アレッポ県の各地区で軍・治安部隊が反体制武装集団と激しく交戦するなか、エルドアン首相が「シリア情勢の進捗と、領内および近隣諸国の分離主義テロ組織の活動」に関して協議(2012年7月25日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、サラーフッディーン地区などで軍・治安部隊が反体制武装集団と激しく交戦した。

また軍・治安部隊は戦闘機を投入し、サーフール地区、タリーク・バーブ地区、シャッアール地区、カーディー・アスカル地区、サラーフッディーン地区を空爆したという。

この戦闘により、軍・治安部隊兵士8人、民間人4人、反体制武装集団戦闘員1人が死亡した、という。

一方、『サウラ』(7月26日付)によると、サーフール地区などで軍・治安部隊が反体制武装集団の掃討、追跡を継続し、多数の戦闘員を殺害、逮捕した。

『ハヤート』(7月26日付)は、アレッポ市内の目撃者の話として、「シリア北部から来た反逆者がアレッポに入り、同市を決戦場にしようとしているかのようだ」と報じた。

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ダマスカス県では、シリア革命総合委員会によると、アサーリー地区で戦闘があった。

反体制活動家は、カーブーン区で軍・治安部隊が処刑したとされる遺体11体の映像をビデオで公開した。

アムネスティ・インターナショナルも、マッザ区で非武装の男性や子供の遺体19体が発見されたと発表した。

一方、『サウラ』(7月26日付)によると、カダム区、アサーリー地区で軍・治安部隊が反体制武装集団の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺害、逮捕した。

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イドリブ県では、反体制活動家らによると、マアッラト・ニウマーン市とハーン・シャイフーン市間の街道およびアリーハー均衡で軍・治安部隊の車列を襲撃した。

同活動家らによると、この車列はアレッポ市の掃討作戦に向かう増援部隊だという。

『ハヤート』(7月26日付)によると、軍・治安部隊はザーウィヤ山などに展開している数千の兵をアレッポ市への増援部隊として派遣した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(7月26日付)によると、タッル市を拠点とする第216機械化大隊が同市への砲撃を本格化させた。

タッル市は反体制武装集団が先週から占拠しているという。

また、シリア人権監視団によると、ハジャル・アスワド市に対して、軍・治安部隊が砲撃を加えた。

同地は依然として、反体制武装集団が潜伏しており、制圧されていないという。

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ハマー県では、『サウラ』(7月26日付)によると、ガーブ地方で治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

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ラタキア県では、『サウラ』(7月26日付)によると、北部のサルマー町で軍・治安部隊が反体制武装集団の「浄化」を完了した。

また軍・治安部隊はアイン・イードゥー村で反体制武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、『サウラ』(7月26日付)によると、ダーイル町、ワーディー・ヤルムークで軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦、多数の外国人戦闘員を殺害した。

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ヒムス県では、『サウラ』(7月26日付)によると、タッルカラフ市で国境警備隊がレバノン領内からの潜入を試み反体制武装集団の戦闘員を撃退した。

一方、シリア人権監視団によると、空軍情報部兵士を含む軍・治安部隊がヒムス中央刑務所での暴動鎮圧のために同刑務所に突入し、複数が死傷した、という。

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ハサカ県では、『サウラ』(7月26日付)によると、カーミシュリー市郊外のザーヒリーヤ市の反体制武装集団のアジトに治安維持部隊が突入し、戦闘員10人を殺害、12人を逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、『サウラ』(7月26日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装集団の「残党狩り」を行った。

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クウェート日刊紙『スィヤーサ』(7月25日付)は、シリア愛国主義者党軍事局なる組織が声明を出し、ラタキア県カルダーハ市にあるハーフィズ・アサド前大統領廟を迫撃砲で攻撃し、大きな損害を与えた、と発表したと報じた。真偽は定かでない。

シリア政府の動き

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はダマスカス訪問中の国連平和維持活動局(DPKO)のエルベ・ラドゥス局長と会談した。

SANA, July 25, 2012
SANA, July 25, 2012

『サウラ』(7月26日付)によると、ムアッリム大臣は会談で、国際社会がテロ集団に影響力を行使する国がアナン特使の停戦案に協力することが肝要と立場を伝えた。

一方、ラドゥス局長は国連における最優先課題がシリア国内の暴力を軽減するための政治解決に向けて行動することだとの見解を示した、という。

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人民議会は、テロ犯罪に関する特別法廷設置に関する法案(2012年法律第19号)を承認した。近くアサド大統領が施行する見込み。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会執行員会は声明を出し、アサド政権打倒後の暫定政府の長にはアサド政権の高官ではなく、反体制勢力が就くことを確認したと発表した。

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AFP(7月25日付)は、イドリブ県ビンニシュ市など、反体制武装集団によって「解放」された都市・村で、軍・政治指導者からなる代表者委員会が選出され、自治を行っている、と報じた。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣は、シリア軍によるレバノン領内での反体制武装集団掃討活動に関して、アリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使に「覚書」を手渡した。

マンスール外務大臣によると、同「覚書」は、事件の再発を回避したい旨シリア側に要請しているが、侵犯への「抗議」の意は示していない、という。

トルコの動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は国家安全保障会議を開き、「シリア情勢の進捗と、領内および近隣諸国の分離主義テロ組織の活動」に関して協議した。

アナトリア通信(7月25日付)によると、会議は2時間にわたって行われ、アフメット・ダウトオール外務大臣ほか、軍参謀長、国防大臣、内務大臣、諜報機関高官が出席した。

会議は、アサド政権とクルド民族主義勢力、とりわけPKK系の民主統一党(西クルディスタン人民議会)やシリア・クルド民主統一党(イェキーティー)の協力関係の緊密化や自由シリア軍・アル=カーイダによる国境通行所制圧を受けたものと思われる。

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トルコのハヤティ・ヤズジュ関税通商大臣は記者会見で、対シリア国境に位置するジルヴェゴズ、オンジュピナル、カルカミスの三つの国境通行所のトルコ人および外国人の往来、シリア、トルコ、および諸外国の商業貨物車輌の往来を停止と発表した。

通行所の「領外の安全が確保されていない」というのがその理由。

ただしシリア人の出国は認められるという。

これらの通行所はそれぞれシリアの反体制武装集団が制圧したジャラーブルス、バーブ・ハワー、サラーマの三つの国境通行所に面している。

なお同大臣によると、アクジャカレ(カサブ)とヤイァダギ(タッル・アブヤド)の国境通行所は利用可能だという。

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トルコ外務省筋は、シリア軍の上級士官(少将)2人が新たに離反し、トルコ領内に避難したことを明らかにした。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、キプロス外相と会談後、「我々は一方的制裁にそもそも反対している…。いかなる問題であれ集団的な討論を行うことを支持している。残念ながら、EU、米国などはシリアに一方的制裁を科したが、そのことに関して我々に何らの意見も求めなかった」と述べた。

またラブロフ外務大臣は、18日のダマスカス県での爆弾テロに関して「シリア政府が行っていることを踏まえると、こうした攻撃は驚きではない」とコメントしたビクトリア・ヌーランド米国務次官補の発言を受けるかたちで、「ひどい姿勢だ…。こうした事態に対する我々の立場を表現する言葉も見つけられない。テロを直接正当化している…。このような姿勢をどう理解すべきか?…このことは、安保理が自分たちの望む通りにならない限り、このようなテロ行為を支持し続けると言っているようなものだ」と非難した。

さらに自由シリア軍が国境通行所を制圧したとの情報に関して、「複数の情報によると、自由シリア軍が通行所を制圧したのではない…。この問題を一部の人がどのように考えているかはともかく…、制圧したのはアル=カーイダと直接関係のある組織だ」と述べた。

EUによる追加制裁(武器やその他禁止されている機器のシリア国内への持ち込みが疑わわれる航空機や船舶の臨検調査)に関しては、「包囲」だと非難した。

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ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、イタルタス通信(7月25日付)に対して、「我々はダマスカスからこれらのミサイルの安全が完全に保障されているとの確実な保証を得た」と述べた。

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イランのアフマド・ワヒーディー国防大臣は「シリア政府とシリア軍はテロリストと対決する能力と力を持っていると考える」と述べ、イランの軍事支援が不要だとの見解を示すとともに、イラン軍部隊がアサド政権を支援するために派遣されているとの一部情報を否定した。

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イスラエルのアアヴィグドール・リーベルマン外務大臣は、「シリアが化学・生物兵器をヒズブッラーに引き渡したことを発見したら直ちに行動する…。我々にとって、それは宣戦布告であり、レッド・ラインだ」と述べた。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、アサド政権による化学兵器使用の可能性について「仮定の話に過ぎない」としつつ、国内では予防的措置をとる、と述べた。

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ババカール・ジャイ(Babacar Gaye)UNSMIS新団長(セネガル人)がロバート・ムード前団長の後任としてダマスカスに着任した。

『ハヤート』(7月26日付)によると、UNSMISの監視団員150人が24、25日の2日間にかけて帰任すると報じた。

帰任する団員の補充はない。

AFP, July 25, 2012、Akhbar al-Sharq, July 25, 2012、al-Hayat, July 26, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 25, 2012、Naharnet.com, July 25, 2012、Reuters, July 25, 2012、SANA, July 25, 2012、al-Siyasa, July 25, 2012、al-Thawra, July 26, 2012などをもとに作成。

 

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍がダマスカス県内の複数地区を「完全に制圧」するなか、アイン・アラブ市、アフリーン市から軍・治安部隊が突如撤退しクルド民族主義2政党の旗が掲揚される(2012年7月24日)

国内の暴力(アレッポ県)

アレッポ県では、シリア人権監視団などによると、アレッポ市のスッカリー地区、サラーフッディーン地区周辺、カッラーサ地区、アルクーブ地区、ザイディーヤ地区、サーリヒーン地区などで軍・治安部隊と反体制武装集団が激しく交戦し、軍はヘリコプターを動員した。

Youtube, July 24, 2012
Youtube, July 24, 2012

また旧市街の入り口にあたるバーブ・ハディード地区、バーブ・ナスル地区でも戦闘があった。

反体制武装集団はサイフ・ダウラ地区の郵便局に進入し、アサド大統領の写真などを破壊した。

またサーフール地区では軍の戦車を破壊した。

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一方、『サウラ』(7月25日付)によると、サーリヒーン地区の警察部隊が武装集団と対峙し、甚大な被害を与えた。

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表は、戦闘のほとんどが「民衆的性格」を帯びていると宣伝した。

しかし「民衆的性格」を有しているはずの反体制武装集団の攻勢で多数の住民が避難を余儀なくされている。

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「アレッポ殉教者部隊」司令官のムスタファー・アブドゥッラーなる反体制戦闘員はロイター通信(7月24日付)に対して、シリアの軍・治安部隊がアレッポ県北部を砲撃し、反体制武装集団の戦闘員の進軍を阻止しようとしている、と述べ、戦闘員がトルコ方面から進軍していることを認めた。

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またトルコに避難中の離反兵は、反体制武装集団がアレッポ市郊外のムスリミーヤ村にあるアレッポ法兵学校を制圧したと述べ、自由シリア軍事評議会のムスタファー・シャイフ准将も避難先のトルコでロイター通信(7月24日付)に対して、「この作戦(アレッポ法兵学校制圧)は戦略的・象徴的な重要性がある」と述べた。

しかし法兵学校制圧の事実は確認されていない。

Youtube, July 24, 2012
Youtube, July 24, 2012
Youtube, July 24, 2012
Youtube, July 24, 2012

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シリア国民評議会は、21日にアレッポ中央刑務所で暴動があり、治安当局が実弾・催涙ガスを使用して強制排除、その際15人の収監者が死亡した、との声明を発表した。

また同評議会は、21日にヒムス中央刑務所で暴動が始まり、政権による「大虐殺」に警鐘を鳴らしたが、シリア公式筋は暴動の発生を否定しており、そもそも暴動が発生しているかどうかも定かでない。

国内の暴力(その他の地域)

ダマスカス県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、「シリア軍はマッザ区、バルザ区、マイダーン地区、カフルスーサ区を完全に制圧した」。

しかし、シリア人権監視団によると、ダマスカス県、ダマスカス郊外県では「戦闘員が退避した」カダム区、ハジャル・アスワド市で戦闘が続いた。

またアブ・カイスを名のる活動家によると、バルザ区に第4機甲師団の戦車20輌が進入し、掃討作戦を継続した。

一方、『サウラ』(7月25日付)によると、マイダーン地区で軍・治安部隊が反対武装集団の「残党狩り」を継続した。

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『クッルナー・シュラカー』(7月24日付)は、ダマスカス郊外県ジャルマーナー市で、「シャッビーハ」と目されるドゥルーズ派の青年が「何者か」によって殺害されたことを受け、住民と避難民が衝突したと報じた。

同報道によると、シャッビーハと目されるドゥルーズ派の青年の殺害を受け、ある「シャッビーハ」が報復として青年1人(ジャルマーナー市外出身)を殺害、またジャルマーナー市内の避難民(3,000~4,000人)が避難している学校を襲撃、放逐すると脅迫した、という。

その後、ジャルマーナー市住民が発砲を受け複数が負傷、さらに避難民が実を寄せる学校を「シャッビーハ」が襲撃した。

事態は、同市のドゥルーズ派のシャイフや地元の有力者らとともに現場を訪れることで収拾した、という。

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ヒムス県では、『サウラ』(7月25日付)によると、ヒムス市カラム・シャムシャム地区を軍・治安部隊が制圧した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市内各所で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

一方、『サウラ』(7月25日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員2人を殺害した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町、ラジャート高原、ヌジャイフ村、フラーク市などが軍・治安部隊の砲撃に曝されたという。

一方、『サウラ』(7月25日付)によると、フラーク市で治安維持部隊が武装テロ集団の襲撃を受けたが、応戦し、またガバーイブ市での戦闘で反体制武装集団の戦闘員1人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ダイフ地方、ハーン・シャイフーン市、マアッラト・ニウマーン市などが軍・治安部隊の砲撃に曝され、少なくとも4人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルズィーター市での軍・治安部隊の砲撃により、4人が死亡した。

シリア政府の動き

ダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、アースィフ・シャウカト副参謀長、ヒシャーム・ビフティヤール・バアス党シリア地域指導部メンバーの暗殺(18日)を受け、アサド大統領は以下の通り、ムハーバラートの人事改編を行った。

アリー・マムルーク少将:総合情報部長から国民安全保障会議議長に異動。
ルストゥム・ガザーラ少将:軍事情報局ダマスカス郊外県課長から政治治安部長に異動。
ディーブ・ザイトゥーン少将:政治治安部長から総合情報部長に異動。
アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ少将:軍事情報局長から総合情報部第2次長に異動。
アリー・ユーヌス少将:総合情報部第2次長から軍事情報局長に異動。

なおマムルーク少将の移動により、ビフティヤール少将が国民安全保障会議議長を務めていたことが明らかになった。

シリアのムハーバラートについてはhttp://www.tufs.ac.jp/ts/personal/aljabal/biladalsham/syria/m.htmを参照。

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アラビーヤ(7月24日付)はラミーヤー・ハリーリー駐キプロス・シリア大使が離反したと報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(7月24日付)は、信頼できる消息筋の話として、政治治安部がダマスカス県カッサーア地区、バーブ・トゥーマー地区の住民(キリスト教徒)に武器を配付している、と報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、アサド政権が「大量破壊兵器をちらつかせることで、イスラエルの脅威を利用しようとしている」と主張、「地域社会と国際社会に圧力を軽減するため…数ヶ月前から大量殺戮兵器の備蓄の再配置を始めた」とし、その一部が国境地帯の空港に転送されたと述べた。

同声明によると、自由シリア軍はシリア国内の大量破壊兵器の配置を完全に把握しているというが、根拠に乏しい。

しかし、西側諸国やイスラエルがアサド政権の化学兵器の脅威をにわかに強調するなか、シリアの反体制(武装)勢力が化学兵器の使用を政局に劣勢の打開を図ろうとしていることは明らかである。

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離反兵の一人、ファーイズ・アムルー准将は避難先のトルコでロイター通信(7月24日付)に対して、「国境通行所の制圧は戦略的重要性はないが、心理的影響がある。なぜならアサド軍の精神を砕くからだ」と述べた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、トルコのアフマド・ダウトオール外務大臣と会談した。

会談後、記者団に対して、「子供を殺害し、女性を犯してきた態勢が化学兵器を使用することはいともたやすいことだ」と述べた。

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官はAFP(7月24日付)に対して、「我々はアサドの退任と、イエメンのように体制内の誰かに移行期間を指導するための(大統領)権限の移譲で同意した」と述べた。

「体制内の誰か」が誰なのかに関して、サブラー報道官は「シリアは愛国的な人材が抱負だ。政権内にいる人物やシリア軍の一部士官も役割を果たすことができる」と答えた。

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しかし、同評議会のバスマ・カドマーニー報道官は、反体制勢力は「現体制内の人物を長とする挙国一致政府を発足すると一度も言及したことはない」と述べ、サブラー報道官の発言を否定した。

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マナーフ・トゥラース准将はアラビーヤ(7月24日付)に出演し、自身の離反を改めて公式に宣言、「一国民…一兵士として…腐敗した体制の犯罪的方法を拒否する」と政権を非難するとともに、「自由で民主的なシリアを一致団結して建設するのが我々シリア人の義務だ」と述べた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、トルコのアフマド・ダウトオール外務大臣との会談後、記者団に対して、アレッポ県のアイン・アラブ市、アフリーン市から軍・治安部隊が突如撤退し、シリア国旗が降ろされ、二つのクルド民族主義政党の旗が掲揚されたと語った。

なおこの動きと時を一にして、シリア軍を離反したのち、イラクのクルディスタン地域で教練を受けたクルド人民兵(ペシュメルガ)約600人以上がシリア領内に入ったとの情報があるが、事実確認は取れていない。

スィーダー事務局長によると、この二つのクルド民族主義政党とはPKK系の民主統一党と、反体制組織の一つシリア・クルド民主統一党(イェキーティー)で、「アサドがこのうちの一党(民主統一党)に与えた地域で両党がそれぞれの党の旗を掲揚した」という。

スィーダー事務局長はまた「クルド人民は革命を支持しており、これら二党を支持していない」と付言した。

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シリア国民評議会のアブドゥルハキーム・バッシャール渉外局長は、「シリア政府高官はシリア・クルド民主統一党(イェキーティー)の党員を呼び、彼らに(クルド人が多く地域の)行政を託した」と述べた。

アナトリア通信(7月24日付)が伝えた。

バッシャール渉外局長によると、政府側の動機は定かでない。

なおシリアのクルド民族主義政党に関しては以下の資料を参照。

「シリアにおけるクルド問題と「アラブの春」『中東研究』第512号(2011年9月)、pp. 43-52。http://www.meij.or.jp/chutokenkyu/index.html
「シリアにおけるクルド民族主義政党・政治組織(1)」『現代の中東』第39号、2005年7月、pp. 58-84。http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Mid_e/pdf/2005_02_aoyama.pdf
「シリアにおけるクルド民族主義政党・政治組織(2)」『現代の中東』第40号、2006年1月、pp. 20-31。http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Mid_e/pdf/200601_05.pdf
「シリアにおけるクルド民族主義政党・政治組織(補足):ハリーリー元首相暗殺に伴う政情変化のなかで(2005年)」『現代の中東』第41号、2006年7月、pp. 65-94。http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Periodicals/Mid_e/pdf/200607_06.pdf

レバノンの動き

アドナーン・マンスール外務大臣は、シリア軍によるレバノン領への侵犯に関して、「現場で検証すべき事実がある」とし、アリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使への抗議を保留すると述べた。

シリア大使への抗議はミシェル・スライマーン大統領によって指示されていた。

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マヤーディーン(7月24日付)は、「ムフタール・サカフィー連隊」を名のる組織がレバノン領内でシリア人反体制活動家を誘拐したと報じた。

同報道によると、アレッポ県で誘拐されたレバノン人巡礼者(シーア派)11人との交換が目的だという。

『アフバール』(7月25日付)によると、誘拐された活動家の数は3人から5人だというが、誘拐された活動家の人数は定かでない。

一方、レバノンの軍当局は、レバノン領内で誘拐されていたシリア人3人(ハマー県出身)の身柄を確保したと発表した。

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レバノンのドゥルーズ派のシャイフ・アクル府はシリア国内、とりわけダマスカス郊外県ジャルマーナー地方およびグータ地方のドゥルーズ派宗徒に対して「一時の紛争を超越し…隣人と共に平穏な暮らしを維持する」よう呼びかけた。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官は、シリア情勢に関して、さらなる反体制活動のためシリアの反体制勢力と緊密に行動すべきと述べるとともに、アサド政権に改めて退陣を求めた。

クリントン国務長官は、「我々は反体制勢力と緊密に行動しなければならない。なぜなら彼らは徐々に領土を制圧しており、これらの領土は最終的にはシリア領内に安全な隠れ場所となり、さらなる活動のための基地となるだろう…。アサド体制が(体制)転換を始めることは手遅れではない」と述べた。

トーマス・ドニロン米国家安全保障問題担当大統領補佐官が北京を訪問し、中国高官らとシリア情勢について協議した。

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ロシア外務省は、タルトゥース港に向かって航行中のロシア艦隊がジブラルタル海峡を通り、地中海に入ったと発表した。

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AFP(7月24日付)は、イラン軍のマスウード・ジャザーイリー副参謀長が革命防衛隊のサイトで「シリア国民とその友好国は体制転換を許さないだろう」と述べた、と報じた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、シリアの反体制武装集団による国境通行所の占拠による国境地帯の緊張状態が増すなか、「シリア政府が教訓を得ず…敵対的な行動を続けるなら、トルコは報復をためらわないだろう」と述べ、国境地帯へのシリア軍の奪還作戦を牽制した。

また「シリア国民はこれまで以上に勝利に近づいている」と煽動した。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、ドーハでのアラブ連盟シリア問題閣僚委員会会合の後、「政治改革に関して話すことはない」と述べ、シリアでの政権交代が不可避との見方を示しつつ、「(政権交代までの)期間がどのくらいかを限定できないが、体制は長くは続かないだろう」と述べた。

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ヨルダンでシリア人避難民の支援活動を行っている聖典スンナ協会のザーイド・ハマード代表は、過去3日でシリア領内から約5,000人のシリア人が避難してきたと発表した。

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シリアの反体制武装集団への武器・資金供与を行うサウジアラビアのアブドゥッラー国王の呼びかけを受け、3,260万ドルの寄付金が集まった。サウジの公式筋が明らかにした。

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『ワシントン・ポスト』(7月24日付)は、米高官の話として、CIAがエジプトやリビアとは異なり、シリア国内での諜報活動の拠点を築くことができず、国内の反体制勢力などの情報を収拾できていない、と報じた。

AFP, July 24, 2012、al-Akhbar, July 25, 2012、Akhbar al-Sharq, July 24, 2012、Alarabia.net, July 24, 2012、al-Hayat, July 25, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 24, 2012、al-Mayadin, July 24, 2012、Naharnet.com, July 24, 2012、NNA, July 24, 2012、Reuters, July 24, 2012、SANA, July 24, 2012、al-Thawra, July 25, 2012、The Washington Post, July 24, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア外務省報道官が化学兵器の使用の危険を強調する西側諸国政府・メディアの動きを非難する一方、アラブ連盟シリア問題閣僚委員会が開かれアサド大統領に対し平和的な権力移譲を求める(2012年7月23日)

国内の暴力

ダマスカス県では、SANA(7月24日付)によると、軍・治安部隊がナフル・イーシャ地区で反体制武装集団の「残党狩り」を継続した。

人権団体を名のる駐英の反体制組織、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、AFP(7月23日付)に対して、ダマスカス県マッザ区、バルザ区で23人(22日に)が「戦場処刑」されたと主張した。

同代表は、処刑された23人はほとんどが30歳以下だと断定したにもかかわらず、「戦闘員か民間人かは不明」と曖昧に答えた。

一方、ウマル・カーブーニーを名のる反体制活動家はAFP(7月23日付)に、「軍はダマスカスの大部分を制圧した。目に見えるかたちではないが軍は市内に依然として駐留している」と述べた。

『クッルナー・シュラカー』(7月24日付)は、7月21日のナビール・ズガイブ少将(ミサイル開発技師)とその家族(妻と息子2人)の暗殺に関して、反体制武装集団ではなく、空軍情報部の犯行だと報じた。

同報道によると、ズガイブ少将はダマスカス県内のバーブ・トゥーマー地区からバルザ区の自宅に帰る途中、空軍情報部が検問所で静止しなかったため発砲を受けた、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市ハミーディーヤ地区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

またサラーフッディーン地区、サーフール地区、シャッアール地区などで銃声が聞こえたという。

一方、SANA(7月24日付)によると、スッカリー地区、サラーフッディーン地区で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

その後、自由シリア軍アレッポ県司令官のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は晩にアレッポ市内の複数地区を「解放」したと発表した。

「解放」が宣言されたとしたのは、サラーフッディーン地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、バーブ街道地区、シャイフ・ナッジャール地区。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月24日付)によると、軍・治安部隊がサイイダ・ザイナブ町、フジャイラ村、ディヤービーヤ市で反体制武装集団の「残党狩り」を継続した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市、サルマダー市で激しい砲撃が行われた。

一方、SANA(7月24日付)によると、軍・治安部隊がルージュ平野で反体制武装集団の「残党狩り」を継続した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス県ハーリディーヤ地区、カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区などで砲撃が続いた、という。

一方、SANA(7月24日付)によると、軍・治安部隊がレバノンから潜入を試みる反体制武装集団を撃退、またクサイル市郊外の拠点を破壊、多数の戦闘員を殺害した。

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ダルアー県では、SANA(7月24日付)によると、対ヨルダン国境のナスィーブ国境通行所西部からシリア領内への潜入を試みた反体制武装集団の戦闘員と国境警備隊が交戦し、戦闘員多数を殺害、また多数を拘束した。

またヒルバト・ガザーラ町で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、戦闘員に甚大な被害を与えた。

一方、シリア人権監視団によると、ダルアー市などで軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦したという。

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ハサカ県では、SANA(7月24日付)によると、南東部のマルカダー地方のシュワイハーン村で治安維持部隊が反体制武装集団のアジトに突入し、大量の武器弾薬を押収した。

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ラタキア県では、SANA(7月24日付)によると、対トルコ国境のルバイア地方で軍・治安維持部隊と反体制武装集団が交戦した。戦闘により軍・治安部隊の曹長1人を含む2人が死亡したが、反体制武装集団側も甚大な被害を受け、トルコ領内に逃走した。

シリア政府の動き

シリア外務在外居住者省のジハード・マクディスィー報道官は記者会見を開き、反体制運動弾圧を目的とした化学兵器の使用の危険をにわかに強調し始めた西側諸国政府・メディアの動きを非難した。

SANA, July 23, 2012
SANA, July 23, 2012

マクディスィー報道官は、「記者会見の目的は…大量破壊兵器の国内での使用と…第3者への拡散…をめぐる虚言を口実として、国際世論に軍事介入を受け入れさせようとするメディアの計画的キャンペーンに対抗すること」としたうえで、以下のように述べた。

「我々はこうした主張が根も葉もない偽りだと強調する…。イラクの大量破壊兵器疑惑のねつ造と同じ動きである…。これらの武器がもし存在するのなら、軍によって安全に保管され、直接管理されているのは当然のことだ。外国の敵の攻撃に曝されない場合、それらが用いられることはない」。

この発言を見る限り、マクディスィー報道官はシリアの化学兵器保有を「仮定」(ないしは「虚言」)として言及しているに過ぎず、シリアが化学兵器の保有を認めたとの報道は正確ではない。

一方、マクディスィー報道官は、アラブ連盟シリア問題閣僚委員会の決議を「あからさまな主権内政干渉」と非難、「退任は…シリア国民自身が決めるものである。シリア国民が自らの政府や首脳をどうするかを決める」と述べた。

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シリア情報省は声明を出し、「西側の諜報機関が一部アラブ諸国との協力のもと、シリアの衛星チャンネルを電波ジャックし…、政権内での離反、クーデタ発生などに関するウソの情報を流そうとしている」と非難した。

18日に放映されたアサド大統領の肉声とされるニセの「退任宣言」(http://www.youtube.com/watch?v=Wx6tD-3XqYs)も、こうした動きのなかで放映された、という。

また、ダマスカス県に対する反体制武装集団の軍事行動が激化した先週以来、SANAなどのHPがサイバー攻撃に曝されている。

これに対して、反体制勢力のHPもサイバー攻撃を受けており、all4syriaなどが視聴できなくなっていた。

なおSANAは先週、カタールのドーハ近郊のズーバーラで警備会社がダマスカス、アレッポ、ラタキアの市街地のセットを建設し、世論操作の新たな試みを準備している、と報じていた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官は声明を出し、ダマスカス県とアレッポ市での反体制武装集団の攻勢を「体制を避けられない周縁へと向かわせる決定的なステップ」とみなした。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領は、ベカーア県バアルベック郡カーア地方などでのシリア軍の侵犯に関して、アリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使に文書で抗議するようアドナーン・マンスール外務大臣に指示した。

ヨルダンの動き

AFP(7月23日付)は、ヨルダンの対シリア国境に位置するラムサー市バシャービシャでシリア人避難民とヨルダン人住民が衝突、警察が催涙弾などを使用して両者を引き離し、強制排除したと報じた。

地元ヨルダン人青年らが避難民のシリア人女性を撮影しようとしたのが衝突の発端だという。

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ヨルダン治安筋が『ハヤート』(7月24日付)に明らかにしたところによると、対シリア国境のラムサー市にシリア軍の迫撃砲3発が着弾した。

うち1発は報道関係者らが使用する広場に着弾した。

パレスチナ人の動き

AFP(7月23日付)は、ダマスカス県ヤルムーク区などシリア国内で暮らすパレスチナ人多数が、反体制武装集団に参加している、と報じた。

同報道によると、パレスチナ人、とりわけ若者は、既存のパレスチナ諸派を支持しておらず、シリアの「革命」に同情的で、「中立的であるべきでない」と考えている、という。

これに関して、自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐は、「パレスチナ人が我々の側について戦闘しており、よく訓練されている」と述べた。

EU外相会議

EU外相会議がブリュッセルで開かれ、アサド政権高官・支持者26人を新たに制裁リストに追加するとともに、3企業をEU域内での取引を禁止するリストに追加することを決定した。

またEU加盟国は武器やその他禁止されている機器のシリア国内への持ち込みが疑われる航空機や船舶について、調査することが義務づけられた。

このほか、シリア・アラブ航空の航空機のEU領内での離着陸も禁止された。

制裁対象となるのは、シャフィーク・マッサ、ブルハーン・カッドゥール、サラーフ・ハマド、ムハンマド・ハルーフ、リヤード・アフマド、アブドゥッサラーム・ファジュル・マフムード、ジャウダト・アフマド、クサイ・マイフーブ、スハイル・アブドゥッラー、ハドル・ハドル地区、イブラーヒーム・マアッラー、フィラース・ハムド、フサーム・ルーカー、ターハー・ターハー、ナスル・アリー、バースィル・ビラール、アフマド・カッファーン、バッサーム・ミスリー、アフマド・ジャールージー、ミシェル・サリーム・カースーハ、アフマド・サーリム、ガッサーン・イスマーイール、アーミル・アシーユ、ムハンマド・アリー・ナスル、イサーム・ハッラーク、イッズッディーン・イスマーイール(元空軍情報部長、大統領顧問)、サミール・ジュムア(ムハンマド・ナースィーフ副大統領補)、ドゥライキーシュ・テクノロジー社(ラーミー・マフルーフ)など。

この制裁に関して、キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策担当上級代表は会合前に「制裁は、船舶がどのような貨物を運搬しているか調査が可能となるという点で重要だ。それによって、武器がシリア国内に持ち込まれないことを望んでいる」と述べていた。

またシリア人避難民の流入にともなう負担軽減のため、レバノンへの支援の意思を表明した。

アラブ連盟シリア問題閣僚委員会

カタールのドーハでアラブ連盟シリア問題閣僚委員会(ハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣議長)が開催された。

委員会は、アサド大統領に退任を呼びかけるとともに、連盟が大統領とその家族の安全な出国を支援するとした声明を採択した。

また同決議では、シリア国内外の反体制勢力、自由シリア軍の合意のもと、これらのすべての勢力が参加した暫定政府を早急に発足するよう呼びかけた。

一方、国連に対しては、コフィ・アナン特使の任務を、アサド大統領退任と平和的政権交代に重点を置くかたちで変更するよう求めた。

さらに、カタールのジャースィム首相兼外務大臣とナビール・アラビー連盟事務局長にロシア、中国を訪問し、この決議の内容を検討すること、そして連盟加盟国大使に対して、国連総会で民間人を保護するための「安全地帯設置」を求める緊急会合の開催を呼びかけることを定めた。

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シリア問題閣僚委員会の決議に対して、イラク政府は、「主権への干渉」にあたるとして拒否すると発表した。

イラクのルアイド・アッバーウィー外務次官はAFP(7月23日付)に対して、「この呼びかけ(決議)は現時点では不適切だ。なぜなら他国の主権への干渉とみなし得るからだ」と述べた。

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アルジェリア通信は、アルジェリア政府がアサド大統領退任問題は「シリア国民の主権が決定すべきで、(アラブ連盟シリア問題)閣僚委員会の権限に収まるものではない」と消極的な姿勢を示した、と報じた。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領はネバダ州リノで演説し、アサド政権が化学兵器を使用すれば、国際社会と米国は責任を追及すると述べた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はイタリアのマリオ・モンティ首相との会談後、アサド政権が打倒されれば、内戦は続くだろうと述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(7月23日付)は、総合情報部で働く消息筋の話として、ロバート・ムードUNSMIS団長が団長就任の1週間前にシリアを訪問し、アリー・マムルーク総合情報部長と3度会談、そのうち1度は食事を共にしていた、と報じた。真偽は定かでない。

AFP, July 23, 2012、Akhbar al-Sharq, July 23, 2012, July 24, 2012、al-Hayat, July 24, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 23, 2012, July 26, 2012、Naharnet.com,
July 23, 2012、Reuters, July 23, 2012、SANA, July 23, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県、アレッポ市内の各地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力の激しい戦闘、トルコ紙によってアサド大統領がムハーバラートにPKKへの武器・資金支援を行うよう命じたことが報じられる(2012年7月22日)

国内の暴力(ダマスカス県)

『サウラ』(7月23日付)によると、軍・治安部隊はマッザ区のラーズィー農園で反体制武装集団の残党を掃討し、同地を奪還した。

al-Thawra, July 23, 2012
al-Thawra, July 23, 2012

またダマスカス県バルザ区、ダマスカス郊外県のディヤービーヤ市、サイイダ・ザイナブ町でも軍・治安部隊が、反体制武装集団の捜索を継続し、多数のテロリストを殺傷、逮捕した。

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シリア・アラブ・テレビ(7月22日付)は、ダマスカス県での戦闘で軍・治安部隊が殺害した外国人戦闘員(エジプト人、レバノン人)のパスポートを公開した。

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シリア人権監視団によると、軍・治安部隊はダマスカス県、アレッポ市内の各地区で反体制勢力の掃討活動を継続し、両者の間で激しい戦闘があったという。

同監視団は、軍・治安部隊がマイダーン地区やカーブーン区の主要な街区を制圧したが、依然として戦闘が続いていることを明らかにした。

またマッザ区のバサーティーン・ラーズィーに軍・治安部隊の戦車が突入し、3人が死亡したという。

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複数の目撃者や活動家によると、第4機甲師団の戦車少なくとも20輌と兵士数百人がバルザ区に入り、反体制武装集団を掃討・処刑した。

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反体制活動家らは、軍・治安部隊がヘリコプターでルクンッディーン区、カーブーン区を砲撃したと主張した。

シリア・アラブ・テレビ(7月22日付)はダマスカス県内でヘリコプターが砲撃したとの一部情報を否定した。

国内の暴力(アレッポ県および郊外)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、ジャミーリーヤ地区、メリディヤーン地区、出入国管理所近くで戦闘があった。

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自由シリア軍アレッポ県軍事評議会司令官を名のるアブドゥルジャッバール・ムハンマド・アカイディー大佐は声明を出し、アサド政権からアレッポ市を奪取するための「灰色のアレッポ作戦」を開始したと発表した。

また「今日まで、自由シリア軍はアレッポ市郊外のほとんどの地点を解放することに成功した。我々の前にはアレッポ解放、そしてシリア全土解放という道が開けた」と付言し、アレッポ県全土に非常警報を発令すると宣言した。

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『サウラ』(7月23日付)によると、アレッポ市北西部のカブターン・ジャバル地方で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、反体制武装集団に甚大な被害を与えた。

またアレッポ市北部のヒヤーン地方でも、軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦、外国人戦闘員2人を含む5人の戦闘員を殺害した。

さらにフライターン市でも軍・治安部隊が反対武装集団を要撃し、20人を殺害した。

al-Thawra, July 23, 2012
al-Thawra, July 23, 2012

国内の暴力(国境地帯)

シリア革命最高指導評議会のアフマド・ザイダーン報道官は、自由シリア軍アムル・ブン・アース大隊が対トルコ国境にあるバーブ・サラーマ国境通行所(アレッポ県)を制圧したと発表した。

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一方、『ハヤート』(7月23日付)によると、シリア軍は対イラク国境のヤアルビーヤ国境通行所(ハサカ県)を反体制武装集団から奪還した。

イラクのニネベ県のアスィール・ヌジャイフィー知事によると、「反体制武装集団が昨日晩(21日)に移動したのち、シリア軍はヤアルビーヤ国境通行所を交戦せずに奪還した」と語った。

ヌジャイフィー県知事はまた「政府軍、自由シリア軍のいずれが制圧していようと、通行所はシリアから帰国するイラク人にのみ開放され、それ以外の業務は停止している」と付言した。

なおイラク内務省のアドナーン・アサディー内務次官もヤアルビーヤ国境通行所をシリア軍が奪還したことを確認したと述べた。

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アナトリア通信(7月22日付)が報じたところによると、トルコ軍がマルディン周辺に地対空ミサイル搭載車輌および兵員輸送車輌を派遣した。

地元の軍消息筋によると、対シリア国境に配備される、という。

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AFP(7月22日付)は、イラクの政治評論家やカーイム市長などの話などをもとに、自由シリア軍によるブーカマール国境通行所(ダイル・ザウル県)制圧により、シリア・イラクの通商関係は滞り、シリア政府に打撃を与える一方、同地域が反体制武装集団の武器密輸経路になるだろう、と報じた。

国内の暴力(その他)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がダイル・ザウル市をヘリコプターなどで砲撃し、反体制活動家1人が死亡した。

またブーカマール市では市民1人が砲撃で死亡した、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のハミーディーヤ地区で反体制武装集団の戦闘員1人が砲撃で死亡した。

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ハマー県では、『サウラ』(7月23日付)によると、ハマー市で治安維持部隊が反体制武装集団のアジトを襲撃し、多数を逮捕した。

シリア政府の動き

アサド大統領はアリー・アブドゥッラー・アイユーブ中将を新参謀長に任命、同中将と会談した。

al-Thawra, July 23, 2012
al-Thawra, July 23, 2012

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トルコの憲兵司令部は、アサド大統領がシリアのムハーバラートにPKKへの武器・資金支援を行うよう命令を出したとの報告書を作成した。『ヒュッリーイェト』(7月22日付)が報じた。

この報告書によると、憲兵高官は、PKKがシリア国内の複数の都市で武器を管理していることを突き止めたとしている。

反体制勢力の動き

反体制武装集団は、ダマスカス県での戦闘でラフィーク・ハリーリー元首相暗殺事件に関してレバノン国内で偽証を強要されたとシリア国内で記者会見(2005年11月)した後、長らく姿をくらましていたフサーム・ターヒル・フサーム氏の身柄を確保した、とユーチューブ(7月22日付)を通じて発表した。

フサーム氏は、ベイルートに移送されることを望むとしたうえで、「誰も予期していないようなサプライズ」を明かすだろうと述べた。

http://www.youtube.com/watch?v=YtSgAsCV1y8&feature=player_embedded

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「ダマスカス県および同郊外県軍事指令部」をなのる組織が「スクール(鷹)特殊任務大隊」の名で、ラージハ国防大臣らを暗殺した直後にダマスカス県ラウダ地区の民族治安局ビル近くで撮影したと思われるビデオを配信した。

同ビデオでは、暗殺がビル内に仕掛けられた爆弾によって行われたと軍事指令部報道官が解説している。

『ハヤート』(7月23日付)は、スクール特殊任務大隊が「元士官からなり、反体制勢力のなかでもっとも専門技術が高く」、6月にはダマスカス郊外県のマルジュ・スルターン空軍基地を襲撃、ヘリコプターを破壊したという。

Youtube, July 22, 2012
Youtube, July 22, 2012

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駐英の反体制組織シリア人権監視団は、2011年3月以来の混乱のなか、民間人13,296人、軍兵士4,861人、離反兵949人が死亡した、と発表した。

レバノンの動き

MTV(7月22日付)は、シリア軍兵士約300人がベカーア県バアルベック郡のカーア地方に進入し、複数の民家を家宅捜索した、と報じた。

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『ラアユ』(7月22日付)は、ヒズブッラーに近い消息筋の話として、アサド政権が崩壊したとしても、ヒズブッラーに化学兵器が引き渡されることはないだろう、と報じた。

