アレッポ県で反体制武装勢力が「シリアの紛争開始以降初めて」政府軍の航空機を撃墜、日本政府は「シリアの友連絡グループ」会合に先だってシリアへの追加制裁を行うと発表(2012年11月27日)

国内の動き

日刊紙『ワタン』(11月27日付)は、国連シリア代表部が10月に国連安保理に提出した「各国テロリスト」のリストを「信頼できる筋」から入手したと報じ、その氏名を公表した。

同紙が公表した「外国人テロリスト」は142人で、シリア国内で暴力行為を犯し、殺害された、という。

142人の国籍は18カ国におよび、その内訳はサウジ人47人、リビア人24人、チュニジア人10人、エジプト人9人、カタール人6人、レバノン人5人、アフガニスタン人11人、トルコ人3人、チェチェン人3人、アゼルバイジャン人1人、チャド人1人。

http://www.alwatan.sy/dindex.php?idn=130346

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルトゥーズ地方の軍の検問所で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、軍警察2人が死亡し、また爆発後に軍・治安部隊と反体制武装勢力の間で激しい交戦が行われた。

また、ダハーディール市で処刑された遺体6体が発見された。

このほか、ハジャル・アスワド市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月27日付)によると、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ザマルカー町、ダーライヤー市、ブワイダ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員ら多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区で軍の車輌を狙った爆発があり、女性1人が死亡、またヤルムーク区でも砲撃によって子供1人が死亡した。

さらに工業地区でも即席爆弾が爆発したが、死傷者はなかった。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ミンタール村の防空大隊基地に反体制武装勢力が突入し、複数の兵士を殺害、捕捉し、23ミリ対空砲6基を含む武器・装備品を奪取した。

この戦闘で、同監視団によると、反体制武装勢力の戦闘員6人が、反体制活動家によると9人が死亡した、という。

その後、シリア人権監視団は、反体制武装勢力がシャイフ・スライマーン防空大隊基地周辺の空爆に参加していた軍ヘリコプターを地対空ミサイルで撃墜したと発表した(未確認情報)。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン書記長によると、反体制武装勢力が地対空ミサイルで航空機を撃墜するのは「シリアの紛争開始以降初めて」で、「同様のロケット数十発を革命家が入手した」という。しかし入手元については不明だという。

ユーチューブ(11月27日付)では、ヘリコプターが現状・墜落する映像がアップされた。映像はヌールッディーン・ザンキー大隊の広報局によって撮影・配信されている。

同大隊はイスラーム主義者から構成され、シャイフ・スライマーン防空大隊基地の攻略を主導している、という。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市ライラムーン地区などで軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

またアフリーン市では、同監視団によると、西クルディスタン人民議会アフリーン地方のアトゥーフ・アブドゥー議長が「何者か」に襲撃された。

これに対して、SANA(11月27日付)は、アレッポ市サーリヒーン地区、ライラムーン地区、ズィルバ村、ファーフィーン村、ダーラ・イッザ市、カフルナーヤー市、ムスリミーヤ村、バルナタ村、ダイル・ハーフィル市、フライターン市、アンジャーラ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した、と報じた。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月27日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、SANA(11月27日付)によると、サウラ市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ハサカ県では、SANA(11月27日付)によると、ハサカ市郊外で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員ら複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市郊外の軍による砲撃・空爆で5人が死亡、30人が負傷した。

一方、SANA(11月27日付)によると、ムハムバル村、対トルコ国境のアティマ市、ドゥライキーシュ市、ザルズール市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員ら複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(11月27日付)によると、アスィーラ村、フワイスィース地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ファーイズィーヤ村で爆発があり、子供3人が死亡、5人が負傷した。またヒムス市ムハージリーン区での砲撃で、1人が死亡した。

一方、SANA(11月27日付)によると、シューマリーヤ村、ファーイズィーヤ村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(11月27日付)によるとサフワ村で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殲滅した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立は、シリア人権委員会のワリード・サフールを駐英国大使に任命したと発表した。

シリア人権委員会はロンドンを拠点とする人権団体・反体制組織。

諸外国の動き

日本政府は、東京での「シリアの友連絡グループ」会合(30日)に先だって、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相やアディーブ・マイヤーラ・シリア中央銀行総裁ら36人、シリア石油社など19機関への追加制裁を行うことを発表した。

日本政府は、欧米諸国に追随するかたちで2011年9月にアサド大統領など政権首脳の資産凍結、シリア籍の航空機の領空通過禁止を骨子とする制裁をシリアに対して課してきた。

今回の追加制裁により、日本政府による制裁対象は、シリア政府高官ら59人、35機関となった。

日本政府による制裁は(米国による制裁同様)形式的なもので、シリア経済、さらに国民の生活を圧迫することないが、紛争の一当事者のみを対象としている点で、サラフィー主義武装集団と共闘する反体制武装勢力の暴力を正当化しかねない。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して120万ユーロの緊急人道支援を行うとことをフランスが決定したと発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、地元住民の証言やビデオ映像をもとに、ダマスカス郊外県ダイル・アサーフィール市で25日に軍が子供たちが遊んでいる広場にクラスター爆弾を投下し、少なくとも子供11人が死亡、多数が負傷したと発表、非難した。

AFP, November 27, 2012、Akhbar al-Sharq, November 27, 2012、al-Hayat, November 28, 2012、Kull-na Shuraka’, November 27, 2012、al-Kurdiya News, November 27, 2012、Naharnet, November 27, 2012、Reuters, November 27, 2012、SANA, November 27, 2012、al-Watan, November 27, 2012などをもとに作成。

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自由シリア軍大佐がラアス・アイン市における人民防衛隊との停戦に関する報道を否定、また人民防衛隊総司令部が「クルド統合軍に加わる準備はない」との意思を示す(2012年11月26日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団が、反体制武装集団が軍との数日間に及ぶ戦闘の末、ティシュリーン・ダムおよび同ダム周辺の施設を制圧した、と発表した。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、「ダム制圧は非常に重要なステップだ。なぜなら、軍にとってラッカとアレッポを結ぶすべての街道が遮断されたことを意味するからだ」と述べ、人権団体でありながら、反体制武装勢力の戦果を鼓舞した。

また「ラッカからサウラを経由し、ユーフラテス川を越える旧街道は軍と反体制勢力によって割拠されており、軍は移動には利用できない。ティシュリーンを経由する別の街道は軍が掌握する最後の街道だが、現在は利用できない」と付言し、アレッポ市を孤立化する作戦が進展しているとの見方を示した。

ユーチューブではティシュリーン・ダムを制圧したと主張する武装集団の複数の映像がアップされているが、ダムが制圧されたとの事実確認はなされていない。

一方、SANA(11月26日付)によると、アレッポ県シャッアール地区、旧市街、ナイラブ地区、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員など多数の戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

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イドリブ県では、AFP(11月26日付)によると、軍が対トルコ国境から2キロの地点に位置するアティマ村およびその周辺を空爆した。

同報道によると、空爆は、自由シリア軍国内合同司令部が本部として使用している学校やシャームの鷹旅団の本務を狙ったもの。

シリア人権監視団によると、空爆はアティマ村とトルコ領内のシリア人避難民キャンプから数百メートルの距離に位置するカーフ村に対して行われ、同地域には多数の反体制武装勢力がおり、住民のほとんどは避難・退去して不在だったという。

また軍はハーリム市の反体制武装勢力の拠点に対しても空爆を加え、戦闘員1人が死亡、複数が負傷したという。

一方、SANA(11月26日付)によると、ハーリム市、ワーディ・ダイフ地点(マアッラト・ヌウマーン市近郊)、サラーキブ市、マストゥーマ村、キトヤーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員らを殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カフルスーサ区の農園などに対して、軍・治安部隊が砲撃を加え、反体制武装勢力と交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市などに対して、軍・治安部隊が砲撃を加え、反体制武装勢力と交戦した。

これに関して、シリア国民評議会は声明を出し、「ダーライヤー市で過去数日間に130人以上が死亡した」と主張した。

しかし、『ワタン』(11月26日付)は、ダーライヤー市が「過去数週間で、首都攻撃のためダマスカス郊外県の複数の地域から送り込まれたテロリストの塞と化していた」と報じた。

複数の消息筋によると、軍はダーライヤー市を四方から包囲しており、「近日中に決着をつける」のだという。

またムウダミーヤト・シャーム市、ザバダーニー市、ジュダイダト・アルトゥーズ町、リーハーン地方などでも軍・治安部隊の砲撃があり、9人が死亡した、という。

一方、反体制活動家が、ユーチューブ(11月26日付)に子供や若者の遺体5体の映像を公開し、ダマスカス郊外県ダイル・アサーフィール市で、軍が25日(日曜日)クラスター爆弾を投下し、死亡したと主張した。

これに関して、地元調整諸委員会も、クラスター爆弾の投下で10人の子供が「虐殺」され、多数が負傷したと主張した。

しかし、シリア人権監視団は、8人の子供が死亡したこととしつつ、クラスター爆弾が使用されたかどうかは確認できない、と発表した。

他方、SANA(11月26日付)によると、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、マシュタル市、ヤルダー市、アルバイン市、ダーライヤー市、フサイニーヤ町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員など多数の戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(11月26日付)によると、ジュバーター・ハシャブ村、トゥルナジャ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦市、使徒末裔大隊の司令官(ジャバーニー)ら複数の戦闘員を殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月26日付)によると、ダイル・ザウル市各所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と応戦し、複数の戦闘員を殲滅した。

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ダルアー県では、SANA(11月26日付)によると、反体制武装勢力がダルアー市の警察署を襲撃したが、治安部隊が反撃し、戦闘員に甚大な被害を与えた。

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ヒムス県では、SANA(11月26日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、スルターニーヤ地区、ラスタン市、クサイル市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、外国人戦闘員ら多数を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(11月26日付)によると、マアーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦市、複数の外国人戦闘員を殲滅した。

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ハサカ県では、シリア・クルド国民評議会が声明を出し、ハサカ市でクルド人学生らがナイフや銃で武装した「自由シリア軍」を名乗る集団(グワイラーン地区のアラブ人)に暴行を受けたと発表した。

同声明によると、この集団はハサカ大学に向かうセルヴィスなどを停車させ、運転手にクルド人が乗っているか尋ね、乗っていた学生らに暴行を加えた、という。

反体制勢力の動き

民主的諸勢力国民調整委員会は広報局長の名で声明を出し、ロシアを訪問中のラジャー・ナースィルがRTに対して訪問の目的を「対話を通じて平和的且つ静粛な権力移譲を行い、多元的民主制を確立したい」と述べたにもかかわらず、RTが「調整委員会は体制と対話せず、移行期間と政権移譲に関して交渉するのみ」と発言したと報じた、と批判した。

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クッルナー・シュラカー(11月26日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立がカイロで会合を開き、ガッサーン・ヒートゥー、アスアド・アッシー、スハイル・アタースィーをそれぞれ人道支援委員会委員長、地元評議会調整支援委員会委員長、国際支援組織機構代表に任命した、と報じた。

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自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、「シリアの若者の90%が革命に参加している…。革命の勝利後に革命家たちは自らが拘束するイラン人逮捕者の記録を公開し、シリア国民の流血に関与した者は例外なく裁かれる…。(ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長やロシアも)処罰を免れないだろう」と述べた。クッルナー・シュラカー(11月26日付)が述べた。

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クッルナー・シュラカー(12月26日付)によると、自由シリア軍のハサン・アブドゥッラー大佐が、ハサカ県ラアス・アイン市をめぐる民主統一党人民防衛隊(YPG)との停戦に関する報道や発表の内容を否定、民主統一党の撤退などを骨子とする停戦合意を交わしたと反論、戦闘再開の意思を示した。

アブドゥッラー大佐によると、自由シリア軍と民主統一党は以下の合意を交わしたという。

1. 民主統一党の民兵はラアス・アイン市から撤退し、同市に再び立ち入らない。
2. 民主統一党の民兵は、自由シリア軍を攻撃しない。
3. 民主統一党は、アサド政権との協力を行わない旨誓約する。
4. 捕虜交換。
5. 民主統一党の重火器を自由シリア軍に引き渡す。
6. 自由シリア軍はラアス・アイン市の市民の権利を保護する。
7. 上記の項目を48時間以内に履行し、次のプロセスに入る。
8. 上記の項目へのいかなる違反も休戦破棄とみなす。

またアブドゥッラー大佐は、自由シリア軍がラアス・アイン地方からラッカ県のタッル・アブヤド地方に撤退したとの一部情報も否定した。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党人民防衛隊(YPG)総司令部は声明を出し、11月23日にイラク・クルディスタン地域で発表されたクルド統合軍に加わる準備はない、との意思を示した。

同声明においてYPGは「我々が統合し得る勢力はなく、またカーミシュリー、ダイリーク、アームーダーなどで最近結成された部隊のような…実態のない部隊が結成されることも認めない」と主張した。

また「統合軍を結成するという議論は、詭弁以外の何ものでもない」と批判した。

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 クッルナー・シュラカー(11月26日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市の停戦を受け、トルコに避難していたシリア人数十人がラアス・アイン国境通行所を経由して、シリアに帰国した。

Kull-na Shuraka', November 26, 2012
Kull-na Shuraka’, November 26, 2012

諸外国の動き

ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ首相は、フランス訪問(26日晩)に先立って、AFPおよび『ル・フィガロ』のインタビューに応じ、そのなかで、シリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」と承認したフランスの姿勢を「1970年に国連で採択された国際法の原則に従うと、いかなる国も、第3国の既存の体制に力づくで介入することはできない」と指摘、「特定の政治勢力をその主権の唯一の代表と承認することで第三国の体制転換をめざすことは、私にはまったくもって文明的なこととは思えない」と厳しく批判した。

また「アサドとその体制の運命を決するのは、これらの反体制勢力を含むシリア国民だ。しかし、これらの勢力は法的な手段で権力の座につくことが望ましく、他国から武器を受けとって政権をめざすべきでない」と付言、反体制勢力への武器供与を批判した。

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国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長がヨルダンを訪問し、アブドゥッラー国王ら首脳の歓談、シリア人避難民にかかる問題に関して協議した。

ペトラ(11月26日付)によると、アモス事務次長は、「国連はシリア人避難民問題に二つのトラックで対応している。第1に、シリア国内のトラックで、国際NGO8団体とともに、衛生・医療サービスを必要とするより多くのシリア人への支援をめざしている。第2に、ヨルダンなどシリア人避難民を受け入れ、大きな負担を負っている近隣諸国との協力である」と述べた。

AFP, November 26, 2012、Akhbar al-Sharq, November 26, 2012、al-Hayat, November 27, 2012、Kull-na Shuraka’, November 26, 2012、al-Kurdiya News,
November 26, 2012, November 27, 2012、Naharnet, November 26, 2012、Reuters,
November 26, 2012、SANA, November 26, 2012、al-Watan, November 26, 2012などをもとに作成。

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カイロで開催されていたシリア国民民主同盟大会が閉幕する一方、ハサカ県では人民防衛隊とシャーム外国人大隊が停戦に至り両者による通行所・幹線道路の分担管理が合意される(2012年11月25日)

国内の動き

ダマスカス郊外県リーハーン地方での反体制武装勢力によるPFLP-GC基地の襲撃・破壊に関して、SANA(11月25日付)は、「ダマスカス郊外県のPFLP-GCの基地に対する武装テロ集団の攻撃は、PFLP-GCがテルアビブでの作戦を受けるかたちで、モサドの道具がシオニストという敵の代わりに行ったものである」と非難した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力が24日夜に東グータ地方のマルジュ・スルターン航空基地を襲撃し、ヘリコプター2機と戦車1輌を破壊、12人の兵士を捕捉した。

ユーチューブ(11月25日付)にアップされた映像において、反体制武装集団の司令官は、「飛行場解放」作戦が成功し、ヘリコプター2機、レーダー基地を破壊し、15人を捕捉したと発表した。

しかしシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、AFP(11月25日付)に対して、「革命家たちは、航空基地を完全制圧はしていない。軍が依然として飛行場を包囲している」と述べた。

またAFP(11月25日付)はその後、反体制活動家の話として、反体制武装勢力が軍の報復を恐れてマルジュ・スルターン航空基地から撤退したと報じ、「飛行場解放」作戦の成功が狂言の可能性があることを暗示した。

一方、サイイダ・ザイナブ地方、東グータ地方、ハラスター市、サクバー市、ザマルカー町、フジャイラ村に対して軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、軍兵士4人、反体制武装勢力戦闘員6人、民間人1人が死亡した。

他方、SANA(11月25日付)によると、ダーライヤー市、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、ザマルカー町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、シャームの民のヌスラ戦線メンバー、外国人戦闘員など多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団が、軍・治安部隊がカフルスーサ区の軍備を増強し、同地区の農園突入を試みようとしている、と発表した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力が対ヨルダン国境に進軍し、国境地帯を防衛する軍第、4大隊と交戦し、一時拠点を制圧したが、「軍の空爆に曝され、革命家たちは拠点から撤退し、軍に奪還された」。

また『ハヤート』(11月26日付)によると、旅客バスを狙った爆弾テロがあり、市民5人が死亡、数十人が負傷した。

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アレッポ県では、『ハヤート』(11月26日付)などによると、アレッポ市ザフラー地区の空軍情報部施設周辺で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

また反体制武装勢力がハーン・アサル村の治安機関施設を制圧したと発表した(未確認情報)。

一方、クッルナー・シュラカー(11月25日付)は、シャーム自由人大隊、イーマーン旅団、アリー・ブン・アビー・ターリブ大隊、イスナード・ミサイル連隊、サイード・ブン・ザイド大隊なる武装勢力がアレッポ市南部のICARDA地区の「浄化」を完了し、ダマスカス・アレッポ街道した、と報じた(未確認情報)。

他方、SANA(11月25日付)によると、軍・治安部隊がバイトルーン村、カフルナーハー村、ティシュリーン・ダム、ファーフィーン村、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、アレッポ市ブスターン・カスル地区、ナイラブ地区などで、反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

このほか、アレッポ市マルジャ地区では、「テロリスト退去」を求めるデモを行う市民に反体制武装勢力が発砲し、女性1人が死亡、複数が負傷した。

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ヒムス県では、SANA(11月25日付)によると、ヒムス市旧市街、ラスタン市、クサイル市および近郊などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

反体制勢力の動き

カイロで開催されていた反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)が閉幕した。

大会に参加したシリア自由人党事務局のムンズィル・アークビークは、「政治声明に関して合意がなされ、それは数時間後に行われる記者会見で発表されるだろう。この声明は、民主的思考を共有する政党、潮流、革命組織、政治組織すべての同盟が定められている」と述べた。

また「ドーハの連立と(シリア国民民主同盟との間)原則において違いはない。しかし(同盟は)シリア国民の唯一の代表としての国際承認をめざすようなこの連立とは何らの類似点もない…。同盟は…(シリア国民の)代表だと自らを主張せず、特定の考え方に信念を寄せる政党、潮流のイデオロギー的な同盟で、その活動は連立のように一時だけのものではなく、また政権打倒といった短期的な目的をめざすものでもない。それは長期的な目的、すなわち民主的国家、平等、公正、市民権の確立に貢献しようとしている」と述べた。

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その後、シリア国民民主同盟の発足を宣言した以下の閉幕声明が発表された。

Kull-na Shuraka', November 26, 2012
Kull-na Shuraka’, November 26, 2012
Kull-na Shuraka', November 26, 2012
Kull-na Shuraka’, November 26, 2012
Kull-na Shuraka', November 26, 2012
Kull-na Shuraka’, November 26, 2012

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離反士官がユーチューブ(11月25日付)を通じて、「自由将校連合」なる新たな組織の結成を宣言した。映

像が撮影された場所は不明だが、その発言内容から在外の士官である可能性が高い。

映像によると、自由将校連合はマフムード・アイユーブ准将を司令官とし、国内各地の前線で戦闘を指揮する士官らから構成され、「将来のシリア軍の真の核となる」という。

また映像に添付された声明のなかで、自由シリア軍国内合同司令部中央広報担当官のファフド・ミスリーは、自由士官連合にはすべての離反士官が参加し、自由シリア軍の支援を任務としていることを明らかにした。

また「新たな国民連立との協力、協議、支援のための調整」の必要を強調、シリア革命反体制勢力国民連立に代表者を派遣する意思を示した。

http://www.youtube.com/watch?v=HvpRZkENHzA

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(11月25日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市で、民主統一党人民保護部部隊(YPG)と自由シリア軍シャーム外国人大隊が停戦合意に達したと報じた。

停戦合意の内容は以下の通り:

1. 市内での双方の武装解除。
2. アラブ人、クルド人、キリスト教徒、コーカサス人からなる文民評議会による自治。
3. 自由シリア軍によるラアス・アイン国境通行所などの管理、YPGによる主要幹線道路の管理。検問所におけるクルドの国旗掲揚。

諸外国の動き

トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、NATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して、「我々の国の治安に直接脅威が及ばない限り使用されない」と述べた。

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『サン』(11月25日付)は、英国のイスラーム主義者のウマル・バクリーが、レバノン北部のキャンプで英国のイスラーム主義者を軍事教練していることを明らかにしたと報じた。

AFP, November 25, 2012、Akhbar al-Sharq, November 25, 2012、al-Hayat, November 26, 2012, November 27, 2012、Kull-na Shuraka’, November 25, 2012,
November 26, 2012、al-Kurdiya News, November 25, 2012、Naharnet, November
25, 2012、Reuters, November 25, 2012、SANA, November 25, 2012、The Sun, November 25, 2012、Youtube, November 25, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヌールッディーン・ザンキー大隊がアレッポ県内のシャイフ・スライマーン防空大隊基地のを「約2ヶ月にわたって包囲」、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市郊外では軍・治安部隊がヌスラ戦線のアジトを襲撃(2012年11月24日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市、アルバイン市、ダーライヤー市が軍の砲撃を受け、バイト・サフム市、ザバダーニー市、ダイル・アサーフィール市の近郊、ハジャル・アスワド市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(11月25日付)によると、ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、「アル=カーイダのテロ狙撃手多数を殺害」した。

またザマルカー町、アルバイン市、バイト・サフム市、フジャイラ村、ザバダーニー市などで反体制武装勢力の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員を踏む反体制武装勢力の戦闘員を殺傷した。

他方、PFLP-GCは声明を出し、リーハーン地方のPFLP-GC基地が反体制武装勢力の攻撃を受けたと発表した。

シリア人権監視団によると、この攻撃で双方に多数の死傷者が出て、反体制武装勢力が基地を制圧した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カフルスーサ区の農園、カダム区、タダームン区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

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アレッポ県では、AFP(11月24日付)によると、マンビジュ市から約10キロの距離に位置するティシュリーン・ダムを防衛する軍を反体制武装勢力が襲撃した。

ユーフラテス川沿いに位置する同ダムは、アレッポ県とラッカ県を結ぶ要衝。

一方、ヌールッディーン・ザンキー大隊の司令官を名乗るシャイフ・タウフィークは、カブターン・ジャバル地方のシャイフ・スライマーン防空大隊基地の攻略に関して、「我々は基地を約2ヶ月にわたって包囲している…。基地を守る兵士300~400人にとって、事態は打開できない」と述べ、「数日中」に基地を制圧できるだろうと述べた。

また「シャイフ・スライマーンが陥落すれば、アレッポ市の西部郊外は解放され、45日以内に今度はアレッポ市が解放されるだろう」と述べた。

シリア人権監視団によると、シャイフ・スライマーン防空大隊基地の攻略をめざす反体制武装勢力は、軍が敷設した地雷を撤去しつつ進軍、これに対して軍が空爆を行い、反体制武装勢力の戦闘員17人が死亡した、という。

また基地からは、反体制武装勢力が拠点とするアターリブ市などへの周辺の村への砲撃が行われている、という。

これに対し、SANA(11月25日付)によると、ファーフィーン村、アレッポ市マンスーラ地区、ムスリミーヤ地区、マイサル地区、ナイラブ地区、マシュハド地区、ジュバイラ地区、ライラムーン地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、シャームの民のヌスラ戦線メンバーや外国人戦闘員を踏む反体制武装勢力の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市マルジャ地区では、住民が「テロリスト退去」を求めるデモを行い、強制排除を試みた反体制武装勢力の発砲で、女性、子供らが負傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市、ラスタン市が軍・治安部隊の激しい砲撃を受けた。

またヒムス市ダイル・バアルバ地区周辺に軍・治安部隊が増援され、同地区への突入が準備されている、という。

一方、SANA(11月25日付)によると、クサイル市および郊外、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のための特殊作戦を実施し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またヒムス市ハーリディーヤ地区では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員数十人を殺害した。

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イドリブ県では、SANA(11月25日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市郊外の街道で、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線のアジトを攻撃し、多数の戦闘員を殺害、装備を破壊した。

一方、反体制武装勢力はアリーハー市の野菜市場で市民に向けて無差別発砲し、女性1人が負傷、多数が負傷した。

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ラタキア県では、SANA(11月25日付)によると、対トルコ国境のカサブ町の検問所を反体制武装勢力が襲撃、軍・治安部隊が応戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(11月24日付)は、シリア・クルド国民評議会と同評議会に属する調整が、市民に対して、金曜日の反体制デモを行わないよう要請した、と報じた。

この要請は、ラアス・アイン市でのクルド人と自由シリア軍の武力衝突など事態が緊迫化するなかで、アラブ人とクルド人の民族間の対立が唱導されることを懸念したもの。

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シリア・クルド・イェキーティー党のムスタファー・ウースー書記長は、クルディーヤ・ニュース(11月24日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連合が、クルド人の民族としての権利を憲法に明記することを承認すれば、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会は連合に加わることを拒否しないだろう、と述べた。

諸外国の動き

イランのアリー・アーリージャーニー諮問評議会(国会)議長は、シリア、レバノンに続き、トルコを訪問し、イスタンブールでレジェップ・タイイップ・エルドアン首相と会談した。

AFP, November 24, 2012、Akhbar al-Sharq, November 24, 2012、al-Hayat, November 25, 2012、Kull-na Shuraka’, November 24, 2012、al-Kurdiya News, November 24, 2012、Naharnet, November 24, 2012、Reuters, November 24, 2012、SANA, November 24, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

カイロでシリア国民民主同盟大会が開会するなか、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会が自由シリア軍に対抗するための「クルド統合軍」を発足することで合意(2012年11月23日)

国内の動き

アサド大統領がダマスカスを訪れたイランのアリー・ラーリージャーニー諮問評議会(国会)議長と会談した。

SANA, November 23, 2012
SANA, November 23, 2012

会談で、アサド大統領は、イラン政府によるシリア国民への支援と、政治的対話支持の姿勢を高く評価し、国民対話を成功させ、シリアおよび地域全体の不安定化を狙ったテロと戦い続けるとの意思を示した。

またシリア情勢への対応のほか、イスラエルによるガザ空爆の失敗とパレスチナ人レジスタンスの勝利などについて協議した。

会談後の記者会見で、アサド大統領は、「(ラーリージャーニー議長訪問は)緊急訪問ではない…。我々とイラン高官は様々なレベルで常に連絡を取り合っている。しかし訪問が国会議長レベルとなれば、それ以外の高官との間で最近行われたすべての会談が総括される。とくに、急速に進展する事態や、ガザに対するイスラエルの攻撃を踏まえ、我々は過去の会談を再評価した。もちろんイスラエルの攻撃は私とラーリージャーニー議長博士の今日の会談では大きく取り上げた」と述べた。

SANA(11月23日付)が報じた。

シリア・アラブ・テレビ(11月23日付)によると、ダマスカス国際空港に到着したラーリージャーニー議長は、記者団に対して、「シリアに問題を作り出すことで、地域においてアドベンチャーを行おうとしている者がいる…。改革の名のもとに衝動的な行為を行い、混乱をもたらそうとしている武装集団もあるが、そうした試みが実現することはないだろう」と述べた。

また、ラーリージャーニー議長はシリア出国後にレバノンに到着、ベイルートでナビーフ・ビッリー国民議会議長と会談した。

SANA(11月23日付)によると、会談後、ラーリージャーニー議長は記者団に対して、シリアへの軍事介入を拒否するとの姿勢を示した。

SANA, November 23, 2012
SANA, November 23, 2012

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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、トルコのNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して「新たなる挑発的措置」と評し、トルコ政府が「シリア・トルコ国境における事態の軍事化、緊張・被害の増大をもたらし、友好的な両国国民の利害を損ねている」と批判した。

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シリア・カトリック教会ハサカ司教区のベフナーン・ヒンドゥー大司教は書簡を出し、ローマ法皇、国連、国際社会に対して、ジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東)への支援と、戦火拡大回避への努力を呼びかけた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市、ダーライヤー市で、軍・治安部隊の砲撃により反体制武装勢力の戦闘員5人が死亡した。

一方、SANA(11月23日付)によると、ザマルカー町、アルバイン市、アイン・タルマー村、ズィヤービーヤ町、ダーライヤー市、フジャイラ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(11月23日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、スッカリー地区、ムスリミーヤ地区、シャイフ・ルトフィー村、カフルナーハー村、アターリブ市、ファーフィーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市マルジャ地区では、数百人の市民が「テロリスト退去」を訴え抗議デモを行い、反体制武装勢力がデモの排除を試み、子供1人を殺害、複数を負傷させた、という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市の軍住宅機構近くの軍・治安部隊の検問所で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、兵士3人が死亡、15人が負傷した。

一方、SANA(11月23日付)によると、サルミーン市・イドリブ市間の街道で反体制武装勢力が爆弾をしかけた車を爆破し、市民3人を殺害、多数を負傷させた。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(11月23日付)によると、軍が戦車4輌、装甲車10輌、輸送車輌15輌をカーミシュリー市防衛のために増援した、と報じた。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月23日付)によると、ダイル・ザウル市各所、ブー・ウマル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

また突撃大隊、ハムザ・ブン・アブドゥルムトリブ大隊を名乗る武装集団が、バアス党ダイル・ザウル支部の元メンバーでアラブ作家連盟会員のムハンマド・ラシード・ルワイリーら4人を殺害し、シリア軍の犯行だとする嘘の映像を公開した。

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ハマー県では、SANA(11月23日付)によると、ガーブ地方の街道の複数カ所で、シャームの民のヌスラ戦線が仕掛けた爆弾を爆破した。

反体制勢力の動き

シリア民主フォーラムは声明を出し、11月23日から25日でカイロで開催される反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)に関して、参加の意思を表明した。

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革命青年連合なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立に対して、カイロでの反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)に参加するよう呼びかけた。

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カイロで反体制勢力の大会(シリア国民民主同盟大会)が開会された。

大会は25日までの3日間の予定。

大会には、シリア民主フォーラムのミシェル・キールー、ハーズィム・ナハール、国民変革潮流のバッサーム・ブンニー、ワヒード・サクル、アンマール・カルビー、ヨルダンで活動するカマール・ルブワーニー(シリア革命反体制勢力国民連立)、ワリード・ブンニー、シリア自由人党のムンズィル・アクビークらが参加した。

また国内で活動する民主的変革諸勢力国民調整委員会も参加した。

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シリア・ヤズィーディー評議会なる組織が声明を出し、議長のマズキーン・ユースフ女史とスィルハーン・イーサー報道官がイラクのクルディスタン愛国同盟(PUK)の正式な招待を受け、イラク・クルディスタン地域を訪問する、と発表した。

クルド民族主義勢力の動き

イラク・クルディスタン地域のアルビール市で、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会の代表が11月21日から23日にかけてシリア北東部の治安対策に関して協議し、自由シリア軍に対抗するためのクルド統合軍を発足することで合意した。

