対話を拒否した。

諸外国の動き

イラクのホシェル・ゼバリ外務大臣は『ハヤート』(1月21日付)に対して、「バグダードが得た最新の情報によると、政府軍は一部のメディアが報じている以上に、ダマスカス県・ダマスカス郊外県を制圧している。また政府はダイル・ザウル、ダルアー、アレッポも明らかに制圧しているようだ。アサド政権が国連の決定やアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の提案を承認しないことを、こうした状況が正当化している」と述べた。

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『ル・モンド』(1月20日付)は、西側諜報筋の話として、シリア軍が2012年12月に殺傷力のない化学兵器を反体制勢力に対して使用した、と報じた。

しかし、フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、この報道に関して、「我々は当該機関に調査を要請し、我々だけでなく他の国も調査した。しかし彼らは、これらの武器(化学兵器)が使用されていないと解答した」と否定した。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、Euro 1(1月20日付)に対して、1月28日に予定されているシリア革命反体制勢力国民連立の大会に参加する意思を示す一方、シャームの民のヌスラ戦線に関して、「少数派」と述べ、シリアの反体制勢力における影響力を否定した。

一方、シリアの現体制については、「事態はおぞましく、アサドは早急にされねばならない」と述べた。

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イランのアリー・アクバル・ヴェラヤティー元外務大臣は、マヤーディーン(1月20日付)に対して、「アサド大統領が退任させられれば、イスラエルに対するレジスタンスの隊列が壊されるだろう」と述べ、シリアの体制転換がイランにとっての「レッド・ライン」だと立場を表明した。

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国連人権問題調整事務所(OCHA)のジョン・ギング運用部長がシリアを訪問し、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣と会談した。

AFP(1月20日付)によると、グング運用部長の訪問は「シリアの危機と必要とされる人道支援の規模を直接評価すること」が目的だという。

AFP, January 20, 2013、Akhbar al-Sharq, January 20, 2013、al-Hayat, January 21, 2013、Kull-na Shuraka’, January 20, 2013、al-Kurdiya News,
January 20, 2013、al-Mayadin, January 20, 2012、Le Monde, January 20, 2012、Naharnet, January 20, 2013、Reuters, January 20, 2013、SANA,
January 20, 2013、al-Watan, January 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ラアス・アイン市で人民防衛隊がサラフィー主義者戦闘員(ヌスラ戦線は含まず)や自由シリア軍と激しく交戦するなか、シリア革命反体制勢力国民連立はカタールから供与された800万ドルを傘下の11組織に配分(2013年1月19日)

シリア政府の動き

ハルキー内閣の危機解決政治プログラム実施閣僚委員会が会合を開き、国民対話大会への在外反体制政治組織・活動家の参加を促進・補償するための具体的措置に関して審議を行った。

SANA, January 19, 2013
SANA, January 19, 2013

また鉄道網などを通じた被災者への人道支援の配給、避難民の帰国支援などを審議した。

SANA(1月19日付)が伝えた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア・アラブ・テレビ(1月20日放映予定)のインタビューに応じ、そのなかでカタール、サウジアラビア、トルコが米国の指示のもと、シリア国内のテロリストに武器と資金を供与している、と非難した。

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変革解放人民戦線と人民意思党は声明を出し、国内通商消費者保護省による灯油の公定価格の40%引き上げ決定が「現下の危機をより複雑にする」と批判、変革解放人民戦線代表と人民意思党党首を兼務するカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護省に決定の撤回を求めた。

国内の暴力

ハサカ県では、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)が、サラフィー主義者戦闘員や自由シリア軍と激しく交戦した。

『ハヤート』(1月20日付)は、サラフィー主義者戦闘員や自由シリア軍の側にシャームの民のヌスラ戦線は含まれていないとしながらも、彼らがトルコ領から進入し、ラアス・アイン市を攻撃していると報じた。

シリア人権監視団によると、両者の戦闘で過去48時間に33人が死亡した。うち28人が自由シリア軍・サラフィー主義者戦闘員。

一方、『ハヤート』(1月20日付)は、ルマイラーン町とカルズィールー村間の軍拠点周辺で、軍と民主統一党人民防衛隊(YPG)が交戦し、軍が同地帯から撤退したとの情報が伝えられている、と報じた。

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ダルアー県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、県の国民和解委員会メンバーを務めていたシャイフ、ハーリド・ヒラールがシュハイブ市・タッル・アスファル市間の街道で反体制武装勢力に襲撃され、同行していた3人とともに殺害された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、ジュダイダ・アルトゥーズ町郊外の農園などを軍が空爆した。

またアルバイン市、ザバダーニー市などが砲撃を受けた他、スバイナ町、アクラバー村、ムライハ市、ハーン・シャイフ(パレスチナ難民キャンプ)周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月19日付)によると、アルバイン市、ムライハ市、シャイフーニーヤ村郊外、ダーライヤー市、ヤブルード市、ザバダーニー市、ナブク市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、アンサール・イスラームのメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区を軍が空爆した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、ヒーシュ村とハーン・シャイフーン市を結ぶ国際幹線道路沿いで、反体制武装勢力が軍を襲撃した。

シリア人権監視団によると、この襲撃は、ワーディー・ダイフ軍事基地、ハーミディーヤ航空基地への兵站を絶つことが目的だという。

一方、SANA(1月19日付)によると、サルキーン市などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月19日付)によると、マーリア市、アナダーン市、タームーラ村、バヤーヌーン町、ラスム・アッブード村、クシャイシュ市、マーイル町、ハイヤーン町、フライターン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市では、ブスターン・カスル地区、マイサル地区、カッラーサ地区、スッカリー地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、『ハヤート』(1月20日付)によると、ヒムス市ジャウバル区、バーブ・アムル地区などが軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(1月19日付)によると、東ブワイダ市近郊、マスウーディーヤ村、アービル村、タッルドゥー市などで、軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

1月16日からトルコのイスタンブールで続けられているシリア革命反体制諸勢力国民連立の会合に関して、出席者の一人は、『ハヤート』(1月20日付)に対して、暫定内閣発足をめぐる審議が、発足時期、閣僚人事をめぐって紛糾していると語った。

同出席者によると、暫定内閣首班候補者としてリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相やアスアド・ムスタファー元農業大臣の名前があがる一方、暫定内閣への国際社会の承認や、組閣前にシリア国内の解放区に拠点を設置する必要があるとの意見が出ている、という。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、カタールから供与された800万ドルを傘下組織に配分したと発表し、その内訳を公表した。

同発表によると、配分先の詳細(地元評議会を名乗る在外活動家)は以下の通り:

ダルアー県地元評議会:ムハンマド・カッダーフに70万ドル支給。
イドリブ県地元評議会:アドナーン・ラフムーンに80万ドル支給。
ハマー県地元評議会:サラーフッディーン・ハマウィーに70万ドル支給。
ヒムス県地元評議会:アブドゥルイラーフ・ファフドに80万ドル支給。
アレッポ市および郊外地元評議会:ジャラールッディーン・ハーンジーに100万ドル支給。
ダマスカス郊外県地元評議会:ジャワード・アブー・ハトブに60万ドル支給。
ダマスカス県地元評議会:ムハンマド・ヤフヤー・マクタビーに60万ドル支給。
タルトゥース県地元評議会:アブドゥルカリーム(フルネーム不明)に60万ドル支給。
クナイトラ県地元評議会:アフマド・アワド・ムハンマドに20万ドル支給。
スワイダー県地元評議会:リーマー・フライハーンに10万ドル支給。
ラッカ県地元評議会:ムスタファー・ナウワーフ・アリーに20万ドル支給。
ハサカ県地元評議会:ムハンマド・ムスタファー・ムハンマドに20万ドル支給。
ラタキア県地元評議会:ズィヤード・ライイスに60万ドル支給。
ダイル・ザウル県地元評議会:リヤード・ハサンに70万ドル支給。
シリア革命最高評議会:リーマー・フライハーンに20万ドル支給。
シリア革命総合委員会:20万ドル支給予定。

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シリア国民評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党と自由シリア軍・サラフィー主義者の戦闘に関して、住民に対して不和を解消し、すべての社会勢力からなる委員会を設置し、体制およびその手先の支配を排除するために同市を監督するよう呼びかけた。

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『ハヤート』(1月20日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市の地元評議会が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立と自由シリア軍に対して、「シリア革命の原則と目標を貶める犯罪的な戦争を停止するよう武装集団に圧力をかける」ことを求めた。

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シャームの民のヌスラ戦線が声明を出し、アレッポ県タッル・ハースィル村に位置する第559防空大隊基地を制圧したと発表した。

基地制圧には、シャーム自由人大隊に属するシャフバー大隊、ムハージリーン大隊も参加した。

第559防空大隊基地はアレッポ国際空港から5キロの地点に位置し、同空港の防衛にあたっていた、という。

レバノンの動き

UNHCRは、レバノン国内のシリア人・パレスチナ人避難民の数が21万2000人以上に達する、と発表した。

県別の内訳は、北部県が73,970人、ベカーア県が56,284人、ベイルート県と南部県が合わせて17,404人。

避難民のうち難民登録が完了したのが147,000人で、64,000人は申請中だという。

諸外国の動き

ユニセフの中東・北アフリカ地域事務所のマリア・マリビス代表は声明を出し、ヒムス市ハサウィーヤ地区での「虐殺」やダマスカス郊外県フサイニーヤ町のパレスチナ人居住区への空爆を「もっとも厳しい表現で非難」、「すべての当事者に民間人、とりわけ子供を保護し、紛争の被害から回避させることを保証するよう改めて呼びかける」と述べた。

AFP, January 19, 2013、Akhbar al-Sharq, January 19, 2013、‘Aks al-Sayr, January 19, 2013、al-Hayat, January 20, 2013、Kull-na Shuraka’, January 19, 2013、al-Kurdiya News,
January 19, 2013、Naharnet, January 19, 2013、Reuters, January 19, 2013、SANA,
January 19, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市ムハーファザ地区で発生した爆発により数十名が死傷するも活動家は政府による犯行と主張、シリア政府は約10,000人の若者から構成される「国防隊」の新設を進める(2013年1月18日)

国内の暴力

アレッポ県では、『ハヤート』(1月19日付)などによると、アレッポ市ムハーファザ地区で爆発があり、建物が崩壊、12人が死亡した。

ワヒード・アッカード県知事は、AFP(1月18日付)に対して、この爆発で3人が死亡、67人が負傷したと述べた。

SANA(1月18日付)は、テロ集団がアレッポ市カッラーサ地区から同市ムハーファザ地区にミサイルを撃ち、多数の市民が死傷、建物が倒壊した、と報じた。

一方、AFP(1月18日付)は、シリア軍筋の話として、軍戦闘機がブスターン・カスル地区の反対武装勢力を攻撃するなかで、同地区の反体制武装勢力がムハーファザ地区に地対地ミサイルを撃った、と報じた。

またハミード・バーラーシューを名乗る活動家は、「戦闘員はまだこれほどの能力を持っていない…。空爆が行われる前に同地区上空に戦闘機が旋回しているとの報告が多数ある。政府はアレッポ市をさらなる混乱に陥れようとしている」と述べ、爆発が政府軍によるものだと主張した。

SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013

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同じくアレッポ県では、SANA(1月18日付)によると、アレッポ市カースティールー地区、カッラーサ地区、ザラーズィール地区、ブスターン・カスル地区、バニー・ザイド地区、バーブ・ナイラブ地区、カーディー・アスカル地区、マアスラーニーヤ地区などで軍が反体制武装勢力を攻撃・追撃し、多数の戦闘員を殺傷、武器庫などを破壊した。

また、タッル・スーティーン市、カフルハムラ村、タッル・ハースィル市、フライターン市、カブターン・ジャバル市、アターリブ市、シハーラ市、アズィーザ市、クワイリス市、タッル・シュガイブ村、バーブ市などでも軍が反体制武装勢力を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ハサカ県では、『ハヤート』(1月19日付)が、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)とシャームの民のヌスラ戦線などサラフィー主義者戦闘員が激しく交戦し、戦闘では戦車や迫撃砲が使用され、多数が死傷したと報じた。

AFP(1月18日付)は、「ハヴィダール」を名乗る活動家の話として、この戦闘で、ヌスラ戦線はトルコ領から戦車3輌をシリア領内に侵攻させたが、人民防衛隊が同戦線の戦車1輌を捕捉した、と報じた。

SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013
SANA, January 18, 2013

しかし、クッルナー・シュラカー(1月17日付)は、シャームの民のヌスラ戦線メンバーに近い消息筋の話として、クルド人戦闘員から編成される自由シリア軍グワイラーン大隊、使徒末裔大隊が攻撃を行っており、ヌスラ戦線は参加していない、と報じた。