諸外国の動き

赤十字国際委員会は声明を出し、ダマスカス県での戦闘激化により、地区同士が寸断され、移動が困難になっていると懸念を表明、さらなる人道支援が必要だと訴えた。

同委員会によると、暴力を避けて避難している市民の数は数千人にのぼり、その一部は国外に逃れる一方、多くの人々が政府の施設、学校などに避難している、という。

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反体制武装集団に武器・兵站支援を行うサウジアラビアのアブドゥッラー国王は、シリアの同胞を救済するための寄付を募るキャンペーンを開始するよう支持した。

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反体制武装集団に武器・兵站支援を行うカタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、自身が議長を務めるアラブ連盟シリア問題閣僚委員会のドーハでの会合で、「アナン特使の任務は変更され、平和的な政権移行に向けられねばならない」と述べる一方、安保理における意見対立が「シリアでの流血を許可する」ものと非難し、シリア情勢への対処を再検討すべきと主張した。

またアサド大統領に対しては、シリアにその運命を託し、ラマダーンの流血を避けるため、退任という「勇敢な決定」を行うよう呼びかけた。

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BBC(7月22日付)は、EUの制裁決定に従い、英国でアサド家の資産約1億6000万ドルが凍結されたと報じた。

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ヨルダン政府は、「国家安全保障維持のためあらゆる侵犯」を阻止するための必要なすべての措置を講じると発表した。

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駐ヨルダン米大使はシリア人避難民受入のための1億ドルの資金援助を行うと発表した。

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イスラエル外務省報道官は、ゴラン高原の非武装地帯へのシリア軍の進入に関して国連に抗議文を提出した。

AFP(7月23日付)が報じた。

AFP, July 22, 2012、Akhbar al-Sharq, July 22, 2012、DPI, July 23, 2012、al-Hayat July 23, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 22, 2012、Naharnet.com, July 22, 2012、al-Raʼy, July 22, 2012、Reuters, July 22, 2012、SANA, July 22, 2012, July 23, 2012、al-Thawra, July 23, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市で前日から続く軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘が激化、トルコ当局がシリア・トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所を閉鎖(2012年7月21日)

国内の暴力(アレッポ市)

『ハヤート』(7月22日付)など各紙によると、アレッポ市のサーフール地区、ハイダリーヤ地区、バーブ街道地区、サラーフッディーン地区などで、前日に始まった軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘が激化した。

Youtube, July 21, 2012
Youtube, July 21, 2012

軍・治安部隊が戦車、兵員輸送車を多数投入し、掃討にあたっているという。

地元調整諸委員会によると、「政権の砲撃と突入を恐れ、多くの市民が避難した」という。

『ハヤート』(7月22日付)によると、反体制武装集団はアレッポ市東部を20日に制圧した、という。

国内の暴力(ダマスカス県)

『サウラ』(7月22日付)は、マイダーン地区、カーブーン区の戦闘で、軍・治安部隊が多数の外国人戦闘員を殺害した、と報じた。

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一方、シリア人権監視団によると、カフルスーサ区、マッザ区、バルザ区で4人が射殺された。

またマッザ区で銃声が聞こえたという。

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シリア・アラブ・テレビ(7月21日付)やマヤーディーン(7月21日付)などによると、ミサイル開発の専門家であるナビール・ズガイブ少将と家族が乗った車がダマスカス県旧市街バーブ・トゥーマで反体制武装集団に狙撃され、家族全員が死亡した。

Youtube, July 21, 2012
Youtube, July 21, 2012

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アブー・マフナド・マッズィーを名のる反体制活動家はAFP(7月21日付)に対して、マッザ区には軍の検問所ではなく、自由シリア軍の検問所がある、と述べ、以前から反体制武装集団が占拠していると述べた。

国内の暴力(国境地帯)

AFP(7月21日付)は、対トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所(イドリブ県)にアラブ・イスラーム諸国、アフリカ諸国出身の戦闘員約150人が集結している、と報じた。

同報道によると、戦闘員の国籍は、アルジェリア人、サウジ人、UAE人、エジプト人、フランス人、チェチェン人、チュニジア人などで、その多くが「シューラー・ターリバーン」や「イスラーム・マグレブ諸国アル=カーイダ」のメンバーを名のっている、という。

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トルコ当局は、バーブ・ハワー国境通行所を封鎖した。これによりトルコ側からの出国はシリアのパスポート保有者に制限されるという。

一方、イスマーイールを名のる反体制活動家はロイター通信(7月21日付)に対して、制圧した対トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所に隣接する免税店での村人らによる物品の略奪を禁じない、と述べた。

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トルコ治安筋によると、トルコ南東部のマルディン市郊外のミディヤト市で何者かがイラクからの石油パイプラインを破壊し、火災が発生し、21日に消火作業が完了した。

ユーフラテス通信社(7月21日付)によると、この破壊工作にはPKKが関与しているという。

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ニネベ県のアスィール・ヌジャイフィー県知事は、AFP(7月21日付)に対して「ルバイア国境通行所は依然として正規軍が掌握しているが、私が得た複数の情報によると、事態は最近深刻だ。なぜならこの検問所にいたるシリア国内の街道が自由シリア軍の手に落ちたからだ」と述べた。

しかしその後、ヌジャイフー県知事は、AFP(7月21日付)に対して、ヤアルビーヤ国境通行所(ルバイア国境通行所)がシリアの反体制武装集団に早朝制圧されたことを確認したと述べた。

また「明日から、同通行所はイラク人の帰国者の通行を認めるのみとする」と付言した。

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イラクのアドナーン・アサド内務次官は、AFP(7月21日付)に対して「反体制武装集団はまだブーカマール国境通行所を制圧しているが…、シリアの当局は国境地帯の前哨基地に増援部隊を派遣した」と述べた。

一方、自由シリア軍のハーリド・アブー・ズィヤードなる活動家は、反体制武装集団のブーカマール国境通行所(ダイル・ザウル県)制圧直後から、シリア軍・治安部隊がブーカマール市への砲撃を開始したと述べた。

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ヨルダンの治安筋はAFP(7月21日付)に対して、シリアの反体制武装集団が対ヨルダン国境のナスィーブ国境通行所の制圧を試みたが、シリア軍が応戦し、敗走したことを明らかにした。

国内の暴力(その他)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シャブアー町、ザバダーニー市、フーシュ・アラブ市に対して軍・治安部隊が砲撃を加え、カタナー市では戦闘があった、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区に対して軍・治安部隊が砲撃を加え、クサイル市、ラスタン市では反体制武装集団との間で戦闘が発生した、という。

また対レバノン国境のジュースィーヤ村、ニザーリーヤ村では、軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、反体制武装集団の戦闘員4人が殺害された。

一方、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラーなる活動家は、ヒムス中央病院で囚人が離反、離反した多数の守衛とともに同刑務所を掌握したと発表した。

しかしSANA(7月21日付)は、ヒムス中央刑務所筋の話として、同刑務所が囚人らに制圧されたとの反体制勢力の発表を否定した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団の戦闘員2人が殺害された。

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イドリブ県では、『サウラ』(7月22日付)によると、軍・治安部隊が、サルキーン市、ハーリム市などで反体制武装集団の「浄化」を完了した。

シリア政府の動き

ダマスカス県では、18日の爆破テロで重傷を負い、死亡したヒシャーム・ビフティヤール・バアス党シリア地域指導部メンバーの葬儀が行われた。

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アースィフ・シャウカトの葬儀が生地であるタルトゥース県マドハラ村で行われた。

Youtube, July 21, 2012
Youtube, July 21, 2012

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=1-QPi4zlkAIhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=1-QPi4zlkAI

反体制勢力の動き

「アフバール・シャルク」(7月21日付)は、トルコ外交筋の話として、シリア軍の士官3人(うち准将2人)が離反し、トルコ領内に避難したと報じた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はドイツのテレビ局に対して、キリスト教徒やアラウィー派ら「住民の恐怖は、アサド政権のプロパガンダを踏まえると理解できる…。ムスリム同胞団はシリアの反体制勢力において重要な地位を占めているが、シリア国民評議会はマイノリティの権利を保護する…。未来のシリアは多元的・民主的で、イデオロギー的、民族主義的、宗教的な過激派がいる余地はない」と述べた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はイスタンブールで記者会見を開き、シリア国民を救済するための国際基金の設立を求めた。

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シリア国民評議会渉外局長のアブドゥッラフマーン・ハーッジ氏はAKI(7月21日付)に対して、「評議会は条件が整い次第国内に戻ることを当初から計画していた…。指導部が現地に戻れば、革命運動家の大きな精神的支えになることは疑いない」と述べ、国内に潜入する意思を示した。

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トルコで避難生活を送る自由シリア軍事評議会議長のムスタファー・シャイフ准将は、ロイター通信(7月21日付)に対して、アサド政権が化学兵器を武器庫から各地に移動させ、弾圧のために使用していると述べた。根拠はない。

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カーミシュリー・クルド青年連合、ハサカ統一調整、シリア・クルド青年調整連合などシリア北東部で反体制運動を行うクルド人組織は共同声明を出し、クルド人がシリア北東部の分離を画策しているとの一部報道・情報を否定した。

諸外国の動き

イスラエルのエフド・バラク国防大臣は、イスラエルのテレビ局とのインタビュー(7月21日付)で、アサド政権がレバノンのヒズブッラーに高性能の地対空ミサイル、地対地ミサイル、化学兵器を供与する場合、イスラエルはシリアに軍事介入すると述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリア社会を多様に代表するような暫定政府を早急に発足するため一致団結するようシリアの反体制勢力に呼びかけた。

AFP, July 21, 2012、Akhbar al-Sharq, July 21, 2012、al-Hayat, July 22, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 24, 2012、Naharnet.com, July 21, 2012、Reuters, July 21, 2012、SANA, July 21, 2012、SyriaSteps, July 22, 2012、al-Thawra, July 22, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イラク・シリア国境に達した自由シリア軍が同地通行所でイラク国境警備隊と撃ち合いに、安保理決議第2059号が全会一致で採択されUNSMISの任期が30日延長される(2012年7月20日)

国内の暴力(ダマスカス県)

シリア・アラブ・テレビ(7月20日付)は、軍・治安維持部隊がダマスカス県マイダーン地区での激しい戦闘のち「テロリストの残党を完全に浄化」したと報じた。

SANA(7月20日付)などによると、軍・治安部隊は数百人の戦闘員を逮捕したが、そのなかにはシリア人以外の戦闘員も含まれていたという。また大量の武器弾薬を押収した。

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AFP(7月20日付)も、治安消息筋の話として、ダマスカス県内の複数地区を軍が奪還・制圧した、と報じた。

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シリア情報省が記者約20人にマイダーン地区での取材を許可した。

マイダーン地区内を取材したAFP(7月20日付)によると、反体制武装集団掃討作戦は、7月18日に開始され、20日早朝に完了した、という。

掃討作戦に参加したのは、共和国護衛隊の部隊と特殊任務を目的とする師団で、前者は緑を基調とした迷彩服、後者は灰色を基調とした迷彩服を着ている、という。

また反体制武装集団は約600人おり、ザーヒラ地区、タダームン区、タッル・ムニーン地区からマイダーン地区に潜入してきたという。

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これに対して、反体制武装集団は、マイダーン地区での激しい攻撃を受けた結果の「戦術的撤退」に過ぎないと反論した。

アブー・ウマルを名のる活動家は「戦術的撤退だ。我々は依然としてダマスカスにいる」とAFP(7月20日付)に語った。

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シリア人権監視団によると、マイダーン地区で爆発音が何度も鳴り響き、軍の戦車、兵員輸送車輌が同地区に突入したという。

また同監視団によると、カフルスーサ区でも軍と反体制武装集団が激しく交戦し、1人が死亡した。

このほか、マッザ区なども戦闘が続いた、という。

国内の暴力(国境地帯)

『ハヤート』(7月21日付)は、イラクのニネベ県の対シリア(ハサカ県)国境に位置するワリード通行所の国境警備隊筋の話として、「自由シリア軍が対イラク国境の国境通過点5カ所以上を制圧し、アンバール県の部族長に接触し、イラクの国境警備隊に自由シリア軍と交戦させないよう説得を求めた」と報じた。

同消息筋によると、自由シリア軍はイラク国境警備隊に直接話しかけてきたが、何らかの緊張状態が発生し、撃ち合いになった、という。

その後、イラクの武装部隊総司令官が、各国境通行所の高官に直接連絡し、個人の判断で行動しないよう通達したという。

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自由シリア軍のハーリド・アブー・ズィヤード中尉はAFP(7月20日付)に対して、「19日晩から20日昼まで続いた戦闘で、ブーカマール市の国境通行所を制圧した」ことを明らかにした。

しかし「イラク軍が国境の向こう側に展開した。我々は彼らと話そうとしたが、耳を傾けてもらえず、我々に発砲してきた。なぜなら彼らはアサドに忠実だからだ」と述べた。

国内の暴力(その他)

『ハヤート』(7月21日付)などによると、アレッポ市のサラーフッディーン地区などで軍・治安部隊と反体制武装集団が激しい交戦を行った。

また『サウラ』(7月21日付)によると、アレッポ市郊外のウールム・スグラー市の警察学校が反体制武装集団に襲撃されたが、治安維持部隊が応戦し、反体制武装集団に甚大な被害を与えた。

これに関して、シリア人権監視団は、襲撃の失敗で反体制武装集団の司令官アフマド・ファッジュを含む15人が死亡したことを明らかにした。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市が軍・治安部隊の砲撃に曝され、1人が死亡した。

またサイイダ・ザイナブ町では軍・治安部隊による反体制武装集団掃討が続いた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、ハーリディーヤ地区を軍・治安部隊が砲撃、1人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジスル・シュグール均衡で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍・治安部隊側に人的被害が出た。

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ダイル・ザウル県では、『サウラ』(7月21日付)によると、ダイル・ザウル市で治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を死傷させた。

シリア政府の動き

ダマスカス県カシオン山の殉教者墓地で、ダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、アースィフ・シャウカト副参謀長の国葬が執り行われた。

葬儀には、ファールーク・シャルア副大統領、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣、ムハンマド・サイード・バヒーターン・バアス党シリア地域指導部副書記長、ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長、リヤード・ヒジャーブ首相らが出席した。

アサド大統領は参列しなかった。

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バアス党シリア地域指導部は声明を出し、18日のダマスカス県ラウダ地区での自爆テロで重傷を負っていた地域指導部メンバーのヒシャーム・ビフティヤール少将が死亡したと発表した。

反体制勢力の動き

駐英の反体制組織シリア人権監視団は、ダマスカス、ハマー、アレッポで「ラマダーンの金曜日、ダマスカスで勝利が記されよう」と銘打った反体制デモが行われ、治安部隊が実弾を使用し、弾圧した、と発表した。

同監視団などによると、ダマスカス県ではマイダーン地区、カフルスーサ区、ルクンッディーン区ドゥンマル区で、アレッポ市シャッアール地区など、ヒムス県ハウラ地方、ラタキア市などデモが発生した、という。

シリア人権監視団はダマスカス県での戦闘激化に伴い、国内での暴力に関して詳細な発表ができずにいたが、突如として情報を再開示した。

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シリア・ムスリム同胞団政治局長のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー氏(前最高監督者)はイスタンブールで記者会見を開き、同市で開かれていた大会でイスラーム政党を結成することが決定されたことを明らかにした。

国連の動き

国連安保理は安保理決議第2059号を全会一致で採択し、UNSMISの任期を30日延長した。

決議全文は以下の通り。

Commending the efforts of the United Nations Supervision Mission in Syria (UNSMIS),
1. Decides to renew the mandate of UNSMIS for a final period of 30 days, taking into consideration the Secretary-General’s recommendations to reconfigure the Mission, and taking into consideration the operational implications of the increasingly dangerous security situation in Syria;
2. Calls upon the parties to assure the safety of UNSMIS personnel without prejudice to its freedom of movement and access, and stresses that the primary responsibility in this regard lies with the Syrian authorities;
3. Expresses its willingness to renew the mandate of UNSMIS thereafter only in the event that the Secretary-General reports and the Security Council confirms the cessation of the use of heavy weapons and a reduction in the level of violence sufficient to allow UNSMIS to implement its mandate;
4. Requests the Secretary-General to report to the Council on the implementation of this resolution within 15 days;
5. Decides to remain seized of the matter.

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スーザン・ライス米国連大使は、安保理の枠外での反体制勢力への政治支援、制裁強化の努力を集中させるとの意思を示した。

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ロシア大統領付報道官は、「ロシア大統領は、安保理の枠外での行動は現実的ではなく、国際機関の権威を損ねるだけだろう」と述べ、西側諸国のシリアへの介入継続を牽制した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、BBC(7月20日付)に対して、「安保理は責任を果たさなかった…。我々は安保理の枠外で活動し、反体制勢力への支援を重点的に行うだろう」と述べた。

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なお、西側の決議案が否決されたのち、パキスタンがUNSMISの任期の45日の延長のみを求める決議案を準備、ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、「我々はパキスタンとともに作成した決議案を支持するだろう」と述べた。

だが、ロシア、中国などは、修正された上記英国案を支持した。

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国連人権高等弁務官報道官はジュネーブで記者会見を開き、ダマスカス県での戦闘激化により、過去48時間で約8,500人から3万人がレバノンに避難した、と発表した。

レバノンの動き

レバノンの大ムフティー・ムハンマド・ラシード・カッバーニー師は、シリア・レバノン国境にレバノン人の狙撃手が展開し、シリア人避難民の入国を阻止しようとしていると断じ、非難した。

イラクの動き

イラク航空は、『ハヤート』(7月21日付)に対して、1,200人以上のイラク人がシリアからバクダード空港に空路で非難したと発表した。

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イラク赤新月社は、シリア国内で避難生活をしていたイラク人避難民2,285人を受け入れるためのキャンプをワリード国境通行所の近くに設営した、と発表した。

諸外国の動き

シリア・アラブ・テレビ(7月20日付)は、アレクサンドル・オルロフ駐仏ロシア大使がラジオ・フランス(7月20日付)に「アサド大統領はジュネーブ合意、すなわち文明的に退任することに同意した」と述べたことに対して、「事実無根」と否定した。

その後、オルロフ大使は、BFMTV(7月20日付)で「アサド大統領が政権交代(に言及したジュネーブ合意)に同意したとしても、それは彼が自分で去るかどうかを決めるということで、それは対話の結果としてなされるものだ。だから「文明的退任」と述べたのだ」とトーンダウンした。

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インテルファクス通信(7月20日付)は、ロシアの軍・外交筋の話として、シリアの国内情勢が正常化するまで、メンテナンスのため回収中のヘリコプター3機の返却を延期することが決定されたと報じた。

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ロシアのアレクサンドル・ルカシェヴィッツ報道官は、「シリア政府に制裁を科すと脅迫する決議への支持を拒否したという理由で、一部の西側諸国がロシアにシリアでの暴力エスカレートの責任を押しつけようとすることは決して受け入れられない」と述べる一方、「西側の国々が少なくとも反体制武装集団に政治的解決への同意を求めていたら」事態は改善していはずだと西側諸国の介入を非難した。

他方、アサド大統領夫妻がロシアに亡命したとの一部メディアの報道に関して、ルカシェヴィッツ報道官は「今日は噂についてコメントしたくない」と否定した。

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『ハヤート』(7月21日付)は、ダマスカス県での暴力激化を受け、約16,000人のシリア人避難民がこの2日間で越境し、ヨルダン領内のラムサー市に流入した、と報じた。

AFP, July 20, 2012、Akhbar al-Sharq, July 20, 2012、BBC, July 20, 2012、al-Hayat, July 21, 2012、Naharnet.com, July 20, 2012、Reuters, July 20, 2012、SANA,
July 20, 2012、al-Thawra, July 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

「イスラーム国」を名乗る組織がシリア・トルコ国境の通行所を制圧したと発表、国連安保理でシリア政府への制裁に関する決議案が採決されるも廃案に(2012年7月19日)

国内の暴力

「イスラーム国」を名のる組織が、シリア・トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所を「完全制圧した」と発表した。

Youtube, July 19, 2012
Youtube, July 19, 2012

同組織シューラー会議のメンバーを名のる「アブー・ムハンマド・シャーミー博士」は、トルコへの通行、そしてシリアからトルコへの通行は完全に開放されたことを明らかにした。

http://www.youtube.com/watch?v=9olv3ukQifs

一方、シリア革命指導部最高評議会なる組織の報道官は、アラビーヤ(7月19日付)に対して、自由シリア軍の戦闘員がイドリブ県の対トルコ国境に位置するバーブ・ハワー国境通行所を制圧したが、撤退を余儀なくされた、と述べた。

Youtube, July 19, 2012
Youtube, July 19, 2012

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ロイター通信(7月19日付)は、反体制武装集団がアレッポ県の対トルコ国境に位置するジャラーブルス市の国境通行所を制圧した、と報じた。

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『ハヤート』(7月20日付)は、ダイル・ザウル県の対イラク国境に位置するブーカマール国境通行所も反体制武装集団の手に落ちた、と伝えた。

シリア国境警備隊の大尉は「シリア国旗が自由シリア軍の旗に換えられ、民間人の服を着た武装集団が通行所を歩き回っているのが見えた」と証言した。

一方、イラク内務省のアドナーン・アサディー内務次官はAFP(7月18日付)に対して、「イラク・シリアの国境通行所は、カーイム、タンフなどすべて自由シリア軍の手に落ちた。スィンジャールでは依然として戦闘が続いている」と述べた。

また「これ(制圧)は当然だ。なぜならこの地域の住民はシリア政府や首都に集中している軍に反対している。この地域は首都からは遠い…。だから陥落して当然だ」と続けた。

しかし「国境通過点に近いフジャイジーン村で、自由シリア軍は地元住民2人を殺害し、大尉の両手を…イラク兵の目の前で…切り落とした…。ハザーイー村、サラーマ村近くでも警官22人を惨殺した」と付言した。

こうした事態を受け、「自由シリア軍はいまだ承認されておらず、事態は深刻になっているため」、イラク側が、ブーカマール・カーイムの国境通行所を完全に閉鎖するとともに、それ以外のすべての通行所も閉鎖するだろうと明言した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表によると、カーブーン区で、反体制武装集団との戦闘で、軍・治安部隊の兵士が少なくとも15人死亡し、軍・治安部隊が初めて戦車を投入した。AFP(7月19日付)が伝えた。

またマッザ区で、早朝から反体制武装集団と軍・治安部隊が激しく交戦、後者の兵士が少なくとも5人死亡した。軍・治安部隊はヘリコプターや迫撃砲を投入している、という。

マイダーン地区やタダームン区でも迫撃砲などによる攻撃は続き、それ以外にもドゥンマル区、ダマスカス郊外県のクドスィーヤー市、ムウダミーヤト・シャーム市で早朝から激しい爆発音や銃声が聞こえたという。

ダマスカス県南部および北東部での反体制武装集団と軍・治安部隊の戦闘激化に伴い、マッザ区、マイダーン地区、カフルスーサ区など数百世帯が砲撃を避けるため、パレスチナ人難民が多く暮らすヤルムーク・キャンプ地区などに避難したという。

AFP(7月19日付)は、シリアの匿名治安筋の話として、ダマスカス県マイダーン地区とタダームン区での戦闘は「非常に激しい」としたうえで、「48時間以内、ラマダーン月開始まで、ダマスカスからテロリストの掃討は続くだろう…。軍は現在のところ作戦を自制しているが、(民族治安局ビルでの)爆発後、ダマスカスの武装集団殲滅のためあらゆる武器を使用することを計画している」と報じた。

同消息筋によると、軍は「住民に戦闘地域から退避するよう求めているが、テロリストは住民を人間の盾にしようとしている」という。

一方、シリア・アラブ・テレビ(7月19日付)やドゥンヤー・チャンネル(7月19日付)は、ダマスカス県のタダームン区、マイダーン地区、カーア地区、ナフル・イーシャ地区で、軍服をまとい、共和国護衛隊の紋章を付けた武装集団が、軍に対する国民の信頼につけ込むかたちで犯罪行為を犯そうとしているとの速報を流した。

また『ティシュリーン』(7月20日付)は、マイダーン地区およびその周辺で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦を続け、少なくともテロリスト20人を殺害し、また多数のテロリストが投降したと報じた。

また同地区内のアジトを制圧したほか、武装した四輪駆動車、RPG弾、手榴弾などの武器弾薬、外国貨幣を押収したという。

同報道によると、カーブーン区でも交戦が続き、多数のテロリストが死亡、投降した。

しかしその際、一部のテロリストが仲間の遺体を焼却し、彼らが外国人であることを隠そうとした、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、反体制活動家によると、軍・治安部隊はヘリコプターを使用し、サイイダ・ザイナブ町を攻撃し、少なくとも60人が死亡したと主張、ユーチューブ(7月18日付)に映像をアップした。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー代表によると、サイイダ・ザイナブ町の住民が多数、ナジュハー市方面に避難したという。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区、ガントゥー地区、クサイル市、タルビーサ市に対する砲撃が続いた。

一方、『ティシュリーン』(7月20日付)によると、タッルカラフ地方、クサイル地方で軍・治安部隊による反体制武装集団の掃討作戦が続いた。

またレバノンからの潜入を試みる反体制武装集団の戦闘員と対峙、撃退した、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、ダイル・ザウル市、ブーカマール市、ハリータ村、シュハイル市で発砲があった。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、ハマー市で朝の礼拝を済ませて街に出た市民に治安部隊が発砲した。

一方、『ティシュリーン』(7月20日付)によると、ハマー市のマシャーウ・アルバイーン地区、旧アレッポ街道地区、ワーディー・ジャウズ地区で軍・治安部隊による反体制武装集団の掃討作戦が続き、大量の武器弾薬を押収、容疑者を逮捕した。

またラブダ村では軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、テロリスト多数を殺害、逮捕した。

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ダルアー県では、『ティシュリーン』(7月20日付)によると、ブスラー・シャーム市で治安維持部隊と反体制武装集団が交戦し、内務省筋によると、テロリストのガッサーン・ズウビーが死亡した。

シリア政府の動き

シリア国営テレビ(7月19日付)は、アサド大統領がファフド・ジャースィム・フライジュ新国防大臣の宣誓式を主催する映像を放映した。

al-Hayat, July 20, 2012
al-Hayat, July 20, 2012

ラージハ国防大臣らの暗殺以来、公の場に姿を現していなかったアサド大統領に関しては、「暗殺現場で負傷した」や「ラタキアに避難している」といった憶測が飛び交っていたが、映像公開により、シリア政府は大統領が通常通りの執務を行っていることをアピールした。

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AFP(7月19日付)は、ダマスカスの治安筋の話として、暗殺されたダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、アースィフ・シャウカト副参謀長の国葬が20日(金曜日)にダマスカスで行われると報じた。

暗殺された3人のうち、ラージハ国防大臣はギリシャ正教徒、トゥルクマーニー副大統領補はイスラーム教スンナ派、シャウカト副参謀長は、家族がアラウィー派が多く住むタルトゥース県マドハラ村に移住したのちアラウィー派に改宗した、ないしは母親がアラウィー派の家系とされる。

なおシャウカト副参謀長の経歴については、拙稿「アースィフ・シャウカト少将は失脚したのか?:シリアをめぐる地域情勢の変化のなかで」(『国際情勢』No. 79、2009年、333-351ページ)を参照。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官はAFP(7月19日付)に対して、ラージハ国防大臣らの暗殺が「この体制の終わりの始まり」と述べ、「体制とその抑圧的治安機関に大打撃を与えた」との見方を示した。

レバノンの動き

CNA(7月19日付)は、ダマスカスでのラージハ国防大臣らの暗殺事件発生後、シリア人約400人が新たにレバノン領内に避難、南部県スール郡、ザフラーニー郡、ナバティーヤ県ナバティーヤ郡、ビント・ジュベイル郡に向かったと報じた。

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ナビーフ・ビッリー国民議会議長は、ダマスカスでのラージハ国防大臣らの暗殺に関して、「このテロ行為が、国の統一を保障するために活動してきたシリア軍を寸断するために…行われたことは疑う余地がない」と非難した。

また「軍の寸断はシリアの分割と、アラブ地域におけるその役割の根絶をもたらすだろう」と警鐘をならし、「我々はシリアが危機を乗り越え、国内平和を達成すると信じている」と述べた。

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『ティシュリーン』(7月20日付)は、ミシェル・スライマーン大統領がアサド大統領と電話会談し、18日に暗殺されたラージハ国防大臣らに哀悼の意を示すとともに、爆破テロに対する強い反対の意を示した、と報じた。

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アドナーン・マンスール外務大臣はワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣に対して、ラージハ国防大臣ら爆弾テロの犠牲者への哀悼の意を伝えた。

イラクの動き

イラクのジャラール・ターラバーニー大統領は、アースィフ・シャウカト副参謀長の暗殺を受け、同副参謀長の妻でアサド大統領の実姉のブシュラー・アサド氏に弔電を送った。

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イラクのターリク・ハーシミー副大統領(テロ活動支援容疑で欠席裁判中)は現在滞在中のカタールで、離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使と情報収集のため会談する用意があるとの意思を示した。

クルディスタン自治区にある副大統領暫定事務局が発表した。

国連の動き

国連の潘基文事務総長は声明を出し、ラージハ国防大臣らの暗殺を「厳しく非難」する一方、シリアの治安当局による(報復の)重火器使用への懸念を表明、安保理に対して、「自らの責任を果たし、集団的・実効的な行動」を呼びかけた。

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コフィ・アナン特使は、シリア政府への制裁とUNSMISの任期延長に関する決議案に関して、安保理諸国による一致団結と、流血停止と政治的転換の準備に向けた協力且つ協調的な行動を呼びかけた。

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国連安保理で、シリア政府への制裁に関する決議案が採決され、米英仏、インド、コロンビア、ドイツ、ポルトガル、トーゴ、モロッコ、グアテマラ、アゼルバイジャンは賛成したもの、ロシアと中国が拒否権を発動し反対、また南アフリカとパキスタンが棄権し、廃案となった。

米英仏独ポルトガルが共同提出した決議案は、UNSMISの任期を45日間延長することに加えて、シリア政府が10日以内にアナン特使のイニシアチブに従い停戦しなければ、国連憲章第7章に基づき(経済)制裁を科すことを求めていた。

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スーザン・ライス米国連大使は、「安保理の外で友好国とアサド体制への圧力を検討し続ける」と述べた。

またUNSMISに関しては「安全かつ組織的な撤退のための任期延長の用意がある」と述べる一方、露中の拒否権発動に関しては「シリア情勢の混乱を増す」と非難し、シリア政府に対して化学兵器の使用・移転を行わないよう警告した。

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ロシアのヴィタリ・チュルキン国連大使は、UNSMISの任期延長のみを目的に英国が準備した新たな決議案に関して「英国はこっけいな決議案を提出した。我々には検討の時間が必要だ」と述べ、20日に採決に応じるか否かを決する意思を示した。

また拒否権の発動に関しては「シリアへの制裁と軍事介入の脅迫を拒否する…。アナン特使の停戦案やジュネーブでのシリア協力グループの決定を実行するための行動に換えて、シリア危機の軍事化や紛争激化の試みを反故にした」と述べた。

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なお英国が提出した新決議案はUNSMISの任期を「一度だけ30日間延長する」ことを定めるとともに、アサド政権と反体制勢力の勢力の停戦を任期再延長の条件としている。

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UNSMISのロバート・ムード団長はダマスカスで記者会見を開き、ラージハ国防大臣らの暗殺に関して、犠牲者遺族や負傷者家族に哀悼の意を示すとともに、シリア情勢に関して「平和への途上にはない…。過去数日間でダマスカスで起きていることがそのことを示している」と述べた。

任期最終日を受けてダーマー・ルーズ・ホテルで記者会見を開いたムード団長はまた「私は去る。私は私と約400人の勇敢な男女が重大な課題に直面する状況下で最大限の努力をしたことに満足している」と述べた。

その他諸外国の動き

ロシアのユーリ・ウシャコフ大統領顧問は記者団に対して、ウラジーミル・プーチン大統領がトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相との会談やバラク・オバマ米大統領との電話会談で、アサド大統領退任後の亡命先について協議していないと述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は、「暴力がとりわけダマスカスでここ数日エスカレートし、離反も増大している。このことは、ダマスカスの体制が日々、状況を制御できなくなりつつあることを示している」と述べた。

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英国のデビッド・キャメロン首相は、アサド大統領が「去る時が来た。彼の体制は変革を必要としている…。転換が起きなければ、内戦が起きることは明白だ」と述べた。

その根拠として同首相は、「体制は国民に対して恐るべき行為を犯した。そしていまだに犯している」からだと続けた。

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ヨルダンのアブドゥッラー国王は、CNN(7月18日付)に対して、「我々は政治的解決を切望しているのだが、最悪のシナリオの一つは、化学兵器の武器庫が敵(テロリスト)の手に落ちることだ」と述べた。

またラージハ国防大臣らの暗殺に関して、シリア政府にとって「大きな打撃」となったとしつつも、「近い将来に体制が終わるという結論に飛躍すべきだとは考えない」と述べた。

そのうえで「我々が政治的解決を後押ししたいと願っても、現地情勢は我々を追い越して推移するかもしれない…。内戦を回避する最後のチャンスだ」と付言した。

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イスラエルのエフド・バラク国防大臣は占領下のゴラン高原を視察、ラージハ国防大臣らの暗殺に関して、「アサド家の体制の崩壊を加速するだろう。この事件はシリアの体制と、イラン人とヒズブッラーからなる過激な枢軸に大きな打撃となっている」と述べた。

AFP, July 19, 2012、Akhbar al-Sharq, July 19, 2012、al-Hayat, July 20, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 19, 2012、Naharnet.com, July 19,
2012、Reuters, July 19, 2012、SANA, July 19, 2012、Tishrīn, July 20, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県ラウダ地区の民族治安局で爆弾テロが発生しラージハ国防大臣を含む政府高官らが暗殺される、各国は今後予想される情勢の悪化を懸念(2012年7月18日)

国防大臣、副大統領補佐官、副参謀長爆殺(ダマスカス県)

SANA(7月18日付)は、ダマスカス県中心に位置するラウダ地区の民族治安局(バアス党地域指導部国家安全保障局)で「爆弾テロ」があり、ダーウド・ラージハ国防大臣、ハサン・トゥルクマーニー副大統領補、アースィフ・シャウカト副参謀長が暗殺されたと報じた。

SANA, July 18, 2012
SANA, July 18, 2012

また各紙によると、ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣、ヒシャーム・ビフティヤール・バアス党シリア地域指導部メンバー(国民安全保障会議メンバー)が負傷した。

爆発は、国内治安対策を話合う会合を狙ったものと見られ、AKI(7月18日付)によると、爆発は建物の外ではなく内部で起きた。

『ハヤート』(7月19日付)は、シリアの治安筋の話として、閣僚や治安関係者が集まっていた民族治安局ビル内のホールで「自爆犯が爆弾の仕掛けられたベルトを爆発させた」と報じた。

またマナール(7月18日付)は、治安機関高官と関係のある人物がビルに入ったあとに爆発があった、と報じた。

ロイター通信(7月18日付)は、治安消息筋の話として、実行犯がアサド大統領に近いサークルに属する守衛だったと伝えた。

爆発が起きたビルは米大使公邸やトルコ大使館から数百メートルの場所にある、という。

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またこの暗殺事件と時を一にして、各地で軍・治安機関の施設襲撃、高官暗殺の情報が錯綜した。

そのほとんどは事実関係が明らかとなっていないが、主な報道は以下の通り。

『クッルナー・シュラカー』(7月18日付)は、自由シリア軍の複数の消息筋の話として、爆発現場にマーヒル・アサド大佐もおり、重傷を負ったと報じたが、事実関係は明らかでない。

アラビーヤ(7月18日付)などは、マーヒル・アサド大佐が事実上の司令官を務める第4(機構)師団で爆発があったと報じたが、その後否定した。

『クッルナー・シュラカー』(7月17日付)は、総合情報部内務課ダマスカス班長を務めるハーフィズ・マフルーフ准将の執務室長のユースフ・イブラーヒーム大佐が任務遂行中にドゥーマーで殺害されたと報じた。

ジャズィーラ(7月18日付)は、シリア空軍のアブドゥルムンイム・ハリーリー大佐とズィヤード・トゥラース准将が離反し、ヨルダンに逃走したとの速報を流した。

シリア・ステップス(7月18日付)は、爆発で負傷したヒシャーム・ビフティヤール少将が両脚に重傷を負い、切断したものと思われると報じた。

アラビーヤ(7月18日付)は、総合情報部内務課のハーフィズ・マフルーフ准将も爆発に巻き込まれて死亡したと報じた。

しかしマヤーディーン(7月18日付)は、総合情報部内務課のハーフィズ・マフルーフ准将が会議に出席していなかったと報じ、死亡報道を否定した。

【解説】

「爆弾テロ」の標的となった民族治安局ビルは、バアス党シリア地域指導部内の民族治安局の施設である。同局は1960年代末にシリアにおいて活発な治安維持機関、諜報機関として活動したが、ハーフィズ・アサド前政権以降は影響力を低下させ、2009年7月の国民安全保障会議(ないしは国民治安会議)の発足をもって解体された。

国民安全保障会議の構成員・活動については不明な点が多いが、発足時のメンバーはファールーク・シャルア副大統領、ムハンマド・サイード・バヒーターン・バアス党シリア地域指導部副書記長、ヒシャーム・ビフティヤール同指導部メンバーで、ムハーバラートの活動を調整・統括することが主な任務だと考えられる。

「爆弾テロ」の標的になったのは、国民安全保障会議の会合だと考えられる。

al-Hayat, July 19, 2012
al-Hayat, July 19, 2012

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ラージハ国防大臣、トゥルクマーニー副大統領補、シャウカト副参謀長の死亡により、アサド政権の軍・治安体制は大きな打撃を被ったものと考えられるが、そのいずれもが「閑職」ないしは「上がり」として職務に就いており、政権におけるその役割は誇張されるべきではないだろう。

例えば、シャウカト副参謀長は、アサド大統領の姉のブシュラー・アサド女史の夫で軍事情報局長を務めたこともある「大統領の右腕」を目された人物であるが、2007年7月のイスラエル空軍機によるキバルの核疑惑施設空爆や、2008年2月のヒズブッラーのイマード・ムグニーヤ氏のダマスカスでの暗殺の責任を追及されるかたちで失脚し、副参謀長職に甘んじていた。

またトゥルクマーニー副大統領補は、軍の定年に伴い国防大臣職を解かれたのち、「副大統領補佐官」という新設ポストを与えられ、政権に協力し続けてきた。

さらにラージハ国防大臣は、トゥルクマーニー副大統領補の退役に伴い、「エスカレーター」式に参謀長から国防大臣に就いた経緯があり、アサド政権が重視する「制度的思考」に基づき機会的に登用されていたに過ぎない。

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残された軍・治安機関の高官が、今後どのようなかたちで政権運営に参与するかは依然として不透明であるが、その多くが治安対策に関しては強硬な主張の持ち主、ないしは強硬な政策の実施者であることを踏まえると、シリアにおける暴力はこれまで以上に大規模化・激化する可能性が高い。

残された主な軍・治安機関の高官は以下の通り以下の通り。

ルストゥム・ガザーラ准将:軍事情報局ダマスカス郊外県課長。
アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ少将:軍事情報局長。
ヒシャーム・ビフティヤール少将:バアス党シリア地域指導部メンバー。
アリー・マムルーク少将:総合情報部長。
ムハンマド・ナースィーフ:副大統領補。
ジャミール・ハサン少将:空軍情報部長。
ディーブ・ザイトゥーン少将:政治治安部長。
ムハンマド・サイード・バヒーターン:バアス党シリア地域指導部副書記長。
マーヒル・アサド大佐:共和国護衛隊。アサド大統領の実弟。

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シリアのムハーバラートについてはhttp://www.tufs.ac.jp/ts/personal/aljabal/biladalsham/syria/m/02.htmを参照。

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なおSANA(7月18日付)などシリア公式筋は、シャウカト副参謀長を「国防副大臣」としているが、彼が「副大臣」に任命された事実は確認できない。

その他の国内での暴力

ダマスカス県では、SANA(7月18日付)によると、マイダーン地区での反体制武装集団の「残党」に対する掃討作戦が継続され、多数のテロリストを殺害、逮捕した。

SANA, July 18, 2012
SANA, July 18, 2012

またカーブーン区、ティシュリーン地区でも逃走する反体制武装集団戦闘員の追跡が行われ、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市、スバイナ町では治安部隊が反体制武装集団と交戦した。

『ハヤート』(7月19日付)も、アサーリー地区、タダームン区、ハジャル・アスワド市などで治安維持部隊と反体制武装集団の交戦が続いたと報じた。

一方、ロイター通信(7月18日付)によると、マイダーン地区の旧市街、ザーヒラ地区は反体制武装集団に占拠され、軍の戦車・装甲車が入れない状態だという。

またバルザ地区には戦車が展開、対空砲が設置され、カーブーン区に砲撃を加えたという。

このほか、複数の活動家や住民によると、早朝、ドゥンマル区西部の人民宮殿(迎賓館)の兵舎が反体制武装集団の攻撃に曝され、銃声が聞こえたという。

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イドリブ県では、SANA(7月18日付)によると、治安維持部隊がサルキーン地方、カフルタハーリーム地方で反体制武装集団の掃討作戦を継続、甚大な被害を与えた。

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ヒムス県では、SANA(7月18日付)によると、クサイル市近郊のジャウラ村、ニザーリーヤ村、ラブラ町、ズィラーア村で、治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

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『ザマーン・ワスル』(7月18日付)は、ダルアー県に展開していた戦車35輌が、ダマスカス国際空港(ダマスカス郊外県)に続く街道に再展開した、と報じた。

同報道によると、反体制武装集団が空港への街道を制圧することを回避するための再展開だという。

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『クッルナー・シュラカー』(7月18日付)は、シャリーフ・シハーダ人民議会議員の妹ラナー・シハーダ氏が自由シリア軍に誘拐された、と報じた。