西クルディスタン人民議会のムハンマド・ラシューはアルビール市で「あらゆる敵対行為からクルド地域を保護することを開始」するため、「いかなる組織にも属さない軍を設置することで原則合意した」と述べた。

ラシューはまた「自由シリア軍がラアス・アイン市をはじめとするクルド地域に来て以降、彼らはアラブ人地区に展開していただけだとの認識があった。しかしほどなく、彼らは、クルドの旗が掲げられているとの口実で、これらの旗を焼き、我々と交戦した」と述べた。

そのうえで「タウヒード旅団、シャーム外国人大隊、そしてときに(シャームの民の)ヌスラ戦線が、クルド人市民を襲っている…。自由シリア軍はこれらの組織との関係を否定することもあるし、関係を認めることもある」と付言した。

またフェヴェダールを名のる活動家は、「イラク・クルディスタン地域で、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会がクルド地区を保護し、治安を脅かす者から地域を防衛するためのクルド軍結成で合意した…。(軍は)民主統一党とクルディスタン地域のクルド人離反兵によって構成される」と述べた。

AFP(11月23日付)が報じた。

また西クルディスタン人民議会のアブドゥッサラーム議長もクルディーヤ・ニュース(11月23日付)に対して、シリアの主要なクルド民族主義政党・組織が「クルド統一軍」を結成することで合意した、と述べた。

レバノンの動き

レバノンの各メディアによると、軍事情報局がアーシューラの祝祭を狙った爆弾テロを計画していたとされるシリア人5人をナバティーヤ県ナバティーヤ市で逮捕した、と報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は記者団に対して、「武器の蓄積は脅威を投げかけ、多くの場合、力に訴えようと望む者たち(の暴力)を促す」と述べ、トルコ政府のNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請を批判した。

またラブロフ外務大臣は、「兵器拡散は、危険な武力紛争を挑発する脅威を投げかけるものであり、我々はこうしたことによる代償を避けたいと考えている」と付言した。

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ロシア外務省は声明を出し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣がアナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長に対して、トルコへのパトリオット・ミサイル配備(要請)への懸念を伝えた、と発表した。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、チューリッヒ大学で講演し、トルコへのパトリオット・ミサイル配備(要請)に批判的立場をとるロシアの姿勢を「正当でない」と述べた。

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イラン外務省報道官は、トルコのNATOへのパトリオット・ミサイル配備要請に関して「シリアにおける事態の正常化に資さず、事態悪化と危機激化をもたらすだろう」と批判した。

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UNHCR報道官はジュネーブで記者団に対して、シリア人避難民の数が44万23256人に達したと発表した。

このうち21万3000人以上が9月以上に避難を余儀なくされ、12万7420人がレバノンに、12万5670人がヨルダンに、12万3747人がトルコに、5万5685人がイラクに、9734人が北アフリカ諸国など逃れた、という。

またシリア国内で支援が必要な市民の数は約250万人で、そのうち95%が国内避難民だという。

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イラクのクルディスタン愛国同盟(PUK)政治局のサアディー・アフマド・ビーラは、AFP(11月23日付)に対して、シリアのクルド人はイラクのクルド人に軍事支援を要請していないとしたうえで、「我々はシリアのクルド人からの武器支援に関する要請を認めたことはない。我々は常に彼らに軍事的な問題から身を遠ざけるよう忠告してきた。我々は人道的、政治的、外交的な側面から彼らの要求をかなうよう支援している」と述べた。

AFP, November 23, 2012、Akhbar al-Sharq, November 23, 2012、al-Hayat, November 24, 2012, November 26 2012、Kull-na Shuraka’, November 23, 2012,
November 25, 2012、al-Kurdiya News, November 23, 2012、Naharnet, November
23, 2012、Reuters, November 23, 2012、SANA, November 23, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

露外務省報道官がトルコによるパトリオット・ミサイル配備の要請に関する懸念を表明、シャーム外国人大隊が民主統一党に対しラアス・アイン市からの撤退を要求(2012年11月22日)

国内の暴力

ダイル・ザウル県では、AFP(11月22日付)がシリア人権監視団の話として、反体制武装勢力がマヤーディーン市を制圧した、と報じた。

ラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、反体制武装勢力は同市近郊にある機甲大隊基地を3週間にわたって包囲、60人の兵士を殺害し攻略、その後、市街地に入った、という。

機甲大隊は別の基地へと退却した、という。

ダイル・ザウル革命軍事評議会のアブー・ライラを名乗る幹部はロイター通信(11月22日付)に対して、マヤーディーン市の機甲大隊基地は午前8時半に陥落、攻略作戦で戦闘員44人が死亡した、と述べた。

一方、SANA(11月22日付)によると、ダイル・ザウル市内各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、SANA(11月22日付)によると、ラジオ・テレビ機構所属のジャーナリスト、バースィル・タウフィークがタダームン区で反体制武装勢力に暗殺された。

SANA, November 22, 2012
SANA, November 22, 2012

また反体制武装勢力はマッザ区(オートストラード・マッザ、東ヴィーラート・マッザ)の住宅地に迫撃砲3発を発射し、女性1人が負傷、アブドゥッラフマーン・サファルジャラーニー師範学校が被弾した。

さらに、マサーキン・バルザ地区の消費公社近くの車に反体制武装勢力がしかけた爆弾が爆発し、1人が負傷した。

『ハヤート』(11月23日付)によると、迫撃砲を発射したのは武装した5人組。

一方、シリア人権監視団は、マッザ区の運輸局施設に迫撃砲が着弾したと発表したが、実行犯が誰かは明言しなかった。

また、マッザ区、カフルスーサ区では、軍・治安部隊が厳戒態勢を敷き、逮捕摘発活動を強化している、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市、ダーライヤー市、カースィミーヤ市、ザマーニーヤ市、ジスリーン町、スバイナ町などが砲撃を受けた。

一方、SANA(11月22日付)によると、ズィヤービーヤ町、アイン・タルマー渓谷、ダーライヤー市郊外などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

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アレッポ県では、SANA(11月22日付)によると、ダーラ・イッザ市、ハイヤーン町、アアザーズ市・マーリア間の街道、ハンダラート・キャンプ、タッル・ラッハール村、カフルナーハー村、アレッポ市ナイラブ地区、シャッアール地区、カーディー・アスカル地区、フィルドゥース地区、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、浄化を継続し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員ら多数を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(11月22日付)によると、ヒムス市各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、外国人戦闘員ら複数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き

DPI(11月22日付)は、ダマスカス県旧市街のミドハト・バーシャー通りで、女性活動家4人が国内での軍事・治安活動の停止を求める抗議行動を行い、治安当局に逮捕されたと報じた。

活動家4人はウエディング・ドレスをまとっていた。

Kull-na Shuraka', November 22, 2012
Kull-na Shuraka’, November 22, 2012

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クッルナー・シュラカー(11月22日付)は、マッザ86地区とブスターン協会の政府支持者とダマスカス大学寮の政府支持者が口論の末、乱闘となった、と報じた。

口論は、大学寮内の部屋の配分をめぐるもので、治安維持部隊が介入し、事態は収束したという。

なおクッルナー・シュラカーは支持者を「シャッビーハ」と呼称し、この騒動を報じた。

反体制勢力の動き

シャーム外国人大隊はユーチューブ(11月22日付)でビデオ声明を出し、「ラアス・アイン市、ひいてはハサカ県全土を解放するため、戦車、迫撃砲、ロケット弾を増強した」と発表した。

声明において、大隊の報道官は、ハサカ県住民や諸部族に「ジャズィーラ地方(ユーフラテス川以東)の解放のため、大隊の隊列に加わる」よう呼びかけた。

Youtube, November 22, 2012
Youtube, November 22, 2012

また「民主統一党とPKKといった、革命に対抗し、大隊に武器を向ける者ども」に対して「流血を避けるため(ラアス・アイン市からの)撤退」を求めた。

シャーム外国人大隊をはじめとする自由シリア軍はラアス・アイン市攻略に失敗し、対トルコ国境地帯に後退している。

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アレッポ県アレッポ市郊外の第46大隊基地の攻略を指揮したというムハンマド・アフマド・ハッジュ准将は、「約300人の兵士を殺害、70人以上を捕捉した」としたうえで、同大隊基地の制圧を「革命最大の勝利」と鼓舞した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会のハーリド・ムハンマド副議長は、「クルド人の政党や評議会の長たちはみな、個人的利益や党利に没頭している…。現地は敗北主義的なクルド人の党首らに接見されている」と批判した。

ムハンマド副議長はイラク・クルディスタン地域で活動しており、現地とのつながりはない。

クルディーヤ・ニュース(11月22日付)が報じた。

諸外国の動き

ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は、トルコがNATOにパトリオット・ミサイルの配備を要請したことに対して、「トルコ・シリア国境の軍事化」への懸念を示し、「トルコへの我々の忠告は以下の通りである:シリアの反体制勢力に早急に影響力を行使し、当事者間の対話を開始させ、事態に危険な傾向を付与することで筋力を誇示することではない」と警鐘を鳴らした。

そのうえで「こうした行動が、早急な政治的解決への楽観を増幅するものでないことは明らかだ」と批判した。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相は広報局を通じて、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相に対して、国内の諸問題への対処に関心を集中させ、域内の国々の問題を煽るべきでないと警鐘をならし、対シリア国境へのパトリオット・ミサイル配備要請を暗に批判した。SANA(11月22日付)が報じた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は訪問先のパキスタンで記者団に対して、NATOに要請しているパトリオット・ミサイル配備が「自衛目的」だと述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、モンテカルロ放送(11月22日付)で、トルコへのパトリオット・ミサイル配備に関して、「拒否する理由はない」と述べ、支持を表明した。

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カタール通信(11月22日付)は、政府高官の話として、カタールがシリア革命反体制勢力国民連合に対して駐カタール大使を任命するよう求めた、と報じた。

AFP, November 22, 2012、Akhbar al-Sharq, November 22, 2012, November 23, 2012、DPI, November 22, 2012、al-Hayat, November 23, 2012、Kull-na Shuraka’, November 22, 2012、al-Kurdiya News, November 22, 2012、Naharnet, November 22, 2012、Reuters, November 22, 2012、SANA, November 22, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県の中心部に迫撃砲が着弾し1人が死亡、民主統一党のムスリム共同党首がシリア革命反体制勢力国民連立を拒否すると述べる(2012年11月21日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(11月21日付)などによると、ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の大規模な掃討作戦を行い、数十人の「テロリスト」を殲滅した。

また反体制武装勢力が拉致していた数十家族を解放した。

『ハヤート』(11月22日付)によると、軍は戦闘機によってダーライヤー市近くの農地を爆撃、また共和国護衛隊の部隊が同市郊外を総攻撃した、という。

複数の活動家によると、この戦闘で戦闘員23人が死亡した。また別の反体制筋によると民間人7人も死亡した、という。

シリア人権監視団によると、ダーライヤー市以外でも、ハラスター市、ジスリーン町、ザバダーニー市、サイイダ・ザイナブ町が砲撃を受けた。

一方、SANA(11月21日付)によると、サイイダ・ザイナブ町近郊のフサイニーヤ町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

また、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町でも交戦し、戦闘員を殺傷、アルバイン市で反体制武装勢力の「残党」の追撃を継続した。

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ダマスカス県では、各紙によると、日本大使館などが建ち並ぶ中心地アブー・ルンマーナ地区に迫撃砲が着弾し、市民1人が死亡、複数が負傷した。

シリアの治安筋によると、反体制武装勢力が迫撃砲を発射した。シリア人権監視団は実行犯が誰かには言及しなかった。

またシリア人権監視団によると、ジャウバル区で砲撃があり、ヤルムーク区では爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市西部郊外のシャイフ・スライマーン地区の防空大隊の制圧を試みる反体制武装勢力を軍・治安部隊が撃退、制圧した。

同大隊をめぐる攻防で、反体制武装勢力の戦闘員25人が死亡した。

一方、マンビジュ市周辺を軍が空爆し、反体制武装勢力5人が死亡した。

SANA(11月21日付)によると、マンビジュ市南東のティシュリーン・ダム周辺、アブティーン村、アナダーン市、ダーラ・イッザ市、アターリブ市、バクシャーティーン市、アレッポ市シャッアール地区、ブスターン・カスル地区、アンサーリー地区、バーブ・ナイラブ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市南部の検問所周辺で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

またイドリブ市・マストゥーマ村を結ぶ街道で、即席爆弾が爆発し、3人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月21日付)によると、ダイル・ザウル市で、軍・治安部隊が「ジュンドゥルアズィーズ大隊」を名のる反体制武装勢力の戦闘員多数を殲滅した。

またマヤーディーン市での戦闘で、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員複数を殺害、装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(11月21日付)によると、ハウラ地方、クサイル市郊外、ヒムス市内などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

(在外)反体制勢力の動き

シリア国民評議会のメンバーでクルド人活動家のラディーフ・ムスタファーがパリで声明を出し、評議会の脱会を発表した。

al-Kurdiya News, November 21, 2012
al-Kurdiya News, November 21, 2012

評議会が国際社会の支援を得ることに失敗したことが脱会の理由。

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『ハヤート』(11月22日付)は、ヨルダンで逃亡生活を送る離反士官のアスアド・アワド・ズウビー准将(前シリア軍事高等アカデミー空軍学科長)が、シリア革命反体制勢力国民連立と協力を行う準備があると述べたと報じた。

ズウビー准将は「我々は、リヤード・ファリード・ヒジャーブ(前)首相…などを通じて、連立と調整を行っている」と述べた。

ズウビー准将は、2012年8月にアサド政権を離反し、ヨルダンを拠点とする離反士官および避難民の責任者を務めている、という。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長はUAEのドバイで開催されたシリアへの将来の投資・復興に関する会議に出席し、そのなかで、アサド政権打倒後のシリア経済の崩壊を回避するため、最初の6ヶ月に600億ドルの復興支援が必要だ、と述べた。

クルド民族主義勢力の動き

シリア北東部の自治を主導するクルド民族主義政党の民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はロイター通信(11月21日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立を拒否すると述べた。

ムスリム共同党首は、連立が結成された11月前半のドーハでの会議に招待されなかったことを明かす一方、連立が「トルコとカタールの代理…。トルコとカタールへの忠誠から反れることはない」と批判した。

また「連立は役に立たない。現在、アレッポには連立を承認しないと言っている武装集団がいる。なぜならシリア国民を代表していないからだ」と付言した。

そのうえで「問題解決は…シリアの反体制勢力が互いに座って話し合い、皆が合意するような提案に至るために事態を検討することにある。ドーハでの対話ではない。あらかじめ用意されたシナリオに沿って、彼らは合意したに過ぎない」と述べた。

一方、連立を主導するシリア・ムスリム同胞団に関して「シリア国民評議会のときと同じ過ちを犯している…。宗教関係者が(連立を)支配している」と批判した。

さらに「我々は分離主義を望まない。新たな国境を画定しようとは思わない。我々が望んでいるのは、憲法でクルド人の存在を承認し、クルド人民の民主的権利を憲法で保障することだ」と述べた。

諸外国の動き

クッルナー・シュラカー(11月21日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市での戦闘を逃れてトルコ領内に入国した女性2人を含む3人を民主統一党のメンバーだとしてトルコ当局が拘束したと報じた。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、パトリオット・ミサイル配備を要請するトルコ政府からの正式な書簡を受け取ったことを明らかにした。

事務局長の声明によると、トルコは要請において、パトリオット・ミサイル配備が「防衛目的のみ」に限られる点を強調し、同ミサイルを保有するドイツ、オランダ、米国が配備の是非を決定する、という。

AFP, November 21, 2012、Akhbar al-Sharq, November 21, 2012、al-Hayat, November 22, 2012、Kull-na Shuraka’, November 21, 2012、al-Kurdiya News,
November 21, 2012、Naharnet, November 21, 2012、Reuters, November 21, 2012、SANA,
November 21, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハサカ県で再発していた人民防衛隊とシャーム外国人部隊およびヌスラ戦線の間の戦闘が収束、イギリスがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認すると発表(2012年11月20日)

国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(11月20日付)によると、19日にラアス・アイン市で再発していた自由シリア軍と民主統一党人民防衛隊(YPG)の戦闘は収束、両者は遺体や捕虜の交換を行った。

同報道によると、遺体・捕虜交換は、シリア・クルド国民評議会や地元の有力者の努力によるものだという。

自由シリア軍の戦闘員の一人によると、この戦闘でシャーム外国人部隊のアリー・アクシュート(アブー・アフマド・バザーア)、ワーイル・ハーッジ・ラヒームら10人以上の戦闘員が死亡、12人以上が負傷、トルコ側に帰還した、という。

クッルナー・シュラカー(11月20日付)によると、自由シリア軍は、国境地帯に狙撃主を配置し、人民防衛隊の攻撃に備えるとともに、避難しようとする市民にも発砲した、という。

また自由シリア軍によるラアス・アイン市の襲撃を主導したシャーム外国人大隊のウマル司令官は、トルコ領内の国境通行所に布陣し、停戦交渉を求めるラアス・アイン市の名士らとの面談を拒否し続け、人民防衛隊が武装放棄し、市内の検問所や施設から民主統一党の旗を降ろすまで攻撃を続けるとの一方的なメッセージを戦闘員の一人を通じて伝えてきた、という。

その後、アームーダー市、カーミシュリー市、ダルバースィーヤ市の住民2,000人以上がラアス・アイン市住民との連帯を訴え、同市に集まりデモを行うなか、人民防衛隊が市内に突入、奪還した、という。

なおシリア人権監視団によると、クルド人戦闘員4人、シャームの民のヌスラ戦線とシャーム外国人大隊の戦闘員24人が死亡した、という。

また現地の活動家によると、自由シリア軍はクルド人35人を、人民防衛隊は自由シリア軍戦闘員11人を捕捉している、という。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍・治安部隊と反体制武装勢力の間で銃撃戦があった、という。

一方、SANA(11月20日付)によると、マッザ区(オートストラード)にある情報省のダール・バアス(出版社)に、反体制武装勢力が撃った迫撃砲2発が着弾した。死傷者はなかった。

またマッザ区のアラブ作家連合施設にも、反体制武装勢力が発射した迫撃砲が着弾した。死傷者はなかった。

このほか、タダームン区では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殲滅した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がハラスター市を攻撃し、反体制武装勢力の戦闘員3人を殺害した。

またドゥーマー市、アルバイン市、スバイナ町、ヤルダー市、ビーブラー市、ハジャル・アスワド市などが砲撃を受け、ハジャル・アスワド市で市民4人が死亡した。

一方、『ハヤート』(11月21日付)は、マーヒル・アサド大佐を実質的司令官とする共和国護衛隊の部隊が、ダーライヤー市の掃討作戦に参加、戦闘機、戦車などを動員して、ダマスカス県およびダマスカス郊外県での反体制武装勢力の掃討を本格化させた、と報じた。

イスラーム旅団とジュンドッラー大隊なる組織が声明を出し、ハジャル・アスワド市近くの第246大隊の拠点を制圧したと発表した。

声明によると、戦闘は4日間続き、大隊の兵士を「皆殺し」にし、基地を制圧、武器弾薬を奪取した、という。

さらに、SANA(11月20日付)によると、ザマルカー町、ズィバーイーヤ市、サイイダ・ザイナブ町、ダーライヤー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市西部郊外のシャイフ・スライマーン地区の防空大隊周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

『ハヤート』(11月21日付)が複数の活動家の情報として報じたところによると、大隊の複合施設の半分以上が反体制武装勢力の手に落ちたという。

一方、SANA(11月20日付)によると、ダーラ・イッザ市、シャイフ・スライマーン村、ハンダラート・キャンプ、ズィルバ村、ムンビシュ市郊外のティシュリーン・ダム周辺、マーリア市・アアザーズ市間、カブターン・ジャバル村、アターリブ市、アレッポ市ブスターン・カスル地区などの反対武装勢力の大規模拠点複数カ所を軍・治安部隊が攻撃し、外国人戦闘員やシャームの民のヌスラ戦線メンバーを含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

また、SANA(11月20日付)は、反体制武装勢力がアレッポ市マルジャ地区で2世帯9人を惨殺し、軍の犯行だとの映像を公開した、と報じた。

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イドリブ県では、SANA(11月20日付)によると、イドリブ市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、逮捕、武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月20日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(11月20日付)によると、カフルアブド村で反体制武装勢力が迫撃砲を発射、市民1人が死亡、複数が負傷した。

国民対話大会(テヘラン)

テヘランで開催されていたシリア国民対話大会が閉幕した。

al-Hayat, November 21, 2012
al-Hayat, November 21, 2012

閉幕声明では、あらゆるかたちの外国の介入をも拒否すること、包括的国民対話と国民和解の実現への努力の必要が確認された。

また、あらゆる形態の暴力、武装集団への武器密輸、テロリスト支援を拒否するとの姿勢が確認された。

SANA(11月20日付)が報じた。

反体制武装勢力の動き

シリア革命総合情報機関の政治渉外局長のバッサーム・ジャッアーラなる活動家はAFP(11月20日付)に対して、19日の発足が宣言された同機関が、「数ヶ月前から活動を行っており、宗派主義的な内乱の発生を狙った車爆弾の爆発数十件を未然に阻止した」という。

また「治安機関の要員数百人が我々に協力し、我々に体制の動きに関する情報を提供してくれている」と述べた。

一方、『ハヤート』(11月21日付)は、欧州で活動するシリア革命総合委員会の報道官の話として、シリア革命総合情報機関が数百人の民間人、元軍人、元治安機関要員から構成されている、と報じた。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(11月20日付)は、ハサカ県のダルバースィーヤ市とラアス・アイン市を結ぶ街道に設置された民主統一党人民防衛隊(YPG)の検問所で、マフラミーヤ部族のヤースィル・リフアト・サブリー・アリー部族長(クルド人)、同族長の甥、シリア・ムスタクバル潮流のメンバー2人が殺害されたと報じた。

4人はラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊と自由シリア軍の戦闘の停止を仲介するために同市に向かう途中だったという。

殺害された4人と自由シリア軍の関係は不明。

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は下院において、「欧州のパートナーとの協議を踏まえ、英国政府はシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の唯一の正統な代表として承認することを決定した」と発表した。

また、ヘイグ外務大臣は「(連立は)シリア国民の全面的支持を得て、より実質的に反体制勢力の努力を調整するべく努力しなければならない」と付言した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のカンボジアの首都プノンペンでヒラリー・クリントン米国務長官と会談し、シリア情勢について意見を交わした、

イタルタス通信(11月20日付)によると、ラブロフ外務大臣は会談に関して「ドーハで採択された文書(シリア革命反体制勢力国民連立結成)は、主要な目的が体制打倒、国家機関の実質的粛清にあると述べている…。こうしたことをイラクで目の当たりにしてきた。イラク国民がそれによってどれだけの代価を払ったかに触れておきたい」と述べた。

また「私はクリントン国務長官に状況をどのように進展すると考えているか尋ねた…。しかし最終的な答えを耳にすることはなかった…。彼女はただ、ジュネーブ合意が米国の眼中にあるとだけ述べた」と付言した。

さらに「シリア国民を差し置いて決定が下されることは認められない。誰であれ交渉のテーブルに着かせねばならない」と対話を通じた紛争の平和的解決の必要を強調した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラで記者団に対して、「我々は(パトリオット・ミサイル配備の)正式な要請を可能な限り早急に(NATOに)行うだろう…。議論は最終段階にたっしおり、そう時間はかからないと言える」と述べた。

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国連の潘基文はカイロを訪問し、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と会談した。

会談後の記者会見で潘事務総長はシリア情勢に関して、「紛争の軍事化、人権侵害、そしてシリアが地域的な戦場になる危険を深く懸念する」と述べた。

AFP, November 20, 2012、Akhbar al-Sharq, November 20, 20a12、al-Hayat, November 21, 2012、Kull-na Shuraka’, November 20, 2012、al-Kurdiya News,
November 20, 2012、Naharnet, November 20, 2012、Reuters, November 20, 2012、SANA,
November 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハサカ県で反体制武装勢力が人民防衛隊の検問所を襲撃するなか、アレッポ地域で活動するイスラーム主義の編隊がシリア革命反体制勢力国民連立を拒否すると発表(2012年11月19日)

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団などによると、ラアス・アイン市で、反体制武装勢力が民主統一党人民防衛隊(YPG)の検問所を襲撃、同部隊の戦闘員4人を含む9人が負傷した。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、戦闘に先立って、市内では自由シリア軍の退去を求めるデモが発生していた、という。

AFP(11月19日付)は、クルド人活動家の話として、自由シリア軍の兵士が民主統一党の検問所と知って、故意に発砲し、交戦が始まったと報じた。

またシリア人権監視団は、反体制武装集団の狙撃主が西クルディスタン人民議会のアービド・ハリール・ラアス・アイン地方議会議長を暗殺した、と発表した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「反体制武装勢力が約90%制圧した」アレッポ市郊外の第46大隊拠点に、軍が空爆を加えた。

AFP(11月19日付)はシリア軍筋の話として「大隊は日曜日(18日)晩から完全に制圧されている」と報じた。

一方、SANA(11月19日付)によると、ハンダラート・キャンプ、サフィーラ市、アターリブ市、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区、アンサーリー地区、アシュラフィーヤ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ナブク市で反体制武装勢力がアブドゥッラー・ダルアーウィーナバク地区局長と警官4人を殺害した。

一方、サイイダ・ザイナブ町、ハラスター市、ダーライヤー市、ハジャル・アスワド市などに軍・治安部隊が砲撃を加えた。

またSANA(11月19日付)によると、軍・治安部隊がダーライヤー市、フジャイラ村郊外などで反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、アサーリー地区、タダームン区が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(11月19日付)によると、反体制武装勢力がマッザ区の住宅地を襲撃、アラブ文化センター近くなどに迫撃砲4発が着弾した。死傷者は出なかった。

またウルード地区では、反体制武装勢力が旅客バスに仕掛けた爆弾が爆発し、市民1人が死亡、女性を含む10数人が負傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市南部で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

一方、SANA(11月19日付)によると、反体制武装勢力がイドリブ市・マストゥーム村間の街道に仕掛けた爆弾が爆発した。死傷者は出なかった。

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ハサカ県では、SANA(11月19日付)によると、反体制武装勢力がハサカ市の中央銀行前に仕掛けた爆弾が爆発し、子供1人が死亡、その母親が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月19日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が「軍事評議会」の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殲滅した。

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ヒムス県では、SANA(11月19日付)によると、ヒムス市バーブ・トゥルクマーン地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、サウジ人、ヨルダン人などを含む戦闘員を殲滅した。

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ラタキア県では、SANA(11月19日付)によると、カサブ町郊外の農園で破壊略奪行為を行う反体制武装勢力を軍・治安部隊が殲滅した。

国内の動き

SANA(11月19日付)は、反体制勢力が攻撃・制圧したと主要各紙が報じる「ハムダーン農業用空港」(ブーカマール市郊外)が、フランス委任統治時代に作られたシリアとイラクの中継点に由来している地区名であり、同地には空港は存在しない、と報じた。

反体制勢力の動き

アレッポ地域で反体制活動を行うイスラーム主義の大隊・旅団からなる編隊は、ユーチューブ(11月19日付)を通じてビデオ共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立を拒否すると発表、イスラーム国家の建設をめざすとの意思を示した。

al-Hayat, November 20, 2012
al-Hayat, November 20, 2012

タウヒード旅団のフェイスブック(11月19日付)上のページを通じて発表された声明において、彼らは「アレッポおよびその郊外の現地戦闘を行う我々の組織は…、いわゆる国民連立という陰謀的計画を拒否し、公正なイスラーム国家を樹立することで合意に達したことを宣言する」と明言した。

また「外国による連立の計画、国内で我々に対してあらゆる勢力が押し付けようとする評議会を拒否する」と付言した。

上記の合意に達した組織は、声明によると、シャームの民のヌスラ戦線、タウヒード旅団、シャーム自由人大隊、シリア自由人大隊、灰色のアレッポ・イスラーム旅団、イスラームの夜明け運動、ウンマの盾、アンダーン旅団、イスラーム大隊、ムハンマド軍旅団、ナスル大隊、バーズ大隊、スルターン・ムハンマド大隊、イスラームの盾旅団。

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一方、アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はAFP(11月19日付)に対して、「この組織は、アレッポに存在する軍事勢力の一部に過ぎず、極論を表明しているだけだ…。これがすべての軍事勢力でない」と述べ、「アレッポ軍事評議会はシリア革命反体制勢力国民連立を支持し、協力する」と述べた。

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また、シャーム自由人大隊は声明を出し、タウヒード旅団などイスラーム主義者の編隊が出した共同声明に関して、「イスラーム国家をめぐるアレッポの戦闘編隊の声明に関して…、承認したことに根拠はない」と否定した。

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エジプトなどを主な活動拠点とする反体制勢力が共同声明を出し、11月23日から25日にカイロで大会を開催すると発表し、内外の反体制組織に参加を呼びかけた。

共同声明を出したのは、シリア民主フォーラム、自由人党、国民変革潮流、自由愛国主義者連合、シリア民主連立、シリア・クルド・ムスタクバル潮流、シリア革命統一戦線、無所属活動家ブロック、首都ダマスカスおよび同郊外革命統一評議会、新クサイル自由人調整、シリア自由人潮流、スィルヤーニー連合党。

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国内最大の反体制勢力である民主的変革諸勢力国民調整委員会がダマスカスで記者会見を開き、シリア革命反体制勢力国民連立への否定的姿勢を明示した。

記者会見には、ハサン・アブドゥルアズィーム代表、ラジャー・ナースィル書記長が出席し、ナースィル書記長が声明を読み上げた。

アブドゥルアズィーム代表は、記者会見で、連立の結成に関して「反体制勢力の統合に向けたステップだが、すべての反対勢力を代表していない」と批判した。

そのうえで、連立結成のためのドーハでの大会に参加しなかったすべての反体制勢力と協議を重ね、「反体制勢力統合に向けたビジョンの統一」に至るよう呼びかけた。

一方、連立を「シリア国民の唯一の正統な代表として承認」したフランスの姿勢に関して、「現実に反している」と批判、それがフランスの国益から発した姿勢だと指弾した。

ナースィル書記長は、自らが読み上げた声明において、国内の反体制勢力の主要な基礎をなす民主的諸勢力国民調整委員会を「削除することにいかなるバランス感もないと強調した。

またドーハ会議への調整委員会の不参加が「民主的変革同様、反体制勢力の統合が、根本的・本質的に「国産」でなければならなず、外国の意思によるものであってはならない」との立場に起因することを明らかにした。

さらに、「投票箱を通じてすべての市民を支配する能力が確立されていないなかで、国民や革命の正統な代表だと主張することは、いかなる陣営にも認められない」と主張した。

その一方で、「ドーハ会議への不参加は、我々が反体制勢力の統合を断念したことを意味しない」と付言した。

このほか、アブドゥルアズィーム代表は、カイロでの反体制勢力の大会への参加を発表し、暴力停止と平和的な紛争解決をめざすとの意思を示し、シリア革命反体制勢力国民連立を含むすべての反体制勢力に参加を呼びかけた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は『ハヤート』(11月20日付)に対して、「連立の内規は他の反体制勢力への組織の拡大や参加を認めている」と述べ、近く14の新たな組織の参加が総会で諮られることを明らかにした。その一方で、他の反体制組織との意見の相違があることを認めた。

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パリで活動するシリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を、反体制勢力の枠組化と、自由、尊厳実現という革命の目的に向かったステップとして評価し、支持を表明した。