また、同報道によると、自由シリア軍の複数の大隊が軍から奪った戦車2輌と重装甲車1輌を使用して攻撃を行っているという。

さらに、複数の目撃者によると、戦闘激化を受け、ラッカ市、タッル・アブヤド市方面から、反体制武装勢力の武装四輪駆動車約10輌からなる増援部隊がラアス・アイン市方面に進軍、民主統一党の人民防衛隊もカーミシュリー市、アームーダー市、ダルバースィーヤ市などから増援部隊を派遣した、という。

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ダルアー県では、SANA(1月18日付)によると、ダルアー市のフサイン・モスク前で爆弾が仕掛けられた車2台が相次いで爆発し、礼拝者多数が死傷した。

ジャズィーラに記事・情報を提供してきたムハンマド・ムサーラマ(通称:ムハンマド・ハウラーニー、シリア人)がバスラー・ハリール市の戦闘を取材中に撃たれて死亡した。

ジャズィーラ(1月18日付)は、ムサーラマを特派員と位置づけたうえで、彼が軍によって狙撃され、死亡したと伝えた。

しかし、ジャズィーラは2011年3月以降のシリア情勢への偏向した報道ゆえに、シリア国内での取材活動を認められていない。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ドゥーマー市、バイト・サフム市、アクラバー村などに軍が空爆を行い多数死傷し、アルバイン市での砲撃で女児1人が死亡した。またバイト・サフム市、アクラバー村では軍と反体制武装勢力が交戦した。

さらに同監視団によると、アドラー市の軍の検問所で身元不明の遺体11体が発見され、地元調整諸委員会によると、ドゥーマー市でも離反兵の遺体13体が発見されたという。

一方、SANA(1月18日付)によると、ダーライヤー市、フジャイラ村、ムウダミーヤト・シャーム市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、ムライハ市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県にある使徒末裔大隊の司令官の一人アブー・アリー大尉の自宅を軍の砲撃し、同大尉が死亡した。

アブー・アリー大尉は、ダマスカス県、ダマスカス郊外県での戦闘での戦闘を指揮していた。

クッルナー・シュラカー(1月20日付)は、シリアへの「アラブの春」波及当初から、フェイスブックを通じてダマスカス県・ダマスカス郊外県の映像を配信してきた活動家のアムジャド・スユーフィーがサクバー市で殺害された、と報じた。

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イドリブ県では、SANA(1月18日付)によると、サルジャ村およびその周辺で、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、シャーム自由人大隊のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(1月18日付)によると、カルアト・ヒスン市などで、軍が反体制武装勢力と交戦市、複数の戦闘員を殺傷した。

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フェイスブックなどでは、「革命の大学の金曜日」と銘打って反体制デモが呼びかけられた。

シリア政府の動き

RT(1月18日付)は、シリア当局が軍(正式名称「軍武装部隊」)の予備兵力として、約10,000人の若者から構成される「国防隊」の設置を進めていると報じた。

同報道によると、「国防隊」は、兵役を終えた民間人約10,000人によって構成され、自警活動を行う人民諸委員会とともに、反体制武装勢力の攻撃からの市街地防衛を任務とし、制服、給与が支給される、という。

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『ハヤート』(1月19日付)は、複数のインターネット・サイトの情報として、「国防隊」がすでに発足し、各県に本部が設置され、20,000人以上の若者が徴兵され教練を受けている、と報じた。

同報道によると、「国防隊」の車輌、制服が支給され、対ゲリラ・民兵戦の専門家の教練を受けており、近く各地に配属予定の部隊は地元出身者から編成されている、という。

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SANA(1月18日付)は、国内通商消費者保護省が灯油の価格を40%引き上げ、公定価格を35ポンド/リットルとすることを決定したと報じた。

クッルナー・シュラカー(1月18日付)は、この決定に関して、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣は反対の意思を表明し、決定への署名を拒否した、と報じた。

なお闇市場では、115ポンド/リットルで売買されることもある。

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シリア外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長に宛てて書簡を提出し、スイスなど57国による国際刑事裁判所へのシリア情勢の付託を求めた連名書簡に関して、「テロから国民を保護するというシリアの国家としての権利を承認することを拒否する誤った方法に遺憾の意を表明する」と非難の意を表明した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と反体制武装勢力の戦闘激化への懸念を表明し、軍事行動の停止、逮捕者・捕虜の即時釈放、市内からの武装集団の撤退を求めた。

パレスチナ人の動き

『アフバール』(1月18日付)は、レバノンのアイン・フルワ難民キャンプ出身のパレスチナ人戦闘員8人が、シリアの反体制勢力に参加し、死亡したと報じた。

死亡した8人のなかには、アンサールッラーの指導者ジャマール・スライマーンの甥でヒズブッラーの党員だったマフムード・スライマーンも含まれている。

同報道によると、マフムード・スライマーンは数週間前に、自身の支持者がシリアの反体制勢力を支援することを阻止できずに、ヒズブッラーを離反していた。

レバノンの動き

進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首はロシアを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

LBC(1月18日付)に対して、ジュンブラート党首は、ロシアがレバノンのシリア人避難民をめぐる問題を解決するため財政、政治の両面で貢献するだろう、と述べた。

諸外国の動き

AFP(1月18日付)は、フランス人記者のイヴ・ドゥベ(Yves Debay)氏(ベルギー出身)が17日夜から18日にかけて、アレッポ市中央刑務所近くでの軍と反体制武装勢力の戦闘を取材中に狙撃手に打たれ、死亡した、と報じた。

ドゥバイ氏は、トルコから不法入国し、反体制武装勢力が制圧する地域を取材していた。

アレッポ報道局を名乗るフェイスブックのページによると、ドゥベ氏を狙撃したのは軍だという。

AFP, January 18, 2013、al-Akhbar, January 18, 2013、Akhbar al-Sharq, January 18, 2013、Aljazeera.net, January
18, 2012、al-Hayat, January 19, 2013, January 20, 2013、Kull-na Shuraka’, January 17, 2013,
January 18, 2013, January 20, 2012、al-Kurdiya News, January 18, 2013、LBC,
January 18, 2013、Naharnet, January 18, 2013、Reuters, January 18, 2013、RT,
January 18, 2013、SANA, January 18, 2013などをもとに作成。

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軍がヒムス市内の複数地区に進軍し「前代未聞の虐殺」を行うなか、ラアス・アイン市では人民防衛隊と自由シリア軍が引き続き交戦(2013年1月17日)

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(1月17日付)によると、高等教育省職員がダマスカス県内の本舎でアレッポ大学での爆破テロの犠牲者を追悼する集会を行った。

SANA, January 17, 2013
SANA, January 17, 2013

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SANA(1月17日付)によると、ダマスカス大学とフラート大学(ハサカ県)では学生集百人が、アレッポ大学での爆破テロなどシリア国内でのテロ活動に抗議するデモを行った。

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SANA(1月17日付)によると、アレッポ大学、バアス大学(ヒムス市)などで、アレッポ大学での爆破テロの犠牲者に対して黙祷が捧げられた。

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SANA(1月17日付)は、アサド大統領が、ダイル・ザウル県のファウワーズ・アリー・サーリフ県知事認証式を行い、同知事と会談する大統領の写真を公開した。

SANA, January 17, 2013
SANA, January 17, 2013

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『イクティサーディー』(1月17日付)は、シリア財務省が、「地域(シリア)が直面したテロ活動に関与した」との理由で165人の資産を凍結した、と報じた。

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アリー・アブドゥルカリーム・アリー在レバノン・シリア大使は、アドナーン・マンスール外務大臣とベイルートで会談し、そのなかでレバノンに避難中のシリア人に帰国し、テロリスト残党にともに対抗するよう呼びかけた。UPI(1月17日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、フサイニーヤ町のパレスチナ人居住区が軍の空爆を受け、子供7人、女性3人を含む11人が死亡した。

死傷者のほとんどがパレスチナ人だという。

また軍は、フサイニーヤ町の他、ダーライヤー市周辺、ムウダミーヤト・シャーム市に対しても空爆を行い、ムライハ市の防空局周辺では、反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(1月17日付)によると、カタナー市で、ハーリド・アッブード人民議会議員の弟のワリード・アッブード大佐が自宅前で反体制武装勢力に暗殺された。

また、ムライハ市、ドゥーマー市郊外、ハラスター市、ダーライヤー市、ザバダーニー市などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、アンサール・イスラーム連合のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

さらに、ヤブルード市では、反体制武装勢力どうしが略奪品の分配をめぐって交戦し、多数が死傷した。

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ダマスカス県では、複数の活動家によると、新ザーヒラ街道で爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、前日に引き続き、ラアス・アイン市で、民主統一党人民防衛隊(YPG)と自由シリア軍が交戦し、クルド人戦闘員3人、自由シリア軍戦闘員7人が死亡し、双方に59人の負傷者が出た。

同監視団によると、今回の戦闘には、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム外国人大隊といったサラフィー主義組織は参加していない、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市に対して軍が空爆を行った。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルヌブーダ町に軍が空爆を行い、反体制武装勢力に多数の死傷者が出た。

一方、SANA(1月17日付)によると、軍がズール・アビー・ザイド地方の反体制武装勢力の浄化を完了し、治安と安定を回復した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルジャ村に軍が空爆を行い、女性2人を含む市民4人が死亡した。

一方、SANA(1月17日付)によると、タフタナーズ市周辺などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、『ワタン』(1月17日付)によると、ヒムス市ハサウィーヤ地区、ドゥワイル地区、および両地区の農園に軍が進軍し、両地区を浄化した、と報じた。

アブー・ヤーズィンを名乗るヒムスの反体制活動家は、AFP(1月17日付)に対して、自由シリア軍がハサウィーヤ地区の農園に侵入し、近くの軍事アカデミーへの攻撃を繰り返していた、と述べ、「軍が反体制勢力の侵入を許した民間人に制裁を加えた」と断じた。

一方、ヒムスの別の反体制活動家は、「虐殺」を実行した集団はまだ特定されていないとしたうえで、殺害後に焼かれたと思われる遺体に関して、反体制勢力はシャッビーハの犯行だと言うが、今回は(軍の)攻撃が行われている最中に多くの家が焼かれたと明らかにした。

このほか、SANA(1月17日付)によると、ヒムス市のジャウバル区、スルターニーヤ地区、サアン地方、カフルアヤー市、ラスタン市などで軍が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月17日付)によると、ラスム・アッブード村、クワイリス市、ドゥワイリーナ地方、マーイル町、ダーラ・イッザ市、バヤーヌーン町、ナッカーリーン村などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市のブスターン・バーシャー地区、ジスル・ハーッジ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、カーディー・アスカル地区などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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『ハヤート』(1月18日付)は、複数の専門家の話として、1月15日のアレッポ大学の爆破テロの破壊状況・規模が、迫撃砲や手製のロケット弾によるものとは考えにくいと報じた。

反体制勢力の動き

ヨルダンのサラフィー主義武装集団の指導者アビー・ムハンマド・タフターウィーは、シャームの民のヌスラ戦線メンバーのムハンマド・ジャッラードとダーウド・アブー・ムウタスィムがスワイダー県ムジャイミール検問所での戦闘で1月16日に死亡した、と発表した。

ジャッラード(22歳)は、アブー・ムスアブ・ザルカーウィーの娘婿。

なおタフターウィーによると、シリア国内で戦っているヨルダン人サラフィー主義戦闘員は約350人おり、うち22人がこれまでの戦闘で死亡した、という。

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自由シリア軍タウヒード旅団のハーッジ・アンダーンを名乗る司令官はAFP(1月17日付)に対して、「自由シリア軍はアレッポ市を解放するための新たな措置を講じる…。我々はアレッポ周辺の軍事拠点(攻略)に力点を置いている」と述べた。

またアンダーンは自由シリア軍がアレッポ国際空港の「80%を包囲」しており、近く、他の基地とともに同時に攻略すると付言した。

一方、アンダーンは「政府の支配下にある(アレッポ市内の)ほとんどの地区は完全に掌握されていないため安全でない。反体制勢力はアレッポの複数地区を制圧しているが、空爆や爆破があるため安全ではない」と述べた。

アンダーンはタウヒード旅団の司令官の一人であるが、野戦司令官でなはない。

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シリア人権監視団は、アレッポ大学での爆破テロに関して、調査継続中としながらも、爆発が上空からのミサイルによるものだと複数の学生が証言していると指摘した。

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シリア人権監視団は、複数の反体制活動家らの情報をもとに、アレッポ大学で爆破テロがあった1月15日に、ヒムス市で女性や子供を含む市民106人が軍によって「虐殺」されたと主張し、国際社会に至急調査を行うよう呼びかけた。