シリア政府の動き

アサド大統領は2012年政令第275号を発し、ファフド・ジャースィム・フライジュ中将を軍・武装部隊副司令官に任命した。

SANA, July 18, 2012
SANA, July 18, 2012

また同第276号で、フライジュ中将を国防大臣に任命した。

フライジュ中将は1950年1月生まれ。出身地はハマー県。

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フライジュ新国防大臣は就任に合わせて声明を発表、「武装部隊の兵士たちは、こうした臆病なテロ行為によって、犯罪テロ集団残党の追跡という自らの神聖なる任務の継続を放棄することはない」との強い意思を示した。

またシリア・アラブ・テレビ(7月18日付)の取材に対して、ジャズィーラやアラビーヤの報道が「ウルーバ(アラブ性)に敵対して、事実無根」と非難した。

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軍・武装部隊総司令部は声明を出し、ダマスカスでの爆弾テロに関して、「殺人犯罪集団の根絶と追跡を継続する」と強調するとともに、「一部の司令官を標的とすることでシリアの力をくじくことができると想像している者がいるとしたら、そうした者は幻想家だ。なぜなら、シリアの国民、軍、指導部は今日、テロの挑戦に対してあらゆる手段でこれまで以上に強く抵抗しているからだ」と述べた。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=vPSbqqldQNg

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情報省は声明を出し、西側メディアや湾岸アラブ諸国のメディアが発信するシリア情勢に関する映像は「事実無根」だと発表した。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣はシリア・アラブ・テレビ(7月18日付)に出演し、国防大臣らの暗殺を「シリア・アラブ国軍、その将兵、さらには民間人、国家機関への攻撃」と非難するとともに、「米国、西側、そしてイスラエルのシリアに対する陰謀の最終章」と述べ、断固たる姿勢で臨む意思を示した。

また、カタール、サウジアラビア、トルコ、イスラエルの諜報機関、さらには西側および湾岸アラブ諸国政府に、シリアの現下の危機の法的、政治的、道義的責任がある、と断罪し、これらの国が反体制勢力に武器、資金援助をしていることを非難した。

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バアス党シリア地域指導部が声明を出し、国防大臣らの暗殺を非難したうえで、「イスラエルを筆頭とする悪の勢力に支援されたテロによってもシリア国民の力をくじくことはできないだろう」と述べ、徹底抗戦の構えを示した。

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ダマスカス・ニュース・ネットワーク(7月18日付)が報じたところによると、シリア・インターネット軍司令官のアンマール・イスマーイール氏はフェイスブックを通じて活動停止を発表した。

Kull-na Shurakāʼ, July 18, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 18, 2012

活動停止の理由は、反体制運動への恐怖ではなく、犠牲者への哀悼の意を示すためだという。

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SANA(7月18日付)によると、ダマスカス県のユースフ・アズム広場で、若者が数十人が集まり、テロ反対を訴えた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐(報道官)は、ダマスカス県での国防大臣らの暗殺に関して、「この特別作戦はダマスカス火山、シリア地震作戦の一環」と述べ、自由シリア軍の関与を認めるとともに、「アサド政権打倒に向けた一連の特別作戦の始まりに過ぎない」と付言した。

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ユーチューブ(7月18日付)では、サハーバ大隊の司令官の一人だというアフマド・ムハンマド・タクタク中尉なる軍服姿の男性が、声明を読み上げ、国防大臣らに対する暗殺を実行したと発表した。

自由シリア軍の士官だと自称するこの男性は、「私、アフマド・ムハンマド・タクタク中尉、「ダマスカスおよび同郊外のサハーバ大隊」の現場の司令官の一人は、サハーバ大隊の名において、同大隊に所属する特殊任務連隊が作戦を実行したことを発表する」と述べた。

またこの男性によると、この特殊任務連隊は「いわゆるシリアの危機管理細胞の面々を2ヵ月にわたって監視する作戦を実行した。そして我ら英雄の一人が現場に入り、作戦を実行し、彼らを殺害した」という。

この連隊は5月19日にも、ラージハ国防大臣、シャウカト副参謀長らを毒殺したと発表している(http://www.ac.auone-net.jp/~alsham/2012_05/19.html)。

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イスラーム旅団を名のるグループがフェイスブックを通じて声明を出し、国防大臣らを暗殺したと発表した。

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『アクス・サイル』(7月18日付)は、シリア政府に近い消息筋の話として、ダマスカス県での国防大臣ら暗殺の背後にマナーフ・トゥラース准将がいる可能性が高いと報じた。

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自由シリア軍の「調整軍需局」を名のる組織が声明を出し、「ダマスカス解放作戦」を開始したと発表した。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、国防大臣らの暗殺に関して、「シリアの歴史の転換点」と述べ、アサド政権への圧力がまし、数週間から週ヵ月のうちにその崩壊が生じるだろう、との見方を示した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、ダマスカス県内での国防大臣らの暗殺に関して、「バッシャール・アサドと抑圧を続ける彼の悪党たちが選んだことの直接の結果」と述べ、「治安体制への大いなる浸透は…、体制が手負いのトラ(オオカミ)になったことを示している」と評した。

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トルコで避難生活を送る自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、UAE日刊紙『バヤーン』(7月18日付)で、アサド政権が民間人や反体制勢力に化学兵器を使用することを懸念していると述べた。

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『ハヤート』(7月19日付)は、イスタンブール在住のファウワーズ・タッルー氏の話として、反体制武装集団は兵站線が延びているため、これまでと同じく戦術的撤退をするだろう、と報じた。

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国内で反体制活動を続けるシリア国家建設潮流は声明を出し、ダマスカス県での戦闘激化とラージハ国防大臣らの暗殺に関して、すべてのシリア人のためにならない混乱が発生すると警鐘をならすとともに、煽動的な国営メディア、外国メディア、SNSの情報に依拠せず、知性と友愛をもって対処するよう国民に呼びかけた。

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パリで活動するシリア民主世俗主義諸勢力連立はラージハ国防大臣らの暗殺を受けて、声明を出し、シリア国民に街頭デモ、政府機関などの襲撃を通じて、革命を実現するよう唱導した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市で、国防大臣らを狙ったダマスカスでの爆弾テロを祝うデモが発生し、ジャバル・ムフスィン地区(親アサド)とバーブ・タッバーナ(反アサド)地区の間で銃撃戦となり、1人が流れ弾に当たって死亡、1人が負傷した。

Naharnet.com, July 18, 2012
Naharnet.com, July 18, 2012

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がレバノン紛争(2006年)での戦勝記念のテレビ演説を行い、シリアを「レジスタンスの真の軍事的支援者」と絶賛するとともに、ダマスカスで暗殺された国防大臣らを「殉教指導者」、「同志」と呼び、「シリアを保全し、唯一の解決策は対話を受け入れることだ」と強調した。

そのうえで「米国はシリア国民の正当な要求を利用し、対話を妨害し、シリアを戦争地域にしようとしている。なぜなら、その目的はシリアをイラクのように破壊・分断することにあるからだ」と警鐘を鳴らした。

Naharnet.com, July 18, 2012
Naharnet.com, July 18, 2012

諸外国の動き

ロシア外務省は、国防大臣らの暗殺に関して声明を出し、「ダマスカスでのこのようなテロをした組織を特定し、相応しい罰を科せられることを期待する」との立場を示した。

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ローラン・ファビウス外務大臣は、国防大臣らの暗殺に関して、仏上院で、「フランス政府は…テロを非難する。暴力の激しさを踏まえると、シリア国民が自身の深淵な要求を表現する政府を持てるような政治的転換が起きることが不可欠であり急務だと思われる」と述べた。

また「爆発に関する正確な状況は把握していないが、きわめて重大な動きであり、ダマスカスに達した暴力のレベルがいかなるものかを示している」と付言した。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、国防大臣らの暗殺に関して、「チャンスは失われつつある。我々はシリア国民にとって相応しい移行プロセス実現において一致団結して支援のために行動する必要がある…。アサド体制がコントロールを失いつつあることは明白である…。宗派主義戦争、内戦を回避するため政治的移行を進める必要がある」と述べた。

また「かつて体制を支持していたシリア人の多くは今やアサドが問題そのものであって解決策ではないと考えるようになっている…。我々は国際社会のパートナーとともに、シリアでの政治的移行を実現するために行動する」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、国防大臣らの暗殺に関して、「シリア情勢が急速に悪化していることは明白だ…。シリアは過去数ヶ月よりもさらに悪い混沌と崩壊に脅かされている…。それゆえ、国連安保理決議の採択だけでなく、政治プロセスの進展と暫定政府の樹立をもって問題解決をめざすことが急務である」と述べた。

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イラン外務省は声明を出し、国防大臣らの暗殺を「テロ行為」と非難し、「現下の危機の唯一の解決策は対話だと確信する」と述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相がロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外務大臣らロシア首脳と会談した。

両首脳の会談では、ジュネーブでのシリア作業グループ会合での合意を「シリアの危機を正常化するための建設的な行程表」だとみなす点で意見が一致した。

プーチン大統領は「将来の立場を調整する優れた基礎」とみなす一方、エルドアン首相は「重要な行程表」としたうえで、「我々はポスト・アサドのシリアの行方は外国諸国ではなく、シリア国民自身が決めることを望んでいる」と述べた。

会談後の記者会見でラブロフ外務大臣は、ダマスカス県での暴力に関して、「決戦」が行われていると指摘、安保理が対シリア制裁を科せば、反体制武装集団を直接支援し、シリアを内戦に陥れるようなものだと警鐘を鳴らした。

また「反体制勢力を支援する政策は行き詰まっている。アサド大統領は自分から退任することはない。西側諸国はそうすることで(アサド大統領を退任させることで)、何をしようとしているのか分かっていない」と批判した。

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ロシア大統領府は声明を出し、ウラジーミル・プーチン大統領とバラク・オバマ米大統領が電話会談を行い、シリア情勢について協議したと発表した。

声明では、シリア情勢への分析的視点や、解決をめざす点でコンセンサスに達したが、解決策に至るプロセスをめぐって意見対立は続いたことが明らかにされた。

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中国を訪問中の潘基文国連事務総長は記者団に対して、「このような方向に向かうことはできない…。この間、非常に多くの人々が命を落とした」と述べ、安保理にシリアでの暴力停止に向けた行動をとるよう求めた。

潘事務総長は、中国首脳との会談で「情勢が現在、いかに危険かを説明した」としたうえで、「安保理が一致団結した行動をとるかたちで…対話を行えることを希望する」と述べた。

事務総長付報道官によると、潘事務総長は暴力の停止の必要とともに、シリア人自身によって政権移行がもたらされるような政治的対話をシリア人に開始させるべきとの姿勢を示した、という。

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『ハヤート』(7月19日付)は、複数の外交筋の話として、アナン特使がシリア問題に関する安保理決議案(UNSMISの任期延長などに関する決議案)の採決の延期を求めたと報じた。

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米財務省はシリア政府高官および支援者29人と武器開発・製造に関わっているとされる企業・法人5団体への追加制裁(渡航禁止、資産凍結)を決定した。

制裁対象となった高官は、サフワーン・アッサーフ住宅都市開発大臣、スブヒー・アフマド・アブドゥッラー農業・農業改革大臣、アディーブ・マイヤーラ・シリア中央銀行総裁、ワーイル・ナーディル・ハッキー保健大臣、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣、ハーラ・ムハンマド・ナースィル敢行大臣、ムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣、ヤースィル・スィバーイー公共事業大臣、ハズワーン・ワッズ教育大臣、ウムラーン・アフマド・ズウビー情報大臣、マンスール・ファドルッラー・アッザーム大統領担当国務大臣、フサイン・マフムード・ファルザート国務大臣、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣、ラドワーン・ハビーブ法務大臣、アリー・ハイダル大統領担当国務大臣、バッサーム・ハンナー水資源大臣、リヤード・ヒジャーブ首相、サイード・ムウズィー・フナイディー石油鉱物資源大臣、カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣、イマード・ムハンマド・ディーブ・ハミース電力大臣、フアード・シュクリー・クルディー工業大臣、ムハンマド・ザーフィル・ミフバク経済対外通商大臣、ムハンマド・ヤフヤー・マアッラー高等教育大臣、ルバーナ・ムシャウウィフ文化大臣、アブドゥルガニー・サーブーニー通信技術大臣、マフムード・イブラーヒーム・サイード運輸大臣、ナズィーラ・ファラフ・サルキース環境担当大臣、ジョゼフ・スワイド国務大臣、ジャースィム・ムハンマド・ザカリヤー社会問題労働大臣。

また制裁対象となった企業・法人は科学研究センターなど。

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『ニューヨーク・タイムズ』(7月18日付)は、米国防総省高官の話として、米国およびイスラエルの軍高官が、イスラエルによるシリア軍の武器庫攻撃について協議したと報じた。

同高官によると、米国防省は、こうした攻撃がシリア政府によって利用されることを懸念し、攻撃には反対した、という。

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フランソワ・オランド仏大統領は、「マナーフ・トゥラース准将がどこにいるかに関して、私は今日、現状を知った」と述べ、同准将がフランスに逃れたことを認めた。

チュニジアのムンスィフ・マルズーキー大統領との共同記者会見で、記者からの質問に対して答えた。

AFP, July 18, 2012、Akhbar al-Sharq, July 18, 2012、AKI, July 18, 2012、ʻAks al-Sayr, July 18, 2012、Alarabia.net, July 18, 2012、Aljazeera.net, July 18, 2012、al-Bayan, July 18, 2012、Elnashra.com, July 18, 2012、al-Hayat, July 19, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 17, 2012、July 18, 2012、Naharnet.com,
July 18, 2012、Reuters, July 18, 2012、SANA, July 18, 2012、Syria Steps, July
18, 2012、Zaman al-Wasl, July 18, 2012、The New York Times, July 18, 2012などをもとに作成。

写真はal-Hayat, July 19, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 18, 2012、Naharnet.com, July 18, 2012、SANA, July 18, 2012。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県マイダーン地区で激しい交戦が継続し政府軍はヘリコプターを投入、英外相がヨルダンを訪問し「国連憲章第7章に基づく安保理決議」の必要性を強調(2012年7月17日)

ダマスカス県内での暴力(シリア政府側の発表)

SANA(7月17日付)は公式筋の話として、ダマスカス県内での治安維持部隊と反体制武装集団(武装テロ集団)の交戦に関して、以下の通り報じた。

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治安維持部隊がナフル・イーシャ地区内の道路を封鎖し発砲を続けてきた反体制武装集団と交戦、排除した。

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マイダーン地区では、反体制武装集団がマイダーン・コルニーシュ近くの交差点で車爆弾を爆発させ、2人が負傷、周辺の商店、車が損害を被った。

同地区では、反体制武装集団が市民を人間の盾として犯罪行為を行ったが、軍が掃討に成功し、砲撃・銃撃から避難していた住民は帰宅した。

同地区の住民によると、反体制武装集団が市民に無差別に発砲する一方、軍は市民の避難に尽力し、住民の支援のもと反体制武装集団の排除を行った、という。

マイダーン地区では治安維持部隊が反体制武装集団の残党の追跡を続けている、という。

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マイサート地区で救急車両に発砲した反体制武装集団3人を治安維持部隊が追跡、2人を逮捕した。救急車両への発砲により、運転手と助手が負傷した。

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バーブ・サリージャ地区では、市民や商店に無差別発砲を行った反体制武装集団全員を治安維持部隊が射殺した。

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バルザ区では、反体制武装集団が出版公社ビルをRPG弾などで攻撃し、出版・印刷関連の機器などが破壊された。

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カーブーン区では、反体制武装集団が第3カーブーン発電所をRPG弾などで攻撃、これにより、変電機3台が破壊された。

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シリアの治安筋によると、軍・治安部隊がカーブーン区、マイダーン地区での掃討作戦を開始し、テロリスト33人を殺害、15人を負傷させ、145人を逮捕した。

ダマスカス県内での暴力(反体制側の発表・報道)

ダマスカス県内マイダーン地区などで、反体制武装集団による「ダマスカス火山、シリア地震」作戦が継続され、軍・治安部隊との交戦が続けられたものと思われるが、明確な戦果があがったとの発表はなかった。

また戦闘が行われたとされる地区はそのいずれもが、過去数ヶ月にわたって反体制武装集団が拠点とし、治安維持部隊と散発的に戦闘を繰り返してきた地域であり、反体制武装集団の作戦は実質的な戦闘というよりは、プロパガンダ的色彩が強かったと言える。

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『クッルナー・シュラカー』(7月17日付)は、ダマスカス県内の車・人通りをまばらで、省庁の職員もそのほとんどが欠勤するか、早退したと報じた。

また『クッルナー・シュラカー』(7月17日付)は、ダマスカス県内の消息筋の話として、治安部隊がタクシーで逃走する反体制武装集団を追跡、逮捕したと伝えた。

同消息筋によると、タクシーは、ヒジャーズ地区からジスル・ヴィクトリアを経て、サブウ・バフラート広場に逃走し、その間、治安部隊と銃撃戦を繰り広げ、最後は反体制武装集団の弾薬がつき、通行人らの前で取り押さえられたという。

同報道は、この逮捕劇が政権側の自作自演で、同日にサブウ・バフラート広場で予定されていたアサド政権支持のデモを中止とするための口実だった、と断じているが、真偽は定かでない。

なおAFP(7月17日付)などによると、サブウ・バフラート広場、ハミーディーヤ地区、ナスル通り、アッバースィーイーン広場などでも銃声が聞こえたという。

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『クッルナー・シュラカー』(7月17日付)は、大統領府内の軍関連筋の話として、アサド大統領がダマスカス県内の治安維持任務の全権を共和国護衛隊に委ねたと報じた。

この措置は、ダマスカス県内での軍・治安部隊の離反を回避するためだという。

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『クッルナー・シュラカー』(7月17日付)ともに、マイダーン地区での戦闘で、ダマスカス警察のイーサー・ドゥーバー副所長が重傷を負い、死亡した。

また同行していた警察幹部1人も死亡した。

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シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘が続くマイダーン地区に軍・治安部隊の増援部隊が入る一方、軍のヘリコプターがバルザ区に対して攻撃を加えた。

カーブーン区での戦闘では12人が死亡、カダム区での戦闘では軍・治安部隊の兵士2人が死亡した。またナフル・イーシャでの戦闘では1人、サイイディー・ミクダード地区でも1人が死亡した。

軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘はこのほか、カフルスーサ区、ジャウバル区、タダームン区、アサーリー地区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市でも続いた、という。

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・タキーッディーン大佐は、AFP(7月17日付)に、カーブーン区で軍のヘリコプターを撃墜したと語った。

これを受け、反体制活動家が撃墜されたヘリコプターの写真を公開したが、タルトゥース・ニュース・ネットワーク(7月17日付)によると、使用された写真は2012年5月24日にアフガニスタン西部で墜落したNATOのヘリコプターの写真だった。

その他の国内での暴力(シリア政府側発表)

ダマスカス郊外県では、SANA(7月17日付)によると、ヤブルード市で反体制武装集団の爆弾製造所が爆発し、テロリスト8人が死亡した。

SANA, July 17, 2012
SANA, July 17, 2012

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ダルアー県では、SANA(7月17日付)によると、ヒバブ市の交通警察が反体制武装集団と交戦し、テロリスト2人を負傷させた。

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アレッポ県では、SANA(7月17日付)によると、ビスラートゥーン市、バヤーヌーン町、アアザーズ市で治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、テロリストに甚大な被害を与えた。

またアレッポ市のバーブ・ナスル地区の喫茶店で爆発があった。

治安維持部隊は爆発の直後容疑者を逮捕した。

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ハマー県では、SANA(7月17日付)によると、ハマー市のハミーディーヤ地区、ハーディル地区にある反体制武装集団のアジトに治安維持部隊が突入し、甚大な被害を与え、多数のテロリストを逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

SANA, July 17, 2012
SANA, July 17, 2012

その他の国内での暴力(反体制側の発表)

自由シリア軍広報局によると、ダマスカス郊外県のスバイナ、ズィヤービーヤの両検問所を「使徒末裔大隊」を名のる新たな反体制武装組織が攻撃し、軍・治安部隊兵士8人を捕虜にした。

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AFP(7月17日付)は、トゥライムサ村での虐殺疑惑に関して、地元の指導者だというアブー・ウマルなる人物の言葉を引用し、「アサドの軍はアラウィー派居住地区の縁に位置する町々を15日前から砲撃している…。トゥリームサはアラウィー派に囲まれている。これが(虐殺の)理由だ」と報じた。

シリア政府の動き

リヤード・ファリード・ヒジャーブ内閣が定例閣議を開き、新内閣の施政方針について審議した。

タイスィール・ズウビー内閣事務局長によると、施政方針では、祖国と国民の安全の確保、内外の脅威への抵抗を通じた安定の確保、危機の解消をめざすことが改めて確認される、という。

またすべての国民に武器の放棄と国民和解のための政治的プロセスへの参加を呼びかけるという。

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『クッルナー・シュラカー』(7月17日付)は、バアス党消息筋の話として、ドゥーマー市とハラスター市の避難民のためにアドラー市内の労働総同盟の集団住居(800戸)が提供されたと報じた。

またアレッポ市でも住宅公社の住居(独身向、1,800戸)が避難民のために提供されたという。

反体制勢力の動き

離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使はBBC(7月17日付)のインタビューで、「シリア国民がさらにバッシャール・アサド体制に圧力をかければ、政権はこのような兵器を使用するだろう」と述べ、弾圧に化学兵器が用いられる可能性を示唆するとともに、「未確認だが、ヒムスで科学兵器が使用されたとの情報がある」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、ダマスカス県での反体制武装集団による活動を支援するため、全国民に対してゼネストや市民的不服従に訴えるよう呼びかけた。

同胞団は16日からイスタンブールで大会を開催していた。

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マナーフ・トゥラース准将が離反後初の声明を出し、自身がパリに避難したことを明らかにするとともに、「建設的な移行期間を経て危機が解消する」ことを望むとの意思を示した。

また「私は、いかなる野望も持たない普通のシリア人として、国民としての義務を果たし、でき得る限りのことを行う準備がある」と述べた。

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「民主的文民国家のためのシリア人外交官連合」なる組織が声明を出し、国内での暴力・殺戮の継続に反対の意思を示すとともに、平和的手段による体制転換を通じた民主的文民国家の建設を呼びかけた。

同組織はまた、外国の軍事介入、ロシア・イランによるアサド政権支持の姿勢にも異議を唱えた。

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自由シリア軍構内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐は、AFP(7月17日付)に対して「ダマスカス解放の戦いが始まった…。ダマスカス全土を制圧する明確な計画がある…。勝利は近い」と語るとともに、「多くのサプライズ」を約束した。

レバノンの動き

ジャズィーラ(7月17日付)は、5月にアレッポ県で誘拐されたレバノン人巡礼者11人の最新の映像を放映した。

Naharnet, July 17, 2012
Naharnet, July 17, 2012

同映像において、誘拐犯は、レバノン・イスラーム教ウラマー委員会とカタールの監督のもと、11人のうちの2人を近く釈放することを明らかにした。

また、誘拐犯は、ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長への謝罪を求めた声明が自分たちの声明ではないと否定した。

諸外国の動き

イスラエル国防軍のアヴィヴ・コチャヴィ少将はクネセトで、アサド政権がゴラン高原に展開している軍部隊を紛争地域に移動させた、と証言した。

コチャヴィ少将はまた「アサドがイスラエルとの戦争を最後の手段とする可能性は少ない」述べる一方、アサド政権が弱体化した場合、「シリアでジハード運動が台頭することで…、ゴラン高原がイスラエルに敵対する活動の拠点となる可能性がある」と指摘し、「シリアへのアル=カーイダやジハード主義者が断続的に流入している」への危機感を表明した。

さらに「ヒズブッラーとイランがアサド政権後に備えている」としたうえで、「テロ集団の手に近代的・非伝統的な兵器がわたる」ことを監視する必要があると主張した。

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コフィ・アナン特使はモスクワでウラジーミル・プーチン大統領と会談した。

プーチン大統領は、「シリアの危機を正常化するためのアナン特使の努力を政治的手段を通じて支援するため、でき得るすべてのことをするだろう」と述べた。

一方、アナン特使は、シリア情勢を「悲劇的」と評し、「重要なターニング・ポイント」に達しているとの見方を示した。

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潘基文国連事務総長は中国を訪問し、胡锦涛国家主席ら中国首脳と会談した。

会談ではシリア情勢が主に議論されたと思われる。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣がヨルダンを訪問した。

ナースィル・ジャウダト外務大臣との共同記者会見でヘイグ外務大臣は、「求められているのは国連憲章第7章に基づく安保理決議」と強調した。

またヘイグ外務大臣はジャウダト外務大臣とともに、対シリア国境にあるラムサー市のシリア人避難民キャンプを慰問した。

キャンプを訪問したヘイグ外務大臣に対して、シリア人避難民たちは「あなた方から水も食糧も欲しくない。我々に施しをしてくれる人など要らない。我々がして欲しいのはバッシャールを終わらせることだ」と述べた、という。

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米国務省のパトリック・ベントレル副報道官は記者団に対して、「我々は最悪のシナリオを恐れている。それ(シリアの紛争)が同国国境の外に及び、宗派間の戦闘に至ることを。我々は多いに懸念している」と述べた。

一方、米国防総省のリトル報道官は、「シリアはもちろん、米国の安全保障にとって最優先事項だ」と述べ、レオン・パネッタ攻防長官が米空母ジョン・ステニスを予定より4ヵ月早く地中海に展開させることに合意したことを明らかにした。

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国連事務局人道問題調整事務所のジョン・キング所長は、シリア政府がシリア国内で人道支援を必要としている85万人への支援到達を「妨害する政策」をとっている、と批判した。

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イラクのアリー・ダッバーグ内閣報道官は、シリアに居住するイラク人(そのほとんどが避難民)に対して、退避勧告を出し、イラクへの帰国を呼びかけた。

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ロイター通信(7月18日付)は、トルコ消息筋の話として、シリア1,280人がトルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)に避難したと報じた。

避難民のなかにはシリア軍の准将1人、士官多数、そしてその家族も含まれている、という。

なおこの新たな流入により、トルコ領内のシリア人避難民の総数は42,680人に達した、という。

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AFP(7月17日付)は、カザフスタンのアルマトイにあるシリア領事館が、「シリアの紛争を作り出し、それと関係のある分子」によって襲撃され、火災が発生し、2、3階部分が焼失した、と報じた。

AFP, July 17, 2012、Akhbar al-Sharq, July 17, 2012、Aljazeera.net, July 17, 2012、Facebook, July 17, 2012、al-Hayat, July 18, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 17, 2012、Naharnet.com, July 17, 2012、Reuters, July 17, 2012、SANA, July 17, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

自由シリア軍国内合同司令部が声明を出し「ダマスカス火山、シリア地震:ヒムスとマイダーン救済」作戦を始動させたことを発表、ダマスカス県内では激しい戦闘が(2012年7月16日)

シリア政府の動き

国内通商消費者保護省は灯油価格を15%を引き上げる決定を官報を通じて発表した。

これにより灯油は1リットルあたり20シリア・ポンドから23シリア・ポンドに引き上げられる。

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SANA(7月16日付)は、軍事情報局ダマスカス郊外県課長のルストゥム・ガザーラ少将が政権を離反したとの報道を否定したと報じた。

国内の暴力(シリア政府側の発表)

SANA(7月16日付)によると、ダマスカス県のナフル・イーシャで治安維持部隊が反体制武装集団と15日に交戦し、反体制武装集団はタダームン区に逃走した。

その後、タダームン区で捜索活動が同地区で行われ、爆弾が爆発し反体制武装集団に甚大な被害が出た、という。

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『ワタン』(7月16日付)によると、治安維持部隊は、ダマスカス県内のタダームン区、ダッフ・シューク地区、ナフル・イーシャ地区、カダム区、カフルスーサ区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市などでの反体制武装集団によるいわゆる「ダマスカス大戦」に備えて、軍と合同で厳戒態勢にあたっており、複数の武装集団と交戦し、アジトを破壊するなど甚大な被害を与えている、という。

国内の暴力(反体制勢力の発表)

シリア人権監視団など反体制勢力は、ダマスカス県マイダーン地区に「初めて軍の装甲車や兵員輸送車輌が入った」と主張し、「小・中火器を使用して」反体制武装集団との交戦を続けたと発表した。

Youtube, July 16, 2012
Youtube, July 16, 2012

しかしダマスカス県内で激しい戦闘が行われた地区はそのいずれもが、過去数ヶ月にわたって反体制武装集団が拠点とし、治安維持部隊と散発的に戦闘を繰り返してきた地域であり、ダマスカス県内に「新たに戦闘が拡大した」との見方は必ずしも的を射たものではない。

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自由シリア軍国内合同司令部(カースィム・タキーッディーン大佐)は声明を出し、「ダマスカス火山、シリア地震:ヒムスとマイダーン救済」作戦と銘打って、政府の「虐殺と野蛮な犯罪への報復」として、各地の軍・治安部隊を本部、支部、拠点に対する大規模攻撃を現地時間午前8時に開始したと宣言した。

同声明では、軍・治安部隊、シャッビーハのすべての検問所の包囲・殲滅、全国の主要幹線道路の閉鎖、軍・治安部隊の士官・兵士の離反を呼びかけた。

またアサド政権を支持するヒズブッラー、イラン・イスラーム革命防衛隊、イラクの民兵、パレスチナ組織も標的とすると宣言した。

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シリア人権監視団によると、ダマスカス県マイダーン地区での交戦は「戦闘に質的な変化」をもたらし、「革命運動家が首都に入ったことを意味しており…、政権への明確な脅威となっている」と主張した。

また「軍は制圧不可能と分かり、装甲車を派遣した。このことは政権の弱さを示しており、ダマスカスに革命勢力が存在することを意味する…。彼らは地元の住民であり、外部からやって来た者ではない。そして地元住民に保護されている」と豪語した。

しかし複数の活動家によると、「軍と反体制武装集団が激しい戦闘を行い、数百人が逃げまどった」。

彼らによると、交戦は15日晩から激化し、マイダーン地区のほか、ザーヒラ地区、タダームン区、ジャウバル区でも行われているという。

http://www.youtube.com/watch?v=9Pdj_aH0FAI&feature=player_embedded

http://www.youtube.com/watch?v=MdnBpiiW2Io&feature=player_embedded

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によるとカタナー市で軍・治安部隊が砲撃を加えた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市各地に対する砲撃が続く一方、軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ジャラーブルス市で、反体制武装集団の戦闘員4人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で青年1人が射殺された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ワスターニー山で、軍・治安部隊と反体制武装集団の交戦が続いた。

反体制勢力の動き

シリア・ムスリム同胞団はイスタンブール郊外で2日間の予定で大会を開催した。

Youtube, July 16, 2012
Youtube, July 16, 2012

大会では組織の強化、反体制運動支援方法などが審議される予定。

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シリア国民評議会はイスタンブールで声明を出し、アサド政権が首都ダマスカスを「反抗する地区に対する戦場」にし「悲劇的結果」をもたそうとしていると非難した。

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イスタンブール在住の離反兵アドナーン・スィルウ少将は、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長とコフィ・アナン特使を、アサド政権によるシリア国民の虐殺を幇助した罪で裁判にかけると主張した。

『ラアユ』(7月16日付)が報じた。

またシリア革命合同軍事指導部を名のる組織の結成を宣言した。

同少将は、離反前は化学兵器の使用に関する軍指導部の司令官を務めていたと豪語している。

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シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会の代表が一同に会し、「クルド経済評議会」会合が開かれ、シリアのクルド人の経済活動の活性化についての審議がなされ、強力な経済インフラの整備、クルド人に対する差別・偏見の撤廃、貧困撲滅の必要などが確認された。

レバノンの動き

シリア軍はベカーア県バアルベック郡カーア地方からロケット弾による砲撃を受け、同地に進入し、反撃した。

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「リダー軍」を名のる集団が声明を出し、レバノン国内で避難生活を送るシリア人に帰国するよう呼びかけた。レバノンの声(7月16日付)などが報じた。

諸外国の動き

UNSMISのスーザン・ゴシェ報道官は声明を出し、監視団がトゥライムサ村で2度目の調査を行い、軍・治安部隊が人口密集地区で重火器を使用したとの証言を得たと発表した。

声明では、27人の住民に聴取し、「砲撃が7月12日午前5時から始まった…。軍は家を一件一件捜索し、身元を確認し、殺害された者もいたし、村の外に連れ去られた者もいた」との証言を得たことが明らかにされた。

シリア政府に人口密集地区で重火器使用停止と民間人の保護に必要なあらゆる措置を講じるよう求めた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はアナン特使との会談に先立って記者会見を開き、シリア情勢をめぐる安保理での審議に「挑発を行おうとする勢力がいることを遺憾に思う」と述べ、西側の姿勢を「建設的でなく、危険で、受け入れられない」と非難する一方、「UNSMISを圧力をかけるためのカードとして利用することは受け入れられない…。我々のパートナー(西側諸国)が我々の決議案を反故にすることを決定すれば、国連の任務は承認されないことになってしまい、(UNSMIS)はシリアを去ることを余儀なくされる」と警鐘を鳴らした。

またアサド大統領の退任に関して「我々が支持しているからではなく、大多数のシリア国民が支持しているがゆえに、退任しないだろう」と述べた。

そのうえで「我々は、アナン特使の停戦案、国連安保理決議、ジュネーブでの声明といった我々全員が合意したことを支持しているのだ」と付言した。

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表大使は記者団に対して、「我々はこのような決議案には反対票を投じると明言した」と述べ、国連憲章第7章に基づくアサド政権への制裁を科そうとする西側(英国提出)の決議案に拒否権を発動する意思を示した。

またチュルキン大使は、「自分たちの政治的アジェンダを伸長しようとする者がいれば、彼らがこのミッション(UNSMIS)を継続したくないと考えているということだ」と述べた。

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スーザン・ライス米国連代表大使は、ロシアの決議案が採決に必要な9カ国の支持さえ得られないだろうと述べた。

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モロッコ外務協力省は、ナビーフ・イスマーイール駐モロッコ・シリア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ」とみなし、出国を要請した。

これを受け、シリアの外務在外居住者省はムハンマド・イフサースィー駐シリア・モロッコ大使を互恵関係に基づき「ペルソナ・ノン・グラータ」とみなした、と発表した。

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イラクのアリー・ムーサウィー首相付顧問はAFP(7月16日付)で、離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使を「あらゆる手段で追及するだろう。なぜならテロリスト潜入の幇助は犯罪だからだ」と述べた。

ファーリス大使は『サンデイ・テレグラフ』紙(7月15日付)で、ダイル・ザウル県知事在任中にイラクへのジハード主義者の潜入を支援したと証言していた。

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ヨルダンのファーイズ・タラーウィナ首相は、シリア情勢に関して、対話では危機は解消しない、と述べ、安保理に介入を求めた。

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アラン・ジュペ前フランス外務大臣は、フランス・インタル(7月17日付)で、コフィ・アナン特使の任務を終わらせるべきだと述べた。

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赤十字国際委員会のアレクセス・ヒーブ報道官は、シリア情勢が「内戦」とみなしえるとしたうえで、すべての当事者に対して「国際人道法を遵守」するよう求めた。

AFP, July 16, 2012、Akhbar al-Sharq, July 16, 2012、al-Hayat, July 17, 2012, July 18, 2012、Naharnet.com, July 16, 2012、al-Ra’y, July 16, 2012、Reuters, July 16, 2012、SANA, July 16, 2012、Sooryoon.net, July 17, 2012、al-Watan, July 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

UNSMIS報道官が虐殺が起きたとされるトゥライムサ村の調査ののち「軍がトゥライムサ村で特定の集団、施設、主に離反兵と反体制活動家を標的にしていた」と発表(2012年7月15日)

シリア政府の動き

ジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官がダマスカスで記者会見を開き、トゥライムサ村での虐殺疑惑に関して「虐殺ではなく軍事作戦であり、対話や政治的解決を信じず、誘拐、殺戮、テロを行うテロ集団と軍の交戦だった」と述べた。

SANA, July 15, 2012
SANA, July 15, 2012

マクディスィー報道官は、この軍事作戦が「住民の要請を受けたもので、軍は村内で重火器は使用しなかった」と強調した。

報道官によると、戦闘は数時間続き、(軍の)攻撃に曝された建物は5棟で、軍は戦闘機、ヘリコプター、戦車、迫撃砲を一切使用しなかった、という。

またこの作戦では、反体制武装集団の戦闘員37人、市民2人が死亡し、湾岸アラブ諸国のメディアや西側メディアの報道が事実無根だとした。

またコフィン・アナン特使が13日に安保理に宛てた書簡に関して、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣が、「書簡で述べられていることは拙速であり、村で起きた真実に依拠していない」とアナン特使に回答したうえで、その旨、安保議長と潘基文事務総長に伝えるよう求めたことを明らかにした。

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政党問題委員会が会合を開き、ワアド党の公認申請を審査し、1週間以内に日刊紙に審査結果を発表することを決定した。

国内の暴力(シリア政府側の発表)

イドリブ県では、SANA(7月15日付)によると、治安維持部隊がズィヤーラ地方で反体制武装集団と交戦し、乗っていた車2台を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(7月15日付)によると、治安維持部隊がダイル・ザウル市内で反体制武装集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

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アレッポ県では、SANA(7月15日付)によると、治安維持部隊がスファイラ地方で武装テロ集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

国内の暴力(反体制勢力の発表)

駐英の反体制組織、シリア人権監視団はダマスカス県のタダームン区が砲撃に曝される一方、ズフール地区近くの環状道路で爆弾が爆発し、軍・治安部隊兵士多数が負傷したこと発表した。

複数の目撃者によると、爆発は兵員輸送車を狙って起きた、という。

また監視団によると、マイダーン地区でも大きな爆発音が聞こえたという。

一方、反体制活動家のサミール・シャーミー氏は、ロイター通信(7月15日付)に対して、タダームン区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市で反体制武装集団と軍・治安部隊が激しく交戦したと述べた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市での砲撃で6人が死亡した。

またヒムス市のスルターニーヤ地区、カフルアーヤー地区が砲撃に曝され、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラー氏(ヒムスの報道官)によると、クサイル市も砲撃に曝された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で反体制武装集団の戦闘員2人と民間人3人が死亡した。

またブーカマール市でも反体制武装集団の戦闘員3人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カルアト・マディーク町が軍・治安部隊の砲撃に曝され、2人が死亡した。

またジュライジス村、マアッル・ザーフ村に軍・治安部隊が突入した、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市が砲撃に曝され、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。

またクルド山一帯の村々が軍・治安部隊の砲撃に曝された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と反体制武装集団がアイン・バーリダ村、アイン・スーダ村、サルキーン市などで交戦、民間人2人、軍・治安部隊兵士3人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がカラク村で反体制武装集団と交戦し、民間人1人、反体制武装集団戦闘員2人が死亡した。

諸外国の動き

UNSMISのスーザン・ゴシェ報道官は、トゥライムサ村を視察・調査した監視団からの情報として、「軍がトゥライムサ村で特定の集団、施設、主に離反兵と反体制活動家を標的にしていた」と発表した。

ゴシェ報道官はまた「複数の家屋のなかで血の海や弾痕を確認した…。また焼失した学校、損害を受けた建物を発見し、そのうちの5件は内側から炎上していた…。さまざまな武器が攻撃で用いられており、そのなかには迫撃砲、軽火器などが含まれている…。犠牲者数はいまだ不明瞭だ」と述べた。

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ロシアの大統領府はコフィ・アナン特使を前に声明を出し、「アナン特使の停戦案がシリア国内の問題を解決するための唯一の方法だと理解している」と発表した。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣はアーラム・チャンネル(7月15日付)で、「シリアの反体制勢力をイランに招き、話合う準備がある…。反体制勢力とシリア政府が対話するために必要な状況を作り出す準備がある」と述べた。

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『ハヤート』(7月15日付)は、米国防総省がシリア国内での化学兵器の動きへの監視を強化している、と報じた。

AFP, July 15, 2012、Akhbar al-Sharq, July 15, 2012、al-Hayat, July 15, 2012、July 16, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 15, 2012、Naharnet.com,
July 15, 2012、Reuters, July 15, 2012、SANA, July 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ハマー県で自爆テロが発生し民間人や治安維持部隊の多数が死亡、米紙によるとシリアで活動する反体制武装集団は複数の隣国から武器を調達(2012年7月14日)

国内の暴力(シリア政府側の発表)

ハマー県では、SANA(7月14日付)によると、ムハルダ市で自爆テロが発生し、民間人や治安維持部隊兵士多数が犠牲となった。

SANA, July 14, 2012
SANA, July 14, 2012

またハマー市でも反体制武装集団が仕掛けた爆弾が爆発し、子供2人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(7月14日付)によると、クサイル市郊外のハミーディーヤ村で軍・治安部隊が反体制武装集団が交戦し、甚大な被害を与えた。

またタッルカラフ地方ではレバノンからの密入国を試みた反体制武装集団を撃退した。

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イドリブ県では、SANA(7月14日付)によると、ザーウィヤ山で治安維持部隊が反体制武装集団を追跡・攻撃し、甚大な被害を与えた。

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ダルアー県では、SANA(7月14日付)によると、ブスラー・シャーム市で治安維持部隊と反体制武装集団が交戦し、後者の戦闘員3人を殺害、甚大な被害を与えた。

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SANAがサイバー攻撃を受けて、一時閉鎖となった。

国内の暴力(反体制勢力の発表)