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自由ダマスカス運動なる武装組織が声明を出し、ダマスカス県の人民宮殿近くでアサド大統領の車列を襲撃し、20台の車輌を破壊し、乗っていた全員を殺害したと発表した(未確認情報)。

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在北京シリア大使間の書記官を名乗るフダー・ウルファリー女史がジャズィーラ(11月19日付)に出演し、政権からの離反を発表した。

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反体制活動家がユーチューブ(11月19日付)に映像を投稿し、「シリア革命総合情報機関(国民治安局)」と称する新たな治安・諜報機関を発足したと発表した。

映像では、「ウサーマ大佐」を名乗る活動家が機関を「支配集団、地域および国際社会におけるその同盟者の諜報システムに対抗するシリア革命の一勢力となるべく発足した」と発表した。

同機関の局長を自称するウサーマ大佐によると、同機関は、現地で活動するすべての政治・軍事勢力と「等距離」で諜報部門での支援と、シリア革命の民を保護する治安活動を行う、という。

映像では、ウサーマ大佐とともに、7人の武装した男たちが移っており、全員が黒服をまとい、机のうえにはコーランと銃が置かれていた。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は「我々は自由シリア軍と衝突したくない。しかし、ラアス・アイン市でクルド人と戦う彼らは、トルコから命令を受けており、トルコから同市に進入してきた」と述べた。

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シリア・クルド・ムスタクバル潮流と同組織に近い諸調整は、「クルド青年運動総評議会」を結成した。

クルディーヤ・ニュース(11月19日付)によると、同評議会は、アサド政権の打倒と新政治体制の構築をめざすという。

諸外国の動き

テヘランで開催中のシリア国民対話大会で、アリー・ハーメネイー最高指導者は、「すべての国の反体制活動家が外国からの武器で重装備したら、政府がそうした反体制活動家に対抗するのは当然だ…。シリアの反体制活動家が武器を放棄すれば、政府が反体制勢力の主張に耳を傾ける可能性が生じるだろう」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立の使節団(アフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長ら)がエジプトを訪問し、ムハンマド・アムル外務大臣と会談した。

会談で、アムル外務大臣は、連立とそれ以外の反体制組織の対話を求める一方、カイロに連立本部を設置することへの歓迎の意を示した。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はシリア革命反体制勢力国民連立への協力のありようを検討するためのEU外相会議(ブリュッセル)に出席、「もし我々がトルコからそうした防衛(パトリオット・ミサイル)の正式な要請を受け取ったら、我々はそれを緊急の要請とみなす…。必要な場合、(トルコを)防衛するのに必要なあらゆるプランがある」と述べた。

しかし「我々は航空禁止空域について議論しなかった。もしパトリオット・ミサイルの配備を余儀なくされた場合も、トルコを防衛するための純粋な自衛措置にとどまるだろう」と付言した。

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EU外相会議は、シリア情勢について協議し、シリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思の正統な代表」とみなすことを承認した。

「シリア国民の正統な代表としての承認」と比べ、限定的な支持表明である。

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イタリアのマリオ・モンティ首相はカタールを訪問し、ハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、モンティ首相は、「シリア国民の正統な代表であるさまざまな反体制勢力が属するシリア革命反体制勢力国民連立を承認した」と述べた。

「シリア国民の唯一の正統な代表として承認」というフランスの姿勢に比して若干トーンダウンしたかたちでの承認。

一方、ジャズィーラ(11月19日付)のインタビューに対して、モンティ首相はシリア革命反体制勢力国民連立の「承認プロセスを直接に反映しない」と述べ、連立への武器供与に消極的な姿勢を示した。

AFP, November 19, 2012、Akhbar al-Sharq, November 19, 2012、Aljazeera.net, November 19, 2012、al-Hayat, November 20, 2012, November 21, 2012、Kull-na Shuraka’, November 19, 2012,
November 20, 2012、al-Kurdiya News, November 19, 2012、Naharnet, November
19, 2012、Reuters, November 19, 2012、SANA, November 19, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

テヘランで「シリア国民対話大会」が開催され、シリア政府代表および在内の35の政党・政治組織の代表約170人が出席(2012年11月18日)

国内の動き

アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣は、フランスがシリア革命反体制勢力国民連立メンバーのムンズィル・マーフースをシリアの大使として受け入れる意思を示したことに関して、「フランスは敵対国家であるかのように振る舞っている…。シリア占領時代に回帰したいかのようだ」と厳しく批判した。

テヘランでの反体制勢力の大会にイランを訪問中のハイダル国務大臣はまた、「フランスはシリア国民の名のもとに話そうとしている。しかし国民はフランスを何ら重要だと思っていない」と付言した。

AFP(11月18日付)が報じた。

国民対話大会(テヘラン)

イランの首都テヘランで、シリア国民対話大会が開催され、シリア政府代表、35の政党・政治組織の代表約170人が出席した。

SANA, November 18, 2012
SANA, November 18, 2012

SANA(11月18日付)などによると、出席者約170人のうち130人がシリア国内から参加、40人が在外のシリア人や外国の代表。

主な出席者はカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣(変革解放人民戦線、人民意思党)、ハーリド・アッブード人民議会書記長(進歩国民戦線、統一社会主義者党)、アフマド・クーサー(シリア民主党書記長)、ウマル・ウースー議員(シリア・クルド人国民イニシアチブ)、アンマール・バクダーシュ議員(シリア共産党アンマール・バクダーシュ派)、ヌーファル・アブドゥッラー・ヌーファル(民主前衛党党首)、ムハンマド・ワーイル・ジュナイド(国民誓約党青年機構)、サルマーン・アッサーフ・バジャーリー(シリア家族会合議長、シリア部族会合メンバー、シリア国民対話委員会メンバー、国民和解委員会メンバー)、バロウィーン・イブラーヒーム(国民青年公正成長党書記長)、ファーティフ・ジャームース(平和的変革の道潮流)、サーイル・ハティーブ(シリア尊厳党党首)、ムハンマド・イッズッディーン・アフマド(シリア青年協会連合政治局長)など。

ドーハの大会とは異なり、参加政党・政治組織はすべてシリア国内を拠点とする組織。

しかし国内で最大勢力を誇る民主的変革諸勢力国民調整委員会は、大会が「移行期間に関する協議」ではなく、「政権との対話」をめざしているとの理由で、参加を辞退した。

また、シリア革命反体制勢力国民連立など在外の組織は欠席した。

諸外国からは、駐イラン・ロシア大使、中国大使、イラク国民連立代表(イブラーヒーム・ジャアファリー)、トルコのムスタファ・カマラク幸福党党首が出席したが、西側諸国は代表を派遣しなかった。

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開会の辞で、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、外国在住の反体制勢力を「非人民的」、「利己的な目的を追求している」と非難する一方、テヘランでの大会を「宗派的・政治的マイノリティ、思想家、エリート、さまざまな政治潮流が参加しているがゆえに重要」だと述べ、イランにはシリア情勢に関して「民主的な諸提案」があると強調した。

また「シリア政府は国民の意思に応える準備があると宣言している。テヘランでの国民対話大会のような大会を設置し、政府と反体制勢力の対話を促そうとしている」と付言した。

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ロシアの代表はセルゲイ・ラブロフ外務大臣のメッセージを伝えた。イラン国営通信(11月19日付)によると、同メッセージにおいて、ラブロフ外務大臣は、欧米諸国による「軍事的アプローチ」を非難「アル=カーイダや過激な組織がシリアの政権を握ること」の危険を警告した。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マッザ区(マッザ86地区)で車に仕掛けられた爆弾が爆発した。

SANA(11月18日付)は、「武装テロ集団」がマッザ区の住宅地を迫撃砲で攻撃、2発が着弾したと報じた。

複数の活動家によると、カフルスーサ区の果樹園などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のために砲撃、空爆を激化させた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団などによると、ハラスター市、フジャイラ村、サイイダ・ザイナブ町、アルバイン市、キスワ地区、ドゥーマー市、ザバダーニー市、ハムーリーヤ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のため砲撃を激化させた。

一方、SANA(11月19日付)によると、軍・治安部隊がフジャイラ村でシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、多数の外国人戦闘員を殲滅した。またダーライヤー市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、拠点を制圧した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市西部郊外(アターリブ市近郊)に展開する第46大隊の駐屯地周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

同地域は反体制武装勢力が1ヶ月以上にわたって攻略のための攻撃を続けている。

『ハヤート』(11月19日付)によると、反体制武装勢力(自由シリア軍)は、アレッポ市南部のカラム・ジャバルを制圧したと発表した。

一方、SANA(11月19日付)によると、アターリブ市、ハンダラート・キャンプ、ダーラ・イッザ市、カフルナーハー村、ダイル・ハーフィル市、アレッポ市バニー・ザイド地区、ブスターン・カスル地区、ムスリミーヤ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月19日付)によると、ブーカマール市、ダイル・ザウル市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員多数を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(11月19日付)によると、ヒムス市旧市街などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、掃討した。

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ラタキア県では、SANA(11月19日付)によると、対トルコ国境に位置するカサブ町郊外で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を掃討した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のタウヒード旅団は声明を出し、「アレッポに対する革命家の制圧を完了すべく」、イドリブ県、ハマー県、アレッポ県、ヒムス県、ラッカ県における旅団の編成を再構築したと発表した。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(11月18日付)は、シリア最高会議の使節団がハサカ県ラアス・アイン市を視察し、「同市は政権から解放されている」ことを確認したと報じた。

使節団は、シリア・クルド進歩民主党政治局(シリア・クルド国民評議会)のアフマド・スライマーン、民主統一党軍事部門幹部(西クルディスタン人民議会)のアールダール・ハリールの2人を団長とし、破壊された市街地、自由シリア軍が占拠する対トルコ国境の通行所などを視察した。

これに対して、自由シリア軍は、ラアス・アイン市が依然として政権の支配下にあると主張、近く攻撃を行うと反論した。

諸外国の動き

中国の杨福昌外務副大臣を団長とする中国の学術使節団が、シリア情勢およびアラブ・中国関係を協議するためカタールのドーハを訪問した。

杨福昌外務副大臣は、「中国はシリア政府を支持していないが、外国の介入を拒否している。我々は危機の平和的解決がシリア国民の利益につながると考えている」と述べた。

またシリア革命反体制勢力国民連立に関して、「もう一方の当事者(シリア政府)との対話のための統一勢力の登場に向けた反体制勢力統合の第一歩」とみなし、アサド政権との対話を拒否するその姿勢を暗に批判した。

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イスラエル国防軍は、ゴラン高原の占領地に対するシリアからの発砲に対して、迫撃砲で応戦し、「おそらく複数のシリア軍兵士が死亡した」と発表した。

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ヨルダンのシリア避難民問題担当報道官のアンマール・ハンムードは、サウジアラビアがザアタリー国営避難民キャンプに寝袋2,500枚を追加支給することを決定した、と発表した。

AFP, November 18, 2012、Akhbar al-Sharq, November 18, 2012、al-Hayat, November 19, 2012、Kull-na Shuraka’, November 18, 2012、al-Kurdiya News,
November 18, 2012、Naharnet, November 18, 2012、Reuters, November 18, 2012、SANA,
November 18, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア革命評議会のマーリフ代表が国際社会に対しシリア革命反体制勢力国民連立への武器、資金、人道支援の供与を求める一方、同連立使節団がフランスを訪問し同国大統領らと会談(2012年11月17日)

国内の動き

人民議会は、イスラエルによるガザ空爆を非難し、国際社会にイスラエルのジェノサイドを停止させるため圧力をかけるよう求める決議を採択、発表した。

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シリアのウムラーン・ズウビー情報大臣はイランのアーラム・チャンネル(11月17日付)に出演し、フランスによるシリア革命反体制勢力国民連立の「シリア国民の正統な代表としての承認」を、「新たな政治的価値を何ら付与しない」と指摘、トルコやカタールによるテロ支援を無視したフランス政府の再三にわたる関与を厳しく非難した。

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SANA, Novembeer 17, 2012
SANA, November 17, 2012

ダマスカス県の国連ビル前で、ダマスカス大学の学生数百人がデモを行い、イスラエルによるガザ空爆に抗議した。SANA(11月17日付)が報じた。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区に迫撃砲が着弾し、パレスチナ人を含む4人が死亡した。

迫撃砲着弾に先立って、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦、パレスチナ人戦闘員が軍・治安部隊とともに戦っていた、という。

またダマスカス県に至る主要な街道で、軍・治安当局が道路封鎖を行うなどして厳戒態勢を強化した。

一方、SANA(11月17日付)によると、マッザ区のジャラー・スポーツ・シティ近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発した。死傷者はなかった。

またバーブ・シャルキー地区の農業省の駐車場に反体制武装勢力が発射した迫撃砲が着弾し、駐車中のガス輸送トラックが大破した。死傷者はなかった。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市およびその周辺で軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する逮捕摘発活動を行い、迫撃砲などで攻撃した。

またブワイダ市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(11月17日付)によると、フジャイラ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、「ゴラン自由人大隊」を名乗る集団の戦闘員、外国人戦闘員多数を殺傷した。

またジャルマーナー市では、反体制武装勢力が住宅地を攻撃し、市民6人が死亡、12人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表が、ブーカマール市郊外のハムダーン農業用空港を反体制武装勢力が制圧したと発表した。

アブドゥッラフマーン代表によると、この制圧により、ダイル・ザウル県北東部から南部にかけての領域を反体制武装勢力が掌握、また16日に制圧が完了したというブーカマール市の維持にも資する戦果だという。

活動家のズィヤード・アミールによると、これに対して軍はハムダーン農業用空港を空爆し、反体制武装勢力は多数の戦車を失った、という。また軍が残された兵士の救出作戦を試み、戦闘が激化した、という。

『ハヤート』(11月18日付)によると、ハムダーン農業空港は、軍がヘリコプターの発着場、戦車部隊の拠点として転用していた、という。

これに対して、SANA(11月17日付)は、ダイル・ザウル市南部の墓地で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した、と報じた。

このほか、ダイル・ザウル市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力の戦闘員1人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ライラムーン地区の反体制武装勢力が軍・治安部隊の拠点を襲撃、これに対して軍は空爆で応戦した。

またアレッポ市ハムダーニーヤ地区でも大きな爆発があったという。

一方、SANA(11月17日付)によると、ハンダラート・キャンプ、ダーラ・イッザ市、カフルアンマ市、アレッポ市マルジャ地区、ライラムーン地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市に対して、軍が空爆を続けた。

一方、SANA(11月17日付)によると、イドリブ市近郊、ハーリム市、マアッラ・ニウマーン市、ムハムバル村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(11月17日付)によると、ヒムス市ワルシャ地区、ハウラ地方周辺、クサイル市郊外、ラスタン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

反体制武装勢力の動き

シリア国民評議会内の会派「シリア革命評議会」のハイサム・マーリフ代表は『ハヤート』(11月18日付)の取材に応じ、国際社会に対して「シリア革命反体制勢力国民連立への武器、資金、人道支援の供与を通じた支援」を求めた。

またアラブ連盟が連立をシリア国民の唯一の正統な代表として承認することを期待すると述べた。

暫定政府構想に関しては、「我々は暫定政府発足のための対話を行うためのイニシアチブを示してきただけで、私がその首班になる必要はない」と述べた。

マーリフは2012年7月のカイロでの反体制武装勢力の会合で、シリア革命評議会を結成、暫定政府首班への就任を宣言している。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長はサウジアラビアを訪問し、首都リヤドでサウード・ファイサル外務大臣と会談した。

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アラビーヤ(11月17日付)は、ダイル・ザウル県の裁判長でバアス党ダイル・ザウル支部指導部メンバーのアリー・アウンが離反を宣言した、と報じた。

諸外国の動き

中国外交部の洪磊報道官は、シリアの反体制勢力への武器供与を推し進めようとするフランスのローラン・ファビウス外務大臣の発言(15日)に関して、国際社会によるいかなる措置もシリアの暴力停止と危機の平和的解決をめざすものでなければならないと述べ、疑義を呈した。

Kull-na Shuraka', November 18, 2012
Kull-na Shuraka’, November 18, 2012

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シリア革命反体制勢力国民連立の使節団がフランスを訪問し、フランソワ・オランド大統領らと会談した。

使節団はアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、ムンズィル・マーフースらからなり、オランド大統領のほか、ローラン・ファビウス外務大臣、エリク・シュヴァリエ駐シリア・フランス大使らと会談した。

会談後の共同記者会見で、オランド大統領は「連立議長は、次期内閣にはシリアのすべての構成要素、とりわけキリスト教徒とアラウィー派が参加すると明言した」と述べ、宗派主義的なポスト配分によるシリアの分断を奨励した。

また「連立議長によって任命された駐フランス・シリア大使が駐在することになるだろう」と述べ、ムンズィル・マーフースをシリア大使として受け入れる意向を示した。

オランド大統領によると、シリアの新大使は、フランスが指定するパリ市内の場所に駐在することになる、という。

反体制武装勢力への武器供与については、「武装強化の必要」があるとしつつ、「国際社会は、これらの武器を監視する必要があると考えており、この問題をめぐる最善の決定を行うべくEUで議論がなされるだろう」と述べた。

また「フランスは連立との密接な連絡のもと、解放地域への人道支援を継続するだろう」と付言した。

一方、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、シリア社会のすべての構成要素からなる「テクノクラート内閣」を発足する意思があることを明らかにした。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は訪問先のエジプト、カイロ大学で講演し、「正統性のないバッシャール・アサド体制は敗北する定めにある…。国際社会、とりわけ安保理は、シリア各地での虐殺に沈黙を続けられるのか」と述べた。

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ドイツ日刊紙『スドゥッツェ・ツァイトゥング』(Suddeutsche Zeitung、11月17日付)は、ドイツ国防省筋の話として、トルコがNATOに対して要請を行えば、ドイツは兵士170人とパトリオット・ミサイルをトルコ南東部の対シリア国境地域に派遣する用意があると述べた。同報道によると、トルコ側からこうした要請は未だないという。

AFP, November 17, 2012、Akhbar al-Sharq, November 17, 2012、Alarabia.net, November 17, 2012、al-Hayat, November 18, 2012、Kull-na Shuraka’, November 17, 2012、al-Kurdiya News,
November 17, 2012、Naharnet, November 17, 2012、Reuters, November 17, 2012、SANA,
November 17, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

各県で軍・治安部隊と反体制武装集団の激しい戦闘が発生するなか、英外相がロンドンを訪問したシリア革命反体制勢力国民連立の指導者らと面会(2012年11月16日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団が、ブワイダ地方で反体制武装集団が軍のヘリコプター1機を撃墜したと発表した。

また地元調整諸委員会は、マルジュ・スルターン村とハムーリーヤ市で反体制武装勢力が軍のヘリコプター2機を撃墜した、と発表した。

シリア人権監視団によると、このほか、カフルバトナー町、アルバイン市および両市周辺で軍が激しい砲撃を加えた。

一方、SANA(11月16日付)によると、ナシャービーヤ地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またカーブーン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力が数日にわたる攻撃の末、ディブスィー・アフナーン市にある地方自治局施設を制圧した。

一方、SANA(11月16日付)は、ディブスィー・アフナーン市にある反体制武装勢力の拠点を軍・治安部隊が攻撃し、数十人の戦闘員を殺傷し、また同市内で車に仕掛けられた爆弾を解除したと報じた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団が、シリア海岸地方出身の体制支持者が多く住むタダームン区のナスリーン通りを反体制武装集団が迫撃したと発表した。

これに関して、SANA(11月16日付)は、タダームン区のアミーン通りで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、ほとんどの戦闘員を殲滅し、反体制武装勢力の残党はヤルダー市方面に逃走した。と報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラ・ヌウマーン市が軍の空爆を受けた。

一方、SANA(11月16日付)によると、サラーキブ市、タフタナーズ市、ハーリム市、マアッラト・ヌウマーン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方に対する反体制武装勢力の襲撃で、兵士3人が殺害された。

一方、SANA(11月16日付)によると、アービル村、クサイル市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市内で共和国護衛隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(11月16日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(11月16日付)によると、カフルナーハー村、ズィルバ村、ウワイジル村、ダイル・ハーフィル市、アターリブ市、アレッポ市ブスターン・カスル地区、マルジャ地区、マディーナ・スィナーイーヤ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市スィルヤーン・ジャディード地区にあるシリア・フランス病院近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数人が死傷した。

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ハマー県では、SANA(11月16日付)によると、バーブ・ターカ村近郊で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またハマー市クスール地区で反体制武装勢力が爆弾を爆発させ、複数の市民が負傷した。

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ハサカ県では、SANA(11月16日付)によると、シャッダーディー市一帯で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の使用していた車輌複数台を破壊した。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(11月17日付)は、ダルアー県ヤードゥーダ村、ヒルバト・ガザーラ町、ハマー県ハマー市、アレッポ県アレッポ市ハナーヌー地区などで、反体制デモが発生し、シリア革命反体制勢力国民連立への支持、自由シリア軍への武器供与支持、イスラエル軍によるガザ空爆反対、ガザ地区、ハマースとの連帯などが訴えられたと報じた。

al-Hayat, November 17, 2012
al-Hayat, November 17, 2012

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アッシリア人権ネットワークは、ダイリーク市を実効支配する民主統一党の人民防衛隊(YPG)に対して、制圧した治安機関の拠点や検問所に委任統治時代の国旗を掲揚するよう呼びかけた。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長はUAEを訪問し、アブドゥッラー外務大臣と会談した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド・イェキーティー党が結成した「殉教者タフスィーン・ミモー大隊」司令官はクルディーヤ・ニュース(11月16日付)に対して、「自由シリア軍が調整なしにアームーダー市に進入すれば、我々は対戦せざるを得ない」と述べた。

同司令官(匿名)によると、アームーダー市一帯はすでに解放されており、自由シリア軍が駐留する必要はない、という。

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣はロンドンを訪問したシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、リヤード・サイフ副議長、スハイル・アタースィー副議長と会談した。

会談後、ヘイグ外務大臣は、連立をシリア国民の正統な代表として承認するか否か、反体制勢力への武器禁輸措置継続の是非について来週中に下院で審議するだろうと述べた。

また連立に対して、民主主義とマイノリティ(の権利)を尊重する必要があると述べた。

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ブラジル外務省報道官は、シリア革命反体制勢力国民連立の結成に関して、「国連安保理がこの連立の正統性を表明するいかなる立場も発していない…。その正統性を打ち消すにあたっても国連安保理がこの連立の正統性を承認している必要がある」と述べた。SANA(11月16日付)が報じた。

AFP, November 16, 2012、Akhbar al-Sharq, November 16, 2012、al-Hayat, November 17, 2012、Kull-na Shuraka’, November 16, 2012, November 18, 2012、al-Kurdiya
News, November 16, 2012、Naharnet, November 16, 2012、Reuters, November 16,
2012、SANA, November 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア民主フォーラムはシリア革命反体制勢力国民連立に関して「両者の組織的関係を問わず」協力・対話を進めたいと発表、一方米国は同連立を「亡命政府」として承認せず(2012年11月15日のシリア情勢

国内の動き

バアス党シリア地域指導部は矯正運動42周年に合わせて声明を出し、「シリア・アラブ人民が改革、発展、そしてアラブ民族の愛国的プロジェクトに対する驚異に立ち向かう意志」を確認するとともに、「アサド大統領が安定と治安への保障、改革路線、民族の不変的基礎…を真に代表する存在である」と表明した。

矯正運動とは1970年11月16日のハーフィズ・アサド前大統領による政権掌握を意味する。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、安保理会合で、シリア国内でのすべてのテロ活動と、外国によるテロ組織への資金援助、潜入支援を停止させるために必要な措置を即時に講じるよう求めた。

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Syria Steps(11月15日付)は、シリア・ポンドの下落が続き、1ドル90ポンドに近づきつつある、と報じた。

同報道によると、ダマスカスでは1ドル88ポンド、アレッポでは89ポンド、レバノンでは81ポンドにまで下落している、という。

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オリエント・ニュース(11月15日付)は、シリア国内で人道支援活動が認められているNGO・組織がラーミー・マフルーフが会長を務めるブスターン協会と、反体制活動家のルワイユ・フサインが指導するシリア国家建設潮流に限定されている、と批判した。

同報道によると、フサインは政権との「合意」のもと反体制活動を行っているという(未確認情報)。

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クッルナー・シュラカー(11月15日付)は、数千人の逮捕者がテロ法廷に起訴された、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サクバー市に軍が空爆を行い、複数名が死傷した。

またジスリーン町、ハラスター市、アルバイン市、ザマルカー町、ヤルダー市、ダーライヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市が軍の砲撃を受けた。

ドゥーマー市での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘では、反体制武装勢力の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(11月15日付)によると、ハラスター市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、ハラスター調整の指導者、ファタハ・イスラーム旅団メンバー、外国人戦闘員ら多数の戦闘員を殲滅した。

またフジャイラ村などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、「ゴラン自由人」を名のるパレスチナ人戦闘員ら多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区が砲撃を受けた。

『ハヤート』(11月16日付)は、シリアの高官筋の話として、タダームン区のヌジューム映画館近くで「野戦病院」が発見され、「テロリスト」が強奪した大量の医薬品が押収されたと報じた。

一方、SANA(11月15日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で反体制武装勢力が同市の軍事情報局施設を襲撃し、軍・治安部隊と交戦、兵士1人と3人の戦闘員が死亡した。

同監視団によると、戦闘の末、反体制武装勢力は、市内の軍事情報局施設、農業銀行を占拠した、という。

一方、SANA(11月15日付)によると、ダイル・ザウル市各所およびブーカマール市各所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ワアル地区とダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員4人が死亡した。

一方、SANA(11月15日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、バーブ・トゥルクマーン地区、ワルシャ地区、ワアル地区、アビル市、東ブワイダ村、ジャンダル市、ラスタン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

これに対して、反体制武装勢力は、ヒムス市・ミスヤーフ市街道で旅客バスを襲撃し、乗客複数が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、またアアザーズ市に軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(11月15日付)によると、バーブ市、ダイル・ハーフィル市、マンビジュ市、ジュッブ・アブシャ市、カフルナーハー村、アレッポ市カーディー・アスカル地区、スッカリー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月15日付)によると、ハーリム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

これに対して、反体制武装勢力はアリーハー市・サラーキブ市間の街道に爆弾を仕掛け、爆発させ、市民2人を殺害、3人を負傷させた、という。

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ダルアー県では、SANA(11月15日付)によると、ブスラー・シャーム市で反体制武装勢力が治安機関の関連施設を襲撃したが、軍・治安部隊が応戦、反体制武装勢力の戦闘員6人を殺害した。

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『ハヤート』(11月16日付)などによると、ハサカ県の対トルコ国境に位置するラアス・アイン市での軍による反体制武装勢力への空爆・掃討作戦を受けるかたちで、トルコ軍は複数の戦闘機を南東部に派遣した。

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クナイトラ県では、イスラエル国防軍によると、シリア領内での銃撃戦の流れ弾がイスラエルが占領するゴラン高原に着弾した。被害はなかった、という。

反体制武装勢力の動き

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(11月15日付)に対して、2011年3月以降の死者数が39,112人にのぼる、と述べた。

うち27,410人が民間人、1,359人が離反兵、9,800人が軍兵士だという。

しかし、アブドゥッラフマーン代表は、この数値には逮捕・行方不明者数千人、さらには「シャッビーハ」とみなされ反体制武装勢力が殺害した約1,000人は含まれておらず、また軍、反体制武装勢力が死者数を開示していないため、死者数は厳密ではない、と述べ、シリア人権監視団が発表してきた死者数が推計であることを認めた。

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ミシェル・キールーが代表を務めるシリア民主フォーラムはシリア革命反体制勢力国民連立の結成に関する声明を発表した。

声明のなかで、フォーラムは、結成を歓迎し、その指導部を承認し、言動を支持するとしつつ、「フォーラムと連立の組織的関係は問わず」、協力と対話を進めたいとの意思を示した。

具体的には、体制打倒、国家・社会の統一維持、民主化といった目標に向けて、連立との協力・対話の意思を示し、「民主的で公正な革命的性格の強化」、「宗教宗派、思想信条、人種的属性を超えた市民のための自由な国家の建設」、「男女平等」、「連立が例外なくすべてのシリア人のための組織となること」を連立に求めた。

そのうえで連立の指導部が他の政治組織と対立、ないしは他の政治組織を支配することなく、民主的に反体制勢力の統合をめざすことを監視し続けると付言した。

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ロンドンを拠点とするシリア中道党(マフムード・アルー・ハルフ党首)なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への参加を表明した。

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スワイダー自由在外居住者連盟なる組織が声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立への全面支援を表明した。

クルド民族主義勢力の動き

クルド最高委員会の渉外委員会のムスタファー・ウースーは声明を出し、11月16日にイラク・クルディスタン地域でシリア・クルド国民評議会が会合を開き、シリア革命反体制勢力国民連立結成への対応、自由シリア軍との関係、そして「流入アラブ人」への対応について協議する、と発表した。

「流入アラブ人」(العرب الغمر)は、アラブ・ベルト構想によって1960年代半ば以降にハサカ県に移住した移民(シリア・アラブ人)。

ハサカ県の住民平和評議会メンバーのムハンマド・イスマーイールはクルディーヤ・ニュース(11月15日付)に対して、「流入アラブ人は、体制が衰退し、現地での影響力が消えて以降、自由シリア軍に近づこうとしている」と述べ、警戒感を露わにした。

レバノンの動き

『アフバール』(11月15日付)は、北部県アッカール郡バッダーウィー市の内務治安軍総局の武器庫からカラシニコフ銃3,000丁が盗まれ、シリアの反体制武装勢力に売却された可能性がある、と報じた。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るサアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「シリア革命と時を同じくして(イスラエル軍によるガザ)攻撃が発生したことは、可能な限り革命を阻止しようとする明確な意思の表れだとの疑義を呈する」と述べた。

しかしこの論理によると、シリアの反体制勢力が優勢だとの(西側諸国の)認識に立った場合、イスラエルの攻撃が反体制武装勢力によるシリア国内でのテロの被害を隠蔽するタイミングでなされたとも解釈できる。

イスラエルの動き

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とエフード・バラク国防大臣は占領下のゴラン高原を視察した。

占領地へのシリア領からの流れ弾の着弾に関して、バラク国防大臣は、「高原の麓のほぼすべての村、そしてその後背地は、事実上破壊分子の手に落ちている…。シリア軍の能力は断続的に低下している」と述べ、反体制武装勢力の勢力増大への懸念を示しつつ、「アサドの支配の痛ましい崩壊」を引き続き中止し続けるとの意思を示した。

ネタニヤフ首相もアサド政権に「亀裂」が生じつつあると指摘する一方、「イスラエルに対してより敵対的な国際的ジハードに属す勢力がそのプレゼンスを強化している」と反体制武装勢力の台頭に懸念を表明した。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領は、再選後初の記者会見で、「亡命政府として承認する準備はない」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認する意思がないことを明言、「我々は反体制勢力がシリア国民の意思の正統な代表だとみなす」と述べ、フランス、トルコ、GCCとの姿勢の違いを示した。

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ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェビィッチ報道官は記者会見で、「多くの国の都市が近代的兵器の供与を制約した…。合法的政府に対する武装闘争を行う反体制勢力への外国の支援は、国際法が定める基準を明確に侵害している」と述べた。