同監視団によると、「虐殺」はヒムス市ハサウィーヤ地区の農園に軍が突入した直後に発生し、遺体の一部は焼かれていたという。

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シリア国民評議会は声明を出し、ヒムス市ハサウィーヤ地区で軍が「前代未聞の虐殺」を行ったと断じたうえで、事件への国際社会の沈黙を非難した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)のラアス・アイン機構は声明を出し、民主統一党人民防衛隊(YPG)と自由シリア軍双方に戦闘停止と対話による危機解決を呼びかけた。

レバノンの動き

『ジュムフーリーヤ』(1月17日付)は、ベカーア県ヘルマル郡で、ヒズブッラーが自由シリア軍メンバーだと思われるシリア人2人を身柄拘束した、と報じた。

この身柄拘束は、シリアの反体制武装勢力がシリア領内(ヒムス県ウンム・ダマーム村)でヒズブッラーのメンバーを拘束したことへの対抗措置で、現在、ズアイティル家とヘルメル郡の名望家が身柄交換の交渉を仲介している、という。

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SANA(1月17日付)によると、レバノンのヒズブッラーが声明を出し、アレッポ大学で爆破テロを強く非難した。

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ワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣(進歩社会主義党)は『ジュムフーリーヤ』(1月17日付)に対して、「我々はクウェートでの支援国会議でシリア人避難民の追放を求めることはないだろう」と述べた。

またファーウール社会問題大臣は「レバノンから他のアラブ諸国に移動するかどうかはシリア人自身が決めるべきだ」と付言した。

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レバノンのイスラーム教スンナ派大ムフティーのムハンマド・シャイフ・カッバーニーは、記者会見を開き、アサド政権を「自国民を殺害する…抑圧者」と非難し、「我々はシリア国民が自らの祖国の中心で勝利することを祝うだろう」と述べた。

諸外国の動き

ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、アレッポ大学での爆破テロに関して「米国は衝撃を受けている。シリア政府がアレッポ大学に対して行った血塗られた攻撃を遺憾に思う」と述べ、テロが軍の空爆によるものだと断じた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、アレッポ大学での爆破テロをアサド政権の犯行(空爆)だとする米国務省報道官の発言を「落ち度がある」と一蹴した。

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エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣は『ハヤート』(1月18日付)のインタビューに応じ、そのなかで、シリア政府と関係を持つ国は、これまでに提起された危機解決のイニシアチブにアサド政権を応じさせるかためのビジョンを明示すべきだ、と述べた。

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ヨルダンの国際計画協力省は声明を出し、シリアでの危機が続けば、ヨルダンへのシリア人避難民の数は60万人以上になると述べ、国際社会に支援を呼びかけた。

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『ハヤート』(1月17日付)は、ザアタリー避難民キャンプ内で火災が発生し、シリア人一家7人が死亡した、と報じた。

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SANA(1月17日付)によると、ヴェネズエラ外務省が声明を出し、アレッポ大学で爆破テロを強く非難した。

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SANA(1月17日付)によると、ブラジル外務省が声明を出し、アレッポ大学で爆破テロを強く非難した。

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『インディペンデント』(1月17日付)は、英国の警察当局が、シリアでのテロ活動支援容疑で身柄拘束していた4人を釈放した、と報じた。

AFP, January 17, 2013、Akhbar al-Sharq, January 17, 2013、al-Hayat, January 17, 2013, January 18, 2013、The Independent, January 17, 2013、al-Iqtisadi, January 17, 2012、al-Jumhuriya, January 17, 2013、Kull-na Shuraka’, January 17, 2013、al-Kurdiya News,
January 17, 2013、Naharnet, January 17, 2013、Reuters, January 17, 2013、SANA,
January 17, 2013、UPI, January 17, 2013、al-Watan, January 17, 2013などをもとに作成。

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全国の大学がアレッポ大学で前日発生した爆破テロの犠牲者らの追悼集会を開く、ハサカ県ラアス・アイン市では人民防衛隊と反体制武装勢力が早朝から戦闘を再開(2013年1月16日)

国内の動き(シリア政府の動き)

1月15日にアレッポ大学で発生した爆破テロの犠牲者87人を追悼するため、シリア国内の大学が全学臨時休講となった。

SANA, January 16, 2013
SANA, January 16, 2013

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SANA(1月16日付)によると、ダマスカス大学の学生数百人が、大学構内で1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開いた。

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SANA(1月16日付)によると、ティシュリーン大学、シリア学生国民連合、BASMA青年機関(NGO)がラタキア市のダウワール・ズィラーアと大学構内で、1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開いた。

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SANA(1月16日付)によると、タルトゥース市では、教員組合とシリア学生国民連合が市内にあるティシュリーン大学分校内で1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開き、数百人が参加した。

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SANA(1月16日付)によると、ヒムス市では、バアス大学の学生数百人が1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するための集会を開いた。

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SANA(1月16日付)によると、シリア学生国民連合スワイダー支部の学生が、1月15日のアレッポ大学での爆破テロに反対し、犠牲者を追悼するため、スワイダー市で連帯集会を開いた。

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SANA(1月16日付)は、1月15日のアレッポ大学での爆破テロで破壊された施設の復旧作業にシリア学生国民連合の学生約100人がボランティアで参加したと報じた。

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シリア外務在外居住者省は国連安保理議長と事務総長に宛てて書簡を提出、そのなかで15日のアレッポ大学での爆破テロへの非難の姿勢を明示するよう求めた。

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シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロをアレッポ市ライラムーン地区からの砲撃」によると断じ、強く非難、テロ掃討と治安回復に全力を挙げる意志を改めて示した。

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バアス党シリア地域指導部は声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロを強く非難した。

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イランを訪問中のワーイル・ハルキー首相は、モハンマド・レザー・ラヒーミー第一副大統領と、シリア・イラン両国の10億ドル相当の融資促進計画に関する合意、およびエネルギーおよび電化製品の輸送に関する7つ合意に調印した。

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『ティシュリーン』(1月16日付)は、国連安保理決議第7章に基づく国連平和維持軍派遣を主唱したアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長の姿勢に関して、「軍事介入を含むさまざまな介入、そして国家転覆の必要を世界にどう説得するかとう問題が頭のなかを占めている」と批判した。

また『バアス』(1月16日付)は、国連安保理決議第7章に基づく国連平和維持軍派遣を主唱したアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長の姿勢に関して「カタールの雇われ人」と非難した。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市内の総合情報部内務課、政治治安部、そして治安維持部隊検問所で爆弾が仕掛けられた車3台が次々と爆発し、兵士ら24人が死亡した。

この爆破テロに関して、SANA(1月16日付)は、イドリブ市のダウワール・ズィヤーラ、ダウワール・ムトラクで爆弾が仕掛けられた車2台が次々と爆発し、この爆破テロで市民22人が死亡、30人以上が負傷した、と報じた。

一方、イドリブ市・マストゥーマ村街道では、爆弾が仕掛けられた車2台を軍が破壊した。

さらにマストゥーマ村周辺、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺、マジュダリヤー村、ビンニシュ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(1月16日付)によると、アレッポ市シャッアール地区、フルワーニーヤ地区、ブスターン・カスル地区、シャイフ・ナッジャール地区、スッカリー地区、マサーキン・ハナーヌー地区、サファーヒーヤ地区、ナッカーリーン村などで軍が反体制武装勢力の拠点を破壊、シャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町、ダーライヤー市などに軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(1月16日付)によると、ドゥーマー市、ダーライヤー市、アクラバー村などで軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、ヌスラ旅団を名乗る組織のメンバーを含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア情報センターによると、ラスタン市を軍が砲撃し、6人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(1月16日付)によると、インヒル市郊外のタッル・ムワウワクで、軍が2台の車に積まれた熱感知ミサイル数十発を含む大量の武器を発見、押収した。

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ハマー県では、SANA(1月16日付)によると、タイバト・イマーム市で、軍が住民の協力のもと、反体制武装勢力のアジト・拠点に突入、大量の武器・弾薬を押収した。

またサラミーヤ市郊外にあるハトムルー村の農園で、軍が大量の爆発物を発見、押収した。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(1月17日付)は、反体制活動家の話が、1月15日のアレッポ大学での爆破テロでは、「複数回爆発があり、地対地ロケット弾が発射されたようだった」と証言したと報じ、軍の空爆だとする在外の反体制組織などの発表に疑義を呈した。

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地元調整諸委員会は声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロが、反体制武装勢力による迫撃でなく、軍の空爆によるものだと発表した。

しかし具体的な証拠は示さなかった。

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シリア民主フォーラムは声明を出し、1月15日のアレッポ大学での爆破テロを「政府による砲撃」断じ、強く非難した。

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クッルナー・シュラカー(1月16日付)は、ダマスカス県タダームン区とダマスカス郊外県サフナーヤー市在住のドゥルーズ派住民が、政権支持者(シャッビーハ)による暴力を恐れ、スワイダー県に避難したと報じた。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月16日付)によると、ハサカ県ラアス・アイン市で未明から、民主統一党の人民防衛隊(YPG)と反体制武装勢力が戦闘を再開、人民防衛隊の兵士1人が死亡、反体制武装勢力戦闘員3人が負傷し、トルコ領内に搬送された。

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クッルナー・シュラカー(1月16日付)は、自由シリア軍事評議会の前線司令官であるハサン・アブドゥッラー大佐が、ラアス・アイン市での戦闘を受け、早朝、ハサカ県解放作戦を開始すると発表した、と報じた。

レバノンの動き

ムスタクバル潮流のウカーブ・サクル議員はムスタクバル・テレビ(1月16日付)で、自由シリア軍の「リヤード・アスアド司令官がこの問題(レバノン人人質の釈放)に真剣にとりくんでおり、ファールーク大隊さえも誘拐されたレバノン人を釈放するために武器を引き渡した…。しかしヒズブッラーはこうした我々の努力にもかかわらず彼らの釈放を望んでいない」と発言した。

諸外国の動き

国際連合世界食糧計画(WFP)のアーサリン・カズン事務局長は、シリア政府が地元NGOを通じた支援物資の配給を許可したと発表した。

カズン事務局長によると、シリア政府は1月9日、国内での人道支援活動が可能な110の地元NGOのリストを提示した、という。

WFPによる支援はこれまでは、シリア赤新月社のみを経由して150万人を対象としてきたが、WFPの評価の結果、このうち40団体の参加により、新たに100万人に対して支援が行えるようになる、という。

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米ホワイト・ハウス国家安保会議(NSC)のトミー・ヴィーター報道官は『ハヤート』(1月17日付)に対して、2012年12月23日にシリア軍がヒムス県で化学兵器を使用したとの一部報道(『フォーリン・ポリシー』)が「シリアの化学兵器に関して我々が正しいと考えていることと一致しない」と否定した。

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国連の潘基文事務総長は、1月15日のアレッポ大学での爆破テロを強く非難し、民間人や民間施設に対するテロは戦争犯罪をなす、との厳しい姿勢を示した。

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ロシア外務省は声明を出し、15日のアレッポ大学での爆破テロを強く非難、国際社会に対して、テロへの断固たる姿勢をとるよう呼びかけ、「シリアでの即時流血停止、ジュネーブ合意に基づく平和的関係正常化、人道支援のために、外国のアクターが全力を尽くす」よう求めた。

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イラン外務省報道官は、15日のアレッポ大学での爆破テロを非難、「レジスタンスの原則維持という意思強化のみをもたらす」と述べ、断固たる拒否の姿勢を示した。

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英国のアリステール・バート中東問題担当大臣は、1月15日のアレッポ大学での爆破テロに関して、以降プロセスが火急に必要であることを示すと述べ、テロ活動を通じて体制転換をめざしているとも受け取られかねない暴言を吐いた。

AFP, January 16, 2013、Akhbar al-Sharq, January 16, 2013、al-Ba‘th, January 16, 2013、al-Hayat, January 17, 2013、Kull-na Shuraka’, January 16, 2013、al-Kurdiya News,
January 16, 2013、al-Mustaqbal TV, January 16, 2013、Naharnet, January 16,
2013、Reuters, January 16, 2013、SANA, January 16, 2013、Tishrin, January 16, 2013、UPI, January 16, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ大学に「テロ集団」が発射した迫撃砲が着弾し学生や市民らが死傷するなか、ハルキー首相がイランを訪問しアフマディーネジャード大統領ら同国政府首脳らと会談(2013年1月15日)