ダルアー県では、シリア人権監視団や地元調整諸委員会によると、ヒルバト・ガザーラ町に軍・治安部隊の兵士数百人と複数の戦車・兵員輸送車が進入し、逮捕・捜索活動を行った。

地元調整諸委員会によると、軍・治安部隊は「何らの抵抗を受けずヒルバト・ガザーラ町内に入った。なぜなら自由シリア軍は完全に撤退していたからだ」。

シリア人権監視団によると、ハーッラ市にも軍・治安部隊が入り、逮捕・捜索活動を行った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、女性・子供5人を含む7人が殺害された。

またムライハ市、ナブク市で大きな爆発があり、カフルバトナー町では銃音が聞こえた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ国境に近いタッル・サルール村、ディーワーン村で軍・治安部隊の検問所を攻撃した反体制武装集団の戦闘員5人が殺害された。

またマーリア市での軍・治安部隊との戦闘で反体制武装集団の戦闘員1人が殺害された。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムハルダ市の軍事情報局施設を狙った車爆弾による攻撃があり、女性2人、子供1人、治安要員1人が死亡した。

またハマー市では、軍・治安部隊による逮捕・捜索が続いた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市への砲撃で5人が、ヒムス市でも反体制武装集団の戦闘員2人を含む4人が死亡した。

トゥライムサ村での虐殺疑惑

UNSMISのスーザン・ゴーシェ報道官は、UNSMIS団員11人が、虐殺が起きたというハマー県トゥライムサ村に調査のために向かったと発表した。

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反体制組織のシリア人権監視団によると、トゥライムサ村での犠牲者数は118人で、うち49人が民間人、37人が軍兵士、32人が反体制武装集団戦闘員だという。

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国連安保理は議長国のコロンビアが、トゥライムサ村で「迫撃砲、戦車、ヘリコプターを使用したシリア政府の人権侵害」を非難する報道機関向けの声明案を提出したが、ロシア側は「さらなる現地情報を検討」するため、採択を延期するよう求め、廃案とした。

潘基文国連事務総長は安保理に書簡を送り、そのなかでトゥライムサ村での虐殺疑惑に関して、「UNSMISが確認した迫撃砲、戦車、ヘリコプターの使用は、シリア政府の停戦案履行違反」と非難、国際社会に「一致団結して継続的、実質的な圧力をかけねばならない」と呼びかけた。

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ナースィル・アブドゥルアズィーズ・ナスル国連総会議長は、トゥライムサ村で虐殺疑惑を「集団虐殺」と非難した。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相は、トゥライムサ村での虐殺疑惑に関して、「この犯罪をはじめとする蛮行は、我々全員が平和的解決策を案出するためのステップを早急に踏み出すことを促すものでなければならない」と述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、トゥライムサ村での虐殺疑惑を「非人道的な虐殺」を非難した。

反体制勢力の動き

ロイター通信(7月14日付)は、自由シリア軍の士官の話として、シリア国内の反体制武装集団がシリア国内ではなく、レバノン、トルコ、イラクから武器を調達していると報じた。

同士官によると、トルコ当局は自国の領土、港湾を通じた武器供与を認めていないが、900キロに達するトルコ・シリア国境の監視を困難で、武器密輸は容易だという。

このほか、イラク、レバノンから対戦車砲、カチューシャ砲などを入手している、という。

しかし自由シリア軍士官によると、「我々が所持する武器は、アサドと戦うには不充分で、我々にはもっと多くの武器が必要だ」と述べ、依然として武装闘争が劣勢を強いられていることを吐露した。

一方、英国の諜報機関高官によると、武器はその多くが地中海地域から密輸され、トルコを経由してシリア国内に持ち込まれている、という。

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アラビーヤ(7月14日付)は政治治安部ダマスカス支部長のアブドゥッラフマーン・タフトゥーフ准将が離反し、自由シリア軍に加入したと報じ、シリアのムハーバラートが崩壊を始めたと断じた。

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「シリアおよびビラード・シャームのヌアイム部族評議会」なる組織が声明を出し、部族の上級士官4人(少将1人、准将1人、大佐2人)が政権を離反したと発表した。

レバノンの動き

『ナハール』(7月14日付)は、ナジーブ・ミーカーティー首相がシリア避難民に対するUNHCRの医療支援を受け取った、とワーイル・アブー・ファーウール社会問題大臣が述べたと報じた。

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北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方でシリア軍とシリアの反体制武装集団が交戦し、住民の家屋が被害を受けた。

諸外国の動き

イラン外務省報道官は『イーラーン』(7月14日付)で、イランがシリアの安定と治安回復において役割を果たす用意があると述べた。

同報道官は、シリアの危機を解決できる地域の一部の国が過激派への武器供与を行っていると批判、シリアでの内乱や内戦を煽る代わりに、政府と反体制勢力の対話のために影響力を行使すべき、と述べた。

またアナン特使のイニシアチブに関しては、現時点での失敗にもかかわらず、「シリアの危機を収束させる最善の解決策」と評価した。

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ヨルダン・ムスリム同胞団のシャリーア学者評議会は、声明を出し、「ウンマの民にシリアの同胞を救済し、不正と専制に対するその革命を支援するため非常警報を発することを呼びかける」との意思を示した。

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トルコ首相府災害緊急事態対策庁は、トルコ領内に避難したシリア人避難民の数が38,914人に及ぶと発表した。

AFP, July 14, 2012、Akhbar al-Sharq, July 14, 2012、Alarabia.net, July 14, 2012、al-Hayat, July 15, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 14, 2012、al-Nahār, July 14, 2012、Naharnet.com,  July 14, 2012、Reuters, July 14, 2012、SANA, July 14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍・治安部隊がハマー県トゥライムサ村で「多数の市民を虐殺」、アナン特使やシリア国民評議会を含む各当事者はアサド政権を非難(2012年7月13日)

トゥライムサ村虐殺疑惑

国連安保理でのシリア情勢をめぐる審議と時を一にするかたちで、反体制勢力がプロパガンダを活発化させ、ハマー県トゥライムサ村で12日に軍・治安部隊(そしてシャッビーハ)が多数の市民を虐殺した主張、西側メディアが大々的に報じた。

Kull-na Shurakāʼ, July 13, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 13, 2012

この手の虐殺報道は、西側諸国が国連などでアサド政権への圧力強化を試みるのと並行して、5月末のハウラでの虐殺騒動以来繰り返されている。

反体制活動家は虐殺の犠牲者とされる映像を事件発生直後にYoutubeにアップする一方、フェイスブックに専用のページを作成する用意周到ぶりを見せた。

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.202538969875633.42146.168224839973713&type=1

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シリア国民評議会によると、トゥライムサ村に軍・治安部隊が突入し、少なくとも22人を殺害、55件の家屋を破壊したという。

またシリア人権監視団によると、軍・治安部隊はトゥライムサ村制圧のため戦車やヘリコプターで砲撃を加え、その後市内に突入した、という。

一方、シリア情報センターによると死者数は227人にのぼる、という。

ハマー県内で反体制活動をしているというシリア革命総合委員会メンバーのバースィル・ダルウィーシュはアラビーヤ(7月13日付)に対して、犠牲者のほとんどはナイフで首を切られており、焼け焦げた遺体数十体がアースィー川に遺棄されていた、という。

ハマー革命指導評議会なる組織によると、トゥライムサ村は軍・治安部隊による大規模な砲撃に曝された後、親政府の民兵(シャッビーハ)が進入し、220人以上の民間人を集団虐殺した、という。

トゥライムサ村出身だという反体制活動家のファーディー・サーミフ氏はロイター通信(7月13日付)に対して、「近隣の村のアラウィー派の民兵がトゥライムサ村に進入した」と証言した。

Youtube, July 12, 2012
Youtube, July 12, 2012
Youtube, July 12, 2012
Youtube, July 12, 2012

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しかしシリア人権監視団はその後、犠牲者のなかに反体制武装集団の戦闘員数十人が含まれていたと発表し、軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘が行われていたことを事実上認めた。

殺害された反体制武装集団戦闘員のなかにはイブラーヒーム・ズアイト・タルカーウィー少尉など離反した士官も含まれているという。

また反体制活動家だというジャアファル氏はSNN(7月13日付)に対して、「民間人の犠牲者の数は7人だけで…、それ以外の犠牲者は自由シリア軍だ」と述べた。

ジャアファル氏によると、「自由シリア軍がハマー郊外を進軍中の軍を襲撃した…。これを受け、軍は報復としてトゥライムサ村に結集していた自由シリア軍を近隣のアラウィー派の村の支援のもとに攻撃した。自由シリア軍は1時間程度抵抗したが、軍がトゥライムサ村を制圧し、自由シリア軍の兵士を殺害した」。

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アブー・ガーズィーを名のる反体制活動家はAFP(7月13日付)に対して、トゥライムサ村の住民は殺されるか避難して、市内には残っていない、と述べたが、別の活動家は「軍は約30輌の車輌で街を包囲し、誰も逃げられない」と述べた。

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一方、SANA(7月13日付)は「血塗られたメディアが武装テロ集団とともに…シリアおよびシリア国民に敵対する世論を醸成し、安保理会合に合わせて外部介入を助長しようとしている」との非難記事を掲載した。

その後、軍消息筋の話として、軍・治安部隊が12日早朝、トゥライムサ村の市民の要請を受け、反体制武装集団掃討のための作戦を実行、その司令部やアジトを制圧、テロリスト多数を殺害、逮捕、武器弾薬を押収した、と報じた。

またシリア・アラブ・テレビ(7月13日付)によると、トゥライムサ村での戦闘で、反体制武装集団は市民に無差別発砲した、という。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はジャズィーラ(7月12日付)に対して、「トゥライムサ村での虐殺は安保理やアラブ連盟に対する辱めるものだ…。この虐殺は国連憲章第7章に基づく明確な決議を求めるものである」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、トゥライムサ村での虐殺疑惑を強く非難し、コフィ・アナン特使、ロシア、イラン、そして国内での弾圧に沈黙を続けるすべての者もその責任の一端を担って然るべきだと主張した。

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シリア人権委員会は声明を出し、トゥライムサ村での虐殺疑惑を強く非難し、国際社会に対してアサド政権による弾圧継続の時間的猶予を与えないよう求めた。

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コフィ・アナン特使はトゥライムサ村での虐殺疑惑に関する報道に関して「衝撃と恐怖」を感じたとしたうえで、「暴力行為やこうした残虐行為を停止させねばならない」と述べた。

また国連安全保障理事会に宛てた書簡で、同氏の調停案を支持した安保理決議に、アサド政権側が「違反している」と明言、「(違反行為には)深刻な結果が伴うとのメッセージを送るべきだ」と述べた。

一方、UNSMISは、トゥライムサ村での虐殺疑惑に関して、「ハマー県は依然として混乱しており、事態を予測することは困難だ」としたうえで、トゥライムサ村まで約6キロの地点まで接近した団員の情報に基づき、「ハマー県北部の人口密集地域を空軍が攻撃目標としており、トゥライムサ村での作戦もその一環だったものと見られる」との報告を行った。

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米ホワイトハウス報道官は、トゥライムサ村での虐殺疑惑を新たな「残虐行為」と非難した。

またスーザン・ライス米国連代表大使は、トゥライムサ村での「虐殺に関する報告は悪夢のようだ」と述べた上で、「安保理がシリア問題に対して必要な措置を報じる必要が生じている」と述べた。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は記者会見で、トゥライムサ村での虐殺疑惑に関して、「安保理の制裁による脅迫を通じて、強い意思を示さねばならない」としたうえで、シリアへの強硬な姿勢をとることに「安保理が責任を負うときが来た。フランスは責任を負うだろう」と述べた。

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GCCのアブドゥッラティーフ・ズィヤーニー事務局長は声明を出し、トゥライムサ村での虐殺疑惑を非難、国連憲章第7章に基づく迅速且つ断固たる決議が必要だと主張した。

国内の暴力

SANA(7月13日付)によると、ダマスカス県マッザ区(オートストラード・マッザ、イラン大使館近く)で駐車中の車が爆発した。死傷者はいなかった。

SANA, July 13, 2012
SANA, July 13, 2012

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ダイル・ザウル県では、SANA(7月13日付)によると、治安維持部隊がダイル・ザウル市で反体制武装集団と交戦し、テロリストに甚大の被害を与えた。

この際、治安維持部隊兵士1人が殺害された。

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ヒムス県では、SANA(7月13日付)によると、クサイル市郊外で治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、テロリストに甚大な被害を与えた。

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アレッポ県では、SANA(7月13日付)によると、ICARDA近くで爆発物を運んでいた反体制武装集団の車が爆発し、テロリスト2人が死亡した。

またダール・イッザ市では治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、テロリストに甚大な被害を与えた。

反体制勢力の動き

シリアを脱走したマナーフ・トゥラース准将の兄でビジネスマンのフィラース・トゥラース氏(ドバイ在住)は『シャルク・アウサト』(7月13日付)に対して、「自由シリア軍ファールーク大隊に人道支援を行っている。この支援は武器供与とは無関係だ」と述べた。

また1ヵ月半前からファールーク大隊の司令官で甥のアブドゥッラッザーク・トゥラース氏と連絡を取り合っており、トゥラース家の士官45人が離反したことを明らかにした。

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自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、脱走したマナーフ・トゥラース准将と父でパリ在住のムスタファー・トゥラース元国防大臣に対して、「シリア国民に対して、自分たちがどこにいたのか、(政権において)どのような役割を果たしてきたのか、革命当初から出国まで何をしていたのかを説明するべき」と述べ、両氏が政治的に沈黙していることを非難した。

またナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使のカタールへの亡命については、「正しい方向へのステップとみなす」と評価した。

SANA, July 13, 2012
SANA, July 13, 2012

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地元調整諸委員会は、ダマスカス県(バーブ・サリージャ、カダム、マッザ、カーブーン、マイダーン、カフルスーサ、アサーリー)、アレッポ市、ダルアー県、イドリブ県、ダイル・ザウル県各地で「シリアとイランの召使い、アナン打倒の金曜日」と銘打って反体制デモが行われたと主張した。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(7月13日付)によると、パレスチナ人が多く住むヤルムーク区の5カ所で金曜礼拝後に反体制デモが発生した。

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐は声明を出し、体制内の文民やシリア軍兵士に対して、「離反のための猶予期間を1ヵ月」与えると発表し、離反しない場合「直接の攻撃目標になるだろう」と脅迫した。

レバノンの動き

NNA(7月13日付)によると、レバノン軍がアッカール郡ワーディー・ハーリド地方の対シリア国境など北部県に兵力を増強し、監視活動を強化した。

またレバノンの軍事裁判所筋によると、シリア領内に武器弾薬を密輸しようとしてたシリア人1人とレバノン人7人(ベカーア県バアルベック郡アルサール地方出身者)が逮捕された。

諸外国の動き

UNSMISのロバート・ムード司令官はダマスカスで記者会見を開き、ダイル・ザウル県で当事者間の対話促進のための仲介措置を行い、暴力のレベルの軽減や信頼醸成を支援している、と述べた。

SANA, July 13, 2012
SANA, July 13, 2012

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イエズス会の修道士のパウロ・ダッローリオ(Paolo Dall’Oglio)氏はAKI(7月13日付)に対して、「多くのシリア国民は、シリアでのアラブの春の最初の数ヵ月間は、バッシャール・アサドが国を民主主義に導き、影の指導者たちの闇基金によって運営された治安機関の手にある権力から脱却するのに主導的役割を果すと思っていた」と述べた。

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『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月13日付)は、シリア政府が武器庫に保管していた化学兵器の一部を移動させたと報じた。

AFP, July 13, 2012、Akhbar al-Sharq, July 13, 2012、Alarabia.net, July 12, 2012、Aljazeera.net, July 12, 2012、al-Hayat, July 14, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 13, 2012, July 14, 2012、Naharnet.com,
July 13, 2012、NNA, July 13, 2012、Reuters, July 13, 2012、SANA, July 13,
2012、al-Sharq al-Awsat, July 13, 2012、The Wall Street Journal, July 13, 2012、Zaman al-Wasl, July 13, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国家建設潮流のフサイン代表が「シリア祖国救済」と銘打った大会を7月28日に開催すると宣言するなか、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会の統合が決定したと報じられる(2012年7月12日)

ファーリス駐イラク大使離反

離反したナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使がアラビーヤ(7月12日付)に出演し、自身が「当初からシリア革命を支持していた」と述べた。

Youtube, July 12, 2012
Youtube, July 12, 2012

ファーリス大使の発言の概要は以下の通り:

「我々は変革しなければならなかった。しかし体制の方法は何ら変化しなかった。すべては大統領の手に握られており、(バアス)党は完全に独裁者の指導を隠蔽する組織に過ぎなかった。憲法第8条の廃止は何の前進も後退ももたらさないだろう…。新憲法は何の役にも立たない…。複数政党制は幻想で形式的だ。なぜなら政党を認可するか拒否するかは内務省の手に握られているからだ」。

「イランで離反宣言することでイラク当局を当惑させたくなかった。なぜならイラク政府はシリア政府と関係がよいからだ…。だから、イラクから出て、離反を宣言することにした。もちろん反体制勢力との調整はあった」。

「私はシリア国民の革命への参加を宣言する。第一に、自由シリア軍、調整組織、そして革命かといった国内の反体制勢力への参加を…」。

「国外の反体制勢力は努力しているが、国内との間に亀裂があり、彼らへの憤りは大きい。私は、シリア国民が国外の反体制勢力についてどのような話をしているのかを知っている」。

「軍・治安機関がシリア政府の持つ権力基盤である。しかしいずれの宗派においても大衆基盤を持っていない…。軍はいつまで結束を保つことができるだろうか?軍と治安部隊において離反が起きている」。

http://www.youtube.com/watch?v=c_pMVkikPmU

http://www.youtube.com/watch?v=SRyktaK4XHk&feature=relmfu

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シリアの外務在外居住者省は声明を出し、ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使が職務に反する声明を発表し、その行為は法的責任を追及されるものだと非難した。

同声明によると、ファーリス大使はバグダートのシリア大使館での執務を無断で放棄、これを受け外務在外居住者省は懲戒免職とした、という。

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ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使の出身地であるダイル・ザウル県では、ブーカマール市のアカイダート部族のカマール・ナージー・ファーリス・ジャッラーフ師がシリア・アラブ・テレビ(7月12日付)に対して、同大使の離反を確認したとしたうえで、アカイダート部族が開き、その離反を私的な見解を表明するための個人的行動に過ぎないとみなしたと述べた。

国内の暴力

ヒムス県では、SANA(7月12日付)によると、クサイル市郊外のクタイナ湖で治安維持部隊と2隻のボートに乗っていた武装テロ集団が交戦、ボートを破壊した。

またヒムス市のクスール地区でも治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、アンマール・ハマーディー、ウマル・ガムターウィー、ムハンナド・ハティーブらテロリスト多数を殺害した。

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ダルアー県では、SANA(7月12日付)によると、ハバブ氏で公共道路センターの要員が武装テロ集団と交戦し、ムハンマド・フアード・トゥルクマーニーらテロリスト3人を殺害した。

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イドリブ県では、SANA(7月12日付)によると、アリーハー市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリストに損害を与えた。

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SANA(7月12日付)によると、パレスチナ解放軍のムハンマド・ターリク・ハドラー少将が声明を出し、武装テロ集団がアレッポ県で同軍兵士17人を誘拐・殺害したと発表した。

遺体には拷問の跡が残っていた、という。

国内の暴力(反体制勢力発表)

ダマスカス県では、複数の反体制活動家によると、治安部隊がカフル・スーサー区に対して迫撃砲で「初めて」攻撃を加えた。ロイター通信(7月12日付)が伝えた。

迫撃砲による攻撃が「初めて」だとすると、これまで砲撃を受けてきたとの反体制活動家の発言がウソであったことになる。

またシリア革命総合委員会によると、バサーティーン地区、カダム区も軍・治安部隊の砲撃に曝された。

一方、シリア人権監視団によると、ルワーン地区に治安部隊が突入し、逮捕・捜索活動を行った。

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『クッルナー・シュラカー』(7月12日付)によると、ダマスカス郊外県南西部での軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘がクナイトラ県に飛び火した。

またシリア人権監視団によると、ダーライヤー市で治安部隊の発砲により1人が死亡し、ザバダーニー市での砲撃でも1人が死亡した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、親政府の武装集団がハーン・ジャウズ村近郊の街道で複数の車に発砲し、23人を殺害した、という。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、トゥライムサ村が軍・治安部隊の砲撃に曝された。その後、軍・治安部隊は同市に突入し、反体制武装集団との戦闘で7人が死亡した。

またカルナーズ町、ラターミナ町も軍・治安部隊の砲撃に曝された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区周辺に対して、軍・治安部隊が砲撃を加えた。

また同地区周辺での戦闘で、反体制武装集団の戦闘員2人、民間人3人が殺害された。

クサイル市でも砲撃により2人、ガルナータ村でも2人(女性)が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ブスラー・シャーム市に軍・治安部隊が突入した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市、マーイル町が軍・治安部隊の砲撃に曝された。

またアレッポ市マイダーン地区で反体制武装集団戦闘員2人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃で1人が死亡した。

国内の主な動き

『クッルナー・シュラカー』(7月12日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、ファールーク・シャルア副大統領が7月2日以来、執務室を訪れておらず公務に就いていないと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はダマスカスで記者会見を開き、「シリア祖国救済」と銘打った大会をダマスカスで7月28日に開催すると宣言、「政府が主唱する改革に満足せず、また暴力的手段に依らない平和的方法での体制転換」のため、すべての反体制勢力に参加するよう呼びかけた。

Kull-na Shurakāʼ, July 12, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012

フサイン代表は大会の目的に関して、「国の危機を回避し、暴力を停止し、専制を終わらせ、平和的政権交替を行うこと」と述べたうえで、「(大会は)対話ではなく、国内に愛国的運動を創出し、任務を遂行し、危機を回避することだ」と強調した。

アサド政権の改革プログラムに関しては、「政権に改革や国家運営の能力があるとは考えていない」と非難した。

在外の反体制勢力、とりわけシリア国民評議会に関しては、「我々は国外ではなく、国内で活動しており、彼らもここに来ればいい…。我々はこの土地にしがみつき、体制との戦いを国内で、シリア国民の間で行っている」と述べ、暗に批判した。

なお大会の呼びかけは、シリア国家建設潮流と国民潮流(バースィル・タキーッディーン代表)の相互理解覚書締結を受けて行われ、国民潮流も大会に参加する。

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法律研究調査センターのアンワル・ブンニー弁護士は、ダマスカス商業会議所のバッサーム・マリク氏(ビジネスマン)が、ダマスカス県内で5月と6月にゼネストを支援したために10日に逮捕され、アドラー刑務所に送還された、と発表した。

マリク氏は国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会の執行委員会メンバー。

Kull-na Shurakāʼ, July 12, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012

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Elaph.com(7月12日付)は、シリア国民評議会執行委員会のサミール・ナッシャール財務局長が、在外反体制勢力の活動資金横領疑惑に関して、「同評議会は発足以来、アラブ諸国から2500万ドルしか受け取っていない…。うち95%は国内で暮らす市民のために支出され、それ以外は近隣諸国の避難民のために支出された」と述べた。

またリビアの資金援助に関して、申し出があったもの資金は受け取っていないと述べる一方、3月に発足したシリア・ビジネスマン評議会から3億ドルを受け取っているとの情報に関してはこれを否定した。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、改めて外交官に離反を呼びかけた。

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「包囲下の女性」を名のる人権団体は2011年3月以来、ヒムス市などでの軍・治安部隊による婦女暴行81件の証言を得たと発表した。

http://womengaza.maktoobblog.com/

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AFP(7月12日付)は、反体制政治同盟のシリア・クルド国民評議会と親体制でPKK系の民主統一党が主導する西クルディスタン人民議会がクルド最高委員会の名のもとに統合することを決定した、と報じた。

この決定は、イラクのクルディスタン自治区のマスウード・バールザーニー大統領がエルビルで主催した仲介を受けたもの。

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シリア国民評議会は声明を出し、パレスチナ解放軍兵士の誘拐・殺害を強く非難し、アサド政権がシリア国民とパレスチナ人の対立を助長しようとしていると断じた。

レバノンの動き

『サフィール』(7月12日付)は、ナジーブ・ミーカーティー首相に近い消息筋の話として、レバノン政府がシリア人避難民への医療支援を中心したと報じた。

同紙によると、政府の負担軽減への国際機関の支援がなかったのがその理由だという。

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ナハールネット(7月12日付)によると、シリア軍が北部県アッカール郡、ベカーア県バアルベック郡の国境地帯で、反体制勢力掃討のため越境砲撃を行い、子供3人を含む4人が負傷した。

諸外国の動き

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「反体制勢力が(マナーフ・トゥラース)准将が接近していることを認知している…。この方向で連絡がなされている」と述べた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ハマー県北部のシャフシャブー山でソ連製のクラスター爆弾の残骸が発見され、軍・治安部隊が反体制武装集団掃討のために使用した可能性があると指摘した。

AFP, July 12, 2012、Akhbar al-Sharq, July 12, 2012、AKI, July 12, 2012、Aljazeera.net, July 12, 2012、Elaph.com, July 12, 2012、al-Hayat, July 13, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 12, 2012、Naharnet.com, July 12,
2012、Reuters, July 12, 2012、al-Safir, July 12, 2012、SANA, July 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア国民評議会使節団がロシアで同国外相と会談するも両者の見解の相違は解消されず、国連安保理ではロシアがUNSMISの人気延長を求める安保理決議案を提出(2012年7月11日)

国内の主な動き

アサド大統領は、第1次リヤード・ファリード・ヒジャーブ内閣発足(2012年6月23日)を受けるかたちで政令を出し、以下の人事改編を行った。

SANA, July 11, 2012
SANA, July 11, 2012

スライマーン・ムハンマド・ナースィル:ラタキア県知事
アーティフ・ナッダーフ:スワイダー県知事(タルトゥース県知事より異動)
マーリク・ムハンマド・アリー:クナイトラ県知事(スワイダー県知事より異動)
ニザール・イスマーイール・ムーサー:タルトゥース県知事
アブドゥルワッハーブ・アリー・フサイン:ハサカ県知事
ガッサーン・アフマド・ルトフィー・カナーティリー:ダイル・ザウル県知事
アフマド・ムニール・ムハンマド:ヒムス県知事
ムハンマド・ガッサーン・ハバシュ:計画国際協力委員会委員長(前駐日本シリア大使)

ムハンマド・ラスール・アムーリー:財務監査中央局長官

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7月7日から続けられていたシリアの陸海空軍は合同演習が終了した。

SANA, July 11, 2012
SANA, July 11, 2012

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AFP(7月11日付)は、匿名外交筋の話として、ナウワーフ・シャイフ・ファーリス駐イラク・シリア大使が、イラク外務省に自身が離反したことを伝えた、と報じた。事実確認はとれていない。

同消息筋によると、イラク高官は12日に同大使の第三国への出国を協議するための会合を開く、という。

ファーリス氏は2008年に駐イラク大使に就任、それ以前は1994年から1998年までバアス党ダイル・ザウル支部指導部書記長、1998年から2000年までラタキア県知事、2000年から2002年までイドリブ県知事、2002年から2008年までクナイトラ県知事を歴任していた。

イラク外務省高官は『ハヤート』(6月12日付)に対して、ファーリス大使の離反に関して「今のところファーリス大使は通常の執務を行っている。彼ないしは大使館がそうした決断を下したとの報告はまだ受けていない」と否定した。

国内の暴力

SANA(7月11日付)によると、ハマー県カルアト・マディーク町で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、トルコ人4人を含むテロリスト多数を殺害した。

このほかヒムス県ヒムス市(ジャウラト・シヤーフ地区など)、ダイル・ザウル県などで武装テロ集団の「残党狩り」を行い、テロリスト多数を逮捕、大量の武器弾薬、資金(米ドルなど)を押収した。

国内の暴力(反体制勢力の発表)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

Kull-na Shurakāʼ, July 11, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 11, 2012

またマッザ区では夜間デモが行われ、若者数百人が体制打倒を叫んだ。

シリア革命総合委員会によると、カフルスーサ区で治安部隊が反体制活動家の逮捕・捜索を行った。

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ヒムス県では、SNN(7月11日付)によると、ヒムス市のハーリディーヤ地区、ジャウバル区、クサイル市に対して軍・治安部隊が砲撃を続けた。

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アレッポ県では、SNN(7月11日付)によると、アアザーズ市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

またシリア人権監視団によると、数日前にナイラブ・パレスチナ難民キャンプに向かう途中に誘拐されていたパレスチナ解放軍兵士13人の遺体が発見された。

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ハマー県では、SNN(7月11日付)によると、スーラーン市で治安部隊が反体制活動家の逮捕・捜索を行った。

al-Hayat, July 12, 2012
al-Hayat, July 12, 2012

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の使節団がロシアでセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

使節団は、アブドゥルバースィト・スィーダー事務局長、ブルハーン・ガルユーン前事務局長、ムンズィル・マーフース氏、バスマト・カドマーニー報道官、ナジーブ・ガドバーン氏、リヤード・サイフ氏など。

会談後、スィーダー事務局長は、アサド政権退陣の是非をめぐってロシアとの対立が解消されなかったと記者団に語った。

スィーダー事務局長は「私は、シリアのすべての国民的反体制勢力の名のもと、アサドが退陣しない限り対話は不可能だと強調した。しかしロシアは別の見解を持っていた」としたうえで、「我々はロシアの政策を拒否する…。なぜなら体制を支持するその政策は暴力継続を許すだけだからだ」と述べた。

またスィーダー事務局長はロシアの安保理での拒否権発動によってシリア国民が暴力や弾圧に曝されていると訴えた。

ガルユーン前事務局長は、「ロシアの姿勢に変化は観られなかった。1年前にもロシアを訪問したが、それから何らロシアの姿勢は変わっていない」と非難した。

一方、ラブロフ露外務大臣は、シリア国民評議会使節団との会談で、反体制勢力の「疑念を完全に払拭すべく」、すべての紛争当事者による対話が必要だとのロシアを改めて明示したと述べた。

また「シリアの反体制勢力が、アナン特使の停戦案に基づき、政府との対話という点で結束する真の可能性があるかを判断したい」と述べた。

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シリア・クルド国民評議会のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ氏(シリア・クルド進歩民主党書記長)は、同評議会がイラクのエルビルで会合を開き、加盟組織がクルド民族主義勢力に対する武装闘争には関与しないことで合意したと発表した。

ダルウィーシュ氏によると、会合はイラク・クルディスタン自治区のマスウード・バールザーニー大統領の主催のもとに開かれ、政治指導部や在外組織委員会の設置を決定した、という。

またクルド民族主義勢力との武装闘争への関与を拒否することで、アサド政権に協力的なPKK系の民主統一党との対立の回避をめざしている。

『ハヤート』(6月12日付)によると、マスウード・バールザーニー大統領は最近、シリア・クルド国民評議会と民主統一党の対立解消の仲介を行っているが、両者はシリアの反体制運動とクルド問題の位置づけ方、とりわけトルコの介入の是非をめぐって対立したままだという。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、漸進的に暴力停止をめざすとするアサド大統領の提案を拒否する、と発表した。

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シリア・トルクメン民族運動なる組織のズィヤード・ハサン報道官はトルコのイスタンブールで、アサド政権打倒後のシリアでトルクメン人にマイノリティとしての権利を与えるよう求めた。

レバノンの動き

レバノンのシリア人避難民を支援する救援最高委員会は声明を出し、シリア人避難民に対する医療費支援を一時凍結したと発表した。

この措置は「政治的ではなく、技術的な」もので、義援金目当てで避難民を名のるシリア人への支援という「行き過ぎ」に対処するためだという。

救援最高委員会によると、レバノンには現在、3万2000人にシリア人避難民がいる、とされる。

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AFP(7月11日付)はベイルート国際空港でシリアの反体制活動家、ザカリヤー・ムトラク氏(26歳)がレバノン治安当局に逮捕されたと報じた。

レバノン総合情報総局の消息筋によると、ムトラク氏は関係当局から「指名手配」されており、身柄はレバノン軍に引き渡された、という。

ムトラク氏はヒムス県ヒムス市バーブ・アムル地区の出身で、同地区が制圧された今年2月にシリアを脱出していた。

指名手配の理由は不明。

諸外国の動き

国連安保理では、ロシアがUNSMISの任期(7月20日)の3ヵ月の延長を求める安保理決議案を提出した。

同決議案は、UNSMISの活動を強化するうえで軍事的能力を高める必要がある点を強調、シリア政府などに対してその活動の安全と自由を保障するよう求めている。

またアナン特使の停戦案の即時履行への支持を表明、シリア人による政治的解決を求める内容となっている。

しかし同決議案は、停戦が実現しなかった場合の措置については言及していない。

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米英仏の国連代表大使は、ロシアの決議案に異議を唱え、「国連憲章第7章」に基づき、アナン特使の停戦イニシアチブの履行を求め、停戦が実現しなかった場合、制裁を科すべきだと主張し、代案を提出すると述べた。

その後、英国が西側諸国を代表して、ロシア案に対抗するための決議案を提出した。

この決議案は、国連安保理憲章第7章に基づき、6月末のジュネーブでのシリア作業グループ会合声明を履行するかたちでの暫定挙国一致内閣の発足、憲法改正、選挙実施を求めている。

またシリア政府に対して、国連安保理決議2042、2043号に従ってアナン特使の停戦案の完全履行を求めるとともに、すべての当事者に暴力停止と政治的転換に相応しい雰囲気の醸成を呼びかけている。

一方、UNSMISについては、任期を45日延長し、非武装の監視団員を削減し、これに代えて民間人の監視団を増員、政治対話の促進、弾圧に関する調査任務の重点的実施をめざしている。

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インテルファクス通信(7月11日付)は、連邦軍事技術協力庁高官が、ロシアがシリアとの契約に基づき、シリアへの防空システムなどの供与を継続すると述べたと報じた。

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NATOのアナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長はシリア情勢に関して、政治的解決の支援が必要と述べ、軍事介入の可能性を改めて否定した。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、イランを訪問したアナン特使とアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣の会談で、イラン側がシリア国境で武器密輸監視を行うよう求めたと述べた。イラン国営通信(7月11日付)が伝えた。

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コフィ・アナン特使はジュネーブで記者団に対して、イラン政府がシリアの主導のもとでの政治的転換をめざす自身の停戦案を支持している、と語った。

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米ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官は、アナン特使のイラン訪問に関して、「イランの役割は積極的ではないし、有益でもない。我々の関心はシリアでの安定を望む国と協力すること」と述べた。

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中国外交部報道官は、「中国はシリア問題に相応しい解決策において地域諸国は切り離せず、シリアの当事者に影響力を持つ地域の国々の支援や参加が必要だと考える」と述べ、シリア危機の解決へのイランの参加をめざすアナン特使の姿勢への支持を表明した。

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AKI(7月11日付)は、イタリア当局がイオニア海でシリア人避難民25人(うち女性12人、子供4人)が乗ったボートを発見した、と報じた。

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パレスチナ解放軍参謀本部は声明を出し、ヒムス・ハマー街道で同軍のレジスタンス戦闘員2人(休暇中)が武装テロ集団に誘拐されたと発表した。

一方、パレスチナ自治政府はシリアのパレスチナ人に対する救援活動を行うと発表した。PECDARのムハンマド・シュタイヤ議長がラーマッラーで明らかにした。

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ウィキリークス(7月11日付)は、アサド政権が米国の広告代理店ブラウン・ロイド・ジェームズ社に反体制運動への対応についてのアドバイスを求めたことを示すメールを公開した。

また、2011年6月に営利活動からの撤退を宣言していたラーミー・マフルーフ氏(アサド大統領のいとこ)が依然として営利活動を行っていることを示すメールも公開した。

AFP, July 11, 2012、Akhbar al-Sharq, July 11, 2012、AKI, July 11, 2012、al-Hayat, July 12, 2012, July 13, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 11, 2012、Naharnet.com,
July 11, 2012、Reuters, July 11, 2012、SANA, July 11, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

コフィ・アナン特使はイランを訪問し「漸進的な事態収拾をめざす」とするアサド政権の方針を事実上支持、シリア国民評議会は変わらず国際社会の介入を要求し続ける姿勢を明確に(2012年7月10日)

アナン特使の動き

コフィ・アナン特使はイランを訪問し、シリア情勢などに関してアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣と会談し、漸進的な事態収拾をめざすとするアサド政権の提案に事実上沿ったかたちでの政治的解決に理解を示した。

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会談後の記者会見で、アナン特使は、アサド大統領が暴力停止に向けて「漸進的な方法をとり、暴力行為がもっとも激しいホットスポットから収拾のための試みを始め、一歩一歩進むことで全土での暴力の停止をめざす」と提案したことを明らかにした。

また6月末のジュネーブでのシリア作業グループ会合での合意に関して「これは我々が紛争における人々の武装化ではなく、政治的解決をめざしていることを実質的に意味する」と述べた。

そのうえで「私は事態がそのように推移するだろうと思う。過った者の手にある武器を回収するための真摯な計画が策定されねばならず、今後発足するであろう政府、ないしは現政府が武器使用と武器を管理することが保障されねばならない。つまり一つの権力、一つの武器(管理)だ」と述べた。

さらに「シリアの危機がコントロール不能となり、地域に波及する危険がある」としたうえで、「イランは積極的な役割を果たすことができる」と述べた。

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これに対して、サーレヒー外務大臣は、「我々はシリアと地域における安定と平穏が回復されるまで、アナン氏が行動を続けることを期待する」と述べるとともに、「イランは(シリア危機の)解決策の一部をなす」と強調した。

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アナン特使はその後、イラクに移動し、ヌーリー・マーリキー首相と会談した。

アリー・ダッバーグ報道官によると、会談では、シリア情勢への対応が協議された。

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マナール(7月10日付)は複数のシリア消息筋の話として、アナン特使がダマスカスでアサド大統領と合意した提案のなかに、「反体制武装集団の国家への武器引き渡しと政治的解決受諾を条件として、すべてのシリア人による対話を開始する」との項目があったと報じた。

国内の主な動き

シリアのダーウド・ラージハ国防大臣は、「国内のテロと外国の敵対行為」を許さないと述べた。SANA(7月10日付)が報じた。

国内の暴力

シリア赤新月社は声明を出し、ダイル・ザウル市で救急車両が銃撃を受け、乗っていたボランティア活動家ハーリド・ハッファージー氏が負傷、死亡したと発表した。

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ヒムス県では、SANA(7月10日付)によると、クサイル市および郊外で治安維持部隊が武装テロ集団の攻撃に応戦し、テロリストに打撃を与えた。

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アレッポ県では、SANA(7月10日付)によると、アレッポ市で武装テロ集団がアブドゥルバースィト・アルジャ医師を暗殺した。

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イドリブ県では、SANA(7月10日付)によると、ジスル・シュグール市で治安維持部隊が武装テロ集団を追跡、複数名を逮捕した。

またトルコ領内からヒルバト・ジューズ村に潜入しようとした武装テロ集団を拘束した。

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ラタキア県では、SANA(7月10日付)によると、バラータ村とハラータ村で武装テロ集団が農民を襲撃、1人を殺害した。

国内の暴力(反体制勢力発表)

ダルアー県では、SNN(7月10日付)やシリア革命総合委員会が、軍・治安部隊がラジャート高原北部の井戸数十カ所を埋め、自由シリア軍による水の確保を阻止しようとしていると報道・発表した。

シリア人権監視団によると、ダルアー市内各所および同市郊外の避難民キャンプが軍・治安部隊の砲撃にさらされ、複数が負傷した。

地元調整諸委員会によると、1人が殺害された。

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ダマスカス県およびダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カダム区、カフルスーサ区、ダーライヤー市などで治安部隊が活動家の逮捕・捜索活動を行い、爆発音や銃声が聞こえた。

またバルザ区では1ヵ月以上前に逮捕された民間人1人が拷問の末死亡した、という。

地元調整諸委員会によると、2人が殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市内での軍・治安部隊と反体制武装集団との戦闘で、前者の兵士4人と後者の戦闘員2人が死亡した。

なお反体制武装集団は市内西部をRPG弾で砲撃する一方、軍・治安部隊の市内複数地区の制圧のため砲撃で応戦した。

地元調整諸委員会によると、12人が殺害された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市、マンナグ村などが軍・治安部隊の砲撃に曝された。

またアアザーズ市での軍・治安部隊と反体制武装集団の交戦で、後者の戦闘員2人が死亡した。

地元調整諸委員会によると、7人が殺害された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のジャウラ・シヤーフ地区、カラービース地区、ハーリディーヤ地区で軍・治安部隊による砲撃が続いた。

地元調整諸委員会によると、4人が殺害された。

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イドリブ県では、地元調整諸委員会によると、2人が殺害された。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会はロシア外務省によるアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長招聘(7月10日訪問予定)を受けて声明を出し、従来通り「革命とシリア国民の要求」に沿って、アサド政権の打倒、自由シリア軍の支援、国連憲章第7章に基づく暴力停止のための国際社会の介入を要求し続けることを確認した。

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シリア人権監視団は声明を出し、2011年3月以降の死者数が17,129人に達したと発表した。

うち11,897人が民間人、884人が離反兵、軍・治安部隊兵士が4,348人だという。

同監視団は6月14日に死者総数を14,476人(10,117人が民間人、807人が離反兵、3,552人が軍・治安部隊兵士)と発表していた。

レバノンの動き

レバノン赤十字社など複数の消息筋によると、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方の違法国境通過ポイントで未明に銃撃戦があり、シリア人2人とレバノン人1人が死亡、レバノン人1人が負傷した。