ルカシェヴィッチ報道官はまた「国際法の原則において…、いかなる国にも、他国において武力で体制打倒をめざす武力行為を組織、支援、資金援助する権利はないと明記されている」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア情勢に関する関係閣僚・軍高官との会合後の記者会見で、シリアの反体制勢力との協力を「優先事項」としつつ、「明確な暫定計画」を提示するよう呼びかけた。

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アナトリア通信(11月15日付)によると、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、ジブチでのイスラーム諸国会議機構(OIC)の外相会議でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表とみなすと改めて述べる」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「フランスの姿勢は紛争への武器不供与を原則とするが、政府の戦闘機の空爆に曝される解放区があることは認められない」と述べ、反体制勢力への「自衛のための武器」供与禁止を解除することをEUにおいて求める移行を示した。

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国連のマーティン・ニスルキー報道官は、ゴラン高原の非武装地帯の村を占拠する反体制武装勢力への攻撃に関して、UNDOFの同意のもとに攻撃を行っているとのファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣の発言(11月14日)に対して、「UNDOFはシリアのこうした軍事作戦に口頭で同意していない…。1974年に署名された兵力引き離し協定に觝触している」と否定した。

AFP, November 15, 2012、Akhbar al-Sharq, November 15, 2012, November 15, 2012、al-Hayat, November 16, 2012、Kull-na Shuraka’, November 15, 2012、al-Kurdiya News, November 15, 2012、Naharnet, November 15, 2012、Orient News, November 15, 2012、Reuters, November 15, 2012、SANA, November 15, 2012、Syria Steps, November 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県やダイル・ザウル県では軍・治安部隊がヌスラ戦線の戦闘員を殲滅、シリア最高委員会渉外局メンバーがハサカ県カフターニーヤ市の自治をめぐってアラブ系部族との緊張関係が増していることを明かす(2012年11月14日)

国内の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住副大臣はAFP(11月14日付)のインタビューに応じ、「我々は政府とのいかなる対話をも拒否するとのドーハでの合意を読んだ…。これは戦線布告だ」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を厳しく非難した。

SANA, November 14, 2012
SANA, November 14, 2012

ミクダード副大臣はまた「あいつらは平和的な問題解決を望んでいない…。(アサド政権は)外国に指導部がある組織や外国が作り出した組織ではなく、シリア国内に指導部があるシリアの反体制勢力と対話する用意がある」と述べた。

一方、GCCがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表として承認」したことに関して「私はGCCの役割が大きいものだとは考えたくない。なぜなら、我々はそれは彼ら自身の姿勢ではなく…、カタールやサウジアラビアと対立したくないという一部の加盟国の困難な姿勢を考慮」される必要があるからだと述べた。

さらに「シリアの友連絡グループ、つまりシリアの敵に参加する多くの国は、(同グループへの)参加を強制されたと我々に語ってくれた。私はこうした事態ゆえに、(シリア革命反体制勢力国民連立の)承認がなされるとは思わない」と付言した。

フランスがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の正統な代表として承認」したことに関しては、「非道徳的な姿勢だ、なぜならシリア人の殺戮を許すものだからだ。彼らは殺戮とテロリストを支援したことになる」と批判した。

アラブ連盟が外相会議でシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思の正統な代表」したことに関しては、「連盟はアイデンティティと信頼を失った。カタールの外相がやって来て、ポケットから紙を取り出し、「これが決議だ」と言い、みながそれを採択しただけだ…。連盟はもはや、アラブの努力を統合する政治的活動の場ではない。連盟はアラブ人どうしを反目させる勢力になりさがった」と非難した。

このほか、ミクダード外務在外居住者副大臣は、ゴラン高原の非武装地帯の村を占拠する反体制武装勢力に関して、UNDOFの同意のもとに攻撃を行っている、と述べた。

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シリア政府は声明を出し、ガザ地区に対するイスラエル軍の空爆とハマースのカッサーム旅団のアフマド・ジャアバリー副司令官を含むパレスチナ人の殺害を強く非難、ガザ地方の人民に対するイスラエルの攻撃を停止させるための圧力をかけるよう国際社会に求める一方、アラブ民族に対して、パレスチナ人民支援のために行動するよう訴えた。

SANA(11月14日付)が報じた。

クルド民族主義勢力の動き

シリア最高委員会渉外局メンバーのイーサー・ハッスー(民主統一党、西クルディスタン人民議会)はクルディーヤ・ニュース(11月14日付)に対して、民主統一党人民防衛隊(YPG)が掌握したハサカ県カフターニーヤ市(クルド語名ディルベ・スピーイェ)の自治に関して、アラブ系部族と緊張関係が増していることを示唆した。

ハッスーは「我々は(市内の政府)施設からの(YPGの)撤収後に関して、明日(15日)までにアラブ人に最終回答を行うよう猶予を与えた。また我々は、クルド人、シリア正教徒、アラブ人の5人からなる(自治)委員会の設置を要求した」と述べた。

一方、ハッスーは、「シリア・クルド国民評議会はすべての分野において十分な能力を持っていない…。一方、我々は現場経験があり、名ばかりの存在とは異なる諸委員会を実体として持っている」と述べ、その自治能力の欠如を批判した。

ハッスーによると、シリア最高委員会はドイツのクルド人権・支援団体から5,000万ユーロ相当の支援物資を受け取りにこぎ着け、イラク経由で4台の貨物トラックに乗せてシリア国内への搬入を進めたが、イラク国境でシリア・クルド国民評議会の福祉委員会が搬送を引き継いだ際に物資が紛失した、という。

またカフターニーヤ市でのアラブ人10部族の使節団とシリア最高委員会の交渉においても、シリア・クルド国民評議会は代表者を出席させず、交渉に遅れが出たと批判した。

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クルディーヤ・ニュース(11月14日付)、『サフィール』(11月14日付)は、反体制武装勢力によるラアス・アイン市襲撃・制圧(11月8日)に、「シャーム外国人」部隊の戦闘員300人が参加し、トルコ領内から同市に潜入、市内のアラブ人地区に集結した、と報じた。

「シャーム外国人」部隊は、イラクでアル=カーイダとともに反米武装闘争に参加したサラフィー主義者・ジハード主義者。

2007年にはアレッポ市内のモスクでリーダーの「アブー・カアカーウ」(マフムード・グール・アーガースィー)がイラクから帰還した戦闘員によって殺害されていた。

国内の暴力

ダイル・ザウル県では、SANA(11月14日付)によると、ダイル・ザウル市ダウワール・ガッサーン・アッブード地区で、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線と交戦し、戦闘員を殲滅した。

SANA, November 14, 2012
SANA, November 14, 2012

またブーカマール市でも、反体制武装勢力の戦闘員と交戦し、「カアカーウ旅団」(シャーム外国人部隊)の戦闘員などを殲滅した。

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ダマスカス県では、SANA(11月14日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追撃を継続し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殲滅した。

また武装テロ集団は旧市街のウマイヤ・モスク裏の空き家に迫撃砲を発射し、建物が被害を受けた。死傷者はなかったという。

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ダマスカス郊外県では、SANA(11月14日付)によると、フジャイラ村、アクラバー町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、殲滅した。

また武装テロ集団はダーヒヤ・アサド地区の住宅地に迫撃砲を発射し、建物が被害を受けた。死傷者はなかったという。

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アレッポ県では、SANA(11月14日付)によると、サフィーラ市、ハフサ村、バーブ市、ファーフィーン村、アレッポ市ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ハサカ県では、SANA(11月14日付)によると、ラアス・アイン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員数十人を殺傷、装備を破壊した。負傷した戦闘員はトルコ領内に逃走した、という。

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ヒムス県では、SANA(11月14日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ハーリディーヤ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(11月14日付)によると、イドリブ市郊外の村々で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

またマアッラト・ヌウマーン市郊外のダマスカス・アレッポ街道上で、反体制武装勢力が、人道支援物資を搬送中のシリア赤新月社の貨物車両3台を襲撃し、物資を略奪した。

反体制武装勢力の動き

シリア国民評議会での総会選挙後に評議会からの大会を宣言したアディーブ・シーシャクリーが『ハヤート』(11月15日付)のインタビューに応じ、脱会の理由が「一部のメンバーが決定権を掌握していることが不満だった…。(総会)選挙が、政治的方向性やイデオロギーやブロックではなく能力本意で行われることを望んでいた…。選挙は(利権やポスト)割当本意で行われたので辞めた」と述べた。

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シリア国民評議会は声明を出し、ダマスカス県アブー・ルンマーナ地区で治安当局がシリア赤新月社のムハンマド・ラーイド・タウィール救急局長を逮捕した、と発表した。

同声明によると、タウィールは11月8日に逮捕されたという。

諸外国の動き

イラクのフダイル・フザーイー副大統領(ダアワ党)は、『サバーフ』(11月14日付)に対して、「横暴なテロリストが(シリアの)反体制勢力のなかにおり、事態の手綱を握っている…。彼らが政権を握れば、地域で新たなターリバーンが地位を得ることになる」と厳しく非難した。

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ヨルダンの国営ペトラ通信(11月14日付)は、インマール・ハムード・シリア避難民問題担当報道官の話として、ヨルダン政府がラムサーにシリア人避難民を収容するための新たな国営避難民キャンプを設営することに合意した、と報じた。

ヨルダン政府は、ザアタリー避難民キャンプに加えて現在、ザルカー市に二つ目のキャンプを設営している。ラムサーのキャンプは三つ目のキャンプとなる。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先のオーストラリアで、シリア国内外の避難民・被災者に対して3,000万ドルの追加の人道支援を行うと発表した。

またシリア革命反体制勢力国民連立の創設を「画期的…このような組織を長い間望んでいた」と賞賛したが、「シリア国民の正統な代表として承認」するとは言わなかった。

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『ハヤート』(11月14日付)は、日本の外務省の匿名筋の話として、シリアへの制裁強化のためのシリアの友連絡グループの会合を11月30日に東京で開催し、東南アジア諸国を含む約60カ国が参加する見込みだと報じた。

衆議院解散を控えるなかでの国際会議が実効的な成果をもたらすとは考えにくいが、アサド政権に代わる政権の受け皿が不在のままでの制裁強化は、シリア国民の生活をさらに逼迫させるだけでなく、シリア国内の反体制武装勢力やサラフィー主義の外国人戦闘員のテロ活動を増長させるという点で常軌を逸している。

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ロイター通信(11月14日付)は、国連安保理の外交筋からの情報として、今年5月に北朝鮮を出向し、シリアに向かっていた中国船籍からミサイルへの転用が可能なグラファイトシリンダー445本が押収されていた、と報じた。

グラファイトシリンダーは韓国釜山停泊時に発見され、シリアの「電機部品」会社が納品先だったという。

AFP, November 14, 2012、Akhbar al-Sharq, November 14, 2012, November 15, 2012、al-Hayat, November 14, 2012、Kull-na Shuraka’, November 14, 2012, November 15, 2012、al-Kurdiya
News, November 14, 2012、Naharnet, November 14, 2012、Reuters, November 14,
2012、al-Sabah, November 14, 2012、al-Safir, November 14, 2012、SANA, November 14, 2012などをもとに作成。

 

写真はSANA, November 14, 2012。

(C)青山弘之 All rights reserved.

民主統一党とシリア・クルド国民評議会は共同声明のなかで自由シリア軍のアイン・アラブ市進入を厳しく非難、フランスがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認(2012年11月13日)

クルド民族主義勢力の動き

西クルディスタン人民議会(民主統一党)とシリア・クルド国民評議会は共同声明を出し、自由シリア軍のアイン・アラブ市進入を「政治的、軍事的に正当性がない」と厳しく非難し、撤退を要求した。

共同声明では、「シリアと世界の世論に対して、体制打倒のための革命が平和的であるべきだと強調する」と主張、自由シリア軍の進入により、「無実の市民の血が流されている」との惨状を訴えた。

そのうえで「すべての武装大隊の撤退の必要」を強調、また自由シリア軍掃討のために展開した「政府軍の即時撤退」を求めた。

国内の暴力

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市で県知事の車を狙った爆弾テロが発生し、ハサン・サーリフ・ジャラーリー県知事が負傷、また女性1人と士官1人が死亡した。

このテロに関して、SANA(11月13日付)は、武装テロ集団が仕掛けた爆弾がサイイダ・ビシャーラ教会近くで爆発し、女性1人が死亡した、と報じた。県知事の負傷については報じなかった。

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アレッポ県では、SANA(11月13日付)によると、タッル・ラッハール村、ダイル・ハーフィル市、アレッポ市旧市街、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(11月13日付)によると、ジスル・シュグール市郊外のタッル・シュグール地点の検問所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またマアッラト・ヌウマーン市南部および南東部の入り口で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷したほか、ムハムバル村などで反体制武装勢力の追撃が行われた。

このほかイドリブ市では、反体制武装勢力が道路公社イドリブ支部のアブドゥッラッザーク・ユースフ技師を暗殺した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハーリブー村で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍兵士7人と反体制勢力の戦闘員2人が死亡した。

一方、SANA(11月13日付)によると、ザマルカー町、スバイナ町、サイイダ・ザイナブ町、アルバイン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、「ダマスカス解放旅団」のムハンマド・アブドゥッサラーム・イドリースを含む多数の戦闘員を殺傷した。

またアイン・フィージャ町では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、女性、子供を含む多数の市民が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区に対して、軍・治安部隊が砲撃を加え、「同地区の制圧を試み」、戦闘員4人が死亡した。

またヤルムーク区にも迫撃砲が着弾し、アサーリー地区などに対しても砲撃が行われたという。

『ワタン』(11月14日付)によると、「早朝に重火器によって支援された軍部隊が二方向からタダームン区に突入し…、戦闘は晩まで続き、武装集団は甚大な被害を受け、撤退を余儀なくされた」という。

一方、SANA(11月13日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またヤルムーク区では、パレスチナ人難民からなる人民諸組織が反体制武装勢力と対峙した。

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ヒムス県では、SANA(11月13日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ラスタン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

一方、ヒムス市ワアル地区では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、子供2人が死亡、女性を含む6人が負傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、軍がラアス・アイン市周辺における軍備増強を開始した。

また軍がラアス・アイン市の総合情報部(反体制武装勢力が占拠)や反体制武装勢力の拠点を空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がブーカマール市の軍の拠点複数カ所を襲撃した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、AFP(11月13日付)の電話取材に対して、「シリア人はバッシャールの戦闘機の空爆に直面している。彼らは高度な兵器が必要だ」と述べ、反体制武装勢力への武器供与の必要を強調した。

「高度な兵器」が何を意味するかは詳述しなかった。

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シリア国民評議会執行部メンバー兼シリア革命反体制勢力国民連立メンバーのアフマド・ラマダーンは『ハヤート』(11月14日付)に対して、「フォード(米大使)は、「我々は(シリア革命反体制勢力国民連立の)行動に期待する。我々は何が起きるかを見極めて、米国政府に報告し、措置を講じる」と述べた…。(シリア革命反体制勢力国民連立発足に対する米国の)歓迎は不充分だ」と述べた。

また「シリア革命反体制勢力国民連立に関するアラブ連盟の決定も不充分だ。声明は連立がシリア国民の「意思」を表現しているとしているが、シリア国民そのもの代表として承認していない点で十分でない」と批判した。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は『ハヤート』(11月14日付)に対して、反体制勢力のなかで影響力を強めようとしているとの一部の疑念に対して、「ヘゲモニーに関する問題は、根拠のない言いがかりだ。我々はすべての組織の一部をなし、シリア国民評議会、そしてすべての大会に貢献してきた」と否定した。

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国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会は声明を出し、イランで18日に開催予定のシリア国民対話会合への招待状を受け取ったが、「ドーハ、テヘラン、イスタンブール、パリといった紛争当事国の首都で行われる調整のための…会合には参加しない」と述べ、不参加を表明した。

レバノンの動き

サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るムスタクバル潮流のサアド・ハリーリー前首相は、声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「シリア大衆の革命を続け、バッシャール・アサド大統領の体制を転覆するための正しい方向に向けたステップ」と支持を表明した。

諸外国の動き

カイロでアラブEU外相会議が開かれた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、アラブEU外相会議出席のためにカイロを訪問し、同地で記者会見を開いた。

記者会見でファビウス外務大臣は、「我々は様々な国がシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認することを希望する…。フランスの役割はこの希望を可能なものにすることだ」と述べた。

またフランス自身による承認に関しては、「幾つかの段階がある。まずシリア国民評議会の幹部、とりわけジョルジュ・サブラー事務局長がいて、次にカイロで明日のともに朝食をとる予定の新たな幹部からなるより広範な委員会(シリア革命反体制勢力国民連立)がある」と述べた。

さらに反体制勢力への武器供与に関しては、「これまでは欧州諸国の側に武器問題に関する禁止事項が合った…。(反体制勢力が)講じる措置を見て、この決定は修正されるだろう。我々はこの問題を検討するだろう」と述べた。

しかし、シリアへの軍事介入に関しては、「重要な国々」がアサド政権を支援していると述べ、リビアのケースとは「同じでない」と否定、また「こうした状況はおそらく変わるだろう。今後解決に向けて行動する」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アラブEU外相会議で、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を「きわめて重要な礎石」と歓迎しつつ、「すべての反体制勢力が参加し、シリア国内の支援を得ることを望む。そうなれば我々は、彼らをシリア国民の正統な代表として承認するだろう」と述べ、慎重な姿勢を示した。

また反体制勢力への武器供与については、EUがシリアへの武器供与を禁止しているため、武器を送る用意はない、と否定した。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、アラブEU外相会議で、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を歓迎するとともに、「政治、安全保障、人道面でシリア国民を支えるため必要な支援を拡充すべき」と述べるとともに、シリア国民の正統な代表として承認を得るべく、国内外のすべての反体制勢力が連立のもとに結集するよう希望する、と述べた。

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『ハヤート』(11月14日付)によると、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はアラブEU外相会議に「シリアにおける人道的ニーズに関する覚書」を提出した。

同覚書では、少なくとも250万人がシリア危機の被害を受け、その数は2012年末には400万人にのぼり、うち150万人が国内での避難生活を余儀なくされ、食糧・医療などの支援が火急に必要となるだろうとの試算されている。

また同覚書では、イラク、レバノン、ヨルダン、トルコ、北アフリカに避難したシリア人の数が39万5000人に達しており、2012年末までにその数は71万人に達すると試算されている。

さらにシリア国内の病院の67%が戦闘の被害を受け、29%が医療活動を行えない状態にある、と指摘、約2000の学校で避難民が避難生活を送り、2000の学校が破壊されたとの実態も明らかにしている。

また、パレスチナ難民についても、約50%が被害を受けたと指摘している。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、記者会見で、「私はフランスがシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の唯一の正統な代表として承認すると宣言する」と述べた。

またシリアへの軍事介入の可能性に関して「安保理の決議がなされないかたちでの軍事介入はあり得ない…。ロシアの立場を踏まえると、それが提起されることはない。しかし、シリア革命反体制勢力国民連立の権威のもとに開放地区を保護するというかたちでそれに訴え得るという別の方法もある」と述べた。

さらにオランド大統領は反体制勢力への武器供与に関しては「シリアに正統な政府が成立すれば、フランスだけでなくシリア革命反体制勢力国民連立を承認するすべての国にとって再検討は不可欠になる」と述べた。

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フランスのジャン・イブ・ルドリアン国防大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の結成に関して「ドーハでの出来事は大きな前進だ。国際的に承認され得る暫定政府のような存在となるには未だ不十分だとしても、我々はそれが重要だと考える。しかしすべての武装集団もこれとともに統合されるべきだ」と述べた。

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米国のマーク・トナー国務省副報道官は、「我々はシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表(の一つ)で、シリア国民を反映していると考える…。我々はまた同組織がシリア国内のシリア人を代表する能力を示すことを望んでいる」と述べた。

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AFP(11月13日付)は、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチが、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を受け、同組織に対して、反体制武装勢力に対して戦時国際法を遵守するよう明確なメッセージを発すとともに、違反者を処罰するよう要求した、と報じた。

AFP, November 13, 2012、Akhbar al-Sharq, November 13, 2012, November 14, 2012、al-Hayat, November 14, 2012、Kull-na Shuraka’, November 13, 2012, November 15, 2012、al-Kurdiya
News, November 13, 2012、Naharnet, November 13, 2012、Reuters, November 13,
2012、SANA, November 13, 2012、al-Watan, November 14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アラブ連盟緊急外相会議が開かれシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思を代表する正統な代表」とする声明を承認、人民防衛隊がマーリキーヤ市からの軍・治安部隊の撤退を受け同市を掌握(2012年11月12日)

反体制勢力をめぐる動き

カタールのドーハで11日晩から未明にかけてシリア革命反体制勢力国民連立発足記念祝賀会が開かれた。

al-Hayat, November 13, 2012
al-Hayat, November 13, 2012

祝賀会には、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣、チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣、アラブ連盟のタラール・アミーン代表、GCCのアブドゥッラティーフ・ブン・ラーシド・ズィヤーニー事務局長、UAEのファーリス・ムハンマド安全保障軍事担当副大臣、米仏英などの代表が出席した。

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祝賀会で、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、出席した各国代表に対して「アラブ連盟、GCC、欧州の友人、そして米国は、この政体(連立)がすべてのシリア人を代表する唯一の正統な組織であることを切望している。これは我々に対するあなた方の権利である。我々に対するあなた方の権利は、救援だけでない」と述べ、連立の国際承認を求めた。

また、出席したシリアの反体制活動家らに対して、「ハマド・ブン・ハリーファ首長とタミーム・ブン・ハマド皇太子は、シリア国民が望むことを我々が実行するうえで、あなた方の合意が手助けになる、ということを知っている」と述べた。

そのうえで、「出席したすべてのシリアの反対勢力」に「合意は力であるがゆえ、合意し、分裂しない」よう呼びかけ、自身がシリアの反体制勢力の指導者であるかのような傲慢な姿勢を示した。

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GCCのズィヤーニー事務局長は、「GCCはシリア革命反体制勢力国民連立を…シリア国民の正統な代表とみなし承認すると発表する」と述べた。

またシリア国民の要求と希望を実現するため、この組織を支援すると述べ、アラブ諸国、諸外国、国際社会が連立を国際承認することをGCCとして注視していると強調した。

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祝賀会で、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、「シリア公民の最大の望みは、安全に暮らし、恐れることなく眠ることだった。しかし、今は体制を根絶することを望んでいる」と断じた。

またシリア革命反体制勢力国民連立の活動に関しては、緊急支援、流血停止、そして体制打倒が最優先事項だと述べた。

さらに「カタール、サウジアラビア、UAE、そしてそのほかのGCC諸国、トルコ、エジプト、リビア、ヨルダン、友好諸国に感謝する」と締めくくった。

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祝賀会で、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長は「我々は真の救援を必要としている…。我々は我々の子供たちを守るため、パンではなく武器が必要だ。なぜなら体制は武器を増強しているからだ」と述べた。

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『ハヤート』(11月13日付)によると、シリア国民評議会のサミール・ナッジャール財務局長は、「去年3月以降、4000万ドルの支援しか受け取っていない。月1億5000万ドルの支援を約束されたのに」と述べ、西側諸国、湾岸アラブ諸国の支援の少なさを批判した。

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シリア国民評議会は、フェイスブック(11月12日付)で、リビア在住のシリア人のパスポートの更新を開始した、と発表し、新パスポートの写真を公開した。

Akhbar al-Sharq, November 12, 2012
Akhbar al-Sharq, November 12, 2012

諸外国の動き

アラブ連盟はカイロで緊急閣僚級会合を開催し、シリアおよびパレスチナ情勢について協議した。

会合では、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が、ドーハでのシリアの反体制勢力の大会での成果を踏まえ、シリア危機解決に向けた見通しを示した。

会合には、ナビール・アラビー事務総長、アフマド・ビン・ヒッリー事務副長、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣(シリア問題閣僚委員会)、チュニジアのラフィーク・アブドゥッサラーム外務大臣、レバノンのアドナーン・マンスール外務大臣、そしてブラーヒーミー共同特別が出席した。

またカタールのハマド首相に連れられ、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長が連盟本部に入り、会合に参加した。

複数の消息筋によると、会合において、ブラーヒーミー共同特別は、国連安保理常任理事国がシリア危機に関する決議を遵守する必要があると強調した、という。

また複数の消息筋によると、会合に先立って、ハマド首相は、シリア革命反体制勢力国民連立のハティーブ議長をシリアの代表として主席させることを求めたが、カタール以外の国が難色を示した、という。

また会合でも、シリア革命反体制勢力国民連立をシリア政府に代わる代表とすることを事務局に認めさせようとする動きがあったという。

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シリア革命反体制勢力国民連立の発足を受け、米国のマーク・トナー国務省副報道官は声明を出し、「血塗られたアサド体制終焉への道を開く国民連立への支援を早急に命じる」と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「反体制勢力統合のための不可欠なプロセスにおける重要なステップ」と高く評価し、「全面支援」を行うと述べるとともに、連立の「国際承認のために活動する」との意思を表明した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「多様なシリア国民を広範に代表する」ための「重要なステップ」と高く評価するとともに、「暫定移行期間に備え、シリア社会のすべての集団とともにあることを求める」と述べた。

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ドイツ外務省報道官もシリア革命反体制勢力国民連立の発足に関して「アサド体制に代わる満足の行くオルターナティブ」と高く評価した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長と会談した。

会談で両氏の就任を祝福したダウトオール外務大臣は、「シリアの反体制勢力は分裂しており、統合されていない。我々は彼らを支援できない。そう私は話した。しかし、反体制武装勢力は国連、そしてすべての当事者から支援を受けるに値する」と述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の発足に関して「(ロシアにとって)もっとも主要な基準は…こうした連立が、外国の介入を排除し、対話を通じたシリア人による平和的紛争解決を原則として行動する用意があるかという点である…。(ロシアは)、シリア政府と”すべての”反体制勢力との連絡を継続し、建設的な方法に従うよう求める」と発表した。

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『ハヤート』(11月13日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、イランがイスラーム諸国会議機構の第39回外相会合(ジブチ)でのシリアの加盟資格停止撤回を目指している、と報じた。

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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はプラハでの会合で「NATOは同盟国であるトルコの防衛のために必要なことを組織として行うだろう…。トルコ防衛を可能とするあらゆる計画が準備されている。我々はそれが抑止力となり、トルコが攻撃に曝されないことを希望している」と述べた。

またドーハでの反体制武装勢力の大会に関して、「分裂した反体制勢力はもちろん問題である。それゆえ、我々は反体制勢力にもっと統合して欲しい」と述べた。

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イスラエル国防軍は声明を出し、占領下のゴラン高原の基地近くの空き地にシリア領内からの迫撃砲が着弾、これを受けイスラエル国防軍が迫撃砲の発射地点に向けて戦車で反撃を行った、と発表した。

そのうえで、「シリアからの発砲にこれ以上寛容であるわけにはいかない。激しく報復するだろう」と付言した。

同声明によると、シリア領からの迫撃砲は、軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘の流れ弾で、イスラエル国防軍を狙ったものではない、という。

国連のマーティン・ネスィルキー報道官は、「国連は(紛争の)エスカレートの可能性を大いに懸念する」と述べ、シリアとイスラエルの交戦の可能性への懸念を表明した。

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EU災害危機管理課は、赤十字国際委員会と国際赤十字赤新月社連盟に対して、トルコで避難生活を送るシリア人17万人に対する3230万スイス・フラン掃討の緊急支援を行うよう呼びかけた。

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アラブ連盟緊急外相会議がカイロで開かれ、ドーハで結成されたシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の意思を代表する正統な代表」とする声明を承認した。

声明の採決には、アルジェリアとイラクが態度を留保し、国連憲章第7章に基づく介入を国連に呼びかけた。

またレバノンは、シリア危機と「距離を置く」政策に基づき、声明採決を棄権した。

声明は、シリア革命反体制勢力国民連立に参加しなかった反体制勢力に対して、連立への参加を呼びかけ、シリア国民の諸相のための組織とすることを呼びかけた。

また国際機関に対して、シリア革命反体制勢力国民連立の承認を求めた。

さらに、シリア革命反体制勢力国民連立をはじめとする反体制勢力に対して、権力移譲のための平和的解決策案出のため集中的な対話に入るよう呼びかけた。

緊急外相会議には、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長とシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長が出席した。

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緊急外相会議後、カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は記者会見を開き、「シリア革命反体制勢力国民連立は、シリアの反体制勢力の正統な代表であり、アラブ連盟の基本的交渉相手だ」と述べた。

ハマド首相によると、シリア革命反体制勢力国民連立の「承認」の形式は、リビア暫定国民評議会の承認と形式に準じている、という。

しかし、GCCが「シリア国民の正統な代表」と承認したのに対して、アラブ連盟外相会議は、「シリア国民の”意思”の正統な代表」とし、シリアにおける体制転換に慎重な周辺諸国に一定の配慮を行った。

国内の暴力

ハサカ県では、シリア人権監視団は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員7人を含む12人がラアス・アイン市に対する軍の空爆で死亡した、と発表した。

空爆は、反体制武装勢力が占拠した政治治安部の施設に対して行われ、空爆では子供1人、女性1人を含む民間人5人も死亡した、という。

対トルコ国境に位置するラアス・アイン市へのシリア軍の空爆・攻撃に対して、トルコ軍は迎撃しなかった。

アナトリア通信(11月12日付)はまた、軍がラアス・アイン市の食品工場を空爆し、シリア人が少なくとも4人死亡、多数が重傷を負ったと報じた。

この工場も、反体制武装勢力が占拠していた。

シリア人権監視団によると、空爆後、戦闘ヘリコプターがラアス・アイン市に対して機銃攻撃を加え、反体制武装勢力が反撃した、という。またその後、空爆が再開されたという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍がマアッラト・ヌウマーン市への空爆を行う一方、ハーリム市などマアッラト・ヌウマーン市周辺の地域で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月12日付)によると、ジスル・シュグール市郊外のタッル・ウワイル村、タッル・ハムカ村、ミンタール村、サッラ・ズフール村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトなどを攻撃し、戦闘員を殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市が軍の空爆を受けた。

一方、『ハヤート』(11月13日付)によると、反体制武装勢力は、同市のハムダーン空港上空で軍のヘリコプターを撃墜したと証言した(未確認情報)。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、軍がディブスィー・アフナーン村を空爆した。

同村は2日前から反体制武装勢力によって包囲されている、という。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区での砲撃で7人が死亡した。

一方、SANA(11月12日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殲滅、米国製の武器弾薬などを押収した。

なお、『バアス』(11月13日付)は、軍・治安部隊がハラスター市の全地区を制圧した、と報じた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハスヤー町で反体制武装勢力が軍・治安部隊を要撃し、13人を殺害した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(11月12日付)によると、ハラスター市および同市周辺、ザマルカー町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(11月12日付)によると、反体制武装勢力がハンダラート空軍基地を襲撃しようとしたが、軍・治安部隊が撃退した。

またアレッポ市、ブスターン・カスル地区、スッカリー地区、カルム・ジャズマーティー地区、ハーラト・シハーディーン地区、ライラムーン地区、カフルハムラ村、カフルナーハー村、バーブ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、シャームの民のナスラ戦線のメンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

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『アフバール』(11月13日付)は、シリア人ジャーナリストのシャリーフ・シハーダが乗った車が「ウマイヤ末裔旅団」によって襲撃され、シハーダが負傷、ドライバーが死亡したと報じた。

クルド民族主義勢力の動き

シリア人権監視団によると、民主統一党の人民防衛隊(YPG)がマーリキーヤ市からの軍・治安部隊の撤退を受け、同市を掌握した。

al-Kurdīya News, November 12, 2012
al-Kurdiya News, November 12, 2012

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クルディーヤ・ニュース(11月12日付)によると、民主統一党の人民防衛隊(YPG)はハサカ県ダイリーク市内の治安施設・拠点を掌握した。