国内の暴力

SANA(1月15日付)は、テロ集団が発射した迫撃砲2発がアレッポ大学(アレッポ市)に着弾し、学生や市民多数が死傷した、と報じた。

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

同報道によると、迫撃砲はアレッポ市ライラムーン地区から発射された、という。

アレッポ県のワヒード・アッカード知事は「アレッポ大学の期末試験初日に学生を狙った爆破テロにより、これまで82人が死亡、160人以上が負傷した」と述べた。死傷者はさらに増える見込み。

また『ハヤート』(1月16日付)などによると、芸術学部、建築学部の施設が損害を受け、両学部周辺に駐車していた車多数が大破した。

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

 

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

 

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

 

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

一方、AFP(1月15日付)は、軍消息筋の話として、反体制武装勢力がアレッポ市上空を旋回していた軍の航空機に地対空ミサイルを発射したが、誤って大学に着弾した、と報じた。

これに対し、BBCの在ダマスカス特派員のアリー・アタースィーは、フェイスブック(1月15日付)で、アレッポ大学での爆破テロに関して、大学上空を旋回し、監視活動を行っていた軍の航空機を狙った自由シリア軍の熱感知ミサイルが誤って大学に着弾したとの治安筋の発表に根拠があるはずない、と綴った。

他方、ユーチューブ(1月15日付)には、アレッポ大学での爆破テロとされる映像(https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=NLNc6vOPMB0)がアップされた。

クッルナー・シュラカー(1月15日付)は、ユーチューブの映像に関して、武装テロ集団の犯行だとする政府の声明が偽りだと報じたが、映像からは軍の空爆だとする反体制勢力の主張を裏付けることもできない。

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

アレッポ大学は反体制武装勢力ではなく、シリア政府の支配地域内に位置している。

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アレッポ県では、SANA(1月15日付)によると、アレッポ大学でのテロのほか、アレッポ市バニー・ザイド地区に反体制武装勢力が発射した迫撃砲が着弾し、複数が死傷した。

一方、シリア人権監視団によると、バーブ市が空爆を受け、女性4人を含む8人が死亡したという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウバル区、スルターニーヤ地区が軍の空爆を受け、ハーリディーヤ地区、旧市街では軍と反体制武装勢力が交戦した。

またハウラ地方では、砲撃により女性4人を含む9人が死亡したという。

一方、SANA(1月15日付)によると、ハウラ地方で軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市、シャブアー町、ドゥーマー市などに軍が空爆を行い、ムライハ市周辺、ダーライヤー市では軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月15日付)によると、ドゥーマー市郊外、ムライハ市、バイト・サフム市、ダーライヤー市、ダイル・アティーヤ市などで、軍が反体制武装勢力を追撃、多数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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ダルアー県では、ヨルダンのサラフィー主義武装集団の指導者アビー・ムハンマド・タフターウィーによると、シャームの民のヌスラ戦線メンバーの一人リヤード・フダイブ(32歳)が軍の砲撃により死亡した。

フダイブはイラクでの戦闘経験があり、「7ヶ月前」にシリアに潜入、ヌスラ戦線ではシャリーアにかかる問題を担当していた、という。

一方、SANA(1月15日付)によると、ブスル・ハリール市の軍検問所を反体制武装勢力が襲撃したが、軍が撃退した。

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ハマー県では、SANA(1月15日付)によると、軍がタイバト・イマーム市でシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人大隊のメンバー多数を殲滅し、同市を制圧、治安を回復した。

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イドリブ県では、SANA(1月15日付)によると、ワーディー・ダイフ軍事基地近く、ビンニシュ市、トゥウーム村などで、軍が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

シリア政府の動き

ワーイル・ハルキー首相はイランを訪問し、マフムード・アフマディーネジャード大統領らイラン政府首脳らと会談した。

SANA, January 15, 2013
SANA, January 15, 2013

SANA(1月15日付)によると、会談で、アフマディーネジャード大統領は、シリアの危機に関して「暴力停止、対話、国民的相互理解、民主的選択、選挙以外に解決策はない」と強調し、安定回復、改革実現、危機の平和的解決、さまざまな問題克服をめざすシリア政府と国民への支持を表明した。

このほかワーイル首相は、モハンマド・レザー・ラヒーミー第一副大統領、ロストゥム・カーセミー石油大臣、アリー・ネクザード住宅都市道路建設大臣、サイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣らとも会談した。

ワーイル首相には、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣、アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣、マンスール・ファドルッラー・アッザーム大統領担当国務大臣、タイスィール・ズウビー内閣事務局長、アフマド・アルヌース外務在外居住者省次官、アドナーン・マフムード駐イラン・シリア大使が随行した。

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アサド大統領は2013年政令第13、14号を発し、ファウワーズ・アリー・サーリフをダイル・ザウル県知事、サフワーン・スライマーン・アブー・サアディーをイドリブ県知事にそれぞれ任命した。

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『ワタン』(1月15日付)は、シリア政府が、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタン、中国、イラン、イラク、インド、ラ米諸国などと「石油食糧プログラム」(Oil for Food)に関する議定書に調印した、と報じた。

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クッルナー・シュラカー(1月15日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、治安当局が「自由シリア軍」と称する特殊部隊を編成し、反体制武装勢力を貶めるべく、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市で空軍情報部を襲撃した、と報じた(未確認情報)。

この襲撃によって、双方の兵士5人が死亡、8人が負傷したという。

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クッルナー・シュラカー(1月16日付)は、バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表が安保理会合で、15日のアレッポ大学での爆破テロに関して、「アラビーヤ・チャンネルは事件が発生する前に事件発生を報じた」と述べ、同局が「シリアでのテロ活動の作戦室になっている」と非難した、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、アレッポ大学での爆破テロに関して、「重火器によって体制が砲撃した」、「国民に対するもっとも卑劣な犯罪」と非難した。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は『ハヤート』(1月16日付)のインタビューに応じ、そのなかで「アラブはシリアをめぐって二つに分裂している。アラブ諸国の体制のなかには、シリア国民を強く支持する湾岸アラブ諸国を除くと、シリア政府の友人が依然として支持している」と述べた。

また国際社会に対しては、「自由シリア軍への高性能の武器供与、移行期政府発足を促すための飛行禁止空域の設置」を呼びかけた。

そのうえで「バッシャール、および彼の体制と対話には反対」と述べた。

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1月13日に民主的変革諸勢力国民調整委員会からの脱会を発表したマフムード・マルイー弁護士、バッサーム・マリク・シリア商業会議所事務局メンバーらエジプト在住の活動家が、「民主主義市民権国家のためのシリア人」という新たな政治組織の発足を発表した。

同組織は、体制転換を通じた民主化をめざしている。

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アクス・サイル(1月15日付)は、統一革命司法評議会なる組織の軍事裁判所が、殉教者ニムル大隊司令官のアフマド・シャンマーおよび同部隊の戦闘員複数に対して、活動家ムハンマド・ハーリド・アブー・アブド殺害容疑で逮捕状を発行した、と報じた。

反体制勢力の司法組織による逮捕状の発行はこれが初めてだという。

諸外国の動き

ロシア外務省は声明を出し、シリアでの人道に対する罪の国際刑事裁判所への付託を国連安保理に求めるスイスなど57カ国による連名書簡に関して、「こうしたイニシアチブは、シリアでの流血の即時停止という現下の主要な目標にとって逆効果になるだろう」と拒否の姿勢を示した。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、訪問先のUAEで『ハヤート』(1月16日付)に対して「イランはアサドを支持しているが、この支持に将来はあるのか…?イランはアサド体制崩壊が自国に何を意味するかを考えねばならない」と述べた。

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ロイター通信(1月15日付)によると、トルコのウルファ県にあるジェイランピナル避難民キャンプで火災が発生し、シリア人避難民4人が死亡した。

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イスラエルのロン・プロソル国連常駐代表は、テロ対策に関する安保理会合で、「我々はアサド政権が保有する膨大な化学兵器の備蓄がヒズブッラーの手に渡るという恐るべき可能性に直面している」と述べた。

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イスラエルとシリア国境のゴラン高原に展開する国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)に参加していた自衛隊部隊が撤収を完了した。

AFP, January 15, 2013、Akhbar al-Sharq, January 15, 2013、‘Aks al-Sayr, January 15, 2013、al-Hayat, January 16, 2013、Kull-na Shuraka’, January 15, 2013, January 16, 2013、al-Kurdiya
News, January 15, 2013、Naharnet, January 15, 2013, January 16, 2013、Reuters,
January 15, 2013、SANA, January 15, 2013、UPI, January 15, 2013、al-Watan, January 15, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ市で外国による反体制武装勢力への支援反対や国軍支持を訴えるデモ行進が組織される、反体制勢力がトルコ・ハタイ県でイドリブ県地方評議会行政局のメンバーを選出(2013年1月14日)

国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(1月14日付)によると、イドリブ市で、住民が、武装テロ集団の犯罪・蛮行拒否、トルコなどによる反体制武装勢力への支援反対、国軍支持、治安・安定回復支持を訴えるデモ行進を行った。

SANA, January 14, 2013
SANA, January 14, 2013

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、BBC(1月14日付)のインタビューに応じ、そのなかで、「(アサド大統領は)元首としてとどまらねばならず、その後2014年の大統領選に立候補し、他の立候補者とともに選挙戦を戦うだろう」と述べた。

そのうえで「シリアの指導部の未来は投票箱が決するだろう」と付言、シリアが「民主主義に対して門戸を開放した」と強調した。

その一方で、ミクダード副大臣は、欧米諸国やトルコが「テロ集団の支援、武器供与、シリアへの潜入」を通じてシリアの危機に関与しているとしたうえで、「アサド大統領がイニシアチブを発揮する以前から、対話イニシアチブに反対の立場をとってきた」と批判した。

また「武装放棄した集団を含む全員が参加したかたちでの国民対話実施」に向けたアサド大統領のイニシアチブがシリア国民の意思を反映していると強調、「民主主義、人権、公正に基づきシリアの現在と未来を議論し、新憲法と表現の自由を定める」と述べ、「シリア人を殺戮し、シリアを破壊している集団を除く…すべての当事者と交渉」する意思を改めて示した。

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ダマス・ポスト(1月15日付)は、スブヒー・アフマド・アブドゥッラー農業・農業改革大臣、アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣らは、アサド大統領による危機解決のための政治プログラムの実施、とりわけ国民対話大会開催の準備のための初会合を開いた、と報じた。

会合には、両大臣のほか、ムハンマド・トゥルキー・サイイド国務大臣、イドリブ県選出の人民議会議員、人民諸組織代表らが出席した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団が、ムウダミーヤト・シャーム市に対する軍の空爆で子供8人と女性5人が死亡した、と発表した。

これに対して、SANA(1月14日付)は、ダーライヤー市を拠点とする反体制武装勢力がムウダミーヤト・シャーム市を迫撃砲で攻撃し、女性と子供が犠牲となったと報じた。

このほか、シリア人権監視団によると、フーシュ・アラブ市(アティーバ地方)でも、軍の空爆により、子供1人を含む一家4人が死亡したという。

また軍はダーライヤー市に対しても空爆を行い、ムライハ市の防空局施設周辺では軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月14日付)によると、ドゥーマー市などで、軍が反体制武装勢力への特殊作戦を行い、イスラーム旅団のメンバーなど複数の戦闘員を殺傷、装備・拠点を破壊した。

またダーライヤー市、ズィヤービーヤ町などで、軍が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ルクンッディーン区で爆発があり、男性1人が死亡、3人が負傷、その後、治安当局による大規模な逮捕・摘発が行われた。

この事件に関して、SANA(1月14日付)は、同地区にある反体制武装勢力の爆弾製造工場が爆発し、テロリスト1人が死亡、2人が負傷した、と報じた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がドゥワイリーナ地方を制圧し、アレッポ国際空港近くでは空港を防衛する第80旅団基地周辺で軍と反体制武装勢力が交戦した。

またアレッポ市ハイダリーヤ地区で、砲撃により子供1人が死亡した。

また、ザイディーヤ地方でも砲撃があったほか、マイダーン地区では軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月14日付)によると、ハーン・アサル市、ナイラブ村、クシャイシュ市、マンナグ村、ラスム・アッブード村、ドゥワイリーナ地方、サフィーラ市、カッザーヒー市、ムスリミーヤ村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市ハイダリーヤ地区、バニー・ザイド地区、バーブ・ハディード地区、シャイフ・サイード地区、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、アレッポ市ラームーサ地区では、軍が反体制武装勢力の車爆弾製造工場を発見し、複数の活動家を摘発、爆発物、自動車などを押収した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍がタフタナーズ航空基地を空爆し、施設の一部やヘリコプターを破壊した。

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ハサカ県では、SANA(1月14日付)によると、トルコ領に接する第47地区で、国境警備隊がトルコ領からの潜入を試みる反体制武装勢力と対峙、撃退した。