レバノン国軍は声明を出し、シリア軍と武装集団の間で戦闘があり、迫撃砲複数発がレバノン領内に着弾、レバノン人が負傷したことを認めたうえで、「軍部隊は、銃撃戦が発生し、レバノン軍も応戦した地点での厳戒パトロールを行い、チェックポイントを設営した」と付言、銃撃戦に参加したことを明らかにした。

『サフィール』(6月11日付)によると、銃撃戦はシリア領内のシリア国境警備隊のチェックポイントを砲撃武装集団とシリア軍の間で行われた。

その際、シリア軍はレバノン領内から攻撃する武装集団に応戦、ワーディー・ハーリド地方のムカイブラ、ヒーシャに迫撃砲が着弾した。

**

一方、SANA(7月10日付)によると、ヒムス県タッルカラフ地方の対レバノン国境地帯複数カ所で国境警備隊が武装テロ集団の潜入を阻止した。

同通信社によると、武装テロ集団は、ジスル・カマール、ジスル・アブー・スワイド、ハルムーシュ、アルムータ、アリーダ、ヌーラー、ダーリヤにある国境警備隊の拠点を襲撃したが、国境警備隊が応戦、撃退したという。

この戦闘でテロリスト多数が死傷、また国境警備隊兵士1人が負傷した。

諸外国の動き

ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣は、シリア作業グループの第2回会合(シリア情勢をめぐる国際会議)のモスクワでの開催を呼びかけた。インテルファクス通信(7月10日付)が報じた。

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ヨルダン内閣は声明を出し、領内にシリア人避難民を受け入れるための緊急キャンプを設営することを決定したと発表した。

また国際移民機関(IOM)に、シリア在住の外国人を本国への帰国、ないしは第三国への移住を調整するためのオフィスの設置も認めた。

ヨルダンには現在、14万人のシリア人避難民が非難しているとされる。

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ロシア北方艦隊の大型対潜艦アドミラル・チャバネンコを旗艦とするロシア海軍の船団がセヴェロモルスク港を発ち、タルトゥース港に向かった。

AFP, July 10, 2012、Akhbar al-Sharq, July 10, 2012、al-Hayat, July 11, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 10, 2012、al-Manar, July 10, 2012、Naharnet.com,
July 10, 2012、Reuters, July 10, 2012、al-Safir, July 10, 2012、SANA, July 10, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アナン特使がアサド大統領と会談し反体制武装集団との協議に向けた提案をめぐって合意に達する、シリア民主フォーラムの使節団が露外相と会談し「アサド大統領の進退についてのみ議論すべきでない」との見解を伝える(2012年7月9日)

国内の主な動き

コフィ・アナン特使はダマスカスでアサド大統領と会談した。

会談後、アナン特使は、宿泊先のホテルで記者団に対して、反体制武装集団と協議する提案をめぐってアサド大統領と議論、合意に達したと述べた。

この提案の詳細については明らかにしなかった。

SANA, July 9, 2012
SANA, July 9, 2012

アナン特使は「アサド大統領と非常に建設的で率直な会談を行った…。我々は停戦の必要、停戦のための方法・手段を議論し、反体制武装集団と協議する案について合意に達した…。アサド大統領が合意した政治プロセスを前進させることが重要だ」と述べた。

イラン消息筋によると、ダマスカスを発ったアナン特使は、シリア作業グループへの参加を協議するため、イランに向かったという。

会談には、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、ジハード・マクディスィー外務在外居住省報道官が同席した。

SANA, July 9, 2012
SANA, July 9, 2012

国内の暴力

アレッポ県では、SANA(7月9日付)によると、ダーラト・イッザ市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、スブヒー・アブドゥルマジード・ラトゥーフ、アフマド・ジャワード・タクシュ、スブヒー・アフマド・ザンナ、アンマール・アトル・フラースィー、スブヒー・マージド・タクシュら多数のテロリスト多数を殺害した。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市内の複数カ所で、軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦、またブスターン・カスル地区では治安部隊を標的とした爆弾攻撃で兵士1人が殺害された。

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イドリブ県では、SANA(7月9日付)によると、アリーハー市で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、マーズィン・ジャッザール、ムハンマド・ファーウールら多数のテロリストを殺害した。

またトルコ国境から潜入を試みた武装テロ集団2人(ムハンマド・シャイフ・バックール、イブラーヒーム・バッルー)を逮捕した。

一方、シリア人権監視団によると、アリーハー市での砲撃で「市民」6人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(7月9日付)によると、ブスル・ハリール市で武装テロ集団が仕掛けようとしていた爆弾が爆発し、テロリストのムハンマド・ラフムーン、フサイン・ラフムーンが死亡した。

一方、タッル・シハーブ地方で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、後者の戦闘員1人が死亡した。

またシリア革命総合委員会によると、ラジャート高原で軍・治安部隊が激しい攻撃を加えた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、旧市街で軍・治安部隊が籠城する反体制武装集団に対して砲撃を加えた。

また同市スルターニーヤ地区、カフルアーヤー地方で両者が激しく交戦した。

このほか、ラスタン市でも軍・治安部隊が籠城する反体制武装集団に対して砲撃を加えた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区に治安部隊が突入し、反体制活動家の逮捕・捜索を行った。

同監視団によると、ダマスカス市街地の入り口にあるアッバースィーイーン地区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦したというが、真偽は定かでない。

また複数の活動家によるとマッザ区の首相府前の街道をデモ参加者が封鎖したというが、真偽は定かでない。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アドラー市で治安部隊が反体制活動家の逮捕・捜索を行った。

またカタナー市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、2人が死亡した。

このほか、サイイダ・ザイナブ町で大きな爆発があったとの情報もあるが、真偽は定かでない。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で、軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ラターミナ町で民間人(ハルファーヤー近郊で治安機関に拘束された民間人)の遺体が発見された。

また国内調整諸委員会によると、軍・治安部隊の戦車・装甲車多数がサリージーン村に入った。

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ハサカ県では、地元調整諸委員会によると、ハサカ市内の県庁近くで軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

反体制勢力の動き

シリア民主フォーラムの使節団がロシアを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

使節団はミシェル・キールー氏、サミール・アティーヤ氏、ハーズィム・ナハール氏の3人からなる。

会談冒頭でラブロフ外務大臣は、政治的解決に向けてシリアの反体制勢力との対話拡大と推し進める意思を示し、改めてすべての紛争当事者を一同に解した会議のモスクワでの開催を呼びかけた。

アティーヤ氏は『ハヤート』(7月10日付)に対して、シリア民主フォーラムがラブロフ外務大臣の呼びかけに歓迎の意思を示したとしたうえで、会議の日程は他の反体制勢力との会談を受けて決定されるだろうと述べた。

また外務大臣に対して、カイロでのシリア反体制勢力大会で(ほとんどの参加組織が)共同行動計画に合意したことを報告、安保理の常任理事国が平和的な問題解決に向けて合意するよう求めた。

一方、キールー氏は、ラブロフ外務大臣に対して、アサド大統領の進退のみを議論すべきでないと強調、「国の行方の方が個人の行方より重要だ」と述べた。

al-Hayat, July 10, 2012
al-Hayat, July 10, 2012

そのうえで「シリアでの暴力と破壊は、シリアとロシアに損害を与え、イスラエルと米国に利するものとなろう」と付言した。

その後、キールー氏は、会談に関して、ロシアの声放送(7月9日付)に「シリアは国際紛争の舞台となってしまった。我々は自らを民主的勢力とみなしており、シリアに安定をもたらすことがロシアの国益になると考えている」と述べた。

また離反したマナーフ・トゥラース准将に関しては、「シリアにおいて基本的な役割を果たすに相応しい人物だ」と述べた。

一方、ラブロフ外務大臣は、キールー氏との会談をめぐって「ロシアは、アナン特使の停戦案実施のためシリア政府と反体制諸勢力に積極的に働きかけている数少ない国の一つだ」と述べた。イタルタス通信(7月9日付)が報じた。

また「我々は、今日の会談(キールー氏との会談)がジュネーブでの合意の実施に向けたステップになることに賭けている」と付言した。

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シリア国民評議会は声明を出し、アナン特使のシリア訪問とアサド大統領との会談を「シリア人は特使の措置の根拠を見出せない」と非難、「シリア情勢に対処するための彼の案は成功していない」としたうえで、国際社会に対して国連憲章第7章に依拠した殺戮停止のための早急な行動を求めた。

**

空軍情報部で特殊作戦課長事務局を務めていたという離反兵アーファーク・アフマド氏(アラウィー派)は逃走先のヨルダンで『ハヤート』(7月10日付)の取材に答え、「離反がとりわけ上級士官の間でこれまでにないほど広がっており…、国内情勢は自由シリア軍に有利になっている」と述べた。

アフマド氏はまた、軍・治安部隊(総員約450万人)のうち10万人が離反したと豪語、これに対してシャッビーハは2万5000人以上が月額500ドルで雇われていると断じた。

**

アラブ民主人民党(旧シリア共産党政治局)が声明を出し、西側諸国やアラブ連盟による反体制勢力糾合の試みが、革命の成否に関わりのない問題だと指摘、その根拠として、シリアの反体制勢力がそもそも分裂した状態で活動してきたこと、そして政権に与する反体制組織が存在することをあげた。

**

BBC(7月9日付)は、マナーフ・トゥラース准将に近い消息筋の話として、同准将がシリアから逃走する前に、シリア情勢について激怒し、政府が国を破壊し尽くしたと非難していた、と報じた。

レバノンの動き

アドナーン・マンスール内務地方自治大臣は、ワーディー・ハーリド地方に対するシリア領からの砲撃によって2人が死亡した事件に関して、「意図的でない過ち」とみなし、外交チャンネルを通じてシリアに再発防止を求める方針だと述べた。

諸外国の動き

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は在外ロシア大使との会合で、シリアにおいて「リビア・シナリオを繰り返さないよう行動する」よう呼びかけた。

そのうえで、シリアのすべての当事者に対して、平和的政治解決を求めた。

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ロシア軍事協力委員会副議長は英国での軍事航空ショーで記者団に対して、「シリア情勢が不安定である限り、ロシアは新たな武器を供与しないだろう」と述べた。

インテルファクス通信(7月9日付)が報じた。

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ロイター通信(7月9日付)によると、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、「永遠の為政者などいない。シリア国民は2014年の選挙で指導者を選ばねばならない」と述べた。

AFP, July 9, 2012、Akhbar al-Sharq, July 9, 2012、BBC, July 9, 2012、al-Hayat, July 10, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 9, 2012、Naharnet.com, July 9, 2012、Reuters,
July 9, 2012、SANA, July 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がドイツのチャンネルによるインタビューに応え「テロリスト」を支援する各当事者を改めて非難、ヒムス県クサイル市、ラスタン市および両市周辺で軍・治安部隊が奪還作戦を本格化(2012年7月8日)

国内での主な動き

ドイツのARDテレビ(7月8日付)はアサド大統領との単独インタビューを行った。

インタビューでのアサド大統領の発言の概要は以下の通り。

SANA, July 8, 2012
SANA, July 8, 2012

「彼ら(米国人)はこの紛争においてバイアスのかかった当事者であり、悪党を保護し、政治的に支援し、シリアの安定を揺るがそうとしている」。

「テロリストに何らかの支援を行う者は、武器供与であれ、資金援助であれ、政治的支援であれ、支援を続ける限り、テロリストのパートナーだ」。

「我々はいかなる当事者に対しても門戸を閉ざすことはない。それがいかなる国、いかなる首脳であっても、シリアの問題に対処するための支援を真剣かつ誠実に望むのであれば」。

「大統領は挑戦に直面する際に逃げてはいけない。我々は今日、国民的な挑戦に直面している」。

「シリア国民は選挙を通じて対応せねばならない…。この支持(6月の人民議会選挙でのバアス党の勝利)の規模や程度がどの程度なのかの数字は手元にはないが、それが問題なのではない」。

「民間人を殺害する勢力が誰なのかを知りたいのなら、何よりも先ず、その多くが政府支持者であった犠牲者を誰が殺したのかを知らなければならない…。(ハウラ地方での虐殺は)外部から何百人という集団がやって来て起きた」。

「(反体制勢力は)アル=カーイダなどの過激派、法律違反者などからなっている」。

「(反体制勢力との)対話は戦略的選択肢であり、テロが続き、対話が結果をなさない限り、テロとの戦いは不可避であり、国民と軍が殺されている限り、対話の継続はあり得ない」。

「(アナン特使の)停戦案は失敗してならない。今のところ困難な活動ではあるが、優れた活動でもある」。

このほか、アサド大統領は、リビアのカッザーフィー政権崩壊と殺害に関して、「蛮行」、「犯罪」と非難、「彼がいかなる人間だったとしても、リビアで起きたこと、そしてあのようなかたちで人が殺されることを受け入れられる者など世界にはいない」と述べた。

http://www.ardmediathek.de/das-erste/weltspiegel/syrien-exklusiv-gespraech-mit-syriens-praesident-assad?documentId=11073186

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アサド大統領は2012年政令第241号を発令し、アレッポ大学第2機械工学部をイドリブ県イドリブ市に、バアス大学第2医学部をハマー県ハマー市に新設することを定めた。

国内の暴力

ヒムス県ではシリア人権監視団によると、クサイル市、ラスタン市および両市周辺で軍・治安部隊が奪還作戦を本格化、反体制武装集団が激しく交戦した。

またカルアト・ヒスン市では、反体制武装集団の戦闘員3人が殺害され、ヒムス市では4日前に逮捕された民間人の遺体が発見された。

一方SANA(7月8日付)によると、クサイル市および郊外で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、「ハーリド・シャバーブ」を名のる戦闘員ら多数のテロリストを殺害した。

タッルカラフ市および郊外でも、軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、ハイサム・マルイー、ハーリド・ズィヤード・サファル、ウダイ・ジャマール・サファルら多数のテロリストを殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、タービーヤ市に対する砲撃で子供2人が死亡し、マヤーディーン市でも砲撃で2人が死亡した。

一方、SANA(7月8日付)によると、武装テロ集団がムーハサン市を襲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、マアルバ町、フラーク市、アトマーン村で軍・治安部隊と反体制武装組織が交戦し、民間人5人と反体制武装集団戦闘員1人が死亡した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、トゥワイニー村での軍・治安部隊と反体制武装組織との交戦で6人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ズィヤービーヤ町で女性1人が射殺された。

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イドリブ県では、フバイト村での「攻撃ヘリによる攻撃」で子供1人が死亡、またハーン・シャ・シャイフーン市では反体制武装集団の戦闘員2人が軍・治安部隊によって処刑された。

一方、SANA(7月8日付)によると、治安維持部隊がジスル・シュグール地方のトルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を殺害した。

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ダマスカス県では、SANA(7月8日付)によると、ジャウバル区で武装テロ集団が歯科医師を暗殺した。

またジュダイダト・アルトゥーズ町では武装テロ集団が市民を襲撃し、子供1人を含む2人を殺害した。

反体制勢力の動き

『クッルナー・シュラカー』(7月8日付)は、政治治安部のハマー支部長のワリード・アバーザ准将が離反したと報じた。真偽は定かでない。

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『クッルナー・シュラカー』(7月8日付)は、ダマスカス県の旧市街など各地でゼネストが断行され、商店が閉められた、と報じた。

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長は、シリア情勢に関して、国連が「集団行動」をもって対処すべきだと述べるとともに、アサド政権と反体制勢力の双方に対してアナン特使の停戦案の履行を改めて求めた。

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アナン特使は自身の停戦案の再活性化のため、シリアを訪問し、アサド大統領と会談した。

アフマド・ファウズィー同特使付報道官が明らかにした。

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UNSMISスポークスマンはRT(6月8日付)に対して、UNSMISはシリア国内の暴力の軽減に寄与している、と述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、東京での記者会見で、早急に暴力を終わらせ、政治的転換プロセスを始めることができれば、死者数が減るだけでなく、シリアだけでなく地域全体を危機に曝すような「壊滅的攻撃」からシリアを救うことができる、と実のない脅迫を行った。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、シリア情勢に関して、「アナン特使に複数の提案を行った」としたうえで、イランが「シリアの問題解決の一部になれるだろう」と述べた。

またアサド大統領の排除に関して「冗談」じみていると一蹴し、「シリアへの軍事介入は不可能だ。そんなことを起きたら、それはバカなステップだ。シリアはイランの支援なしに独自に自衛できるし、非政治的解決は地域全体に災難をもたらす」と付言した。

AFP, July 8, 2012、ARD, July 8, 2012、Akhbar al-Sharq, July 8, 2012、al-Hayat, July 9, 2012, July 10, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 8, 2012、Naharnet.com,
July 8, 2012、Reuters, July 8, 2012, July 11, 2012、SANA, July 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアの陸海空軍が合同演習を開始する一方、アレッポ県では軍・治安部隊と反体制武装集団が激しく交戦(2012年7月7日)

国内の主な動き

SANA(7月7日付)は、シリアの陸海空軍は合同演習を開始したと発表した。

合同演習は数日間の予定で、奇襲攻撃への対応が訓練されるという。

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フランスのテレビ局France 2の番組にパリ滞在中のムスタファー・トゥラース元国防大臣が電話出演した。

『クッルナー・シュラカー』(7月7日付)によると、電話出演でトゥラース元国防大臣は、「2ヵ月前に…あなたは雑談でバッシャール・アサドは私の息子だと言いましたが・・・」ジャーナリストのジョルジュ・マルブルノ氏と言葉に対して、「ああ、そう言った。また話が雑談でインタビューじゃないとも言った。なぜなら、あらゆる国が私に連絡してきて、反体制的な立場を表明させようとするから、(インタビューは)断ったはずだ」と述べた。

また「私の息子(マナーフ准将)がフランスに到着したと言われているが、彼は私に連絡してきていない」と続けた。

さらに「シリア軍の終わりのカウントダウンが始まったのですか?」とのマルブルノ氏の質問に対しては、「ジョルジュ、あなたはバカか?50年前に発足した軍の話をしているのだろ。うちの息子や誰かが抜けただけで潰れるボーイスカウトの話じゃなくて」と反論した。

アサド大統領を今も支持しているかとの問いについては、「彼は一国の大統領で、私が彼に忠誠を尽くしているかどうかは問題じゃない」と突っぱねた。

トゥラース元国防大臣は、番組に出演していた反体制活動家のラマー・アタースィー女史が発言しようとした際、「戯れ言を言っているより自分の子供に乳でも与えていろ」と遮る一幕もあった。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市で軍・治安部隊と反体制武装集団が激しく交戦し、前者の兵士5人、後者の戦闘員2人、民間人1人が死亡した。

一方、SANA(7月7日付)によると、アアザーズ地方で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、アナス・イスマーイール・ハムドゥーシュ、イスマーイール・ファルーフ・ファンディー、イスマーイール・アブドゥルマジード、アフマド・ナーフィフ・カンヌー、フサイン・ヌアイミー、ヒラール・ハサン・ハマーディー、アフマド・ナッジャール、マフムード・ハティーブらテロリスト多数を殺害した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区で治安部隊が1人を射殺した。

またバルザ区でも治安維持部隊の逮捕・摘発活動が行われ、1人が殺害された。

反体制活動家によるとバルザ区を含む複数地区で反体制のゼネストが実施されたというが、事実は確認できない。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、アトマーン村で1人が死亡した。

またラジャート高原に対して砲撃が加えられ、ダーイル町、シャイフ・マスキーン市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で1人が殺害された。

一方、SANA(7月7日付)によると、ダイル・ザウル市で、治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、ウマル・トゥウマ、クサイ・アブドゥルマジード・アーニーらテロリスト多数を殺害した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、クバイバート村で3人が殺害された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ジスル・シュグール市近くのバシーリーヤ村で1人が殺害された。

またイドリブ市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦したという。

一方、SANA(7月7日付)によると、治安維持部隊は対トルコ国境からの潜入を試みた武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を殺害した。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区などへの砲撃が続いた。

またシリア人権監視団によると、クサイル市郊外、タルビーサ市に対して、軍・治安部隊が激しい攻撃を加えた。

一方、SANA(7月7日付)によると、治安維持部隊はクサイル地方の対レバノン国境から潜入を試みた武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を殺害した。

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ダルアー県では、SANA(7月7日付)によると、シャイフ・ミスキーン市で治安維持部隊が武装テロ集団のアジトを攻撃し、テロリスト多数を殺害した。

反体制勢力の動き

7月6日(金曜日)の金曜礼拝後の反体制勢力のデモの呼びかけが不調に終わったのを取り繕うかのように、反体制活動家は、各地の「革命家」との連帯を訴えるためのゼネストを呼びかけた。

AKI(7月7日付)は、反体制活動家が「二都の土曜日」と銘打って、7月7日と8日の2日間にダマスカス県とアレッポ市などでゼネストを呼びかけ、両市で多くの商店が店を閉めたと報じたが、事実は確認できない。

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自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、ヒムス県ハウラ地方での虐殺に関与した第67旅団の基地(ハスヤー)を襲撃し、壊滅的打撃を与えたと発表した。

同旅団が虐殺に関与したか否かは定かではなく、また壊滅的打撃を与えたか否かも定かでない。

レバノンの動き

NNA(7月7日付)によると、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方のシリア人避難民キャンプや村落(ヒーシャ、カルハ)にシリア領内からロケット弾が20発以上が撃ち込まれ、シリア人2人を含む3人が死亡、7人が負傷した。

諸外国の動き

ロシア外務省報道官は、シリアの友連絡グループの会合に関して「ロシア、中国、そして多くの国々は…、これらの「友」と一丸となることを控えている。なぜなら我々はこの一方的な枠組みが政治だけでなく道徳にもとると考えているからだ」と批判した。

AFP, July 7, 2012、Akhbar al-Sharq, July 7, 2012、AKI, July 7, 2012、al-Hayat, July 8, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 7, 2012、Naharnet.com, July 7, 2012、NNA, July 7, 2012、Reuters, July 7, 2012、SANA, July 7, 2012、UPI, July 7, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

パリで開かれたシリアの友連絡グループ会合で仏大統領および米国務長官がロシアによるアサド政権支援を非難する一方、軍・治安部隊がイドリブ県ラターミナ町を制圧(2012年7月6日)

シリアの友連絡グループ会合

パリでシリアの友連絡グループの会合が開かれ、西側諸国、湾岸諸国、国際機関の代表など107国・団体の代表が参加し、フランソワ・オランド仏大統領やヒラリー・クリントン米国務長官が、ロシアと中国によるアサド政権支援を非難し、自国の無能を取り繕おうとした。

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オランド大統領は、ジュネーブ会議の合意が「正しい方向へのステップだが、完全に満足のいくものではない」としたうえで、シリアの危機が国際の安定と平和を脅かしていると指摘、反体制勢力への全面支援を訴え、自らの発言とは裏腹に危機をさらに煽った。

またロシアと中国に関しては、「政権打倒が混乱をもたらすと恐れている者は、この体制が混乱と不安定化をもたらしていることを直視せねばならない」と述べた。

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クリントン国務長官は、ロシアと中国にアサド政権支持を止め、シリアの友連絡グループに参加し、政権支持の代表を払うべきだ、と述べた。

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サウジアラビアのアブドゥルアズィーズ・ビン・アブドゥッラー外務副大臣は、国連憲章第7章に依拠してアナン特使の停戦案履行をめざすべきだと主張した。

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在外の反体制勢力の一つ、シリア国民評議会はアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長が代表として参加した。

スィーダー事務局長は、アサド政権が徐々に支配力を失っているとの見方を示したうえで、飛行禁止空域や人道回廊の設置を通じた軍事介入を求める一方、国連憲章第7章に基づいた制裁発動を呼びかけた。

また「アラウィー派の同胞に対して、彼らが国民の一部で、我々が彼らを差別することはないと言いたい」と敢えて述べ、国内の宗派主義的な亀裂を強調した。

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参加国は閉幕時に声明を発表した。その内容の骨子は以下の通り:

1. 移行プロセスの信頼を損ねる人物を排除する必要、アサド大統領退任の必要を確認。
2. 反体制勢力の相互間および外国との通信手段確保を支援。
3. シリア国民への支援と、人道に対する罪など、一連の権利侵害の責任者の処罰のための情報収集。
4. 国連憲章第7章第41条に依拠したシリア政府への制裁決議の採択を安保理に要求。

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次回はモロッコが会合を主催する予定。

マナーフ・トゥラース准将の逃走

「アフバール・シャルク」(7月6日付)はシリア政府に近い消息筋の話として、トゥラース准将はラスタン地方、ダルアー県での反体制勢力との和解交渉を担当していたが、成果が上げられず、数ヶ月前に軍務を離れ、ダマスカスで「軍服を脱ぎ、私服をまとい、髭と髪を伸ばして」暮らしていた、という。

al-Hayat, July 8, 2012
al-Hayat, July 8, 2012

別の消息筋によると、トゥラース准将は今年2~3月のヒムス市バーブ・アムル地区制圧に際して、同地区攻撃部隊の指揮を拒否し、政府との関係が悪化、自宅軟禁状態にあった、という。

また同消息筋によると、トゥラース准将は少将への昇進をアサド大統領に願い出たが拒否され、立腹していた。

なおトゥラース准将のおじのアブドゥッラッザーク・トゥラース氏は自由シリア軍のファールーク大隊の司令官として国内で反体制武装闘争を指導している。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣はシリアの友連絡グループでの会合で記者団に対して「彼はパリに向かっている」と述べ、シリア国内から逃走したマナーフ・トゥラース准将がフランスに向かっていることを明らかにした。

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米国防総省報道官は、マナーフ・トゥラース准将の離反に関して、「この離反を歓迎し、重要な出来事だとみなす」と述べた。

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シリア国民評議会はアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、マナーフ・トゥラース准将の離反をアサド政権への「大きな打撃」だとしたうえで、同准将と「協力」する移行を示した。

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マナーフ・トゥラース准将はAFP(7月6日付)に対してメールを送り、自身がシリア国外に逃走した事実を認めた。

メール全文は以下の通り。

حفاظا على مبادئي العسكرية وعلى حبي للوطن، لقد حاولت دائما القيام بواجبي حرصا على الحفاظ على وحدة الوطن والشعب طبقا لما يمليه ضميري علي. لم أدخل المؤسسة العسكرية مؤمنا يوما… أنني أرى هذا الجيش يواجه شعبه، وخاصة أن الحل السياسي لم يستنزف بعد.

ويجدر بالذكر أن سبب امتناعي عن تأدية مها مي ومسؤولياتي داخل الجيش يكمن في أنني لم أوافق إطلاقا على سير العمليات الإجرامية والعنف الغير مبرر الذي سار عليه نظام الأسد منذ أشهر عديدة.

فاليوم أدعو زملائي العسكريين مهما تكن رتبهم والذين ينجرون في قتال ضد شعبهم ومبادئهم إلى عدم تأييد هذا المصار المنحرف. وأقر بشرعية النضال الذي تقوده المعارضة وخاصة

على الأرض. وأشكر كل من مكنوني من مغادرة الأراضي السورية التي أصبحت فيها حياتي وحياة أقاربي مهددة وفي خطر. وبعد أيام قليلة سأتكلم بشكل مفصل عن دوافعي وخطواتي نحو المستقبل.

عاشت سوريا أرضا وشعبا !

العميد مناف طلاس

国内の暴力

イドリブ県では、反体制武装集団戦闘員のアブー・ハマームなる活動家は、自由シリア軍が弾薬を使い果たし、ラターミナ町から撤退し、軍・治安部隊が同市を制圧したと語った。

また反体制活動家によると、軍・治安部隊はヘリコプターなどを動員し、ハーン・シャイフーン市の反体制武装集団を掃討、同市を制圧した。

一方、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン地方で反対武装集団が軍の兵員輸送車を爆破し、8人を殺害した。

他方、SANA(7月6日付)によると、アリーハ市郊外で軍・治安部隊と武装テロ集団が交戦し、ムハンマド・アブドゥルカーディル・ハリーマ、ジュムア・ザーヒル、ハーニー・ザーヒルらを含むテロリスト多数が死亡した。

またハーン・シャイフーン市では治安維持部隊が掃討作戦を行った。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カフルスーサ区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

また軍・治安部隊は市内中心地のサーリヒーヤ区で逮捕・摘発活動を行った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市での砲撃で、1人が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナワー市での砲撃で、5人が死亡した。

この砲撃に関して、ハウラーン調整の報道官を名のるルワイユ・ラシュダーンなる活動家によると、自由シリア軍が市内の軍事情報局のビルを襲撃したことの報復として、軍・治安部隊が砲撃を加えた、という。

一方、SANA(7月6日付)によると、ナワー市にある武装テロ集団のアジトを治安維持部隊が攻撃し、テロリストのフサイン・ヤースィーン・ディヤーを殺害した。

攻撃では治安維持部隊兵士2人も負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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アレッポ県では、アレッポ・トルコ街道で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍・治安部隊兵士6人が殺害された。

またシリア革命総合委員会によると、フライターン市で軍・治安部隊の掃討作戦が続いた。

一方、『ザマーン・ワスル』(7月6日付)は、自由シリア軍がアレッポ県アアザーズ市でロシア人の狙撃主を身柄拘束したと報じた。真偽は定かでない。

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ヒムス県では、地元調整所為委員会によると、ヒムス市クスール地区、ジャウバル区、スライマーニーヤ地区などで砲撃が続いた。

一方、SANA(7月6日付)によると、クサイル市近郊のアクラビーヤ市、ラブラ町、ナザーリーヤ市で軍・治安部隊と武装テロ集団が交戦し、テロリスト多数が死亡、大量の武器弾薬が押収された。

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スワイダー県では、『クッルナー・シュラカー』(7月10日付)は、スワイダー市で反体制活動家2人の葬儀が行われ、会葬者数千人がその後反体制デモを行ったと報じた。

デモに対して、政治治安部は催涙弾などを使用して強制排除、市民約50人を逮捕した。

反体制勢力の動き

反体制活動家はフェイスブックなどを通じて「人民解放戦争」と銘打って反体制デモを呼びかけた。

しかし金曜礼拝後の反体制デモはこれまでになく低調で、アラブの主要メディアはほとんど報じなかった。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、パリでのシリアの友連絡グループを「ロシアと中国の拒否権によってもたらされた安保理の機能不全に対処する動き」だと高く評価した。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は「ロシアはシリアのあれこれの政治ボスを支援する事には関心はなく、政府と反体制勢力の代表どうしの不可欠な対話がなされることに関心がある」と述べた。

イタルタス通信(7月6日付)が報じた。

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国連総会で、米国とトルコが提出したシリア非難決議が41カ国の賛成で採択された。

ロシア、中国は決議案に反対、ウガンダ、フィリピン、インドは棄権した。

決議は、シリア国内での人権侵害、シャッビーハによる犯罪、政府の民間人に対する「無差別」な弾圧を非難、すべての当事者に暴力停止を求めている。

またアナン特使の停戦案実行を妨げる障害だと非難している。

採択に際して、ロシアは「シリア国内でのテロ活動を強く非難する」との文言の追加修正を求めたが、47カ国がこれを拒否した。

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国連人道問題調整室(OCHA)は、シリア国内の暴力によって国外避難民が急増し、その数は10万3000人に達したと発表した。

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アナン特使は『ル・モンド』(7月6日付)に対して、「この危機は16ヵ月間続いているが、私の介入は3ヵ月前に始まった。この状況を平和的・政治的に解決するため最大限の努力を払ってきたが、まだ成功していない。また我々が成功する保障もない」と述べた。

またアナン特使は『ガーディアン』(7月6日付)に対して、「ロシア、西側、アラブ諸国が破壊的な対立を止め、発砲を停止させ、政治プロセスを開始させなければ、シリアは内戦に向かうだろう」と述べた。

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トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)のヤイラダーイ市にあるシリア人避難民キャンプで火災が発生し、2人が死亡、2人がやけどを負った。

AFP, July 6, 2012、Akhbar al-Sharq, July 6, 2012、The Guardian, July 6, 2012、al-Hayat, July 7, 2012, July 10, 2012、Kull-na Shuraka, July 6, 2012、Le Monde, July 6, 2012、Naharnet.com, July 6, 2012、Reuters, July 6, 2012、SANA, July 6, 2012、Zaman al-Wasl, July 6, 2012などをもとに作成。

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共和国護衛隊のマナーフ・トゥラース准将が離反、アラブ連盟事務局長はシリア危機がアナン特使のイニシアチブに則って平和的に解決されるべきとの見解を示す(2012年7月5日)

国内の主な動き

親政府系のSyria Steps(7月5日付)は、治安当局高官の話として、共和国護衛隊のマナーフ・トゥラース准将(第105旅団長)が離反し、トルコに逃走した、と報じた。

Kull-na Shuraka', July 5, 2012
Kull-na Shuraka’, July 5, 2012

トゥラース准将はアサド大統領の親しい「学友」の一人で、父はハーフィズ・アサド前大統領の「盟友」だったムスタファー・トゥラース元国防大臣。

トゥラース家はヒムス県ラスタン市の出身。

同治安当局高官によると、「シリアのムハーバラートは彼を身柄拘束しようと思えばできた。彼の逃走は、シリアのムハーバラートが彼が外国と接触し、シリア国内のテロ活動を指揮しているとの充分な情報を得たあとの出来事で…、彼の脱走はまったく影響はない」。

イフバーリーヤ・チャンネル(7月5日付)によると、トゥラース准将は最近、共和国護衛隊の任務を解かれ、アサド大統領も任務の遂行・介入を行わないよう命令していた、という。

『ハヤート』(7月6日付)によると、マナーフ准将の家族、ムスタファー・トゥラース元国防大臣、ビジネスマンの兄フィラース・トゥラース氏、そしてその家族はみなパリに滞在中だという。

なお兄のフィラース氏もまた7月2日のフェイスブックの書き込みで、離反を示唆していた。

「シリアは、一定仕組みによる国際的な監視のもとに選ばれる国民制憲協会の設置に向かって進んでいる。これこそが目的だ。その実現の方法は平和的な政治運動各派と軍事化した各派の統合であり、組織された単一の勢力を創出することだ。そのとき、国際社会が危機を終わらせるために支援すべるため、いかに声をあげるかが分かるだろう。これを実現するため行動しなければならない」と綴っていた。

**

アリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣(シリア民族社会党インティファーダ派)はヒムス県タッルカラフ地方の和解委員会が主催した国民対話会合に出席し、和解に向けた対話への参加を呼びかけた。

SANA(7月5日付)が報じた。

国内の暴力

ダイル・ザウル県では、SANA(7月5日付)によると、ダイル・ザウル市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト側に大きな損害を与えた。

SANA, July 5, 2012
SANA, July 5, 2012

一方、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市、シュハイル市が軍・治安部隊の砲撃に曝された。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市郊外のブワイダ村で民間人2人が親政府の武装集団に誘拐、殺害された。

またヒムス市のジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区などが砲撃にさらされた。

一方、SANA(7月5日付)によると、クサイル市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦した。

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ハマー県では、SANA(7月5日付)によると、ムーア村で電力公社のアブドゥッラー・アブー・ガーニム設備管理局長が乗った車が武装テロ集団によって襲撃され、同局長が暗殺され、車に同乗していた1人が負傷した。

一方、ハマー県では、シリア人権監視団によると、ラターミナ町が軍・治安部隊の砲撃に曝された。

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アレッポ県では、シリア正教会アレッポ司教区が声明を出し、アレッポ市スライマーニーヤ地区の司教区に隣接するビルに武装集団が押し入り、シリア軍の准将を誘拐した、と発表した。

一方、シリア人権監視団によると、アレッポ市のシャッアール地区、マイダーン地区、アアダミーヤ地区で、治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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スワイダー県では、『クッルナー・シュラカー』(7月5日付)によると、スワイダー市フルサーン広場で爆発があり、反体制活動家マイーン・ラドワーン氏が死亡した。

この事件事件に関して、シリア人権監視団は、スワイダー市で爆発があり、「市民」1人が死亡したと発表した。

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イドリブ県では、反体制活動家(アブー・ガイス・ハーニー氏)によると、軍・治安部隊がハーン・シャイフーン市内に突入し、家や農地を焼き討ちにした、という。

同活動家によると、住民の80%はすでに避難し、また反体制武装集団は未明の戦闘で大きな損害を受けた、という。

別の活動家らによると、同市には戦車、装甲車約100両が突入し、砲撃を加えた、という。

またシリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市が砲撃に曝され、6人が殺害された。

このほか、ビンニシュ市、カフルアウク市、ジスル・シュグール市では夜間デモが発生した、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カナーキル村、カタナー市に軍・治安部隊が突入し、カタナー市で反体制武装集団戦闘員を殺害した。

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タドムル県では、シリア人権監視団によると、タドムル市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市郊外で反体制武装集団の指導者1人が殺害された。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ラタキア市3月8日通りで爆弾が爆発し、多数が負傷した。

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AFP(7月5日付)は、複数の反体制活動家の話として、国外で集められた医療物資が密かに国内に搬入された、と報じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣とモスクワで会談した。

Kull-na Shuraka', July 5, 2012
Kull-na Shuraka’, July 5, 2012

会談後、ラブロフ外務大臣は、6月1日にドイツを訪問した際、ドイツのアンゲラ・メルケル首相がアサド大統領の政治亡命を受け入れるようロシアに要請していたことを明かし、「ユーモアだと思った。私は彼女にユーモアを込めてこう返答した。あなた方ドイツ人が私たちの代わりにアサド氏を受け入れたらどうですか」と述べた。

ラブロフ外務大臣によると、話題は楽しい雰囲気のなかで終わったという。

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イラクのホシュヤール・ゼバリ外務大臣は、外務省での記者会見で、「個人的には、イエメン…モデルはシリアでは成功しないと思う。なぜなら、イエメン問題ではそうしたモデルを擁護する者がいたが、シリアではそのようなことを擁護する者はいないからだ」と述べた。

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アラブ連盟のアフマド・ベン・ヒッリー事務次長は記者会見で、シリア反体制勢力大会において「軍事的解決が適切だと考える一部アラブ諸国と一部反体制勢力がいたが、これは彼らの立場であって、アラブ連盟の立場ではない」と否定、アナン特使のイニシアチブに沿って平和的に解決されるべきだとの見解を示した。

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ロバート・ムードUNSMIS司令官はダマスカスで記者会見を開き、「現地に展開する監視団の統合を来週中に行い…、シリア国民のニーズや要求により適切に応えるべく組織改編・調整を継続するだろう」と述べた。

またUNSMISの武装化の是非に関して、「監視団の武装は良い選択肢ではない…。武器を持たずに来たことで、シリア国民から歓待され…、これが監視団を守ってきた…。銃を持っていれば、状況はまったく異なってしまうだろう」と述べた。

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トルコ軍は、シリア軍が撃墜した空軍機のパイロット2人の遺体を回収した、と発表した。

遺体はシリア海岸沖8.6キロ、推進1,260メートルの地点から回収された。

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ウィキリークスは、2006年8月から2012年3月までにシリア政府高官が送受信したメール248万4899通を公開するとの声明を出した。

http://wikileaks.org/syria-files/
http://wikileaks.org/syria-files/releases.html

AFP, July 5, 2012、Akhbar al-Sharq, July 5, 2012、al-Hayat, July 6, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 5, 2012、Naharnet.com, July 5, 2012、Reuters,
July 5, 2012、SANA, July 5, 2012、Syria Steps, July 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県、アレッポ県、ハサカ県などで激しい戦闘が続くなか、アサド大統領が各県のワクフ管理者らからなる使節団と会談(2012年7月4日)

国内の主な動き

アサド大統領は各県のワクフ管理者らからなる使節団と会談した。

SANA(7月4日付)によると、会談で、アサド大統領は「宗教関係者が果たす建設的愛国的な役割は、とりわけ現下のシリアの例外的状況のもと」で重要だと賞賛した。

SANA, July 4, 2012
SANA, July 4, 2012

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ロイター通信(7月4日付)は、ヒムス市出身のシャッビーハらの証言などをもとに、同市ザフラー地区などの若者(アラウィー派)が、シャッビーハに参加し、軍や治安機関の命令を受けず(ときには拒否して)、反体制運動の弾圧にあたっている、と報じた。

こうした「新たなシャッビーハ」の数は数百人に及び、なかには10代半ばの少年もおり、従来の犯罪集団には属していないという。

同報道によると、シャッビーハはアサド大統領への忠誠が強い一方、軍指導部を「ネズミ」と卑下し、「誰からの命令も受けず自発的に活動している」という。

しかし別の証言によると、シャッビーハは自発的に活動しているのではなく、治安機関(総合情報部内務治安局)の要請のもとに活動している。

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「アフバール・シャルク」(7月4日付)は、シリア国内のプロパンガスの価格が2011年3月時の10倍以上に高騰している、と報じた。

同報道によると、2012年初め、シリア政府はプロパンガスの価格を1ボンベあたり60シリア・ポンドから400ポンドに値上げしたが、闇市場では1,400~2,000ポンドで売られている、という。

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AKI(7月4日付)は、シリアの反体制勢力筋の話として、ハサカ県の住民が地域の治安・政治・行政の混乱に備え、「市民平和保護人民イニシアチブ」と称するNGOを結成した、と報じた。

また同県カーミシュリー市のキリスト教会委員会が、「社会関係評議会」を設置し、反体制運動支援の方途の検討を本格化させた、と報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、『クッルナー・シュラカー』(7月4日付)によると、サイイダ・ザイナブ町で反体制武装集団が軍事情報局のフサーム・サブーウ大尉が乗った自動車を襲撃、同大尉と同乗していた「シャッビーハ」の「アブー・ハイダル」を暗殺した。

またシリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ハムーリーヤ市で治安部隊の発砲で3人が死亡した。

さらに地元調整諸委員会によると、ミスラーバー市が軍・治安部隊の「無差別砲撃」に曝され、シリア革命総合委員会によると、リーハーン農場、ハムーリーヤ市、サクバー市、ハラスター市などが軍・治安部隊の砲撃に曝された。