複数の住民によると、同市の治安施設・拠点には長らく、軍・治安要員は部分的にしか駐留しておらず、人民防衛隊は軍・治安部隊から引き継ぐかたちでこれらの施設・拠点に入ったという。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は、殉教者記念日に合わせてテレビ演説を行った。

演説ではシリア情勢についても触れられ、ウィサーム・ハサン内務治安軍総局情報課長暗殺(10月)をアサド政権やヒズブッラーの犯行と断じる3月14日勢力の姿勢を「それで彼らは何を成し遂げたいのか?」と批判した。

また「我々のシリアに対する姿勢は変化しない。政治的解決がシリア国民の利益になる…。しかし危険なのは、新たな反体制勢力の同盟(シリア革命反体制勢力国民連立)が対話を拒む点でコンセンサスに達した点である。彼らはさらなる破壊を望んでいる。これは米国、イスラエル、一部の性根の悪いアラブ諸国の利益になるだけだ」と述べた。

AFP, November 12, 2012、al-Akhbar, November 13, 2012、Akhbar al-Sharq, November 12, 2012, November 13, 2012、al-Ba’th, November 13, 2012、al-Hayat, November 13, 2012、Kull-na Shuraka’, November 12, 2012、al-Kurdiya News,
November 12, 2012、Naharnet, November 12, 2012、Reuters, November 12, 2012、SANA,
November 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国民評議会とそれ以外の反体制活動家が「シリア反体制勢力革命諸勢力国民連立」(シリア国民連合)を結成することで合意(2012年11月11日)

反体制勢力の動き

米国などが主導するシリアの反体制勢力の大会(「ともにシリアのために」会合)に参加したシリア国民評議会とそれ以外の反体制活動家は、「シリア反体制勢力革命諸勢力国民連立」(日本のメディアは「シリア国民連合」と呼称)を結成することで合意した。

『ハヤート』(11月12日付)などによると、合意文書には、シリア国民イニシアチブ構想を提案し、米国の支援のもとに同会議を主導してきたリヤード・サイフ元議員、シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長、シリア・ムスリム同胞団アリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者、シリア革命評議会のハイサム・マーリフ代表(暫定政府首班)、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相らが署名した。

またクッルナー・シュラカー(11月12日付)によると、シリア反体制勢力革命国民連立には63人が参加(参加予定も含む)した。

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シリア反体制勢力革命国民連立設立合意の全文は以下の通り:

1. シリア国民評議会と本会議に出席したそれ以外の反体制勢力の当事者は、シリア革命反体制勢力国民連立の結成に合意する。同連立のメンバーはシリアのすべての反体制勢力に対して開かれている。同合意はカタールがアラブ連盟との調整のもとに行った呼びかけの成果である。各当事者の代表の比率は内規により連立に明示される。
2. 当事者は、体制の象徴および主柱を打倒し、シリア人に対する犯罪に関与した者への制裁として治安機関を解体することを合意する。
3. 連立は体制とのいかなる対話、交渉をも行わない旨遵守する。
4. 連立は、審議と採択を経て承認される内規を持つ。
5. 連立は、革命軍事書評議会を統合し、それらを最高軍事評議会の傘下に置くべく支援する。
6. 連立は、シリア国民司法委員会を設置し、個別の決定によりその活動組織リストを発する。
7. 連立は、その活動に必要な技術特別諸委員会を設置し、諸委員会の数、発足のしくみ、活動内容などを限定するため個別の決定を発する。
8. 連立は、暫定政府を発足することで、国際的な承認を得る。
9. 連立は、体制打倒後ただちに国民総会の開催を呼びかける。
10. 連立および暫定政府は、国民総会開催と移行政権発足後に連立が発する決定に基づき解体される。
11. 同合意は、各当事者による批准と、シリア問題閣僚委員会(カタールが議長国)によるアラブ連盟への同合意の付託をもってのみ発効する。

全文(アラビア語)はhttp://all4syria.info/Archive/58917を参照。

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クッルナー・シュラカー(11月12日付)によると、シリア革命反体制勢力国民連立の結成合意文書に署名したのは以下の62人(63人)

1. スハイル・アタースィー(シリア革命総合委員会)
2. ウマル・イドリビー(地元調整諸委員会)
3. アフマド・アースィー・ジャルバー(シリア部族革命評議会)
4. ムハンマド・サーブーニー(シリア・ウラマー連盟)
5. サーディク・ジャラール・アズム(シリア作家連盟)
6. ムスタファー・サッバーグ(シリア・ビジネスマン・フォーラム)
7. ハーリス・ナッバハーン(市民権潮流)
8. ハイサム・マーリフ(シリア革命評議会)
9. バッサーム・ユースフ(自由民主シリアのための「ともに」潮流)
10. ヤフヤー・ウカーブ(シリア国民民主ブロック)
11. ハーリド・ハウジャ(トルクメン組織)
12. ズィヤード・ハサン(トルクメン組織)
13. フサイン・アブドゥッラー(トルクメン組織)
14. アブドゥルハキーム・バッシャール(シリア・クルド国民評議会、シリア・クルド民主党、個人として参加)
15. ムスタファー・ウースー(シリア・クルド国民評議会、シリア・クルド・アーザーディー党、個人として参加)
16. ムハンマド・アブドゥー・カッドゥー(シリア・クルド国民評議会)
17. アブドゥルイラーフ・アブドゥルマイーン・ファフド(ヒムス地元評議会)
18. ムスタファー・ナウワーフ・アリー(ラッカ地元評議会)
19. リーマー・フライハーン(スワイダー地元評議会)
20. ジャワード・アブー・ハトブ(ダマスカス郊外地元評議会)
21. リヤード・ハサン(ダイル・ザウル地元評議会)
22. ムーサー・ムハンマド・ハリール(クナイトラ地元評議会)
23. アフマド・ムアーッズ・ハティーブ(ダマスカス地元評議会)
24. ズィヤード・ガッサーン(ラタキア地元評議会)
25. ムハンマド・アブドゥッサラーム・サイイド(タルトゥース地元評議会)
26. ムハンマド・カッダーフ(ダルアー地元評議会)
27. アドナーン・ラフムーン(イドリブ地元評議会)
28. ジャラール・ハーンジー(アレッポ地元評議会)
29. サラーフッディーン・ハマウィー(ハマー地元評議会)
30. ムハンマド・ムスタファー・ムハンマド(ハサカ地元評議会)
31. ハーリード・アブー・サラーフ
32. ヤフチャー・クルディー
33. アリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー(シリア・ムスリム同胞団)
34. アブドゥルカリーム・バッカール
35. ナジーブ・ガドバーン
36. タウフィーク・ドゥンヤー
37. ズィヤード・アブー・ハムダーン(ムンタハー・アトラシュの代理人)
38. カマール・ルブワーニー(シリア国民行動グループ)
39. リヤード・サイフ
40. ジョルジュ・サブラー(シリア国民評議会)
41. アブドゥルバースィト・スィーダー(シリア国民評議会)
42. ムハンマド・ファールーク・タイフール(シリア国民評議会/シリア・ムスリム同胞団)
43. ブルハーン・ガルユーン(シリア国民評議会)
44. ナズィール・ハキーム(シリア国民評議会)
45. サミール・ナッシャール(シリア国民評議会)
46. アフマド・ラマダーン(シリア国民評議会)
47. ジャマール・ワルド(シリア国民評議会)
48. フサイン・サイイド(シリア国民評議会)
49. ハーリド・サーリフ(シリア国民評議会)
50. ヒシャーム・ムルーワ(シリア国民評議会)
51. アブドゥルアハド・アスティーフー(シリア国民評議会)
52. サーリム・ムスラト(シリア国民評議会)
53. ナジャーティー・タイヤーラ(シリア国民評議会)
54. バッサーム・イスハーク(シリア国民評議会)
55. ムティーウ・バティーン(シリア国民評議会)
56. ハーリド・ナースィル(シリア国民評議会)
57. ムハンマド・サルミーニー(シリア国民評議会)
58. ルワイユ・サーフィー(シリア国民評議会)
59. ムハンマド・ハドル・ワリー(シリア国民評議会)
60. ハナーン・バルヒー(シリア国民評議会)
61. ワースィル・シャムリー(シリア国民評議会)
62. ミシェル・キールー(シリア民主フォーラム:支持を表明、近く声明を発表)
63. 離反者代表(参加予定)

以上の参加者はほぼ全員が在外活動家。国内で活動する著名な組織・活動家は含まれていない。

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合意文書署名後、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーは、議長、副議長、書記長の選挙を行った。

Kull-na Shuraka', November 11, 2012
Kull-na Shuraka’, November 11, 2012

議長選挙には、ウマイヤ・モスクの元イマームのアフマド・ムアーッズ・ハティーブ(1960年、ダマスカス県生まれ)1人が立候補し、クッルナー・シュラカー(11月11日付)によると、ハティーブが54票を獲得して議長への就任を承認された。

また副議長選挙には、リヤード・サイフとスハイル・アタースィーが立候補し、それぞれ37、32票を獲得、また書記長選挙にはムスタファー・サッバーグが立候補し、28票を獲得した。

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『ハヤート』(11月12日付)によると、シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー前事務局長は、シリア国内で活動するシリア・クルド国民評議会のバッシャール・アミーン事務局長と電話で会談、アミーン事務局長が連立結成の合意文書への署名を48時間猶予したいと申し出ていることを明らかにした。

バースィト前事務局長によると、シリア・クルド国民評議会のメンバーは2人が大会に参加しているが、組織としての参加はしていない、という。

スィーダー前事務局長は、同連立のもとに暫定政府が樹立されれば、国際社会の承認を得るだろう」と述べた。

また暫定政府の閣僚の人数に関しては、「多くはならないだろう」と述べる一方、暫定政府の本部については、「解放区に設置すべく議論が集中的に行われている」と述べた。

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リヤード・サイフ元議員は、シリア国民イニシアチブ構想に関して、「早急に体制を打倒するというすべての戦闘員、革命運動体の努力の統合を支援し、政府の重火器に対する自衛を支援する武器の入手することが目的だ」と述べた。

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シリア国民評議会メンバーでダマスカス宣言シリア国内事務局のサミール・ナッシャール事務局長は、『ハヤート』(11月12日付)に対して、シリア反体制勢力革命国民連立の結成合意文書への署名が「シリアの友連絡グループ諸国…とりわけ米国の圧力のもとに行われた」と批判した。

そのうえで、「我々は署名を留保する…。なぜなら先行きが不明瞭で、バッシャール・アサドの運命を明示していない政治的解決に向けたプログラムへの署名を拒否するからだ…。それは自由シリア軍の支援も明記していない。バッシャール、そして治安機関に代表される彼の組織を打倒すること以外のいかなる政治的解決も受け入れない」と述べた。

また「私は反体制勢力の会合の会場に行くことを拒否した…。ダマスカス宣言は合意への署名を拒否する。また連立の組織形態を拒否する。会場に行くことを拒否した運動体のメンバーは(私以外にも)複数いる」と述べた。

さらに「私はバッシャールがいようといまいと、アサド体制が今と同じような構成で再生産されることを拒否する」と付言した。

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『ハヤート』(11月12日付)は、シリア国民評議会筋が「シリア危機の政治的解決のありようをめぐって、ロシアと米国が相互理解に達しているとの情報をロシアに近い筋から得たと語った」と報じた。

同報道によると、この相互理解とは、①アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の提案に基づき平和維持軍をシリアに派遣する、②ロシアの意向を反映し、シリア国民評議会に代わる新たな政治的組織を設立する、③アサド大統領の進退についての条件をもうけずにアサド政権と反体制勢力の対話を推し進める、という3点からなる、という。

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クッルナー・シュラカー(11月12日付)は、ナウワーフ・ラーギブ・バシール(ダマスカス宣言事務局メンバー)がトルコからハサカ県ラアス・アイン市に入国し、アドワーン部族のシャイフらと会談した、と報じた。

なおこの会談後、ムハンマド・フルウ・フルウ人民議会議員(ハサカ県選挙区B部門)が離反し、トルコに避難したと報じられたが、事実確認は取れていない。

国内の暴力

イドリブ県では、SANA(11月11日付)によると、軍・治安部隊が反体制武装勢力「残党」に対する掃討作戦を強化した。

同報道によると、サッラ・ズフール村周辺、イドリブ市入り口(サルキーン市に向かう街道)、ハーリム市、サルミーン市南部、タフタナーズ市周辺などで掃討作戦を行い、多数の戦闘員を殺害した、という。

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アレッポ県では、SANA(11月11日付)によると、アレッポ市シャイフ・サイード地区、アグユール地区、ハイダリーヤ地区、ブスターン・カスル地区、ブスターン・バーシャー地区、ライラムーン地区、カフルハムラ村、アターリブ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を行った。

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ダマスカス県では、SANA(11月11日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(11月11日付)によると、シャイフ・マスキーン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

SANA, November 11, 2012
SANA, November 11, 2012

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月11日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦市、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き

アサド大統領は、アドナーン・マフムードを駐イラン・シリア大使に任命した。

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DamasPost(11月11日付)は、ワフダ新聞印刷出版公社のハルフ・ミフターフ社長が情報省情報担当次官に就任した、と報じた。

ミフターフの後任には、イフバーリーヤ・チャンネルのフアード・シュルバジー社長が就任する見込み。

AFP, November 11, 2012、Akhbar al-Sharq, November 11, 2012、DamasPost, November 11, 2012、al-Hayat, November 12, 2012、Kull-na Shuraka’, November 11, 2012, November 12, 2012, November 12, 2012、al-Kurdiya News, November 11, 2012、Naharnet, November 11, 2012、Reuters, November 11, 2012、SANA, November 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

国内の反体制組織・活動家らが「ドーハでの反体制勢力の会合の計画を拒否する」との意思を示すなか、ハサカ県では民主統一党と軍・治安部隊による交渉がもたれた末に前者が2市を掌握(2012年11月10日)

反体制勢力の動き

『ハヤート』(11月11日付)によると、国内の反体制組織・活動家らやシリア国民諸勢力が共同声明を発表し、「ドーハでの反体制勢力の会合の計画を拒否する」との意思を示した。

この共同声明には、12の組織が参加、それらの代表者である自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐、シリア・レジスタンス現地大隊のサアド・ウカイディー、バヒーヤ・マールティーニー(クルド人)、シャーム自由人党のイブラーヒーム・ズウビー、国民変革潮流のアンマール・カルビーらが署名している。

同声明は、ドーハでの会合に参加する反体制勢力を「革命の誠実な申し子たちを排除する者」と批判し、会合で「準備された争点そのものに疑義を呈する」としたうえで、「革命成就後に、我々国民が望まないことを誰も押しつけることはできない」と主張した。

そのうえで、「祖国のなかで、民間人と軍人の対話を始め、国内で真の国民議会を設置し、長きにわたる苦しみを終えるべく、あなたたち(国民)の望みを代弁する」と締めくくった。

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米国とリヤード・サイフ元議員の主導のもと11月8日にドーハで開会された反体制勢力の大会(「共にシリアのために」会合)に、シリア国民評議会の新執行部が参加、他の反体制組織との協議に入った。

『ハヤート』(11月11日付)によると、両陣営は、体制打倒と自由シリア軍支援において原則合意したが、リヤード・サイフ元議員が提示したシリア国民イニシアチブに代えて、反体制勢力の「連立」に向けた議論が進められ、「シリア国民評議会が連立において大きなウェイトを持つ」かたちの調整がめざされている、という。

会合には、カタールのハーリド・アティーヤ外務担当国務大臣、UAEのアブドゥッラー・ブン・ザーイド外務大臣、ロバート・フォード駐シリア米大使らも同席した。

『ハヤート』(11月11日付)によると、アティーヤ外務担当国務大臣は、カタールがシリア国民評議会の存続を支持し、シリア国民イニシアチブ委員会をその代替とみなさない、と明言した。

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シリア国民評議会のアフマド・ラマダーン執行部メンバーによると、大会で評議会は「自らのビジョン」を提示する一方、サイフ元議員によるシリア国民イニシアチブ委員会の設置の是非に向けて協議を行っている、という。

ラマダーンは、サイフ元議員の提案に基づいてシリア国民イニシアチブ委員会が設置されることを妨げないが、このことはイニシアチブそのものに同意したことを意味せず、また評議会はシリア国民イニシアチブ委員会が設置されても参加しないだろう、と述べた。

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AFP(11月10日付)によると、シリア国民評議会は、ドーハで開催中の反体制勢力の大会で、暫定政府発足などを骨子とする新提案を提示するという。

同提案は、①暫定政府、②シリアの友連絡グループの呼びかけに応え、その支援を受け入れるためのシリア国民支援基金、③国内軍事司令部合同指導部、④シリア司法委員会、という四つの組織からなる。

また、「シリア国内での反体制勢力の大会によって暫定政府が樹立されるまで」、この暫定政府が施政権を担うことが定められている、という。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー新事務局長は就任後初の記者会見で、米国の後援のもとにリヤード・サイフ前議員が提案したシリア国民イニシアチブ構想に関して、「シリア国民評議会はシリア国民イニシアチブをはじめとするいかなるイニシアチブよりも古い。我々に求められているのは、国民的な構想に向けて進むことで、別の路線の旗のもとに集うことではない」と述べた。

また「我々は同胞と開かれた対話に入り、彼らのイニシアチブを精査した。しかし、我々には我々の見方、考え方があり、それを提示するだろう」と付言した。

SANA, November 10, 2012
SANA, November 10, 2012

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がマアッラト・ヌウマーン市周辺部での進軍を続け、付近の国際幹線道路や周辺の多くの村々を奪還した。

しかし、マアッラト・ヌウマーン市は、反体制武装勢力が占拠している、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市で連続爆破テロが3件発生し、少なくとも兵士20人が殺害された。

爆破テロのうち2件は爆弾を積んだ車による自爆テロで、将校クラブが標的となった。また残る1件は市内のスタジアム近くで発生した。

SANA(11月10日付)によると、反体制武装勢力によるこのテロで7人の市民が犠牲となった。

SANA, November 10, 2012
SANA, November 10, 2012

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ザーヒラ地区で、車に仕掛けられた爆弾が爆発した。

またタダームン区では、反体制武装勢力が軍・治安部隊の検問所を襲撃し、両者が交戦した。

一方、SANA(11月10日付)によると、反対武装勢力がダッフ・シューク地区で爆弾を車に仕掛けて爆発させ、複数の市民が負傷した。

またジョルジュ・フーリー広場に面する民家に、反体制武装勢力が迫撃砲を発射し、複女性2人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市郊外で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(11月10日付)によると、ハラスター市郊外などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

またナブク市で、反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が誤爆し、戦闘員全員が死亡した。

このほか、クッルナー・シュラカー(11月10日付)は、ジュダイダ・シャイバーニー調整の活動家の話として、反体制活動家のムハンマド・バッシャール・スンウーバル医師が数度にわたる逮捕のち、11月6日にラマール検問所で殺害された、と報じた。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、イスラエル占領地近くで、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のために砲撃を行った。

また反体制武装勢力2人が、フッリーヤ村の治安部隊の検問所を襲撃した。

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アレッポ県では、SANA(11月10日付)によると、アナダーン市、バーブ市、ハンダラート・キャンプ、アレッポ市フィルドゥース地区、アグユール地区、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジト、拠点などを攻撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月10日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力(ターリク・ブン・ズィヤード旅団)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(11月10日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、バーブ・フード地区、タルビーサ市、ラスタン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

クルド民族主義勢力の動き

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、民主統一党と住民の要請により、ダルバースィーヤ市とタッル・タミル市から軍・治安部隊が退去、同党が両市を掌握した。

シリア人権監視団のアリー・アブドゥッラフマーン代表によると、人民防衛隊と住民が「両市の警察、軍事情報局、総合情報部などの治安施設を長時間にわたって包囲」、アイン・アラブ市と同様の戦闘を回避するための交渉を軍・治安部隊と行い、軍・治安部隊は両市から退去した、という。

なお民主統一党の人民防衛隊はこれをうけ、ダルバースィーヤ国境通行所も掌握した。

クッルナー・シュラカー(11月10日付)によると、このほかにも、アブー・ラースィーン市、タッル・バイダル村からも軍・治安部隊が退去した、という。

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『ハヤート』(11月11日付)によると、この退去を受け、ハサカ県はハサカ市、カーミシュリー市、カーミシュリー国境通行所以外が、クルド民族主義勢力と反体制武装勢力のいずれかに掌握された、という。

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『ハヤート』(11月11日付)は、クルド人活動家の話として、民主統一党人民諸委員会が、クルド人避難民に対して、軍・治安部隊が退去したハサカ県ラアス・アイン市に戻るよう呼びかけている、という。

複数のメディアによると、自由シリア軍のラアス・アイン市襲撃により、住民のほとんどは市外に避難、うち約5,000人がトルコ領内に逃れていた、という。

レバノンの動き

シリアの複数の反体制筋によると、ヒムス市サフサーファ地区で、ヒズブッラーの民兵の司令官の一人バースィル・ハマーダが反体制武装勢力との戦闘中に死亡した。

スカイニュース(11月11日付)によると、この戦闘では、ヒズブッラーの戦闘員複数が負傷した。

諸外国の動き

『クドス・アラビー』(11月10日付)は、シリアの信頼できる複数の消息筋の話として、10月10日にトルコのアンからに強制着陸させられたモスクワ発シリア・アラブ航空旅客機の積荷のなかに、ADE651(英国製爆発物探知機)などが含まれていた、と報じた。

AFP, November 10, 2012、Akhbar al-Sharq, November 10, 2012、al-Hayat, November 11, 2012、Kull-na Shuraka’, November 10, 2012、al-Kurdiya News, November 10, 2012、Naharnet, November 10, 2012、al-Quds al-‘Arabi, November 10, 2012、Reuters, November 10, 2012、SANA, November 10, 2012、Sky News, November 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国民評議会事務局がドーハで執行部・事務局長選挙を実施する一方、人民防衛隊が軍・治安部隊不在のハサカ県アームーダー市およびダルバースィーヤ市を掌握(2012年11月9日)

国内の暴力

クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ブライカ地方、ビイル・アジャム地方、ハルシュ地方で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、双方に合わせて3人の死者が出た。

軍は、同地方に潜伏する反体制武装勢力の掃討をめざしている、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市の市役所前で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、4人が死亡した。

またダーライヤー市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

一方、SANA(11月9日付)によると、サイイダ・ザイナブ町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、クーリーヤ市への砲撃で12人が死亡した。

しかし、SANA(11月9日付)は、クーリーヤ市での砲撃を否定した。

またSANA(11月9日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カフルスーサー区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

一方、SANA(11月9日付)によると、軍・治安部隊がタダームン区で殺戮・破壊活動を行う反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、米国製の武器などを押収した。

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アレッポ県では、SANA(11月9日付)によると、カフルハムラ村・ライラムーン地区間の街道、ダイル・ハーフィル市、バーブ市・ラーイー街道、カフルハムラ村、フライターン市、ズィルバ村、アレッポ市シャイフ・サイード地区、ライラムーン地区、スッカリー地区、カッラーサ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、アジトなどを破壊した。

一方、ダマス・ポスト(11月9日付)は、バアス党アレッポ支部指導部のヒラール・ヒラール書記長が、バアス党員の志願者約5,000人から編成される「バアス大隊」が軍・治安部隊とともに反体制武装勢力との戦闘に参加していることを明らかにしたと報じた。

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ヒムス県では、SANA(11月9日付)によると、ハウラ地方、ヒムス市ワアル地区、アルメニア地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(11月9日付)によると、ガーブ地方のジブリーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の動き

インターネットなどでは、「ダマスカスへの進軍の時」と銘打った反体制デモが呼びかけられた。

ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団などによると、デモは、ダマスカス郊外県ドゥーマー市、ダマスカス県カーブーン区、ジャウバル区、バルザ区、アサーリー地区、ハマー県カフルヌブーダ町など各地、ダルアー県、アレッポ県、ハサカ県、イドリブ県、ダイル・ザウル県でデモが発生したという。

デモでは、RTでのアサド大統領の発言(「シリアで死ぬ」を受けるかたちで、「バッシャールよ、我々は今度こそ嘘をつかないことを願っている」といったシュプレヒコールをあげて、退陣と体制打倒を呼びかけた。

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『ティシュリーン』(11月9日付)は、2011年3月以来、シリア国内で12,461台の自動車が盗難に遭った、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の事務局は、カタールの首都ドーハで執行部選挙および事務局長選挙を実施した。

執行部選挙に先立って、シリア革命最高評議会のワースィル・シャマーリーが事務局メンバーの地位をジョルジュ・サブラーに譲り、またサブラーがシリア革命最高評議会に加入した。

これに関して、シャマーリーは、「よりよい役割を果たすものを優先すべく、事務局におけるポストをサブラーに譲った」と述べた。

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執行部選挙での当選者および獲得票数は以下の通り。

  • ジョルジュ・サブラー(35)
  • ヒシャーム・ムルーワ(36)
  • ファールーク・タイフール(30)
  • アブドゥルバースィト・スィーダー(27)
  • サーリム・アブドゥルアズィーズ・ムスラト(31)
  • アブドゥルアハド・アスティーフー(30)
  • ハーリド・サーリフ(29)
  • ジャマール・ワルド(25)
  • フサイン・サイイド(29)
  • ナズィール・ハキーム(22)
  • アフマド・ラマダーン(21)

なお執行部選挙には20人が立候補した。落選者は以下の通り。

  • ハーリド・ナースィル
  • バッサーム・イスハーク
  • アブドゥルカリーム・アーガー
  • バドル・ジャームース
  • ウサーマ・シュルバジー
  • ハリール・ハーッジ・サーリフ
  • ズィヤーダ・アブー・ハムダーン
  • ムラッヒム・ダルービー
  • スライマーン・ヒラーキー

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執行部選出を受け、事務局長の選挙が実施された。

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事務局長選挙には、ジョルジュ・サブラーとヒシャーム・ムルーワが立候補し、投票の結果、ジョルジュ・サブラーが8票を獲得して、事務局長に選出、かくして事務局選挙人落選した活動家が一転、シリア国民評議会の第3代事務局長に就任した。

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ジョルジュ・サブラーは1947年、ダマスカス郊外県カタナー市生まれ。ギリシャ正教徒。元教師。シリア民主人民党(旧シリア共産党政治局派)の書記長を務める。2012年春に海外に逃れた。

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トルコでの避難生活を終え、対トルコ国境のシリア領内に潜伏する自由シリア軍最高軍事評議会議長のムスタファー・シャイフ准将は、AFP(11月10日付)に対して、自由シリア軍を組織再編し、反体制武装勢力の統合を行い、近く新指導部の「選挙」を行うと述べた。

シャイフ准将によると、自由シリア軍は過去10日での再編作業により、北部旅団、南部旅団、東部旅団、西部旅団、海岸地上旅団の5旅団に再編された、という。

また近く、新指導部を「選挙」によって選び、組織的活動を行うことで、国際社会の信用を得たいとしている。

さらに、シリア国外を拠点としている非難に反論するかたちで、「司令官や士官は、前線から離れていてはならない」としたうえで、200人の士官を「解放区」の一つにトルコから派遣したと述べた。

シャイフ准将によると、国軍兵士の半数が離反したが、離反兵の半数は当局に逮捕され、自由シリア軍が約70,000人の兵士からなる、と述べたうえで、「自由シリア軍はすべてのシリア人を代表している」と豪語した。

一方、シリア国民評議会を指導するシリア・ムスリム同胞団に関して、シャイフ准将はシリア国民を代表していないと非難した。

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トルコ当局によると、少将2人を含むシリア軍士官26人が離反し、トルコに逃走した。ロイター通信(11月9日付)などが報じた。

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クッルナー・シュラカー(11月9日付)によると、地元調整諸委員会がシリア国民評議会からの脱会を決定したことに対して、評議会に参加する「地元調整諸委員会ブロック」代表および同ブロックの半数以上のメンバーが、脱会を拒否した、と報じた。

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ヤーラー・ナスィールは声明を出し、シリア国民評議会からの脱会を発表した。

評議会が革命を指導するすべての勢力を代表し得なかったことがその理由。

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シリア国民評議会事務局選挙に落選したアディーブ・シーシャクリーは声明を出し、評議会からの脱会を発表した。

評議会が組織改編に失敗し、国内外での信頼醸成に失敗したことが理由。

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シリア救援医療機構のタウフィーク・シャンマ報道官はジュネーブで記者会見を開き、シリア赤新月社宛に送付されている国際人道支援物資の90~95%が、シリア政府、とりわけ軍を支援するために横流しされている、と指摘・非難した。

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自由シリア軍バッラー大隊はフェイスブック(11月9日付)に、捕捉した軍・治安部隊兵士の映像を公開した。

http://www.youtube.com/watch?v=16TRP0zKeak

クルド民族主義勢力の動き

『ハヤート』(11月10日付)によると、シリア・クルド民主党(アル・パールティー)のムハンマド・イスマーイールは、ラアス・アイン市に潜入した反体制武装勢力の戦闘員のほとんどが「ジハード主義者」だったことを明らかにした。

al-Kurdiya News, November 9, 2012
al-Kurdiya News, November 9, 2012

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クルディーヤ・ニュース(11月9日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市への自由シリア軍の潜入に関して、大多数の住民が市外への避難を余儀なくされるなか、一部の住民が自由シリア軍とともに、軍・治安部隊を襲撃していた、と報じた。

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クルディーヤ・ニュース(11月9日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市で、民主統一党の人民防衛隊(YPG)が、シリア・クルド国民評議会によるデモに発砲し、少なくとも5人が負傷したと報じた。

デモは平和的に行われたが、参加者は委任統治時代のシリアの国旗を掲揚するなどして、民主統一党支持者を挑発した、という。

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クルディーヤ・ニュース(11月9日付)は、ハサカ県のアームーダー市、ダルバースィーヤ市から軍・治安部隊が撤退し、民主統一党人民防衛隊(YPG)が両市を掌握したと報じた。

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クルディーヤ・ニュース(11月9日付)は、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣が、反体制勢力の大会に参加するためにドーハに滞在中のシリア・クルド国民評議会使節団と会談し、「クルド人テロ組織に反対の立場をとる」と述べ、民主統一党の排除を求めた、と報じた。

これに対して、使節団は、民主統一党を「テロ組織」とみなすダウトオール外務大臣の姿勢に異議を唱え、民主統一党がPKKの下部組織ではないと反論した。

諸外国の動き

アフバール・シャルク(11月9日付)は、イスラエルが占領するゴラン高原での迫撃砲着弾や非武装地帯へのシリア軍戦車の進入に関して、イスラエルの複数の消息筋の話として、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が、米国のユダヤ人を通じて、「高原内のイスラエル入植地への攻撃を許さない」とのアサド大統領の確約を得たと報じた。

アサド大統領はまた、占領地に着弾した迫撃砲が軍ではなく「破壊分子」が発射したものだと伝えた、という。

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国連難民高等弁務官によると、過去48時間で約11,000人がシリア国外に避難した。うち約9,000人がトルコへ、約1,000人がヨルダンへ、約1,000人がレバノンに入国した、という。

AFP, November 9, 2012、Akhbar al-Sharq, November 9, 2012、Damas Post, November 9, 2012、al-Hayat, November 10, 2012、Kull-na Shuraka’, November 9, 2012、al-Kurdiya News,
November 9, 2012、Naharnet, November 9, 2012、Reuters, November 9, 2012、SANA,
November 9, 2012、Tishrin, November 9, 2012などをもとに作成。