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ヒムス県では、SANA(1月14日付)によると、ラスタン市、タルビーサ市、クサイル市郊外などで、軍が反体制武装勢力のアジトを攻撃、多数の戦闘員を殺傷した。

またレバノン領からタッルカラフ地方への潜入を試みた反体制武装勢力を国境警備隊が撃退した。

反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(1月14日付)は、トルコのハタイ県レイハンル市で、在外の反体制勢力がイドリブ県地方評議会行政局のメンバーを選出したと報じた。

Kull-na Shuraka', January 14, 2013
Kull-na Shuraka’, January 14, 2013

レイハンル(アラビア語名「リーハーニーヤ」)市は、イドリブ県バーブ・ハワー国境通行所から約5キロの地点(トルコ領内)に位置する都市で、国内で活動しているはずの地方自治評議会さえも国外で活動している実態が明らかになった。

選挙は、シリア革命反体制勢力国民連立のスハイル・アタースィー副議長、アブドゥルハーディー・タッバーウ(同連立地方評議会担当者)の監視のもとに行われた。

選出されたメンバーは以下の通り:バースィル・ガザール、ムハンマド・タナーリー、マーズィン・アルジャ、ナズィール・ハッリー、ザカリヤー・ヒラーキー、ムジャーヒド・ナーイス、アブドゥッサラーム・アミーン、フアード・アッルーシュ、ウサーマ・キヤーリー、イブラーヒーム・カースィム、アリー・スルターン。

またアブドゥルハミード・タッハーンが行政局によってイドリブ県地方自治局書記長に任命された。

さらに、シリア革命反体制勢力国民連立地方自治委員会メンバーにおいてイドリブ県の代表を務めているアドナーン・ラフムーンが代表として再選出された。

諸外国の動き

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、ヘルマン・ファン・ロンパウEU議長とカイロで会談した。

会談後の記者会見で、アラビー事務総長は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表によるミッションが継続中だとしたうえで、アラブ連盟とEUの協力継続の必要を強調した。

一方、ファン・ロンパウ議長は、「バッシャール・アサドが去り、虐殺が止まるべき時が来た…。なぜならシリア革命反体制勢力国民連合がブラーヒーミー共同特別代表と彼の努力への協力者になるからだ」と述べた。

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NTV-Turk、CNN-Turkなどは、トルコのキリス県アクチャバーラル市のオリーブ畑にシリア(アレッポ県)から発射された迫撃砲が着弾した、と報じた。

シリア軍による砲撃か、反体制武装勢力による砲撃かは不明。

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NATO報道官は、トルコへのパトリオット・ミサイル配備が完了したと発表する一方、1月に入ってシリア軍が短距離ミサイル20発を発射したことを捕捉していると述べた。

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サウジアラビア紙『ワタン』(1月14日付)は、複数の諜報筋の話として、アサド大統領一家が、ロシアの保護のもと、地中海上の戦艦で暮らしている、と報じた(未確認情報)。

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国際救援委員会(IRC)は「シリア:地域的危機」(http://www.rescue.org/sites/default/files/resource-file/IRCReportMidEast20130114.pdf )と題した報告書を発表し、そのなかでシリア情勢を「驚くべき人権災害」と位置づけ、強姦がシリア人女性の避難をもたらした主な要因だと指摘した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは14日に声明(http://www.hrw.org/news/2013/01/14/syria-army-using-new-type-cluster-munition)を出し、シリア軍がイドリブ県(2012年12月)、ハマー県(2013年1月)での反体制武装勢力の掃討において、クラスター爆弾を使用したと指摘・非難した。

AFP, January 14, 2013、Akhbar al-Sharq, January 14, 2013、BBC, January 14, 2013、Damas Post, January 15, 2013、al-Hayat, January 15, 2013、Kull-na Shuraka’, January 14, 2013、al-Kurdiya News,
January 14, 2013、Naharnet, January 14, 2013、Reuters, January 14, 2013、SANA,
January 14, 2013、al-Watan (Riyadh), January 14, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ブラーヒミー共同特別代表が米露高官との会談のなかで「トルコとカタールがテロ組織への支援を停止せず、安保理でも両国を説得することが不可能」としつつ自身の職務の無益さを吐露したと報じられる(2013年1月13日)

国内の動き(シリア政府の動き)

シリア国内の複数の女性団体が共同声明を出し、「シリア人女性平和構築会合」の立ち上げを宣言し、ジュネーブ合意に基づいた紛争解決に向けたプロセスの開始を呼びかけた。

Kull-na Shuraka', January 13, 2013
Kull-na Shuraka’, January 13, 2013

「シリア人女性平和構築会合」に参加した女性団体は、シリア国家建設潮流女性民主会合、シリア人女性民主行動委員会、民主的変革諸勢力国民調整委員会女性局、アレッポのための協会、生活のための女性、クルド・スィタール連合のクルド人女性、無所属女性活動家。

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ワーイル・ハルキー内閣は1月8、9日の緊急閣議の決定に従い、危機解決に向けたプログラムに関する内閣の決定を実施するための閣僚委員会(作業チーム)を正式に設置した。

同委員会は、首相、経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣、運輸大臣、情報大臣、工業大臣、法務大臣、国民和解問題担当国務大臣、赤新月社担当国務大臣、人民議会担当国務大臣からなる。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハッザ町での砲撃で、子供複数を含む9人が死亡した。

またカフルバトナー町、アルバイン市に対して軍が空爆を行い、多数の市民が負傷、ドゥーマー市、アクラバー村、バイト・サフム市、ムウダミーヤト・シャーム市、ムライハ市、などが砲撃を受けた。

このほか、ジャルマーナー市、ダーライヤー市、ムライハ市(防空局周辺)、アクラバー村、カフルバトナー町などで、軍と反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(1月13日付)によると、ドゥーマー市郊外、ダーライヤー市、ムライハ市、ヤルダー市、バフダリーヤ村、マシュルーア・フサイニーヤなどで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区各所で政権を支持する民兵と反体制武装勢力が交戦した。

またAFP(1月13日付)によると、軍がヤルムーク区周辺(ザフラー地区)の住民に対して、同地区での反体制武装勢力との戦闘拡大の可能性を懸念し、一時退避を呼びかけた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市が軍の空爆を受け、数十人が死傷し、トルコ領内のキリス市に搬送された。

またマンナグ航空基地周辺、ナイラブ航空基地では、軍と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(1月13日付)によると、マンナグ村、ラスム・アッブード村、クシャイシュ市、サフィーラ市、ナイラブ村、ドゥワイリーナ地方などで、軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市のカッラーサ地区、スッカリー地区、バーブ・ナイラブ地区、バニー・ザイド地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、反体制武装勢力がアレッポ市ライラムーン地区で電力復旧作業を行っていたアレッポ電力社の労働者を襲撃し、1人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力が占拠するブスル・ハリール市に軍が突入を試み、激しく交戦した。

一方、SANA(1月13日付)によると、爆弾を積んだ車でナーミル村の検問所を襲撃しようとした反体制武装勢力を軍が撃退した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市が激しい砲撃を受けた。

一方、SANA(1月13日付)によると、東ブワイダ村、ラスタン市郊外で軍が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、タイバト・イマーム市を軍が空爆した。

一方、SANA(1月13日付)によると、タイバト・イマーム市で、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(1月13日付)によると、アブー・ハシャブ村で軍が反体制武装勢力を攻撃し、戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

反体制勢力の動き

シリア反体制勢力の複数の消息筋は、『ハヤート』(1月14日付)に対して、アサド政権との移行期をめぐる対話のために、反体制勢力が暫定政府樹立宣言の準備を進めている、と述べた。

同暫定政府首班にはリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相が最有力視されているという。

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シリア国民変革潮流は、声明を出し、米国に対して「政治的解決という幻想」を捨てるよう呼びかけた。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のマフムード・マルイーは声明を出し、委員会を脱会すると発表した。

委員会が国民の意思に従い、国内の暴力を停止させることができないことが脱会の理由。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のバッサーム・マリク(シリア商業会議所事務局メンバー)が声明を出し、委員会を脱会すると発表した。

「革命」を支持し、後退を拒否する、というのが脱会の理由。

諸外国の動き

『ワタン』(1月13日付)は、信頼できる複数の外交筋の話として、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の12月末シリア訪問でのアサド大統領との会談の様子と1月11日のジュネーブでの米露高官との会談の様子を報じた。

同報道によると、ブラーヒーミー共同特別代表はアサド大統領との会談で、トルコとカタールがテロ組織への支援を停止せず、安保理でも両国を説得することが不可能だと述べ、その任務が事実上無益であることを示したという。

またブラーヒーミー共同特別代表は、アサド大統領に次期大統領選挙への出馬辞退の可否について尋ねたが、大統領は次のように答え、会談を終えたという。

「地位は最後に問題になる。一番重要なのは人民の意思と国益だ…。私は船が揺らいでいるのを感じただけで逃げ出すような船長ではない」。

一方、ウィリアム・バーンズ米国務副長官、ミハイル・ボグダノフ露外務副大臣との会談に関して、同紙は、ブラーヒーミー共同特別代表が湾岸諸国、トルコ、米国の立場を代弁し、中立的な仲介者として振る舞わなかったと批判した。

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カイロでアラブ連盟の緊急外相級会議が開かれ、そのなかでナビール・アラビー事務総長は、「国連憲章第7章に基づき、平和維持軍の派遣を通じた停戦を科すこと」が「危機を終わらせる唯一の方法」だと述べた

アラビー事務総長は、11、12日に潘基文国連事務総長、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と電話会談し、国連憲章第7章に基づく対シリア安保理決議の採択について協議した、という。

緊急外相級会議では、シリアの周辺諸国への避難民の流入問題が審議され、レバノン、ヨルダン、イラクに、シリア人避難民の状況を調査するためのチームを派遣することが決定された。

また会議では、レバノンがシリア人避難民とパレスチナ人難民・避難民を支援するための1億8000ドル相当の支援要請を行った。

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ロシアの複数のメディアはセルゲイ・ラブロフ外務大臣が、「我々のパートナーは政治プロセスからアサド大統領をあらかじめ遠ざける必要があると確信している。しかしこれはジュネーブ合意で規定されていない前提条件である。政治プロセスにおける片方の手が失われるため、そうしたことは不可能なのだ」と述べたと報じた。

またラブロフ外務大臣は「アサド大統領のイニシアチブは…おそらく不充分だが…、提案がされたのだ…。私が反体制勢力の立場だったら…、どのように対話を行うかについての自分の考えを提示することで応えるだろう」と述べた、という。

AFP, January 13, 2013、Akhbar al-Sharq, January 13, 2013、al-Hayat, January 14, 2013、Kull-na Shuraka’, January 13, 2013、al-Kurdiya News,
January 13, 2013、Naharnet, January 13, 2013、Reuters, January 13, 2013、SANA,
January 13, 2013、al-Watan, January 13, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス郊外県ムライハ市で爆発があり子供2人を含む3人が死亡、ハサカ県ルマイラーン近郊の村で人民防衛隊とシリア軍が交戦したと報じられる(2013年1月12日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市で爆発があり、子供2人を含む3人が死亡、また軍との戦闘で反体制武装勢力の戦闘員2人が死亡した。

SANA, January 12, 2013
SANA, January 12, 2013

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、反体制武装勢力が同市の治安施設を襲撃した直後、軍の空爆があったのだという。

また空爆はジャルマーナー市にも及び、複数人が負傷したという。

さらにダーライヤー市、ジュダイダ・アルトゥーズ町などが砲撃を受けた。

一方、SANA(1月12日付)によると、ムライハ市、ダーライヤー市、ズィヤービーヤ町、フジャイラ村、バフダリーヤ村、ハジャル・アスワド市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月12日付)によると、タダームン区で、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

またSANA(1月12日付)は、陸上競技シリア代表のヒシャーム・ラクシャ選手が自宅への帰宅途中に武装集団に襲撃され、死亡した、と報じた。

これに対し、クッルナー・シュラカー(1月12日付)は、アンサール・イスラーム連合が、イラン高官1人、ロシア人士官数名、ヒズブッラー幹部複数名をダマスカス県内で襲撃したと発表した(未確認情報)。

彼らはアサド大統領との会談に向かう途上で襲撃されたのだという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市への空爆で、反体制武装勢力の司令官の一人が死亡した。

一方、SANA(1月12日付)によると、タドムル市北部のタイバ村を襲撃しようとした反体制武装勢力を治安維持部隊が撃退した。

またハウラ地方のブルジュ・カーイー村、ラスタン市などで、軍が反体制武装勢力への特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市に対する砲撃で1人が死亡した。

