アレッポ市マシュハド地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦するなか、AFPによると民主統一党が実効支配するアフリーン市からの軍・治安機関の撤退は「表面的なもの」(2012年8月25日)

国内の暴力

アレッポ県では、AFP(8月25日付)によると、アレッポ市マシュハド地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012

またAFP(8月25日付)によると、アレッポ市カーディー・アスカリー地区でパン販売所で列を作っていた20人が列の割り込みをめぐって喧嘩となった。

『ハヤート』(8月26日付)によると、サーフール地区、シャッアール地区、サーリヒーン地区は軍・治安部隊が奪還し、検問所を設置し、反体制武装勢力の進入に備えている、という。

一方、SANA(8月25日付)によると、アレッポ市のフィルドゥース地区、サイフ・ダウラ地区、ブスターン・バーシャー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の掃討を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジャルマーナー市の入口、ナブク市、ヤブルード市、サクバー氏などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。ヤブルード市に対してはヘリコプターが投入されたという。

一方、SANA(8月25日付)によると、軍・治安部隊がダーライヤー市における反体制武装勢力の「浄化」を完了し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

また「浄化」が完了したタッル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力が使用しようとしていた大量の武器弾薬を発見、押収した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナーフタ町が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

またシリア情報センターによると、フラーク市に軍・治安部隊が突入、反体制武装勢力は「民間人の命を守るため」同市を撤退した。

一方、SANA(8月25日付)によると、ワーディー・ヤルムーク地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市のジャウラ地区に軍・治安部隊が突入した。

一方、SANA(8月25日付)によると、ダイル・ザウル市各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員約20人を殺害した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区のダルアー街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

またカフルスーサ区が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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イドリブ県では、SANA(8月25日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊などが反体制武装勢力の「残党」を追跡、逮捕・摘発した。

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ヒムス県では、SANA(8月25日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区で軍・治安部隊などが反体制武装勢力の「残党」を追跡、殺害した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月25日付)などは、自由シリア軍が、第7師団のムハンマド・ムーサ-・ハイイラート少将、第1軍団野戦砲兵司令官のサミール・ジュムア准将、ニダール・ガザーウィー大佐(空軍)、サミール・ガザーウィー大佐ら18人の士官が離反し、ヨルダンに24日に逃れたと発表した、と報じた。

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複数のメディアが、ファールーク・シャルア副大統領が「数日前からヨルダンいる」、「シリアを出国後解任された」と報じたが、SANA(8月25日付)は、同報道が「嘘でねつ造された」報道と否定した。

反体制勢力の動き

ロイター通信(8月25日付)などによると、ウルーワ・ニールビーヤ氏が23日、ダマスカス国際空港で逮捕された。

ニールビーヤ氏(35歳)はドキュメンタリー映画監督で、カイロに向かう途中だった。

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LBCI(8月25日付)は、シリア救済最高委員会のワーイル・ハーリディー代表(シリア人)がベイルート国際空港で逮捕されたと報じた。

逮捕の理由は明らかではないが、ベカーア県の検察当局が逮捕状を請求していた。

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パリで活動するシリア民主世俗主義諸勢力連立は国際社会に対して軍事介入を求める声明を発表した。

クルド民族主義勢力の動き

AFP(8月25日付)は、PKK系の民主統一党が実効支配するアレッポ県アフリーン市の状況に関して、軍・治安機関の撤退は表面的なもので、同市内の関連施設内に依然として多くの要員が駐在しており、アサド大統領の写真なども掲げられたままであると報じた。

同報道によると、検問所にはPKKの指導者アブドゥッラー・オジャランの顔が印刷されたシャツを着る武装したクルド人が公然とクルド語で会話し、また市内の壁などにはオジャランの写真が貼られている、という。

一方、同市の武器はシリア・クルド民主統一党(イェキーティー)が管理している、という。

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DW(8月25日付)もまた、クルド人が多く居住する北東部の都市でアサド大統領の写真や銅像が破壊されずに残っていると報じた。

同紙が取材したクルド人によると、このことはアサド政権の支配維持を意味するものではなく、「アサドの兵は革命家を恐れて兵舎に閉じこもっている」のだという。

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『クルディーヤ・ニュース』(8月25日付)によると、トルコに逃走しようとして身柄拘束されたクルド人兵士28人以上との連絡がとれずにいると報じた。

彼らはカーミシュリー市の軍事治安局の拘置所に拘束されている、という。

クルド人離反兵は通常はイラク領内に逃走するが、PKK系の民主統一党が対イラク国境を掌握するなかで、トルコへの逃走を図ったと見られている。

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『クルディーヤ・ニュース』(8月25日付)は、シリア最高委員会渉外委員会の使節団がカーミシュリーのアッシリア民主機構の事務所を訪問したと報じた。

訪問はアッシリア教徒とクルド人の関係強化が目的だという。

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『クルディーヤ・ニュース』(8月25日付)は、シリア・クルド民主党(アル・パールティー)、シリア・クルド・アーザーティー党、改革運動(シリア・クルド進歩民主党)が近く新たな政治連合の発足を発表すると報じた。

レバノンの動き

ミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表はLBCI(8月25日付)に対して、シリア人6人を「善意を示すため」釈放したと発表した。

残るシリア人4人とトルコ人1人は依然として拉致されている。

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NNA(8月25日付)は、ベカーア県バアルベック郡ハウシュ・ガナム地方でクウェート人のイサーム・フーティー氏(52歳)が武装集団に誘拐された。

フーティー氏はカタールのナンバープレートのついた車を運転していた。

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24日にベカーア県で誘拐されていたレバノン系フランス人のムハンマド・ハサン・サブラー氏が身代金を支払い釈放された。各紙が報じた。

OTV(8月25日付)によると、身代金は30,000ドル。

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アレッポ県で拉致されたレバノン人の1人のフサイン・アリー・ウマル氏がトルコ経由でベイルート国際空港に無事到着した。

同氏によると残る10人はみな無事で、近く釈放されるという。

諸外国の動き

『ハヤート』(8月25日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、アフダル・ブラーヒーミー・シリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表が、安保理での閣僚級会合(8月30日開催予定)で、アサド大統領を含まないかたちでの暫定構想を含む行程表を提示する予定だと報じた。

SANA, August 25, 2012
SANA, August 25, 2012

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イラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長がシリアを訪問した。

AFP(8月25日付)によると、アサド大統領と会談するかどうかは不明だという。

ボルージェルディー委員長はムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長と会談し、二国間関係や「シリアの治安、安定、そして地域におけるレジスタンスとしての役割に対する陰謀」などに関して協議した。

会談でボルージェルディー委員長は、シリアの陰謀に対する兆候はより明らかになっている、との所見を述べた、という。

SANA(8月25日付)が報じた。

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ファルス通信(8月25日付)は、イランの革命防衛隊のフセイン・ターイブ諜報局長が「イランにはアサド政権を支持し、レジスタンスの前線破壊を阻止する責任がある」と述べたと報じた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はテレビ局とのインタビューで、先週ガズィアンテップやハタイで発生した爆弾テロに関して、シリア国内の混乱が理由ではない、と述べ、シリア政府の関係を否定した。

ダウトオール外務大臣は、「テロ組織はシリアの混乱を利用したいのだろう。しかしトルコでのテロ事件がシリアによるものだと推測することは軽率である。テロは一つの要素だけからは説明できない」と述べた。

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UNSMISのババカール・ジャイ団長がシリアを離任した。

AFP, August 25, 2012、Akhbar al-Sharq, August 25, 2012、Alarabia.net, August 25, 2012、al-Hayat, August 25, 2012, August 26, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 25, 2012, August
26, 2012、al-Kurdiya News, August 25, 2012、LBCI, August 25, 2012、Naharnet.com,
August 25, 2012、NNA, August 25, 2012、OTV, August 25, 2012、Reuters, August
25, 2012、SANA, August 25, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

深夜から早朝にかけこれまでの最多人数となるシリア人2,224人がヨルダン領内に避難、カーミシュリー市でデモが発生し「シリア・クルディスタン青年運動」などと書かれたプラカードを掲げる(2012年8月24日)

シリア政府の動き

カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣はシリア・アラブ・テレビ(8月24日付)に出演し、シリアにおける危機の解決が、すべての当事者による国民対話を通じてなされ、この対話には国家を守る者たちの権利が維持される限りにおいていかなる前提条件もない、と述べた。

SANA, August 24, 2012
SANA, August 24, 2012

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、複数の反体制活動家によると、軍・治安部隊がダーライヤー市内や郊外に展開し、逮捕・摘発活動を行った。

複数の活動家によると、ダーライヤー市に対する砲撃で少なくとも21人が死亡、また反体制武装勢力が残留する郊外の複数地域に対して軍が空爆を行った。

このほか、ザバダーニー市周辺、アルバイン市東部に対しても、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のための砲撃を行い、少なくとも70人が死亡したと見られる。

一方、SANA(8月24日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市軍・治安部隊が反体制武装勢力を追跡、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器を押収した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(8月25日付)などによると、ナフル・イーシャ地区などが戦車によって包囲され、家屋を破壊、複数名を殺害した、という。

一方、SANA(8月24日付)によると、マッザ区(バサーティーン・ラーズィー)で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追跡、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マヤーディーン市で空爆や砲撃で21人が死亡した。

SANA, August 24, 2012
SANA, August 24, 2012

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダーイル町を軍・治安部隊が砲撃し、7人が死亡した。

またラジャート高原、タイバ町なども砲撃を受けた、という。

一方、SANA(8月24日付)によると、フラーク市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルミーン市、カンスフラ村、アリーハー市などに対して軍・治安部隊が砲撃を加え、6人が死亡した。

またバーラ村、ジューズィフ市、バサーミス市、マアッラト・ヌウマーン市、マアッラトミスリーン市、ハーン・シャイフーン市なども砲撃を受けたという。

一方、SANA(8月24日付)によると、アリーハ地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市のマルアブ地区南部、アレッポ街道地区、アルバイーン地区、ダウワール・ジュッブ地区などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(8月24日付)によると、マサーフィナ市、タイバト・イマーム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区、ラスタン市などが軍・治安部隊の砲撃に曝され、ヒムス市の検問所では離反兵1人が殺害された。

一方、SANA(8月24日付)によると、タッルカラフ地方でレバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦、撃退した。

またタッルカラフ市、クサイル市、タルビーサ市、ヒムス市ハーリディーヤ地区、バーブ・フード地区、カラービース地区、カルヤ・ヒスン市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アアザーズ市、フライターン市などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月24日付)によると、アレッポ市アカバ地区、サイフ・ダウラ地区、ブスターン・バーシャー地区、スライマーン・ハラビー地区、ハラク地区、スッカリー地区、サイイド地区、ブスターン・カスル地区、ハッザーザ地区、マイサルーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」に対する掃討作成を継続、多数の戦闘員を殺傷した。

また軍・治安部隊はフライターン市からの潜入を試みた反体制武装勢力と交戦し、戦闘員5人を殺害した。

さらにカブターン・ジャバル村、スィリーン村、アリーナ村、ラッカ・アレッポ街道、カフルハムラ村、マアーッラト・アルティーク村、タッル・リフアト市、マーリア市、アナダーン市、フライターン市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(8月24日付)によると、カサーティル村・マズィーン村間でアレッポ・ラタキア街道を封鎖した反体制武装勢力を軍・治安部隊が排除した。

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地元調整諸委員会によると、「ダルアーよ、悲しむな、アッラーは我々とともにある」金曜日と銘打って、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県、ダルアー県、ハマー県、イドリブ県各地で金曜の礼拝後に反体制デモが行われた。

al-Kurdīya News, August 24, 2012
al-Kurdiya News, August 24, 2012
al-Kurdīya News, August 24, 2012
al-Kurdiya News, August 24, 2012

『ハヤート』(8月25日付)によると「数千人」が参加した。

シリア人権監視団によると、デモが発生した都市は以下の通り。

ダマスカス県アサーリー地区、カブル・アーティカ地区、ジャウバル区、ダマスカス郊外県のハジャル・アスワド市、ドゥーマー市、ハーマ町、カフルバトナー町、ヤブルード市、ハラスター市、ムライハ市、アルバイン市、アレッポ市のハラブ・ジャディーダ地区、シャッアール地区、ハーリディーヤ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、アレッポ県アナダーン市、ダルアー県イブタア町、ヤードゥーダ村、ナスィーブ村、マアルバ町、マターイヤ村、ムサイフラ町、サフワ村、イドリブ県フバイト村、シャイフ・ムスタファー村、タマーニア町、カフルナブル市、ハマー県のラターミナ町、カフルヌブーダ町、ハマーディー・ウマル村、ハマー市、ハサカ県アームーダー市、カーミシュリー市など。

ハサカ県では、『ハヤート』(8月25日付)によると、カーミシュリー市でデモが発生、デモ参加者はクルドの旗、委任統治期のシリアの旗(反体制勢力が使用する旗)、「シリア・クルディスタン青年運動」と書かれたプラカードなどを掲げ、「権利と自由の国家」、「宗派主義反対」といったシュプレヒコールをあげた。

反体制勢力の動き

革命指導最高評議会なる組織が声明を出し、アルメニア教徒がアサド政権を軍事的に支援していると断じた。

クルド民族主義勢力の動き

『クルディーヤ・ニュース』(8月24日付)は、ハサカ県各地での「シリア・クルディスタン青年運動」によるデモは、クルド最高委員会の許可なく行われた、と報じた。

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シリア・クルド国民評議会のメンバーで、アームーダー市の無所属活動家ウバイドッラー・スィーダーは、同評議会を「革命を行うクルド人青年の要求を1%も提示してこなかったし、これからもしない」と批判、脱会を宣言した。

無所属活動家の脱会は、ファールーク・イスマーイール(アレッポ大学歴史学部教授)、ムスタファー・イスマーイール(弁護士、作家)に続いて3人目。

レバノンの動き

北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区での住民どうしの戦闘で、スンナ派シャイフ1人を含む4人が新たに死亡した。

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NNA(8月24日付)によると、ベカーア県バアルベック郡イーアート村でシリア人のアター・フサイン・アッルーシュ氏とその母が武装した5人組に誘拐された。

諸外国の動き

イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、8月30~31日でテヘランで開催予定の非同盟諸国外相会合で、シリアの危機解決のための「知的で妥当で…反対することが困難であろう」新たな「提案」を行うと述べた。

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ヨルダン内閣の閣僚が『ハヤート』(8月25日付)に語ったところによると、23日晩から24日早朝にかけて、シリア人2,224人がヨルダン領内のラムサー市に避難した。

一日の避難民の数としてはこれまで最大だという。

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『ワシントン・ポスト』紙およびマッククラッチー・グループは、両社が契約するフリー・ジャーナリストのオースティン・タイス氏と1週間以上にわたって連絡がとれなくなっている、と発表した。

タイス氏は元海兵隊員でアフガニスタンやイラクに従軍後、トルコ経由でシリアに不法入国し、取材活動をしている、という。

AFP, August 24, 2012、Akhbar al-Sharq, August 24, 2012、al-Hayat, August 25, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 24, 2012、al-Kurdiya News, August
24, 2012、Naharnet.com, August 24, 2012、NNA, August 24, 2012、Reuters, August
24, 2012、SANA, August 24, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ミクダード外相がブラーヒーミー共同特別代表に政治的解決に向けたイニシアチブを発揮するよう求める、トルコと米国の高官らがアサド政権打倒を加速させるため「作戦計画会合」を初開催(2012年8月23日)

シリア政府の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、帰任するUNSMISのババカール・ジャイ団長との会談後に記者会見を開き、「アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表が可能な限り早急に国民対話を開催するために活動するだろうと確信する」と述べ、同代表が政治的解決に向けてイニシアチブを発揮するよう暗に求めた。

またミクダード外務在外居住者副大臣は、記者団に対して、アレッポ市での山本美香氏殺害に関して「我々はいかなる人の死にも遺憾の意を示す。しかし違法に入国させておきながら、シリア政府にそのこと(殺害)の責任があると非難することは、盲目的なことで、無責任だ」と述べた。

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『ハヤート』(8月24日付)は、ダマスカスの複数の消息筋の話として、モスクワを訪問したカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣が、ロシア側の提案した国際監視下の早期大統領選挙の実施について協議した、と報じた。

この提案において、アサド大統領を含む立候補者が大統領職を争うことになるという。

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『クッルナー・シュラカー』(8月23日付)は、ルストゥム・ガザーラ政治治安部長が、アサド大統領の許可のもと、部内の大幅な人事改編を行ったと報じた。

この人事改編により、アレッポ支局長のハリール・ムッラー准将が警察に、ダルアー支局長のナースィル・アリー准将がアレッポ支局長に異動になった。ラタキア支局長、ハマー支局長、ヒムス支局長は異動とならなかった。

同報道によると、この異動はガザーラ部長の部員に対する不信感によるものだという。

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(8月24日付)は複数の反体制勢力筋の話として、マッザ航空基地周辺、アサーリー地区に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

SANA, August 23, 2012
SANA, August 23, 2012

またカフルスーサ区に治安部隊が突入し、逮捕・摘発活動を行った。

カダム区では、反体制武装勢力が検問所を襲撃した。

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ダマスカス郊外県では、軍・治安部隊がダーライヤー市をヘリコプターなどを投入して攻撃し、地上部隊が突入した。

『ハヤート』(8月24日付)によると、突入に際して抵抗はなかった、という。

複数の活動家によると、反体制武装勢力はダーライヤー市から撤退していたという。

また別の活動家によると、ハジャル・アスワド市、ムウダミーヤ・シャーム市も砲撃を受けた。

シリア人権監視団によると、ダーライヤー市周辺で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

シリア革命総合委員会などによると、スバイナ町、サイイダ・ザイナブ町、ブワイダ市などがヘリコプターの攻撃を受けた、という。

一方、SANA(8月23日付)によると、バービッラー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を行い、複数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、アレッポ県では、『ハヤート』(8月24日付)やSANA(8月23日付)によると、軍・治安部隊がアレッポ市内のキリスト教地区(タッル地区、ジュダイダ地区、スライマーニーヤ地区)を奪還した。

シリア人権監視団によると、アレッポ市のスライマーン・ハラビー地区、シャッアール地区、サーフール地区、バーブ街道地区、ブスターン・カスル地区、サイフ・ダウラ地区、サラーフッディーン地区、ザバディーヤ地区、ハムダーニーヤ地区で、軍・治安部隊が砲撃、反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(8月23日付)によると、アレッポ市のイザーア地区、サイフ・ダウラ地区、カスタル・ハラーミー地区、ハナーヌー地区、マイダーン地区、シャイフ・ヒドル地区、ダウワール・ジャンダル地区、サブウ・バフラート広場、アンサーリー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを攻撃するなど、掃討作戦を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

アナダーン市、マーリア市、アターリブ市、ジャラーブルス市などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する掃討作戦を続けた。

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ダイル・ザウル県では、イラクの国境警備隊士官によると、シリア空軍の戦闘機がイラク領空(フサイバ地方)を朝8時に低空で侵犯し、イラク領空からブーカマール市に複数回攻撃を加えた。

領空侵犯は15分続いた。

ブーカマール市は『ハヤート』(8月24日付)によると、反体制武装勢力が市内の治安機関施設、国境警察の施設のほとんどを制圧している、という。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ガントゥー市が軍戦闘機の攻撃を受けた。

一方、SANA(8月23日付)によると、クサイル地方、タッルカラフ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ラジャート高原、アトマーン村、ウンム・ワラド村、シャイフ・マスキーン市などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月23日付)によると、フラーク市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を行い、複数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(8月23日付)によると、ガーブ地方にある反体制武装勢力の拠点3カ所を軍が破壊し、多数の戦闘員を殺傷、武器を押収した。

またサイジャル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、戦闘員全員を殺害した。

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『ハヤート』(8月25日付)によると、各地で身元不明の遺体50体以上が発見された。

うち14体がダマスカス県タダームン区で、21体がアレッポ県で発見され、いずれも後ろ手に縛られ、頭を撃たれていた、という。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、政府・軍高官の離反に関して「マナーフ・トゥラースやリヤード・ヒジャーブは暫定政府において居場所はない。なぜなら彼らは最初から革命を支持していなかったからだ」と述べた。

『サフィール』(8月23日付)が伝えた。

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シリア国民評議会執行委員会メンバーでアッシリア民主機構代表のアブドゥルアハド・アスティーフー氏が、イード・フィトル期間にトルコとヨルダンの避難民キャンプを慰問した。

アッシリア・シリア政教青年調整連合なる組織が声明で明らかにした。

しかし「政府は国土の30%しか掌握していない」はずのシリア本国にシリア国民評議会のメンバーら在外の活動家が帰国する気配はない。

諸外国の動き

英『タイムズ』(8月23日付)は、アレッポ市で反体制活動をする武装勢力に英国人2人が参加していたと報じた。

トルコの同紙特派員はこの2人と会見、彼らはトルコで教練を受け、アレッポでの戦闘に参加した、という。

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SANA(8月23日付)がアナトリア通信の報道として伝えたところによると、トルコのハタイ県(シリア領アレキサンドレッタ地方)で、PKKがトルコ軍と交戦し、後者の兵士1人が死亡、5人が負傷した。

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AFP(8月23日付)によると、トルコと米国の高官がアサド政権打倒を加速させるための初の「作戦計画会合」を開催した。

同会合には、トルコ側からハリト・ジェヴィク外務副大臣、エリザベス・ジョーンズ駐トルコ米大使ほか、両国の軍・諜報、外交関係者が参加した。

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フランスのジャン・イヴ・ル・ドリアン国防大臣はFrance 24(8月23日付)に対して、シリアの領空全体への飛行禁止空域設定を否定しつつ、トルコ国境地帯からアレッポに至るシリア領空に飛行禁止空域設置については「検討に値する」と述べた。

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ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、シリア国内の化学兵器庫を安全に管理し、これらの兵器が「テロ集団」の手に落ちないことを保証するため、ロシアがシリア政府としっかりと協力すると述べた。

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国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はニューヨークで記者会見を開き、シリア人避難民の問題に関して、シリア国内に避難民キャンプを設置する必要があるとの認識を示しつつも、シリア政府がこれに反対しており、また安保理内の対立ゆえに設置のための決議採択は困難だろうとの見方を示した。

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イタリアのジュリオ・テルツィ・ディ・サンタガタ外務大臣は、「数日中」にアサド政権崩壊後のシリアの将来に関する国際会議の開催を呼びかけると意思があることを明らかにした。

AFP, August 23, 2012、Akhbar al-Sharq, August 23, 2012、al-Hayat, August 24, 2012, August 25, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 23, 2012, August
24, 2012、al-Kurdiya News, August 23, 2012、Naharnet.com, August 23, 2012、Reuters,
August 23, 2012、al-Safir, August 23, 2012、SANA, August 23, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ県の各地で激しい戦闘が続くなか、仏大統領はカタール首長と会談しアサド大統領の退任の必要性を改めて確認しあう(2012年8月22日)

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(8月23日付)によると、ダマスカス県南部で軍・治安部隊が大規模な砲撃を行った。

シリア人権監視団によると、ダマスカス県カフルスーサ区とダマスカス郊外県ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦し、戦闘には軍の攻撃ヘリコプターが参加した。

またダマスカス県のナフル・イーシャ地区、カダム区、ジャウバル区などで大規模な逮捕・捜索活動が行われたという。

さらに、ドゥンマル区では、車に仕掛けられた爆弾が爆発し、乗っていた3人が死亡した。

 

『クッルナー・シュラカー』(8月22日付)などによると、『ティシュリーン』紙のマスアブ・ムハンマド・アウダッラー記者(スポーツ文化部、ダルアー県出身)がナフル・イーシャ地区の自宅で軍に射殺されたと報じた。