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アサド大統領がRTテレビによるインタビューのなかでシリアの敵がテロと不安定化であることを強調する一方、米国とサイフ元議員が主導する反体制武装勢力の大会が開会(2012年11月8日)

アサド大統領のインタビュー

アサド大統領はRTテレビ(11月8日付)のインタビューに英語で応じ、外国によるシリア侵略が世界が耐えることのできない惨劇をもたらし、それは大西洋から太平洋にいたる全世界に波及するだろうと述べるとともに、シリアの敵がテロと不安定化であることを強調した。

SANA, November 9, 2012
SANA, November 9, 2012

インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り:

「我々の敵はテロと不安定化であって、人ではない。問題は私が(大統領職に)とどまるか去るかではない。また国が安全かどうかというものでもない。つまり、これ(テロと不安定)が我々がシリア人として戦っているものだ」。

「当初から私が標的だったのではない。私が問題だったのではない。西側はいつも敵を作り出してきた。過去においては共産主義がそうだったし、その後はイスラーム教、そしてサッダーム・フサインが西洋の敵となった。現在、彼らは「バッシャール」という新たな敵を作りたいと思っている。だから彼らは問題が大統領があり、彼が去るべきだと言っているのだ」。

「私はそれ(紛争の解決)ができる人間でなければならないし、そうだろうと考えている。しかし、それは大統領の権限とは関係ない。社会全体に関わる問題だ。この点を厳密にしておかなければならない。大統領は組織がなければ何もできないし、国民の支持がなければ何もできない。だから、今の戦いは、大統領としての戦いなのではない。シリアとしての戦いなのだ。すべてのシリア人が今、国を守ることに関わっている」。

「もう一度、正確に言いたい。問題は私と国民の間の問題ではない。私と国民の間には何の問題もない。米国、西欧、トルコ、そして多くのアラブ諸国が私に反対しているだけだ。もしシリア国民が私に反対しているなら、なぜ私がここにいられるのか?世界、そして世界の人々の大多数が私に反対しているなら、なぜ私がここにいられるのか?私はスーパーマンではない。人間だ…。我々は内戦状態にあるのではない。それはテロに関わる問題であり、テロリストがシリアを不安定化させるため、外国が支援しているのだ」。

「(国内に)対立はあるが、それは内戦を意味しない…。内戦はエスニック・宗派問題に基づいているはずだ。むろん、エスニック・宗派対立があるかもしれないが、それが問題をもたらしているのではない」。

(国民がアサド大統領の続投を望んでいるかとの問いに対して)「人々が考えることが正しいことだ…。私は人々が何を考えているのかを言いたくはない」。

「平時において、たとえ国内にテロリズムのような敵がいようと、我々は軍、諜報機関をもって外敵に焦点を合わせている。なぜなら社会はテロの温床が作られないよう我々に協力してくれているからだ。しかし今は、プロキシを通じたテロ、という新たな戦争が行われている…。これは新たなかたちの戦争であり、我々はこのかたちに適用するのに時間を要してしまっている…。しかも、テロリストが武器、資金、政治といった面で受けている支援はこれまでにない規模だ…。つまりシリアのような小さな国が、プロキシを通じて我々に戦いを挑んでいる国々に数日、数週間で勝利できるなどと期待すべきでない」。

「テロリストは、民間人が暮らす都市のなかで戦っている。この手のテロリストと戦う場合、我々は、インフラや民間人へのダメージを最小限にとどめることに配慮しなければならない。にもかかわらず、我々は戦わねばならず、しかもテロリストの殺戮や破壊を放置してはおけない。この手の戦争で困難なのはこういた事情があるからだ」。

「彼らが世界の様々な場所から外国人戦闘員を送り込むことをいつ止めるのかを明言しなければ、そのこと(テロにいつ勝利するか)に答えることはできない…。彼らが止めれば、「数週間ですべてを終わらせることができる」と私は言うことができる。

「私はそれ(トルコとの戦争)が起きるとは考えない。なぜなら、戦争は大衆の支持を必要とするが、トルコ国民の大多数は、シリアとの戦争を望んでいないからだ…。エルドアンは、ムスリム同胞団が地域、とりわけシリアで政権を握れば自分の政治的未来が保証されると考えている…。また彼は、自分が新たなスルターンで、オスマン帝国時代のようにすべてを支配できると勘違いしている」。

「私は彼ら(アル=カーイダ)が(反体制勢力を)統制しようとしているとは考えていない。彼らは自分自身の王国、首長国を作ろうとしている。彼らは今、爆発、暗殺、自爆を通じて人々を脅迫し、そうすることで人々が絶望し、現実を受け入れるだろうと考えている」。

「我々は真にシリアを支援したいと考える人(反体制勢力)なら誰とでも対話をする。しかし、我々の危機を自分自身の利益のために利用しようとする者との対話で時間を浪費するつもりはない」。

(軍が戦争犯罪を犯しているとの人権団体などの非難に関して)「論理を欠いている主張だ。なぜならシリア軍はシリア国民からなっている。国民に対して罪を犯そうすれば、軍は解体するだろう。それゆえ国民を殺害する軍は強力であるはずない。さらにシリアの大衆に擁護されていなければ、軍が20ヶ月も困難な状況下で持ちこたえるはずない」。

(シリアを去らねばならないとしたらどこに亡命するかとの問いに対して)「私はシリアからシリアに移動する。我々が暮らすことができる唯一の場所だからだ。私は操り人形ではない。私は西側によって作り出されたものでないし、西側などの国に行くことはない。私はシリア人だ。シリアが私を作り出したのだ。私はシリアで暮らし、シリアで死なねばならない」。

映像はhttp://www.youtube.com/watch?v=pdH4JKjVRyA&feature=relmfuを参照。
全文はhttp://sana.sy/eng/21/2012/11/09/451662.htmを参照。

http://www.youtube.com/watch?v=pdH4JKjVRyA&feature=relmfu

国内の動き

アントゥーン・マクディスィー外務在外居住者省報道官は、「シリアの体制は長く続かない」とのアラブ連盟ナビール・アラビー事務総長の発言(7日)に対して、シリアを破壊しようとする国やテロ組織に荷担する発言だと非難した。

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SANA(11月8日付)は、シリアの外務在外居住者省高官の話として、「シリアは日本政府が対シリア制裁強化のための国際会議の開催を決定したことを知り、大きな遺憾の意を感じていると述べ、日本政府に対して、シリアの一般市民にダメージを与えるだけの非道徳的な制裁への姿勢を再考するよう呼びかけた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会総会で7日から8日未明にかけて、事務局選挙が実施され、41人のメンバーが確定した。

41人のうち18人が初当選。また12人がシリア国内の「革命運動」の代表者で、50歳以下は68.3%になった。

事務局選挙当選者の所属会派、氏名は以下の通り:

  • アッシリア・シリア正教ブロック/アッシリア機構:アブドゥルアハド・アスティーフー、サイード・ラフドゥー
  • アレッポ県革命暫定評議会:ムハンマド・ハーッジ・アブドゥッラー(新、アレッポ県出身)
  • クルド・ブロック:アブドゥルバースィト・スィーダー(ハサカ県カーミシュリー市出身)
  • クルド革命運動:イブラーヒーム・ミールー(ハサカ県カーミシュリー市出身)
  • シリア・クルド戦線:フサイン・アブドゥルハーディー・ムハンマド(新)
  • シリア・ムスリム同胞団:ファールーク・タイフーフ(ハマー県出身)、ムハンマド・バッサーム・ユースフ(ヒムス県出身)、アフマド・サイイド・ユースフ(イドリブ県出身)、ムラッヒム・ラーティブ・ダルービー(新、ハマー県出身)
  • シリア自由人連合:ズィヤード・シャフィーク・アブー・ハムダーン(新、スワイダー県出身)
  • ダマスカス宣言:サミール・ナッシャール(アレッポ県出身)
  • トルクメン民主運動:アブドゥルカリーム・アーガー(新、ラタキア県出身)、ハサン・アブドゥッラー(新、ラタキア県出身)
  • 自由人党:バッサーム・イスハーク(シリア正教国民評議会、ハサカ県出身)
  • 革命指導最高評議会:フサイン・サイイド(イドリブ県出身)、ワースィル・シャマーリー(新、ヒムス県出身)
  • 国民ブロック;ヒシャーム・ムルーワ(新、ダマスカス県出身)、ルワイユ・サーフィー(ダマスカス県出身)
  • 国民行動グループ:アフマド・ラマダーン(アレッポ県出身)、ウバイダ・ナッハース(アレッポ県出身)
  • 国民潮流:ハーリド・サーリフ(ダイル・ザウル県出身)、バドル・ジャームース(新、ダマスカス郊外県出身)、ウサーマ・シュルバジー(ダマスカス郊外県ダーライヤー出身)
  • 人民自由潮流:ハーリド・ナースィル(新)
  • 地元調整諸委員会:ハリール・ハーッジ・サーリフ(ラッカ県出身)
  • 部族評議会:サーリム・アブドゥルアズィーズ・ムスラト(新)
  • 民間人保護国民連立:ナズィール・ハキーム(アレッポ県出身)、ハイサム・ラフマ(新、ヒムス県クサイル市出身)
  • 民主無所属ブロック:マルワーン・ハッジュー(ヒムス県出身)、ハーリド・アブドゥッラフマーン・ザイニー(ヒムス県出身)
  • 革命運動(無所属):ムアイアド・カバラーン・ガズラーン(新、ダルアー県出身)、ムハンマド・ワリード(シリア・ムスリム同胞団、ラタキア県出身)、アンマール・アブー・ヒターブ(ダイル・ザウル県出身)、ジャマール・ワーディー(新、ダルアー県出身)、ジャマール・ワルド(ラタキア県出身)、スィナーン・ハターヒト(新、ダマスカス県出身)、アフマド・バックール(新、公正成長変革委員会、ダマスカス県出身)、スライマーン・ヒラーキー(ハマー県出身)、ムハンマド・ダギーム(新、イドリブ県出身)、ムハンマド・アフマド・ウバイド(ダイル・ザウル県出身)

事務局選挙には、総会出席者425人のなかの102人(36リスト)が立候補していた。

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なお事務局選出を受けて実施される事務局長および執行部選挙は11月9日に延期となった。

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シリア民主世俗主義諸勢力連立のフィラース・カッサース総合調整役は声明を出し、シリア革命を支援する政治的方針に関する連立の方針に準じて、シリア国民評議会からの脱会とリヤード・サイフ元議員のシリア国民イニシアチブ構想への不参加を宣言した。

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米国とリヤード・サイフ元議員が主導する反体制武装勢力の大会が開会した。

大会議長はカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣が務め、シリアの友連絡グループ各国の高官らも出席した。

出席した主な各国高官は、UAEのアブドゥッラー・ブン・ザーイド外務大臣、オマーンのユースブ・ブン・アラウィー外務大臣、サウジアラビアのニザール・ウバイド・マダニー外務担当大臣、アフメト・ダウトオール外務大臣、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、GCCのアブドゥッラティーフ・ブン・ラーイド・ズィヤーニー事務局長。

シリア国民評議会のアフマド・ラマダーンが『ハヤート』(11月9日付)に明らかにしたところによると、大会には、シリア国民評議会メンバー24人、シリア各県の自治評議会代表14人、革命諸委員会代表、「市民権と共に」運動(自由民主シリアのための「共に」運動)代表、サーディク・ジャラール・アズム(作家連盟)、ムハンマド・サーブーニー(ウラマー連盟)、アブドゥルカリーム・バッカール、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相、リヤード・サイフ、ブルハーン・ガルユーン、ハイサム・マーリフ(シリア革命評議会代表(暫定政府首班)が出席した。

ラマダーンによると、アレッポの自治評議会代表はシリア国内から参加であるが、それ以外の出席者はいずれも在外活動家であり、またシリア国内で活動しているほとんどの組織、活動家は大会には姿を現していない。

国内の暴力

ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(11月8日付)によると、自由シリア軍が未明にラアス・アイン市内に潜入し、政治治安部、軍事情報局、空軍情報部、総合情報部、バアス党支局などを包囲攻撃、目撃者によると、曙の礼拝のため、市内のトゥラービー・サッカー・スタジアムに集結、その後、襲撃を再開したという。

クルディーヤ・ニュース(11月8日付)は、ラアス・アイン市住民が軍と交戦する自由シリア軍に対して市内から退去するよう要求したと報じた。

しかし、市内の民主統一党人民防衛隊(YPG)、シリア・クルド国民評議会地区委員会は、自由シリア軍とは交戦しなかった、という。

また自由シリア軍は、住民に対して身の安全のために外出しないよう呼びかけている、という。

シリア人権監視団によると、ラアス・アイン市で激しい戦闘があり、反体制武装集団の戦闘員10人と軍兵士16人が死亡した。

またシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、自由シリア軍は二隊に分かれてアイン・アラブ市を襲撃、うち一隊はトルコ領から直接潜入した。

住民の多くは、自由シリア軍の襲撃によって、トルコ国内、ないしはクルド人が暮らす周辺の町に避難を余儀なくされ、アフバール・シャルク(11月8日付)によると、トルコ領内には仮設の避難移設が設営された、という。

一方、シリア・アラブ・テレビ(11月8日付)は、アイン・アラブ市に潜入したテロリストのうち数十人を軍・治安部隊が殲滅、残りの戦闘員は逃走した、と速報を流した。

またトルコの複数のメディアによると、ラアス・アイン市内での戦闘によって、同市に滞在していたトルコ人5人が負傷した。

その後、アフバール・シャルク(11月8日付)によると、自由シリア軍はアイン・アラブ市内の軍事情報局、政治治安部、空軍情報部、市内検問所、および対トルコ国境のアイン・アラブ国境通行所を制圧した。

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ダマスカス県では、複数の活動家によると、反体制武装集団がマイダーン地区の軍検問所を砲撃、これに対して軍は報復として反撃、戦闘に巻き込まれた女性1人を含む2人が死亡した。

活動家によると、「ダマスカスに潜伏する反体制勢力の細胞が、タダームン区、カダム区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市への(軍の)攻勢を軽減するため活動を開始した」という。

これに関して、シリア・アラブ・テレビ(11月8日付)は、「武装テロ集団」がマイダーン地区に砲撃し、女性1人を含む2人が死亡した、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(11月8日付)によると、サイイダ・ザイナブ町で、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、市民3人が死亡、数十人が負傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方で未明の砲撃により民間人2人を含む9人が死亡した。

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アレッポ県では、SANA(11月8日付)によると、アレッポ市マルジャ地区で行われたデモを襲撃し、市民2人を殺害、多数を負傷させた。

デモでは武装テロ集団の退去が求められていた。

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『ハヤート』(11月9日付)は、イスラエル国防軍報道官の話として、イスラエル占領下のゴラン高原の村に迫撃砲弾(不発弾)が着弾した、と報じた。

同報道官によると、砲撃が無差別に行われ、イスラエルを狙ったものではなかった、という。

諸外国の動き

赤十字国際委員会のピーター・マーラー理事は、シリア情勢に関して、「官僚、軍、治安面」での調整(の不備)によって人道支援活動が制限されていると指摘、「シリアの人道状況の悪化に対処するため、即座に我々の活動を展開することができない」と述べた。

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トルコのアブドゥッラー・ギュル大統領は記者団に対して、トルコがシリア情勢に対処するためあらゆる自衛のための兵器を保持する権利を有する、と述べた。

トルコがNATOに対シリア国境地帯のパトリオット巡航ミサイル配備を求めたことを受けた発言。

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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、「我々の情報によると、多くの国、とりわけ中東諸国が、アサドとその家族がシリアを去った場合に、迎え入れると申し出ている」と述べた。

AFP, November 8, 2012、Akhbar al-Sharq, November 8, 2012、al-Hayat, November 9, 2012、Kull-na Shuraka’, November 8, 2012、al-Kurdiya News,
November 8, 2012、Naharnet, November 8, 2012、Reuters, November 8, 2012、SANA,
November 8, 2012, November 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県で軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線と激しく交戦するなか、シリア国民評議会がサイフ元議員の「シリア国民イニシアチブ」プログラムに対抗するための提案を発表(2012年11月7日)

反体制勢力の動き

カタールの首都ドーハで開催中のシリア国民評議会総会で、事務局(40人)選挙が開始され、400人以上の総会出席者が投票を行った。

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シリア国民評議会事務局選挙への立候補者リストは以下の通り。

  • ムスリム同胞団リスト:ムハンマド・ファールーク・タイフール(現職)、ムハンマド・バッサーム・ユースフ(現職)、ラムザ・バラーズィー
  • ムスリム同胞団青年リスト:ムラッヒム・ダルービー、ウマル・ムシャウウィフ、アブドゥッサラーム・ビータール
  • 無所属:ムンズィル・マーフース
  • クルド(国民)ブロック:アブドゥルバースィト・スィーダー(事務局長)、ムナー・ムスタファー、フサイン・ジャウリー
  • 国民行動リスト:アフマド・ラマダーン(現職)、ハッサーン・ハーシミー(現職)
  • ダマスカス宣言:サミール・ナッシャール(現職)、アナス・アブダ(現職)、ミー・シャイフ・アティーヤ(現職)
  • 「未来は我らのもの」リスト:ウバイダ・ナッハース(現職)、ムハンマド・ハーッジ・アブドゥッラー(現職)
  • シリア・ウラマー連盟リスト;フサイン・アブドゥルハーディー・ムハンマド、ムハンマド・ヤースィル・マサディー(現職)
  • 革命指導最高評議会:フサイン・サイイド(現職)、ワースィル・シャマーリー
  • ジョルジュ・サブラー=フサイン・アルワーニー・リスト:ジョルジュ・サブラー(現職)、フサイン・アルワーニー
  • トルクメン国民ブロック:ハサン・アブドゥッラー、アブドゥルカリーム・アーガー
  • ユーフラテス革命家:アンマール・アブー・ハッターブ、ウサーマ・シュルバジー(現職)、リヤード・ハサン、アンマール・ハダーウィー、ハラーウィー・シハーダ
  • 無所属革命運動:ジャマール・ワーディー(現職)、アッバード・カーディリー(現職)、ハーリド・ザイン・アービディーン
  • シャーム・リスト:ジャマール・ワルド(現職)、ビラール・ダーウド、イスマーイール・ハーッジ・バクリー
  • 「平和は庇護のために」リスト:ハーリド・アブドゥッラフマーン・ザイニー(現職)、マンハル・バーリーシュ(現職)
  • 無所属:ムハンマド・ワリード(現職)
  • 変化刷新リスト:スィナーン・ハターヒト、アフマド・バックーラ、ムハンマド・ヤースィル・ハイヤーと、リファーア・アクラマ、リーム・アスィール、ザカリヤー・ファールースィー、アブドゥッラー・サアドッディーン、イーナース・マフムード
  • 市民保護国民連立:ナズィール・ハキーム(現職)、ハイサム・ラフマ、アブドゥルムハイマン・スィバーイー、ナジャーティー・タイヤーラ(現職)、バースィム・ハターヒト(現職)、ムンズィル・サワース
  • 緑のイドリブ・ブロック:アフマド・サイイド・ユースフ(現職)、タリーフ・サイイド・イーサー(現職)、
  • 民主ムスタクバル・ブロック:ムハンマド・ムラウウィフ(現職)、サーミル・カイラーニー
  • 無所属民主主義者ブロック:マルワーン・ハッジュー(現職)、ジョルジュ・ティールー、ウィサーム・マッラーク、ファイサル・ユースフ
  • 部族評議会:サーリム・ムスラト、ハーリド・ダクマーク、マスアブ・ザーミル、カイサル・ドゥーシュ
  • 国民潮流:ハーリド・サーリフ(現職)、バドル・ジャームース(現職)、ムスタファー・ハーミド、ハッバ・サウワーン
  • 自由人潮流:ハーリド・ナースィル、バッサーム・イスハーク(現職)、バディーウ・ハラーワ、ムフイーッディーン・バナーナ
  • シリア自由人連合:ズィヤード・アブー・ハムダーン、マーズィン・ジャバーイー、タイスィール・ナッジャール
  • クルド運動:イブラーヒーム・ミールー、バッサーム・アブドゥッラー、ミーリヤー・ダヒール
  • シリア革命活動家リスト:ハリール・ハーッジ・サーリフ、フライザ・ジャフジャー、ムハンマド・ダルウィーシュ
  • アッシリア・シリア正教ブロック:アブドゥルアハド・イスティーフー(現職)、サイード・ラフドゥー(現職)、ジョルジュ・イスティーフー
  • ハマー革命最高評議会リスト:スライマーン・ヒラーキー、ナビール・ウスマーン(現職)、アディーブ・シーシャクリー

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シリア国民評議会のアナス・アブダ事務局書記は、ドーハでの反体制勢力の大会で目標とされている亡命政府(暫定政府)樹立に関して、7項目からなる提案を発表した。

米国の支援のもと、リヤード・サイフ元議員の「シリア国民イニシアチブ」プログラムに対抗するかたちでなされた提案の7項目は以下の通り:

1. 暫定政府樹立は、すべての反体制勢力が参加する国民総会において樹立するものとし、そこでシリア国民評議会が最大の割合を占める。
2. 可能であれば、国民総会をシリア領内の解放区において開催するための活動を行う。
3. 暫定政府発足は、その任務遂行を可能とするような国際的な承認が確約されることなしに宣言されない。
4. 暫定政府は、外務、国防、避難民・難民問題、人権、保健、情報を担当する省のみから構成される小規模政権とする。
5. 暫定政府発足後も、シリア国民評議会は政権を保護、支援するため、活動と組織を維持する。
6. 国民総大会出席者を確定するための準備委員会、開催地を決定するための技術委員会を設定し、両委員会は2ヶ月以内にその任務を完了する。
7. 国民総大会は、シリア国民評議会、解放区の地元評議会、離反したテクノクラート、無所属の反体制政治勢力、自由シリア軍における愛国的武装レジスタンス勢力の代表300人によって構成する。

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クッルナー・シュラカー(11月7日付)は、ダマスカス郊外県のドゥーマー市で、地元評議会が声明を出し、住民に対して、軍、シャッビーハの「浄化」が完了した解放区での自治に協力するよう呼びかけた、と報じた。

同報道によると、ドゥーマー地元評議会は、同市を12の区画に細分し、各地区に5人からなる地区委員会のほか、医療、生活保護、公的財産・指摘財産保護、教育・文化、文書・書記などを担当する12の特別委員会(5人から構成)の設置を決定した、という。

また、これらの地区委員会、特別委員会、そして議長の25人によって最高意思決定機関の地元評議会を構成し、また11人からなる執行部(議長は選挙で選出)、広報部を設置することを決定した、という。

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(11月8日付)によると、「イスラームの獅子」大隊を名乗るサラフィー主義の反体制武装勢力が人民宮殿(迎賓館)に迫撃砲を発射したが、「失敗した」と報じた。

SANA, November 7, 2012
SANA, November 7, 2012

ダマスカスの市街地を見下ろす山頂にある人民宮殿(カスル・シャアブ)は大統領宮殿(カスル・リアースィー)を呼ばれることから、大統領の公邸だと間違えられることが多いが、実際には外国の要人などとの会談を行うための迎賓館である。

なお「イスラームの獅子」大隊は、ダマスカス県内の航空基地、ムハーバラートの施設を攻撃したとも発表したが、攻撃を受けた形跡はみられない。

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同じく、ダマスカス県では、SANA(11月7日付)によると、マッザ区(マッザ86地区)の住宅街やセルヴィスを反体制武装勢力が迫撃砲で攻撃し、女性を含む市民3人が死亡、数十人が負傷した。

またバルザ区でアバード・ナドワ弁護士が反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾の爆発に巻き込まれ死亡した。

SANA, November 7, 2012
SANA, November 7, 2012

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同じく、ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区でパレスチナ人の人民委員会と反体制武装勢力が激しく交戦した。

また未明に、カダム区で車に仕掛けられた爆弾が爆発した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市などが空爆を受ける一方、ドゥーマー市、ハラスター市などが砲撃を受けた。

同監視団によると、反体制武装集団がハラスター市への突入を試みたという。

一方、SANA(11月7日付)によると、ハラスター市、フジャイラ村、スバイナ町、ザマルカー町、アルバイン市、サイイダ・ザイナブ町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊・押収した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー地区に軍が空爆を加えた。

一方、SANA(11月7日付)によると、カフルナーハー村、サフィーラ市、アイス村、ICARDA近く、カフルハムラ村、アレッポ市シャイフ・サイード地区、カッラーサ地区、バーブ・アンターキヤー地区、スーク・フストゥク地区、ハール市場地区、ブスターン・バーシャー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ基地周辺で、軍・治安部隊がシャームの民のヌスラ戦線および反体制武装勢力と激しく交戦した。

一方、SANA(11月7日付)によると、イドリブ市内のパン焼き・配給所近くに反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、1人が死亡、複数が負傷した。

また、軍・治安部隊は、ムハムバル村、フライカ村で反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月7日付)によると、マヤーディーン市などで、軍・治安部隊が交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またダイル・ザウル市内のシリア正教会に自爆テロを試みた反体制武装勢力戦闘員が乗った車を軍が破壊した。

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ヒムス県では、SANA(11月7日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ディーワーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、殲滅した。

国内の動き

ワーイル・ハルキー首相は11月5日に爆弾テロが発生したダマスカス県マッザ区(マッザ86地区)を視察した。

SANA, November 7, 2012
SANA, November 7, 2012

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クッルナー・シュラカー(11月7日付)は、11月6日、ヒムス市、ハマー市などに展開していた共和国護衛隊の各部隊がダマスカス県・ダマスカス郊外県に再結集のため移動を開始した、と報じた。

ハラスター市、ドゥーマー市などでの反体制武装勢力の攻勢を受けた動きと見られる。

諸外国の動き

英国のデビッド・キャメロン首相がヨルダンのザアタリー・シリア人避難民キャンプを視察した。

英国外務省が出した声明によると、キャメロン首相は視察に合わせて、ヨルダンのアブドゥッラー国王とシリア情勢について協議、1400万ポンドの新規人道支援を発表した。

キャメロン英首相は「(アサド大統領)を出国させ、安全な政権移譲を行うためならあらゆる手段も考慮する。英国への亡命を提案するわけではないが、もし本人が出国したいならそれに向けた調整は可能だ」と述べた。

一方、英国の首相府は、シリア国内での暴力停止に向けて、英国が反体制武装勢力との対話のイニシアチをとるだろう、と発表した。

首相府によると、政府はすでに、高官に反体制武装勢力の代表との接触を認めている、という。

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『ハヤート』(11月8日付)などは、トルコ外務省高官の話として、トルコ政府がNATOに対して、対シリア国境地域へのパトリオット巡航ミサイルの配備を要請する見込みだと報じた。

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8日に開催される反体制勢力の大会に出席するためカタールを訪問する予定のアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はカイロで記者団に対して「反体制勢力のビジョンを統一することが肝要だ。なぜならシリアの体制が長く続かないことを知っており、いつの日か、シリアに新しい状況が現出することを皆が知っているから」と述べた。

AFP, November 7, 2012、Akhbar al-Sharq, November 7, 2012、al-Hayat, November 8, 2012、Kull-na Shuraka’, November 7, 2012、al-Kurdiya News, November 7, 2012、Naharnet, November 7, 2012、Reuters, November 7, 2012、SANA, November 7, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県では過去48時間以内に反体制武装勢力の戦闘員約4000人が重点的な攻撃を行ったが撃退される、露外相がアンマンでヒジャーブ前首相と会談するも後者はモスクワへの招待を拒否(2012年11月6日)

国内の動き

アフバール・シャルク(11月6日付)は、シリア治安当局が、ダマスカス県マッザ区にあるハマースのハーリド・ミシュアル政治局長の事務所、ドゥンマル区にあるイマード・イルミー政治局員、イッザト・ラシュク政治局員の事務所を閉鎖し、立ち入りを禁止とした、と報じた。

ハマースの指導者たちの事務所は同組織がカタールに移転して以降使用されていなかった、という。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団は、ムハムバル村近くで反体制武装勢力が軍の車列を攻撃し、少なくとも兵士20人を殺害した、と発表した。

同監視団によると、ムハムバル村は3度にわたって空爆を受けた。

一方、SANA(11月6日付)によると、サルミーン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を襲撃、戦闘員を殲滅した。

クッルナー・シュラカー(11月6日付)は、信頼できる消息筋の話として、イドリブ市の人民諸委員会が、不法入国したBBCの記者2人を身柄拘束し、政治治安部に引き渡したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数が負傷した。

一方、SANA(11月6日付)によると、ハラスター市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、AFP(11月6日付)が治安筋の話として、過去48時間に、約4,000人の反体制武装勢力の戦闘員が首都への重点的な攻撃を行ったが、軍が撃退した、と報じた。

『ワタン』(11月6日付)も、南部環状線、カフルスーサ、マイダーン・ブラーニー、ヤルムーク・キャンプ、タダームン、ジャウバルからダマスカス郊外県ハラスターに至る複数地点を経由して反体制武装勢力がダマスカス県への潜入を試みたが、軍が撃退したと報じた。

一方、SANA(11月6日付)によると、ウルード地区で爆弾が仕掛けられた車2台が爆発し、市民11人が死亡、数十人が負傷した。

またバルザ区でも、反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、運転手とその妻が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アグヤル地区、カスタル・ハラーミー地区、マイサルーン地区、スッカリー地区、アンサーリー地区、アレッポ国際空港周辺、バーブ市などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月6日付)によると、カフルハムラ村・アフタリーン市間、カフルハムラ村・ライラムーン地区間の街道で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

またカフルナーハー村、 ジュッブ・アブシャ市、ダイル・ハーフィル市、バーブ市、ウンム・アームード村、アレッポ市ライラムーン地区、カッラーサ地区、シャイフ・サイード地区、旧市街などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地区に軍が空爆し、女性を含む7人が死亡した。

またヒムス市ダイル・バアルバ地区での戦闘で、反体制武装勢力の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(11月6日付)によると、ハウラ地方、ヒムス市バーブ・フード地区、東ブワイダ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃、多数の戦闘員を殺傷した。

クサイル市郊外のムバーラキーヤ地方では、反体制武装勢力どうしが盗品の分配をめぐって衝突、複数の戦闘員が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月6日付)によると、ダイル・ザウル市内で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(11月6日付)によると、カナスバー地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を殲滅した。

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ハサカ県では、SANA(11月6日付)によると、ラアス・アイン市近くで反体制武装勢力が旅客バスを襲撃し、乗客1人を殺害、多数を負傷させた。

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ラッカ県では、SANA(11月6日付)によると、反体制武装勢力がサバーフ・ハイル・ガソリン・スタンド近くの石油パイプラインを爆破した。

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クッルナー・シュラカー(11月6日付)は、ジハード・ラッハーム人民議会議長の兄弟のムハンマド・ウサーマ・ラッハームが暗殺されたと報じた。

ムハンマド・ウサーマ・ラッハームはバアス党ダマスカス支部指導部メンバーを経て、総合情報部の研究局次長を務めていた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアナス・アブド事務局書記(ダマスカス宣言在外事務局長)は『ハヤート』(11月7日付)に対して、8日のドーハで予定されている反体制武装勢力の大会で、評議会が「プログラム」を提出すると述べた。

アブド書記によると、このプログラムは三つの条件を満たすものになるという。

この条件とは、①暫定政府への国際社会の承認を通じた政治的支援、②暫定政府の予算を成立させるための最低5億ドルの(国際社会からの)供与、③暫定政府の活動の場としてのシリア国内での安全地帯の設置。