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アレッポ県では、SANA(1月12日付)によると、アレッポ市内のウマイヤ・モスク北部、ハーン・ワズィール、アレッポ城周辺、裁判所一帯で軍が住民の協力のもと反体制武装勢力の掃討を行い、戦闘員を殲滅、治安を回復した。

またナッカーリーン村、アレッポ市サーリヒーン地区、ブスターン・カスル地区、ライラムーン地区などでも反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、軍はアレッポ市郊外のクシャイシュ軍事空港を襲撃した反体制武装勢力を撃退、またマンビジュ市にあるタウヒード旅団の武器庫を破壊した。

さらにドゥワイリーナ地方のイブン・ハルドゥーン精神病院を占拠しようとしていた反体制武装勢力を軍が撃退し、ファトフ旅団のシューラー評議会メンバーらを殺害した。

このほかにも、タワーマ村、アナダーン市、タッル・シュガイブ村、マーイル町などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー市では、SANA(1月12日付)によると、タイバト・イマーム市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

シリア政府の動き

SANA(1月12日付)は、人民議会が包括的国民対話大会を準備するための特別委員会を設置したと報じた。

同委員会は、各県の人民諸団体、政治勢力、政党との連絡調整を目的としている。

反体制勢力の動き

アンマンに滞在するリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相は声明を出し、空軍情報部が義理の兄弟(妻の兄弟)であるジャブル・アクラ准将をダマスカス郊外県ムライハ市にある防空局で殺害した、と発表した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(1月12日付)は、シリア部族評議会のダッハーム・サッターム報道官がアサド政権の協力のもとラアス・アイン市のテロ集団を放逐した、と述べるともに、評議会が民主統一党の人民防衛隊への歓迎の意を示したと報じた。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立のナウワーフ・バシールの主導のもと、トルコのシャンウルファ市のホテルで、アラブ、トルクメン、クルドの部族長、キリスト教徒、自由シリア軍の司令官らが2012年12月に結成したジャズィーラ・ユーフラテス解放戦線に関して、「バシールはハサカを代表していない…。宗派主義を奏でる者に我々は目を光らせている」と非難した。

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ユーフラテス通信(1月12日付)は、ハサカ県ルマイラーン近郊のカルズィールー村で民主統一党の人民防衛隊(YPG)とシリア軍が交戦したと報じた。

同報道によると「人民防衛隊は、3日前からシリアの正規軍200人からなる大隊を包囲し、同地からの退去を求めているが、この要請は聞き入れられなかった」と報じている。

この戦闘での死傷者数など詳細は明らかではない。

諸外国の動き

ヨルダン国王のアブドゥッラー2世は、『ヌーヴェル・オブゼルヴァトゥール』(1月12日付)のインタビューに応じ、そのなかで「シリアの政治的移行プロセスは…過激派がそれを埋めるような真空状態が生じる機会を減じるかたちで」行われるべきだと述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、シリア情勢に関して「暴力行為と流血の即時停止、人道支援が最優先だと考える」としたうえで、「同時に、シリアでの政治的移行プロセスを開始しなければならない」との姿勢を改めて示した。

AFP, January 12, 2013、Akhbar al-Sharq, January 12, 2013、al-Hayat, January 13, 2013、Kull-na Shuraka’, January 12, 2013、al-Kurdiya News,
January 12, 2013、Naharnet, January 12, 2013、Reuters, January 12, 2013、SANA,
January 12, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヌスラ戦線を含む反体制武装勢力がタフタナーズ空軍基地の制圧を完了する一方、シリア国民評議会はアサド政権打倒後の移行期間に関する計画を発表(2013年1月11日)

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がタフタナーズ空軍基地を制圧したが、その数時間後に、軍が基地の破壊を目的に、報復の空爆を行った。

同監視団によると、タフタナーズ空軍基地は、シャーム自由人大隊、イスラーム前衛隊、シャームの民のヌスラ戦線によって制圧され、空軍基地を防衛していたシリア軍の車輌はイドリブ市に向けて退却し、多くの兵士・士官が基地から逃亡したという。

一方、SANA(1月11日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市などで、軍が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で反体制武装勢力と軍が交戦した。

またタダームン区が軍の砲撃を受けた。

一方、ヴィクトリア橋近くのサウラ通りで爆弾が仕掛けられた車が爆発した、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ミスラーバー市、シャブアー町およびその周辺、ザマルカー町、ザバダーニー市、ヤルダー市、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市、バービッラー市、ハジャル・アスワド市を軍が砲撃、またダーライヤー市で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月11日付)によると、ムライハ市、ハラスター市、ダーライヤー市、フサイニーヤ町などで軍が反体制武装勢力の拠点を破壊し、戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

またジャルマーナー市では、反体制武装勢力が緊急電力供給施設・変電所を砲撃し、1人が死亡、3人が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ジャズマーティー地区に迫撃砲が着弾し、子供2人を含む市民4人が死亡した。

またマンナグ航空基地周辺で、軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(1月11日付)によると、マーイル町、マアーッラ・アルティーク市、アターリブ市、アレッポ市ハイダリーヤ地区、フィルドゥース地区、旧市街、カッラーサ地区などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷した。

他方、AFP(1月10日付)は、シリア軍消息筋の話として、「シリア国防省はアレッポ県治安委員会の要請に基づき、県民を同県の共和国護衛隊に徴用することに同意した」と報じた。

この合意には、徴兵猶予、新規徴兵対象者も含み、県内の都市の防衛にあたることを目的としているという。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、バーニヤース市バトラーヤー地区の軍の検問所を何者かが襲撃し、治安要員1人が死亡、1人が負傷した。

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ハマー県では、SANA(1月11日付)によると、タイバト・イマーム市で軍が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

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フェイスブックなどでは反体制活動家が「死の(避難民)キャンプの金曜日」と銘打って反体制デモを呼びかけた。

ユーチューブなどでは、ハマー県カフルヌブーダ町、ラターミナ町、ダマスカス県アサーリー地区、アレッポ県バーブ市、ダマスカス郊外県ダーライヤー市、ドゥーマー市などで行われたとされる反体制デモの映像がアップされ、映像のなかで参加者はアサド大統領の演説に拒否の姿勢を示し、その退陣を強く求めた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、イスタンブールで記者会見を開き、シリア革命反体制勢力国民連立のロンドンでの非公式国際会合を受けるかたちで、アサド政権打倒後の移行期間に関する計画を発表した。

同計画の骨子は以下の通り:

1. シリア革命反体制勢力国民連立が暫定政府を指名、国際社会による同政府の承認と活動支援。
2. バッシャール・アサドおよび政権の象徴的人物の解任。
3. シリア革命反体制勢力国民連立による立法権、行政権の掌握。現政権解任と、人民議会、治安機関の解散。軍最高司令部、第4師団、共和国護衛隊の解散。すべての政治犯の釈放。
4. シリア革命反体制勢力国民連立による行政権の暫定政府への移転を定めた政令の発令。
5. シリア革命反体制勢力国民連立による現行憲法の廃止。
6. 暫定政府の監視のもとでの、自由シリア軍参謀委員会・司令官と、弾圧に与しなかったシリア軍士官の停戦合意、軍の撤退、革命家の軍・治安部隊への参加、市民平和の実現。
7. 体制打倒1ヶ月以内のシリア革命反体制勢力国民連立による国民大会の召集とすべての政治・革命勢力の参加。
8. 国民大会開催後のシリア革命反体制勢力国民連立の解体と移行期政府の樹立。
9. 国民大会での真実公正実現国民和解委員会設置を通じた、前政権時代の犯罪に対する制裁の開始。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表による仲介努力に関して、「いかなる相互理解、合意、問題解決に至ることも不可能」と非難し、共同特別代表を退任するよう求めた。

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クッルナー・シュラカー(1月11日付)などによると、内務省総合情報部外務課(al-far’)内の第30班(al-qism)のジュムア・フィラージュ・ジャースィム次長がビデオ声明を発表し、離反を宣言した。

第30班は外国籍を持つシリア人在外居住者の監視などを担当する部局だという。

クルド民族主義勢力の動き

イラクのエルビルで10日に開催されたシリア・クルド国民評議会の大会が2日間の審議を終え閉幕した。

クッルナー・シュラカー(1月11日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立への加盟の是非、ハサカ県ラアス・アイン市への自由シリア軍・ジハード主義者の侵入への対応などに関して集中的に議論がなされたが、いずれも結論を得ずに大会は開会した。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブで、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣、ウィリアム・バーンズ米国務副長官と会談し、シリア情勢への対応について協議した。

会談後の記者会見では、ブラーヒーミー共同特別代表は、「我々は、この紛争において軍事的解決はないとの見解を改めて強調し、ジュネーブ合意に基づき政治的解決を実現する必要があることを確認した」と述べた。

また「シリア政府の声明(外務在外居住者省による抗議声明)は見た。彼らは自分の見解を表明したが、同時に私との協力の継続の準備があるとも言っている」と述べ、自身がシリアの政治的解決においてシリア政府の現高官の居場所はないと発言したことはない、と付言した。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、シリアの反体制勢力に対して、「テロが活動の余地を見出せないよう、またあらゆるテロ活動が排除されることを条件に必要なあらゆる支援を提供する」と述べた。

またシリアでの体制転換が実現するよう努力しているとしたうえで、「フランスはシリア革命反体制勢力国民調整委員会を最初にシリア国民の正統且つ唯一の代表として承認した国だ…。この連立は日々、組織され、強化されている」と付言した。

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UNHCR報道官は、ジュネーブでの記者会見で、シリア人避難民の数が612,000人に達したと発表した。

避難民の国別内訳は、レバノンが194,000人、ヨルダンが176,000人、トルコが153,000人、イラクが69,000人。

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ロイター通信(1月11日付)は、欧米およびイスラエルの専門家の話として、シリア政府が数十トンの非濃縮ウランを保管している可能性がある、と報じた。

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『ハヤート』(1月11日付)などは、ニューヨークの複数の外交筋の話として、スイスは、シリアでのすべての犯罪・侵害を国際刑事裁判所に起訴することを求める請願書を安保理に提出する準備を進めており、チュニジア、リビアなど50カ国がこの請願書にすでに署名済みだと報じた。

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AFP(1月11日付)は、オーストリア、デンマーク、アイルランド、スロヴェニアの外務大臣が、シリアの紛争の国際刑事裁判所での審理を国連安保理に求める合同書簡を提出したと報じた。

AFP, January 11, 2013、Akhbar al-Sharq, January 11, 2013、al-Hayat, January 12, 2013、Kull-na Shuraka’, January 11, 2013、al-Kurdiya News, January 11, 2013、Naharnet, January 11, 2013、Reuters, January 11, 2013、SANA, January 11, 2013などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア外務省がブラーヒーミー共同特別代表による「任務の逸脱」を非難、シリア革命反体制勢力国民連立がロンドンで非公式の国際会合を開きアサド政権崩壊後の移行期に関するヴィジョンを提示(2013年1月10日)

国内の動き(シリア政府の動き)

シリアの外務在外居住者省は声明を出し、BBC(1月9日付)でのアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の発言に関して、同代表の任務の成功を希望するとしつつ、「何人もシリア国民の意思を代弁することはできない」と述べ、発言がシリア人による危機解決を支援するというその任務から逸脱していると非難した。

同声明は、「シリアは、任務の本質から逸脱し、シリアとシリア国民に対して陰謀を企て、シリアの危機解決に向けた政治的プログラムを客観的に読もうとしない周知の勢力へと著しく偏った姿勢を示したアフダル・ブラーヒーミーの発言に大きく驚いている」として遺憾の意を示している。

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シリアの外務在外居住者省は、国連安保理議長と事務総長宛てに書簡を提出し、そのなかで「アレッポ市の工場約1,000カ所が盗難に遭い、製品などがトルコ政府の了解のもとにトルコへと運ばれている」と批判、「トルコのような国がテロを支援、シリアの財産を略奪していることに…安保は責任をもって対処する」ことを求めた。

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『ハヤート』(1月11日付)は、ダマスカス県を含むシリア、さらには東アラブ地域一帯を襲った大雪のなか、夜間の外出を控えていたダマスカス県住民の多くが夜中まで外出し、雪を眺め、一部では「笑顔が戻った」と報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タフタナーズ空軍基地に対して攻勢をかけるシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人大隊に対して軍が空爆を行った。

同監視団によると、空港内部、とりわけ本棟と武器庫周辺で軍と反体制武装勢力が激しく交戦し、反体制武装勢力は武器庫を制圧し、士官1人を含む13人と親体制の民兵11人を捕捉した、という。