AKI(8月22日付)は、複数の消息筋の話として、軍・治安部隊がカフルスーサ区の住民少なくとも8人を家族らの前で処刑した、と報じた。

またムウダミーヤ・シャーム市では、処刑されたと見られる遺体40体が発見された、という。

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ダイル・ザウル県では、イラクのカーイム市のファルハーン・フタイハーン市長がロイター通信(8月22日付)に語ったところによると、ブーカマール市近くの反体制武装勢力が占拠する軍の基地と飛行場に対して、軍・治安部隊が攻撃を加えた。

ブーカマール市はそのほとんどが自由シリア軍の手に落ちているが、軍・治安部隊が奪還のため同市周辺に展開・包囲している、という。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月22日付)によると、ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のハナーヌー地区、シャイフ・ヒドル地区、サーフール、バーブ街道地区、シャッアール地区、ザフラー地区、ハムダーニーヤ地区などで軍・治安部隊と反体制武装勢力の交戦があった。

またアナダーン市、フライターン市、カフルハムラ村、シャイフ・サイード地方では、軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のため砲撃を加えた、という。

AKI(8月22日付)は、アレッポ革命家連合なる組織のメンバーの話として、軍が病院や医療センターを狙って攻撃している、と報じた。

これに対して、SANA(8月22日付)によると、軍・治安部隊はアレッポ市のアンサーリー地区、フィルドゥース地区、サイフ・ダウラ地区、ダウワール・ブスターン・バーシャー地区、ハラク地区、スライマーン・ハラビー地区、ジャンドゥール交差点など各所で反体制武装勢力のアジト・拠点に突入・交戦し、多数の戦闘員を殺傷、大量の武器弾薬を押収した。

またアナダーン市、タッル・リフアト市、カルジーリーン市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力に対する掃討作戦を行ったほか、トルコのガズィアンテップに続く街道で多数の戦闘員を逮捕した。

一方、軍・治安部隊が奪還した理学部地区、サイフ・ダウラ地区などでは復旧作業が開始された、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市郊外の村々が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地方が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月22日付)によると、レバノン国境に近いクサイル地方ジュースィーヤで軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃するなどして、多数の戦闘員を殺傷した。

マヤーディーン(8月22日付)などによると、ジュースィーヤでの戦闘に巻き込まれて、レバノン人4人が死亡、10人が負傷した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部中央広報局のファフド・ミスリーなる活動家は声明を出し、自身が「国外」(パリ)でアフダル・ブラーヒーミー・シリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表と会談し、現地情勢などを伝えた。

会談後の声明によると、ミスリーはブラーヒーミーに対して、「力という言葉」以外の何者もを理解しないアサド政権への強硬姿勢の必要、アナン前特使のミッションが破綻した現実、ロシアやイランによるアサド政権支援の実態などを伝えた、という。

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シリア国民評議会は声明を出し、ダマスカス郊外県ムウダミーヤ・シャーム市での戦闘機による空爆を「もっとも残忍な犯罪」と批判した。

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反体制組織のシリア記者連盟はアレッポで取材中に死亡した山本美香氏に弔意を示した。

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シリア民主フォーラムは、民主的変革諸勢力国民調整委員会によるアサド政権と反体制武装勢力の双方への一時停戦呼びかけに関して、「シリア革命の現状や成果を読み取れていない」と批判、拒否する意思を示した。

レバノンの動き

ベカーア県を拠点とするジャアファル家は声明を出し、シリア国内で拉致されているレバノン人との連帯の意思を示す一方、民兵を組織しているとの情報を否定した。

諸外国の動き

フランスのフランソワ・オランド大統領はカタールのハマド・ビン・ハリーファ国王と会談し、シリア情勢について協議した。

大統領府によると、会談において、オランド大統領は、アサド大統領の退任がなければ政治的解決もないと改めて強調し、自由で民主的なシリア建設に向けて専心するとの意思を示した、という。

またフランス、カタールの両国はシリアの政治的転換を実現するため努力を調整することで合意した、という。

一方、フランスのジャン・マルク・エロー首相は、シリアの反体制武装勢力に通信機器など非軍事的な物資を送ったことを明らかにした。

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ジェフリー・フェルトマン米国務次官補は、イランが国連決議に違反してシリアに武器を供与していると批判した。

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英国のデヴィッド・キャメロン首相は、英国、米国、フランスがシリアの反体制勢力を支援する方法を検討していると述べた。

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シリア軍のヨルダン領内への越境砲撃によって子供5人が負傷した事件を受け、シリア国民救済ヨルダン委員会は、バフジャト・スライマーン駐ヨルダン・シリア大使の国外追放を求めた。

スライマーン駐大使は、ヨルダン外務省の呼び出しに対して、イード休暇を理由に呼び出しを拒否し、シリア本国に一時帰国した。

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ロイター通信(8月22日付)は、トルコ高官の話として、過去24時間でシリア人約2,500人が暴力を避けて、トルコ領内に避難してきたと報じた。

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ロシア外務省高官は、ロシア『コメルサント』(8月22日付)紙に対して、シリア政府との「秘密裏の対話」で、シリア政府が化学兵器を反体制武装勢力弾圧において使用しないとの回答を得た、と述べた。

AFP, August 22, 2012、Akhbar al-Sharq, August 22, 2012、AKI, August 22, 2012、al-Hayat, August 23, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 22, 2012, August 23, 2012、al-Kurdiya
News, August 22, 2012、al-Mayadin, August 22, 2012、Naharnet.com, August
22, 2012、Reuters, August 22, 2012、SANA, August 22, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

日本人ジャーナリストの山本美香氏がアレッポ市で軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘に巻き込まれ死亡、民主統一党メンバーがイラク・クルディスタン地域のエルビルでシリア国民評議会と初めて接触(2012年8月21日)

シリア政府の動き

Middle East Online(8月21日付)などは、モスクワ訪問中のカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣とアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣が記者会見を開いた。

Kull-na Shuraka', August 21, 2012
Kull-na Shuraka’, August 21, 2012

記者会見でジャミール副首相は、「我々の立場は当初から明白で、それは前提条件なしで対話に向かわねばならないというものである。なぜなら対話開始の前提条件を示すことで、対話の開始が妨げられるからだ」と述べた。

そのうえで、「交渉のプロセスにおいて、すべての問題を検討し得る。我々は、この問題(大統領退任)でさえ検討する準備がある」と付言し、反体制勢力との交渉でアサド大統領の退任に関して議論する準備があることを認めた。

またシリアでの化学兵器使用の可能性をめぐる20日のバラク・オバマ米大統領の発言に関して、「選挙のためのプロパガンダに過ぎない」としたうえで、越境攻撃を伴う米国の軍事介入など「不可能だ」と述べた。

そして「西側は直接介入の口実を探している…。しかしロシアと中国の拒否権発動後に明らかとなった国際社会の姿勢を彼らは理解していない」と批判した。

一方、ハイダル国民和解問題担当国務大臣は、「国民和解のための政治プロセスは暴力停止後に開始されねばならず、暴力停止が政治プロセスの前提とならなければならない。なぜなら…、軍事的戦闘の圧力のもとで政治プロセスに入ることはできず、そうした圧力があると別の種類のプロセスに至ってしまうからである」としたうえで、「暴力停止は…発砲を停止したうえで、合法的な武装、すなわち国家の武装のみを承認し、違法な武器の解除の仕組みを案出する…といった行程表が必要」との見方を示した。

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SANA(8月21日付)は、ワーイル・ハルキー首相がダマスカス県マッザ区で住民が避難生活を送る学校などを視察し、国際機関やNGOと協力のもと、関係機関が反体制武装勢力によるテロ活動の被害者への住宅供給などに努力していることを強調したと報じた。

SANA, August 21, 2012
SANA, August 21, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月21日付)は、レバノンのミシェル・サマーハ元情報大臣のテロ容疑に関与しているとされるアリー・マムルーク国民治安会議議長がすでに粛清されたか、厳重な警備のなか拘置されている、と報じた。真偽は定かでない。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が早朝ムウダミーヤ・シャーム市に突入し掃討作戦を本格化させた。

地元調整諸委員会によると、軍・治安部隊は反体制活動家の追跡・捜索を行い、少なくとも活動家23人を処刑し、数十人の遺体が発見された。

またシリア人権監視団によると、ビラーリーヤ村、ナシャービーヤ町、バービッラー市、ヤルダー市、ダイル・アサーフィール市、ハジャル・アスワド市などを軍のヘリコプターが攻撃し、ダーライヤー市、アルトゥーズ町、ドゥマイル市、ザバダーニー市にも砲撃が加えられた。

これに対し、SANA(8月21日付)によると、ムウダミーヤ・シャーム市で、当局が大量の武器弾薬を発見、押収した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カダム区で遺体6体が発見された。

複数の目撃者によると、マッザ区で車に仕掛けられた爆弾が爆発し、兵士4人が死亡し、複数が負傷した。

またタダームン区、カッザーズ地区に攻撃ヘリコプターが攻撃を加えたほか、カダム区、アサーリー地区、ダッフ・シューク地区などが砲撃を受けた、という。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のスライマーン・ハラビー地区、カーディー・アスカル地区、サーフール地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

これに対して、SANA(8月21日付)は、アレッポ市タッル地区、ジュダイダ地区、ファルハート広場などを軍・治安部隊が完全に制圧し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した、と報じた。

また同市のザバディーヤ地区、カラム・マイサル地区、ファイド地区、アルクーブ地区、マシャーリカ地区、ブスターン・ザフラ地区、マーリア市、アアザール市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した、という。

一方、自由シリア軍のアレッポ県軍事評議会議長のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐がAFP(8月21日付)に対して、「アレッポ市の60%以上を制圧した」と発表した。

アカイディー大佐によると、制圧した地区は30以上にのぼり、そのなかには、サイフ・ダウラ、ブスターン・カスル、マシュハド、アンサーリー、ハナーヌー、サーフール、ブスターン・バーシャー、シャイフ・サイード、フィルドゥース、カッラーサなどが含まれる、という。

またサラーフッディーン地区は50%制圧下にある、という。

しかしAFP(8月21日付)によると、ダマスカスの治安筋は、「こうした言葉は根拠がない…。テロリストはいかなる前進もしていない。逆に軍が少しずつ前進している」と否定した。

また「軍は破壊分子の拠点に武器弾薬が届くのを阻止するべくアレッポを砲撃している…。この戦闘には長い時間がかかるだろう」と付言した。

シリア人権監視団は、トルコ人、レバノン人、米報道機関に属すアラブ人を含む3人の記者がアレッポ県で取材中に失踪したと発表した。

これを受け、ジャディード・チャンネル(8月21日付)は、アレッポ県で取材中に失踪したとされるユムナー・ファウワーズ記者が拉致されていないことを確認したと報じた。

また、フッラ・チャンネル(8月21日付)は、20日にシリアに取材のために入国したバッシャール・ファフミー記者、クネイト・ウナル記者がアレッポで拉致・拘束されたと報じた。

これに先立って、アーザーズ市の反体制武装活動家のアフマド・ガザーリー大佐がユーチューブ(8月21日付)でフッラ・チャンネルの記者2人が軍に拉致・拘束されたと発表した。

一方、日本人ジャーナリストの山本美香氏がアレッポ市スライマーン・ハラビー地区で取材中に軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘に巻き込まれ、死亡した。

山本氏とともに取材を行っていた佐藤和孝氏によると、山本氏らはトルコからシリア国内に入り、反体制武装勢力が占拠する地区で現地の惨状を取材していた。

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ヒムス県では、SANA(8月21日付)によると、クサイル地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員3人を殺害した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市、タフタナーズ市、サラーキブ市、マアッラトミスリーン市、アリーハー市、ザルダーナー市、タルマラー市、カフルサジュナ村、ラカーヤー村などを軍・治安部隊が砲撃した。

一方、SANA(8月21日付)によると、国境警備隊がトルコ領内からの潜入を試みる戦闘員を撃退した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ナーフタ町、インヒル市、東ムライハ町、東ガーリヤ村、西ガーリヤ村、ブスル・ハリール市、ハイト村、ラジャート高原、スーラ町に対して軍が砲撃・空爆を加えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市を軍が空爆した。

一方、ロイター通信(8月21日付)は、自由シリア軍の複数の消息筋の話として、軍・治安部隊がブーカマール市内の治安機関の施設2棟を放棄した、と報じた。

反体制勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月21日付)は、自由シリア軍の70以上の調整組織、大隊が作成した「シリア革命統一戦線発足文書」を入手したと伝えた。

同文書(未発表)は、国内で反体制武装闘争を行う諸組織の統合をめざすもので、発足が宣言される統一戦線には、調整、地元組織、学生、ビジネスマン、事業家、専門家、自由シリア軍の諸大隊が参加するという。

なお国内の反体制武装闘争を統括しているとされる自由シリア軍国内合同司令部との関係は不明である。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会国民評議会議長のフサイン・アウダート氏は、同委員会によるアサド政権と反体制武装勢力の双方への一時停戦呼びかけに関して、「シリア自国民の運動、栄光ある蜂起に奉仕しない」と批判し、こうしたイニシアチブがすべての反体制勢力による包括的国民大会での合意を必要とすると主張した。

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トルコで暮らす自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、ダマスカス郊外県でのハッサーン・ミクダード氏の誘拐が「レバノンで不和と不安定を作り出そうとする政権のゲーム」だとしたうえで、自由シリア軍の犯行ではないと断じた。

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シリア国民評議会は、レバノン国内で過去数日の間にシリア人36人が誘拐されたと発表し、レバノン当局による対応の遅れを非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月21日付)は、反体制組織のサルキーン市調整が、ダマスカス郊外県のムウダミーヤ・シャーム市、タッル市、ダマスカス県カーブーン区への空爆を行ったパイロット2人の名前を公表した。

空爆を行ったとされるのは、バドル・ハドラ大佐(MiG23パイロット)とバッサーム・カーリム大佐(Sukhoi22パイロット)。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長がフランスのフランソワ・オランド大統領と会談した。

会談後、スィーダー事務局長は、暫定政府樹立を「早急に宣言するための真剣な活動」がシリアの諸勢力との協議を通じて進行中だと述べた。

また「我々は早急に国内に移動し、この政府(暫定政府)が国内での義務を果たすこと」を望んでいると述べた。

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シリア国民変革潮流は声明を出し、アレッポで取材中に死亡した山本美香氏に関して、アサド政権が外国の記者を平然と殺害している、と批判した。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月21日付)は、複数のシリア・クルド人の話として、シリア最高委員会が8月初めにイラク・クルディスタン地域のエルビルに使節団を派遣し、シリア国民評議会の代表と会談していたと報じた。

シリア最高委員会のムスタファー・ウースー(渉外委員会)によると、使節団(3人)のなかには民主統一党メンバーが含まれており、同党がシリア国民評議会と接触したのはこれが初めてで、会談において委員会は、クルド人の権利の承認の是非が議論されたという。

レバノンの動き

20日にトリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で発生した住民同士の衝突は21日も続き、ジャディード・チャンネル(8月21日付)などによると、少なくとも4人が死亡、数十人が負傷した。

また事態収拾のために展開した軍の兵士4人も負傷した。

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ムハンマド・カッバーラ議員(トリポリ無所属ブロック代表)は、「軍が無実の住民に向かって無差別に発砲している」と非難、「シリア政府がアレッポ、ダイル・ザウル、ヒムス、ダルアー、ダマスカスで犯した犯罪から注意を反らそうとして、バーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区での不和を作り出そうとしていた」と断じた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、「我々がシリアで目の当たりにしている現状を踏まえると、現時点で、講じられている措置は不十分に思われる。しかし、我々はこうした方法以外に道はないと考えている」と述べた。『ハヤート』8月22日付などが報じた。

またラブロフ外務大臣は中国の外交官との会談後、両国が「国際法、国連憲章に基づく諸原則を断固として遵守し、それらを侵害することを許さない」と述べ、アサド政権が化学兵器を使用した場合、軍事介入もあり得ると示唆したバラク・オバマ米大統領の姿勢を牽制した。

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米国務省のデヴィッド・ロビンソン移民担当国務次官補 はシリア情勢に関して「世界最悪の危機」と評した。

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トルコのガズィアンテップ市での20日の車爆弾の爆発に関して、トルコ高官は当局がシリアおよびPKKの関与を調査していると述べた。『アフバール・シャルク』(8月22日付)が伝えた。

しかしPKKに近いウェブサイト「ユーフラテス・ニュース」(8月21日付)は事件への関与を否定するPKKの声明を転載している、という。

AFP, August 21, 2012、al-Hayat, August 22, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 21, 2012, August 22, 2012、al-Kurdiya News, August 21, 2012、al-Jadid Channel, August 21, 2012、Middle East Online, August 21, 2012、Naharnet.com, August 21, 2012、Reuters, August 21, 2012、SANA, August 21, 2012、Youtube, August 21, 2012などをもとに作成。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会が国内での反体制勢力の大会を準備、オランド仏大統領が大統領がブラーヒーミー共同特別代表と会談するも「アサド大統領の退任以外に解決策はない」と主張(2012年8月20日)

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(8月21日付)など各市は、複数の活動家などの話として、ダーイヤー市で軍のヘリコプターによる攻撃で少なくとも12人が死亡した、と報じた。

またロイター通信(8月20日付)によると、ムウダミーヤ・シャーム市はマッザ航空基地から派遣された部隊やスーマリーヤの第555旅団によってほぼ包囲され、砲撃により22人が死亡した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団や地元調整諸委員会によると、カダム区、アサーリー地区、タダームン区、ジャウバル区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍の兵士1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、カーブーン区で射殺された遺体12体(うち2体は子供)が発見された。

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ダルアー県タッル・シハーブ町に面するヨルダンのタッラ市に迫撃砲が4発着弾し、5人の子供が軽傷を負った。

ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣によると、ヨルダン政府はバフジャト・スライマーン駐ヨルダン・シリア大使を呼び出そうとしたが、同大使はイード休暇を口実に応じなかった、という。

また、地元調整諸委員会などによると、ダルアー市、フラーク市などで戦闘があり、5人が死亡した。

一方、SANA(8月20日付)によると、フラーク市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・リフアト市で空爆により少なくとも2人が死亡した。

またアレッポ市スライマーン・ハラビー地区、サイフ・ダウラ地区、イザーア地区、ブスターン・カスル地区、バーブ街道地区、サラーフッディーン地区などで交戦があった。

自由シリア軍によると、アレッポ市のタッル地区、マアーディー地区、ジュダイダ地区を軍・治安部隊との戦闘のちに制圧した。

一方、SANA(8月20日付)によると、アレッポ市では、サイフ・ダウラ地区、ブスターン・バーシャー地区、バーブ・ハディード地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月20日付)によると、ダイル・ザウル市各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(8月20日付)によると、トルコ国境から8キロの距離にあるカスタル・マアーフ町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

アラビーヤ(8月20日付)もシリア軍がカスタル・マアーフ町に戦車や戦闘機で攻撃を開始したと報じた。

同地方は同市は自由シリア軍が占拠している、という。

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ハマー県では、SANA(8月20日付)によると、ハマー市、サラミーヤ市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

シリア政府の動き

SANA(8月20日付)は、シリア情勢を「内戦」と評したブラーヒーミー共同特別代表の発言に関して、外務省高官が「事実に反する。内戦はシリアに陰謀を企む者の頭のなかにのみ存在する…。シリアで起きていることはシリア国民に対するテロ行為」と非難したと報じた。

反体制勢力の動き

民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア在外局長はAP(8月20日付)に対して、同委員会が国内での反体制勢力の大会を行う準備を先月から行っていることを明らかにした。

同大会にはロシア、EUなどにも参加を呼びかけており、出席の約束をとりつけている、という。

マンナーア氏はまた、ハイサム・マーリフ弁護士らカイロの活動家が進める暫定政府構想に関して、カイロでの会合に関していかなる合意もなく、暫定政府に関する議論もなされなかったと非難した。

さらに「西側・湾岸諸国に忠誠を誓う反体制勢力は、資金面、情報面で支援を受けることで甘やかされており、虚栄心に苛まれている」とシリア国民評議会を暗に批判、国際的な人権団体が、公然と拷問・殺戮の煽動している在外の反体制活動家の起訴を検討していることを明らかにした。

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シャッファーフ(8月20日付)はレバノンの複数の消息筋(8月20日付)の情報として、空軍情報部長のジャミール・ハサン少将が、モスクワで死亡したと報じた。

同消息筋によると、ハサン少将はアースィフ・シャウカト少将らを狙った7月のテロで重傷を負い、モスクワに搬送されていたという。

搬送されていた高官は当初、マーヒル・アサド大佐だとされ、「両脚を失った」、「片足を失った」といった情報が錯綜したのに、ハサン少将の死亡説が浮上したかたちである。

なおシリア情報省はSANA(8月20日付)を通じて「軍要人の死亡に関する報道には根拠がない」と否定した。

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自由シリア軍のカースィム・サアドッディーン大佐はユーチューブ(8月20日付)を通じて新内規を発表した。

同内規は、自由シリア軍のメンバーに国際法に準じて、捕虜の拷問・処刑を禁じる一方、政党・政治組織の参加などの政治プロセスの参加を禁じている。

クルド民族主義勢力の動き

アレッポ大学教授でシリア・クルド国民評議会の無所属メンバーのファールーク・イスマーイール氏はシリア国民評議会からの脱会を宣言した。

脱会の理由に関して、イスマーイール氏はクルディーヤ・ニュース(8月20日付)に、シリア・クルド国民評議会がイラク・クルディスタン自治政府側に「売却された」と述べる一方、同評議会の「圧政」を非難した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市のバーブ・タッバーナ地区とジャバル・ムフスィン地区で住民が衝突した。

LBCI(8月20日付)は、衝突のきっかけは「花火の打ち上げ」で、AFP(8月20日付)によると、激しい銃撃戦が少なくとも6人が負傷した。<

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Sky News(8月20日付)は、シリア司法当局が反体制武装勢力に資金供与を行っているとされる複数のレバノン人を起訴したと報じた。

ムハンマド・マルワーン・ルージー・ダマスカス第一検事長はマナール(8月20日付)に対して、シリアの司法当局が、反体制武装勢力への支援を行うレバノンの国民議会議員ら複数の政治家に対する逮捕状を準備している、と述べた。

ルージー検事長は容疑者の氏名を明言しなかったが、マナールは、サアド・ハリーリー前首相、ハーリド・ダーヒル議員、ウカーブ・サクル議員らが含まれていると報じた。

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ミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表は、イード・フィトルに合わせて1人を釈放したが、イード明けに活動を再開すると述べ、ハッサーン・ミクダード氏が釈放されない場合、さらなるシリア人拉致を行うと脅迫した。

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レバノン国内で拉致されていたシリア人権活動家のムハンマド・アーディル・スライマーン・ムハンマド氏が釈放された。

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NNA(8月20日付)は、ベカーア県バアルベック市でシリア人のハーリド・ムハンマド・マシュハダーニー氏が覆面をした4人組に誘拐された、と報じた。

またベイルート南部郊外でもシリア人のイブラーヒーム・アフマド・ヤフヤー氏が19日午後に誘拐され、以前消息不明だという。

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『ハヤート』(8月21日付)は、公式筋の話として、ベイルートで17日に誘拐されたトルコ人のアブドゥルババセト・アルスラン氏が、アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の家族によって拉致されていると報じた。

諸外国の動き

フランスのフランソワ・オランド大統領が、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表と会談した。

大統領府によると、オランド大統領はブラーヒーミー共同特別代表に対して、「バッシャール・アサド退任以外にシリアで政治的解決はない」との一方的な主張をした、という。

一方、ブラーヒーミー共同特別代表はフランスが「シリア情勢すべてにおいて重要な国」だと伝えた、という。

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フランスのロラン・ファビウス外務大臣はRTL(8月20日付)に対して、「(シリアでの)戦争には毎月約10億ユーロかかっている…。彼(アサド政権)にはロシアとイランの支援がなければ数ヶ月分の(資金の)備蓄しかないと考えている。それゆえ、少なくともロシアとの対話がなされなければならない」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、『ヒュッリイェト』(8月20日付)に対して、トルコがシリア人避難民を10万人以上収容できず、避難民の流入を避けるための安全地帯をシリア領内に設置せざるを得ないと述べた。