そのうえで、アブド書記は、「亡命」政権を発足しても、一政治勢力に成り下がることが懸念されると述べた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のヨルダンの首都アンマンのリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相と会談した。

前首相の報道官によると、会談において、ラブロフ外務大臣は、アサド大統領の退陣を政治的プロセス開始の条件とする反体制勢力の姿勢を非難し、アサド政権との対話のテーブルに着くよう求めるとともに、前首相をモスクワに招待した。

これに対して、ヒジャーブ前首相はロシアの対シリア政策を「非道徳的」と非難し、「現体制が存続する限り解決策はない」との立場を伝え、招待を拒否した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣は、ヒジャーブ前首相との会談に関して、停戦のための仕組みを構築することで合意したことを明らかにするとともに、これが一部の当事者の軍事力増強につながるかたちでなされてはならないと警鐘を鳴らした。

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イスラエル国防軍報道官は、ゴラン高原の占領地へのシリア領からの発砲で軍の車両が被害を受けた、と発表した。

同報道官によると、銃撃は流れ弾と見られ、イスラエル側はこの銃撃に対して、反撃しなかった、という。

地元メディアは、軍筋の話として「シリアの反体制派の誤射」としている。

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アナトリア通信(11月6日付)は、少将を含む軍の士官7人が離反し、トルコに避難した、と報じた。

AFP, November 6, 2012、Akhbar al-Sharq, November 6, 2012、al-Hayat, November 7, 2012、Kull-na Shuraka’, November 6, 2012、al-Kurdiya News, November 6, 2012、Naharnet, November 6, 2012、Reuters, November 6, 2012、SANA, November 6, 2012、al-Watan, November 6, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

 

シリア国民評議会総会が2日目の審議を行い組織改編案を原案のまま承認、ハマー県内の軍所轄の農村開発センターでは「シャームの民のヌスラ戦線に属する男が自爆」(2012年11月5日)

国内の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、シリア国民評議会総会やリヤード・サイフらによる反体制勢力大会の開催に関して、「アメリカが…反体制勢力のために開催する大会を見て、笑っている。今日はある当事者を支持し、別の当事者を支持するためにこの当事者を廃そうと動いている…。シリアにおける問題解決は、アサド大統領の指導のもと長期的にはなされるものであり、こうした当事者たちは(カタールの)ホテルで座っていないで、国民対話を行うために来ることになろう」と述べた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のアブー・マフムードを名のる離反士官は、AFP(11月6日付)に対して、「この(在外の)指導者たちを尊敬している者はシリアには一人もいない。なぜなら離反した士官は戦わねばならないからだ…。あいつらはただお茶をすすり、水たばこをふかし、おしゃべりしているだけだ」と述べ、在外の反体制組織・活動家を批判した。

また「組織化なしに、バッシャール・アサドを倒すことはできない…。我々には今組織がない。なぜならあの士官どもがトルコでくつろいできたからだ」と付言した。

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シリア国民評議会総会が、アブドゥルバースィト・スィーダー事務局長を議長として2日目の審議を行い、組織改編案を原案のまま承認した。

『ハヤート』(11月6日付)によると、この改編により、16の政治組織、24の地元評議会などがシリア国民評議会に新規参加する。

新規加入する主な組織は、人民自由潮流(ナセル主義組織)、トルクメン運動、シリア自由人連合(ドゥルーズ派)、シリア部族評議会、クルド民主諸勢力連合、シリア・クルド国民行動戦線、スィルヤーニー連合党などで、その多くがシリア国民を代表するのではなく、マイノリティの一部を代表している。

また組織改編の一環として、シリア国民評議会の「スリム化」が実行された。

『ハヤート』(11月6日付)によると、この「スリム化」により、286人だった評議員メンバーを418人に拡大する一方で、46人のメンバーが解任された。

複数の消息筋によると、解任の理由は、会員資格への違反、組織内での役割に関するもので、その是非をめぐって総会では激しい論戦が繰り広げられた。

これに関連して、政治ブロックに属していない無所属のメンバーの間からは、評議会における代表権が低下させられた、と非難した、という。

総会ではまた、内規、選挙規約などの修正も審議された。

この修正により、総会メンバーは非公式の比例代表式選挙で、事務局と執行部は直接自由投票で選出されることになった。

また事務局の定数は40人を上限、執行部は11人を上限とすることが定められた。

なお総会には、カタール、トルコ、アラブ連盟、米国、フランスなどの高官が参加した。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、AFP(11月5日付)に対して、米国とリヤード・サイフ元議員が主導する反体制武装勢力の大会に関して、「木曜日(8日)だけで、結論に至ることは不可能だろう…。ここで月末まで(審議を)続けることになろう」と述べ、亡命政府発足に時間をかける必要があるとの意思を示した。

また、スィーダー事務局長は、「シリアの友連絡グループは、我々に多くを約束したが、シリアの災難の大きさからすると微々たることしかしていない…。シリア人は、自らに惨状を終わらせるためには何もしないと世界全体が合意している…と感じている」と欧米諸国を非難した。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン前事務局長が『ハヤート』(11月6日付)の取材に応じた。

取材に対して、ガルユーン前事務局長は、シリア国民評議会総会に関して「多くのメンバーが刷新され、コンセンサスではなく選挙に基づいて諸委員会の再選出が行われる」と述べるとともに、事務局選出、政治決議、政治プログラムなどが審議されることを明らかにした。

また「新たなメンバーを吸収するためのスリム化を行った。一部の古いメンバーを排除せざるを得なかった」と述べ、組織再編に伴う一部メンバーの脱会を自己弁護するとともに、協議会のメンバーでなくとも、同組織内の事務局で活動できるとの見解を示した。

アメリカとリヤード・サイフ元議員が進める反体制武装勢力の大会(8日予定)に関して、「我々は指導部の組織改編のために通常の大会を開催しただけ」と述べ、亡命政府について審議する予定はないと述べた。

また「我々はほかの反体制勢力と(8日の)拡大会合で一同に会する。シリア国民評議会は自ら決定を下す。反体制勢力の統合…、亡命政府発足をめぐる協議を行ううえでの最善の形式は評議会が決定する」と強調し、暫定政府の発足が8日に実現することはなく、数ヶ月を要するだろうとの見方を示した。

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ジョルジュ・サブラー報道官らシリア国民評議会の使節団がカタールのハーリド・アティーや外務担当大臣と会談した。

会談で、サブラー報道官は、シリア国内の安全な解放地区に暫定政府を直ちに移転することを提案した。

国内の暴力

ハマー県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ガーブ平野のズィヤーラ町にある軍所轄の農村開発センターで「シャームの民のヌスラ戦線に属する男が自爆」し、軍兵士と「シャッビーハ」約50人が殺害された。

アブドゥッラフマーン代表は、このテロが「ほかの大隊との協力のもとに行われ、彼らは同センター周辺に爆弾を仕掛けた」と付言し、反体制武装勢力もテロに関与していることを認めた。

SANA(11月5日付)も、農村開発センターでテロリストが自爆したと報じた。

同報道によると爆発物は1トンに及んだという。

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ダマスカス県では、SANA(11月5日付)によると、マッザ区(マッザ・ジャバル86地区)で、しかけ爆弾が爆発し、11人が死亡、女性・子供を含む数十人が負傷した。

またタダームン区に、軍・治安部隊が砲撃を加えた、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(11月5日付)によると、サイイダ・ザイナブ町の廟の近くで反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、複数のメディアによると6人が死亡した。

またハラスター市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、武装勢力が保有する対空砲など、装備を破壊した。

さらに、ハジャル・アスワド市に、軍・治安部隊が砲撃を加えた、という。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーリム市への軍の空爆で、反体制武装勢力の戦闘員約20人が死亡した。

同監視団によると、この空爆の後、反体制武装集団が同市内の軍・治安部隊の拠点に対して砲撃を行った、という。

反体制活動家によると、ハーリム市で死亡した戦闘員のなかにはイドリブ殉教者旅団の司令官らが含まれていた。

また、シリア革命総合委員会によると、カフルニブル市に対して、軍が空爆を行い、少なくとも14人が死亡した。

同委員会によると、犠牲者はマアッラト・ヌウマーン市からの避難民ら。

SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012
SANA, November 5, 2012

 

一方、SANA(11月5日付)は、ハーリム市に対する軍の特殊作戦で、イドリブ殉教者旅団のバースィル・イーサー司令官ら複数の戦闘員を殺害した、と報じた。

またサラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市、タフタナーズ市、マアッラト・ナアサーン村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ザフラー地区の空軍情報部施設近くで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

AFP(11月5日付)によると、この戦闘で、隣接するシリア赤新月社の倉庫が全焼し、支援物資が消失した。

このほかシャフバー地区、ライラムーン交差点などでも軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

一方、SANA(11月5日付)によると、アレッポ市南部のICARDA近く、アウラム・クブラー町、カフルハムラ村、アレッポ市スッカリー地区、マアーディー地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点などを攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月5日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(11月5日付)によると、ダルアー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺害した。

レバノンの動き

NNA(11月5日付)は、ベカーア県ヘルメル郡ハウシュ・サイイド村に隣接するヒムス県スィフサーフ村の民家に迫撃砲が着弾し、レバノン人1人が死亡した、と報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、エジプトはムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談した。

会談後の共同記者会見でラブロフ外務大臣は、「我々は反体制勢力に決定的な影響力を持っていない…。こうした影響力を持つ者はジュネーブ合意実施に向けて努力すべきであり…、反体制勢力に政府との交渉のテーブルに着かせ、移行期間のプログラム、日程を審議させるべきだ」と述べ、西側諸国を暗に批判した。

また「我々は何度も繰り返し、シリア政府の誰かに関心があるのではないと言ってきた。我々の関心はシリア国民にあり、彼らが安堵して暮らすには、両当事者の暴力停止が不可欠である」と付言した。

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AFP(11月5日付)は、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣が、アンマンに亡命中のリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相と反体制勢力再編に関して協議したと報じた。

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ヨルダンのザアタリー国営避難民キャンプで避難生活を送るシリア人の数が40,000人に達した。

ヨルダン国営のペトラ通信などが伝えた。

AFP, November 5, 2012、Akhbar al-Sharq, November 5, 2012、al-Hayat, November 6, 2012, November 7, 2012、Kull-na Shuraka’, November 5, 2012、al-Kurdiya News, November 5, 2012、Naharnet, November 5, 2012、NNA, November 5, 2012、Reuters, November 5, 2012、SANA, November 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

「シリアにおける移行期間運営、未来のためのビジョン構築」大会が閉幕、アレッポ県では民主統一党民兵がクルド人離反兵からなるユースフ・アズマ大隊と交戦(2012年10月31日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(10月31日付)によると、サイイダ・ザイナブ町で、ゴミ袋に入れられた爆弾が爆発し、11人が死亡、数十人が負傷した。

またムウダミーヤト・シャーム市では、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、複数の市民が負傷した。

一方、ハラスター市、ザマルカー町などでは、軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡活動を継続し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区でシリア軍大佐の自動車に仕掛けられた爆弾が爆発した。死傷者は出なかった。

また、SANA(10月31日付)によると、マッザ区で「武装テロ集団」が仕掛けた爆弾3発が爆発し、1人が死亡、複数が負傷した。

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アレッポ県では、SANA(10月31日付)によると、マアーッラト・アルティーク村、アレッポ市・ダイル・ハーフィル市間の街道、カーフィース村、フライターン市、カフルナーハー村、アレッポ市・バーブ市間の街道などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

またアレッポ市でも、カルム・マイサル地区、ブスターン・カスル地区、ダウワール・バーブ・ハディード、ブスターン・バーシャー地区、カルム・ジャバル地区、カフルハムラ地区・ザフラー地区間、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、拠点を破壊した。

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ハマー県では、SANA(10月31日付)によると、ガーブ平野のジャイイド市、アズィーズィーヤ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(10月31日付)によると、アービル村、ムバーラキーヤ市、カフル・アーヤー村、サルーミーヤ市、ジャウバル市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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アクス・サイル(10月31日付)は、イドリブ県ハーリム市で、軍が反体制武装勢力の拠点に「誤って」補給物資を投下した、と報じた。

反体制勢力の動き

10月29日からトルコのイスタンブールで開かれていたシリア政治戦略研究センター主催の「シリアにおける移行期間運営、未来のためのビジョン構築」大会が閉幕した。

Kull-na Shuraka', October 31, 2012
Kull-na Shuraka’, October 31, 2012

大会には、シリア・クルド国民評議会、シリア・クルド国民評議会、アッシリア民主機構、ダマスカス宣言、シリア・ムスリム同胞団、シリア革命総合委員会、地元調整諸委員会、シャーム・ウラマー委員会、自由シリア軍の代表らが出席していた。

閉幕声明において、大会参加者は「我々のイデオロギー的な意見の相違を保留し、亡命政府を樹立する必要がある点で合意した。暫定政府発足によって、アラブ諸国や国際社会による我々の革命へのさらなる政治的支援が得られるだろう」と表明した。

大会に出席したシリア政治戦略研究センターのラドワーン・ズィヤーダは記者団に関して、「亡命政府を選出するための総会を開くことで出席者は合意した」ことを明らかにした。

また「フランス、アラブ諸国、そして(大会に参加しなかった)ほかの反体制勢力に亡命政府を発足後ただちに承認するよう呼びかけた」と付言した。

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シリア人権監視団は、ハマー航空基地が反体制活動家を収監するための空軍情報部の拘置所・刑務所として使用されていると発表した。

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ハマー革命評議会のアブー・カースィム・ハマウィー報道官を名乗る活動家は、AFP(10月31日付)に対して、「自由シリア軍は、軍事力の不均衡ゆえに、ハマー市から撤退した。国の中心に位置する同市は軍事拠点と化し、そこから各県に戦闘機が送られている」と述べた。

また「体制は同市を制圧するため、逮捕活動を実行し…、6ヶ月で数千人が逮捕され、拷問を受けた。逮捕と拷問は死よりも過酷だ。想像を絶する…。私は毎日転々と逃げ回り、逮捕を免れている」と付言した。

クルド民族主義勢力の動き

シリアの反体制武装勢力を支援するジャズィーラ衛星テレビ(10月31日付)は、アレッポ県アフリーン市郊外で、反体制武装勢力と民主統一党の民兵が交戦したと報じた。

同報道によると、反体制武装勢力(自由シリア軍)には、クルド人離反兵からなるユースフ・アズマ大隊が参加し、アフリーン市郊外のシリア軍第137大隊本部を制圧した、という。

またユースフ・アズマ大隊は、民主統一党に対して、アサド政権への協力を止めるよう警告を発した。

アフリーン市一帯は民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会およびクルド最高委員会が実効支配している。

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民主統一党のサーリフ・ムスリム・ムハンマド書記長は『サフィール』(10月31日付)のインタビューに答え、そのなかでサラーフ・バドルッディーン一派を「トルコの手先」で「自由シリア軍」への武器供与を支援している、と批判した。

サラーフ・バドルッディーンはクルド民族主義活動家の重鎮で、西欧を活動拠点としており、2006年末にはアブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領、シリア・ムスリム同胞団とともにシリア国民救済戦線を結成、また2011年9月にはシリア国民評議会に参加した。

レバノンの動き

マルワーン・シルビル法務大臣は、シリアの反体制武装勢力に拉致されていたジャーナリストのフィダー・イーターニーが釈放され、トルコに到着した、と発表した。

パレスチナ人の動き

ロイター通信(10月31日付)は、ゴランの鷹大隊(自由シリア軍)の司令官の話として、パレスチナ人のみから構成される反体制武装組織「嵐(アースィファ)大隊」が結成された、と報じた。

同司令官によると、「嵐大隊」は、ダマスカス県ヤルムーク区(難民キャンプ)でアサド政権を支援するPFLP-GCなどの戦闘員との戦いに投入される、という。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は中国を訪問し、楊潔チ外交部長(外務大臣)らと会談した。

会談後の記者会見でブラーヒーミー共同特別代表は、シリアの危機解消に向け中国に「活発な役割」を期待すると述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がパリでフランスのローラン・ファビウス外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ファビウス外務大臣は、シリア問題の解決はアサド大統領が退任する以外にないとのこれまで通りの立場を示した。

一方、ラブロフ外務大臣は、ジュネーブでのシリア作業グループの合意が、シリア政府と反体制勢力が移行期間について合意することを求めていると反論し、アサド大統領の退任問題がフランスではなく、シリア国民が決すべき問題だと主張した。

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ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、10月10日にトルコがシリア航空旅客機をアンカラ国際空港に強制着陸させ、積み荷を押収した問題で、積み荷の変換をめぐる交渉を行っている、と述べた。

両国間で具体的な合意には達していないという。

AFP, October 31, 2012、Akhbar al-Sharq, October 31, 2012、‘Aks al-Sayr, October 31, 2012、Aljazeera.net, October 31, 2012、al-Hayat, November 1, 2012、Kull-na Shuraka’, October 31, 2012、al-Kurdiya News,
October 31, 2012、Naharnet, October 31, 2012、Reuters, October 31, 2012、SANA,
October 31, 2012、al-Safir, October 31, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍がダマスカス県内での初の空爆を実施するなか、アレッポ県アイン・アラブ市ではシリア・クルド国民評議会支持者らが民主統一党の実効支配に対する抗議デモを行う(2012年10月30日)

国内の動き

アントゥーン・マクディスィー外務在外居住者省報道官は、トルコのダウトオール外務大臣の発言に関して、トルコおよび湾岸諸国がシリア国内での暴力停止をめざす国連の決議に反して、シリアの安定と治安を乱し、トルコ国民を破壊的な政策に巻き込んでいる、と厳しく非難した。

国内の暴力

ダマスカス県では、SANA(10月30日付)によると、ルクンッディーン区でアブドゥッラー・ハーリディー空軍少将が反体制武装勢力に銃で暗殺された。

AFP(10月30日付)によると、ハーリド少将は空軍参謀本部のメンバー。

アブドゥッラー・ハーリディー空軍少将暗殺に関して、自由シリア軍ルクンッディーン殉教者大隊を名乗る勢力が犯行声明を出した。

一方、シリア人権監視団によると、軍がジャウバル区を空爆した。

同監視団によると、ダマスカス県内への空爆はこれが初めてだという。

さらに、ヤルムーク区で未明、反体制武装勢力とパレスチナ組織の民兵が激しく交戦した。

戦闘に関して、PFLP-GC幹部のアンワル・ラジャーはAFP(10月30日付)に、「武装テロ集団が午前2:30頃、難民キャンプへの潜入を試み…、我々が結成した人民諸委員会が侵入を防いだ…。戦闘は約1時間続いたが、死傷者は出なかった」と述べた。

シリア人権監視団によると、戦闘はまず、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市で反体制武装勢力と軍・治安部隊の間で発生、ヤルムーク区に戦火が拡大するなかで、PFLP-GCの民兵が軍・治安部隊とともに戦闘に参加した、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦するザマルカー町、ドゥーマー市、アルバイン市などを軍が空爆し、少なくとも5人が死亡した。

一方、SANA(10月30日付)によると、ハラスター市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、クルディーヤ・ニュース(10月30日付)などによると、アアザーズ市、アフリーン市、カスタル・ジンドゥー村などで、反体制武装勢力がヤズィーディー派のクルド人に対して脅迫、強盗、誘拐を行っていると報じた。

また、AFP(10月30日付)によると、クルド国境に近いクルド・ダー地方のヤーズィー・バーグ村周辺で、反体制武装勢力と民主統一党の人民防衛隊が交戦し、前者の戦闘員4人が死亡した。

一方、シリア人権監視団は、ハイヤーン町で反体制武装勢力に身柄構想されていたクルド人市民が拷問を受け、死亡したと発表した。

また同監視団によると、アレッポ市国立病院近くに空爆が集中するなか、反体制武装勢力が同市サビール地区のターリク・ブン・ズィヤード兵舎に再び攻勢をかけた。

他方、SANA(10月30日付)によると、アレッポ市のライラムーン交差点、ダウワール・トゥルカーウィー地区、マフラジャ・ラサーファ、シャイフ・ナッジャールなど、およびカフルナーハー村、タッル・リフアト市、フライターン市、アターリブ市、バーブ街道などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点、アジトなどを攻撃・交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(10月30日付)によると、サラミーヤ市郊外のタッル・ダッラ村で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またミスヤーフ市郊外で身元不明の遺体8体が発見された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダイル・バアルバ地区などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、同地区、ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区が砲撃を受けたほか、同市周辺が空爆を受けた。

ムバーラキーヤ村に対して、軍が空爆を行い、反体制武装勢力の戦闘員2人が死亡した。

一方、SANA(10月30日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ダイル・バアルバ地区、東ブワイダ村、アービル村、クタイナ市、カフルアーヤー農場などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(10月30日付)によると、フラーク市・ナーミル村を結ぶ街道に反体制武装勢力が仕掛けた爆弾2発が爆発し、近くを走行していた救急車の運転手1人、乗っていた看護師1人を含む3人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市などにも軍が空爆を行った。

またワーディー・ダイイフ軍基地周辺では、軍・治安部隊と反体制武装勢力、シャームの民のヌスラ戦線が戦闘を続けた。

一方、アナトリア通信(10月30日付)などが、対トルコ国境に位置するアッラーニー村、ダウワーリー村の住民の話として、軍が自らの保有する対空兵器を、反体制武装勢力に奪われないよう破壊した、と報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、アレッポ県アアザーズ市、アフリーン市、カスタル・ジンドゥー村などで暮らすヤズィーディー派のクルド人の安全を脅かすいかなる行為に対しても「鉄拳を下す」と発表した。

そのうえで自由シリア軍がこれらの地域でのマイノリティに対する犯罪に関与していないと断言した。

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クッルナー・シュラカー(10月30日付)は、反体制活動家のフアード・ハミーラが「シリア国民革命自由アラウィー派」と銘打ったHP上で「アラウィー派貧困層」に向けて公開書簡を発表、そのなかでダマスカス県マッザ86地区、アッシュ・ウルール地区、ダマスカス郊外県クドスィーヤー地区を砲撃するよう呼びかけ、宗派内対立を煽った、と報じた。

これらの地区は政権を支持するアラウィー派が多く住んでいる。

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ザマーン・ワスル(10月30日付)は、信頼できる治安筋の話として、アサド政権が崩壊した場合、離反した軍士官・兵士250人と4,000人の警察官が治安維持にあたるだろう、と述べた。

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AKI(10月30日付)によると、シリア国民評議会の「ダマスカス宣言」ブロックは、11月8日にカタールで予定されている大会で発足が予定されている最高意志決定機関の国民イニシアチブ委員会に関して、「国際社会、中東地域の当事者たちは、シリア国民評議会の役割を終わらせ、新たな政体を作りだそうとしている…。革命の終焉に位置する政治勢力に国を委ね、シリア人の要求を表現する真の勢力を遠ざけるというイラク・モデルを適用しようとしている」と批判した。

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『フォーリン・ポリスィー』(Cable版、10月30日付)は、米国務省高官やシリアの反体制活動家の話として、米国がシリア国内の反体制勢力との関係を強化し、武装組織や地元自治評議会のメンバーなどを包摂したかたちで新たな評議会の結成を後押ししていると報じた。

同報道によると、新評議会は、カタールのドーハで11月8日に予定されている反体制勢力の大会での結成がめざされており、バラク・オバマ政権はこれを暫定政府として位置づけようとしている、という。

欧米諸国が支援してきたシリア国民評議会は、この新評議会において一少数派として参加することになる、という。

米高官や反体制活動家らはこの動きを「リヤード・サイフ・プラン」と呼んでおり、サイフがこの新評議会の中心をなしている、という。

カタールの大会には、ロバート・フォード駐シリア米大使(現在米国内で勤務)が出席を予定しており、同大使は、新評議会の代表の配分に関して、国内の活動家を20人、シリア国民評議会メンバーを15人、そのほかの反体制勢力の代表を15人とすべきとの姿勢を強く示した、という。

また新評議会とは別に8人から10人のテクノクラートからなる執行機関が結成され、それが外国諸国政府との折衝を担当する、という案も提示されている、という。

http://thecable.foreignpolicy.com/posts/2012/10/30/obama_administration_works_to_launch_new_syrian_opposition_council

クルド民族主義勢力の動き

アフバール・シャルク(10月31日付)によると、アレッポ県アイン・アラブ市(コーバーニー市)で、シリア・クルド国民評議会支持者らが抗議デモを行い、民主統一党の実効支配への異議を表明した。

Youtube, October 30, 2012
Youtube, October 30, 2012

デモはシリア・クルド国民評議会参加政党の事務所に掲揚されていた委任統治時代のシリア国旗を、民主統一党の当局が撤去したことを受けたもの。

これに対して、民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会のシールザード・ヤズィーディー報道官は、「我々はシリアの新国旗(委任統治時代の国旗)を独立旗とみなし反対はしていない。事件は、我々の一部のメンバーによる反発に過ぎず、事を大げさにする必要はない」と述べた。

また「アフリーン市への(自由シリア軍による)大規模攻撃が準備されており、一部の勢力が内乱を引き起こそうとしている…。クルド民族主義諸政党はこうしたこうした試みを阻止せねばならず、旗などを問題にしてはならない」と付言した。

諸外国の動き

カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、シリアの紛争を「内戦」と評するアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の姿勢を拒否、「国際社会の許可」のもとに「シリアの体制がその国民を殲滅するために行っている戦争」と述べ、自国のテロ支援を正当化した。

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サウジアラビアのイスラーム覚醒潮流のシャイフ、サルマーン・アウダは、自身のHPでイスラーム教徒らに対して、「リビア、イエメン、サウジ、イラク、エジプトから若者が(シリアに)渡り、体制と戦うことは、危機を増幅させ、アフガニスタンの危機を繰り返すことになる…。兵士が必要なのではない。資金と武器の支援が必要なのだ」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は記者団に対して、「シリア政府が国民を殺し続ける限り、決して政府と対話を行わない」と述べた。

対話を拒否する理由としてダウトオール外務大臣はまた「現体制に正統性」を与えることになるからだと述べた。

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ヨルダン・ペトラ通信(10月30日付)は、対シリア国境のマアーンの砂漠地帯で総合治安局のパトロール隊が3台のトラックに分乗するシリア人61人を発見、身柄拘束したと発表した。

同報道によると、先週も、ヨルダン治安当局は「ハイテク」通信機器を携帯したシリア人7人を領内で逮捕している、という。

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イラン外務省報道官は記者会見で、シリア行きのイラン航空機のイラク当局による検査に関して、「イラク政府は米国の圧力に抵抗し、こうした行為を将来繰り返さないようにしなければならない」と警鐘を鳴らした。

AFP, October 30, 2012、Akhbar al-Sharq, October 30, 2012, October 31, 2012、AKI, October 30, 2012、thecable.foreignpolicy.com, October 30, 2012、al-Hayat, October 31, 2012、Kull-na Shuraka’, October 30, 2012、al-Kurdiya News,
October 30, 2012、Naharnet, October 30, 2012、Reuters, October 30, 2012、SANA,
October 30, 2012、Zaman al-Wasl, October 30, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア・クルド国民評議会のアレッポ支部およびアフリーン支部は声明を出し、西クルディスタン人民議会との協力活動を停止すると発表(2012年10月29日)

SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
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SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
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SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012
SANA, October 29, 2012

国内の動き

シリア外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に書簡を提出、そのなかでイード・アル=アドハーの休戦下でダマスカス県ダッフ・シューク地区などで発生したテロ事件への非難決議の採択を求めるとともに、シリア国内への「武装テロ集団」の流入と支援を行う諸外国への非難の意思を表明した。

国内の暴力

シリア軍・武装部隊総司令部は声明を出し、武装テロ集団が停戦違反を続けていると発表した。

同声明によると、反体制武装勢力は、ダマスカス郊外県の軍南部地区司令部、ハラスター市、ドゥーマー市、アルバイン市などの治安維持軍拠点、カタナー市、ザマルカー町、ダマスカス県カーブーン区の検問所、ヒムス県ヒムス市各所、タルビーサ市、タッルカラフ市の検問所、ハマー県ハマー市、カルアト・マディーク町の検問所、アレッポ県アレッポ市、アレッポ・アアザーズ街道、アレッポ市・アターリブ市・ハーン・アサル村街道、イドリブ県ハーリム市の検問所、ワーディー・ダイフ地点、タルナバ検問所、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市の検問所などを襲撃・迫撃した。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(10月29日付)に対して、シリア軍戦闘機が「4時間にわたって48回空爆」を行ったと述べた。

アブドゥッラフマーン代表によると、空爆は2012年7月以降で「もっとも激しい」もので、自由シリア軍がシャームの民のヌスラ戦線とともに攻略を試みているイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市周辺(ワーディー・ダイフ基地)で集中的に行われた、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(10月29日付)によると、ジャルマーナー市ラウダ地区(住宅地区)で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、11人市民が死亡、数十人が負傷した。

また、シリア・アラブ・テレビ(10月29日付)は、ハジャル・アスワド市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、女性や子供を含む多数が死傷した、と報じた。

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同じくダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カラムーン地域で活動する反体制武装集団の拠点であるランクース市に、軍が3度にわたって空爆を行った。

またハラスター市、アルバイーン市、ザマルカー町などに対しても空爆が行われた。

AFP(10月29日付)は、シリア治安筋の話として、「テロリストが集結し、拠点強化を試みている」ダマスカス郊外の農園などに対して「武装テロ集団への報復」として空爆を行ったと報じた。

しかし複数の住民によると、この空爆は、軍の地上部隊の同地域への進軍が失敗したことを受けて激化した、という。

一方、SANA(10月29日付)によると、ハラスター市、アルバイン市、ザマルカー町などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に応戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(10月29日付)によると、アレッポ市シャイフ・サイード地区、カッラーサ地区、ブスターン・カスル地区、ライラムーン地区、ハーン・アサル村、カフルハムラ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に応戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(10月29日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ハーリディーヤ地区、ダイル・バアルバ地区、ザアフラーナ村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に応戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月29日付)によると、ダイル・ザウル市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に応戦、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、自由シリア軍とシャームの民のヌスラ戦線がマアッラト・ヌウマーン市周辺(ワーディー・ダイフ基地)で攻略を継続し、軍が空爆を加えた。

また、アナトリア通信(10月29日付)などによると、対トルコ国境に位置するハーリム市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)のビシャスラン村に迫撃砲が着弾した。

反体制勢力の動き

シリア・ムスリム同胞団が運営するシリア政治戦略研究センターがイスタンブールで「シリアにおける移行期間運営、未来のためのビジョン構築」大会を開催した。

クルディーヤ・ニュース(10月29日付)によると、大会には、シリア・クルド国民評議会、アッシリア民主機構、ダマスカス宣言、シリア・ムスリム同胞団、シリア革命総合委員会、地元調整諸委員会、シャーム・ウラマー委員会、自由シリア軍の代表らが出席した。

クルディーヤ・ニュース(10月29日付)によると、シリア・クルド国民評議会は、バッシャール・アミーン事務局長、アブドゥルカリーム・ウマル、ワリード・シャイフーのほか、シリア・クルド・アーザーディー党、シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)、クルド民主諸勢力連合などの代表が出席した。

シリア・クルド・イェキーティー党のワリード・シャイフーはクルディーヤ・ニュース(10月29日付)に対して「広範なクルド諸勢力が大会に参加し、他の勢力とともに、シリア全般、そしてとりわけクルド人民をめぐる明確なビジョン構築に向けて努力する」と述べた。