一方、SANA(6月4日付)によると、ナブク市でムハンマド・ハイイル・ザグルール判事が誘拐された。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月4日付)によると、武装テロ集団がハサカ県とをつなぐ高圧電線を破壊した。

またマヤーディーン市では、治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、テロリスト多数が殺害された。

一方、シリア人権監視団によると、バーグール市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍の兵士1人と反体制武装組織の戦闘員1人が殺害された。

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アレッポ県では、SANA(6月4日付)によると、アアザーズ市で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、テロリスト多数が殺害された。

一方、シリア人権監視団によると、クルド山一帯で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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ヒムス県では、SANA(6月4日付)によると、タッルカラフ地方のレバノン国境に位置するマアーキール村近くで関係当局が潜入を試みる武装テロ集団と交戦し、撃退した。

同報道によると、武装テロ集団は大量の麻薬を放棄して逃走した、という。

一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区での砲撃で2人が死亡した。

また調整諸委員会やシリア革命総合委員会によると同市ジャウラト・シヤーフ地区なども軍・治安部隊の砲撃があった。

さらにシリア人権監視団によると、タルビーサ市が軍・治安部隊の激しい砲撃に曝された。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、マイダーン地区で治安部隊の発砲で1人が死亡した。

また地元調整諸委員会によると、ジャウバル区で激しい発砲があった。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ムサイフラ町に対する軍・治安部隊の砲撃で子供2人が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市で軍・治安部隊の要撃により4人が、ハーン・シャイフーン市では砲撃で2人が死亡した。

シリア革命総合委員会によると、ザーウィヤ山で軍・治安部隊による砲撃が続いた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市で反体制武装集団兵士2人が殺害され、シーラーズ村でも軍・治安部隊の砲撃で1人が死亡した。

反体制勢力の動き

シリア・クルド国民評議会は声明を出し、PKK系の民主統一党がハサカ県のアフリーン市、アイン・アラブ市、アームーダー市などで下部組織のメンバーを武装させ、検問所などを設置、実効支配を強める一方、民間人の拘束や民家の捜索などを行っている、と非難した。

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AFP(6月4日付)によると、シリア軍の上級士官が部下の士官2人とともに離反し、トルコ領内に非難した。

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ダマスカス県およびダマスカス郊外県で活動すると見られる調整(タンスィーキーヤ)約20団体が共同声明を出し、「ダマスカス炎上2」と銘打って7月6日に両県内各地の50の幹線道路でタイヤなどを燃やし、道路封鎖を行うと宣言した。

レバノンの動き

ミシェル・スライマーン大統領は、自由シリア軍がレバノン国内に軍事キャンプを設営しているとのスライマーン・フランジーヤ議員(マラダ潮流代表)の発言に関して、「そのような情報は得ていない」と否定した。

フランジーヤ議員は「北部県に自由シリア軍が5つの軍事キャンプを設営した」と発言していた。

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NNA(7月4日付)によると、北部県アッカール郡の対シリア国境に位置するアリーダ村で、シリア領内からの発砲で負傷した。

諸外国の動き

ロバート・ムードUNSMIS司令官は、ダマスカスのホテルで記者会見を開き、シリア作業グループ会合に監視して、「豪華なホテルで多くの言葉が交わされた…が、シリアでの暴力停止のための行動のレベルで達成されたのはほんのわずかだ」と非難した。

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インテルファクス通信(6月4日付)は、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官が「モスクワは米国とシリア大統領の将来に関して協議しない…。我々は何度も我々の立場を説明してきた。シリアでの権力をめぐる問題はシリア国民が決する、と」と述べたと報じた。

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中国外交部報道官は、「中国は現在、シリア作業グループの声明の実施が火急の課題だと考える」と述べ、その「本質」の実施を主唱する一方、「中国のシリア問題に対する態度は変わらない」と述べ、フランスで予定されているシリアの友連絡グループ会合に参加しない意向を示した。

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DFLPのナーイフ・ハワーティマ書記長は、シリア情勢に関して「シリア人民によって代表されている民衆運動、蜂起であり、自由と尊厳といった権利をめざしたもの」と支持を表明した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチはインターネットで声明を出し、2012年4月以降、シリアから避難してきた複数のパレスチナ人を恣意的に不当逮捕していると避難した。

国連によると、これまでパレスチナ人約500人がシリアからヨルダンに避難している、という。

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トルコ軍参謀本部はインターネットで声明を出し、シリア軍に撃墜された空軍機のパイロット2人の遺体がある場所を特定したと発表した。

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インテルファクス通信(6月4日付)は、ロシア高官の話として、シリア軍に撃墜されたトルコ空軍機が2度にわたりシリア領空の防空システムに対して「挑発行為」を行っていたと報じた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣とイギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣はパリで会談し、シリアの体制転換を円滑に進めるためロシアに積極的な役割を果たすよう求めることを確認した。

AFP, July 4, 2012、Akhbar al-Sharq, July 4, 2012、AKI, July 4, 2012、al-Hayat, July 5, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 4, 2012, July 5, 2012、Naharnet.com,
July 4, 2012、NNA, July 4, 2012、Reuters, July 4, 2012、SANA, July 4, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がトルコ日刊紙のインタビューに応えエルドアン氏を激しく非難、シリア反体制勢力大会が「国民誓約文書」と「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」に原則合意するも数々の争点をめぐる不一致が解決しないまま閉幕(2012年7月3日)

国内の主な動き

トルコ日刊紙『ジュムヒュリエト』(7月3日付)はアサド大統領に対して行ったインタビューの内容の一部を伝えた。

Cumhuriyet, July 3, 2012
Cumhuriyet, July 3, 2012

SANA(7月3日付)によると、インタビューは『ジュムヒュリエト』紙、CNN Turk、『ポスタ』紙、『ラディカル』紙、『ハベルトゥルク』紙が共同計画したが、『ジュムヒュリエト』紙の記者以外は、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相からインタビューを行わないよう求められ、シリア訪問を見合わせたという。

インタビュー記事におけるアサド大統領の発言の概要は以下の通り:

「この15ヵ月間…我々は多くのことを行おうとしてきた。シリア国内の問題を解決するため、そしてシリア・トルコ関係において我々が成し遂げたものを維持するために。トルコの現政権のすべての演説、措置、決定は、これらの関係を破壊しようとする試みだと思う…。我々はシリアで引き続き努力をし、事態が対立の段階に至らないようにするだろう。対立はシリアにとってもトルコにとっても敗北をもたらす…。むろん、国民のレベルにおいて、トルコ国民は知的で事態を熟知しており、対立に陥ることを許さない。トルコの現政権が、国益ではなく、私利によって国民を対決に引き込もうとしているとしていることをトルコ国民は知っている」。

(シリア軍によるトルコ空軍機撃墜に関して)「もし間違って、我が国の領海外で撃墜したのであれば、公式にそれを認め、謝罪することには何らの問題も伴わない…。しかし、もし我々が意図的に撃墜したとするなら…、シリアにとってどんな利益があるのだろうか?」

「実際には、トルコ軍機は小径の対空機関砲で撃墜された。その射程距離はせいぜい2キロから2.5キロだ。こうした対空砲で戦闘機を撃墜することは困難だ。つまりシリア領から2.5キロ以内の低空で撃墜されたということだ。通常、つまり平時であれば、世界中のどの友好国の航空機も撃墜はしない…。しかし我々は戦争状態にある。未確認の航空機を我々は敵機とみなす。通常、こうした判断は政府レベルでは行われない…。トルコ軍機は超低空で飛行しており、シリアのレーダー網では捕捉できなかった…トルコ軍機が侵犯した地点は、イスラエルが常に領空侵犯を試みる地点だ…。改めて強調するが、シリア側は戦闘機を撃墜して初めてその国籍を確認できた…。またより重要なこととして、領海外に射程範囲の地対空ミサイルを配備してはいない。それゆえ、(シリア軍が領海外でミサイルにより撃墜したとの)一部のトルコの高官の発言はウソに過ぎない」。

「(トルコ軍機撃墜の報を聞いたとき)心理的には不快だった。なぜならトルコ国民は同胞だからだ…。しかし我々はエルドアンと彼の政府がこの事件を利用して、これまで実現できなかった政治的利益を追求するのではと感じた」。

(シリア作業グループ会合に関して)「何よりも先ず、シリア人が決定する、これがシリアにおける我々の姿勢だ。暴力がまず停止されるべきだというのがシリアにおける我々の姿勢だ。武装集団は武装解除されるべきだというのがシリアにおける我々の姿勢だ。コフィ・アナン氏が言ったように、シリア人の血で手を染めた者は、シリア国内に留まることはできない。またシリア国外でも然りである」。

SANA, July 3, 2012
SANA, July 3, 2012

(ヒラリー・クリントン米国務長官がアサド政権の退陣に固執している点に関して)「米国高官の発言は概して信用できない。米国の姿勢はこの危機においてシリアと敵対している。彼らは問題の一部となっている。彼らがテロリストを支援していることは明白だ」。

「トルコ側の姿勢が変化したのは、危機の初期の段階においてだった。トルコはシリアとの同胞関係に反し、シリアの内政に直接干渉することになった。これは我々シリアにとって決して受け入れられないものだった…。その後、トルコ政府は、無実の人々を殺害するテロリストに兵站支援を行うことでシリアでの流血に関与し始めた」。

(エルドアン首相に関して)「彼はシリアでテロリストにフリーハンドを与えたがっていた…。危機の数年前から、エルドアンはシリア・ムスリム同胞団に常に関心を示してきた。彼はシリア・トルコ関係以上に同胞団に関心があった。疑う余地なく、同胞団はシリア情勢をめぐる彼の主要な関心事の一つであり、彼らを守り、支援したいと考えている…(シリア・トルコ関係の悪化の)出口はトルコ政府がシリア情勢をめぐる過ちを正すことで、事件を操作・利用して、大きな問題を作り出すことではない」。

(湾岸諸国へのエルドアン首相の姿勢に関して)「彼には宗派主義的メンタリティがある…。エルドアンはシリア国民への偽りの涙を流している。しかしなぜ一部の湾岸諸国で殺された人々のために泣かないのか?なぜ湾岸諸国の民主主義を主唱しないのか?」

「(シリア国内の)危機の大部分は外国によって操作されているということは今やきわめて明らかだ。その証拠にアラブ人の戦闘員、過激派、イスラーム主義者がおり、シリアで戦っている。また国境を越えて洗練された武器が密輸されており、外国から資金が送られている…。シリア国民は今、自分たちの国を守っている。革命は悪党の革命ではあり得ない。国民の革命であるべきで、誰も国民の革命を抑えることはできない。シリアに行って見回れば、革命が起きているかどうかが分かる。我々はテロリストを捜し、殺害することで、自らを守ろうとしている」。

(国内での弾圧を遺憾に思うかとの質問に対して)「もちろんすべての行為にはある程度の間違いはつきものだ。これは自明だ。我々は人間で、間違うこともあれば、正しいこともある。しかし、シリア国内の間違いと外的要因は区別されるべきだ。シリアに対する陰謀は三つの段階で行われている。第1段階において、デモが行われ、参加者は金で雇われていた…。彼ら(諸外国)はエジプトやチュニジアのようにこうすることで、平和的デモから革命が生じると期待していた。しかしラマダーンまでに彼らは挫折した。次に、彼らはシリア国内の一部の地域で武装集団を駆使した計略を開始した…。軍は3月まで続いたこの試みと対峙し、彼らは第2段階でも失敗した。彼らはその後、爆弾などを使用して、個人を標的とした暗殺、市民の虐殺、国家機関の攻撃を行うようになった。これらのデモンストレーションが平和的だと言えるのであれば、あまりに真正直である…。むろんデモは今でも時々発生しているが、きわめて小規模で、多くの場合参加者は雇われている」。

(シリア政府によるPKKへの支援により、その軍事活動が活性化しているとの見方に関して)「もし我々が、特定の状況下でシリア人を守ることができない場合、トルコ人を守る責任を我々が負わなくてはいけないということは理にかなっているだろうか?論理的だろうか?もし現在、トルコに治安対策の失敗があるとするなら、それはトルコの政策によるものだ」。

(トルコによる対シリア経済制裁に伴う国境貿易への影響に関して)「両国国境はシリアへの武器密輸やテロリスト潜入の場となってしまった。我々は何年にもわたって国境を開発のための国境としなければならないと対話してきた。開発とテロは両立しない」。

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『バアス』(7月3日付)は、シリア反体制勢力大会でのムハンマド・ムルスィー・エジプト大統領の発言に関して、「外国の介入、武装テロ集団による犯罪行為、そしてシリア国内での真の改革プログラムを無視している」としたうえで、「かたちだけの大会での…即興じみた演説はシリアの危機を複雑にするだけだ」と酷評した。

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SANA(7月3日付)によると、ダマスカス郊外県のフサイン・マフルーフ知事はドゥーマー市内の水道、電話などのライフラインの復旧作業を視察した。

国内の暴力

シリア人権監視団は、ダイル・ザウル県、アレッポ県、ダマスカス県での戦闘により、反体制武装集団の戦闘員4人と軍・治安部隊兵士16人が死亡したと発表した。

またダマスカス郊外県で5人、ダイル・ザウル県ダイル・ザウル市で1人、ダルアー県で8人、イドリブ県で1人、ヒムス県ヒムス市で1人、ラタキア県サルマー町で1人の民間人が死亡した、と付言した。

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地元調整諸委員会やシリア国民監視団によると、アレッポ県クルド山、アアザーズ市、ヒムス県ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区が軍・治安部隊の砲撃に曝された。

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シリア人権監視団やシリア革命総合委員会によると、ダマスカス県アサーリー地区、ダマスカス郊外県ハラスター市、アルバイン市、ミスラーバー市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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イドリブ県では、SANA(7月3日付)によると、武装テロ集団がマアッラト・ミスリーン市の住民を多数誘拐した。

シリア反体制勢力大会(カイロ)

アラブ連盟主催のもとカイロで開催されていたシリア反体制勢力大会は、「国民誓約文書」と「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」に原則合意し閉幕した。

Youtube, July 3, 2012
Youtube, July 3, 2012

しかし2日間の審議では、外国の介入の是非をめぐる意見対立は解消せず、また両文書を実行するためのフォローアップ委員会の権限に関しても合意に達することができなかった。

またアナン特使の停戦案の解釈、新憲法に明記される国家の形態(地方分権の是非)をめぐっても意見の不一致が生じた。

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原則合意された二つの文書のうち、「国民誓約文書」は、公正、民主主義、多元主義といった原則をもとにアサド政権打倒後の新憲法起草を行うことが定められている。

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一方、「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」において、反体制勢力は、原案の「政権退陣」という文言が「シリア体制の打倒」に改められたうえで、「シリアの政治的解決はバッシャール・アサドと政権の象徴的人物に代表される体制打倒とシリア人殺害に関与した者の制裁を保障することをもって開始される」とし、「シリア政府による殺戮行為の即時停止…、軍の撤退と包囲解除、逮捕者の即時釈放」を求めるとともに、「自由シリア軍」への支援を明言、「すべてのシリア国民に市民的平和と国民統一の保護のための行動」を呼びかけた。

また国民主権の回復、権利と義務における市民の平等を原則とする新シリア国家の建設、多元的民主的市民国家の建設をめざすとの姿勢が確認されるとともに、反体制勢力の努力とビジョンの統一が呼びかけられた。

このほか、大会では、連絡委員会が新たに設置され、反体制勢力の今後の連絡調整の継続がめざされた。

委員会は、スハイル・アタースィー、マイス・カリーディーヤ、リーマー・ファルハーン、ムハンマド・ナースィル、ウマル・ハリーリー、ヤースィル・ナッジャール、アブドゥッラフマーン・イバーラ、タラール・バーシャー、ワリーナー・ティービーからなる。

同委員会は、当初設置が予定されていたフォローアップ委員会に代わる組織として設置された。

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しかし両文書をめぐっては、代表者の対立が露呈し、意見調整は深夜までずれ込んだ(会合の混乱ぶりに関してはhttp://www.youtube.com/watch?v=yBAwDz2qIloなどを参照)。

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シリア・クルド国民評議会の代表は、「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」案に「クルド人民の権利」を保障する文言が明記されていないとの理由で、会場を一時退席した。

クルド退出後、つかみ合いとなった。

会議室前では「スキャンダルだ、スキャンダルだ」といった怒号が飛び交った。

原則採択された「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」では、以下のような付則が追記され、シリア・クルド国民評議会への配慮が試みられた。

「文書(移行期間概要に関する共同政治ビジョン)は、「クルド人民」、「トルクメン人民」という概念の使用要求をめぐる点に以外が、大会によって満場一致で採択され、これらの用語は「クルド民族成員」、「トルクメン民族成員」と改められた。

しかしこの付則の追加にもシリア・クルド国民評議会の代表は満足せず、同評議会は「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」を拒否した。

これに関して、同評議会メンバーのムルシド・ハズナウィー氏は閉幕後、「大会で発表された閉幕声明は、作成者の意見しか表現していない。クルド人は声明全体としてその詳細のすべてを拒否する」との声明を出した。

ハズナウィー氏は、大会での対立に関して、一部のアラブ民族主義者とシリア・ムスリム同胞団ら一部のイスラーム主義者が、憲法に「クルド」という言葉を盛り込むことを拒否し、「シリアは複数の民族から構成されている」と述べるだけで充分だとの姿勢をとったと非難、そのうえでシリア・クルド国民評議会が、新憲法に「クルド人の合法的権利」が明記されないと満足できないと反論したことを明らかにした。

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シリア・ムスリム同胞団の代表として大会に参加したアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は、8項目からなる所見を示し、「国民誓約文書」に疑義を呈した。

バヤーヌーニー前最高監督者は「シリア国民が選出するであろう制憲協会の権利を奪うような立憲に関わる文言をもって国民の民主的権限を超越してしまっている」などとした「新憲法制定までの期間、1950年憲法を暫定的に復活させるとの合意に差し替えるべきだ」と主張した。

また「国民誓約文書案は、詳細において議論すべき多くの点を含んでいる」と指摘、「宗教はアッラーのため、祖国は万人のため」といった大多数のシリア国民に受け入れられない挑発的な文言がある一方、民主的市民国家に関する文言、市民の平等に関する文言などを欠いていた」と批判した。

さらに「シリア国民の一部の成員のアイデンティティを強調する一方、アラブ性、イスラーム、アラビア語といったシリアの文明的・宗教的・文化的なアイデンティティが無視されている」と非難、「我々は諸民族の集まりではなく、一つのシリア人民だ」と主張した。

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一方、シリア近代民主主義党(在独)のフィラース・カッサース書記長(シリア国民評議会)が『ハヤート』(6月4日付)に語ったところによると、大会参加者はアナン特使の停戦案の是非をめぐって鋭く対立した。

すなわち、一部の参加者(革命家)は、停戦案の審議そのものが無効であると主張したのに対して、大多数の参加者は、停戦案が機能不全に陥っている理由が停戦案そのものにあるのでなく、実施のしくみがないためだと主張、実施の仕組みが拡充すれば、シリア国民の要求は実現するだろうと主張した、という。

また大会結果の実施をフォローアップするための委員会設置に関しても、意見が対立した。

すなわち、委員会の権限をフォローアップに限定しようとする参加者がいる一方、その権限を拡大し、将来的には反体制運動全体を統括する執行機関にすべきだと主張する者もいた、という。

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さらに両文書の実行に関するフォローアップ委員会の設置に関しても、合意に達することができなかった。

『ハヤート』(7月4日付)によると、フォローアップ委員会をめぐる対立に関して、民主的変革諸勢力国民調整委員会のマフムード・マルイー氏は両文書がフォローアップ委員会のもとに委ねられたと述べ、両文書に関する全体合意は得られた、と主張し、今後の反体制運動を統括する執行機関と位置づけた。

しかし、シリア国民評議会のアディーブ・シーシャクリー氏は、フォローアップ委員会がほとんどの参加者によって拒否されたと述べ、白熱した議論が行われ、フォローアップ委員会は、条件付き、ないしは任務を限定したかたちで認められたに過ぎない、と反論した。

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シリア国民評議会事務局のハーリド・ハウジャ氏は、『ハヤート』(7月4日付)に対して、対立が「国民誓約文書」に関わる問題に限定され、「移行期間概要に関する共同政治ビジョン」における意見の対立はなかったと述べた。

ハウジャ氏によると、「国民誓約文書」をめぐる対立は各論に関するもので、クルド人の参加者が、アサド政権打倒後の新憲法に国家の形態、政教分離、地方分権を明記するよう強く求めた、という。

また、参加者は、体制打倒、革命運動および自由シリア軍支持で意見が一致していたが、外国の介入をめぐっては対立し、閉幕声明には外国の介入拒否という文言を明記せず、アナン特使の停戦案が失敗した場合、国際社会の保護を求める余地を残した、という。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は閉幕声明発表直前、大会で自由シリア軍やシリア国民の自衛権を支持しないいかなる文書にも署名はしないだろうと語った。

また閉幕後、自由シリア軍との誤解や、大会内での対立にもかかわらず、二つの文書を採択したことが重要だと自画自賛した。

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ワリード・ブンニー弁護士は「自由シリア軍は大会の結果を見れば姿勢を変えるだろう。対立は視点の違いに過ぎず、我々はすべてのシリア人の希望に添うかたちでコンセンサスに達するだろう」と述べた。

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シリア人民自由潮流のハーリド・ナースィル書記長は、大会において、政権打倒と自由シリア軍支持が合意されたとした。

そのうえで、自由シリア軍が大会をボイコットしたことに関して、「自由シリア軍が感じている恐怖を理解できるが、すべての反体制勢力が一同に会することを(自由シリア軍が批判するように)「裏切り」などと言うことはできない」と批判した。

なおナースィル書記長によると、自由シリア軍は政治に直接参加していため、大会に代表を出席させなかったが、顧問2人が参加したことを明らかにした。

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シリア革命総合委員会は声明を出し、「我々の革命を、国際的な駆け引き・紛争とシリアの犯罪的体制の弾圧に曝すようなビジョンや議題をもって、我々の国民や革命の行方をもてあそぶ政治的な戯れ言に参加することを拒否する」と発表し、カイロでのシリア反体制勢力大会をボイコットすると宣言した。

閉幕声明全文

البيان الختامي لمؤتمر المعارضة السورية المنعقد تحت رعاية جامعة الدول العربية بالقاهرة 2-3/7/2012

أنهى مؤتمر المعارضة السورية الذي انعقد تحت رعاية جامعة الدول العربية أعماله بالقاهرة مساء يوم 3/7/2012، بحضور نحو 210 شخصية تمثل مختلف أطراف المعارضة السورية من تيارات سياسية وشخصيات مستقلة فى الداخل والخارج والحراك الثوري، حيث بحث المؤتمرون بكل مسؤولية جميع القضايا الجوهرية المتعلقة بالثورة السورية، وصدر عن المؤتمر الوثائق التالية:

– وثيقة توافقية تحدد الرؤية السياسية المشتركة للمعارضة السورية إزاء تحديات المرحلة الانتقالية.

– وثيقة العهد الوطني التي تضع الأسس الدستورية لسورية المستقبل، وهي العدالة والديمقراطية والتعددية.

– أجمع المؤتمرون على أن الحل السياسي في سورية يبدأ بإسقاط النظام ممثلاً ببشار الأسد ورموز السلطة وضمان محاسبة المتورطين منهم في قتل السوريين، كما طالب المؤتمر بالوقف الفوري لأعمال القتل التي يترتكبها النظام السوري وكذلك الانتهاكات وسحب الجيش وفك الحصار عن المدن والأحياء السكنية السورية وإطلاق سراح المعتقلين فوراً.

– أكد المؤتمر على دعم الجيش السوري الحر وكافة أشكال الحراك الثوري والعمل على توحيد قواه وقياداته خدمة لأهداف ثورة الشعب السوري.

– أكد المؤتمر على دعوة جميع مكونات الشعب السوري للعمل على حماية السلم الأهلي والوحدة الوطنية.

– كما أكد المؤتمرون من خلال الوثائق الصادرة عن المؤتمر على أن التغيير المنشود في سورية لن يتم إلا بالإرادة الحرة للشعب السوري الثائر ضد النظام القمعي والمستبد، كما طالب المؤتمر بوضع آلية إلزامية توفر الحماية للمدنيين وبجدول زمني للتنفيذ الفوري والكامل لقرارات جامعة الدول العربية ومجلس الأمن ومطالبته باتخاذ التدابير اللازمة لفرض التنفيذ الفوري لتلك القرارات.

国民誓約文書全文

وثيقة العهد الوطني

عاهد المؤتمرون على أن يقرّ دستور جديد للبلاد مضامين هذا العهد:

• الشعب السوري شعب واحد، تأسّست لحمته عبر التاريخ على المساواة التامّة في المواطنة بمعزل عن الأصل أو اللون أو الجنس أو اللغة أو الإثنيّة أو الرأي السياسي أو الدين أو المذهب، على أساس وفاق وطنيّ شامل، لا يجوز لأحد فرض دينٍ أو اعتقادٍ على أحد، أو أن يمنع أحداً من حريّة اختيار عقيدته وممارستها. النساء متساوون مع الرجال، ولا يجوز التراجع عن أيّ مكتسبات لحقوقهنّ. كما يحقّ لأيّ مواطن أن يشغل جميع المناصب في الدولة، بما فيها منصب رئيس الجمهوريّة، بغض النظر عن دينه أو قوميّته، رجلاً كان أم إمرأة. هكذا يفخر الشعب السوري بعمقه الحضاريّ والثقافي والدينيّ الثري والمتنوّع، ممّا يشكّل جزءاً صميماً من ثقافته ومجتمعه، ويبني دولته على قاعدة الوحدة في التنوع، بمشاركة مختلف مكوّناته دون أيّ تمييزْ أو إقصاء.

• الإنسان هو غايّة العلاقة بين أبناء الوطن الواحد، التي تتأسّس على الالتزام بالمواثيق والعهود الدوليّة لحقوق الإنسان والحقوق الاجتماعية والاقتصادية، اللتان كرستهما البشريّة، وضمان التمتّع بهذه الحقوق للمواطنين والمقيمين على السواء.

• الشعب السوري حرّ وسيّد على أرضه ودولته وهما وحدة سياسية لا تتجزّأ ولا يجوز التخلّي عن أيّ شبرٍ فيها، بما في ذلك الجولان المحتلّ. وللشعب السوري الحقّ في النضال من أجل استعادة أراضيه المحتلّة بكلّ الوسائل الممكنة.

• تشكّل الحريّات الفرديّة والعامّة والجماعيّة أساساً للعلاقة بين أبناء الوطن الواحد، وتكفل الدولة الحريات العامّة، بما فيها حرية الحصول على المعلومة والإعلام، وتشكيل الجمعيات الأهلية والنقابات والأحزاب السياسية، وحرية الاعتقاد وممارسة الشعائر، وحرية التظاهر والإضراب السلميين. وتضع قواعداً لصون هذه الحريّات من هيمنة عالم المال أو السلطة السياسية. كما تكفل الدولة السورية احترام التنوّع المجتمعي ومعتقدات ومصالح وخصوصيّات كل أطياف الشعب السوري، وتقرّ بالحقوق الثقافية والسياسية لكلّ مكوّناته وتطلّعها للتطور والرعاية.

• يضمن الدستور إزالة كافّة أشكال التمييز ضد المرأة، ويسعى لخلق المناخ التشريعي والقانوني الذي يؤمّن تمكينها سياسياً واقتصادياً واجتماعياً فيما يتفق مع كلّ المواثيق الدوليّة ذات الصلة بما يتناغم مع الثقافة المجتمعية.

• تقرّ الدولة السوريّة بوجود قومية كرديّة ضمن أبنائها، وبهويّتها وبحقوقها القوميّة المشروعة وفق العهود والمواثيق الدوليّة ضمن إطار وحدة الوطن السوري. وتعتبر القومية الكردية في سورية جزءاً أصيلاً من الشعب السوري. كما تقرّ الدولة بوجود وهويّة وحقوق قوميّة مماثلة للقوميتين السريانية الأشورية والتركمانية السوريتين وتعتبران جزءاً أصيلاً من المجتمع السوري.

• سورية هي جزء من الوطن العربي، ترتبط شعوبه بوشائج الثقافة والتاريخ والمصالح والأهداف الكبرى والمصير المشترك. وسوريا عضو مؤسّس في جامعة الدول العربيّة، تتطلّع إلى توثيق مختلف أشكال التعاون والترابط بين البلدان العربيّة.

• يلتزم الشعب السوري دعم الشعب الفلسطيني وحقّه في إنشاء دولته الحرّة السيّدة المستقلّة وعاصمتها القدس.

• تربط الشعب السوري بجميع الشعوب الإسلامية الأخرى جذور تاريخية مشتركة وقيم إنسانيّة مبنية على الرسالات السماوية.

• سورية جزء من المنظومة العالمية وهي عضو مؤسّس في هيئة الأمم المتحدة والمنظمات المتفرّعة عنها، ولذا فهي ملتزمة بمواثيقها، وتسعى مع غيرها من دول العالم لإقامة نظام دولي بعيد عن جميع النزاعات المركزية والهيمنة والاحتلال، نظام قائم على التوازن في العلاقات وتبادل المصالح والمسؤولية المشتركة في مواجهة التحديات والأخطار العامة التي تهدّد أمن وسلام العالم.

• الشعب هو مصدر الشرعية والسيادة التي تتحقّق من خلال نظامٍ جمهوري ديموقراطي مدنيّ تعدّدي، يسود فيه القانون ويقوم على المؤسسات. ولا يجوز فيه الاستئثار بالسلطة أو توريثها بأيّ شكلٍ كان.

• تقوم مؤسّسات الحكم في الدولة السورية على أساس الانتخابات الدوريّة والفصل التام بين السلطات التنفيذية والتشريعية والقضائية، وعلى مبدأ التداول على السلطة عبر الانتخاب السرّي والحرّ، واحترام نتائج الانتخابات التي يقررها صندوق الاقتراع مهما كانت.

• يقرّ دستور جديد أسس النظام الديموقراطي التعدّدي المدني ونظام انتخابي عصريّ وعادل يضمن حق مشاركة كافّة التيارات الفكرية والسياسية، ضمن قواعد تؤمّن أوسع تمثيل للشعب استقرار النظام البرلماني، وتضبط بشكلٍ دقيق الموارد المالية وإنفاق الأحزاب والجماعات السياسية.

• الجيش السوري هو المؤسسة الوطنية التي تحمي البلاد وتصون استقلالها وسيادتها على أراضيها، تحرص على الأمن القومي ولا تتدخّل في الحياة السياسية.

• تعتمد الدولة مبدأ اللامركزية الإدارية، بحيث تقوم الإدارة المحلية على مؤسسات تنفيذية تمثيليّة تدير شؤون المواطنين والتنمية في المحافظات والمناطق، بهدف الوصول إلى تنمية مستدامة ومتوازنة.

• تصون الدولة الملكية الخاصة، التي لا يجوز الاستيلاء عليها إلاّ للمنفعة العامة ضمن القانون ومقابل تعويض عادل، دون أن يعاد تجييرها لمصالح خاصّة.

• تصون الدولة المال العام والملكيّة العامّة لمنفعة الشعب، وتقوم سياستها على العدالة الاجتماعية والتنمية المتوازنة المستدامة وإعادة توزيع الدخل والثروة عبر النظام الضريبي بين الفئات الاجتماعية وبين المناطق، وكذلك على ضمان حريّة الاستثمار والمبادرة الاقتصادية وتكافؤ الفرص والأسواق ضمن ضوابط تكافح الاحتكار والمضاربات وتحمي حقوق العاملين والمستهلكين.

• تلتزم الدولة السورية إزالة كافّة أشكال الفقر والتمييز ومكافحة البطالة بهدف التشغيل الكامل الكريم اللائق والإنصاف في الأجور، وتحقيق العدالة في توزيع الثروة الوطنيّة، وتحقيق التنمية المتوازنة وحماية البيئة، وتأمين الخدمات الأساسيّة لكلّ مواطن: السكن والتنظيم العمراني، ومياه الشرب النظيفة، والصرف الصحي، والكهرباء، والهاتف والانترنيت، والطرق والنقل العام، والتعليم والتأهيل النوعيين، والتأمين الصحيّ الشامل ومعاشات التقاعد وتعويضات البطالة، بأسعارٍ تتناسب مع مستويات المعيشة.

(تم إعداد الصياغة الأولى لهذه الوثيقة واعتمادها من قبل اللجنة التحضيرية للعرض على مؤتمر المعارضة السورية، وجرى مناقشتها في الجلسة الأولى من جلسات عمل المؤتمر، وتم إقرار بعض التعديلات عليها واعتمادها من قبل المشاركين في المؤتمر في جلسة العمل الختامية مساء يوم 3/7/2012).

移行期間概要に関する共同政治ビジョン

الرؤية السياسية المشتركة لملامح المرحلة الانتقاليّة

اسقاط السلطة الحاكمة والمرحلة الانتقاليّة

تعريفات: مرحلة اسقاط السلطة الحاكمة هي مرحلة النضال والإصرار حتّى اسقاط بشار الأسد ورموز السلطة. والمرحلة الانتقاليّة هي المرحلة الفاصلة بين هذا الاسقاط وبين انتخاب رئيس وبرلمان على أساس دستور جديد للدولة السورية، وانبثاق حكومة تمثّل البرلمان المنتخب. كلا المرحلتين تتطلّبان لإتمامهما إجراءات توافقيّة بين قوى المعارضة على الصعد السياسيّة والقانونيّة والأمنيّة والاقتصاديّة والاجتماعيّة، وكذلك على صعيد العدالة الانتقاليّة.

1- مرحلة إسقاط السلطة الحاكمة:

لن يتمّ الوفاء لتضحيّات ومعاناة الشعب السوري من أجل الحريّة والكرامة إلاّ عبر إسقاط رموز السلطة الأساسيين، لأنّ وجودهم يشكّل عائقاً في سبيل تشييد الدولة المدنيّة الديموقراطيّة التعدديّة، دولة المساواة في المواطنة والحريّات، التي سيصنعها السوريون جميعهم. وسيستمرّ النضال من أجل هذا الهدف على الأسس التالية:

• يبدأ الحلّ السياسي في سورية بإسقاط بشار الأسد ورموز السلطة، ومحاسبة المتورّطين منهم في قتل السوريين.

• سيستمرّ الإصرار الثوري والإرادة الشعبية والثورة حتّى هذا سقوط السلطة الحاكمة.

• لن يتم التغيير المنشود إلا بإرادة الشعب السوري وتضحياته مع حشد الدعم العربي والدولي الفعال لحماية وحدة وسيادة واستقرار سورية، ووضع آلية إلزامية لحماية المدنيين السوريين، وجدول زمني للتنفيذ الفوري والكامل لقرارات مجلس الأمن وجامعة الدول العربية ذات الصلة. ومطالبة مجلس الأمن باتخاذ التدابير اللازمة لفرض التنفيذ الفوري لتلك القرارات.

• ضرورة توحيد جهود المعارضة على كافّة الأصعدة من أجل تحقيق إسقاط النظام بأسرع وقتٍ ممكن.

• دعم الحراك الثوري والجيش السوري الحر، والعمل على توحيد قواه وقياداته خدمة لأهداف ثورة الشعب السوري.

• دعوة كافّة الأطراف للعمل بأشدّ الحرص على حماية السلم الأهلي والوطني.

2- المرحلة الانتقاليّة

تبدأ هذه المرحلة عند لحظة سقوط بشار الأسد ورموز السلطة الأساسيين وتنتهي عند انتخاب مجلس تشريعي حرّ على أساس دستور دائم جديد.

• المرجعيّة السياسيّة والقانونيّة

o فور سقوط بشار الأسد ورموز السلطة، تتمّ إقالة الحكومة وحلّ مجلس الشعب الحالي وتشكيل حكومة تسيير أعمال، بالتوافق بين قوى المعارضة السياسيّة والثوريّة، وسلطة الأمر الواقع الوطنيّة ومن لم تتلطّخ أيديه بدماء السوريين أو بنهب المال العام، على أسس تتوافق مع وثائق ومقرّرات مؤتمر القاهرة، لحين تشكيل حكومة انتقالية.

o فور استلام حكومة تسيير الأعمال يتمّ حلّ حزب البعث الحاكم والمؤسسات التابعة له، والتحفّظ على أملاكه وإعادتها للدولة، على أن يسمح لأعضائه بممارسة العمل السياسي وفق القوانين الجديدة.

o تتمّ الدعوة إلى مؤتمر وطني واسع في دمشق يشمل كلّ القوى السياسيّة ومكوّنات المجتمع بدون استثناء، بهدف إقرار تشكيل جسم تشريعي مؤقت (هيئة عامّة للدفاع عن أهداف الثورة والانتقال الديموقراطي) وحكومة انتقالية من شخصيات مشهود لها بالكفاءة والنزاهة.

o يعمل الجسم التشريعي المؤقت على إصدار إعلان دستوري يستند إلى وثيقة العهد الوطني المقرّة في مؤتمر القاهرة، يتضمّن وضعية الرئاسة في المرحلة الانتقالية، وكذلك مجلس القضاء الأعلى، ومجلس الأمن الوطني، والهيئة العليا للمحاسبة والمصالحة، والهيئة العامّة للتعويضات الاجتماعيّة وإعادة الإعمار. يتولّى هذا الجسم الرقابة على السلطة التنفيذيّة، ويصدر قوانين مؤقتّة تنظّم الحياة العامّة في المرحلة الانتقاليّة، تشمل حريّات الإعلام والتظاهر وتشكيل الأحزاب والنقابات والجمعيّات وإلغاء جميع المراسيم والقوانين والمحاكم الاستثنائية، كما يلغي المراسيم والقوانين التمييزيّة بحق القوميات الكردية والتركمانية والآثورية وأيّ طيفٍ آخر من أطياف الشعب السوري. كما يضع قانوناً انتخابيّاً لمجلس تأسيسي ومسودّة لدستور دائم للبلاد على أسس العهد الوطني.

o تتولّى الحكومة الانتقالية إدارة شؤون البلاد تحت رقابة الجسم التشريعي الناتج عن المؤتمر الوطني، وتعالج أولويّات إزالة الآثار الاجتماعيّة والعمرانيّة للمرحلة السابقة والنهوض بالاقتصاد الوطني.

o خلال مدّة أقصاها سنة عن تشكيله، يقوم الجسم التشريعي المؤقّت والحكومة الانتقالية بالعمل على إجراء انتخاب برلمان تأسيسي يقرّ مشروع الدستور ويطرحه على الاستفتاء العام في مدّة أقصاها ستّة أشهر.

o فور انتخاب البرلمان التأسيسي، يتمّ حلّ الجسم التشريعي المؤقّت وتشكيل حكومة جديدة على أساس الأغلبيّة التي نتجت عن الانتخابات.

• المؤسّسة العسكريّة والأمن

o عند سقوط بشار الأسد ورموز السلطة، يتمّ التوقيع بين العناصر الشريفة من الجيش النظامي ممن لم تتلطخ ايديهم بدماء السوريين، وبين الجيش السوري الحر والمقاومة المسلحة على وثيقة تفاهم تنظّم عمليّات وقف إطلاق النار وسحب الجيش إلى ثكناته وضبط الأمن وحفظ السلم الأهلي والوطني ويتم ذلك برعاية واشراف مجلس الأمن إذا اقتضى الأمر.

o تشكل الحكومة الانتقالية مجلسا للأمن الوطني بقيادة رئيس السلطة التنفيذية، يضم في عضويته قادة عسكريين شرفاء لم تتلطخ ايديهم بدماء السوريين ومن الجيش الحر والمقاومة المسلحة وشخصيات مدنية ذات صلة، ويخضع للقواعد التي يضعها الجسم التشريعي المؤقت.

o يتولّى مجلس الأمن الوطني عمليّات إعادة هيكلة القوّات المسلّحة والأجهزة الأمنيّة بعد إخضاعها لسلطته، بغية تطهير الأجهزة ممّن ثبت تورّطه، وحلّ الميليشيات المسلّحة (الشبيحة) وسحب السلاح من المدنيين وضمّ من يرغب من الثوّار إلى القوّات المسلّحة. كما يحرص هذا المجلس على الحفاظ على السجلات والوثائق من أجل تسهيل تحقيق العدالة الانتقالية، وحماية السجون، والحفاظ على سلامة الممتلكات العامّة والخاصّة من أيّ عبث.

• العدالة الانتقالية

o يتمّ تشكيل هيئة عامّة للمحاسبة والمصالحة الوطنيّة، تعمل تحت إشراف الجسم التشريعي المؤقت ثمّ البرلمان، انطلاقاً من أسس العهد الوطني، على:

– تحقيق العدالة لجميع الضحايا الذين تعرّضوا لانتهاكات منهجية لحقوقهم الإنسانية ولإساءة المعاملة، وتعويضهم ومحاسبة الفاعلين وإيجاد آليات تعويض إضافية اجتماعية تمنع تفاقم النزاعات الاجتماعية.

– تحقيق الشفافية في نشر وثائق وحقائق تتعلّق بسلوك مرتكبي الجرائم بالإضافة إلى تجارب الضحايا.

– خلق آليات المحاسبة والشفافيّة ومنع حصول انتهاكات جديدة أثناء تطبيق العدالة الانتقالية واستعادة إيمان وثقة المواطنين بمؤسّسات الدولة والمساهمة في تعزيز سلطة القانون والمؤسّسات الديمقراطية ومشروعيتها، بغية ترسيخ بيئة خصبة لترميم الصدوع وتحقيق المصالحة الوطنية الشاملة على الصعيد الوطنيّ والمحلّي.