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バラク・オバマ米大統領は記者会見で、シリアでの化学兵器使用の可能性が指摘されている点に関して、「越えてならない一線だ…。(シリアの化学兵器は)イスラエルを含む地域の同盟国の問題でもある」と述べ、米国による軍事介入の可能性もあると示唆した。

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深夜、トルコ南部のガズィアンテップ市で爆弾を積んだ車が爆発し、12歳の子供1人を含む9人が死亡した。

AFP, August 20, 2012、Akhbar al-Sharq, August 22, 2012、Alarabia.net, August 20, 2012、al-Hayat, August 21, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 20, 2012、al-Kurdiya News, August
20, 2012、LBCI, August 20, 2012、al-Manar, August 20, 2012、Naharnet.com,
August 20, 2012、NNA, August 20, 2012、Reuters, August 20, 2012、SANA, August
20, 2012、al-Shaffāf, August 20, 2012などをもとに作成。

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アサド大統領がイード・アル=フィトルに際しムハージリーン区内のモスクで礼拝、シリア国民評議会が「(アサド大統領の進退を判断するのが)時期尚早」としたブラーヒーミー共同特別代表の発言を批判(2012年8月19日)

シリア政府の動き

バッシャール・アサド大統領はイード・フィトルを祝して、ムハージリーン区にあるハマド・モスクで礼拝した。

SANA, August 19, 2012
SANA, August 19, 2012

礼拝には、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣、ムハンマド・サイード・バヒーターン・バアス党シリア地域指導部副書記長、ジハード・ラッハーム人民議会議長、ワーイル・ハルキー首相、アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣、ムハンマド・バドルッディーン・ハッスーン共和国ムフティーらが参列した。

大統領が公の場に「生」出演したのは、7月18日のダマスカス県中心でのダーウド・ラージハ国防大臣らを狙った爆弾テロ以降初めて。

イードなどでの大統領の礼拝は最近は旧市街にあるウマイヤ・モスクで行われ、その後、政府首脳や宗教関係者に謁見を受けるのが恒例となっていたが、治安上の問題で大統領府に近いモスクが礼拝場所に選ばれものと思われ、礼拝時間もたった11分だった。

SANA, August 19, 2012
SANA, August 19, 2012
SANA, August 19, 2012
SANA, August 19, 2012
SANA, August 19, 2012
SANA, August 19, 2012

なお各紙はアサド大統領の礼拝にファールーク・シャルア副大統領が参列しなかったと報じたが、副大統領が宗教行事などで大統領と同席することほとんどはない。

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SANA(8月19日付)は、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣がツイッターで、「ファールーク・シャルア副大統領に代わって自身が副大統領に任命される」とつぶやいたとの一部メディアの報道を事実無根と否定した。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団などによると、アレッポ市イザーア地区などで軍・治安部隊による砲撃が続いた。

また複数の活動家によるとマンビジュ市での砲撃で数十人が死亡した。

一方、SANA(8月19日付)によると、アレッポ市内各所で「傭兵テロ集団」(反体制武装勢力)を追跡し、外国人を含む多数の戦闘員を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルミーン市で女性1人が射殺された。

またドゥライキーシュ市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員1人が死亡した。

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シリア人権監視団によると、イード・フィトルに合わせて、ダマスカス郊外県、イドリブ県、ハマー県の農村各所で政権打倒を求める実施が行われ、ユーチューブなどではデモとされる映像がアップされた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、「アサド大統領が去らねばならないというのは時期尚早であると」とのアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の発言(ロイター通信8月18日付)に関して声明を出し、シリア国民に謝罪するよう求めた。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、18日付のロイター通信の報道に関して、ジャズィーラ(8月19日付)で「アサドが去るというのが時期尚早だとは言っていない」と否定した。

またシリア国民評議会がこの発言をめぐってブラーヒーミー共同特別代表に謝罪を求めていることに関して、「彼らが連絡し、そのことを尋ねることはできた…。シリア国民評議会を歓迎する。しかしジャズィーラを通じてではない」と答えた。

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ロイター通信(8月19日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、イギリスとドイツの諜報機関が反体制勢力にシリア軍の動き、とりわけアレッポ市とダマスカス県での動きに関する極秘情報を提供し支援している、と報じた。

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フランスのレオン・ファビウス外務大臣は、燃料切れでエール・フランスの第562便(ボーイング777)がダマスカス国際空港に緊急着陸した件に関して、『パリジャン』(8月19日付)に、「シリア当局が乗客の身元を検査すると決定するかどうか一瞬でも想像してみたまえ。緊急着陸は非常にばかげている」と非難した。

同旅客機には、185人が搭乗しており、そのなかにはパトリ・パオリ駐レバノン・フランス大使やアサド政権に批判的なレバノンの要人が乗っていた、という。

またエール・フランスの乗務員は、燃料費を支払うに十分な現金があるかを確認するため、乗客に財布を明けさせた、という。

ただし、エール・フランスの報道官によると、この措置は「きわめて異例な状況下での…予防的措置だった」と弁明、幸い乗客から現金を借りることなく燃料の提供が受けられたとしている。

第562便はその後、ダマスカス国際空港を離陸し、キプロスを経て、8月16日にベイルート国際空港に到着した。

AFP, August 19, 2012、Akhbar al-Sharq, August 19, 2012、al-Hayat, August 20, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 19, 2012、al-Kurdiya News, August
19, 2012、Naharnet.com, August 19, 2012、Reuters, August 19, 2012、SANA, August
19, 2012などをもとに作成。

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シリア・アラブ・テレビがシャルア副大統領の離反を速報で否定、クルド系サイトによると世論調査がおよんだうち「38.3%」がPKK系民主統一党と自由シリア軍との衝突を懸念(2012年8月18日)

シリア政府の動き

ファールーク・シャルア副大統領離反に関するメディアの報道に対して、シリア・アラブ・テレビ(8月18日付)は、「一時たりとも祖国を離れようと考えたことはない」、「危機が始まった当初から副大統領が様々な当事者とともに流血停止と国民的改革実施のための包括的対話を通じた政治プロセスをめざしてきた」との速報を流し、否定した。

al-Hayat, August 19, 2012
al-Hayat, August 19, 2012

またSANA(8月18日付)によると、副大統領事務所が声明を出し、一部メディアによる離反報道を否定、「外国の軍事介入を排除した…国民和解の実現」を呼びかけた。

さらに副大統領事務所は、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任への支持を表明した。

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変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣とアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣がロシアのモスクワに到着した。

SANA(8月18日付)によると、モスクワではロシア首脳と、危機打開に向けた包括的政治プロセス、国民和解に関して協議する、という。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市フィルドゥース地区、スッカリー地区、ブスターン・ザフラー地区、カッラーサ地区、イザーア地区、アアザーズ市などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(8月18日付)によると、アレッポ市各所、ラトヤーン村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」掃討を継続した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区が軍・治安部隊の砲撃に曝され、2人が死亡した。

一方、SANA(8月18日付)によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区で反体制武装勢力の武器・弾薬庫が爆発し、多数の戦闘員が死亡した。

またタッルカラフ地方では、レバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力を国境警備隊が撃退したほか、クサイル市では軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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SANA, August 18, 2012
SANA, August 18, 2012

ダマスカス県、ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、タダームン区、ジャルマーナー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

また複数の反体制活動家などによると、カダム区、アサーリー地区に対して軍・治安部隊が砲撃を行ったという。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市が軍・治安部隊の砲撃を受ける一方、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、フラーク市、ガーリヤ・ガルビーヤ市、カラク村などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、SANA(8月18日付)によると、フラーク市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ヒルブナフサ村に軍・治安部隊が突入し、反体制活動家を逮捕した。

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ハサカ県では、SANA(8月18日付)によると、ハサカ市・カーミシュリー市間の街道やカーミシュリー市近郊で軍・治安部隊が反体制武装勢力8人を逮捕した。

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ラタキア県では、SANA(8月18日付)によると、反体制武装勢力が占拠していたカサブ町のラジオ・テレビ局を軍・治安部隊が「浄化」した。

またフルンルック地方、ナブウ・ムッル地方でも軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を行った。

反体制勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月18日付)は、国内の対立に関する世論調査を実施、PKK系の民主統一党と自由シリア軍との衝突がもっとも懸念されている、と報じた。

300人を対象に行われた世論調査では、38.3%が民主統一党と自由シリア軍との衝突を懸念、また38%がクルド民族主義政党どうしの衝突を懸念していることが分かった。

al-Kurdīya News, August 18, 2012
al-Kurdiya News, August 18, 2012

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3月に政権を離反したアブドゥー・フサームッディーン前石油省次官は、アラビーヤ(8月18日付)に対して、シャルア副大統領が「軟禁状態にある」と述べた。

フサームッディーン前石油省次官は「シャルアの姿勢は周知のもので、彼は以前からシリアを出国したいと考えている。しかしそれができない状況にあり、彼は長らく軟禁状態にある」と述べた。

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シリア民主フォーラムは声明を出し、シリア・クルド国民評議会のファイサル・ユースフ氏の事務局長就任に歓迎の意を示した。

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シリア民主フォーラムが声明を出し、自由シリア軍に関して、国際社会は政府軍・シャッビーハと同様、一部メンバーの非人道的な行為を非難するべきだと主張するとともに、「革命」の諸目的に奉仕するべく組織構築を行うべきだと呼びかけた。

具体的には、民族、宗教・宗派に基づく差別の拒否、国際慣習に基づく軍として組織編成・活動、国際法に基づく捕虜への対処、復讐の停止などを求めた。

レバノンの動き

NNA(8月18日付)は、ベイルート国際空港街道で武装した4人の集団がシリア人3人を一時拉致した、と報じた。

また、ベイルート郊外でレバノン人のイリヤース・アディーブ・アンダラーウス氏がシリアの反体制運動を支援していると疑われ17日に一時拉致されたと報じた。

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ミシェル・スライマーン大統領は、マロン派のビシャーラ・ラーイー総大司教との会談後、記者団に対して、ミシェル・サマーハ元情報大臣のテロ未遂容疑事件に関して、「レバノンはシリアの高官(アリー・マムルーク)を起訴している。私は彼(アサド大統領)がこの件について明らかにすることを待っている」と述べた。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー・シリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表は、アサド大統領の退陣の是非に関してロイター通信(8月18日付)に「私にとって、そういうことはきわめて時期尚早である。何が起きているかを充分知らないからだ」と述べた。

また安保理については、「彼らがどのように支援できるのか真剣に検討する…。彼らは私にこのミッションを実行するよう要請している。しかし、彼らが我々を支援しなければ、ミッションなど存在しないことになる。彼らは分裂しているが、このような事態に対処できるはずであり、そうすることを望んでいる」と述べた。

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アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任に関して、ロシア外務省は「アナン特使が準備したシリアでの正常化の行程表と停戦案、ジュネーブでのシリア作業グループの声明、国連での関連する決議に従って行動することを期待する」と歓迎の意を示した。

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米国務省は声明を出し、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任への支持を表明し、シリア国民を代表とする政府樹立を求める合法的な要求に応えるよう求めた。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任に関して、「彼自身が期待する偉業」が実現するよう支援すると誓約した。

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英国の外務副大臣は、アフダル・ブラーヒーミー氏のシリア危機担当国連・アラブ連盟共同特別代表就任に関して、「完全に支持する」と表明した。

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イランのハサン・フェイルーズ・アーザーディー参謀長は、「米国、英国、シオニストはアル=カーイダや過激集団を利用して、シリアで内戦をしかけようとしている…。しかし彼らはいずれ、自分たちがこうした集団の標的になることを知るだろう」と述べた。

またイランの政治家・経済学者・元革命防衛隊司令官のモフセン・レザーイー氏は「我々は今日、シリアでの最終局面を目の当たりにしている…。シリアがアメリカ人の手に落ちれば、イスラーム復興運動はアメリカ的運動になるだろう。しかしシリアが自らの政策を維持すれば、イスラーム復興運動はイスラームに根を下ろすだろう」と述べた。

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UNSMISのババカール・ジャイ団長は、8月19日の監視団の任期終了を前にダマスカスで記者会見を開き、「民間人保護のため国際人道法に遵守する」ようアサド政権と反体制武装勢力に改めて求める一方、「こうした遵守はなされていない」と非難した。

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Sky News(8月18日付)は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がシリア領空での飛行禁止空域設定を拒否した、と報じた。

AFP, August 18, 2012、Akhbar al-Sharq, August 18, 2012、al-Hayat, August 19, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 18, 2012, August 20, 2012、al-Kurdiya
News, August 18, 2012、Naharnet.com, August 18, 2012、Reuters, August 18,
2012、SANA, August 18, 2012などをもとに作成。

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中国の楊外交部長がシャアバーン大統領府政治情報補佐官と北京で会談、国連安保理はUNSMISを任期切れの8月19日で廃止することを決定(2012年8月16日)

シリア政府の動き

アサド大統領が政令第309号を発し、アドナーン・アブドゥー・スフニーを工業大臣に、ナジュム・ハマド・アフマドを法務大臣に、サアド・アブドゥッサラーム・ナーイフを保健大臣に任命した。

SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012

スフニー工業大臣は、1961年、アレッポ生まれ。人民議会議員を経て、2010年以降はラッカ県知事を務めていた。

アフマド法務大臣は、1969年、アレッポ生まれ。前法務次官で、総選挙法案作成委員会(2011年5月発足)の委員長も務めた。

ナーイフ保健大臣は1959年、アレッポ生まれ。

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中国の楊潔チ外交部長は、シリアのブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官と北京で会談した。

中国外交部によると、楊外交部長は会談で、「中国はアサド政権と関係するすべての当事者に…早急に発砲を停止、暴力を制限し、政治的対話を行うよう求める」と述べた。

また「シリア政府と反体制勢力に国際社会の仲介の努力に協力する」よう求めた。

一方、SANA(8月16日付)によると、シャアバーン報道官は、「シリアの主権を支持する中国のバランスのとれた姿勢」に謝辞を示し、すべての国が中国、ロシアに倣い、危機からの脱却をめざすべきだと述べた。

SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012
SANA, August 16, 2012

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ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官は『チャイナ・デイリー』(8月16日付)に対して、「外国勢力が武装を与え、誘拐・殺戮・政府関連施設の破壊を行うよう促している一部の者たちがシリアで内戦を起こそうとしている」と述べた。

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はシリア・アラブ・テレビ(8月16日付)に対して、イスラーム諸国会議でのシリアの加盟資格停止が、多くの国が反対の意見を表明し、コンセンサスに基づいていないため、憲章に反していると述べた。

またシリア訪問中の国連バレリー・アモス人道問題担当事務次長との会談に関して、「昨日(水曜日)の会談で、彼女にシリア国民への支援金・物資を寄付する国々が人道的かと尋ねた。すると彼女は、そうした(アラブ諸)国が4カ国あるが、アラブ人から我々は1ドルも受け取っていないと答えた」と述べた。

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SANA(8月16日付)は、アサド大統領が政令第310号を発し、ムワッファク・イブラーヒーム・ハッルーフの後任として、ムハンマド・ワヒード・アッカード副知事をアレッポ県知事に任命した、と報じた。

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ロイター通信(8月16日付)は、マーヒル・アサド大佐が7月18日のダマスカス県でのテロで片脚を失う重傷を負っていた、と湾岸諸国の西側外交筋の話として報じた。

数日前には、両脚を失っていたとの報道が流れていたため、事実かどうかは定かでない。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は声明を出し、民主的変革諸勢力国民調整委員会がアサド政権と反体制武装勢力の双方に一時停戦を呼びかけたことに対し、「国民的合意から逸脱し、犠牲者と死刑執行人を同列に扱っている」と批判した。

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シリア国民評議会は声明を出し、イスラーム諸国会議機構によるシリアの加盟し確定し決定を歓迎する一方、「シリア国民は政治的意見対立と人道的危機を乗り越えるべく苦難している」と述べ、反体制勢力どうしの対立の責任の一端を国民に押しつけた。

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政治治安部情報課長のヤアラブ・シャルア准将がアラビーヤ(8月16日付)に登場し、政権からの離反を宣言した。

同准将はファールーク・シャルア副大統領のいとこである。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、アサーリー地区、タダームン区で軍・治安部隊による砲撃が行われ、多数が負傷した。

一方、Damas Post(8月16日付)は、複数の消息筋の話として、反体制武装勢力がカフルスーサ区にあるる首相府関連ビルをRPGで攻撃し、塀が破壊されたと報じた。犠牲者はなかった、という。

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Kull-na Shuraka', August 16, 2012
Kull-na Shuraka’, August 16, 2012

ダマスカス郊外県では、複数の反体制勢力筋によると、カトナ市で処刑された遺体60体が発見される一方、軍・治安部隊が同市のほか、ドゥマイル市、ドゥーマー市、タッル市に攻撃を続けた。『ハヤート』(8月17日付)が報じた。

一方、SANA(8月16日付)によると、タッル市、アイン・マニーン町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を継続し、拉致されていた市民多数を解放した。

またタッル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力が拉致していたヤーラー・サーリフ氏らイフバーリーヤ・チャンネルの記者3人の釈放に成功した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャッアール地区で6人、カーディー・アスカル地区で10人が軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘に巻き込まれて死亡した。

またジャンドゥール地区では、軍・治安部隊の兵士8人が反体制武装勢力と戦闘で死亡した、という。

このほか、サラーフッディーン地区、サイフ・ダウラ地区でも戦闘があった。

一方、SANA(8月16日付)によると、アレッポ市バーブ・ナイラブ地区、マルジャ地区、サイフ・ダウラ地区、マサーキン・ハナーヌー地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討を継続、多数の戦闘員を殺傷した。

またバーブ市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

『ハヤート』(8月17日付)は、トルコの消息筋の話として、アアザール市空爆で負傷した多数の市民がトルコ領内に入り治療を受けている、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月16日付)によると、クサイル地方、ヒムス市ダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ラタキア県では、SANA(8月16日付)によると、カフルダブラ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、乗っていた車2台を破壊した。

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イドリブ県では、複数の反体制勢力筋によると、軍の戦闘機がマアッラトミスリーン市に対して、200キロ爆弾などを投下した。『ハヤート』(8月17日付)が報じた。

しかし、マアッラト・ニウマーン市郊外のジャルジャナーズ町に対するMiG戦闘機の爆撃により、マアッラト・ニウマーン市の革命指導評議会メンバーも含む数十人が負傷した。

一方、SANA(8月16日付)によると、サルキーン市・イスカート市間の街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃した。

レバノンの動き

ムフタール・サクフィー連隊なる組織が、ミクダード家連盟に続いて、LBCI(8月16日付)に対して、自由シリア軍のメンバー5人をベイルート県およびベカーア県で拉致したと明かした。

この発表の直後、LBCI(8月16日付)は、ベカーア県ザフレ郡シュトゥーラ市でシリア人のフサーム・ヤフヤー・ハシュルーム氏が誘拐されていたことが明らかになったと報じた。

またイード・フィトルを祝して、同集団が「善意を示すべく」5人のうち4人を釈放したとも報じた。

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ミクダード家連盟のマーヒル・ミクダード代表は記者会見を開き、「現在のところ、我々は自由シリア軍に所属するシリア人捕虜多数とレバノン人を拘束しているので、軍事作戦を停止している」と述べた。

また「自由シリア軍の報道官を拉致した。金曜日に作戦の詳細を示す」と付言する一方、湾岸諸国の居住者は「標的にならない」と名言した。

一方、シュトゥーラ市での拉致事件にミクダード家連盟が関与してないと述べた。

記者会見では、ヒズブッラーのアリー・ミクダード国民議会議員が「誘拐は禁止されており、報復としての拉致も禁止されている」と発言したが、その後ミクダード家のメンバーともみ合いとなり、会場を追放された。

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ミシェル・スライマーン大統領は、アドナーン・マンスール外務大臣がアレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者11人の無事を確認したと述べた。

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サアド・ハリーリー前首相は声明を出し、「過ちは過ちを解決することはできない」と述べ、レバノン国内でのシリア人拉致を批判した。

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ナハールネット(8月17日付)によると、レバノン人巡礼者11人を拉致しているアブー・イブラーヒームは、アレッポ県アアザーズ市での軍・治安部隊による反体制武装勢力掃討爆撃で人質11人のうち4人が死亡し、7人が重傷を負ったことを認めた。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は訪問中のダマスカスで記者会見を開き、250万人がシリアで支援を必要としている、と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣がヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣とともにザアタリー・シリア人避難民キャンプを視察、同地で記者会見を行った。

ファビウス外務大臣は記者会見で、「フランスの立場は明白である。我々はバッシャール・アサドが国民を処刑する執行者だと見なしており、去れねばならないと考えている。速く去るほどよいと考えている…。我々は暫定政府が速く発足し、世界の大国がそれを承認することを望んでいる…。このことでバッシャール・アサドの退任は早まるだろう」と述べた。

会場にはシリア人避難民数百人がファビウス外務大臣に詰め寄ろうとしたが、ヨルダン治安当局に阻止された。

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サウジアラビア、カタール、UAEに続き、クウェートもレバノン在住の自国民に退去勧告を出した。

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国連安保理はUNSMISを任期切れの8月19日で廃止することを決定した。

UNSMIS廃止後は、ダマスカスに連絡事務所を設置し、約20人規模の支援団を駐在させる予定。

AFP, August 16, 2012、Akhbar al-Sharq, August 16, 2012、Alarabia.net, August 16, 2012、Damas Post, August 16, 2012、al-Hayat, August 17, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 16, 2012、al-Kurdiya News, August
16, 2012、LBCI, August 16, 2012、Naharnet.com, August 16, 2012, August 17,
2012、Reuters, August 16, 2012、SANA, August 16, 2012などをもとに作成。

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ダマスカス県中心部で仕掛け爆弾2発が爆発し自由シリア軍国内合同司令部が犯行を主張、イスラーム諸国会議機構の特別首脳会議が閉幕し「アサド政権の加盟停止」をめぐって合意に至ったことが発表される(2012年8月15日)

国内の暴力(アレッポ県アアザール市)

アレッポ県では、各紙によると、反体制武装勢力が占拠するアアザール市に対して軍が空爆を行い、少なくとも35人が死亡した。

Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012

複数の反体制筋によると、空爆は市内のバアス党支局施設を狙ったもので、同施設は反体制武装勢力が占拠・使用していた。

AFP(8月15日付)によると、この空爆で800平方メートルが破壊され、住民の一人は攻撃が住宅地区に対して行われたと語った。

なおシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、アアザール市では80人以上が死亡したという。

またナハールネット(8月15日付)によると、攻撃にはMiG29戦闘機が使用された、という。

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反体制武装勢力の活動家によると、7月に拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)11人のうち7人が空爆で負傷、4人が行方不明となった。シリア人権監視団によると、4人が重体だという。

これに対して、ジャディード・チャンネル(8月15日付)によると、レバノン人巡礼者4人が軍の爆撃で死亡した、と報じた。

しかし、マナール・チャンネル(8月15日付)によると、11人は無事で、数人はトルコに到着した、という。

またLBCI(8月15日付)によると、誘拐犯のアブー・イブラーヒームもこの攻撃で軽傷を負ったという。

国内の暴力(ダマスカス県マッザ区)

ダマスカス県では、AFP(8月15日付)などによると、マッザ区の首相府およびイラン大使館近くで軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