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自由シリア軍南部地区司令官を名乗るヤースィル・アッブード大佐が『ハヤート』(10月30日付)の電話取材に応じた。

取材のなかでアッブード大佐は、ヨルダン当局と接触し、「我々(自由シリア軍)の意向を伝えるととともに、ヨルダン領内に避難民として入国する容疑者のリストを提示した」と述べた。

アッブード大佐によると、この容疑者とは、アサド政権が避難民、反体制活動家、そしてヨルダンを標的として「大規模」且つ「組織的」送り込んでいる工作員。

アッブード大佐はまた、こうした工作員の通行を阻止するため、自由シリア軍がヨルダン・シリア国境のすべての通行所を制圧する必要があると主張した。

アッブード大佐は、アサド政権が国土の30%しか「保有」しておらず、約70%は自由シリア軍が制圧していると豪語した。

一方、自由シリア軍の組織に関して、アッブード大佐は約13の軍事評議会が合同司令部を組織しており、作戦は地区ごとに展開されていることを明らかにした。

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シリア人権監視団は、イード・アル=アドハーにおける死者数が350人以上に達したと発表した。

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ダマスカス郊外県ジャルマーナー市で活動するという国民民主行動諸委員会は、声明を出し、10月29日のジャルマーナー市での爆破テロに関して、「シャッビーハと体制が背後にいる」と指摘し、政権の自作自演だと断じた。

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アクス・サイル(10月29日付)は、ダマスカス郊外県東グータ地方で、反体制武装勢力が軍の武器庫を襲撃し、カラシニコフ銃1000丁以上など大量の武器、弾薬を奪った、と報じた。

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アクス・サイル(10月29日付)は、空軍のムハンマド・ラスラーン・ラスラーン大佐と2人の息子(マルワーン・ラスラーン少尉、アドナーン・ラスラーン大尉)がユーチューブにビデオ映像をアップし、軍からの離反と自由シリア軍への参加を宣言した。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会アレッポ支部、アフリーン支部は声明を出し、西クルディスタン人民議会との協力活動を停止すると発表した。

協力停止の理由は、西クルディスタン人民議会が2012年7月のエルビルでの合意に反して、デモや動員を続けていること。

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アフバール・シャルク(10月31日付)は、アレッポ県アイン・アラブ市(コーバーニー市)で、民主統一党の民兵100人以上がシリア・クルド国民評議会の参加政党の事務所を襲撃し、これらの事務所に掲揚されていた委任統治時代のシリア国旗を下ろさせた、と報じた。

襲撃されたのは、シリア・クルド・イェキーティー党、シリア・クルド進歩民主党、シリア・クルド民主党(アル・パールティー)、シリア・クルド・アーザーディー党の事務所。

国際社会の動き

国連の潘基文事務総長は、シリア情勢に関して、「当事者らが停戦の呼びかけを尊重しないことに深い失望の念を感じる」と遺憾の意を示すとともに、国連安保理、中東諸国、およびシリア国内の当事者に「停戦のための責任を果たす」よう求めた。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣とモスクワで会談した。

会談でラブロフ外務大臣は、「シリア政府との対話なくして何ももたらされない。これこそが政治的プロセスに向けた唯一の問題だ」と述べた。

AFP, October 29, 2012、Akhbar al-Sharq, October 29, 2012, October 31, 2012、’Aks al-Sayr, October 29, 2012、al-Hayat, October 30, 2012、Kull-na Shuraka’, October 29, 2012, October 30, 2012、al-Kurdiya
News, October 29, 2012、Naharnet, October 29, 2012、Reuters, October 29,
2012、SANA, October 29, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ県アフリーン市で「自由シリア軍北の嵐旅団」が民主統一党の検問所を制圧、しかし同軍サラーフッディーン・アイユービー大隊は声明のなかで「自由シリア軍と民主統一党の関係が良好」と明かす(2012年10月28日)

国内の暴力

シリア軍・武装部隊総司令部は声明を出し、武装テロ集団が休戦違反を続けている、と発表した。

Kull-na Shuraka', October 29, 2012
Kull-na Shuraka’, October 29, 2012

声明によると、反体制武装勢力は、ダマスカス郊外県カラムーン山地一帯、アルトゥーズ町、ジャブアディーン町、ハラスター市、シャブアー町、ダイル・アティーヤ市、ヒムス県タッルカラフ市、ハマー県ガーブ地方、アレッポ県アレッポ市旧市街、イドリブ県ハーミディーヤ市、マアッラ市、ハーリム市、サルキーン市、アッラーニー村、ダイル・ザウル県ブーカマール市などで検問所襲撃、即席爆弾爆破、砲撃などを行った。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月28日付)によると、ダイル・ザウル市の複数カ所で軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に対して応戦し、アル=カーイダの戦闘員ら多数を殺害した。

一方、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がシャームの民のヌスラ戦線と共闘し、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊と交戦した。

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Kull-na Shuraka', October 29, 2012
Kull-na Shuraka’, October 29, 2012

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、27日晩から28日にかけて、スバイナ町、ムウダミーヤト・シャーム市などに対して軍が空爆を行った。

またハジャル・アスワド市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

このほか、アイン・タルマー村の検問所を反体制武装勢力が襲撃し、軍・治安部隊の兵士4人を殺害した。

複数の活動家によると、ザマルカー町、アルバイン市、ハラスター市などで大きな爆発があり、ハラスター市ではライフラインが一時不通になったほか、ドゥーマー市郊外で反体制武装勢力が軍の検問所を襲撃した、という。

一方、SANA(10月28日付)によると、ザマルカー町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に対して応戦し、複数の戦闘員を殺害した。

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アレッポ県では、SANA(10月28日付)によると、ハーン・アサル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力の攻撃に対して応戦し、外国人戦闘員を含む複数の戦闘員を殺害した。

クルディーヤ・ニュース(10月28日付)は、自由シリア軍北の嵐旅団がアフリーン市の民主統一党の検問所を制圧した、と報じた。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市スライマーン・ハラビー地区で、砲撃により1人が死亡した。

またアレッポ市マイダーン地区、ハナーヌー地区などで軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

アクス・サイル(10月29日付)は、反体制武装勢力筋の話として、空軍情報部アレッポ支部長のズハイル・ビータール大佐が自由シリア軍に狙撃され、死亡したと報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がシャームの民のヌスラ戦線とともに、ワーディー・ダイフ軍基地への攻撃を継続した。

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シリア人権擁護連盟は声明を出し、2011年6月に逮捕されたハーリド・サアド女史が獄中での拷問が原因で死亡した、と発表した。

国内の動き

シリア外務在外居住者省のジハード・マクディスィー報道官は、イード・アル=アドハーの休戦の反体制武装勢力による停戦違反への抗議文を国連安保理に提出した、と述べた。

反体制勢力の動き

シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、ダマスカス県ダッフ・シューク地区での爆破テロ(26日)を含む一連の爆破テロへの関与を否定し、「大多数の人々は爆破を行ったのが政府だと考えている」と政権の自作自演だと非難した。

また同声明において、戦線は「停戦を拒否することは、必ずしもイード中に作戦を実行することを意味しないし、作戦を実行しないことも意味しない」と付言した。

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シリア人権監視団は、28日の戦闘で114人が死亡、うち47人が民間人、36人が軍・治安部隊兵士、31人が反体制武装勢力戦闘員だったと発表した。

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自由シリア軍のサラーフッディーン・アイユービー大隊は声明を出し、自由シリア軍と民主統一党の関係が良好だと述べ、アレッポ市アシュラフィーヤ地区をめぐり両者が対立しているとの見方を否定し、自由シリア軍内の対立を暴露した。

この声明は、自由シリア軍副司令官を名のるマーリク・クルディーのクルディーヤ・ニュース(10月27日付)への反論として発表され、クルディーの発言が民主統一党の良好な関係を築いている大隊をイデオロギー的に貶めようとするものだと批判した。

レバノンの動き

アレッポ県アアザーズ市で拉致されたレバノン人記者のフィダー・イーターニーの映像がユーチューブ(10月28日付)にアップされた。
image1

同映像によると、イーターニーは自由シリア軍「アーザーズ北の嵐旅団」によって拉致され、自宅軟禁状態にある、という。

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NNA(10月28日付)は、北部県アッカール郡タッル・アンダ村住民が、シリア当局による村人の身柄拘束に抗議して、国際幹線道路を封鎖した、と報じた。

道路封鎖は軍の介入によって強制排除された。

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AFP(10月28日付)は、北部県ミンヤ郡ミンヤ市で、シリアの反体制武装勢力に武器を密輸していたマルワーン・カッサーブの武器製造工場が爆発し、カッサーブが死亡した、と報じた。

諸外国の動き

ロシア議会下院(国家会議)国際問題委員会アレクセイ・プシコフ委員長はRT(10月28日付)に対して、「ロシア・中国と「シリアの友」を名のる国々が、紛争の一方の当事者のみを支援するだけでは解決し得ないことを認識することだ…。ロシア・中国は欧米諸国よりもこの立場に近い…。シリア政府と戦う反体制組織への資金・武器支援を通じて問題解決は不可能だということを皆が理解しなければならない…。反体制勢力は大統領を退陣させる力を持っておらず、アサド大統領も反体制武装勢力を殲滅するに充分な力を持たない…。それゆえ事態は暗礁に乗り上げている。我々は対話を始められる両当事者の代表を作り出さねばならない」と述べた。

AFP, October 28, 2012、Akhbar al-Sharq, October 28, 2012、‘Aks al-Sayr, October 29, 2012、al-Hayat, October 29, 2012、Kull-na Shuraka’, October 28, 2012, October 29, 2012、al-Kurdiya
News, October 28, 2012, October 29, 2012、Naharnet, October 28, 2012、NNA,
October 28, 2012、Reuters, October 28, 2012、SANA, October 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市で自由シリア軍と人民防衛隊の間で戦闘が発生、ハサカ県ではクルド人約300人が自由シリア軍によって拉致されるもその後解放(2012年10月27日)

国内の暴力

シリア軍・武装部隊総司令部は声明を出し、武装テロ集団が26日に続き、27日も休戦違反を続けている、と発表した。

同声明によると、反体制武装勢力は、ダマスカス郊外県のドゥーマー市、ハラスター市、フーシュ・アラブ村、カタナー市、ヤブルード市、ダルアー県ターミル市、ヒムス県ヒムス市(バーブ・フード地区)、マフラム地方、ハマー県ハマー市、アレッポ県アレッポ市旧市街、カフルハムラ村、ハーン・アサル村、イドリブ県ワーディー・ダイフ地点、ハーミディーヤ市、ハーリム市、サルキーン市、アッラーニー村、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市などで検問所襲撃、即席爆弾爆破などを26日晩以降行った。

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アレッポ県では、『ハヤート』(10月28日付)によると、アレッポ市アシュラフィーヤ地区で、反体制武装勢力(自由シリア軍)と民主統一党の民兵(人民防衛隊(YPG)が交戦し、双方に合わせて8人の死者が出た。

アシュラフィーヤ地区は、クルド人が多く住んでいるが、アレッポ市内では比較的戦闘が少なく、避難民が押し寄せていた。

戦闘は26日晩/27日未明に始まった。

AFP(10月28日付)は、住民などの話として、反体制武装勢力の戦闘員約200人がアレッポ市アシュラフィーヤ地区に潜入し、人民防衛隊と交戦した、と報じた。

これに関して、ユーフラテス通信(10月27日付)は、アレッポ市シャイフ・マクスード地区、アシュラフィーヤ地区の制圧を試みようとする自由シリア軍と、両地区のクルド人住民を保護する民主統一党の人民防衛隊(YPG)との間で戦闘が発生したと報じた。

この戦闘は、アシュラフィーヤ地区でのデモに自由シリア軍が発砲することで発生した、という。

また自由シリア軍の発砲により、民間人10人が死亡、女性3人を含む25人が負傷、またYPGの兵士1人も重傷を負ってその後死亡した。

シリア人権監視団によると、この戦闘で、双方の戦闘員22人を含む30人が死亡した。

一方、SANA(10月27日付)もアレッポ市アシュラフィーヤ地区、マルジャ地区での市民のデモに反体制武装勢力が発砲し、2人が死亡したと報じた。

デモでは、反体制武装勢力の退去が求められていたという。

このほか、シリア人権監視団によると、アレッポ市サイイド・アリー地区などで激しい砲撃と交戦があった。

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クルディーヤ・ニュース(10月27日付)は、自由シリア軍がハサカ県ハイヤーン町で約300人の身柄を拘束した、と報じた。

身柄拘束は、アレッポ市アシュラフィーヤ地区での人民防衛隊(YPG)の応戦を停止させることが目的だという。

これに関して、自由シリア軍副司令官を名乗るマーリク・クルディーは、クルディーヤ・ニュース(10月27日付)に、アレッポ市アシュラフィーヤ地区での人民防衛隊(YPG)との戦闘激化を回避するために民主統一党と交渉している、としたうえで、ハイヤーン町で身柄拘束したクルド人をただちに釈放する、と述べた。

クルディーはまた、アレッポ市アシュラフィーヤ地区への自由シリア軍の侵攻が、「民主統一党の実効支配を終わらせようとするサラーフッディーン・アイユービー大隊ら一部の政治勢力によって」行われたと述べた。

その後、クルド友愛調整は声明を出し、自由シリア軍がハイヤーン町で身柄拘束したクルド人全員を釈放したと発表した。

声明によると、自由シリア軍はフライターン市・ハイヤーン町間の検問所で公共交通機関を使って移動していた一般市民多数を身柄拘束していた。

またシリア人権監視団も、クルド人120人以上が釈放された、と発表したが、民主統一党も反体制武装勢力の戦闘員20人を捕捉していた、と付言し、自由シリア軍による市民の拉致を正当化しようとした。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がシャームの民のヌスラ戦線とともに攻略を続けるワーディー・ダイフ基地近くのマアッラト・ターミル村が軍の空爆を受けた。

また『ハヤート』(10月28日付)によると、対トルコ国境に近いハーリム市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、トルコ赤新月社の車輌が領内に入り、負傷者の搬出を行った。

戦闘は、同市近くで反体制武装勢力戦闘員が逮捕されたことをきっかけに発生した、という。

その後、自由シリア軍はハーリム市を制圧したと発表した。

一方、SANA(10月27日付)によると、イドリブ市で反体制武装勢力が軍・治安部隊に発砲、軍・治安部隊がこれに応戦した。

また同市内にカールトン・ホテルのゴミ集積所で反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、子供2人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市に軍が空爆し、8人が死亡した。

この空爆に関して、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は「休戦宣言後初の空爆だ…。この空爆で休戦は葬り去られた。もはや我々は休戦などと言っていられない」と述べ、「人権組織」であるにもかかわらず殺戮再開を容認し、武力紛争を煽る反体制組織としての実態を露わにした。

また、同監視団によると、ドゥーマー市などが砲撃を受け、2人が死亡、複数が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のレストラン近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発した。

しかしシリア人権監視団は、反体制武装勢力によるこうしたテロに対しては非難の意を示さなかった。

一方、シリア・アラブ・テレビ(10月27日付)は、このテロに関してシリア正教会前で自動車爆弾が爆発したと報じ、「武装テロ集団が休戦に違反した」と報じた。

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ダマスカス県では、SANA(10月27日付)によると、ジャルマーナー市で反体制武装勢力が通行人に発砲し、1人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(10月27日付)によると、アーティフィーヤ村、タッルカラフ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

国内の動き

ムハンマド・アブドゥッスィタール・サイイド宗教関係大臣がタルトゥース県タルトゥース市シャイフ・バドル地区での殉教者慰霊祭に出席し、反体制武装勢力との戦闘での戦死者の遺族を慰問した。

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サアド・ナーイフ保健大臣は、26日のダマスカス県ダッフ・シューク地区での爆破テロで負傷した市民を慰問した。

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アリー・アブドゥッラー・アイユーブ副参謀長がダマスカス県ティシュリーン軍事病院を訪れ、反体制武装勢力との戦闘での負傷兵を慰問した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は、イード・アル=アドハーの休戦に関して「どの休戦のことか?休戦など嘘だ。体制は犯罪者なのに、どのように休戦を尊重できるのか?これはブラーヒーミーにとって失敗だ。彼のイニシアチブは死産だった…。軍は砲撃を止めていない」と非難した。

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シリア人権監視団は、休戦発効後の死者数(27日正午時点)が、民間人50人、兵士16人、反体制武装勢力6人にのぼると発表した。

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地元調整諸委員会は、26、27日両日で死者数が151人に達したと発表した。

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シリア国民評議会は声明を出し、10月26日に軍・治安部隊が各地で292件の停戦違反を犯したと発表した。

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シリア記者連盟は声明を出し、反体制武装勢力が拉致しているレバノン人記者フィダー・イーターニーの釈放を求めた。

クルド民族主義勢力の動き

民主統一党のスィーバーン・ハムウ人民防衛隊(YPG)報道官は、クルディーヤ・ニュース(10月27日付)に対して、アレッポ県アイン・アラブ市(コバネ市)のクルド民族主義政党7党に対して、反体制武装勢力などが使用するフランス委任統治時代のシリア国旗を掲揚しないよう要請した。

またハムウ報道官は、シリアの反体制勢力がクルド民族の生存権を認めようとせず、自由シリア軍がクルド人市民を殺害している、と非難した。

レバノンの動き

NNA(10月27日付)は、レバノン人ジャーナリストのフィダー・イーターニーがアレッポ県アアザーズ市の反体制武装勢力に拉致された、と報じた。

イーターニーは『アフバール』、LBCIなどの記者を務める。

アアザーズ調整はフェイスブック(10月27日付)で、拉致の理由に関して、「彼の活動はシリア革命の路線に一致しない…。イーターニーが反革命勢力に関与していることは証明されていないが、革命勢力が制圧した地域で彼の記者としての滞在はもやは認められない」と綴った。

ジャディード・チャンネル(10月27日付)は、ムスタクバル潮流のウカーブ・サクル議員がイーターニー記者の釈放の仲介を行っている、と報じた。

諸外国の動き

トルコ軍参謀長は、米軍が対シリア国境地域に軍を派遣したとの一部トルコ紙の情報を否定した。

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ハマースのイスマーイール・ハニーヤ首相は、イード・アル=アドハー礼拝後に演説を行い、シリア情勢に関して、「自由、尊厳、安心できる国家を求めるシリア国民から不正の手を引くべき」と述べ、アサド政権を批判した。

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イラク・イスラーム教ウラマー委員会のハーリー・ダーリー事務局長は、シリア情勢に関して、「(アサド政権は)アラブ諸国と国際社会のあらゆるイニシアチブを利用すべきだ…。なぜならそこに危機の出口があるからだ」と述べた。

AFP, October 27, 2012、Akhbar al-Sharq, October 27, 2012、al-Hayat, October 28, 2012、al-Jadid, October 27, 2012、Kull-na Shuraka’, October
27, 2012, October 29, 2012、al-Kurdiya News, October 27, 2012, October 29,
2012、Naharnet, October 27, 2012、NNA, October 27, 2012、Reuters, October
27, 2012、SANA, October 27, 2012などをもとに作成。

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各地で「武装テロ集団」が前日に発表された軍の休戦宣言に違反するかたちで攻撃を実施、アサド大統領がダマスカス県のアクラム・モスクでイード・アル=アドハーの礼拝を行う(2012年10月26日)

国内の暴力

シリア軍・武装部隊総司令部は声明を出し、25日の軍による休戦宣言に明確に違反するかたちで、「武装テロ集団」が各地の軍拠点への攻撃を敢行した、と発表した。

同声明によると、「武装テロ集団」(自由シリア軍)は午前7時頃から、ダイル・ザウル県(ダイル・ザウル市)、ダルアー県(ダルアー市)、イドリブ県(ハーリム、サルキーン、ワーディー・ダイフ、アッラーニー村)、ヒムス県(ヒムス市、タッルカラフ)、ダマスカス郊外県(ハラスター、アルバイン、ドゥーマー)の軍検問所、拠点などに対して発砲を行っている。

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ダマスカス郊外県では、AFP(10月26日付)によると、ハラスター市、アルバイン市、ドゥーマー市で、市民を襲撃する反体制武装勢力に軍・治安部隊が発砲した。

一方、シリア人権監視団によると、サイイダ・ザイナブ町で戦闘があった。

またハラスター市でも戦闘があり、3人が死亡した。

SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012

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ダマスカス県では、SANA(10月26日付)によると、ダッフ・シューク地区で反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、20人以上の市民が死亡、30人以上が負傷した。

AFP(10月26日付)によると、爆破テロは警察署を狙ったものだという。

また、AFPによると、タダームン区の建設中のビル内で反体制武装勢力が爆弾を仕掛けた車が爆発、またマッザ航空基地周辺に迫撃砲が着弾した。死傷者はなかった。

シリア人権監視団によると、アサーリー地区で戦闘があった。

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ダルアー県では、SANA(10月26日付)によると、ダルアー市内の治安維持部隊の検問所近くで反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、11人が負傷した。

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アレッポ県では、SANA(10月26日付)によると、アレッポ市内で3件、カフルナーハー村で1件、ハーン・アサル村で1件の合わせて5件の停戦違反があり、軍・治安部隊が反体制武装勢力に応戦した。

al-Hayat, October 27, 2012
al-Hayat, October 27, 2012

またアレッポ市スィルヤーン地区にある反体制武装勢力のアジトを制圧し、武器弾薬を押収した。

一方、AFP(10月26日付)によると、アレッポ市スィルヤーン地区の兵舎に反体制武装勢力が迫撃を試みたが、軍・治安部隊が撃退した。

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イドリブ県では、『ハヤート』(10月27日付)によると、反体制武装勢力がワーディー・ダイフ基地への攻撃を継続した。

シリア人権監視団によると、この戦闘で反体制武装勢力の戦闘員4人が死亡した。

また同基地周辺の、ダイル・シャルキー村、マアッルシューリーン村、カフルサジュナ村が空爆を受けたという。

さらに対トルコ国境地域でも、シリア人権監視団によると、1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、タッルカラフ市が砲撃を受けた。

国内の動き

アサド大統領はダマスカス県ムハージリーン区にあるアクラム・モスクでイード・アル=アドハーの礼拝を行った。

礼拝には、内閣、人民議会、バアス党、イスラーム教宗教関係者らが列席した。

SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012
SANA, October 26, 2012

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イード・アル=アドハーの休戦が発効し、暴力のレベルが低下するなか、『ハヤート』(10月27日付)によると、多くの人々がイードを祝う一方、礼拝後に複数の都市・村で反体制抗議デモが発生した。

al-Hayat, October 27, 2012
al-Hayat, October 27, 2012

ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団によると、デモはダルアー県各地、アレッポ県アレッポ市ハナーヌー地区など県内各所、ダマスカス県カーブーン区、ジャウバル区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市など各地、イドリブ県各地、ハマー県各地、ダイル・ザウル県各地、ラッカ県各地で行われた、という。

『ハヤート』(10月27日付)によると、抗議デモはいずれも内務省の許可を得ておらず、治安維持部隊が介入、強制排除を行った。

シリア人権監視団によると、ダルアー県インヒル市で治安維持部隊がデモ参加者に発砲し、3人が負傷した、という。

自由シリア軍最高軍事評議会のムスタファー・シャイフ議長も、ダマスカス郊外県カタナー市、ダマスカス県カーブーン区でのデモ参加者に軍・治安部隊が発砲したと主張し、「停戦違反」だと非難した。

そのうえで、反体制武装勢力は「政府軍より平静を保っている。なぜなら我々は停戦に機会を与えたいからだ」と述べた。

反体制勢力の動き

「民主主義のためのシリア・キリスト教徒」は声明を出し、反体制武装勢力によるジャミール・ハッダード司祭誘拐殺人を「アサドの悪党による犯行」と断じ、非難した。

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シリア国民評議会のアフマド・ラマワーン広報局長がアレッポ市に潜入し、『ハヤート』(10月27日付)に市内の状況を伝えるとともに、現地で反体制武装闘争を行う組織にシリア国民評議会が資金援助を行う意思があると述べた。

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ユーチューブ(10月26日付)上に、シリア軍が市街地にTNTクラスター爆弾を投下する映像がアップされた。

http://www.youtube.com/watch?v=rj1WJWcke4s&feature=share

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(10月26日付)などによると、民主統一党の軍事部門高官は、シリア・クルド民主党(パールティー)政治局メンバーのバフザード・ドゥールスィンの失踪への関与を否定した。

レバノンの動き

NNA(10月26日付)は、ベカーア県ヘルメル郡で、拉致されていたシリア人ビジネスマンのユーズフ・トゥルクマーニーを治安部隊が解放した、と報じた。

諸外国の動き

サウジアラビア外務省は、ジェッダのシリア領事館の外交官3人を「領事活動と関係ない行為を行っていた」との理由で国外追放した、と発表した。

AFP, October 26, 2012、Akhbar al-Sharq, October 26, 2012、al-Hayat, October 27, 2012、Kull-na Shuraka’, October 26, 2012、al-Kurdiya News,
October 26, 2012、Naharnet, October 26, 2012、NNA, October 26, 2012、Reuters,
October 26, 2012、SANA, October 26, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍武装部隊総司令部がイード・アル=アドハーにあたる10月26日朝から29日まで軍事作戦を停止すると発表、アレッポ市では反体制武装勢力が進軍し「アシュラフィーヤ地区の北部を制圧」(2012年10月25日)

イード・アル=アドハーの休戦をめぐる動き

軍武装部隊総司令部は声明を出し、ブラーヒーミー共同特別代表の休戦案するかたちで、イード・アル=アドハーにあたる10月26日朝から29日まで軍事作戦を停止すると発表した。

SANA, October 25, 2012
SANA, October 25, 2012

同声明によると、イード期間中は以下の反体制活動・破壊活動への「反撃が留保される」。

1. 武装テロ集団による民間人、軍兵士への発砲、公共財産、私有財産への破壊、爆弾が搭載された車による爆破攻撃、しかけ爆弾による爆破攻撃。
2. 武装テロ集団による拠点強化。
3. テロ撲滅に関する国際的な決定を侵害するかたちでの、近隣諸国からシリアへのテロリストの潜入奨励。

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『ハヤート』(10月26日付)は、自由シリア軍の司令官の一人が、ブラーヒーミー共同特別代表の休戦案に従い、休戦を遵守するだろうと述べるとともに、逮捕者の釈放を要求した、と報じた。

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『ハヤート』(10月26日付)は、シリア国内でテロ活動を行うアンサール・シャリーアが、シリア軍が休戦を尊重しないと非難、自らが休戦を遵守することはないだろうとの意思を示した、と報じた。

国内の動き

ハルフ・アッサーウィー選挙最高委員会は、12月1日が投票日の第10期人民議会補欠選挙(アレッポ県、ハサカ県、ハマー県、イドリブ県)の立候補者が109人に達したと発表した。

各選挙区の内訳は、109人のうちA部門からの立候補者は84人、B部門は25人。

アレッポ県諸地域選挙区は44人(A部門が19人、B部門が25人)、イドリブ県が12人(A部門)、ハマー県が19人(A部門)、そしてハサカ県が34人(A部門)。

SANA(10月25日付)によると、立候補受付期間は10月24日に終了した。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表はシリア・アラブ・テレビ(10月25日付)に対して、イード・アル=アドハーの休戦を求める国連のプレス向け声明は、諸外国が武装テロ集団を支援しているとのシリアの主張を初めて受け入れた声明だと述べ、高く評価した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、複数の活動家らによると、カタナー市でギリシャ正教のファーディー・ハッダード司祭が誘拐され、殺害された。AFP(10月25日付)が報じた。

al-Hayat, October 26, 2012
al-Hayat, October 26, 2012

遺体はカタナー市・ダルーシャー村間で発見された。

ハッダード司祭は43歳でカタナー市のマール・イリヤース教会の司祭。

ハッダード司祭の誘拐殺人に関して、反体制組織のアッシリア人権ネットワークは声明を出し、「政府に属する犯罪集団」によって暗殺されたと発表した。

しかしAFP(10月25日付)によると、ハッダード司祭は、10日前にカタナー市で誘拐された医師の釈放と身代金支払いの交渉を行っており、身代金を支払うために誘拐犯らのもとに訪れた際、拉致・殺害された。

誘拐犯は医師釈放に5000万ポンド(70万ドル)を要求、ハッダード司祭はこれを半額にまで減額させたが、ハッダード司祭を拉致した誘拐犯は、司祭釈放の条件として2500万ポンドを新たに要求した、という。

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同じくダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カタナー市の検問所で爆弾が爆発し、兵士4人が殺害された。またダーライヤー市、ハラスター市、ドゥーマー市が砲撃を受けた。

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アレッポ県では、AFP(10月25日付)によると、反体制武装勢力がアレッポ市のアシュラフィーヤ地区に進軍、「同地区の北部を制圧した」。

住民によると、武装勢力は黒い服をまとい、「アッラーの他に神なし」と書かれた黒い鉢巻きを巻いていたという。

彼らはまた狙撃兵を屋上に配置、また機関銃が積まれた車などが地区内に展開、戦闘員の一人は「おまえたちとともにイードを過ごすためにやって来た」と言っていた、という。

シリア人権監視団によると、アシュラフィーヤ地区への軍・治安部隊の砲撃で、7人が死亡した。

同地区はクルド人住民が多く住んでいたが、7月以降の争乱のなかで多くの避難民が押し寄せていた。

こうした状況を踏まえるかたちで、クッルナー・シュラカー(10月25日付)は、アレッポ市アシュラフィーヤ地区のクルド系住民が、自由シリア軍の存在を支持している、と報じた。

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同じくアレッポ県では、AFP(10月25日付)によると、アレッポ市のスィルヤーン地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

シリア人権監視団によると同地区での戦闘は刑事保安局近くでもっとも激しかったという。

一方、SANA(10月25日付)によると、軍・治安部隊がアレッポ市のズフール通りフランス病院、旧市街のスィルヤーン地区、ジュダイダ地区の浄化を完了した。

また軍・治安部隊はアレッポ市のアシュラフィーヤ地区、ハーン・アサル村などで浄化を継続し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区、カダム区で砲撃があった。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がサルーク市近くのラニーン軍事検問所を襲撃し、兵士3人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ軍事基地周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区が砲撃を受けた。

一方、SANA(10月25日付)によると、軍・治安部隊がレバノンからタッルカラフ市郊外に潜入しようとした反体制武装勢力戦闘員と対峙、撃退した。

またマヒーン町などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(10月25日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。また同地区では爆弾が仕掛けられた車が爆発、戦闘員複数が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(10月25日付)によると、サムリーン村で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追撃を行った。

またダマスカス・ダルアー街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力と衝突、多数の戦闘員を殺傷した。

クルド民族主義勢力の動き

クッルナー・シュラカー(10月24日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市で民主統一党の民兵が軍事パレードを行った。

このパレードは同市の南西35キロに位置するマブルーカ地方の自由シリア軍が進軍したことを受けた動き。

自由シリア軍は約30台の車を連ね、武装して、マブルーカ地方に進軍した、という。

諸外国の動き

ロシア外務省報道官は、記者会見で、米国が「シリアの戦闘員に直接武器供与してはいないが…、こうした供与が行われていることを知っており、調整を行っている」と批判した。

AFP, October 25, 2012、Akhbar al-Sharq, October 25, 2012、al-Hayat, October 26, 2012、Kull-na Shuraka’, October 25, 2012、al-Kurdiya News,
October 25, 2012、Naharnet, October 25, 2012、Reuters, October 25, 2012、SANA,
October 25, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.