– معالجة التأثيرات الفرديّة والجماعية للعنف والقمع والاستبداد وتوفير الدعم النفسي للأطفال والنساء وضحايا العنف.

– إزالة آثار السياسات التمييزية السابقة بما فيها إلغاء القانون 49 لعام 1980 وإزالة الإجحاف بحق نازحي الجولان وضحايا أحداث الثمانينات، وانتفاضة 2004 الكردية والمصادرات وتداعياتها، وتعويض المتضرّرين وإيجاد حلول عادلة للمشاكل المتراكمة.

– إزالة آثار السياسات والقوانين التمييزية والمجحفة بحق القومية الكردية في سوريا وتداعياتها، وتعويض المتضرّرين من أبناء الشعب السوري كافة وإعادة الحقوق لأصحابها.

o تتضمن الهيئة العامّة للمحاسبة والمصالحة الوطنيّة أصحاب اختصاصات مختلفة قانونية واجتماعية وحقوقية ونفسية وثقافية وشخصيات وطنيّة واجتماعية وفنيّة تتمتّع بالمصداقية والقدرة على التأثير من أجل تنفيذ اليات العدالة الانتقالية عبر الخطوات التالية:

– هيئة قضائية مستقلّة للبت في الجرائم المرتكبة من قبل النظام وتشمل مسؤولي النظام الكبار بحيث تكون نزيهه وموضوعيّة وتحقّق السرعة المنطقية في عمليات المحاسبة.

– لجنة تقصّي حقائق تعمل على جمع الإفادات والتحقيق في جرائم النظام أثناء الثورة وإحالتها للهيئة القضائية وتشمل القيادات العليا والصفوف الأولى من النظام.

– لجنة تاريخية تهدف الى التحقيق في الجرائم طويلة المدى وكشف الحقائق بما يتعلّق بجرائم النظام ضد الشعب السوري مثل مجزرة حماه وملفّ الاعتقالات السياسية والاعدامات الميدانية وملف المهجرين قسرياً والمسرحين بشكل تعسفي.

– لجان مصالحة محلية تتضمن الشخصيات الوطنية والاجتماعية المؤثرة بالاستفادة من الطبيعة المجتمعية تبدأ العمل على عمليات المصالحه الوطنية والحوار الوطني عبر وسائلها المتنوعه وتراعي في تشكيلها الخصوصيات المحلية للتركيبة المجتمعية السورية.

– لجان تحكيم لحل النزاعات الصغيرة الاهلية الناشئة عن مرحلة الثورة فيما يتعلق بالافراد وتراعي القانون في حل القضايا الصغيرة والخلافات الاهلية وتعمل على المصالحة الوطنية.

– تشكل الهيئة مكتباً لتخليد الذكرى يقوم بتكريم ذكرى الشهداء والمعتقلين وانشاء الصروح التذكارية من اجل التعويض المعنوي والنفسي للمجتمع.

– ادخال مفاهيم العدالة الانتقالية ضمن العمل التربوي والمناهج المدرسية والمؤسسات الدينية والاجتماعية والثقافية.

– اصدار عفو على بعض الجرائم الصغيرة المرتبطة بالأحداث الاخيرة.

– فيما يتعلق بالجرائم المرتبطة بأحداث الثورة والتي تشمل الافراد والعصابات (الشبيحة) يستمر عمل المحاكم العادية وفق القانون السوري متماشيا مع إصلاحها بالطبع في عملية النظر في هذه الجرائم مع ضمان السرعة المنطقية في البت بها وضمان حقّ كلّ المواطنين باللجوء إلى القانون والادعاء الشخصي والمحاكمة العادلة.

– تشكيل فرق دعم نفسي واجتماعي تتبع لمكتب متخصص في الهيئة وبالتعاون مع منظمات المجتمع المدني المتخصصة من اجل علاج حالات الصدمة المرتبطة بكل انواع العنف الذي مورس على النساء والاطفال والمعتقلين من اجل اعادة تأهيلهم وتقديم الرعاية الصحية الضرورية والنقاهة اللازمة لإعادة الدمج.

o تعمل هذه الهيئة بالتعاون مع القضاء على وضع قواعد المحاسبة والمصالحة بما يخصّ أعضاء السلطة السابقة والمجموعات المسلّحة (الشبيحة) وضمان حقّ جميع المواطنين في محاكمة عادلة تؤمّن حقوقهم.

o فور إسقاط بشار الأسد ورموز السلطة، يتمّ التحفّظ والحجز على أملاك أعضاء السلطة السابقة وعائلاتهم وأقاربهم المتورّطين في نهب المال العام في الداخل والخارج، كي يعالج الموضوع ضمن قواعد يضعها الجسم التشريعي المؤقت أو البرلمان، بما في ذلك الأموال المحتجزة في الخارج.

• الوضع الاقتصادي الاجتماعي

o يتمّ تشكيل هيئة عامّة للتعويضات الاجتماعية وإعادة الإعمار، تعمل تحت إشراف الجسم التشريعي المؤقت ثمّ البرلمان، انطلاقاً من أسس العهد الوطني، على:

– إعانة المنكوبين من الأحداث الحالية، وإعادة إعمار ما تهدّم لهم من أملاك خاصّة،

– إعانة أهالي جميع الشهداء والمعتقلين والجرحى والمعاقين وتعويضهم بشكلٍ عادل.

– إعادة النازحين والمهجّرين في الداخل والخارج وتسوية أوضاعهم؛

– المساهمة مع الحكومة في إعادة إعمار البنى التحتيّة والمنشآت العامّة المتأثّرة من الأحداث، وفي تمويل الإجراءات الاقتصاديّة والاجتماعيّة العاجلة.

o توضع تحت سلطة هذه الهيئة جميع المعونات الخارجيّة والدوليّة، بالتنسيق مع الجهات المانحة. وتصرف من مخصّصاتها مخصّصات هيئة المحاسبة والمصالحة الوطنيّة.

o مطالبة المجتمع الدولي فور سقوط بشار الأسد بإلغاء كافّة العقوبات الشاملة المفروضة على سوريا ومؤسساتها، وأن يساعد على استعادة الدولة لأموال السلطة المحتجزة في الخارج.

o تعمل الحكومة الانتقاليّة على القيام بسياسات تعالج سريعاً خاصّة:

– إعادة إطلاق الإنتاج الاقتصادي على كافّة الصعد،

– تضخّم الأسعار،

– تأمين المواد التموينيّة الأساسيّة،

– الفقر وتفاقمه في المناطق المتضرّرة من الأحداث،

– الاحتكارات.

(تم إعداد الصياغة الأولى لهذه الوثيقة واعتمادها من قبل اللجنة التحضيرية للعرض على مؤتمر المعارضة السورية، وجرى مناقشتها في الجلسة الأولى من جلسات عمل المؤتمر، وتولت لجنة الصياغة التي شكلها المؤتمر إدخال التعديلات عليها بناءً على المقترحات المقدمة من المشاركين في المؤتمر، ثم جرى مناقشتها وإدخال بعض التعديلات الإضافية عليها واعتمادها في الجلسة الختامية للمؤتمر مساء يوم 3/7/2012).

レバノンの動き

レバノンのムスタクバル潮流に近い日刊紙『ムスタクバル』(7月4日付)は、ベカーア県ヘルメル郡でヒズブッラーがシリアで殺害されたメンバー3人の葬儀を行い、遺族の母が「息子がイスラエルとの戦闘で殉教するのなら分かりますが、なぜシリアで殺されたのですか、ハサン(・ナスルッラー)師よ」と非難したと報じた。

同紙によると、3人はシリア国内でアサド政権側について戦闘に参加していた、という。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はモスクワで記者会見を開き、「残念なことに反体制勢力の一部の代表はジュネーブ合意が受け入れられないと言い出した。またジュネーブでの会合に参加した一部の西側諸国は、宣言された声明を歪めようとしている」と非難した。

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PFLP-GCのアフマド・ジブリール書記長は、マヤーディーン・チャンネルが行ったインタビュー(7月3日付)で、アサド政権への支持を改めて表明した。

ジブリール書記長は「シリアの政府は国内において強力だ…。外国の攻撃があれば、我々はそうした問題をシリア同胞、(ヒズブッラー書記長の)ナスルッラー氏、イラン同胞と協議し、この戦いに参加する」と述べた。

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ヨルダンの聖典とスンナ協会のザーイド・ハマーダ代表は、6月にヨルダン領内に避難したシリア人の数が約20,000人に上ったと発表した。

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アナン特使付報道官のアフマド・ファウズィー氏は、ジュネーブで記者会見を開き、シリアでの政治的転換の開始を可能たらしめるには、発砲停止が不可欠であるとのアナン特使の意向を改めて明らかにした。

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フランスのフランソワ・オランド大統領はヨルダンのアブドゥッラー国王と会談した。

会談後、フランス大統領府は声明を出し、アサド政権による弾圧を非難するとともに、アナン特使の停戦案への支持を改めて表明した。

またシリアの友連絡グループ会合の準備を継続するとの意思を示した。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣はドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣と会談した。

会談後の共同記者会見で、ファビウス外務大臣は、ジュネーブでのシリア作業グループ会合の声明での合意内容が、アナン特使の仲介によって実現しなかった場合、国連安保理で国連憲章第7章に基づいた強硬措置に訴える意思を示し、「常任理事国はアナン特使の停戦案と、アサド大統領を排除したかたちでの政治的転換を支持している」と断じた。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチはシリア国内で反体制活動家らに対する体系的な拷問が行われていることを告発するレポート「Torture Archipelago: Arbitrary Arrests, Torture and Enforced Disappearances in Syria’s Underground Prisons since March 2011」を発表した。

http://www.hrw.org/sites/default/files/reports/syria0712webwcover_0.pdf

AFP, July 3, 2012、Akhbar al-Sharq, July 3, 2012, June 4, 2012、al-Baʻth, July 3, 2012、Cumhuriyet, July 3, 2012、al-Hayat, July 4, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 3, 2012, June 4, 2012、al-Mayadin, July 3, 2012、al-Mustaqbal, June 4, 2012、Naharnet.com, July 3, 2012、Reuters, July 3, 2012、SANA, July 3, 2012, July 4, 2012, July 5, 2012, July 6, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領が人民議会で承認済みだった「テロ撲滅3法」を施行、カイロで「シリア反体制勢力大会」が開かれ国外に居住する反体制活動家約250人が参加(2012年7月2日)

国内の主な動き

アサド大統領は、テロ撲滅に関する3法(2012年法律第19、20、21号)を施行した。いずれも人民議会で6月28日に承認された法案。

法律第19号(テロ撲滅法)は、「テロ行為」を「人々の間で混乱をもたらし、治安を麻痺させ、国家のインフラに損害を与え、武器・爆弾などをもって恐怖を与えるすべての行為」と定義し、また「テロ組織」を「テロ行為を目的とした3人以上の集団」と定義し、それぞれを刑事罰に処することを定めている。

具体的には、テロ行為を行ったものに対して最高で無期懲役刑を科すことを定めている。

また、テロ組織の結成、組織、運営に関わった者に10~20年の懲役刑、テロ組織のメンバーに7年の懲役刑、テロ組織への資金支援者・教練者に10~20年の懲役刑、武器等の提供者に懲役15年(ただし武器提供の結果、殺人が発生した場合は死刑)を科すことを定めている。

法律第20号は、テロ活動を実行した公務員、テロ集団に所属した公務員、物心面でテロを支援した公務員の解職を定めている。

法律第21号は、誘拐罪に対して10~20年の懲役刑を科すことを定めている。

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『ワタン』(7月2日付)は、進歩国民戦線加盟政党以外の与党および野党からなる国民民主ブロックが現政権と反体制勢力双方が参加する「国民救済内閣」の発足を通じた危機解消と多元的民主的市民国家建設をもとめるイニシアチブ草案を発表したと報じた。

それによると、同イニシアチブ草案は、①シリア社会のすべての構成要素からなる制憲協会の設置(第1~2ヵ月目)、②同協会による新憲法草案作成および、軍事裁判所長を首座とする無所属委員会の設置、選挙法案作成、恩赦、被害者補償、国際機関参加のもとでの国民合意大会の開催(第3~4ヵ月目)、③国際機関による新憲法、選挙法、政党法などの実施状況監視(第5~7ヵ月目)、という3段階からなる。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会によると、ドゥーマー市に軍・治安部隊の兵士数百人と戦車数十両が進入し、掃討作戦を行った。

シリア革命総合委員会によると、ハムーリーヤ市の農園が軍・治安部隊による砲撃に曝された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で迫撃砲が着弾し、4人が死亡した。

一方、SANA(7月2日付)によると、ダイル・ザウル市で、治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(7月2日付)によると、アアザーズ市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト多数を殺害した。

また、アレッポ市西部では治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、前者が2人、後者が多数死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市での砲撃により1人が死亡した。

また同監視団や地元調整諸委員会によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区やタッルカラフ市も砲撃に曝された。

一方、SANA(7月2日付)によると、武装テロ集団がマリーミーン村の襲撃を試みたが、村人によって撃退された。

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ハマー県では、シリア人権監視団やシリア革命総合委員会によると、ハルファーヤー市やドゥーマー村に対する軍・治安部隊の掃討作戦が続いた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、東ガーリヤ町、西ガーリヤ村、ヌアイマ村に対する軍・治安部隊の砲撃・掃討作戦が続いた。

シリア反体制勢力大会(カイロ)

アラブ連盟の主催のもと、カイロでシリア反体制勢力大会が開催され、主にシリア国外に滞在する反体制活動家約250人が出席した。

al-Hayat, July 3, 2012
al-Hayat, July 3, 2012

参加したのは、シリア国民評議会、シリア・クルド国民評議会、民主的諸勢力国民調整委員会、シリア民主フォーラム、シリア・アラブ部族評議会、シリア民主世俗主義諸勢力連立、自由革命家連合、シリア革命調整連合(スハイル・アタースィー女史)、シリアのための国民行動グループ(アフマド・ラマダーン)など。

大会には、アラブ連盟首脳会議議長国のイラク、連盟の今期の議長国であるクウェート、シリア危機に関する委員会の議長国であるカタールの外務大臣、アナン特使が出席したほか、そしてシリアの友連絡グループを代表した、トルコ、チュニジア、フランスの外務大臣が招聘された。

大会では、準備委員会が準備した二つの文書、①新憲法制定のための「国民誓約文書」案、②アサド政権打倒および政権打倒後の移行期間に関する「政権打倒・移行期間文書」案の審議が予定されている。両文書の原案はhttp://alhayat.com/Details/415574

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は開会式で「シリア国民の犠牲は…党派間の対立以上に深刻だ。反体制勢力が統一できないと非難する者たちにチャンスを与えようにしなければならない。隊列を統一せねばならない」と力説した。

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開会式に出席したエジプトのムハンマド・ムルシー大統領は、「シリア国民の闘争の勝利と、国民の合法的且つ公正な要求すべての実現のための実質的なステップ」を踏み出すようシリアの反体制勢力に対して呼びかけた。

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シリア・クルド国民評議会の使節団は、大会において「政治的な分権主義」を求めるとの立場を明示した。

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地元調整諸委員会報道官のリーマー・フライハーン女史は、「大会への招聘に関して多くの間違いがあり、出席できない多くの人がいる」と述べ、国内の反体制活動家の多くが大会に参加できない実情に不満を表明した。

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐は声明を出し、カイロで開催されているシリア反体制勢力大会へのボイコットを宣言した。

声明において、サアドッディーン大佐は「我々は、シリアの反体制勢力がカイロで開催している陰謀の大会への参加をボイコット、拒否する…。カイロで開かれている陰謀は、シリア国民の救済・保護のための国際的な軍事介入を拒否し、安全地帯、人道回廊、飛行禁止空域、そして国内の自由シリア軍への武器支援といったきわめて重要な問題を無視している…。(大会は)シリア政府の救済、政権との対話、罪人バッシャール・アサドが作り出した戦争政府において国民や子供を殺害している者たちとの合同政府の発足を求めたジュネーブ大会の危険な決定を受けるかたちで開催されている…。殺人犯罪集団とのいかなる対話や交渉も拒否する」と述べた。

なお同声明は、無所属革命運動との共同声明として発表された。

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このほか、調整連携事務局、そして各地の軍事評議会も、自由シリア軍国内合同司令部と同じく、カイロでのシリア反体制勢力大会をボイコットした。

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国内で反体制活動を続けるダマスカス民主変革宣言のアリー・アブドゥッラー氏は、カイロでのシリア反体制勢力大会に関して、「新たなことも重要なこともそこからは生じないだろう」と述べた。

AKI(7月2日付)が報じた。

その他の反体制勢力の動き

シリア国民評議会メンバーのファウワーズ・タッルー氏(イスタンブール在住)は、シリアの反体制勢力内にイスラーム主義者がいることの恐怖を米国が克服し、対戦車ロケット砲、ヘリコプターなどを供与すべきだとの見解を示した。

ロイター通信(7月2日付)が伝えた。

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シリア人権監視団は、6月30日に軍・治安部隊がダマスカス郊外県ザマルカー町の葬儀を砲撃し、65人が犠牲となったと発表した。

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シャームの民にヌスラ戦線は声明を出し、ダマスカス郊外県でのイフバーリーヤ・チャンネル施設に対するテロを認めた。

SANA(7月2日付)が報じた。

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アナトリア通信(7月2日付)は、シリア軍の上級士官3人、下士官18人、兵士85人が離反し、家族とともにトルコ領内に避難した、と報じた。その数は同報道によると、293人にのぼる、という。

レバノンの動き

LBC(7月2日付)などによると、シリア軍が北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方に進入し、レバノンの総合情報総局の兵士2人を約1時間拘束した。

ミシェル・スライマーン大統領はこの事件に関して、国際法違反だと非難の意を示した。

またマルワーン・シルビル内務地方自治大臣も「シリア軍には身柄拘束する権限はない…。受け入れられない」と非難した。

その後、総合情報総局は声明を出し、出入国管理センターを襲撃した武装集団を追跡して、シリア軍がワーディー・ハーリド地方内に進入したと発表した。

なおこの襲撃により、シリアの国境警察1人が負傷した、という。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は党機関誌『アンバー』で、「シリア国民はいずれ犯罪集団を打倒するだろう」と述べ、アサド政権を批判するとともに、ロシアとイランに対して、シリア政府ではなくシリア国民を支持するよう呼びかけた。

諸外国の動き

トルコ軍司令部は、F16戦闘機6機が、同国国境3カ所へのシリア軍のヘリコプター3機の接近を受け、スクランブルをかけたと発表した。

シリア軍ヘリコプターは、ハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)の国境地帯から3~4キロの地点を旋回したが、トルコ領空は侵犯しなかった、という。

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インテルファクス通信(7月2日付)は、ロシア軍消息筋の話として、シリア軍によるトルコ空軍機の撃墜に関して、撃墜がシリア領海上で行われたことを示す正確な情報をロシアが持っていると報じた。

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イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、外務安全保障委員会会合で、イランとヒズブッラーの支援がなければ、アサド政権は存続しないとの見方を示した。

AFP, July 2, 2012、Akhbar al-Sharq, July 2, 2012、AKI, July 2, 2012、al-Hayat, July 2, 2012, July 3, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 2, 2012、Naharnet.com, July 2, 2012、Reuters, July 2, 2012、SANA, July 2, 2012、al-Watan, July 2, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア作業グループ会合が閉幕声明(ジュネーブ合意)の発表に至るもアサド政権の退陣については明言せず、シリア国民評議会は「政府による弾圧の責任を追及していない」としてこれを批判(2012年7月1日)

諸外国の動き

ジュネーブで6月30日から開かれていたシリア作業グループ会合は閉幕声明(ジュネーブ合意)を発表して閉幕した。

閉幕声明は、一方でアサド大統領を含む現政権の退陣に関して明記せず、また他方で紛争の軍事化拒否を明示することで反体制武装集団とアサド政権の双方に暴力停止を等しく求めたことで、ロシア、中国、イラクの要求がほぼ満額で反映され、米英仏、カタール、トルコ、クウェートは実質的に譲歩を強いられたかたちとなった。

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ジュネーブ合意の骨子は以下の通り:

1. 行政権を完全に有する移行期統治機関を発足する。

2. シリア政府はアナン特使停戦案と暫定移行計画実施のため、特使の要請のもと対話を行う実質的代表を指名する。

3. 移行期統治機関はアサド政権と反体制勢力からなり、当事者間の総意に基づき発足する。

4. シリア社会のすべての当事者が国民対話のプロセスに参加する。

5. 憲法の再検討および法改革を行い、その結果はシリア国民の合意に委ね、再検討・改革のちに自由選挙を実施する。

6. 司法のもとで被害者の補償を行う。

7. すべての当事者がアナン特使の停戦案を改めて支持し、暴力、発砲を停止し、UNSMISに協力する。

8. シリア作業グループは紛争の軍事化をめざす集団に反対する。

9. 反体制勢力は停戦案および暫定移行計画の実行のため実質的な代表者を指名すべく結束を図る。

英語全文(http://www.un.org/News/dh/infocus/Syria/FinalCommuniqueActionGroupforSyria.pdf)は以下の通り:

Action Group for Syria

Final Communiqué 30/06/2012

1. On 30 June 2012, the Secretaries-General of the United Nations and the League of Arab States, the Foreign Ministers of China, France, Russia, United Kingdom, United States, Turkey, Iraq (Chair of the Summit of the League of Arab States), Kuwait (Chair of the Council of Foreign Ministers of the League of Arab States) and Qatar (Chair of the Arab Follow-up Committee on Syria of the League of Arab States), and the European Union High Representative for Foreign and Security Policy met at the United Nations Office at Geneva as the Action Group for Syria, chaired by the Joint Special Envoy of the United Nations and the League of Arab States for Syria.

2. Action Group members came together out of grave alarm at the situation in Syria. They strongly condemn the continued and escalating killing, destruction and human rights abuses. They are deeply concerned at the failure to protect civilians, the intensification of the violence, the potential for even deeper conflict in the country, and the regional dimensions of the problem. The unacceptable nature and magnitude of the crisis demands a common position and joint international action.

3. Action Group members are committed to the sovereignty, independence, national unity and territorial integrity of Syria. They are determined to work urgently and intensively to bring about an end to the violence and human rights abuses and the launch of a Syrian-led political process leading to a transition that meets the legitimate aspirations of the Syrian people and enables them independently and democratically to determine their own future.

4. To secure these common objectives, the Action Group members (i) identified steps and measures by the parties to secure full implementation of the six-point plan and Security Council resolutions 2042 and 2043, including an immediate cessation of violence in all its forms; (ii) agreed on guidelines and principles for a political transition that meets the legitimate aspirations of the Syrian people; and (iii) agreed on actions they would take to implement the above in support of the Joint Special Envoy’s efforts to facilitate a Syrian-led political process. They are convinced that this can encourage and support progress on the ground and will help to facilitate and support a Syrian-led transition.

Identified steps and measures by the parties to secure full implementation of the six-point plan and Security Council resolutions 2042 and 2043, including an immediate cessation of violence in all its forms

5. The parties must fully implement the six-point plan and Security Council resolutions 2042 and 2043. To this end:

A – All parties must re-commit to a sustained cessation of armed violence in all its forms and implementation of the six-point plan immediately and without waiting for the actions of others. The government and armed opposition groups must cooperate with UNSMIS with a view to furthering the implementation of the above in accordance with its mandate.

B – A cessation of armed violence must be sustained with immediate, credible and visible actions by the Government of Syria to implement the other items of the six-point plan including:

a – Intensification of the pace and scale of release of arbitrarily detained persons, including especially vulnerable categories of persons, and persons involved in peaceful political activities; provision without delay through appropriate channels of a list of all places in which such persons are being detained; the immediate organization of access to such locations; and the provision through appropriate channels of prompt responses to all written requests for information, access or release regarding such persons;

b – Ensuring freedom of movement throughout the country for journalists and a non-discriminatory visa policy for them;

c – Respecting freedom of association and the right to demonstrate peacefully as legally guaranteed.

C – In all circumstances, all parties must show full respect for UNSMIS’ safety and security and fully cooperate with and facilitate the Mission in all respects.

D – In all circumstances, the Government must allow immediate and full humanitarian access to humanitarian organizations to all areas affected by the fighting. The Government and all parties must enable the evacuation of the wounded, and all civilians who wish to leave to do so. All parties must fully adhere to their obligations under international law, including in relation to the protection of civilians.

Agreed Principles and Guide-lines for a Syrian-led transition

6. Action Group members agreed on the following ‘Principles and Guide-lines on a Syrian-led transition’:

Any political settlement must deliver to the people of Syria a transition that:

• Offers a perspective for the future that can be shared by all in Syria;

• Establishes clear steps according to a firm time-table towards the realization of that perspective;

• Can be implemented in a climate of safety for all, stability and calm;

• Is reached rapidly without further bloodshed and violence and is credible.

I. Perspective for the Future

The aspirations of the people of Syria have been clearly expressed by the wide range of Syrians consulted. There is an overwhelming wish for a state that:

• Is genuinely democratic and pluralistic, giving space to established and newly emerging political actors to compete fairly and equally in elections. This also means that the commitment to multi-party democracy must be a lasting one, going beyond an initial round of elections.

• Complies with international standards on human rights, the independence of the judiciary, accountability of those in government and the rule of law. It is not enough just to enunciate such a commitment. There must be mechanisms available to the people to ensure that these commitments are kept by those in authority.

• Offers equal opportunities and chances for all. There is no room for sectarianism or discrimination on ethnic, religious, linguistic or any other grounds. Numerically smaller communities must be assured that their rights will be respected.

II. Clear Steps in the Transition

The conflict in Syria will only end when all sides are assured that there is a peaceful way towards a common future for all in Syria. It is therefore essential that any settlement provides for clear and irreversible steps in the transition according to a fixed time frame. The key steps in any transition include:

• The establishment of a transitional governing body which can establish a neutral environment in which the transition can take place. That means that the transitional governing body would exercise full executive powers. It could include members of the present government and the opposition and other groups and shall be formed on the basis of mutual consent.

• It is for the Syrian people to determine the future of the country. All groups and segments of society in Syria must be enabled to participate in a National Dialogue process. That process must not only be inclusive, it must also be meaningful—that is to say, its key outcomes must be implemented.

• On this basis, there can be a review of the constitutional order and the legal system. The result of constitutional drafting would be subject to popular approval.

• Once the new constitutional order is established, it is necessary to prepare for and conduct free and fair multi-party elections for the new institutions and offices that have been established.

• Women must be fully represented in all aspects of the transition.

III. Safety, stability and calm

Any transition involves change. However, it is essential to ensure that the transition can be implemented in a way that assures the safety of all in an atmosphere of stability and calm. This requires:

• Consolidation of full calm and stability. All parties must cooperate with the transitional governing body in ensuring the permanent cessation of violence. This includes completion of withdrawals and addressing the issue of the disarming, demobilization and reintegration of armed groups.

• Effective steps to ensure that vulnerable groups are protected and immediate action is taken to address humanitarian issues in areas of need. It is also necessary to ensure that the release of the detained is completed rapidly.

• Continuity of governmental institutions and qualified staff. The public services must be preserved or restored. This includes the military forces and security services. However, all governmental institutions, including the intelligence services, have to perform according to human rights and professional standards and operate under a top leadership that inspires public confidence, under the control of the transitional governing body.

• Commitment to Accountability and National Reconciliation. Accountability for acts committed during the present conflict must be addressed. There also needs to be a comprehensive package for transitional justice, including compensation or rehabilitation for victims of the present conflict, steps towards national reconciliation and forgiveness.

IV. Rapid steps to come to a Credible Political Agreement

It is for the people of Syria to come to a political agreement, but time is running out. It is clear that:

• The sovereignty, independence, unity and territorial integrity of Syria must be respected.

• The conflict must be resolved through peaceful dialogue and negotiation alone. Conditions conducive to a political settlement must now be put in place.

• There must be an end to bloodshed. All parties must re-commit themselves credibly to the six-point plan. This must include a cessation of armed violence in all its forms and immediate, credible and visible actions to implement items 2-6 of the six-point plan.

• All parties must now engage genuinely with the Joint Special Envoy. The parties must be prepared to put forward effective interlocutors to work expeditiously towards a Syrian-led settlement that meets the legitimate aspirations of the people. The process must be fully inclusive to ensure that the views of all segments of Syrian society are heard in shaping the political settlement for the transition. The organized international community, including the members of the Action Group stands ready to offer significant support for the implementation of an agreement reached by the parties. This may include an international assistance presence under a United Nations Mandate if requested. Significant funds will be available to support reconstruction and rehabilitation.

Agreed actions Group members will take to implement the above in support of the Joint Special Envoy’s efforts to facilitate a Syrian-led political process

7. Action Group members will engage as appropriate, and apply joint and sustained pressure on, the parties in Syria to take the steps and measures outlined in paragraph 5.

8. Action Group members are opposed to any further militarization of the conflict.

9. Action Group members underscore to the Government of Syria the importance of the appointment of an effective empowered interlocutor, when requested by the Joint Special Envoy to do so, to work on the basis of the six-point plan and this communiqué.

10. Action Group members urge the opposition to increase cohesion and be in a position to ensure effective representative interlocutors to work on the basis of the six- point plan and this communiqué.

11. Action Group members will give full support to the Joint Special Envoy and his team as they immediately engage the Government and opposition, and consult widely with Syrian society, as well as other international actors, to further develop the way forward.

12. Action Group members would welcome the Joint Special Envoy’s further convening of a meeting of the Action Group should he deem it necessary to review the concrete progress taken on all points agreed in this communiqué, and to determine what further and additional steps and actions are needed from the Action Group to address the crisis. The Joint Special Envoy will also keep the United Nations and the League of Arab States informed.

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリア作業グループ会合の声明に関して、アサド大統領が退任しなければならないと明記されておらず、挙国一致政府からいかなる集団も排除することも条件とはなっていないと述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、シリア作業グループ会合の声明が、アサド大統領に退任を求める明白なメッセージである点を強調、「アサドは去らねばならないだろう」と述べた。

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イラクのホシェリ・ゼバリ外務大臣は、『ハヤート』(7月2日付)に対して、「会合では、ロシアとアメリカがシリアの政治的転換プロセスに関して何らかの相互理解に達したような空気だった」と述べた。

またロシアがアサド大統領の退任に同意したか否かに関して、ゼバリ外務大臣は、米国とロシアが「移行プロセスをめぐって意見の対立はなかった。しかし制御が失われないよう充分検討されたプロセスをもって転換は行われねばならない。サラフィー主義者やムスリム同胞団が権力を掌握してはならないということだ」と付言した。

一方、イラク政府がアサド政権を支持しているとの見方に関しては、「まったく正しくない…。我々はシリアと断交していないが…、シリア政府に武器も、石油も、資金も供与していない」と否定しつつ、「シリアでの転換後に我々の国境に紛争が波及することを恐れている」と述べた。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、イラン国営テレビ(7月1日付)に対して、シリア作業グループ会合の声明に関して、米露の緊張が激化し…成功しなかった」と述べた。

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トルコ軍参謀本部は、インターネットで声明を出し、6月30日にシリア軍ヘリコプター複数機がハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)の国境に3度接近し、F16戦闘機をスクランブル発進させたと発表した。

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エジプトのムスリム同胞団は、「野蛮な犯罪者であるシリア政府が犯した虐殺」を強く非難し、国際社会に「シリア国民に対する攻撃にあらゆる手段で対抗」するよう呼びかけた。

シリア政府の動き

『バアス』(7月1日付)は、シリア作業グループ会合の声明に関して、「失敗に終わった」と評し、「会合は…安保理の域を脱しておらず、出席者の立場はこれまで通りだった…。シリア危機は、シリア国民の見解に依拠しない限り成功したと記され得ない」と指摘した。

またシリア国内各紙も同様に、シリア作業グループ会合に否定的な社説を掲載した。

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『ハヤート』(7月2日付)によると、ハーリド・アッブード人民議会は、シリア作業グループ会合の声明に関して、「シリア人とは関係がない」と非難、「紛争はシリア人のみによって解決され得るものであり、外国勢力の介入によっては解決しない」と述べた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市で迫撃砲弾により4人が死亡、タッル市では軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘で1人が死亡した。

Kull-na Shuraka', July 1, 2012
Kull-na Shuraka’, July 1, 2012

ドゥーマー市では、軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘で、反体制武装集団兵士1人が殺害された。

またミスラーバー市、ムウダミーヤト・シャーム市などでも軍・治安部隊の砲撃・掃討作戦が行われたが、死傷者はなかった。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、反体制武装集団の戦闘員複数が死亡した。

一方、SANA(7月1日付)によると、ダイル・ザウル市内で治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、テロリスト多数が死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町に対する砲撃で子供2人が死亡した。

また『クッルナー・シュラカー』(7月1日付)は、ダルアー県内の反体制武装集団が占拠・籠城する地域にシリア空軍が武装蜂起と投降を呼びかける治安維持部隊のビラを投下した、と報じた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハラファーヤー市近郊に展開する軍・治安部隊の発砲により女性2人を含む5人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーラト・イッザ市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。

また軍・治安部隊がアターリブ市から撤退した。反体制武装集団が同市を占拠したことを受けた撤退だという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区に対する軍・治安部隊の砲撃で3人が死亡した。また軍・治安部隊によって殺害されたと思われる遺体2体が発見された。

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BBC(7月1日付)は、武装したシリア人女性が反体制運動に参加している映像を放映した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー女史は、シリア作業グループ会合の声明に関して、「肯定的な要素を一部含むが、重要な点に関しては漠然としており…きわめて曖昧だ」と述べた。

カドマーニー女史は「肯定的な要素」として、「アサド家がもやは国を統治できず、移行期間を指導することもできないことを閉幕声明が示した」点、そして「転換がシリア国民の合法的な要求に合致しなければならない、とすることで、アサド大統領の退任を表現した」点をあげた。

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一方、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン前事務局長はフェイスブック(7月1日付)で、声明を「茶番」と批判する一方、アラビーア(7月1日付)で、カドマーニー女史の声明が「シリア評議会の公式の立場を代表していない」と批判した。

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その後、シリア国民評議会は声明を出し、シリア作業グループ会合の声明を「行動のための明確なしくみや期限が明記されておらず、政府による弾圧の責任を追及しないまま放置している」と批判した。

そのうえで、国連憲章第7章に基づいて、安保理が国際的な強制力を行使し、政権への制裁などを含む措置を実行しない限り不充分だと主張した。

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地元調整諸委員会は、シリア作業グループ会合の声明に関して、「国際社会の失敗の一連の一つ」と非難した。

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ハイサム・マーリフ弁護士は、シリア作業グループ会合の声明に関して、「惨劇だ…。彼らは殺人者と交渉の席に着くよう求めている」と批判した。

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『クッルナー・シュラカー』(7月1日付)は、当局が、カイロで開催(7月2~3日)されるシリア反体制勢力大会への出席を予定していた、ファーイク・フワイジャ弁護士、バッサーム・ユースフ氏などの出国を禁止した、と報じた。

AFP, July 1, 2012, July 2, 2012、Akhbar al-Sharq, July 1, 2012, July 2,
2012、Alarabia.net, July 1, 2012、al-Baʻth, July 1, 2012、BBC, July 1, 2012、al-Hayat, July 1, 2012、July 2, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 1, 2012, July 3, 2012、Naharnet.com,
July 1, 2012、Reuters, July 1, 2012, July 2, 2012、SANA, July 1, 2012などをもとに作成。

 

(C)青山弘之 All rights reserved.