反体制勢力筋によると、交戦に先立って、反体制武装勢力がRPG弾でイラン大使館(建設途中)を狙ったという。

その後、シリア・アラブ・テレビ(8月15日付)は、マッザ区バサーティーン・ラーズィーに関係当局が突入し、反体制武装勢力の戦闘員多数を殺傷、逮捕したと報じた。

また『クッルナー・シュラカー』(8月15日付)によると、マッザ区での軍・治安部隊の砲撃で10人が死亡した。

国内の暴力(ダマスカス県ダーマー・ローズ・ホテル前)

ダマスカス県中心のダーマー・ローズ・ホテル(旧メリディアン)隣りの労働総同盟施設内で早朝、仕掛け爆弾が爆発した。

シリア・アラブ・テレビ(8月15日付)やシリア人権監視団によると、爆発はディーゼル・タンクに取り付けられた仕掛け爆弾によるもの。

同ホテルはUNSMISの監視団が宿泊している。

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攻撃に関して、シリア・アラブ・テレビ(8月15日付)は、「参謀司令部の駐車場近くで爆発が発生」し「3人が負傷した」と報じ、それがUNSMISを狙ったテロだと断じた。

これに対して、AFP(8月15日付)は、爆発で5員が負傷した、と報じた。

http://www.youtube.com/watch?v=lEftoHNEfNk&feature=player_embedded

Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012
Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012

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自由シリア軍国内合同司令部調整連絡局のマーヒル・ヌアイミー少佐はAFP(8月15日付)に対して、「自由シリア軍が参謀司令部での軍の会合を狙ってこの作戦を実行した」と発表し、「二つの爆破のうち、一発が司令部中、もう一発が外で行われた」ことを明らかにした。

ヌアイミー少佐はまた「専門の士官が(作戦)を計画し、朝8時5分ちょうどに実行した。この時間は司令部ないで定例の会合が行われている」と付言した。

同少佐によると被害者数は明らかではないが、「司令部内には少なくとも150人がおり、そのなかにはデモ弾圧を担当する士官10人もいた」と述べた。

また、自由シリア軍の「ハビーブ・ムスタファー旅団」を名のる反体制武装勢力がフェイスブック(8月15日付)で犯行声明を出し、「司令部の定例の朝礼にいたシャッビーハ多数を殺害した」と主張した。

さらに自由シリア軍の「使徒末裔大隊」を名のる反体制武装勢力も犯行声明を出し、参謀司令部を標的とし、爆発によって兵士50人を殺害したと主張した。

国内の暴力(その他)

アレッポ県では『ハヤート』(8月16日付)によると、アレッポ市で軍・治安部隊が市内北東部の戦線を新たに突破し、反体制武装勢力が占拠する地区に突入を開始した。

またシリア人権監視団などによると、アレッポ市バーブ街道、ザフラ地区、サイフ・ダウラ地区、サラーフッディーン地区などで戦闘が続いた。

一方、SANA(8月15日付)によると、サイフ・ダウラ地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ハラク地区、バーブ・ナスル地区、カブターン市、カフルハムラ地方、カフルバスィーン地方などで軍・治安部隊による反体制武装勢力「残党」の掃討が続いた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月15日付)によると、タッル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、SANA(8月15日付)によると、タファス市で軍・治安部隊が反体制武装勢力「残党」の掃討を継続し、多数の戦闘員が武器を放棄して逃走した。

またヨルダン領内からタッル・シハーブ地方に潜入しようとした反体制武装勢力の戦闘員を国境警備隊が撃退した。

このほか、ブスラー・シャーム市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、『ハヤート』(8月16日付)によると、軍・治安部隊がタフス市に突入、同市の「純化」を本格化させた。

自由シリア軍はこれを受け、装備部族を理由に撤退を宣言した。

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ヒムス県では、SANA(8月15日付)によると、レバノン領内からタッルカラフ地方に潜入しようとした反体制武装勢力の戦闘員を国境警備隊が撃退した。

またガントゥー市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

シリア政府の動き

ダマスカスに滞在中の国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談し、人道支援などに関する協力態勢について協議した。

SANA, August 15, 2012
SANA, August 15, 2012

SANA(8月15日付)が報じた。

反体制武装勢力の動き

アレッポで反体制武装闘争を行うタウヒード旅団のアブドゥルカーディル・サーリフ司令官は、アレッポ市内での反体制武装勢力による政権支持者処刑に関するビデオ映像が公開されたことを受け、声明を出し、「体制と結託した一部の勢力が映像をねつ造した」と主張し、反体制武装勢力が捕虜の取り扱いなどに関する国際法を遵守していると強調した。

http://www.youtube.com/watch?v=RLLq2czgTvs&feature=youtu.be

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アレッポ砲兵学校副校長のアブドゥルマジード・バドルクバイス准将がユーチューブ(8月15日付)で軍を離反し、タウヒード旅団への参加を発表した。

http://www.youtube.com/watch?v=hN0QRG-U9QU

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自由シリア軍国内合同司令部は声明を出し、レバノン人のハッサーン・ミクダード氏を拉致した誘拐犯が「自由シリア軍には属していない」と述べた。

しかし自由シリア軍は離反兵・反体制活動家の小規模な集団どうしの緩やかな連合体であり、組織への加盟・脱退の基準は存在しない。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会のファイサル・ユースフ新事務局長はイラク・クルディスタン地域のエルビルでクルディーヤ・ニュース(8月15日付)に対して、「一部の都市では依然として武装デモが続いているが、市民保護のためのよりよい手段に至ることを望む」と述べ、反体制武装勢力の活動と一線を画す意思を明らかにした。

al-Kurdīya News, August 15, 2012
al-Kurdiya News, August 15, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月15日付)は、PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党がクルド人青年4,000人をアーバール油田の監視・守衛として雇用しようとしている、と報じた。

同党消息筋の話によると、同油田の守衛・監視の給与の平均は月額で15,000,000シリア・ポンド(3000万円相当)!!!だという。

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『クッルナー・シュラカー』(8月15日付)は、ハサカ県ルマイラーン町に避難したダマスカス県住民の話として、同市の西クルディスタン人民議会人民諸委員会の検問所から300メートルも離れていない場所に、アサド大統領、ハーフィズ・アサド前大統領、バースィル・アサド准将の銅像が建ち並んでいる、と報じ、クルド民族主義勢力とアサド政権の親密な関係を示唆した。

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クルド最高委員会は声明を出し、現下のシリアの情勢を踏まえて、イード・フィトル期間中、街頭で祝祭・祝典を行わないよう呼びかけた。

レバノンの動き

LBCI(8月15日付)などによると、アブー・アリー・ミクダードが書記長を務めるミクダード家連盟(本部ベイルート南部郊外ルワイス)の民兵がレバノン国内で自由シリア軍のメンバー20人以上とトルコ人1人を拉致したと発表した。

LBCIによると拉致された自由シリア軍メンバーには、大尉ら士官2人が含まれている、という。

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ナハールネット(8月15日付)などによると、ミクダード家は、ヒズブッラーのメンバーだとされるハッサーン・サリーム・ミクダード氏がダマスカス県で拉致されたことを受けて行動に出たという。

ハッサーン・サリーム・ミクダード氏の兄弟のハーティム・ミクダード氏はLBCI(8月15日付)に、これまでに30人の自由シリア軍メンバーを拉致したと述べるとともに、2日以内にハッサーン・サリーム・ミクダード氏を釈放するよう誘拐犯に呼びかけた。

Naharnet.com, August 15, 2012
Naharnet.com, August 15, 2012

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自由シリア軍の政務顧問だというバッサーム・ダーダー氏はジャディード(8月15日付)に対して、拉致されたシリア人は避難民で自由シリア軍のメンバーではない、としたうえで、「ヒズブッラーが事件の背後にいる」と断じた。

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LBCI(8月15日付)はその後、拉致されたトルコ人のパスポートの画像を公開、そこには「アイドゥン・トゥファン、1948年5月3日生まれ」と記されていた。

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なおナハールネット(8月15日付)は、アブー・アリー・ミクダード書記長の話として、ベカーア県東部(バアルベック郡)のシャンマース家、ズアイティル家、ナスルッディーン家、ダンダシュ家といった家族もミクダード家とともに活動している、と報じている。

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NNA(8月15日付)は、ダマスカス県に滞在してたレバノン人のルワイユ・マンスール氏(23歳、スール出身)が先週から行方不明になっている、と報じた。

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『ハヤート』(8月16日付)は、進歩社会主義党、ヒズブッラー、アマル運動がレバノン領内でのシリア国民の拉致拡大を阻止することで合意した、と報じた。

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アリー・アウダ・アスィーリー駐レバノン・サウジ大使は、レバノン在住のサウジ国民に即時退去を勧告した。

またUAEとカタールの外務省もレバノン在住の自国民に退去勧告を出した。

諸外国の動き

サウジアラビアのメッカで開催されていたイスラーム諸国会議機構の特別首脳会議が閉幕した。

閉幕声明では、「シリア国民に対する虐殺と非人道的行為への激しい懸念」を表明し、「シリアの加盟資格停止」を通じて「暴力行為の即時停止」をめざすことで合意したことが明記された。

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トルコ日刊紙『タラフ』(8月15日付)は、ヒラリー・クリントン米国務長官のトルコ訪問時の同国首脳らとの会談で、シリア領空での飛行禁止空域について実際に設定することが困難だとの認識に至った、とフランシス・J・リチャードーン駐トルコ米大使が語ったと報じた。

リチャードーン駐トルコ米大使は「もちろん、こうした問題を設定しなければならない。しかしこうした問題に関するトルコとの協議は、こうした地域(飛行禁止空域)の設定に積極的に関与することと同義であるべきでない」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のベラルーシで、ジュネーブでのシリア協力グループ会合での決定を遵守するよう西側諸国に呼びかけ、シリアのすべての当事者に圧力をかけ、反体制武装闘争を煽動しないよう警鐘を鳴らした。

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中国共産党の機関紙『人民日報』(8月15日付)は、シリア問題をめぐる国連安保理内での意見対立の原因が、政治的関係正常化を阻止しようとする西側諸国にあるとし、アサド政権の打倒に固執し、反体制勢力を支援し続ける姿勢を非難した。

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『ハヤート』(8月15日付)は、ヨルダンの複数の消息筋の話として、ヨルダン政府がリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相の離反と領内への避難を事前に知っていたと報じた。

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アラビーヤ(8月15日付)は、イランのアーラム・チャンネルのアフマド・サトゥーフ特派員がヒムス市の自宅近くで拉致された、と報じた。

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シリアでの人権侵害を調査するための国連人権理事会調査委員会が最新の報告書を提出し、軍、治安部隊、シャッビーハが「人道に対する罪」、「戦争犯罪」、「体系的な人権侵害」を行っていると指摘した。

報告書はまた「反体制武装勢力も殺戮、拷問といった戦争犯罪を犯している」と指摘したが、「その深刻さにおいては、政府軍、シャッビーハの侵害に及ばない」としている。

AFP, August 15, 2012、Akhbar al-Sharq, August 15, 2012、Alarabia.net, August 15, 2012、al-Hayat, August 15, 2012, August 16, 2012、al-Jadīd Channel, August 15, 2012、Kull-na
Shurakaʼ, August 15, 2012、al-Kurdīya News, August 15, 2012、LBCI, August
15, 2012、al-Manar Channel, August 15, 2012、Naharnet.com, August 15, 2012、NNA,
August 15, 2012、Reuters, August 15, 2012、SANA, August 15, 2012、Youtube,
August 15, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アモス国連人道問題担当事務次長がシリアを訪問しハルキ―首相らと会談するなか、ヒジャーブ前首相がアンマンで記者会見を開きアサド政権を「アッラーの敵」と評する(2012年8月14日)

シリア政府の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長はシリアを訪問し、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、シリア赤新月社高官らと会談し、民間人への緊急支援増大などについて協議した。

al-Hayat, August 15, 2012
al-Hayat, August 15, 2012

 

反体制勢力の動き

『ハヤート』(8月14日付)は、ハマー県郊外の自由シリア軍の士官が、「ああ、(シャームの民の)ヌスラ戦線や(対トルコ国境のバーブ・ハワー国境通行所を占拠するとされる)シャーム自由人大隊のなかにシリア人以外の戦闘員がいるが、外国人の割合は前者で20%、後者で5%に過ぎない」と語ったと報じた。

同紙によると、戦闘員をシリア人かどうか見分けるのは困難だという。

同紙は、イドリブ県サラーキブ市でシャームの民のヌスラ戦線幹部への取材を申し入れ拒否されたが、同幹部入り口にいるシリア人戦闘員たちは、リビア人、ヨルダン人、サウジ人の戦闘員がいる、と証言した。

またファールーク大隊司令官のハサン・アブドゥッラッザークもまた、外国人戦闘員に関する取材を拒否した。

なお同紙によると、外国人戦闘員の参加、とりわけバーブ・ハワー国境通行所の占拠は、地元住民の間で非難の的となっている。

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ロイター通信(8月14日付)は、リビア人を父、アイルランド人を母に持つフサーム・ナッジャールなる戦闘員の話として、リビアの反体制活動に参加していた民兵がシリアに入り、シリアの反体制武装勢力の教練・組織を行っている、と報じた。

ナッジャールは、カタールの支援のもとムアンマル・カッザーフィー政権に対する反体制運動に参加したリビア系アイルランド人のマフディー・ハラーティーが率いる民兵の狙撃兵で、5ヶ月前にダブリンから呼び寄せられ、シリアで活動している、という。

ハラーティーが率いる民兵(ウンマ旅団)は、約20%の兵士がリビア人からなっており、残りの兵士はシリア人だと述べる一方、「アラブ世界出身の数千人のスンナ派戦闘員が周辺諸国におり、(シリアの)問題に関与する準備をしている」という。

ナッジャールは、反体制武装勢力が自由シリア軍の名の下に活動しているが、地元の指導者どうしの調整が弱く、「革命が遅れている最大の要素は反体制勢力の統一の欠如だ」と指摘するとともに、問題は「もはやアサド打倒ではない。シリアのスンナ派イスラーム教とが国を取り戻し、数世代にわたって彼らを弾圧してきたマイノリティを排除することだ」と強調した。

なお『アイリッシュ・タイムズ』(7月28日付)によると、ハラーティーは2011年11月頃、人道的な活動を行うためにシリアに入ったが、その後リビアでの反体制運動の経歴ゆえにシリア人反体制活動家が接近し、ウンマ旅団を結成したという。

同報道によると、ウンマ旅団は6,000人以上の兵士を擁し、うち90%がシリア人、残りがアラブ人やアイルランド人だという。

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リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相はヨルダンの首都アンマンで記者会見を行った。

記者会見で、ヒジャーブ前首相は、アサド政権を「アッラーの敵」と評し、「物的、道徳的、経済的に崩壊しつつあり、軍事的に分裂している」と述べ、同政権が「国土の30%しか掌握していない」と断じた。

また軍の将兵に「シリア・アラブ軍の自由人」と呼びかけ、「君たちが偉大なる国民の側につき、その神聖さ、領土、そして賢明なる国民の血を護るだろうと確信する」と述べた。

一方、サウジアラビア、カタール、トルコに対して「国民の革命支援のための努力継続」を呼びかけるとともに、「現在も将来も、解放されたシリアにおいていかなる地位に就くことも求めていない」と述べ、自身の離反が政権の抑圧激化への反発であることを強調した。

自身のヨルダンへの逃走については、「8月5日に離反し…、出国には3日を要した」ことを明らかにした。

Kull-na Shuraka', August 15, 2012
Kull-na Shuraka’, August 15, 2012

反体制勢力に対しては「在外の反体制勢力諸派はこれまで以上にその努力を結集することを求められている」と述べ、自身が「国民の正当な要求を擁護する献身的な一兵卒として国民の革命以外の何ものも支持しない」と主張した。

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国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会が声明を出し、イード・フィトル前にすべての当事者に一時停戦に応じるよう呼びかけるとともに、停戦発効を受けて、すべての逮捕者、人質の釈放、食糧・医療物資の配給を行い、そのうえで政治プロセスを通じて政権移行を行うよう提案した。

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反体制活動家のハイサム・マーリフ暫定政府首班(シリア革命評議会)は『ハヤート』(8月15日付)に対して、イスラーム諸国会議機構の主導のもとイスラーム諸国合同軍を発足し、シリア人保護のために派遣することを提言する一方、国際社会にアサド政権の正統性を否定するよう呼びかけた。

シリア国民評議会との関係について、「メディアでの会見に活動を限定していた執行委員会と対立していただけ」と述べ、反体制勢力が共通の政治的ビジョンを持っていると主張した。

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シリア国民評議会のサダード・アッカード広報センター長は、『ハヤート』(8月15日付)に対して、「反体制勢力の統一は不可能だが、シリア国民評議会は100カ国以上に承認され、シリアの友連絡グループの会合も4度開催された」と述べた。

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シリア国民評議会のバッサーム・イマーディー氏は、ミシェル・サマーハ元情報大臣の逮捕に関して、『ナハール』(8月14日付)に対して、「アサド政権はレバノンで最も危険なカードを切る危険を冒そうとしている」と評した。

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離反した外交官ラミーヤー・ハリーリー女史はAKI(8月14日付)に対して、自身の家族が政権から「復讐的措置」を受けている、と述べた。

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ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団は、2011年3月以降の死者数が民間人16,142人、離反兵1,081人、軍兵士5,842人に上ったと発表した。

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シリア国家建設潮流は声明を出し、ダマスカスで開催を予定していたシリア国民救済大会を8月28日に延期すると発表した。

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Kull-na Shurakāʼ, August 15, 2012
Kull-na Shurakaʼ, August 15, 2012

シリア・クルド国民評議会事務局が定例会合を開き、ファイサル・ユースフ氏(シリア・クルド進歩民主党政治局メンバー、同党改革運動報道官)を同評議会事務局長に選出した。

これまで同評議会の代表はシリア・クルド民主党パールティーのアブドゥルハキーム・バッシャール書記長が務めてきた。

なおこれに合わせて、以下のメンバーからなる新事務局を選出した。

ファイサル・ユースフ事務局長
ハーリド・ジャミール・ムハンマド(クルド作家連合)
ダルシャー・アイユー

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フェイスブック(8月14日付)で、アレッポ市中央郵便局で反体制武装勢力が殺害した政権協力者(シャッビーハ)の遺体を投げ捨てる映像が公開された。

http://www.youtube.com/watch?v=0y0gKfoCJ8w

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イスラーム旅団アンマール・ブン・ヤースィル大隊なる反体制武装勢力はユーチューブ(8月14日付)でクナイトラ地区局長のフサーム・ハイダル准将を拉致したと発表した。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団などによると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区に対する軍・治安部隊の砲撃が行われる一方、反体制武装勢力が依然立て籠もっているサラーフッディーン地区などで散発的な戦闘が続いた。

一方、アレッポ市バーブ街道地区、理学部地区、ブスターン・カスル地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

またアレッポ市サラーフッディーン地区で仕掛け爆弾を解除したほか、大量の武器弾薬を押収した。

このほかアターリブ市、アッサーン村、アナダーン市などで反体制武装勢力への掃討作戦を継続した。

ロイター通信(8月15日付)は、反体制武装勢力が占拠するアレッポ市シャッアール地区にあるダール・シファー病院を軍・治安部隊が砲撃し、1人が負傷した、と報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア国民評議会によると、タッル市、ハジャル・アスワド市、スバイナ地区に軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

一方、SANA(8月14日付)によると、タッル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討作戦を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、AFP(8月14日付)によると、マイダーン地区、シャーグール区で治安部隊による大規模な逮捕・摘発が行われた。

地元調整諸委員会によると、アサーリー地区が砲撃に曝されたという。

シリア人権監視団によると、カフルスーサ区で仕掛け爆弾が爆発した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市が砲撃に曝され、女性1人が射殺された。

一方、SANA(8月14日付)によると、反体制武装勢力がダルアー市でマアムーン・ズウビー県保険局次長を暗殺した。

またハーッラ市などでは、軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討作戦を継続し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、SANA(8月14日付)によると、クサイル地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

諸外国の動き

米財務省は、ヒジャーブ前首相の資産凍結解除を決定した。

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レオン・パネッタ米国防長官はAP(8月14日付)に対して、米国がシリア領空での飛行禁止空域の設置を「緊急事態」として検討しているとしつつ、実施には「非常に重大な政治決定が必要となるが、そうした決定はなされてない」と述べた。

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マーティン・デンプシー米陸軍参謀長は記者会見で、イラクでマフディー軍を教練した例に倣い、イランがシリアで民兵の教練を行っている、と指摘した。

デンプシー参謀長は、「シリア軍は18ヶ月も戦っている。どんな軍でもこのような状態では崩壊する…。それゆえイランがゲームに参加し、民兵を教練している」と述べた。

また反体制武装勢力によりMiG23撃墜に関しては、「対空ミサイルを保有していると考えることは現段階では間違いだ」と述べ、軽火器で撃墜されたのだろうとの見方を示した。

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スイス政府は、シリア・アラブ航空、綿販売公社、ドゥライキーシュ・テクノロジー社に対して追加制裁を行うことを決定、スイス国内での操業を停止した。

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スウェーデンのストックホルムにあるシリア大使館前で反体制デモが行われ、スウェーデン警察がデモ参加者10人を拘束した。

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国境なき記者団は、自由シリア軍のリヤード・アスアド司令官、シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長に宛てた公開書簡を発表し、政府系メディアの記者・職員への攻撃エスカレートへの懸念を表明した。

AFP, August 14, 2012、Akhbar al-Sharq, August 14, 2012, August 15, 2012、AKI, August 14, 2012、al-Hayat, August 14, 2012, August 15, 201, August 16, 2012、The Irish Times, July 28, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 14, 2012, August 15, 2012, August 17, 2012、al-Nahar, August 14, 2012、Naharnet.com, August 14, 2012、Reuters, August 14, 2012、SANA, August 14, 2012、Youtube, August 14, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダイル・ザウル県で反体制武装勢力が軍の戦闘機1機を撃墜しパイロットを拘束、ハサカ県ではクルド人を多く含む離反兵が革命軍事評議会の結成を宣言(2012年8月13日)

国内の暴力

自由シリア軍の「ムハンマドの末裔旅団」を名のる反体制武装勢力がダイル・ザウル県で、軍のMiG23を14.5ミリ対空砲で撃墜したと発表し、映像を公開した。

http://www.youtube.com/watch?v=VSyTcvkvD_o&feature=youtu.be

Youtube, August 13, 2012
Youtube, August 13, 2012

しかし『ハヤート』(8月14日付)によると、撃墜された戦闘機の映像が一撮影されたものかは明らかではない。

一方、自由シリア軍国内合同指導部(カースィム・サアドッディーン大佐)はAFP(8月14日付)に対して、「14.5ミリ対空砲でMiG21を撃墜したことを確認した」と述べた。

また『ハヤート』(8月14日付)は活動家の話として、MiG21がムー・ハサン市に墜落したと語った。

その後、撃墜された戦闘機のパイロットだというムフィード・ムハンマド・スライマーン准将が、兵士3人に取り囲まれてビデオに出演し、「ムーハサン市空爆の命令を受けた」ことを認める一方、「この悪党から離反」するようシリア軍兵士に呼びかけた。

http://www.youtube.com/watch?v=2VIanTZ2uG0

スライマーン准将はまた、顔のあざの原因を聞かれ、「墜落の結果だ。風が強かったため、石や砂利が当たった」と答え、拷問による傷でないことを強調させられた。

しかしスライマーン准将は軍服を着ておらず、軽装に着替えていた。

Youtube, August 13, 2012
Youtube, August 13, 2012

これに対してSANA(8月13日付)は、軍消息筋の話として、「シリア北部で戦闘機が通常の訓練飛行中に…技術的な故障により操縦装置が故障し、飛行続行不能となり、パイロットは脱出用パラシュートで脱出した」と報じた。