一方、SANA(1月10日付)によると、タフタナーズ空軍基地への侵入を試みた反体制武装勢力を軍が撃退した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のハラブ・ジャディーダ地区にある科学研究施設で、12人の遺体が発見された。

一方、SANA(1月10日付)によると、アイン・ダクナ村、カフルハーフィル市、アルカミーヤ村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市のバーブ街道沿い、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、カラム・マイサル地区などでも、軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シーン町とムタアーリド村間で、16人の遺体が発見され、ヒムス市の軍事病院に搬送された。

同監視団によると、遺体が発見された一帯は、誘拐・拉致が横行している。

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ハマー県では、SANA(1月10日付)によると、タイバト・イマーム市で軍が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、アジト・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(1月10日付)によると、フジャイル市、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ヤブルード市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、装備・アジトを破壊した。

一方、オリエント・ニュース(1月10日付)は、ダーライヤー市での戦闘に参加していた共和国護衛隊の士官3人が遺体で発見された、と報じた。

士官3人(中佐、中尉、少尉)はいずれもラタキア県カルダーハ市出身だという。

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ダマスカス県では、SANA(1月10日付)によると、ガッサーニー地区で、「テロリスト」が車に仕掛けようとしていた爆弾が誤爆、「テロリスト」1人が死亡した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(1月10日付)が、カーミシュリー市でウスター地区で爆発が発生した、と報じた。同地区はキリスト教徒が多く住む地区だという。

反体制勢力の動き

地元調整諸委員会のリーマー・フライファーン代表は、フェイスブック(1月10日付)で声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーシップを凍結する、と発表した。

同連立がシリア国内(解放区)に活動拠点を移転できないこと、シリア人避難民の問題に充分対処できないこと、などへの「無力感」が理由だという。

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シリア革命反体制勢力国民連立は、英国外務省の招聘のもと、1月9、10日にロンドンで非公式の国際会合を開き、アサド政権崩壊後の移行期に関するヴィジョン案を示した。

連立は会合閉幕後に声明を出し、そのなかで、このビジョン案が「国家機関が活動を継続するようなかたちでの体系的な転換に力点」を置いており、軍の基地への即時撤退、民間人の武装解除、国民統合への重点的努力を復興に向けることを骨子としていることを明らかにした。

また国際社会に対しては、体制崩壊後の移行期における、政治、経済、軍事、技術支援を要請する一方、マラケシュでのシリアの友連絡グループ会合での議論に沿って、シリア革命反体制勢力国民連立への統一的支援を行うよう求めた。

さらに「シリアの友連絡グループ」参加各国に対して、アサド政権が存続したかたちでの政治的解決はないと訴え、アラブ連盟と国連の代表権をシリア革命反体制勢力国民連立に与えることで、シリア政府の正統性を奪うよう求めた。

そのうえで「現地で行われている軍事活動(反体制武装闘争)と切り離されたかたちでの政治的解決はない」としたうえで、「自由シリア軍参謀委員会を通じて軍事活動の統合を行ったうえで暫定政府を結成する」との方針を打ち出した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアブドゥルアハド・アスティーフは、クッルナー・シュラカー(1月10日付)に対して、ヨルダンのザアタリー避難民キャンプに緊急人道支援物資の第1弾を送付した、と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者はアナトリア通信(1月10日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立が半月以内に開催予定の会合で移行期政府の協議について審議する、と述べた。

バヤーヌーニーによると、連立内では、リヤード・ヒジャーブ前首相の暫定首相への立候補に異議は出ていないという。

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シリア国民評議会は声明を出し、カタールとトルコの仲介のもと、シリア政府と反体制武装勢力との間で行われたイラン人巡礼者48人と逮捕者2130人の「交換」に関して、「シリア政府がテヘランの為政者にどれほど従属しているか」を明らかにしたとの見解を示した。

しかしこの論理に従うと、反体制武装勢力のトルコとカタールに「従属」していることになる。

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シリア国民評議会は、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、「国際社会による承認と活動支援のもと暫定政府を発足し…、解放区での執政を行う」よう呼びかけた。

この呼びかけは、「体制転換・移行期開始計画」と題された提言のなかで行われた。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、ヨルダンによるシリア人避難民への人道支援を高く評価、国王アブドゥッラー2世と国際社会に対して、さらなる支援を呼びかけた。

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ロイター通信(1月10日付)は、離反したムハーバラートの士官(ハーッジーを自称)の話として、反体制勢力が「革命を保護するため」に、諜報機関を創設し、軍関連の施設などに関する諜報活動を行っている、と報じた。

同報道によると、諜報機関の創設が公けに発表されたのは2012年11月で、シリア革命反体制勢力国民連立や自由シリア軍などの統制を受けず、「独自」の活動を展開しており、その工作員は離反した軍・ムハーバラートの士官・兵士・要員からなっている、という。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会の大会がイラクのエルビルで開かれ、クルド民族主義政党各党の代表128人を含む300人以上が出席した。

クッルナー・シュラカー(1月10日付)によると、クルド青年運動、革命青年運動、クルド青年調整連合が、総会出席者に占める若者(15%)、女性(10%)、無所属(35%)、諸政党(45%)の割合や、諸政党による大会主導に異議を唱えボイコットした。

一方、民主統一党に近い「西クルディスタン青年調整」も、大会に参加しているシリア・クルド国民評議会が参加組織全体を代表しておらず、クルド民主政治連合に限定されている、と疑義を呈した。

また自由女性機構は、大会における女性の代表者が少ないと異議を唱えるとともに、「ヌスラ戦線が入り込んだ運動は私たちを代表していない、シリア・クルド国民評議会は私たちを代表していない、母としての私の権利を忘れるな」とのスローガンを掲げて抗議した。

なおシリア・クルド・ムスタクバル潮流は大会には参加しなかったが、大会の成功を願うとのメッセージを送った。

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クルディーヤ・ニュース(1月10日付)とクッルナー・シュラカー(1月11日付)は、ハサカ県カーミシュリー市内のシリア・クルド進歩民主党施設内で、イラクのエルビル市での会合とは別に、シリア・クルド国民評議会の大会が開催され、クルド民族主義政党、無所属、青年、女性の代表211人が参加した、と報じた。

しかし、クルド青年調整連合、クルド青年運動、革命声明運動は大会参加をボイコットし、自由女性機構のメンバーとともに、会場前で抗議のデモを行った。

さらにクルド青年調整連合は声明を出し、シリア・クルド国民評議会からの脱退を発表した。

諸外国の動き

BBC(1月10日付)は、英国警察がロンドン東部およびロンドン・ガトウィック空港で、英国在住者(非シリア人)4人を、シリアでのテロ活動を準備していたとの容疑で逮捕したと報じた。

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AFP(1月10日付)は、NATO高官の話として、シリアで1月2、3、9日に短距離弾道ミサイルが発射されたことが確認されたと報じた。

同高官によると、「(2012年)12月初め以降、少なくとも15発の弾道ミサイルが発射され…。すべてシリア領内から発射され、同国北部に着弾した」。犠牲者が出たかどうかは不明だという。

西側諸国によるこうした発言は、シリアの反体制武装勢力が劣勢を強いられる度に行われている。

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ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣はRT(1月10日付)のインタビューに応じ、そのなかで2012年6月のジュネーブ合意の文言や原則のみが「シリアの政治的正常化の基礎である」としたうえで、「この国の危機に対処するにあたってシリアでの特定の利権を根拠とする」べきでないと述べた。

また1月11日のアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表、ウィリアム・バーンズ米国務副長官との三者会談では、「シリアの主権、領土の統一性に觝触せず、またシリア国民の政府を選ぶ権利に介入することなく、ジュネーブ合意の真の活性化」をめざすとの立場を示した。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は、プレス向け声明で、「ロシアの立場は変わらない。我々は…ジュネーブ合意での議論をシリアの紛争停止に資する実質的措置に変えることに関心がある」と述べた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、エジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談し、シリア情勢について協議した。

会談で、サーレヒー外務大臣は、マフムード・アフマディーネジャード大統領の親書を手渡す一方、アムル外務大臣は2月6、7日にカイロで開催予定のイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談へのアフマディーネジャード大統領の出席を改めて求めた。

会談後の共同記者会見で、サーレヒー外務大臣は、シリアの危機解消には、「忍耐と注意が必要で、我々は危機解決案に対してバランス対応を行っている」としたうえで、域内各国の協議を通じて、外国の介入を回避し、シリア人どうしによる問題解決をめざすべきだと述べた。

また、イラン、サウジアラビア、カタール、エジプトからなる四カ国連絡グループによるシリア危機への対処に関しては「平和的解決をめざす関係当事国が集まった最善のイニシアチブの一つ」と高く評価し、そのことが「外国の介入を抑止し、解決に至ることができるだろう…と満足している」と述べた。

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フランス国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首は、独立系新聞のインタビューに応じ、そのなかでシリア情勢などに関して、「過激なイスラーム主義者が、社会革命だったはずのこれらの革命をハイジャックし、アラブの春のあとにイスラームの冬が来ると考えている」と述べた。

そのうえで「我々は世界のすべての人民の自由、主権、アイデンティティを擁護する」と主張し、シリアへの「外国の干渉」を拒否した。

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国境なき医師団は声明を出し、アサド政権が農村への「無差別砲撃」を続けていると非難、「現地で依然活動を続けている医療スタッフが、住民の協力によって運営している「地下病院継続の補償が危ぶまれる状況下にある」と警鐘をならした。

AFP, January 10, 2013、Akhbar al-Sharq, January 10, 2013, January 11, 2013、Facebook, January 10, 2013、al-Hayat, January 11, 2013、Kull-na Shuraka’, January 10, 2013, January 11, 2013,
January 13, 2013、al-Kurdiya News, January 10, 2013、Naharnet, January 10,
2013、Orient News, January 10, 2012、Reuters, January 10, 2013、SANA, January
10, 2013などをもとに作成。

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ハルキー内閣がアサド大統領の演説で示された危機解決に向けたプログラムの詳細行程を閣議決定するなか、シリアの反体制武装勢力は昨年8月に拉致していたイラン人巡礼者48人を釈放(2013年1月9日)

シリア政府の動き

ワーイル・ハルキー内閣は、アサド大統領の1月6日の演説で示された危機解決に向けたプログラムに必要な仕組みを構築するための特別会合で、その詳細を閣議決定した。

プログラムの実施に関して、閣議では以下の方針が承認された。

1. 首相、経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣、運輸大臣、情報大臣、工業大臣、法務大臣、国民和解問題担当国務大臣、赤新月社担当国務大臣、人民議会担当国務大臣からなる作業チームを設置する。
2. 武装集団と関係を持つ諸外国、国際社会・中東地域の当事者に、資金、武器、潜伏先提供の停止を呼びかける。
3. 武装集団に暴力の即時停止の履行を呼びかける。
4. 避難民の帰国を促すため、祖国、国民統合、主権、独立を維持する。
5. 武装テロ集団による停戦履行を受け、軍治安部隊は報復権を留保しつつ、軍事作戦を停止する。
6. 国際社会への危機の政治的解決とテロ撲滅支援を呼びかける。
7. 外務在外居住者省に、国際社会、地域に対してプログラムの内容を開示・広報する。
8. 救急医療活動、インフラ等の復興事業、消費物資確保、経済復興、避難民に対する補償を加速するための内閣特別分科委員会を設置する。
9. 最高支援委員会による人道支援、NGOとの協力を拡充する。
10. 逮捕者の裁判、釈放への迅速な対応を行うため、法務省が関係機関との調整を進める。
11. 内閣は国内外の愛国的反体制勢力およびすべての政党、指導者、運動、社会組織への公開対話参加を呼びかけ、国民対話大会開催の準備をともにめざす。

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そのうえで、ハルキー内閣は、シリア国民に向けて、危機解決に向けたプログラム実施の行程を提示する声明を採択した。

3段階からなる同行程の詳細は以下の通り:

1. 準備段階

1-1. すべての国、国際社会・地域の当事者が武装集団への資金、武器、潜伏先の提供を停止する。
1-2. すべての武装集団があらゆる暴力を即時に停止する。
1-3. 軍武装部隊は、自衛、国民および公共・私有財産の保護目的以外の軍事作戦を停止する。
1-4. 当事者による暴力停止、国境監視の仕組みを構築する。
1-5. 人道支援の搬入を円滑化する。
1-6. インフラ復興と被災者への補償を開始する。
1-7. 避難民に対して必要な補償を行う。
1-8. すべての反体制勢力に、国民対話参加のためのシリアへの帰国、滞在、出国を保証する。
1-9. 法務省は関係機関と調整し、危機に関連する司法手続きや逮捕者の釈放を迅速に行うための必要な措置を講じる。
1-10. 内閣は、国内外の愛国的反体制勢力、政党、政治組織、市民社会団体と連絡を強化し、包括的国民対話大会開催を準備するための公開対話を開始する。