ラブロフ露外務大臣とクリントン米国務長官がシリア情勢をめぐって会談、前者はアサド大統領の排除を前提とする暫定政府構想に反対の意を示す(2012年6月29日)

アサド政権の動き

シリアのウムラーン・ズウビー情報大臣はトルコのハベル・チャンネル(6月29日付)に対して、「イスラエルの戦闘機はトルコ戦闘機に酷似しており、ともに米国製だ。おそらくシリアは(撃墜されたトルコ空軍の)戦闘機をイスラエル軍機だと考えたのだろう」と述べた。

反体制デモ

『ハヤート』(6月30日付)によると、各地で金曜礼拝後に小規模なデモが発生した。

デモはアレッポ県、イドリブ県、ハサカ県、ダルアー県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県などで散発し、参加者は全国で数千人にとどまった。

インターネットでは反体制活動の支持者が「アッラーの勝利を信じる」金曜日と銘打ってデモを呼びかけていた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(6月29日付)によると、ドゥーマー市で治安維持部隊が反体制武装集団の掃討作戦を継続し、テロリスト数十人を殺害、多数を逮捕した。

一方、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市での軍・治安部隊の掃討作戦で3人が死亡した。

ドゥーマー調整は「女、子供、そして自分自身を守るための市民がドゥーマー市を去る手段を欲しているが、アサドの悪党どもが去ることを阻止している」と発表し、軍・治安部隊の包囲により住民の避難が阻止されていると主張した。

またムウダミーヤト・シャーム市では、軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍兵士3人が殺害された。

『クッルナー・シュラカー』(6月30日付)は、反体制武装集団がマルジュ・スルターン航空基地を破壊し、ヘリコプター3機を破壊した、と報じたが真偽は定かでない。

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ラタキア県では、SANA(6月29日付)によると、ハッファ地方で関係当局が武装テロ集団のアジトを強制捜査し、大量の武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月29日付)によると、ダイル・ザウル市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、ムハンマド・イドリース氏が率いるテロリスト全員を殺害した。

一方、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での軍・治安部隊の掃討作戦で1人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(6月29日付)によると、ハマー市郊外で治安維持部隊が武装テロ集団のメンバー多数を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

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ヒムス県では、SANA(6月29日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区で、軍・治安部隊による武装テロ集団掃討作戦が続けられ、テロリスト多数が殺害された。

一方、シリア人権監視団によると、タッルドゥー市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍兵士2人が殺害された。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

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イドリブ県では、在外の反体制武装集団筋によると、シリア軍がトルコ国境から約4キロの地点を攻撃ヘリコプターで砲撃した。

しかし、ヘリはトルコ軍が国境地帯に配備している防空システムの射程内には入らなかった、という。

一方、人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン地方で軍・治安部隊の要撃により反体制武装集団の司令官1人が殺害された。

またマアッラト・ニウマーン市の検問所で1人が射殺され、ライヤーン村でも2人が砲撃で死亡した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市、ダーイル町で各1人が射殺された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のサラーフッディーン地区で治安部隊が発砲し、多数が負傷した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍最高軍事評議会のムスタファー・シャイフ准将(トルコ在住)はロイター通信(6月29日付)などに対して、シリア軍の戦車約170輌、兵士2,500人がトルコ国境に近いムスリミーヤ村近郊の歩兵学校に集結していることを明らかにした。

シャイフ准将によると戦車のほとんどが第7機甲師団の所属で、トルコ軍の国境地帯への地対空ミサイルなどの増強に対する再展開か、国境地帯の反体制武装集団に対する掃討作戦が目的だ、と述べた。

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ザマーン・ワスル(6月29日付)は、自由シリア軍が28日に拉致したファラジュ・シハーダ・マクト空軍少将と、2011年9月にトルコからシリアに引き渡されたとされる離反兵のフサイン・ハルムーシュ大佐(自由将校運動司令官)との「捕虜交換」の交渉を当局と行っている、と報じた。

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Elaph.com(6月29日付)は、7月2、3日にカイロで開催予定のシリアの反体制勢力の大会で審議される「国民誓約文書」草案における憲法案の内容について報じた。

それによると、新憲法案は、シリアをアラブ世界の一部と位置づけつつ、クルド人、アッシリア人、トルクメン人といったエスニック集団の民族としての権利を認める文言を含んでいる、という。

また大統領の資格に関して、宗教・宗派、民族、性別にかかわらず立候補できる、としている。

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「シリア抗議行動統計無所属センター」なる団体によると、反体制デモは全国540カ所で740件発生したとの集計結果を発表した。

http://iscsp.wordpress.com/
http://iscsp.wordpress.com/

その内訳は以下の通り:イドリブ県156、ハマー県145、アレッポ県126、ダマスカス県62、ダマスカス郊外県60、ダイル・ザウル県55、ダルアー県48、ハサカ県37、ラタキア県22、ヒムス県11、ラッカ県12、タルトゥース県3。

デモ参加者の総数が「数千人」だったことを鑑みると、1つのデモの参加者は多くて13人だということになる。

https://www.facebook.com/iscsp2012
http://iscsp.wordpress.com/2012/
http://goo.gl/m1Ucg

諸外国の動き

『ハヤート』(6月29日付)は、米国がイランの核開発やアフガニスタン情勢といった優先課題に対処するためにロシアの協力を必要としており、またシリアが米国の国益に直接関係がないため、シリア情勢をめぐって、軍事介入ではなく、ロシアとの協力のもとに政治的解決をめざしている、と報じた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣とヒラリー・クリントン米国務長官がサンクトペテルスブルグで会談し、シリア情勢について協議した。

『ハヤート』(6月30日付)によると、この会談でラブロフ外務大臣は、「ジュネーブでの(シリア作業グループ)会合で一部の国が押しつけようとしている出来合いの計画」を拒否するとの姿勢を示し、アサド大統領の排除を前提とする暫定政府構想に反対の意を示した。

そのうえで「会合の目的はすべての当事者の議論の扉を開き、政治的解決に向けた共通のイメージを作り、アサド大統領の退任の是非などを決するためのシリアの当事者の対話を促すことだ」と付言した。

また「シリアへの軍事支援に関して国防長官に弁明する」意思はないと述べ、軍事支援が正式な合意に基づいてなされていることを強調した。

AFP, June 29, 2012、Akhbar al-Sharq, June 29, 2012、Elaph.com, June 29, 2012、al-Hayat, June 29, 2012, June 30, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 29, 2012, June 30, 2012、Naharnet.com, June 29, 2012、Reuters, June 29, 2012、SANA, June 29, 2012、Zaman al-Wasl, June 29, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がインタビューに応え国内で活動するアル=カーイダ系組織に関する警鐘を鳴らしたうえで反体制勢力を支援している西側諸国を非難、一方ダマスカス県では爆弾テロが発生し負傷者多数(2012年6月28日)

アサド政権の動き

アサド大統領はイラン国営放送(第4チャンネル、6月28日付)のインタビューに応え、西側諸国が反体制勢力を密かに支援していると非難した。

SANA, June 29, 2012
SANA, June 29, 2012

アサド大統領は「西側諸国と一部の(中東)地域の国々が…シリアの武装集団を支援していることは明らかだ…。我々には…これらの国が介入していることを示す物的証拠はない…。支援はほとんどの場合、密かにそして間接的になされており、各国政府は直接には関与してない…。しかし、これらの国々の政治的姿勢を見ると関与はきわめて明白である。一部の国は武装闘争を支援しているとさえ公言しているのだから」と述べた。

アナン特使の停戦案に関しては、「停戦案が失敗したと言うことは間違いだ。アナン特使の停戦案を支援するといっている者たち(西側諸国)は、実際にはそれを頓挫させ、国連安保理でシリアを非難できるようにしようとしている…。我々にとってそれは良い案だ。なぜなら、テロ集団の暴力停止や一部の国による武器供与停止を謳っているからだ…。現在もそして今後も有効だ」と述べた。

そのうえで「アル=カーイダを初めとする宗教的に過激な集団がテロに関与している」と付言した。

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イラン国営放送のインタビューに関して、SANA(6月29日付)がアサド大統領の発言内容の詳細を報じた。

同通信社によると、アサド大統領はインタビューで、堅固な国内状況が外国による武器資金提供といった介入の成功を阻止する真の障壁となっている、と述べた。

またアナン特使の停戦案に関して、今後も有効であり続けるとしたうえで、同案がテロ集団による犯罪行為の停止と外国によるテロ集団への武器資金供与の停止を求めている点をとりわけ高く評価していると語った。

そのうえで、西側諸国と一部地域諸国はアナン特使を支持しつつ、停戦案を失敗させることで、シリアを非難し、シリアに対抗するための決議を安保理で採択しようとしている、と批判した。

西側諸国による武力介入の可能性に関しては、「彼らにわずかながら残されている知性が、軍事行動に向かうことを抑えるだろう。なぜならこの地域は地政学的に重要であり、その社会的構成は「活断層」を形成しているからだ」と述べた。

一方、アサド大統領は、シリアがレジスタンス(イスラエルの占領に対する抵抗)、アラブ・イスラームの権利を支持するという政治的姿勢をとってきたため、歴史を通じて常に外国の介入の試みに直面し、大国間の主戦場となってきた、と指摘した。

そのうえで、「シリアは、西側の方針ではなく、愛国的大衆的方針に基づき政策を築いてきたがゆえ、民衆が断念しない限りはパレスチナなどをめぐるレジスタンスを継続する」と強調した。

他方、アサド大統領は現下のシリアをめぐる動きには「さまざまな側面がある。パレスチナ、イラク、レバノンなどの諸問題をめぐるシリアの政治敵姿勢に反対する国が地域には複数あり、これらの国は現状がシリアが弱化・粉砕する好機だと考えている。またシリアの姿勢に必ずしも反対していないが、外国の意思に従わざるを得ない国や、自国および自国民の意思を明示できない国もある」と述べた。

国内での暴力に関しては、さまざまな外国人や宗教過激派が当初から殺戮を行っており、その数は現在増加しているとしたうえで、「アル=カーイダがシリアにいる。逮捕したメンバーは犯罪行為を行ったと自供している。アル=カーイダは米国が作り出し、アラブ(湾岸)諸国が資金援助している」と非難した。

紛争解決をめぐる国際社会の動きに関しては、「非シリア的、非愛国的なモデルが大国によって押しつけられることをシリアは受け入れない」と述べ、シリア人による政治的解決を主唱するロシア、中国、イランの姿勢を「客観的」と評価した。

またトルコに関しては、政府と国民を区別する必要があるとしたうえで、トルコ国民がシリアの実情の多くを知っており、その姿勢は好意的であると評価した。

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SANA(6月28日付)は、人民議会が、テロ活動を実行した公務員、テロ集団に所属した公務員、物心面でテロを支援した公務員の解職を定めた法案を可決した、と報じた。

同法案は近く大統領によって施行される見込み。

アナン特使の停戦イニシアチブ(「シリア作業グループ」会合)をめぐる動き

西側外交筋によると、アナン特使は、現政権と反体制勢力からなる暫定政府を樹立し、紛争の平和解決をめざす新提案を提示した。AFP(6月28日付)が伝えた。

SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012

同外交筋によると、「アナン特使が描いているイメージにおいては、アサド大統領だけでなく、一部の反体制勢力高官も排除する可能性も提案されている」。

一部西側外交筋によると、この提案は、30日にジュネーブで予定されている「シリア作業グループ」会合会合で、米国、イギリス、フランスだけでなく、ロシアと中国にも支持され、ロシアはアサド大統領の退任に同意した、というが、別の西側外交筋はこれを否定した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、シリアに「過渡期」が必要で、変革を支持するとしつつ、「外国からシリアにいかなる解決策を課すことも支持しない」と述べ、アナン特使が提案しているとされる暫定政府構想に同意したとの一部西側外交筋の発言を否定した。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア・アラブ・テレビ(6月28日付)などによると、マルジャ地区の裁判所前の駐車場で爆弾が2発爆発し、3人が負傷、車複数台が大破した。

同報道によると、爆弾は3発仕掛けられていたが、3発目は爆弾処理班によって撤去された。

SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012

 

SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012

また治安筋によると、仕掛け爆弾は磁石で車の下にとり付けられていた、という。

ハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)入り口に位置し、通行人の往来が激しい場所で白昼発生したこのテロで死者が1人も出なかったのは奇跡的だと言える。

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ヒムス県では、SANA(6月28日付)によると、カルアト・ヒスン市で武装テロ集団がバアス大学石油化学工学部教授のアフラーム・イマード女史とその両親を暗殺した。

その後、通報により駆けつけた治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト10人を殺害した。

殺害されたテロリストのうち2人はアラブ人(非シリア人)だった、という。

またタッル市では、治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、指名手配中のテロリスト1人が殺害された。

ヒムス市でも治安維持部隊が活動家のハーリド・ハマドが率いる武装テロ集団のメンバー多数を殺害した。

一方、シリア人権監視団によると、カルアト・ヒスン市で反体制武装集団のメンバー4人を含む6人が軍・治安部隊の突入で死亡した。

また、クサイル市郊外、タルビーサ市、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区でそれぞれ1人が殺害された。

シリアの外務在外居住者省消息筋によると、ヒムス県旧市街に取り残されている市民、負傷者の搬出作業が、反体制武装集団の攻撃によって再び失敗した。

SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012
SANA, June 28, 2012

同消息筋によると、赤十字国際委員会とシリア赤十字社によるこの作業が失敗したのはこれで5度目。

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ダルアー県では、SANA(6月28日付)によると、カフルシャムス町で治安維持部隊が武装テロ集団のアジトに突入し、テロリストを逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

現場には、武装テロ集団が粛清したと見られるテロリストの遺体12体が発見された、という。

またカフル・ナースィジュ市でも同様の作戦が行われ、テロリスト13人が逮捕された。

一方、シリア人権監視団によると、フラーク市やジャースィム市での砲撃や戦闘で5人が死亡した。

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イドリブ県では、SANA(6月28日付)によると、イドリブ市内の農業研究センター近くで武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発し、市民1人が死亡した。

また同市内のマフバズ・アーリー地区で武装テロ集団が仕掛けた爆弾が爆発し、子供3人が死亡した。

一方、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン地方、マアッラト・ニウマーン市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍・治安部隊兵士1人と反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(6月28日付)によると、ドゥーマー市西部の農地に潜伏する武装テロ集団のアジトを治安維持部隊が攻撃し、ムハンマド・ハドル率いるテロリスト4人を殺害した。

一方、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市での軍・治安部隊と反体制武装集団との交戦で、子供3人を含む一家12人と、反体制活動家3人が死亡した。

またフムームーヤ市、アルバイン市でも軍・治安部隊と反体制武装集団との攻勢でそれぞれ1人が死亡し、アルバイン市では軍・治安部隊の兵士4人(うち1人は中尉)が反体制武装集団の要撃で殺害された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃や戦闘で8人が死亡した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、アサド大統領が残留するかたちでのいかなる政治プロセスにも参加しないと「確固たる明白な姿勢」を示し、アサド政権側に先んじてアナン特使の暫定政府構想を拒否する姿勢を明確にした。

Kull-na Shurakāʼ, June 27, 2012
Kull-na Shurakaʼ, June 27, 2012

またシリア国民評議会のサミール・ナシール氏はロイター通信(6月28日付)に対して、現政権と反体制勢力からなる暫定政府を樹立し、紛争の平和解決をめざすとするアナン特使の提案に関して、「この提案は我々にとって不明瞭だが、アサドの退任が明言されなければ、受け入れられない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アナン特使の暫定政府構想を「徒労」と批判、拒否する姿勢を明示した。

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地元調整諸委員会は声明を出し、シリアの治安当局がハマースの指導者の一人カマール・ガンナージャ氏(通称アブー・アナス・ニザール)をクドスィーヤー市の自宅で暗殺したと発表した。

AFP(6月27日付)が報じたが、真偽は確認できない。

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『クッルナー・シュラカー』(6月28日付)は、「シリア革命」支持者がフェイスブックで「私の国は何と美しいのか」と書かれたTシャツを着てバドミントンをするアスマー・アフラス大統領夫人の写真(撮影日不明)に対して「ぜいたくな生活」だとの理解不能な批判をしている、と報じた。

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自由シリア軍はユーチューブ(6月28日付)で、シリア空軍のファラジュ・シハーダ・マクト少将(中央指導部本部司令官)、軍事情報局パレスチナ課のムニール・アフマド・シュライビー准将(対テロ課)をダマスカス県アダウィーの高速道路で拉致したと発表した。

https://www.youtube.com/watch?v=Ly6iOt-mMbU&feature=player_embedded

https://www.youtube.com/watch?v=Ly6iOt-mMbU&feature=player_embedded

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ジャディード・テレビ(6月28日付)は、シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン前事務局長が26日にレバノンを密かに訪問し、レバノンの複数の高官と会談していたと報じた。

同報道によると、ガルユーン前事務局長はその後、シリアに密入国し、ヒムス市に向かったと思われる。

ガルユーン前事務局長は26日にAFPに対して、数日中にシリア国内に入り、「革命家たちを鼓舞する」と語っていた。

トルコの動き

トルコからの報道によると、トルコ軍がキリス県、ハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)に地対空ミサイルなどを増強配備した。

Youtube, June 28, 2012
Youtube, June 28, 2012

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ドーアン通信(6月28日付)は、ガズィアンテップ市に駐留する部隊および地対空ミサイルなどをキリス県の対シリア国境地帯に配備した、と報じた。

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トルコの日刊紙『タラフ』(6月28日付)は、トルコが「自国国境内に安全保障回廊」を設置するため、対シリア国境地帯に地対空ミサイルを配備したと報じた。

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トルコの日刊紙『ミッリイェト』(6月28日付)によると、地対空ミサイルを搭載した軍車輌約30輌がハタイ県の基地を発ち、対シリア国境に向かった。image12

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TNT(6月28日付)は、地対空ミサイルを装備したM113装甲兵員輸送車の車列の映像などを放映した。

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またトルコの地元メディアによると、シャンウルファから対シリア国境に向かって、装甲車を積んだ汽車が向かったという。

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なお「アフバール・シャルク」(6月28日付)はトルコの地元メディアの話として、トルコ軍の対シリア国境への展開を受けるかたちで、アレッポ県の対トルコ国境沿いに位置するアイン・アラブ市でクルディスタンの「国旗」を掲揚した装甲車が複数展開していた。

アナトリア通信(6月28日付)によると、これらの旗は28日朝には下ろされていた。

諸外国の動き

NATO軍事委員会のクヌード・バルティルス議長は、「すべての政治的な手段が尽くされるまで、シリアとイランへの軍事的介入はなされないだろう」と述べた。

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UNHCRのパノス・ムムツィス(Panos Moumtzis)シリア難民担当調整官は、シリアから周辺諸国に避難した避難民の数が185,000人に上ると述べた。

AFP, June 28, 2012、Akhbar al-Sharq, June 28, 2012, June 29, 2012、al-Hayat, June 29, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 28, 2012、Naharnet.com, June 28,
2012、Reuters, June 28, 2012、SANA, June 28, 2012, June 29, 2012などをもとに作成。

 

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス郊外県でイフバーリーヤ放送局が武装集団に襲撃され民間人を含む複数名が死亡、アナン特使が6月30日にジュネーブで「シリア作業グループ」会合を開催すると発表(2012年6月27日)

イフバーリーヤ・チャンネル襲撃

ダマスカス郊外県では、イフバーリーヤ・チャンネル(テレビ局)の消息筋によると、ドゥルーシャー市にある同チャンネル施設を午前4時半頃、武装集団が襲撃し、記者3人と守衛4人を殺害し、施設を爆破、機材などを盗んだ。

SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012

被害者のなかには手を縛られ殺された者もいた。

またこの襲撃で9人が負傷し、7人が誘拐された。

ウムラーン・ズウビー情報大臣は現場を視察し、記者団を前に事件を「報道の自由と報道倫理に対する虐殺行為」と非難した。

SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012

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SANA(6月27日付)は、シリアの報道関係者らがダマスカス県内のラジオ・テレビ機構前でイフバーリーヤ・チャンネルに対する「テロ」に抗議する座り込みを行った。

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SANA(6月27日付)は、人民議会がイフバーリーヤ・チャンネルに対する「テロ」を非難する決議を採択した、と報じた。

また進歩国民戦線加盟政党やジャーナリスト連合なども相次いで非難声明を出した。

国内でのその他の暴力

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マヤーディーン市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、軍・治安部隊の兵士少なくとも10人が殺害された。

また軍・治安部隊の兵士15人が離反した、という。

一方、SANA(6月27日付)によると、ダイル・ザウル市内で治安維持部隊と武装テロ集団の交戦が続き、テロリスト多数が殺害された。

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ダマスカス郊外では、SANA(6月27日付)によると、ドゥーマー市で治安維持部隊が道路封鎖を試みた武装テロ集団と交戦し、ムハンマド・ワリード・イドリース、ウマル・ダルウィーシュらテロリスト3人を殺害した。

一方、シリア革命総合委員会によると、ダイル・アサーフィール市に対して、軍・治安部隊が砲撃を加えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊がハーン・スブル村に対して砲撃を加えた。同市では26日からの反体制武装集団と軍・治安部隊が交戦している、という。

SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012
SANA, June 27, 2012

一方、SANA(6月27日付)によると、アイン・ハムラー村で街道を封鎖しようとした武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、テロリスト4人を殺害した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が県北東部のマンナグ航空基地を襲撃した。

これに対して、軍・治安部隊がマンナグ村に進軍し、逮捕・摘発活動を行った、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区に対する砲撃を継続した。

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ダルアー県では、シリア革命総合委員会によると、ダルアー市で続けられているゼネストによりライフラインが逼迫している、という。

国内のその他の動き

『クッルナー・シュラカー』(6月27日付)は、シリア当局がビジネスマンのフィラース・トゥラース氏と、俳優のジャマール・スライマーン氏を反体制運動に資金援助しているとの容疑で指名手配したと報じた。

フィラース・トゥラース氏はムスタファー・トゥラース元国防長官の長男で、トゥラース家はヒムス県ラスタン市出身。

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『クッルナー・シュラカー』(6月27日付)は、シリア共産党ウィサール・ファルハ・バクダーシュ派のアンマール・バクダーシュ書記長が、カドリー・ジャミール議員(変革解放人民戦線、人民意思党)の入閣に不快感を示している、と報じた。

Kull-na Shurakāʼ, June 27, 2012
Kull-na Shurakaʼ, June 27, 2012

カドリー・ジャミール議員は、シリア共産党ウィサール・ファルハ・バクダーシュ派のもとメンバーで、2000年代初めに離党し、シリア共産主義者国民統一委員会(通称シリア共産党カースィユーン派)を結成、その後、シリア民族社会党インティファーダ派などとともに変革解放人民戦線を結成し、5月の人民議会選挙で5議席を獲得、入閣していた。

なおシリア共産党バクダーシュ派とともにユースフ・ファイサル派が与党連合の進歩国民戦線に加盟している。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会の連絡事務所筋は、評議会が5月からトルコとヨルダンの避難民キャンプにいる自由シリア軍の士官や義勇兵への給与振り込みを開始した、と述べ、振込がなされていないとのリヤード・アスアド大佐司令官の発言を否定した。

また国内で戦う離反兵や戦闘員に関しても、近く給与支払いが開始されると述べた。

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シリア国民評議会は、シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー女史が反体制活動家とともに銃を握って映っている写真に関して、カドマーニー氏の写真ではない、と否定した。

Kull-na Shurakāʼ, June 27, 2012
Kull-na Shurakaʼ, June 27, 2012

写真はトルコのウェブサイトに掲載されたとして「シリア・ポリティク」(6月14日付)が公開していた。

http://www.syria-politic.com/ar/Default.aspx?subject=754#.T-njP_XDdmo

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ドイツなどで活動する反体制組織、シリア近代民主党は、イフバーリーヤ・チャンネルに対する「テロ」に関して、「シリア政府に従うメディア、とりわけイフバーリーヤとドゥンヤー・チャンネルは…「テロと専制の特権を与えられた機関」であり…、革命にとって合法的標的だ」と述べ、反体制武装集団による襲撃を是認した。

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シリア革命総合委員会報道官のハーニー・アブドゥッラーなる活動家は、AKI(6月27日付)に対して、赤十字国際委員会とシリア赤新月社によるヒムス市内の負傷者および住民の搬出作業が、軍・治安部隊の砲撃によって再び失敗したと述べた。

同活動家によると、搬出作業が失敗したのはこれで3度目。

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シリア国民評議会は、声明を出し、ダイル・ザウル市および周辺都市が数週間に及ぶ軍・治安部隊の砲撃により「被災都市」となったと発表し、シリア国民ではなく、国際社会に対してアサド政権の暴力停止のための行動を求めた。

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『デイリー・テレグラフ』(6月27日付)は、アレッポ軍事病院の集中治療科長で最近トルコに避難した軍医の証言をもとに、逮捕された反体制活動家の負傷者が拷問、放置されたり、反体制運動に関する情報提供量によって異なった治療を受けている、と報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(6月27日付)は、6月18日にダマスカス県カフルスーサ区で逮捕されたイサーム・タキー弁護士ら反体制活動家数十人がダマスカス検察庁に告訴されたと報じた。

諸外国の動き

アナン特使は、6月30日にジュネーブで「シリア作業グループ」会合を開催すると発表した。

会合は外相レベルで行われ、安保理常任理事国代表が参加するほか、トルコ、EU、国連事務総長の代表、そしてカタール、クウェート、イラクの代表がアラブ連盟の代表として招聘された。

イランとサウジアラビアは招聘されなかった。

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6月30日にジュネーブで開催予定の「シリア作業グループ」会合に関して、ロシアのヴィタリー・チュルキン国連代表大使は『ハヤート』(6月28日付)に、イランとサウジアラビアが招聘されなかったことへの遺憾の意を示した。

チュルキン国連代表大使は「シリアの移行プロセスは、政府と反体制勢力の政治プロセスへの参加を通じて、シリア人によって決せられねばならない…。イランがジュネーブでの会合に参加しないのは残念だ…。彼ら(サウジアラビア)も影響力のある当事者であるため、招待されねばならなかった。しかし、アラブ連盟によって(同国は)代表されている…と考える」と述べた。

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フランス外務省報道官は、6月30日にジュネーブで開催予定の「シリア作業グループ」会合に関して、「シリアでの民主的転換の原則やプロセス、そして暴力停止、人道支援…といった優先事項が合意される」と述べ、アサド政権打倒「後」の政治プロセスを議論されるべきとの意思を示した。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、6月30日にジュネーブで開催予定の「シリア作業グループ」会合に関して、「ポスト・アサド時代にシリアを導くための民主的転換を準備する」努力を支持すると述べ、危機の政治的解決をめざすアナン特使や国際社会の機運を牽制した。

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AFP(6月27日付)によると、国連人権理事会の調査委員会は、ヒムス県ハウラ地方での「虐殺」に関して、「現時点で責任者が誰だったのかを特定することはできないが、親政府の勢力が殺害の多くを行ったと思われる」と報告書で結論づけた。

2012年2月から6月のシリア国内の暴力に関する調査報告のなかで、委員会はまた「タッルドゥー市で24時間以上行われた暴力行為にはおそらく三つの当事者が参加した。シャッビーハ、親政府の民兵、そして暴力激化を望む反体制勢力ないしは外国の勢力、である…。既存の証拠に基づくと、調査委員会はこれらの仮説のいずれをも排除できなかった」とした。

さらに「一部地域では、戦闘は国際的性格を持たない武力紛争となりつつある」と述べ、事態の悪化に懸念を示した。

ヒムス県ハウラ地方での「虐殺」に関する国連人権理事会の調査委員会の報告に対して、シリアのファイサル・ハッバーズ・ハマウィー代表は「目に余るほどの政治化してこの会合に参加はしない」と述べ、会合途中で議場を退席、抗議の意を示した。

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米中東和平基金(The Foundation for Middle East Peace)は、シリア・アラブ共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師および同国のキリスト教司教・司祭からなる使節団の訪米を中止したと発表した。

中止に関して、同基金のフィリップ・ウィルコック代表は、ハッスーン師が欧米諸国で自爆攻撃が行われるだろうと述べたこと(http://www.youtube.com/watch?v=F6sJa8iiOmM)が理由だと述べた。

 

al-Hayat, June 28, 2012
al-Hayat, June 28, 2012

なお「アフバール・シャルク」(6月27日付)は、共和国護衛隊の複数の消息筋の話として、ハッスーン師らの米国派遣は、バアス党シリア地域指導部の民族治安局の提案に基づいた動きだと報じた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、軍の祝賀会に出席し、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜に関して「明白且つ差し迫った脅威」と非難したが、「いかなる国をも攻撃する意思はない」と述べ、軍事的報復を否定した。

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ロイター通信(6月27日付)は、複数の消息筋の話として、イランのタンカー3隻が近くシリアのタルトゥース港に到着し、灯油などを供給する、と報じた。

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イタリアのジュリオ・テルツィ・ディ・サンタガタ外務大臣がレバノンを訪問し、ミシェル・スライマーン大統領、ナジーブ・ミーカーティー首相、ナビーフ・ビッリー国民議会議長と相次いで会談、シリアの混乱のレバノンへの波及に危機感を示した。

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ロシアのインテルファクス通信(6月27日付)は、軍消息筋の話として、ロシア軍が近く戦闘ヘリコプターや防空システムをシリアに追加供与するだろうと報じた。

AFP, June 27, 2012、Akhbar al-Sharq, June 27, 2012、AKI, June 27, 2012、Aljazeera.net, June 27, 2012、The Daily Telegraph, June 27, 2012、al-Hayat, June 28, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 27, 2012、Naharnet.com, June 27,
2012、Reuters, June 27, 2012、SANA, June 27, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド政権がヒジャーブ内閣第1回閣議を主催し新内閣の基本方針を説明「シリアは真の戦争状態」、NATOがトルコの要請のもと緊急会合を開きトルコ空軍機撃墜事件に関して審議(2012年6月26日)

国内での主な動き

アサド大統領は6月23日に発足したリヤード・ヒジャーブ内閣の閣僚を認証、第1回閣議を主催し、新内閣の基本方針を述べた。

SANA, June 26, 2012
SANA, June 26, 2012

SANA(6月26日付)によると、アサド大統領は閣議において、「シリアが現在挑むべきは、基本物資、インフラであり…、国民の社会的構成実現のための仕組みを確立し…、行政改革、汚職撲滅、人的資源の拡充…に関わる法律を早急に実施する」よう新内閣に求めた。

また西側による制裁への対応として国営セクターの必要が増していると指摘、生産部門に関しては農業、農業加工部門、そして外国の情勢の影響に左右されない中小規模の産業を育成すべきとの方針を示した。

さらに、知的産業育成の重点化することが重要だと指摘した。

一方、外交に関しては、ロシア、東・東南・南アジア諸国、南米、アフリカ諸国との関係を強化し、そのなかで民間セクターを支援すべきとの方針を示した。

シリアをめぐる情勢に関して、アサド大統領は「人民議会での演説でも述べた通り、我々はあらゆる面で、真の戦争状態にあり…、戦争状態にあるなか、我々の政策や指導のすべて、そしてすべてのセクターはこの戦争での勝利のために向けられねばならない」と述べた。

SANA, June 26, 2012
SANA, June 26, 2012

そのうえで、新内閣がシリアの困難な状況のなかで「重大な責任」を有していると鼓舞した。

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「アフバール・シャルク」(6月26日付)は、世銀の報告書が2012年のシリアのGDP成長率がマイナス6.4%、貿易収支が16.5%の赤字になると試算したと報じた。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、クドスィーヤー市、ハーマ町、ダマスカス県ドゥンマル区にある共和国護衛隊の施設や士官の自宅周辺で、反体制武装集団と軍・治安部隊が激しく交戦した。

ロンドンの反体制組織、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長がAFP(6月26日付)に明らかにした。

クドスィーヤー市、ドゥンマル区には共和国護衛隊の士官や公務員、有識者が多く暮らしている。

またシリア革命総合委員会によると、ミスラーバー市に対して軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

一方、SANA(6月26日付)によると、反体制武装集団が治安維持部隊と市民を攻撃し、旧ダマスカス・ベイルート街道を封鎖し、バラダー渓谷街道に検問所を設置し、ザバダーニー市、マダーヤー町方面に武器密輸を試みた。

これに対して治安維持部隊が応戦し、テロリスト数十人を殺害・負傷させ、シリア人およびアラブ国籍を持つ複数名を逮捕、大量の武器弾薬を押収し、制圧した。

このほか、ドゥーマー市では、治安維持部隊が武装テロ集団の追跡を継続、テロリスト多数を殺害、逮捕した。

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ダマスカス県では、シリア革命総合委員会が配信した映像によると、カーブーン区で複数回爆発があり、黒煙があがった。

一方、SANA(6月26日付)によると、アダウィー地区で武装テロ集団がファラジュ・シハーダ空軍少将の車を襲撃し、同少将を誘拐した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市に対して軍・治安部隊が砲撃を加えた。

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Akhbar al-Sharq, June 26, 2012
Akhbar al-Sharq, June 26, 2012

ヒムス市では、シリア人権監視団によると、複数の活動家によると、ヒムス市の旧市街、ジャウラト・シヤーフ地区、バーブ・アムル地区、ジャウバル区、スルターニーヤ地区、バーブ・フード地区が軍・治安部隊の激しい砲撃に曝され、バーブ・アムル地区周辺では軍・治安部隊と反体制武装集団が激しく交戦した。

シリア革命総合委員会によると、ラスタン市に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団の司令官がスーラーン市での軍・治安部隊との戦闘で殺害された。

一方、SANA(6月26日付)によると、マアルダス村とタイバト・イマーム市間にある武装テロ集団のアジトを治安維持部隊が襲撃し、テロリスト多数を殺害、武器弾薬を押収した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で治安当局が1人を射殺した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市各地区に軍・治安部隊が砲撃を続けた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、1人が射殺された。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、カフルシャムス町での軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘で3人が死亡した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン前事務局長は、AFP(6月26日付)の電話取材に対して、26日にシリア国内に密入国し、「数時間にわたって革命家らと会談した」と発表した。

ガルユーン前事務局長によると、密入国後、イドリブ県内の複数カ所を訪問、国内での反体制武装集団と会談し、同日晩にトルコ領内に再び避難した、という。

また「政権は何も規制できないほどまでに弱っており…、領内に対する支配を失いつつある…。このことが政権とその支持者たちを絶望させている…。新たなシリアが生まれつつあるのを目の当たりにした…。すべての村に地元の委員会があり、支援活動、行政、組織などを行っている」と述べた。

http://www.youtube.com/watch?v=pFNXoejZ0VU&feature=relmfu

http://www.youtube.com/watch?v=bPshRSd_J24

http://www.youtube.com/v/2WWSvWknnAg&hl=en_US&feature=player_embedded&version=3

https://youtube.com/watch?v=2WWSvWknnAg%26hl%3Den_US%26feature%3Dplayer_embedded%26version%3D3

Youtube, June 26, 2012
Youtube, June 26, 2012
Youtube, June 26, 2012
Youtube, June 26, 2012
Youtube, June 26, 2012
Youtube, June 26, 2012

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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官は『ハヤート』(6月27日付)に対して、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜が「シリア政府が国内の危機を地域全体に波及させようとする明確な試み」と非難した。

またシリアの危機への対処をめぐる国際会議へのイランの是非に関して、「イランは危機を仲介する政策を実施する準備などできない。なぜなら一部の当事者、すなわち問題を引き起こしている当事者を支援しているからだ」と述べ消極的な姿勢を示した。

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スカイ・ニュース(6月26日付)は、反体制武装集団が捕捉した軍・治安部隊兵士の話として、軍・治安部隊の高官レベルから村落の攻撃、住民の殺害の指示が出されている、と報じた。

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自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐(トルコ在住)は、『シャルク・アウサト』(6月26日付)に対して、「自由シリア軍の兵士へのシリア国民評議会による給与支給の動きは…いまだに実行に移されておらず、武器支給は依然として不足している」と述べた。

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『シャルク・アウサト』(6月26日付)は、スワイダー県でハーフィズ・ジャーッドル=カリーム・ファラジュ空軍中尉が離反した、と報じた。

自由シリア軍副参謀長を名のるアーリフ・ハンムード大佐なる離反兵は、ファルジュ中尉はこれまで離反したドゥルーズ派のなかでもっとも階級が高い、と述べた。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、EUの追加制裁に歓迎の意を示した。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、AKPの議員らを前に「トルコ軍の交戦規則は変わった。トルコ国境で安全保障上の脅威・危険をなすシリアからのいかなる軍事的要素も、(トルコ軍の)軍事的標的とみなされるだろう」と強い調子で述べた。

またトルコ空軍機の撃墜事件に関して、「この事件は、アサド政権がトルコとその国民の安全保障にとって明確且つ差し迫った脅威となったことを示している」としたうえで、「トルコは、国際法が定める権利を断固として行使し、自ら時間、場所、方法を定め、必要な措置を講じるだろう」と述べた。

加えて、トルコが「血塗られた独裁者の体制を打倒するまでシリア国民を支援し続ける」と述べ、シリアへの領空侵犯という過失を放置したまま、シリアへの内政干渉を続け、自国の安全保障を脅威に曝し続けるとの意思を示した。

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NATOはトルコの要請を受け、ブリュッセルで緊急会合を開き、シリア軍のトルコ空軍機撃墜に関して審議した。

アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、記者団を前に、シリア軍のトルコ空軍機撃墜が「受け入れられず、我々はもっとも強い表現でそれに抗議する…。NATO加盟国はトルコへの強い支持と連帯の意を表明した」と述べた。

しかし、ラスムセン事務局長は「我々は大いなる懸念を持って、NATOの南東部国境地帯での進展を集中的にフォローアップし続ける」と述べ、軍事的な対応については言及しなかった。

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EUはシリア政府に対する追加制裁(第16弾)を決定、シリア国際イスラーム銀行、シリア石油運輸社との取引を禁止するとともに、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官のEU領内への渡航を禁止、資産を凍結した。

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は中東歴訪の最後の訪問先であるヨルダンを訪問し、アブドゥッラー国王と会談した。

会談で、アブドゥッラー国王は、「シリアの危機の政治的解決を通じて、シリアの統合と安定を維持し、暴力と流血を制限する」ことを呼びかけた。

プーチン大統領は、「地域および国際的なレベルでのヨルダンの立場を尊重する」と述べた。

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ロシア外務省は声明を出し、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜に関して「情勢不安定化をもたらさないようこの事件を導くことが重要であり…、内外の当事者にアナン特使の計画に資するよう振る舞う」よう呼びかけた。

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国連安保理は、シリア情勢に関してヘルヴェ・ラドス国連平和維持活動担当事務次長の意見を聴取した。

ラドス次長は「シリア情勢はきわめて危険で、UNSMISの活動再開を許さない」と証言、また「シリア政府は監視団が衛星電話を用いることを拒否した」と非難した。

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シリアでの人権侵害を調査するための国連人権理事会調査委員会のパウロ・セルジオ・ピネイロ委員長(ブラジル)がダマスカスを訪問した、と国連が発表した。

同委員長がシリアを訪問するのは2011年8月の委員会設置以来初めて。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、バラク・オバマ米大統領の選挙遊説に同行、「バッシャール・アサド体制が次第に国内での支配力を失いつつあることは明らかだ」と述べた。

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ロイター通信(6月26日付)は、米諜報機関高官の話として、(西側の政府高官やメディアの認識やプロパガンダとは対象的に)アサド政権のインナー・サークルの結束はいまだに揺らいでいないと報じた。

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オーストリアの法廷は、2011年10月にウィーンのシリア大使館に不法侵入したクルド人青年11人のうち、10人に無罪判決を言い渡した。また残る1人については禁固2ヵ月(求刑3ヵ月)を宣告した。

AFP, June 26, 2012、Akhbar al-Sharq, June 26, 2012、al-Hayat, June 27, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 26, 2012、Naharnet.com, June 26,
2012、Reuters, June 26, 2012、SANA, June 26, 2012、al-Sharq al-Awsat, June 26, 2012、Sky News, June 26, 2012、UPI, June 26, 2012などをもとに作成。

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EU諸国がルクセンブルクで外相レベルの会談を開きアサド政権へのさらなる制裁への決意を示すも、トルコ軍機撃墜事件に関しては穏健な対応を求める姿勢が支配的(2012年6月25日)

アサド政権の動き

シリア外務在外居住者省のジハード・マクディスィー報道官は記者会見を開き、トルコ空軍のF4戦闘機撃墜に関して、公海上で撃墜されたとのアフメト・ダウトオール外務大臣の発言(24日)が根拠がなく不正確だとコメントした。

SANA, June 25, 2012
SANA, June 25, 2012

戦闘機が射程距離2.5キロの高射砲によりシリア領海上で撃墜され、その弾痕が残る機体の残骸をトルコ側に引き渡したとしたうえで、公海上で迎撃する場合は地対空ミサイルを使っていたと述べ、トルコ側の主張を否定した。

そのうえで、シリア政府はトルコが政府に公式の書簡を送り、トルコ空軍機が22日午前11時40分にシリア領に向かって飛行しているのがレーダーで捕らえられ、北東方向に向かって降下し、レーダー網から姿を消し、シリア領沖1~2キロの地点で上空100メートルで目視された、高射砲で迎撃・撃墜された、との経緯を伝えた、という。

撃墜時のトルコ空軍機は時速700~800キロで飛行していた、という。

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シリアの外務在外居住者省のジハード・マクディスィー報道官はエジプト大統領選挙でのムハンマド・ムルスィー氏の勝利に関する記者団の質問に対して、「シリアが国民の民主的選択のみを支持するということを皆が確認せねばならない…。我々が言えるのは、エジプト国民が彼(ムルスィー氏)を選ぶことで彼を受け入れているということだけだ」と述べた。

国内の暴力

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市各地区での軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘で8人が死亡した。

一方、SANA(6月25日付)によると、ダイル・ザウル市バアージーン地区で治安維持部隊が武装テロ集団のアジトを襲撃、イスマーイール・アリー・ウザイルを長とするテロリスト多数を殺害した。

またシュハダー地区でも治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト全員を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルナブル市で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、3人が死亡した。

またマアッラ・ニウマーン市でも反体制武装集団戦闘員1人を含む3人が死亡した。

さらに、ハビート市では、治安部隊の発砲で1人が、アリーハー市での砲撃で1人が死亡した。

このほか、サラーキブ市での軍・治安部隊と反体制武装集団の戦闘で、反体制武装集団戦闘員2人を含む8人が負傷した。

一方、SANA(6月25日付)によると、カフルナブル市で武装テロ集団が仕掛けようとしていた爆弾が爆発し、テロリスト4人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が反体制武装集団の籠城するヒムス市ハーリディーヤ地区、ラスタン市などへの砲撃を続け、ヒムス市で5人が死亡した。

また自由シリア軍によると、クサイル市、タルトゥース・ヒムス街道、シンシャール村方面に軍の戦車約100両が向かっており「歴史上最大規模の虐殺」が行われようとしていると警鐘を鳴らした。

一方、SANA(6月25日付)によると、ヒムス市のジャウバル区、スルターニーヤ地区などで治安維持部隊と武装テロ集団が交戦し、ラーディー・ハーリドを長とするテロリスト多数が殺害された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊の掃討作戦により、マディーラー市で7人、ドゥーマー市で6人が死亡した。

一方、SANA(6月25日付)によると、ドゥーマー市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト10人を殺害した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、マジュダ市で治安部隊が発砲し2人が死亡した。

またブスラー・シャーム市では、軍・治安部隊の兵士3人が爆弾の爆発で死亡した。

一方、軍・治安部隊はジャムリーン市、マアルバ町、カフルシャムス町などに対して砲撃を加えた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハルファーヤー市で治安部隊の発砲により1人が死亡した。

また県内での軍・治安部隊と反体制武装集団の交戦により、離反兵1人が死亡した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、クルド山での軍・治安部隊の掃討作戦で1人が死亡した。

また同監視団によると、軍の戦車や装甲車100輌以上がダマスカス・アレッポ街道をアレッポ市に向かって進軍した。

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『クッルナー・シュラカー』(6月25日付)は、ダマスカス県のティシュリーン軍事病院の軍医筋の話として、反体制武装集団との戦闘で重傷を負った負傷兵を治療せず殺害するよう軍指導部が指示した、と報じた。

この指示は、負傷兵が弾圧で犯した罪を隠蔽することが目的だというが、その真偽は定かでない。

反体制勢力の動き

アナトリア通信(6月25日付)は、シリア軍の少将1人、大佐2人、士官5人、兵士24人が未明にトルコ領内に逃走してきた、と報じた。

離反兵の所属や氏名については明らかにしていないため、トルコ側のプロパガンダの可能性も否定できないが、彼らの家族はすでにハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)の避難民キャンプに避難している。

CNN Turk(6月25日付)によると、離反した士官とすでに避難している家族を合わせると総勢199人に上るという。

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シリア国民評議会はエジプト大統領選挙でのムハンマド・ムルスィー氏の勝利を「エジプト革命の大いなる勝利、シリア国民の希望の源泉」と評し、歓迎の意を示した。

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シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者は声明を出し、エジプト大統領選挙でのムハンマド・ムルスィー氏の勝利を祝福した。

諸外国の動き

リア・ノボスティ通信(6月25日付)は、ロシアの専門家の話として、シリア軍が撃墜したトルコ空軍のF4が、NATOのためにシリアの防空システムの能力を試すための偵察活動を行っていた可能性が高いと報じた。

同通信は「戦闘機は低空で飛行していた。これは防空システムを破る基本である」との専門家の見解を紹介したうえで、その任務がシリアの防空システム、とりわけ中距離ミサイル(Buk-M2E、Pechora-2M )や防空システム(Pantir S1)の能力を試すことが目的だったと報じた。

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トルコのブレント・アリンジュ副首相兼報道官は、シリア軍によるトルコ空軍機F4の撃墜を「警告なしに航空機を標的することは最大級の敵対行為だ」を非難した。

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UPI(6月25日付)は、ヨルダン当局がヨルダン領内への脱走(21日)のために用いられたMiG21戦闘機を26日にシリア側に返還すると報じた。

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AKI(6月25日付)によると、EU諸国外相がルクセンブルクで会談し、アサド政権へのさらなる制裁への決意を示すとともに、シリアの反体制勢力に対して移行期間の包括的計画を提示するよう呼びかけた。

しかし、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜に対しては「穏健」な対応をめざそうとする発言が目立った。

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜に関して、「この戦闘機は非武装だった…。警告なく撃墜された。これは決して受け入れられない」と述べた。

ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜に関して、「すべての当事者が混乱の緩和が必要で、さらなる混乱が誰の利益にもならないとと認識している」と述べた。

オランダのウリ・ローゼンタール外務大臣は、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜へのNATOの対応に関して「シリアへの軍事介入は提示されていない…。こうした問題はオランダ政府としては検討していない」と述べた。

キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、トルコ空軍機撃墜に関して深い懸念を示しつつ、トルコに「穏健」な対応を求めていると述べた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は、シリア軍によるトルコ空軍機撃墜を「生意気で受け入れられない行為」と非難した。

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オーストラリア政府は、シリアとの石油、石油製品、金融取引、通信、奢侈品などの取引を制限する追加制裁を発動すると発表した。

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AFP(6月25日付)は欧州外交筋の話として、シリアの防空システムが地中海上空を飛行中のトルコ空軍のCASA CN-235海洋哨戒機を捕捉し、迎撃警告を行ったと報じた。

AFP, June 25, 2012、Akhbar al-Sharq, June 25, 2012、AKI, June 25, 2012、al-Hayat, June 26, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 25, 2012、Naharnet.com, June 25,
2012、Reuters, June 25, 2012、SANA, June 26, 2012、UPI, June 25, 2012などをもとに作成。

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