反体制武装勢力が撃墜したとされるMiG23のパイロットのムフィード・ムハンマド・スライマーン准将の妻子がアフバール・バラド(8月13日付)で、自由シリア軍に対して、「シリア・アラブ軍の道徳を体現した」同准将の任務が「無実の市民の殺戮などということはあり得ない」と主張、解放を求めた。

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ヒムス県では、SANA(8月13日付)によると、ヒムス市シャンマース地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジト(爆弾製造所)に突入し、大量の爆発物を押収した。

またクサイル地方でも軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、戦闘員多数を殺傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団などによると、アレッポ市サイフ・ダウラ地区に軍・治安部隊が突入した。

またシリア革命調整連合によると、アレッポ市のブスターン・カスル地区、サイフ・ダウラ地区、マサーキン・ハナーヌー地区などに対して軍・治安部隊が砲撃を続けた。

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イドリブ県では、SANA(8月13日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を行った。

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ラタキア県では、SANA(8月13日付)によると、ラタキア市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を摘発した。

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ダルアー県では、SANA(8月13日付)によると、サナマイン市など各地で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア情報センター(8月13日付)によると、マッザ区で激しい爆発音が聞こえ、また、タダームン区では軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町での砲撃で1人が死亡した。

反体制勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月13日付)は、ハサカ県で離反兵が革命軍事評議会の結成を宣言した、と報じた。

al-Kurdīya News, August 13, 2012
al-Kurdiya News, August 13, 2012

同報道によると、離反兵の多くはクルド人で、ムハンマド・アリー・ハマド大佐が司令官を務めている。

同評議会はアサド政権の打倒をめざすとともに、ハサカ県の社会的統合の維持、同県のシリア・アラブ地域の一部としての維持を掲げている。

レバノンの動き

アラビーヤ(8月13日付)は、シリアの反体制武装勢力がヒズブッラーの戦闘員を拘束したとし、その映像を放映した。

映像ではハッサーン・サリーム・ミクダードを名のる人物が、ハサン・ナスルッラー書記長の指示のもと、250人のヒズブッラーの戦闘員とともにシリアに潜入し、ダマスカス郊外県サイイダ・ザイナブ町に駐留し、「シリアのシーア派体制」を支援した、との証言を行った。

http://www.youtube.com/watch?v=CJAQRzctWF0&feature=player_embedded

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アラビーヤの報道に関して、ヒズブッラーは声明を出し、事実は異なると否定した。

諸外国の動き

『ハヤート』(8月14日付)によると、複数の消息筋の話として、サウジアラビアのメッカで開催されているイスラーム諸国会議機構の特別首脳会議で、加盟国外相がシリアの加盟資格停止を提言し、これが閉幕声明で宣言されることが決まった。

同消息筋によると、シリアの加盟資格停止をめぐっては、複数の加盟国が、国連憲章第7章に基づく介入を招きかねない安保理へのシリア問題の付託を拒否した。

またパキスタン、カザフスタンは、シリア国内の暴力の責任を自由シリア軍と軍の双方に対して追求することを提案した。

さらにイランは加盟資格停止の提言を拒否した。

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AFP(8月13日付)によると、ヨルダン領内のザアタリー・シリア人避難民キャンプで暴動が発生し、ヨルダンの警察が強制排除した。

匿名の高官が語ったところによると、約60人のシリア人避難民がキャンプを離れ、対シリア国境のラムサー市に戻ろうとして警察と衝突したという。

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イランの反体制組織、イラン国民抵抗評議会はパリで声明を出し、ダマスカス郊外県で拉致されたイラン人巡礼者のなかにイラク革命防衛隊のメンバー1人が含まれていると発表した。

AFP, August 13, 2012、Akhbar al-Balad, August 13, 2012、Akhbar al-Sharq, August 13, 2012、Alarabia.net, August 13, 2012、al-Hayat, August 14, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 13, 2012、al-Kurdiya News, August
13, 2012、Naharnet.com, August 13, 2012, August 14, 2012、Reuters, August
13, 2012、SANA, August 13, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ヒジャーブ前首相の離反を調査するために設置された治安委員会が各閣僚を治安機関などによって監視することを提言、ダマスカス県では軍・治安部隊がシャームの民にヌスラ戦線の指導的活動家1名を殺害(2012年8月12日)

シリア政府の動き

『クッルナー・シュラカー』(8月12日付)は、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相の離反を調査するために設置された治安委員会が、各閣僚を25人の治安機関および共和国護衛隊の要員によって監視することを提言した、と報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のバーブ街道地区、サーフール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区などに軍・治安部隊が砲撃を加え、反体制武装勢力掃討作戦を継続した。

また同監視団によると、フライターン市が軍・治安部隊の砲撃に曝されたほか、サフィーラで軍の大佐が反体制武装勢力によって殺害された。

一方、SANA(8月12日付)によると、アレッポ市内バーブ・アンターキヤー、ダウワール・アグユール、ジャムイーヤ・ザフラー地区、ダマスカス街道、郊外のサフィール地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡、多数の戦闘員を殺傷した。

『ワタン』(8月12日付)は、アレッポ市内の反体制武装勢力がスッカリー地区をサラーフッディーン地区喪失後の新たな拠点にしようとしている、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月12日付)によると、ヒムス市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジト2カ所を破壊した。

またシャンマース地区で反体制武装勢力を追跡し、戦闘員多数を殺傷した。これに対して反体制武装勢力は同地区内で旅客マイクロバスを襲撃し、子供2人を含む3人を殺害した、という。

このほかクサイル地方でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、シリア国民評議会は声明を出し、ヒムス市のシャンマース地区で軍・治安部隊が若者10人を処刑したと断じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフ・キャンプで軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、女性1人が死亡した。

一方、SANA(8月12日付)によると、ハーン・シャイフで軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、多数の戦闘員を逮捕した。

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ダマスカス県では、SANA(8月12日付)によると、軍・治安部隊がシャームの民にヌスラ戦線の指導的活動家ワーイル・ムハンマド・マジュダラーニーを殺害した。

また旧市街で治安当局が多数の戦闘員を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ヒルバト・ガザーラ町近くで軍・治安部隊が攻撃を受け、兵士6人が殺害された。

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イドリブ県では、SANA(8月12日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続した。

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ハマー県では、SANA(8月12日付)によると、 タクスィース村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(8月13日付)は、反体制筋の話として、ヒムス県のイブラーヒーム・ジャバーウィー警察副所長が離反し、ヨルダンに逃走した、と報じた。

クルド民族主義勢力の動き

武装したクルド人反体制活動家がカーミシュリー市でアーザーディー大隊を名のる武装集団を結成するビデオがユーチューブ(8月12日付)にアップされた。

クルディーヤ・ニュース(8月13日付)によると、同組織は無所属のクルド人青年からなり、自由シリア軍の傘下にはないが、連携をめざしている、という。

またPKK系の民主統一党の民兵などとの衝突を回避しようとしている、という。

諸外国の動き

サウジアラビアのジェッダで開催が予定されていたアラブ連盟外相会合が延期された。

会合ではアナン特使退任後のシリアにおける「政治プロセス」が審議される予定だった。

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AFP(8月12日付)はフランスの医療チームがヨルダンのザアタリー・シリア人避難民キャンプに到着したと報じた。

AFP, August 12, 2012、Akhbar al-Sharq, August 12, 2012、al-Hayat, August 13, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 12, 2012、al-Kurdiya News, August
13、Naharnet.com, August 12, 2012、Reuters, August 12, 2012、SANA, August
12, 2012、al-Watan, August 12, 2012、Youtube, August 12, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノン司法当局がサマーハ元情報相とシリアのマムルーク国民安全保障会議議長を「テロ未遂」容疑によって起訴、米国務長官がトルコを訪問し飛行禁止区域の設置やシリアの反体制勢力支援などについて協議(2012年8月11日)

シリア政府の動き

ワーイル・ナーディル・ハルキー首相がアサド大統領と会談、首相就任の宣誓を行った。

SANA, August 11, 2012
SANA, August 11, 2012

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、ロンドンのシリア大使館を閉鎖する決定を下し、同大使館に勤務していたマダッル・シハーダ氏をモスクワに、ヒシャーム・アストワーニー氏をダマスカス中央局に異動とした。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(8月12日付)は、イドリブ県のジャルジャナーズ、ビンニシュ 、カフルニヌルなど郊外の町では、自由シリア軍を名のる反体制武装勢力ではなく、家族や地域レベルの小規模な民兵が組織され、軍・治安部隊の検問所などを襲撃、制圧していると報じた。

Kull-na Shuraka', August 11, 2012
Kull-na Shuraka’, August 11, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月11日付)は、イドリブ県マアッラト・ニウマーン市で自治を行う反体制勢力(マアッラト・ニウマーン革命指導評議会)が、市内の壁の落書き(反体制活動家が行った落書き)を消す清掃作業を行っている、と報じた。

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各紙は、在ジュネーブ国連機関シリア代表部のダーニー・バアージュ一等書記官が離反したと報じた。

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Sky News Arabic(8月11日付)は、ハーリド・サーリフ駐ナイジェリア・シリア常駐副代表が離反し、ナイジェリアを出国したと報じた。

国内の暴力

アレッポ県では、自由シリア軍タウヒード旅団司令官のアブドゥルカーディル・サーリフなる活動家はAFP(8月11日付)に対して、反体制武装勢力がアレッポ市サラーフッディーン地区の戦略的拠点を奪還したと述べた。

しかしこの拠点がどこなのかは明らかにしなかった。

シリア人権監視団によると、アレッポ市スッカリー地区が軍・治安部隊の激しい砲撃に曝されたほか、サイフ・ダウラ地区にも砲撃が加えられた。

一方、SANA(8月11日付)によると、アレッポ市スッカリー地区、カフルハムラ村、イザーア地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の掃討作戦を継続した。

また反体制武装勢力はアレッポ刑務所に三度目となる襲撃を行ったが、軍・治安部隊によって撃退された、という。

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Kull-na Shuraka', August 11, 2012
Kull-na Shuraka’, August 11, 2012

ダマスカス県では、SANA(8月11日付)などが、マルジャ地区サウラ通りのジスル・ビクトリア近くの街路樹下に仕掛けられた爆弾が爆発したと報じた。

またアリー・アッバース記者(SANA国内報道局長)がジュダイダト・アルトゥーズ町で暗殺されたと報じた。

一方、地元調整諸委員会によると、タダームン区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

またシリア革命総合委員会によると、ジャウバル区で激しい砲撃の音が聞こえた、という。

シリア人権監視団などによると、未明にはカダム区、ナフル・イーシャ地区に軍ヘリコプターが攻撃を加える一方、ダマスカス・ダルアー街道、カーブーン区などで激しい戦闘が行われた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、AFP(8月11日付)に対して、タッル市でイフバーリーヤ・チャンネルの記者3人が10日に反体制武装勢力に拉致されたと発表した。

同代表によると、記者のうちの2人は軍・治安部隊に「従軍記者」として同行していた。

また未明にハジャル・アスワド市でシリア軍と反体制派が交戦した。

Kull-na Shuraka', August 11, 2012
Kull-na Shuraka’, August 11, 2012

『クッルナー・シュラカー』(8月11日付)などによると、拉致されたのはヤーラー・サーリフ特派員(女性)、アッブード・タブラ・カメラマン、フサーム・アブー・ヤフヤー助手、そしてフサーム・イマード氏(運転手)。

シリア人権監視団によると、ハラスター市で激しい砲撃があった。

またダイル・アサーフィール市に対して未明に砲撃があり、3人の市民が死亡した。

このほかグータ東部で女性1人を含む2人が死亡、タッル市でも激しい砲撃があった。

一方、SANA(8月11日付)によると、反体制武装勢力が旅客バス(ボールマン)を襲撃し、乗客6人を殺害した。

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ダルアー県では、ロイター通信(8月11日付)などは、9日深夜、シリア軍がダルアー県タッル・シハーブ地方(シリア領)からタッラ(ヨルダン領)に向かって戦車などで砲撃を加え、ヨルダン軍がこれに応戦した、と報じた。

またシリア人権監視団によると、ムハッジャ村やタファス市への砲撃で女性2人を含む4人が死亡した。

一方、SANA(8月11日付)によると、シャイフ・マスキーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃した。

SANA, August 11, 2012
SANA, August 11, 2012

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平野地方で未明、2人の民間人が殺害された。

一方、SANA(8月11日付)によると、タイバト・イマーム市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃した。

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ヒムス県では、SANA(8月11日付)によると、クサイル地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を死傷させた。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月11日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の追跡を継続した。

レバノンの動き

レバノン軍事法廷のリヤード・アブー・ガイダー検事は、ミシェル・サマーハ元情報大臣に対する逮捕状を請求した。

またAFP(8月11日付)によると、レバノン司法当局は、サマーハ元情報大臣とシリアのアリー・マムルーク国民安全保障会議議長を「テロ未遂」で起訴したと報じた。

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レバノン・シーア派の宗教指導者、ハーニー・ファフス師とムハンマド・ハサン・アミーン師は、ジャズィーラ(8月11日付)に宛てて声明を出し、「シリア国民の革命」への支持を表明した。

諸外国の動き

ヒラリー・クリントン米国務長官はトルコを訪問し、アブドゥッラー・ギュル大統領、レジェップ・タイイップ・エルドアン首相、アフメト・ダウトオール外務大臣と会談し、飛行禁止区域の設置やシリアの反体制勢力への支援などについて協議した。

会談後の記者会見で、クリントン国務長官は、アサド政権が化学兵器を使用した場合の軍事、政治、諜報面での対応などで調整を行うことにトルコ側と合意したことを明らかにする一方、シリアが「PKKやアル=カーイダのテロリスト」の拠点になることへの懸念を表明した。

さらにヒズブッラー、イラン、シリアが結びつくことはアサド政権を延命させる、との認識を示した。

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ドイツ連邦情報局(BND)のゲルハルト・シンドラー長官は、アサド政権が「体制終焉に向けたゲームが始まったことを示す複数の証拠がある」と指摘、同政権が50,000人の兵士を脱走や負傷・戦死によって失い、うち3,000人が反体制武装勢力に参加していると述べた。

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カナダのジョン・ベアード外務大臣がヨルダンを訪問し、対シリア国境にある国営のザアタリー・シリア人避難民キャンプを慰問した。

AFP, August 11, 2012、Akhbar al-Sharq, August 11, 2012、Aljazeera.net, August 11, 2012、al-Hayat, August 12, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 11, 2012、Naharnet.com, August
11, 2012、Reuters, August 11, 2012、SANA, August 11, 2012、Sky News Arabic,
August 11, 2012、Syria-Politic.com, August 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米財務省が声明のなかでヒズブッラーがアサド政権による弾圧における「中心的な役割」を担っていると非難、英外相が500万ポンド相当の追加支援をシリアの反体制勢力に行うと発表(2012年8月10日)

国内の暴力

アレッポ県では、SANA(8月10日付)によると、軍・治安部隊がアレッポ市ダウワール・アクユール、ダウワール・カーディー・アスカルを制圧し、イザーア地区、サイフ・ダウラ地区で反体制武装勢力の「残党」を追跡し、多数を殺傷した。

SANA, August 10, 2012
SANA, August 10, 2012

またシュハダー地区のムハンマド・カッサール学校に集結していた反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

さらにアレッポ国際空港を襲撃しようとした反体制武装勢力も撃退したほか、ジュダイダ地区、ジュッブ・クッバ地区など各地で交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかにはリビア人などといったアラブ人や外国人が多数含まれていたという。

『ハヤート』(8月11日付)など各紙は、軍のミグ21戦闘機がアレッポ市ハナーヌー地区にある自由シリア軍の拠点の一つと住居ビル1棟を早朝に空爆、多数が負傷したと報じた。

AFP(8月10日付)は、バーブ街道地区のパン製造所が、数百人がパンを買うために列を作るなかで、軍戦闘機の砲撃を受け、子供3人を含む10人が死亡した、と報じた。

同地区は反体制武装勢力が占拠している地区だという。

反体制武装勢力はアレッポ刑務所を襲撃し、守衛多数を殺傷したと発表したが、SANA(8月10日付)は速報で否定した。

Akhbar al-Sharq, August 10, 2012
Akhbar al-Sharq, August 10, 2012

自由シリア軍シャフバーの楯大隊のフサーム・アブー・ムハンマド大尉は、AFP(8月10日付)に対して、軍・治安部隊が奪還したアレッポ市サラーフッディーン地区の「半分の地域で我々と政府軍の一進一退の戦闘が続き…、自由シリア軍は同地区周辺の新しい拠点を軸に展開、増強している」と述べた。

シリア人権監視団によると、アレッポ市ハラブ・ジャディーダ地区で反体制デモが発生し、治安当局が発砲、青年1人が死亡した。

また同市サビール地区、フルカーン地区、アフリーン市、アターリブ市、イッビーン村、バータブー村でも反体制デモが発生した、という。

フサインを名のる活動家はAFP(8月10日付)に対して、アレッポ市スッカリー地区で反体制デモが発生したが、「暴力ゆえに規模は小さかった」と述べた。

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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、SANA(8月10日付)によると、タッル・マニーン町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡し、数十人の戦闘員を殺傷、多数を逮捕した。

シリア人権監視団によると、バルザ区、ドゥーマー市、ハラスター市などで反体制デモが発生した、という。

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ヒムス県では、SANA(8月10日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃、殺害した。

またタッルカラフ地方では、レバノンからの潜入を試みた反体制武装勢力を国境警備隊が撃退した。

Zamān al-Waṣl, August 10, 2012
Zaman al-Wasl, August 10, 2012

一方ダミーヤ村では反体制武装勢力の砲撃で村人10人が死亡した。

このほか、スルターニーヤ地方、ラスタン地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(8月10日付)によると、サイダー町、ブスラー・シャーム市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、シリア人権監視団によると、ダルアー市、ヒルバト・ガザーラ町などで反体制デモが発生したが、軍・治安部隊がデモを阻止するために展開し、参加者を逮捕した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハッターブ村、ハマーディー・ウマル村、カフルズィーター市などで反体制デモが発生した。

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イドリブ県では、SANA(8月10日付)によると、アリーハー市とサラーキブ市を結ぶ街道で反体制武装勢力が民間人の車2台を襲撃し、子供1人を含む2人殺害した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月10日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡し、甚大な被害を与えた。

またフシャーム町でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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フェイスブックでは、反体制活動家が「対空兵器で我々を武装させよ」金曜日と銘打って反体制デモが呼びかけられていた。

シリア政府の動き

シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使は、安保理事務総長に書簡を提出、そのなかでトルコが軍事作戦事務所を設置し、そこでイスラエル、米国、サウジ、カタールの諜報機関がアレッポなどでのシリア国民に対するテロ活動を指示している、と非難した。

またトルコ領内に設置された避難民キャンプのほとんどがいまや軍事拠点と化し、シリアに送り込まれるテロリストが集まっている、と非難した。

反体制勢力の動き

ダルアー県ジャースィム市のハルキー家は声明を出し、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相との絶縁を宣言した。

レバノンの動き

Naharnet.com, August 10, 2012
Naharnet.com, August 10, 2012

『ジュムフーリーヤ』(8月10日付)は、レバノン国内で爆破テロを計画した疑いで身柄拘束中のミシェル・サマーハ元情報大臣が、「バッシャール(アサド大統領)がそう望んだから」と証言したと報じた。

複数の消息筋によると、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長がサマーハ元情報大臣に指示した、という。

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レバノンの各メディアによると、北部県アッカール郡アクルーム村(スンナ派)とバイト・ジャアファル村(シーア派)の住民が衝突し、レバノン軍兵士1人が負傷した。

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アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の家族はベイルート県にあるカタール大使館近くでデモを行い、カタール政府に人質解放のため協力するよう訴えた。

諸外国の動き

UNHCRは、アレッポ市などからのシリア人避難民の数が急増し、避難民の総計が150万人近くに達していると発表した。

UNHCRによると、トルコ領内の避難民の数は50,227人に及び、今週だけで約6,000人が新たに避難してきたという。

またヨルダンで登録した避難民の数は45,869人、レバノンが36,841人、イラクが13,587人に達し、また7月18日以降、イラク人避難民23,228人がシリアからイラクに避難した、という。

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米財務省は声明を出し、ヒズブッラーがアサド政権による弾圧において「中心的な役割」を担っていると非難した。

同声明は、ヒズブッラーが「日に日に残忍さを増すシリア政府の反体制勢力弾圧を支援するため教練、アドバイス、兵站支援を行っている」と指摘している。

またヒズブッラーが、イランの革命防衛隊がシリア軍を教練を「促す」一方、レバノンからのシリア人反体制活動家の追放において「政治的役割」を果たしていると述べた。

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ダニエル・ベンジャミン米国務省テロ対策調整官は、「ヒズブッラーが欧州などで予告なくいつでも攻撃してくるかもしれないと思う」と警鐘を鳴らした。

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米国務省のパトリック・ベントレル報道官は声明を出し、シリア国営のシトロール社(石油販売会社)に対して、イランとの取引があり、シリア国民弾圧への資金源となるとの理由で制裁を発動すると発表した。

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イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣は、500万ポンド相当の追加支援をシリアの反体制勢力に行うと発表し、シリア国内の暴力と殺戮をさらに助長する姿勢を示した。

追加支援は、防弾チョッキ、通信機器などが主で、武器は含まれていない、という。

記者会見でヘイグ外務大臣は、「英国はさらなる努力を行い、シリア国民と反体制勢力への支援を進展させるだろう」と述べた。

AFP, August 10, 2012、Akhbar al-Sharq, August 10, 2012、AKI, August 10, 2012、al-Hayat, August 11, 2012、al-Jumhuriya, August 10, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 10, 2012、Naharnet.com, August
10, 2012、Reuters, August 10, 2012、SANA, August 10, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制武装勢力はサラーフッディーン地区から「戦略的撤退」、アサド大統領が政令を出しハルキー保健大臣を首相に任命(2012年8月9日)

国内の暴力(アレッポ県)

各紙によると、アレッポ市での軍・治安部隊が戦闘機を動員し掃討作戦を継続し、前日まで撤退を否定してきた反体制武装勢力はサラーフッディーン地区からの撤退を認めた。

SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012

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アブー・アリーを名のる反体制武装活動家はロイター通信(8月9日付)に対して、「自由シリア軍の戦闘員はサラーフッディーン地区の複数地点から撤退した」と明かした。

ロイター通信(8月8日付)は、別の活動家の話として、サラーフッディーン地区での戦闘で少なくとも68人が死亡した、と報じた。

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐はAFP(8月9日付)に対して、「自由シリア軍はサラーフッディーン地区から撤退した」と述べた。

しかしこの撤退は、「無差別の激しい砲撃で同地区が完全に破壊されたための技術的撤退」で、「アレッポ市の他の場所で我々は留まっている」という。

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自由シリア軍シャフバーの楯大隊司令官のフサーム・アブー・ムハンマド大尉はAFP(8月9日付)に対して、サラーフッディーン地区から「技術的完全撤退」をしたと述べる一方、軍が「真空爆弾を使用した」と非難した。

同大尉によると、反体制武装勢力は「サラーフッディーン地区にはおらず、政府軍が同地域に入った」。

撤退の理由として、同大尉は「砲撃激化」を理由にあげるとともに、「第10街道、第15街道も政府軍が制圧した」と明かした。

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ヌール・ハック大隊のワースィル・アイユーブ大尉もAFP(8月9日付)に対して、「技術的撤退」を認め、サイフ・ダウラ地区、マシュハド地区に前線を移動させたと述べた。

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地元調整諸委員会やシリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊はスッカリー地区、東アンサーリー地区、マシュハド地区、ジスル・ハッジ地区などアレッポ市東部に激しい砲撃を加えた。

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シリア人権監視団によると、サーフール地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区、バーブ街道地区、サラーフッディーン地区が軍・治安部隊の激しい砲撃に曝された。