2. 移行期間(準備期間終了をもって開始される)

2-1. 内閣は、国民憲章起草のため、以下の点に即して、包括的国民対話大会の開催を呼びかける。
2-1-a. 主権、統合、国土・国民の安全の確保。
2-1-b. あらゆる内政干渉の拒否。
2-1-c. あらゆる暴力、テロの拒否。
2-1-d. 民主的シリアの政治的未来の描出。立憲法治体制確立の合意。政治的多元主義、司法の独立、市民国家の維持、人種・宗教などを問わない市民の平等、表現の自由、人権尊重、汚職撲滅、行政改革、政党・選挙・地方自治・情報などに関する新法制定への合意。
2-2. 国民憲章は国民投票によって承認する。
2-3. 憲法の規定に従い、広範な行政権を有する拡大政府を発足する。同政府はシリア社会のすべての構成要素を代表し、新憲法起草のための制憲委員会を設置する。
2-4. 制憲委員会の任務完了を受け、憲法草案を国民投票によって承認する。
2-5. 憲法制定後、拡大政府が新憲法を公布する。
2-6. 新選挙法と新憲法の規定に基づき議会選挙を実施する。

3. 第3段階

3-1. 新憲法に基づき新政府を樹立する。
3-2. シリア国民を特徴づける道徳的・愛国的概念に依拠して、シリア国民どうしの結束を回復するため国民和解大会を開催する。
3-3. 危機にかかる犯罪への恩赦と逮捕者の釈放を行う。
3-4. インフラ整備、復興、被災者への補償を加速・完了する。

SANA(1月9日付)が報じた。

反体制勢力の動き

シリア人権監視団によると、ダマスカス郊外県には依然として、約4,500人の反体制武装勢力の戦闘員が潜伏し、そのなかにはダーライヤー市を拠点とするシャームの民のヌスラ戦線メンバー150人も含まれる、という。

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ダマスカス国民民主変革宣言(ダマスカス宣言)事務局が声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が「一部の反体制勢力と不可解で欺瞞に満ちたゲーム」に終止していると非難する一方、国際社会が「シリアでの流血や犠牲を無視している」と批判した。

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ロイター通信(1月10日付)が複数の消息筋の話として、反体制武装勢力が占拠するイドリブ県サルミーン市で、ファールーク大隊の司令官(イスラーム主義者)が9日に狙撃され、死亡した、と報じた。

同消息筋によると、この暗殺事件は、2011年9月に起きたシャームの民のヌスラ戦線の司令官の一人であるフィラース・アブスィー暗殺への報復の可能性があるという。

戦闘員の一人は、ロイター通信(1月10日付)に対して、「車を降りたところ、食糧庫から銃弾を浴びた」としたうえで、「ヒムスの司令官であるアブスィーの兄弟が、フィラース暗殺の復讐を約束しており、その約束を実行したようだ」と述べた。

またファールーク大隊高官は、アブスィー暗殺に関して、「政府が殺害の背後におり、我々にはヌスラ戦線を標的とするような政策をとっていない。我々は一部の地域で同戦線と共闘している」と述べた。

同報道によると、離反兵や武装した民間人からなるファールーク大隊とシャームの鷹旅団がイドリブ県の対トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所を制圧する一方、外国人ジハード主義者からなるヌスラ戦線も同地域一帯に展開しており、両勢力の間では緊張状態が続いている。

しかし、2012年12月にトルコのハタイ県アンタキア市で欧米諸国の肝入りで結成された自由シリア軍参謀委員会に、ファールーク大隊、シャームの鷹旅団、ヌスラ戦線は参加しておらず、事態収拾のための介入ができない、という。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(1月9日付)は、クルド人活動家14人が共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のムアーッズ・アフマド・ハティーブ議長に対して、ハサカ県ラアス・アイン市の民家を占拠する「自由シリア軍を名乗る民兵」を退去させるよう要求した。

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クルディーヤ・ニュース(1月9日付)は、ドイツの人道支援団体が声明を出し、ドイツによるクルド人への支援に関するシリア・クルド民主党のアブドゥルハキーム・バッシャール書記長の批判に対して、告訴も辞さないとの強い姿勢で反論したと報じた。

同報道によると、バッシャール書記長は4日のエルビル(イラク)での記者会見で、ドイツの人道支援団体がシリアのクルド人に供与されるべき物資を民主統一党の人民防衛隊(PYD)に提供していると非難していたが、ドイツの人道支援団体はこの発言が事実無根だと反論した。

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クルディーヤ・ニュース(1月10日付)は、パリで、PKK創設メンバーの女性活動家1人を含むクルド人女性3人が暗殺された、と報じた。

国内の暴力

ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジバーブ・ハマド村が未明に軍の空爆を受け、子供4人を含む10人が死亡した。

同監視団によると、空爆に先立って、ジバーブ・ハマド村に近いフルクルス町入口の諜報機関本部を反体制武装勢力が襲撃を受けた、という。

一方、SANA(1月9日付)によると、タッルドゥー市で、軍が反体制武装勢力のロケット弾製造工場を攻撃、破壊、多数の戦闘員を殺傷した。

またタイバ村、クサイル市郊外などで、軍が反体制武装勢力を攻撃・追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市・ハラスター市間に位置する車輌管理施設周辺で未明に爆発と銃撃戦があった。またフジャイラ村、サイイダ・ザイナブ町、ムウダミーヤト・シャーム市が砲撃を受けた。

一方、SANA(1月9日付)によると、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、マダーヤー町、ダーライヤー市などで軍が反体制武装勢力の追撃を続け、多数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市西部が砲撃を受けたが、死傷者はなかった。

一方、クッルナー・シュラカー(1月9日付)は、複数の士官の話として、シリア軍がイドリブ県にエリート部隊を投入し、反体制武装勢力の掃討作戦を行っている、と報じた。このエリート部隊の兵力は約4,000人の完全武装した兵士からなるという。

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ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(1月9日付)によると、ダマスカス県のマッザ86地区と人民宮殿をつなぐ複数の道路が再開された。

これらの道路は共和国護衛隊によって封鎖され、住民の往来が規制されていた、という。

同じく、クッルナー・シュラカーによると、アッバースィーイーン広場で市民92人が「テロリスト摘発」を目的に、人民諸委員会によって身柄拘束された(未確認情報)。

身柄拘束された市民の多くは、同広場でセルヴィスなどを待っていたジャウバル区住民だという。

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アレッポ県では、SANA(1月9日付)によると、バウワービーヤ村、クサイバ市、ズィーターン市、カラースィー村、ハーン・アサル市、カイラワーン村、バスラー・フーシュール市、カフルナーハー村、ハーン・トゥーマーン村などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

レバノンの動き

『シャルク・アウワト』(1月9日付)は、シリアのシーア派筋の話として、ヒズブッラーがベカーア県東部で、シリア人のシーア派宗徒約1,500人に軍事教練を行っている、と報じた。

自由シリア軍国内合同司令部中央広報局のファフド・ミスリー(在レバノン)によると、彼らはシリア国内のシーア派の村を反体制武装勢力の攻撃から防衛するために教練を受けているという。

諸外国の動き

シリアの反体制武装勢力は、2012年8月に拉致したイラン人巡礼者48人を釈放した。これを受けシリア政府は、2,135人の逮捕者を「善意」(イラン消息筋)に基づいて釈放した。

イランの複数の消息筋によると、この身柄拘束者の交換は、トルコとカタールの合同の努力の結果だという。

シリア政府が釈放した2,130人の氏名については公表されていないが、同消息筋は、釈放者のなかにトルコ人など外国人が多数含まれていることを明らかにした。

同消息筋によると、イラン側とシリアの反体制武装勢力との交渉は、数ヶ月にわたり、トルコ、カタールなどを仲介して行われたが、反体制武装勢力が立場を翻したり、シリア政府が反体制武装勢力の要求を受け入れる準備ができていなかったために難航した、という。

釈放されたイラン人巡礼者48人は、ダマスカス県のシェラトン・ホテルにマイクロバスで到着し、ムハンマド・リザー・シャイバーニー駐シリア・イラン大使がこれを出迎えた。

自由シリア軍のダマスカス県・ダマスカス郊外県の報道官を名乗るアフマド・ハティーブはAFP(1月9日付)に対して、2,135人の逮捕者釈放のための「交渉が理論的に完了した」としたうえで、釈放された逮捕者のなかに「重要人物が含まれている」ことを明らかにした。

しかし、釈放された逮捕者の氏名など交渉の詳細については、「カタール、トルコのもと、イランの介入を通じて行われた体制との取引が実行されるまで」明らかにしない、と述べた。

『ハヤート』(1月10日付)は、トルコの人道支援組織の報道官(セルカン・ナルジス氏)の話として、釈放された逮捕者が民間人で、ダマスカス県、ヒムス県、イドリブ県、ラタキア県、タルトゥース県の住民が多く、トルコ人4人も含まれていると報じた。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、エジプトを訪問し、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談、シリア情勢について協議した。

サーレヒー外務大臣は10日までエジプトに滞在、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、ムハンマド・ムルスィー大統領、ムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談予定。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はBBC(1月9日)のインタビューに応じ、そのなかで、アサド大統領の6日の演説で示された危機解決に向けたプログラムに関して、「提示されたものは、実質的に成功を収めなかったこれまでのイニシアチブの繰り返しになるだけではないか…。実際、この点に相違はなく、おそらくより宗派主義的で一方的なものかもしれない」と述べた。

また「上からの改革に与えられた時間は…終わった。人々は自分たちが支配の方法について語りたいと思っており、自らの将来に関する事柄を自身で行いたいと思っている」と付言、アサド大統領の演説によってシリア危機の解決の「機会が逸する」との見方を示した。

そのうえで「シリア人はアサド家がシリアを統治した40年という期間があまりに長いと考えており、それにもっとも近い立場の発言が、アサド大統領の退陣を直接呼びかけるものだ」と述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、シリア紛争をめぐる国際社会の交渉が「1月6日のアサド大統領の演説で示された幾つかのアイデアを考慮するかたちで」続けられるだろうと発表した。

「幾つかのアイデア」の詳細については言及しなかった。

また「シリア大統領はシリアでの対話開始と、シリアの主権、独立、領土の統一性、内政不干渉の原則に基づく改革実施の用意があることを強調した」と述べ、アサド大統領の姿勢を評価した。

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『ハヤート』(1月10日付)は、シリア問題を担当する米高官の話が、「アサド大統領と彼の取り巻きのマフィアの選択肢は権力を去ることだけで、ラタキアにアラウィー派国家を建設することではない」と述べたと報じた。

同高官は、シャームの民のヌスラ戦線に関して、「アラウィー派を脅迫する…最近のビデオ声明は、多くのシリア人の恐怖を高めるだろう…。(ヌスラ戦線による)脅迫は、政治的解決を通じてアラウィー派が平和に暮らせるということを示し、彼らを安心させようとする我々の試みに完全に逆行する」と付言した。

一方、同高官は、イランやヒズブッラーによるアサド政権への軍事支援についても非難した。

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NTV-Turk(1月9日付)など複数のトルコ・メディアは、トルコ政府がPKKの指導者アブドゥッラ・オジャランとの停戦に合意したと報じた。

同報道によると、交渉は2012年から行われており、合意は、①PKKによる攻撃を2013年3月に停止と戦闘員のイラクへの移動、②トルコ政府によるクルド人活動家の釈放、クルド人の人権拡大のための改革実行、を骨子とする。

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『ハヤート』(1月10日付)は、欧州の外交筋が、シリア国内での暴力が停止した場合、欧州がアサド政権と反体制勢力の対話を支援するだろうと述べた、と報じた。

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『フィナンシャル・タイムズ』(1月9日付)は、西側の匿名高官筋の話として、米国および中東の複数の専門家が、シリアのウラニウムの備蓄をアサド政権が管理できなくなることを懸念しているとの根拠のない報道を行った。

西側諸国政府による化学兵器などの拡散の可能性への懸念表明は、シリアの反体制武装勢力が劣勢を強いられる度に行われている。

AFP, January 9, 2013、Akhbar al-Sharq, January 9, 2013、BBC, January 9, 2013、The Financial Times, January 9, 2013、al-Hayat, January 10, 2013、Kull-na Shuraka’, January 9, 2013, January 10, 2013、al-Kurdiya
News, January 9, 2013, January 10, 2013、Naharnet, January 9, 2013、Reuters,
January 9, 2013, January 10, 2013、SANA, January 9, 2013、al-Sharq al-Awsat, January 9, 2013などをもとに作成。

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