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これに対して、SANA(8月9日付)によると、軍・治安部隊はアレッポ市内のアスィーラ地区、バーブ・ナスル地区で反体制武装勢力の「浄化」を完了した。

またハナーヌー地区、ブスターン・バーシャー地区、ハーン・ワズィール地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕したほか、マイサル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ハラブ・ジャディーダ地区などで「残党」の追跡・掃討を行った。

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ダマスカスの治安消息筋はAFP(8月9日付)に対して、スッカリー地区でも軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が実施される、と述べた。

また軍は「アレッポに動員された増援部隊の10%しか投入していない」と付言した。

ダマスカスの別の治安消息筋によると、軍はアレッポ市に20,000人の兵力を動員している。これに対して、『ハヤート』(8月10日付)によると、反体制武装勢力の兵力は8,000人だという。

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ロイター通信(8月8日付)によると、アレッポ市郊外のタッル・リフアト市では、軍の戦闘機が低空で旋回、空爆し、市民は避難を余儀なくされた。

ファトフ旅団のアブー・ハサンなる戦闘員によると、軍の戦闘機は「これまでタッル・リフアトとその周辺の我々の基地4カ所を砲撃した」。

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シリア人権監視団によると、バーブ市、フライターン市、カフルハラブ村でそれぞれ1人が殺害された。

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一方、SANA(8月9日付)によると、アレッポ市郊外のフライターン市、タッル・リフアト市、ダーラト・イッザ市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

国内の暴力(その他の県)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市で2人が砲撃により死亡し、アイン・タルマー村では軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

また『アフバール・シャルク』(8月9日付)は、ジャルマーナー市内の住居ビルの入り口で爆発が発生し、イブラーヒーム・ダッラ退役准将が暗殺された、と報じた。

さらに複数の活動家の話として、ムウダミーヤ・シャーム市の入り口の検問所で若者5人が、ダーライヤー市入り口の検問所で若者4人が殺害された、と報じた。

このほか、同報道によると、ダーライヤー市郊外で、両腕を切り落とされた遺体8体が発見された。

シリア人権委員会は、軍・治安部隊によって殺害されたと思われる身元不明の民間人の遺体多数が、ダマスカス県およびダマスカス郊外県で発見されている、と発表した。

一方、SANA(8月9日付)によると、タッル市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナスィーブ村での砲撃で3人が死亡した。

またヌアイマ村、ウンム・マヤーズィン町、ハイト村、ブスル・ハリール市、タイバ町などが軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ハサカ市各地区で治安部隊が逮捕・摘発を行った。

一方、SANA(8月9日付)によると、ハサカ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の戦闘員多数を逮捕、武器弾薬を押収した。

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ヒムス県では、シリア革命総合委員会によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区が砲撃に曝された。

一方、SANA(8月9日付)によると、タッルカラフ地方でレバノンからの潜入を試みる反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、多数を殺傷、逮捕した。

またタッルカラフ市では軍・治安部隊が反体制勢力と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、1人が死亡した。

またカフルナブル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市各地区で治安部隊が逮捕・摘発を行った。

一方、SANA(8月9日付)によると、カルアト・マディーク町郊外で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月9日付)によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかには、多数のアラブ人と外国人が含まれていた、という。

アサド政権の動き

アサド大統領は政令第298号を出し、ワーイル・ナーディル・ハルキー保健大臣を首相に任命した。

SANA, August 9, 2012
SANA, August 9, 2012

ハルキー新首相は1964年生まれ。ダルアー県出身。ダルアー県ジャースィム市基幹医療局長(1997~2000年)、バアス党ダルアー支部書記長(2000~2004年)を歴任後、2011年8月のアーディル・サファル改造内閣で保健大臣に就任した。

ハルキー新首相がスンナ派であることに関して、シリア国内の宗派バランスに配慮した人事といった報道が散見されたが、シリアの首相はスンナ派が就くことが独立以来慣例となっている。

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DPA(8月9日付)によると、ロンドン・オリンピックにシリア代表として参加している競泳のアーザード・バラーズィー氏は「殺される人々、砲撃を受けている家々のことを聞くと心が揺さぶられます。オリンピック村でいるので、考えたくないです。なぜならここでのすべては平和の祭典だからです」と述べた。

一方、シリア選手団のマーヒル・ハイヤータ代表は、アレッポの家族のことを心配する一方で、アサド政権を非難することはできなかったと吐露した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月9日付)は、大統領府内の反体制消息筋の話として、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が夫のムサンナ・サーリフ氏とともに7日に米国に向かった、と報じた。

同報道によると、前妻が米国人で米国籍を持つムサンナ・サーリフ氏の配偶者としてシャアバーン大統領府政治情報補佐官も米国籍を取得しようとしている、というが、事実確認はとれていない。

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アラビーヤ(8月9日付)は、大統領府儀典長のムイーッディーン・ムスリマーニー氏が離反したと報じた。事実確認はとれていない。

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『サンナーラ』(8月9日付)は、アサド大統領が叔父のリフアト・アサド前副大統領との和解のため、前副大統領をダマスカスに迎えることに同意したと報じた。

前副大統領の代理であるファールーク・ムサーリウ氏が明らかにした。

反体制勢力の動き

シリアの複数の反体制武装活動家によると、反体制武装勢力の司令官らは、アレッポ市サラーフッディーン地区などからの撤退後初めて、捕虜への暴行、拷問、処刑を行わないとの誓約に署名した。

ロイター通信(8月9日付)が報じた。

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AKI(8月9日付)は、ダマスカス革命評議会広報局のヌール・ビータール報道官なる活動家が、ダマスカス郊外県で拉致されたイラン人が巡礼者だというイラン側の「話は根拠が薄い」と非難した。

レバノンの動き

ミシェル・サマーハ元情報大臣が逃走先のレバノン山地県マトン郡ジュワール・ヒンシャーラ村で、ボディーガード2人、運転手1人とともに内務治安総軍に身柄を拘束された。

ボディーガード2人、運転手1人はその後釈放された。

内務治安総軍によると、身柄拘束の理由は「治安上の理由」。

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しかし妻のサマーハ氏はLBC(8月9日付)に対して、逮捕は「政治的理由」によると述べた。

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MTV(8月9日付)は、身柄拘束後にサマーハ元大臣が「シリアの命令でレバノン国内でテロ攻撃を計画したと自供した」と報じた。

また内務治安総軍が言及した「治安上の理由」に関して、ハーリド・ダーヒル国民議会議員(ムスタクバル潮流)暗殺計画と関係があると報じた。

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LBC(8月9日付)は、「シリアからレバノンへの爆発物の密輸を自供し」、またドライバーも関与を認めたと報じた。しかしボディーガードの1人は密輸への関与を否定した。

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ジャディード・チャンネル(8月9日付)は、北部県での攻撃計画に元大臣が関与していることを示すビデオテープに基づき身柄拘束されたと報じた。

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ムスタクバル・チャンネル(8月9日付)は、元大臣がスンナ派対アラウィー派、スンナ派対キリスト教徒の対立を煽るための爆破を計画していたと報じた。

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シュカイブ・クルトバーウィー法務大臣はNBN(8月9日付)に対して、サマーハ元情報大臣の逮捕を「受け入れられない」と述べ、非難した。

諸外国の動き

イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は『ワシントン・ポスト』(8月9日付)で、アサド政権が崩壊すれば、さらなる混乱が生じるとの見方を示した。

サーレヒー外務大臣は、「シリア社会は人種、宗派、文化のるつぼで、アサド大統領が突然いなくなってしまったら散り散りになってしまう」と警鐘を鳴らした。

またイランが近くシリア問題に関する国際会議を主催し、アジア、アフリカなど12~13カ国が参加するだろう、と述べた。

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イランはシリア問題国際会議をテヘランで開催し、イランを含む29カ国および同国駐在の国連機関代表が出席した。

参加したのは、イラク、パキスタン、ジンバブエの外務大臣、ヨルダン、スーダン、オマーン、チュニジア、ロシア、中国、アフガニスタン、インド、キューバ、ヴェネズエラの代表ら。

開会の辞で、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、「シリアの危機の解決は政府と反体制勢力の真剣かつ包括的な対話を通じてのみ可能」と述べるとともに、「いかなる外国の介入、軍事介入をも拒否し、危機解決のための国連の努力を支持する」と強調した。

さらにアサド大統領の退任がシリアで平和的な転換をもたらすとの西側の主張を「幻想」と一蹴した。

なお、レバノンとクウェートはそれぞれ代表を派遣しないと発表した。

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シリアの反体制武装勢力に武器供与などの支援をするトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、アサド政権がPKKに武器供与を行っている、と批判した。

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トルコの非常事態局によると、シリアからのトルコへの避難民の数は50,000人を越えた。

AFP(8月9日付)が伝えた。

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ジョン・ブレナン米大統領補佐官は、ワシントンでの講演で、シリアへの飛行禁止空域の設定はあるかとの質問に対して、「何かがテーブルの上にないと大統領がこれまでに言ったという覚えはない」と応えた。ロイター通信(8月9日付)が報じた。

しかし、スーザン・ライス米国連代表大使は、シリアへの飛行禁止空域設定の可能性に関して、「この提案は議論されたが、シリアが世界有数の防空能力を持っているなか…容易な選択肢ではないだろう」と述べた。

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フランスのニコラ・サルコジ前大統領はシリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長と7日に電話会談し、リビア暫定国民評議会を支援し、リビアへの軍事介入を行った前大統領の姿勢が、シリアでも同様に正当性を持つという点で見解が一致した、とAFP(8月9日付)が報じた。

AFP, August 9, 2012、Akhbar al-Sharq, August 9, 2012、Al Jadeed August 9,
2012、AKI, August 9, 2012、DPA, August 9, 2012、Future TV August 9, 2012、al-Hayat, August 10, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 9, 2012、LBC, August 9, 2012、MTV, August 9, 2012、Naharnet.com, August 9, 2012、NBN August 9, 2012、Reuters, August 9, 2012、SANA, August 9, 2012、al-Sannara, August 9, 2012、The Washington Post, August 9, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

軍・治安部隊がサラーフッディーン地区に戦車を突入させ掃討作戦が最終段階に、イランの国家安全保障最高会議書記がイラクを電撃訪問しシリア情勢について協議(2012年8月8日)

国内の暴力(アレッポ県)

各紙によると、アレッポ市では、軍・治安部隊がサラーフッディーン地区に戦車を突入させ、掃討作戦の最終段階に入った。

SANA, August 8, 2012
SANA, August 8, 2012

SANA(8月8日付)はサラーフッディーン地区が軍・治安部隊によって制圧されたと発表したが、反体制武装勢力側はこれを否定した。

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ダマスカスの治安筋は、AFP(8月8日付)に対して、「二正面から(サラーフッディーン)地区に軍が進軍し…、反体制武装勢力兵士が若干残ろうとも、その回復にさして時間はかからないだろう」と述べた。

同消息筋によると、総攻撃は早朝7時に始められ、激しい戦闘のち、軍はマルアブ街道とシャルイーヤ街道を制圧し、「激しい戦闘ののち、(反体制武装勢力が)完全崩壊したことに(軍も)驚いている…。(反体制武装勢力)に甚大な損害があった」という。

またサラーフッディーン地区のほかにも、サイフ・ダウラ地区が軍・治安部隊によって制圧された、という。

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SANA(8月8日付)は、「勇敢なる我らが武装部隊は今日、アレッポ市サラーフッディーン地区を完全制圧した」と報じた。

同通信社によると、同地区の戦闘で多数の戦闘員が死亡し、そのなかにはアラブ人、外国人などが含まれていた。

またサラーフッディーン地区でも、軍・治安部隊はサイフ・ダウラ地区、スッカリー地区、ナスル地区、マイサル地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ナイラブ地区など、アレッポ市郊外のマーイル地方、フライターン市などで反体制武装勢力の残党追跡および掃討を行い、戦闘員多数を殺傷、甚大な被害を与えた、という。

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シリア・アラブ・テレビ(8月8日付)は、アレッポ市に対する軍・治安部隊の掃討作戦でバーブ・ハディード地区やバーブ・ナイラブ地区で反体制武装勢力の戦闘員7人が死亡した、と報じた。

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自由シリア軍のヌール・ハック大隊の司令官だというワースィル・アイユーブ大尉はAFP(8月8日付)に対して、反体制武装勢力が午後にサラーフッディーン地区を奪還し、軍・治安部隊はサラーフッディーン広場周辺しか制圧していないと述べた。

この「奪還」は、約700人の兵士からなる反体制武装勢力の援軍がスッカリー地区、ブスターン・カスル地区、シャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区からサラーフッディーン地区に派遣されることで実現した、という。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバールアカイディー大佐もAFP(8月8日付)に対して、「攻撃は激しいが、政府は(サラーフッディーン)地区を制圧していない」と述べた。

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自由シリア軍シャフバーの楯大隊の司令官だというフサーム・アブー・ムハンマド大尉もAFP(8月8日付)に対して、7時間にわたる戦闘の末、サラーフッディーン地区を奪還した、と述べた。

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英国を拠点とする反体制組織のシリア人権監視団によると、サラーフッディーン地区での戦闘はこれまで「もっとも激しい」もので、それ以外にもマサーキン・ハナーヌー地区、バーブ街道地区、シャッアール地区、マイサルーン地区、サーフール地区などで激しい交戦があった。

同監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表はAFP(8月8日付)に対して、軍・治安部隊が「サラーフッディーン地区を複数の方向から攻撃した」が、反体制勢力が「展開していなかった第15街道を制圧できただけだった」と語った。

また軍・治安部隊はサラーフッディーン地区を奪還しようとした反体制武装集団の激しい抵抗で甚大な被害を被ったという。

国内の暴力(その他の県)

ヒムス県では、SANA(8月8日付)によると、タッルカラフ地方で、レバノン領内から潜入を試みる反体制武装勢力を国境警備隊が撃退した。

またヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、クサイル市郊外などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺害した、という。

一方、『クッルナー・シュラカー』(8月8日付)は、虐殺があったとSANA(8月7日付)が報じたヒムス市郊外のジャンダル・リゾートの所有者が、アサド政権に近いヒヤーン・アタースィー氏だと暴露した。

シリア政府の動き

SANA(8月8日付)は、ダマスカス県のラジオ・テレビ機構ビル前で、記者連盟の呼びかけで、メディアに対するテロに反対する集会が行われ、ジャーナリストやメディア機関労働者が参加したと報じた。

SANA, August 8, 2012
SANA, August 8, 2012

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ラタキア県では、SANA(8月8日付)によると、サルマー町で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに突入し、戦闘員多数を殺害、逮捕、武器弾薬を押収した。

ヒジャーブ前首相の離反をめぐる動き

ヨルダンのサミーフ・マアーイタ情報問題担当国務大臣はAFP(8月8日付)に対して、「リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相およびその家族が水曜日(8時)午前1時にヨルダン領内に入った」と述べ、前首相らの入国を初めて公式に認めた。

なお、ユーチューブ(8月7日付)やアラビーヤ(8月8日付)では、ヒジャーブ前首相らがヨルダンに密入国する映像が公開された。

http://www.youtube.com/watch?v=wEL3sjTje0Y
http://www.youtube.com/watch?v=h8k0_V3fjh0&feature=plcp

 

クルド民族主義勢力の動き

PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はロイター通信(8月9日付)に対して、「シリアのクルド人の問題はトルコとは無関係」の述べ、シリア国内における最近のクルド人の台頭をトルコが恐れる必要はない、と強調した。

ムスリム共同党首(カーミシュリー市)は、「我々の地域、都市を護ることは我々の権利だ。誰もこの権利を否定できない」と付言した。

反体制勢力の動き

シリア・トルクメン国民ブロックなる組織のユースフ・ムッラー議長は、アサド政権がトルクメン人に対して「革命」への参加を放棄すれば、トルクメン人に自治を与えるとの取引を持ちかけてきた、と語った。『クッルナー・シュラカー』(8月8日付)が伝えた。

Kull-na Shuraka', August 8, 2012
Kull-na Shuraka’, August 8, 2012

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『ザマーン・ワスル』(8月8日付)は、イランのアーラム・チャンネルがアレッポ市サラーフッディーン地区での戦闘として報じた映像が、イドリブ県カフルナブル市の戦闘の映像だと暴露した。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、サウジアラビアのメッカで開催予定のイスラーム諸国会議機構首脳会議に自身を招待するべき、と『ハヤート』(8月9日付)に語った。

レバノンの動き

北部県アッカール郡にあるアクルーム村(スンナ派)とハウラーニー村(シーア派)の住民が衝突し、前者の村民1人が死亡、複数が負傷した。

衝突は、両村に隣接するシリアのヒムス県クサイル地方からシリア人数名がハウラーニー村に密入国しようとしたことに端を発していた、という。

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アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者の親戚2人が同県アアザーズ地方で人質と面会し、LBC(8月8日付)がその様子を報じた。

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レバノン軍団のサミール・ジャアジャア代表はアラビーヤ(8月8日付)に対して、アサド政権は「生き残らないだろう。政権は確実に最後の時を迎えている」と述べるとともに、「ヒズブッラーは、シリアの体制が崩壊すれば、対話に対してより開放的になるだろう」との見解を示した。

諸外国の動き

イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記はシリア、レバノン訪問後、イラクを電撃訪問し、ホシュヤール・ゼバリ外務大臣と会談した。

会談後にイラク外務省が発表した声明によると、両者は二国間関係、地域情勢、とりわけシリア情勢について協議し、シリア情勢については「暴力の激化と解決に向けた政治的展望の不在ゆえ、地域諸国全体にとって懸念すべき段階に達し…、周辺諸国に波及しようとしている」と認識を共有した。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、ダマスカス郊外県で拉致された「イラン人巡礼者のなかに、革命防衛隊、軍などの退職者が多数含まれていた」と述べた。

イラン学生通信(8月8日付)が伝えた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣と会談し、ダマスカス郊外県でのイラン人巡礼者拉致の責任がトルコにあるとしたファイルーズ・アバーディー・イラン参謀長の発言を非難、イラン側に「率直かつ友好的な姿勢」を求めるとともに、「こうした高官が発言前に何度も熟考することを期待する」と述べた。

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ヨルダンのアブドゥッラー国王はCBC(8月8日付)に対して、シリア国内の混乱激化の結果、アサド大統領が「シリア全土を支配できなくなれば、「アラウィー派ポケット」の建設を次に計画するだろう」と推察し、「国の分裂をもたらし、数十年にわたるエスニック紛争の原因となるだろう」と懸念を表明した。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、クロアチア、マケドニア、アイスランド、セルビア、アルバニア、リヒテンシュタイン、ノルウェー、モルドバ、グルジアがEUの制裁に同調し、武器やその他禁止されている機器のシリア国内への持ち込みが疑わわれる航空機や船舶の臨検調査を決定したことに歓迎の意を示した。

AFP, August 8, 2012、Akhbar al-Sharq, August 8, 2012、Alarabia.net, August 8, 2012、al-Hayat, August 9, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 8, 2012、LBC, August 8, 2012、Naharnet.com,
August 8, 2012、Reuters, August 8, 2012、SANA, August 8, 2012、UPI, August
8, 2012、Zaman al-Wasl, August 8, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領がイランのジャリーリー国家安全保障最高会議書記らと会談し両国の戦略的関係を協議、一方イラン当局は同国人巡礼者48人の誘拐の責任を米国に帰する(2012年8月7日)

アサド政権の動き

アサド大統領は、イランのサイード・ジャリーリー国家安全保障最高会議書記を団長とする使節団と会談した。

SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012
SANA, August 7, 2012

会談では、シリアとイランの戦略的関係、一部域内諸国などのシリアへの介入への対応などが協議された。

ジャリーリー書記は、シリア情勢に関して、単なる国内問題ではなく、レジスタンス陣営とその敵との紛争だとの見方を示し、同陣営のいかなる崩壊も許されるべきでないと強調した。

一方、アサド大統領は、シリア国民および政府が国内からのテロリストの浄化とテロとの戦いを徹底するとの意思を示す一方、シリアが国民対話の途上にあり、外国の計略を挫折させる能力があると強調した。

イランの使節団は会談後、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(8月7日付)が報じた。

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SANA(8月7日付)が配信した写真に関して、『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、シリアの国家安全保障担当者が出席していないのはおかしい、と報じた。

しかし、シリアの国家安全保障担当者が公の場に姿を現すことはほぼ皆無である。

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ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー暫定内閣が同首相を議長として定例閣議を開催し、国内の学校、公共施設などに非難している市民への支援対策などを審議した。

ヒジャーブ前首相の動き

『ハヤート』(8月8日付)は複数のヨルダン消息筋の話として、リヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相がヨルダンへの政治亡命を申請した、と報じた。

しかし同消息筋によると、ヨルダンは前首相クラスのシリア元高官の残留を望んでいない、という。

国内の暴力

アレッポ県では、SANA(8月7日付)によると、アレッポ市アスィーラ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員約155人を殺傷した。

またサラーフッディーン地区、マサーキン・ハナーヌー地区でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

このほか、アレッポ市郊外のアフタリーン市一帯でも戦闘があり、反体制武装勢力8人が死亡、複数が負傷した、という。

一方、アレッポ市に配置されていたUNSMIS隊員が同市から撤退した。国連が発表した。

アッシリア人権ネットワークなる組織は、アレッポ市スィルヤーン地区が早朝から砲撃に曝されている、と発表した。

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ダマスカス郊外県では、映画監督バッサーム・ムフイーッディーン氏がジュダイダト・アルトゥーズ町で「何者かに暗殺」された。映画公社が発表した。

『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町で陸運組合のザカリヤー・ヤーギー総裁の息子が暗殺された。

同報道は、シャッビーハと治安当局の犯行と断じている。

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ダマスカス県では、『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、ルクンッディーン区で第4師団が反体制活動家の青年の家を焼き討ちにした、と報じた。

一方、SANA(8月7日付)によると、旧市街で治安当局が反体制武装勢力のアジトに突入、戦闘員3人を逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、自由シリア軍がドゥワイル地方にある油田を襲撃し、同油田を警備する軍・治安部隊兵士少なくとも6人を殺害し、多数を拉致した。

地元調整諸委員会によると、捕捉した兵士の数は大尉1人を含め9人にのぼる、という。

なお、この戦闘では反体制勢力を支援するの戦闘員4人も死亡した。

一方、SANA(8月7日付)によると、マヤーディーン市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員全員を殺害した。

またダイル・ザウル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続し、戦闘員多数を殺傷、逮捕した。

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ヒムス県では、SANA(8月7日付)が、反体制武装勢力が占拠していたヒムス市郊外のジャンダル・リゾートで虐殺された市民の遺体多数が発見されたと報じた。

また同通信社によると、ヒムス市各地区、ザアフラーナ地方、サルターニーヤ地方などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続、多数の戦闘員を殺傷、逮捕、大量の武器弾薬を押収した。

さらにタッル・カラフ地方では、レバノン領内から潜入しようとした反体制武装勢力を国境警備隊が撃退し、甚大な被害を与えた、という。

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ハサカ県では、SANA(8月7日付)によると、シダーディー市東方の油田近くで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、乗っていた2台の車を破壊したが、1台は逃走した。

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ハマー県では、SANA(8月7日付)によると、サラミーヤ市で反体制武装勢力が仕掛けようとしていた爆弾が爆発し、戦闘員1人が死亡した。

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イドリブ県では、SANA(8月7日付)によると、サラーキブ・アレッポ街道、ジスル・シュグール市郊外、対トルコ国境地帯(ヒルバト・ジューズ)で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアフマド・ラマダーン氏はロイター通信(8月7日付)に対して、現在15人のシリア政府高官・外交官が離反を望んでおり、彼らの脱出経路、身の安全を保証する準備を行っている、と語った。

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アレッポ市サラーフッディーン地区で反体制武装闘争を行っているというアブー・フラート・ジャバラーブルスィー大佐なる活動家は、ロイター通信(8月7日付)に対して、妻子を外国に出国させようとすることは、当局にとって、離反を計画していることを意味する、と語った。

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フサーム・ハーフィズ氏(元駐アルメニア・シリア領事)は、離反した外交官らとともに「民主的市民国家のための外交官グループ」を発足した、と発表した。

同グループは6~7人の元外交官からなる、という。

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『クッルナー・シュラカー』(8月7日付)は、シリア・アラブ航空の複数のパイロットの話として、7月30日のフィラース・サーフィー氏暗殺が軍・治安部隊の犯行だったと報じた。

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医師組合アレッポ支部のムハンマド・ワジーフ・ジュムア支部長が離反を宣言する映像をフェイスブック(8月7日付)に公開した。

イラン人巡礼者拉致事件をめぐる動き

ホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣はイラン国営通信(8月7日付)に対して、「米国がシリアのテロ集団に行ってきた武器供与といったあからさまな支援を踏まえると、ダマスカス(郊外)でのイラン人巡礼者48人の誘拐の生命は米国がその責任を負っている」と述べた。

また「我々は(シリアの反体制勢力を支援する)国がシリアで起きたことのある種の責任をとってイラン人巡礼者の安全とイランへの帰国を保証するための措置を講じることを期待していた」と付言し、トルコとカタールに人質釈放のために介入するよう求めてきたことを示唆した。

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イランのアリー・ラリージャーニー国会議長は、イラン学生通信(8月7日付)に対して、「米国および一部の国がイラン人巡礼者殺害の責任を負っている…。適切な時期に適切な報復を行う」と述べた。

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イラン外務省はアーラム・チャンネル(8月7日付)に対して、シリア軍・治安部隊の砲撃によって拉致されたイラン人巡礼者のうち3人が死亡した、とのバッラー大隊の発表を拒否し、「シリアの武装テロ集団の主な支援者である米国が巡礼者の生命に関して責任を負っている」と主張した。

レバノンの動き

LBC(8月7日付)は、アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)の一人アッバース・シュアイブ氏とのインタビューを行った。

インタビューでシュアイブ氏は、レバノン政府が人質釈放のために充分な対応をしていないと批判、「サウジ、カタール、エルドアンにシリアの革命を支持するようアピールしている…。そうすることで我々は家族のもとに帰れる」と述べた。

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ベイルート国際空港への街道で抗議の座り込みを行っていた拉致レバノン人巡礼者の家族は道路封鎖を解除した。

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NNA(8月7日付)によると、シリア軍の迫撃砲が北部県アッカール軍ワーディー・ハーリド地方に着弾、複数の家屋が被害を受けた。

諸外国の動き

WHOは、シリア国内での暴力により、医薬品の不足が深刻化していると警鐘を鳴らした。

同機構報道官によると、アレッポ、ヒムス、ダマスカスの郊外に集中する医薬品製造工場は、暴力の激化や燃料費高騰(西側の制裁)によりそのほとんどが閉鎖、操業停止を余儀なくされている、という。

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『ハヤート』(8月8日付)は信頼できる複数の消息筋の話として、サウジアラビアが来週メッカで開催を予定しているイスラーム諸国会議機構(OIC)の首脳会議にシリア首脳を招待しなかったと報じた。

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ヨルダン通信(8月7日付)は、シリア人避難民への救援物資を積んだサウジアラビアの輸送団の第1陣(貨物車輌43輌)がヨルダンに到着した、と報じた。

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ヒラリー・クリントン米国務長官は訪問先の南アフリカで「(シリアの)体制崩壊後に起こることに関して、私たちはこれまで以上に話し、準備し始め得る…。こうしたこと(体制崩壊)が起きるだろうということが私には分かる」と述べた。

AFP, August 7, 2012、Akhbar al-Sharq, August 7, 2012、Facebook, August 7, 2012、al-Hayat, August 8, 2012, August 9, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 7, 2012、LBC,
August 7, 2012、Naharnet.com, August 7, 2012、NNA, August 7, 2012、Reuters,
August 7, 2012、SANA, August 7, 2012などをもとに作成。

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ヒジャーブ首相が離反しヨルダンに逃走、ガラーワンジー副首相が暫定首相に任命される(2012年8月6日)

ヒジャーブ首相離反、逃走

ムハンマド・アトリー首相付報道官はジャズィーラ(8月6日付)に対して、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相が首相職を辞して離反し、親戚・家族ととも逃走したと発表した。

Akhbar al-Sharq, August 6, 2012
Akhbar al-Sharq, August 6, 2012

同報道官によると、ヒジャーブ前首相とその親戚・家族10世帯は「安全な場所」にかくまわれており、各紙によるとヨルダンに避難した、という。

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同報道官が読み上げた声明によると、ヒジャーブ前首相は「今日、殺人テロ体制と革命への参加を宣言する…。この祝福された革命の一兵卒となる」ことを表明した。

また「多くの高官が体制から離反したいと考えている」と言う。

アトリー報道官によると、ヒジャーブ前首相の離反は、自由シリア軍と「数ヶ月」にわたって調整のうえ行われ、「国内の革命家たちが彼にこの脱出を保証した」という。

またヒジャーブ前首相とともに脱出した親戚・家族世帯のうち、8世帯が前首相の兄弟の家族でいずれも国家の要職についていた、という。

さらにアトリー報道官は、ヒジャーブ前首相が(シリア政府が主張するように)解任されたのではなく、「彼の解任は、彼が姿を消してから1日半後、政府が彼を逮捕・殺害の希望を失った後に発表された」と強調した。

そのうえで「ヒジャーブ氏から得た情報として確かなのは、シリアの体制が腐敗し、崩壊しつつあるにも関わらず、殺戮を続けていることだ…。ヒジャーブ氏は近く貴方たちの前に姿を現し、国民への想いを述べるだろう」と付言した。

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アトリー報道官は『ハヤート』(8月7日付)に対して、「ヨルダン・トルコ国境を越えて6日早朝にヨルダンに入った」と述べた。

また「数日中、数時間中にカタールの首都ドーハに向かうだろう」と述べた。

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ダルアー市の自由シリア軍メンバーのアリー・リファーイーなる活動家は『ハヤート』(8月7日付)に対して、「アサド政権の軍は昨日(5日夜)、ヒジャーブ首相がヨルダンに入るためにダルアーに入ったことを知り、ダルアーの村々の捜索を行った…。第7師団と第8師団がヒジャーブ首相が潜伏していたダルアー県西部を包囲し、迫撃砲や重火器で攻撃した。しかし自由シリア軍の部隊は攻撃に抵抗し、ヒジャーブ首相らの脱出を成功させた」と述べた。

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シリア国民評議会のハーリド・ザインアービディーンは、AFP(8月6日付)に「ヒジャーブ首相と家族のほかに、閣僚2人、軍の士官3人が、自由シリア軍の調整のもと、国境を越えて日曜日(5日)に入った」と嘘の情報を流した。

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シリアの匿名反体制活動家はAFP(8月6日付)に対して、ヒジャーブ前首相とその家族がヨルダンに脱走したことを認めた。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

この活動家によると、自由シリア軍と反体制勢力の調整のもと、近く軍士官や高官が大量に離反し、ヨルダンに脱出する、という。

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ヨルダン国内でシリア人の避難民支援活動を行う聖典スンナ協会のザーイド・ハマード代表は、「ヒジャーブ前首相が目撃され、彼の家族らが昨晩国境を越えたことを確認した」と述べた。

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『ハヤート』(8月7日付)は、複数の活動家の話として、ダイル・ザウル市に対する軍・治安部隊の反体制武装勢力掃討作戦がヒジャーブ首相(ダイル・ザウル県出身)に離反を促した、と報じた。

また6月23日に離反したナウワーフ・ファーリス駐イラク・シリア大使とも関係が強いという。

シリア政府の動き

アサド大統領は政令第294号を発し、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相を解任した。

また政令第295号を発し、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣を暫定首相兼務とした。

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SANA(8月6日付)は、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー新暫定首相のもと、「全員出席のもと」特別閣議が開催された、と報じた。

同通信社によると、ガラーワンジー暫定首相は閣議で「祖国の指導者」アサド大統領に対して、国民の福祉向上や現下の危機克服のためあらゆる努力を行うと宣誓した、という。

なおSANAが配信した閣議の写真は、議長席に誰が座っているのか判然としない。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

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ヒジャーブ首相とともに離反、脱走したとジャズィーラなどが伝えた2人の閣僚、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣とムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣は報道内容を否定した、とSANA(8月6日付)が伝えた。

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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、ダマスカスのラジオ・テレビ機構に対する爆弾テロに関して、シリア・アラブ・テレビ(8月6日付)に、「同公社の信憑性と透明性」が標的となった理由だと指摘したうえで、「我々はこのようなテロ犯罪の背後に誰がいるか、誰が資金援助をしているのか…、誰が真実が明らかになることを妨害しているのか…を知っている」と述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)は7月18日に暗殺されたダーウド・ラージハ国防大臣の妻サミーラ・バルキール氏がヒジャーブ首相の離反に関して「(離反声明を読み上げた)アトリー氏は埋葬された(ラージハ)一等中将を体制に従属している犯罪者の一人のように描いているが、それは誤りです。一方で、アトリー氏はほとんどの閣僚が離反を望んでいるが、殺されると脅迫され、監視されていると言っています…。これこそが暗殺されるまでの約1年間、家にもほとんど帰らず姿を消し、家族にもほとんど連絡をとらなかった夫であるラージハ大臣の実態です。あたかも行動を制限され、拉致されているようでした」と述べた。

国内の暴力

ダマスカス県では、市内中心に位置するラジオ・テレビ機構ビルに仕掛けられた爆弾が爆発し、若干名が軽傷を負い、施設が破損した。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

SANA(8月6日付)によると、爆弾は4階(アラビア語では3階)のコントロール室脇の廊下に仕掛けられ、各部屋には、イフバーリーヤやヌール・シャームといったテレビ局の設備が置かれていた、という。

またマッザ区旧市街で治安部隊が大規模な逮捕・摘発を行った、と報じた。

一方、SANA(8月6日付)によると、ルクンッディーン区で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに踏み込み、多数の戦闘員を殺害、逮捕した。

これに対して、『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)は、ルクンッディーン区で激しい銃撃戦が発生し、少なくとも9人が死亡した、と報じた。

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アレッポ県では、SANA(8月6日付)によると、アレッポ市のマールティーニー地区、理学部地区近郊、バーブ・ハディード地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ダウワール・アグユール地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

またアレッポ市郊外のカブターン・ジャバル地方でも、軍・治安部隊は反体制武装勢力と交戦した。

『ハヤート』(8月7日付)によると、アレッポ市は、反体制武装勢力が占拠する地域への軍・治安部隊の砲撃継続により、反体制勢力の装備などの備蓄状況が悪化している、と報じた。

ロイター通信(8月6日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区で軍・治安部隊による激しい砲撃が続いた。

また、ある戦闘員によると、軍・治安部隊の狙撃兵の進入により、一部の街区などからの撤退を余儀なくされている、という。

SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012z
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012
SANA, August 6, 2012

ムハンマド・サーリフィーを名のる元公務員によると、「軍は我々の前線を突破した…。それゆえ我々は(アレッポ市内の一部の街区からの)戦略的撤退を余儀なくされた」。

シリア人権監視団によると、アレッポ市サラーフッディーン地区への軍・治安部隊の砲撃で、反体制武装勢力の司令官を含む9人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町で70回以上も爆発音が聞こえた。

同報道によると、爆発音が聞こえた一体には武器庫が多くある、という。

一方、シリア人権監視団によると、ヒッラーン・アワーミード村での軍・治安部隊の砲撃で反体制活動家3人が死亡した。

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ダルアー県では、SANA(8月6日付)によると、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、スマード村で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス市では、SANA(8月6日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区から逃走を試みた反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦し、戦闘員7人が死亡した。

またタッルカラフ市、クサイル市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

一方、シリア人権監視団によると、ヒルブナフサ村で11人が殺害された。

またハマー市のサーブ-ニーヤ地区で1人が射殺された、という。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃で3人が、また軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘で離反した大尉が死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市での砲撃で1人が死亡した。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はAFP(8月6日付)に対して、「我々は(ヒジャーブ)首相の離反を歓迎する。また軍人であれ民間人であれすべての離反を歓迎する…。離反は体制が内部から浸食されていることを示すものだ」と述べた。

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シリア国民評議会の執行委員会は声明を出し、ヒジャーブ首相の離反を「犯罪者体制があらゆる限度を越えて行ったことに…いかなるシリア人も沈黙できないことを示している」と評した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、ヒジャーブ首相の離反を歓迎し、「崇高な愛国心を表明した勇敢な姿勢」と称賛した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、同胞団が武装部隊を結成したとの『テレグラフ』(8月4日付)の報道を事実無根だと否定した。

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シリア国民評議会は声明を出し、ハマー県ヒルブナフサ村で「宗派主義的(強制)移住政策」の一環として「虐殺」が行われ、約40人が殺害されたと発表した。

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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官はEuro 1(8月6日付)に対して、反体制武装勢力がカタール、サウジ、リビアから「伝統的軽火器」を入手していることを認めた。

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自由シリア軍のタウヒード旅団アムル・ブン・アース大隊は、アレッポ市ザバディーヤ地区にある「ファウワーズ・ダッフー人民議会議員」の自宅で大量の麻薬を発見したとする映像をフェイスブック(8月6日付)を通じて配信した。

ダッフー氏は「シャッビーハのボスの一人」だというが、現人民議会にはファウワーズ・ダッフーなる議員はいない。

https://www.youtube.com/watch?v=i3NpjJqPz9U

イラン人巡礼者拉致事件をめぐる動き

バッラー大隊は、フェイスブックでイラン人巡礼者48人を拉致したと発表、またこのうち3人が軍・治安部隊の砲撃で死亡したことを明らかにした。

また同大隊は、拉致したイラン人が巡礼者ではなく、イラン・イスラーム革命防衛隊のメンバーだと主張した。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、アーラム・チャンネル(8月6日付)に対して、ダマスカス郊外県で誘拐されたイラン人48人が軍人ではなく一般の巡礼者だと述べた。

レバノンの動き

アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)11人の家族が、ベイルート国際空港への街道を封鎖し、当局による人質解放への対応に抗議した。

NNA(8月6日付)のよると、抗議の座り込みは当局高官が何らかの対応をするまで続けられる、という。

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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、シリア情勢に関して、「米国、西欧、イスラエルがシリアの反体制勢力が(アサド政権との)対話を許さない」と非難したうえで、「シリアにおける問題解決は戦闘を終わらせ、前提条件なしの対話に訴えることだ」と述べた。

諸外国の動き

ヒジャーブ首相の離反に関して、ジェイ・カーニー米ホワイト・ハウス報道官は「アサドの権力掌握が緩んでいることを示している」と述べた。

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ヒジャーブ首相の離反に関して、フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「ほとんどの支持者を失うほどまでに、武力弾圧を選択した体制が弱体化している」と評価した。

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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、対シリア国境に位置する国営のザアタリー・シリア避難民キャンプを視察した。

視察には、米国、英国、フランスなど10カ国の大使が同行した。

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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、イラン国営通信(8月7日付に対して、シリアでの紛争に対して「現実的な姿勢」をとる国々のみを一同に介した国際会議を開き、「現下の危機を脱却し、安定を回復する方法」を案出すると述べた。

AFP, August 6, 2012、Akhbar al-Sharq, August 6, 2012、Facebook, August 6, 2012、al-Hayat, August 7, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 6, 2012、Naharnet.com, August 6, 2012、NNA, August 6, 2012、Reuters, August 6, 2012、SANA, August 6, 2012、Youtube, August 6, 2012などをもとに作成。

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軍がアレッポ市サラーフッディーン地区に戦闘機やヘリコプターを用いた砲撃を加える、ゴラン高原の停戦ラインに近づいたシリア人1人にイスラエル軍が発砲(2012年8月5日)

国内の暴力(アレッポ県)

AFP(8月5日付)は、ムハンマド・ハサンなる活動家の話として、アレッポ市サラーフッディーン地区が早朝、戦闘機やヘリコプターの砲撃を受けた、と報じた。

Kull-na Shuraka', August 5, 2012
Kull-na Shuraka’, August 5, 2012

同活動家によると、「同地区には住民はほとんどいない」が、建物が破壊され「アレッポ版バーバー・アムルー」にといった様相だという。

またこのほか、裁判所地区も軍・治安部隊の激しい砲撃を受けたという。

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シリア人権監視団によると、アレッポ市サイイド・アリー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。

また空軍情報部の施設があるジャムイーヤ・ザフラー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、戦闘員2人が死亡したという。

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一方、SANA(8月5日付)によると、アレッポ市のバーブ・ハディード地区、サイフ・ダウラ地区、サラーフッディーン地区、ハミーディーヤ地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺害した。

また軍・治安部隊はアレッポ大学理学部地区に集結していた反体制武装勢力と交戦し、アフガニスタン人を含む戦闘員複数を殺害した。

またカワーキビー公園地区、マサーキン・ハナーヌー地区では、軍・治安部隊は湾岸アラブ諸国出身者やトルコ人からなる民兵と交戦し、彼らを殺害、逮捕した。

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『ワタン』(8月5日付)は、アレッポ市「東部の一部の大衆地区の部族出身者など、多数の市民が武装勢力と対決するため人民レジスタンス運動に参加し…、軍の戦闘は好転するだろう」と報じた。

また「シリア軍は現地で戦闘の性質や戦況を精査し、武装勢力が集中する地域への包囲を強化する…にはさらなる増援部隊が必要だと判断していることは明白」と続けた。

国内の暴力(イラン人巡礼者誘拐)

ダマスカス郊外県でのイラン人巡礼者48人の誘拐(8月4日)に関して、自由シリア軍バッラー大隊の司令官だというアブドゥンナースィル・シャミール大尉は、アラビーヤ(8月5日付)にイラン人巡礼者を誘拐したことを認めた。

また「自由シリア軍は、イラン人に関する情報を得た。そして約2ヶ月にわたって、彼らを追跡した…。彼ら(人質)への聴取により、イラン・イスラーム革命防衛隊の現役の士官複数がいることが分かった」と付言した。

イラン人巡礼者を乗せたバスは、巡礼地近くではなく、軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘が行われている地域の途上にいた、と述べた。

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一方、シリアの反体制勢力のある幹部はAFP(8月5日付)に対して、イラン人巡礼者を誘拐したのが「ジュンドッラー」だとしたうえで、人質がイラン・イスラーム革命防衛隊のメンバーではない、と述べた。

同幹部によると、バラー大隊は実行犯ではなく、イラン人シーア派に対するスンナ派過激派の行為を隠するために行動しているに過ぎない、と語った。

また「人質が革命防衛隊であったら、護衛なしに反体制武装勢力が制圧している地域を移動するはずない」と付言した。

「ジュンドッラー」なる組織は、クナイトラ県出身者などシリア人からなる過激派だという。

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「アフバール・シャルク」(8月5日付)は、イラン国営放送の報道として、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣がシリアで誘拐されたイラン人巡礼者48人の釈放のための仲介を行うようトルコとカタールの外務大臣に要請したと報じた。

国内の暴力(その他)

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で大規模な治安部隊による逮捕・摘発活動が行われたほか、ルクンッディーン区などで厳戒態勢が強化された。

またタダームン区で遺体3体が発見された。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町への砲撃により1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区での砲撃により1人が死亡した。

またアービル村の軍検問所で1人が射殺された。

一方、SANA(8月5日付)によると、ヒムス市のジャウラト・シヤーフ地区で反体制武装勢力の武器庫が爆発した。

またクサイル市および郊外、ハウラ地方では軍・治安部隊が反体制武装勢力が交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハントゥートィーン村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、マダーヤー町、マアッルディブサ村が砲撃を受け、カフルサジュナ村で1人が死亡した。

またアリーハー市も砲撃を受け、2人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(8月5日付)によると、ハマー市のサワーイク地区で反体制武装勢力の戦闘員多数を軍・治安部隊が逮捕した。

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ダルアー県では、SANA(8月5日付)によると、ダルアー市郊外のヤードゥーダ地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷、逮捕した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月5日付)は、7月18日に暗殺されたアースィフ・シャウカト副参謀長の写真(独占入手)を公開した。

Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012
Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012
Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012

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『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、政治治安部ダマスカス支部情報課のヤアラブ・シャルア課長(大佐)が離反し、身内の士官複数とともにヨルダンに逃走した、と報じた。

同行した士官は、ヤースィル・ハーッジ・アリー大佐、タウフィーク・ハーッジ・アリー中佐、キナーン・シャルア中尉。

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『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、アレッポ警察の警備課のイブラーヒーム・ハリーリー大佐と、工業地区課のヤザン・ハリーリー課長がそろって離反し、トルコ領内に逃走した、と報じた。

Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012

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シリア初の宇宙飛行士のムハンマド・ファーリス少将が離反を宣言した。

ザマーン・ワスル(8月5日付)が報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、シリア軍・治安部隊がアレッポ市内の歴史的建造物などに砲撃を加えていると非難した。

Zamān al-Waṣl, August 5, 2012
Zaman al-Wasl, August 5, 2012

しかしSANA(8月5日付)は、歴史的建造物や遺跡への砲撃に関する情報が「根拠がない」とただちに否定した。

レバノンの動き

『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、シリア国内の反体制武装勢力掃討に動員されていたヒズブッラーの戦闘員56人が過去3日間で殺害され、密かにレバノン本国に搬送された、と報じた。真偽は定かでない。

Kull-na Shuraka', August 5, 2012
Kull-na Shuraka’, August 5, 2012

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ナハールネット(8月5日付)は、PFLP在レバノン支部のマルワーン・アブドゥルアール氏の話として、ダマスカス県ヤルムーク区での戦闘激化に伴い、過去3日間でパレスチナ人約600世帯がシリアからレバノンに避難した、と報じた。

イスラエルの動き

『ハヤート』(8月5日付、インターネット版)は、ゴラン高原の停戦ラインにシリア人1人が近づき、イスラエル軍が発砲し、負傷を追わせたと報じた。

イスラエル側の証言によると、このシリア人はシリア国内の戦闘を逃れて停戦ラインに近づき、イスラエル軍の発砲を受けた、という。

al-Hayat, August 6, 2012
al-Hayat, August 6, 2012

諸外国の動き

オーストラリアのシドニーでアサド政権を支持するデモが行われ、数百人が参加した。

AFP, August 5 2012、Akhbar al-Sharq, August 5 2012、Alarabia.net, August 5, 2012、al-Hayat, August 5, 2012、August 6, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 5, 2012、Naharnet.com, August 5, 2012、Reuters, August 5, 2012、SANA, August 5, 2012、al-Watan, August 5, 2012、Zaman al-Wasl, August 5, 2012などをもとに作成。

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アレッポ市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しい交戦を繰り広げるなか、ダマスカス郊外県でイラン人巡礼者48人が乗ったバスがハイジャックされる(2012年8月4日のシリア情勢

国内の暴力(アレッポ県)

シリアの治安当局高官はAFP(8月4日付)に対して、「アレッポの戦闘はまだ始まっておらず、現下の砲撃は単なる準備に過ぎない…。「メインディッシュはもうすぐ出てくる」と述べた。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はアレッポ市の「サラーフッディーン地区への砲撃は戦闘開始以来もっとも激しいが、バッシャールの軍は前進できずにいる」と述べた。

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一方、SANA(8月4日付)によると、アレッポ市のハムダーニーヤ地区、スッカリー地区、サラーフッディーン地区、サーフール地区、バーブ・ナイラブ地区、サイフ・ダウラ地区、フルカーン地区、カッラーサ地区、ハーン・アサル村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷、逮捕し、武器弾薬を押収した。

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ジャズィーラ(8月4日付)は、自由シリア軍がサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)から2キロの距離にあるラジオ・テレビ機構ビルを攻撃したのを受け、アレッポ市内での地上テレビ放送が一時視聴不能になったと報じた。

これに対して、SANA(8月4日付)は、反体制武装勢力がアレッポ市内のラジオ・テレビ機構を襲撃したが、軍・治安部隊が撃退、多数を殺傷した、と報じた。

またシリア人権監視団によると、反体制武装集団がアレッポのラジオ・テレビ機構ビル周辺への砲撃を避けて撤退する前に、仕掛け爆弾を爆発させた、という。

しかし『シャルク・アウサト』(8月5日付)は、自由シリア軍消息筋の話として、ラジオ・テレビ機構ビル近くにシリア空軍の戦闘機が墜落した、と報じた。

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SANA(8月4日付)によると、アレッポ市郊外のカブターン・ジャバル地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員に甚大な被害を与えた。

国内の暴力(その他)

シリアの軍消息筋は、ダマスカス県の「マイダーン地区から、ザーリー、マッザ、カダム、スバイナ、ダッフ・シューク、ヤルダー、バッビーラー、タダームン、ハジャル・アスワドにいたるすべての地区を我々は浄化した」と発表した。

またSANA(8月4日付)によると、軍・治安部隊がタダームン区とズライハ地区の「浄化」を完了した。

一方、SANA(8月4日付)によると、ヤルダー地区で反体制武装勢力が誘拐・殺害した市民の遺体が遺棄された集団墓地が発見された。

これに関して、AFP(8月4日付)は、ヤルダー地区のゴミ処理場で約15体の遺体が発見された、と報じた。

またアッバースィーイーン病院裏に迫撃砲が着弾し、市民1人が犠牲となった。

一方、『クッルナー・シュラカー』(8月4日付)によると、早朝からバーブ・シャルキー地区やジャルマーナー市で軍・治安部隊による激しい砲撃が行われたという。

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SANA, August 4, 2012
SANA, August 4, 2012

ダマスカス郊外県でイラン人巡礼者48人が乗ったバスがハイジャックされた。

アブドゥルマジード・カーンジョー駐シリア・イラン領事によると、巡礼者らは巡礼ツアーを終え、ダマスカス国際空港に向かう途上で「武装集団」に誘拐された。

またシリア・アラブ・テレビ(8月4日付)によると、誘拐された巡礼者がサイイダ・ザイナブ・モスクを巡礼しようとしていた、と報じた。

一方、SANA(8月4日付)によると、アルバイン市で道路を封鎖しようとした反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦した。

このほか、『クッルナー・シュラカー』(8月4日付)は、ダマスカス郊外県での軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘で、第10師団のウマル・ジャッバーウィー司令官(少将)が戦死した、と報じた。

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ヒムス県では、SANA(8月4日付)によると、タルビーサ地方、ラスタン地方、クサイル地方各所で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月4日付)によると、マヤーディーン市やクーリーヤ市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(8月4日付)によると、ジスル・シュグール地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

シリア政府の動き

アラビーヤ(8月4日付)は、シリアのバッシャール・ジャアファリー国連大使とその家族が殺人の脅迫を受けており、米当局に通報したと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はイラク・クルディスタン自治区のエルビルで記者会見を開き、「自由シリア軍はアレッポから撤退していないし、今後も撤退しないだろう」と述べる一方、「イラクのようにバアス党を根絶するつもりはない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、シリアの現下の紛争を「代理戦争」と評した潘基文国連事務総長の発言(8月3日)に関して、「シリア国民への侮辱」と強く非難した。

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シャームの民のヌスラ戦線は声明を出し、7月19日に誘拐されていたムハンマド・サイード氏(シリア・アラブ・テレビのキャスター)を殺害したと発表した。

声明には「第41号」との連番が振られた。

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ロンドンで活動する反体制組織のシリア人権監視団は、7月の死者数が4,239人に上ったことを明らかにした。

ラーミー・アブドゥッラフマーン会長によると、このうち3,001人が民間人、1,133人が軍・治安部隊兵士、105人が離反兵だという。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は『シャルク・アウサト』(8月5日付)に対して、「手を血で染めていない政府高官と交渉する用意がある」と述べた。

レバノンの動き

LBC(8月4日付)は、シリア解放党なる組織のシャイフ・イブラーヒーム・ズウビー党首の話として、レバノン人巡礼者(シーア派)11人をアレッポ県で誘拐した誘拐犯のアジトが砲撃を受け、人質2人が脱走した、と報じた。

マヤーディーン(8月4日付)はこの砲撃により、誘拐犯の一人「アブー・イブラーヒーム」が負傷した、と報じた。

ズウビー党首は、誘拐犯グループは残る人質とともに別の場所に移動した、という。

またズウビー党首は、脱走した人質と、砲撃で負傷した人質の氏名を近く明らかにすると付言した。

諸外国の動き

中国外交部の王克倹西アジア北アフリカ局副局長は記者会見で、シリア情勢に関して「政治的解決の扉を性急に閉さず、ましては軍事介入を開始しない」よう呼びかけた。

また「シリアに対する中国の姿勢をめぐる一部の国の批判は根拠がない…。これらの国は自国の地政学的国益を擁護し、紛争の政治的解決を妨害、ないしは反故にしようとさえしている。しかも他国に事態が困難であることの責任を押しつけようとしている」と非難した。

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ロイター通信は声明を出し、ハッカーが同通信社のウェブサイトに侵入し、自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐との会談に関する偽のニュースを配信した、と発表した。

AFP, August 4, 2012、Akhbar al-Sharq, August 4, 2012、Alarabia.net, August 4, 2012、Aljazeera.net, August 4, 2012、al-Hayat, August 5, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 4, 2012、Naharnet.com, August
4, 2012、Reuters, August 4, 2012、SANA, August 4, 2012、al-Sharq al-Awsat, August 5, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県ヤルムーク区の繁華街に何者かの手による迫撃砲複数発が着弾、シリア・クルド国民評議会がシリア国民評議会との合併を拒否(2012年8月3日)

国内の暴力(アレッポ県)

アレッポ市では、シリア人権監視団、シリア革命総合委員会、総攻撃の準備を着々と整える軍・治安部隊と反体制武装勢力がサラーフッディーン地区、ザバディーヤ地区、マールティーニー地区、スッカリー地区、サイフ・ダウラ地区などで交戦した。

AFP(8月3日付)によると、シャッアール地区では、「国民は自由と平和を望む」とのシュプレヒコールをあげ、反体制デモを行った。

またシリア人権監視団によると、ハラク地区、サイフ・ダウラ地区、シャッアール地区、スッカリー地区、ハラブ・ジャディーダ地区、フィルドゥース地区、フルカーン地区、ブスターン・カスル地区で行われた。またアレッポ市郊外の村々でも反体制デモが行われた。

デモ発生現場のほとんどは反体制武装勢力が掌握しているとされる地域だという。

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一方、SANA(8月3日付)によると、アレッポ・ラッカ街道で軍・治安部隊が反体制武装勢力を攻撃し、戦闘員多数を殺傷した。

また、アレッポ市内のインザーラート地区、アレッポ市郊外のハフサ町、マスカナ市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

国内の暴力(ダマスカス県ヤルムーク区)

シリア人権監視団によると、ヤルムーク区(パレスチナ難民キャンプ)でイフタールの準備で混雑していた繁華街に迫撃砲複数発が着弾、子供2人を含む21人が死亡した。

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同監視団によると、誰が迫撃砲を発射したのかは「不明」だが、複数の医療筋によると、軍・政府軍による砲撃だという。

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砲撃に先だって、同地区では2日晩に、アサド政権に反対するデモが発生し、治安部隊やPFLP-GCの支援者がデモ参加者に発砲する事件が発生した。

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またパレスチナ人権センターによると、事件の前日の2日晩、PFLP-GCの支持者がキャンプ内および隣接するタダームン区に至る街道に、「キャンプ保護」のために展開していた。

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PLO執行委員会のヤースィル・アブドゥラッブフ書記長はロイター通信(8月3日付)に対して、「シリア政府が虐殺の責任を負っている」と非難した。

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ハマースも声明を出し、「ヤルムーク・キャンプを狙った凶悪犯罪を強く非難する」との意思を示した。

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一方、パレスチナ自治政府大統領府は、「アフマド・ジブリールら一部の当事者が…我らが人民とキャンプをシリアの血塗られた暴力の連鎖のなかに陥れ、彼らをこのホロコーストの燃料に変えようとしている」と非難した。

またシリアの内政への不干渉と、シリア、レバノンなどのパレスチナ難民キャンプの中立化を改めて確認しつつ、即時の暴力停止を呼びかけた。

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イスラーム聖戦もまた声明で「凶悪犯罪」と非難した。

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SANA(8月3日付)は、ヤルムーク区での砲撃に関して、隣接するタダームン区で軍・治安部隊と反体制武装勢力の砲撃戦が行われ、そのなかで「武装テロ集団が迫撃砲でヤルムーク区を標的とした」と報じた。

国内の暴力(その他)

ダマスカス県では、シリア人権監視団など複数の目撃者や活動家によると、タダームン区に軍・治安部隊の戦車、兵員輸送車数十輌が突入し、夕方までに同県のほぼ全域を完全掌握した。

一方、タダームン区では、SANA(8月3日付)によると、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」と交戦し、戦闘員多数を殺傷・逮捕、武器弾薬を押収した。

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ヒムス県では、SANA(8月3日付)によると、ヒムス市のダイル・バアルバ地区で軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点(地下壕)を制圧した。

またハミーディーヤ地区では反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

またクサイル市では軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃し、戦闘員多数を殺傷した。

SANA(8月3日付)によると、タッルカラフ地方では、国境警備隊がレバノン領内から潜入を試みた反体制武装勢力と交戦、撃退した。

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ダルアー県では、SANA(8月3日付)によると、ブスル・ハリール市で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、外国人を含む複数の戦闘員を殺傷した。

また東ガーリヤ村でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、甚大な被害を与えた。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会や地元調整諸委員会によると、ハマー市アルバイーン地区で軍・治安部隊の砲撃により反体制武装勢力戦闘員と民間人合わせて数十人が死亡した。

詳細は明らかでない。

またシリア国民評議会広報局も、ハマー市で2日早朝から砲撃に曝されていると発表した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月3日付)によると、ダイル・ザウル市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、戦闘員多数を殺傷した。

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イドリブ県では、SANA(8月3日付)によると、ジスル・シュグール地方各所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、戦闘員多数を殺傷した。

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シリア人権監視団によると、ダマスカス県、ハサカ県、イドリブ県、ダルアー県、タルトゥース県、ダイル・ザウル県、ハマー県の各地でも反体制デモが行われたという。

反体制活動家はフェイスブックなどで「ダイル・ザウル:東からの勝利」と銘打ってデモを呼びかけていた。

シリア政府の動き

カドリー・ジャミール経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣はモスクワでの記者会見で、「当事者は対話の開始、交渉のテーブルにどうつくかについて合意に達することができないでいる…。政治的に危機を解決するための対話が不可避なのに、アサド大統領が退陣してしまっては、対話の当事者がいなくなってしまう」と述べた。

SANA, August 3, 2012
SANA, August 3, 2012

ジャミール副首相らシリアの使節団は、ロシア側と地政学・科学・技術・通称協力統一センター設置に関する合意文書に署名した。

SANA(8月3日付)によると、この合意により、両国の民間セクターの交流、とりわけロシアの企業のシリア国内産業への参入が活性化されるという。

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東方正教会アンタキア総主教イグナティウス4世ハズィーム師ら東方協会の聖職者は、シリア国民に対して統合を呼びかけるとともに、国連に対してシリアの状況を理解し尊重するよう呼びかけた。

モスクワ総主教渉外局が伝えた。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(8月4日付)は信頼できる消息筋の話として、シリア・クルド国民評議会がシリア国民評議会との合併を拒否した、と報じた。

同消息筋によると、シリア・クルド国民評議会の代表らは、エルビルを訪問したシリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長に対して「(合併ではなく)調整や協力を選ぶ」と回答し、シリアにおけるクルド人の権利を明確に承認するよう要求した。

スィーダー事務局長は2日にわたるエルビル訪問は、シリア・クルド国民評議会のシリア国民評議会への合流を説得することだった、という。

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シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)のムヒーッディーン・シャイフ・アーリー書記長(シリア・クルド国民評議会)は『ハヤート』(8月3日付)に対して、「会合は、クルド最高委員会を構成するクルド民族主義勢力の全当事者、シリア国民評議会のスィーダー事務局長が出席した。また昨日(2日)の会合にはトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣、イラク・クルディスタン地域政府の指導者らも出席した」と述べた。

アーリー書記長によると、シリア・クルド国民評議会はこの会合で、「外国の干渉拒否と社会の軍事化拒否」を求め、暴力継続への懸念と、反体制勢力の協力が不可避だとの立場を伝えた、という。

また「会合ではバッシャール・アサド大統領退陣後についても議論した…。我々はシリアのクルド人の権利をアラブ人と同様に承認する明確な文言を憲法に盛り込む必要があると主張した」という。

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イラク・クルディスタン地域政府は声明を出し、マスウード・バールザーニー大統領がシリア国民評議会のスィーダー事務局長と会談し、「シリア国民が自らの運命を決しなければならない」と伝えたことを明らかにした。

また同事務局長および「ジャズィーラ地方、ハサカの使節団」(クルド最高委員会の使節団)と会談し、同胞関係とそれを乱すような事態が発生しないことを確認した、と付言した。

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『ヒュッリイェト』(8月4日付)は、マナーフ・トゥラース准将が非公式にトルコを訪問し、トルコ外務省高官と会談したと報じた。

匿名消息筋によると、会談でアフメト・ダウトオール外務大臣と会談したかどうかは不明だが、会談は「アサド政権退任後にシリアにおいて何らかの役割を得ようとする動きの一環」だという。

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シリア国民変革潮流は、コフィ・アナン特使の辞意表明に関して、アサド政権が存続する限り特使のミッションが成功しないことは誰もが分かっていた、と述べ、歓迎の意を示すつつ、停戦イニシアチブの失敗が同特使独りの責任によるものではなく、アサド政権とそれを支持する諸勢力によるものだと非難した。

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シリア国家建設潮流は8月3日にダマスカスで予定していた「国民救済大会」を15日に延期する、と発表した。

国連の動き

国連総会は、シリアのアサド政権を非難し、全当事者に暴力の停止を求める決議案を賛成多数で採択した。

SANA, August 3, 2012
SANA, August 3, 2012

サウジアラビアが作成した決議案は、モロッコ、ヨルダン、UAE、バーレーン、チュニジア、オマーン、カタール、クウェート、リビア、エジプト、イエメン、モーリタニア、米国、英国、ドイツ、トルコ、フランス、カナダなどにより共同提出され、133カ国の支持を得た。

これに対して、ロシアや中国など12カ国が反対し、31カ国が棄権した。

審議に際して、ロシア、中国、ブラジル、インド、南アフリカ、アルジェリア、アルゼンチン、ヴェネズエラなどは、決議案にアサド政権の退陣や制裁を明記することに強く反対し、これらの文言は採択された決議案から削除された。

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国連の潘基文事務総長は国連総会で「次のステップは予見できた。地域および国際社会の当事者が互い(の支援者)に武器を供与する代理戦争だ。こうした予想は実際に起きてしまっている」と述べ、国連安保理の分裂と関係当事国の過激化を非難した。

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シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は国連総会での対シリア「決議案を支持する国は、資金、武器、そしてヒステリックなまでの情報キャンペーンを通じて公然と武装テロ集団を支援している」と述べ、決議を「ヒステリックかつ妄想的」だと非難、主権尊重と内政不干渉を唱う国際法の原則に反していると主張した。

諸外国の動き

『ハヤート』(8月3日付)は、ロイター通信やAFPの報道をもとに、バラク・オバマ米大統領がシリアの反体制武装勢力への支援を認める「秘密文書」に署名した、と報じた。

同報道によると、署名の時期、支援の具体的な内容は明らかでないが、大統領命令に基づき、反対武装制勢力の教練を行うトルコや湾岸アラブ諸国と協力を行っている、という。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、BBC(8月3日付)に対して、シリアの反体制勢力に対して「非戦闘」機器の供与を通じて支援を増大させると述べた。

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アナトリア通信(8月3日付)は、トルコ軍がキリス県の対シリア国境で軍事演習を行い、重戦車、兵員輸送車、地対空ミサイルを投入した、と報じた。

軍事演習は2日にも行われていた。

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『ハヤート』(8月4日付)は、トルコの匿名消息筋の話として、7月のダマスカス、アレッポでの攻撃激化により、トルコ国内のシリア人避難民は44,000人から45,500人に増加した、と報じた。

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ロシア外務省はアナン特使の辞意表明に関して声明を出し、「早急に後任を探すべき…、現状においてシリアに国連がプレゼンスを維持することはきわめて重要」との意思を示した。

また「残念ながら、シリアの反体制勢力はいつも政治的対話に関する提案を拒否し、西側諸国と一部の地域諸国は反体制勢力に影響力を行使できるにもかかわらず、何もしない」と批判した。

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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は「シリアでの平和的な政治的転換のための行動を貫徹するため、アナン特使の後任を早急に任命することを呼びかける」と述べた。

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フランスのジェラール・アロー国連大使は、「UNSMISは8月19日に消滅すると思う」と述べた。

なおフランスは8月の安保理議長国である。

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中国外交部報道官はアナン特使の辞意表明に関して「遺憾」の意を示すとともに、「アナン特使の仲介が困難だったことを理解し、彼の決断を尊重する」としつつ、「中国は適切な方法によって国連がシリアの問題解決において役割を果たすことを支援する」との立場を示した。

AFP, August 3, 2012、Akhbar al-Sharq, August 3, 2012、al-Hayat, August 3, 2012、August 4, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 3, 2012、Naharnet.com, August 3, 2012、Reuters, August 3, 2012、SANA, August 3, 2012などをもとに作成。

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シリアの軍・治安部隊とヨルダン軍が両国国境地帯で衝突するなか、アナン特使が8月31日をもって辞任する意向を表明(2012年8月2日)

国内の暴力(アレッポ県)

シリア人権監視団によると、アレッポ市郊外のマンナグ航空基地を反体制武装勢力が砲撃、制圧を試みた。

同監視団によると、砲撃には軍・治安部隊から奪った戦車が使用された、という。

アブー・アリーを名のる反体制武装勢力戦闘員はロイター通信(8月2日付)に対して、「我々は空港を…戦車で砲撃した。数回攻撃したが、今回は退却を決断した」と述べた。

監視団によると、反体制武装勢力の攻撃に対して、航空基地に駐留していた軍部隊はアレッポ市と飛行場の間に位置するタッル・リフアト市に砲撃を加え、対抗した。

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シリア人権監視団によると、イッビーン村での砲撃で、女性3人と子供2人が死亡した。

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SANA(8月2日付)によると、カナーティル村近郊およびハージブ町で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃、複数の戦闘員を殺傷した。

殺害した戦闘員のなかには外国人が多数含まれていた、という。

またサフィーラ市では、反体制武装勢力が占拠した学校で製造していた爆弾が爆発し、戦闘員多数が死亡した、という。

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シリア革命総合委員会によると、アレッポ市のサラーフッディーン地区、サーフール地区に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。

またシリア人権監視団によると、マイサル地区では軍のヘリコプターによる砲撃があり、ザバディーヤ地区では軍・治安部隊が反体制武装勢力と激しく交戦した。

なお同監視団によると、市内は電話やインターネットが不通となっている、という。

国内の暴力(そのほか)

ダルアー県では、『ハヤート』(8月3日付)が複数の消息筋の話として、国境地帯でシリア、ヨルダン両軍が交戦した、と報じた。

Kull-na Shuraka', August 2, 2012
Kull-na Shuraka’, August 2, 2012

交戦は、ダルアー県タッル・シハーブ地方とヨルダンのイルビド県ラムサー市郊外のタッラ村間で、ヨルダン兵士1人とシリア人避難民2人が負傷した、という。

この交戦に関して、自由シリア軍は『ハヤート』(8月3日付)に、ヨルダン軍がシリアの軍・治安部隊の拠点を攻撃し、シリア軍兵士が多数負傷した」と証言した。

しかし、ヨルダンのサミーフ・マアーイタ内閣報道官は、「ヨルダンの部隊が行ったのは交戦ではなく、標的となっていた避難民を保護することだった」と自由シリア軍の主張を否定した。

このほか、シリア人権監視団によると、ダルアー市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、3人が死亡、数十人が負傷した。

一方、SANA(8月1日付)によると、軍・治安部隊が反体制武装勢力とダルアー市ダルアー・バラド地区で交戦し、戦闘員多数を殺傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、大統領公邸があるムハージリーン区で、治安部隊が「初の」大規模な摘発を行い、反体制活動家約20人が逮捕された。

またタダームン区、ダッフ・シューフ地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力の交戦があった。

一方、SANA(8月2日付)によると、タダームン区、ダッフ・シューク地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を逮捕、武器弾薬、爆発物を押収した。

またシリア・アラブ・テレビ(8月2日付)は、在シリア・イラン大使館のアリー・ホセイン・ザーダ軍事顧問が7月31日にカフル・スーサ区で暗殺されたと報じた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月2日付)によると、ハラスター市郊外の農場で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、多数の戦闘員を殺害した。

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ヒムス県では、SANA(8月2日付)によると、クサイル市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を要撃し、多数の戦闘員を殺害した。

またヒムス・タルトゥース街道では、武器弾薬を密輸送していた車2台を軍・治安部隊が取り押さえた。

タルビーサ市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺害した。

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は国連の潘基文事務総長と安保理議長宛に書簡を提出し、一部の国がシリア領内でのテロ活動を支援しているのは安保理の諸決議に違反すると抗議、安保理に対してこれらの国に圧力をかけるよう求めた。

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シリアの外務在外居住者省は、アナン特使の辞意表明に関して声明を出し、「遺憾の意」を示すとともに、UNSMISに引き続き協力すると表明した。

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インテルファクス(8月2日付)などによると、ジャミール・カドリー経済問題担当副首相兼国内通商消費者保護大臣がロシアを訪問し、ロシアの副首相らと会談した。

訪問には、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣、サイード・ムウズィー・フナイディー石油鉱物資源大臣、マフムード・イブラーヒーム・サイード運輸大臣、アディーブ・マイヤーラ・シリア中央銀行総裁も同行し、シリア・ロシア間の流通、農業、石油・ガス、衛生、教育などの分野での協力深化について協議した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月2日付)は、と政治治安部の元高官が、キリスト教徒地区への武器配給に協力したキリスト教徒の氏名を暴露したと報じた。

しかしギリシャ正教会は先週声明を出し、武器供与疑惑を強く否定している。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同司令部は、アレッポ市での政府協力者の処刑に関して声明を出し、「無責任な行為」と強く非難し、「現地で活動するすべての革命勢力および大隊にこうした行為を非難し、拒否する」よう呼びかけた。

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シリア革命評議会のハイサム・マーリフ暫定政府首班は『ハヤート』(8月3日付)に対して、評議会結成と暫定政府首班指名に対する反体制勢力の批判を「反体制勢力の病気の一部」と評した。

マーリフ暫定政府首班によると、評議会結成にあたっては、シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者、リヤード・サイフ元人民議会議員などと連絡をとり、協議済みだったという。

発足した評議会は、45人から構成され、そのほとんどが国内の活動家で、自由シリア軍の士官(アブー・ハーリド大佐)も含まれている、という。

またこの45人が事務局と、自身を含む6人からなる首班府(首班、副首班、および3人)を選出した、という。

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地元調整諸委員会は声明を出し、暫定政府に関して、「避けられない運命に向かって進む体制の支配からさらなる地域を解放するために自らを向かわせる愛国的暫定政府が必要」との立場を示し、在外の反体制勢力(ハイサム・マーリフ氏の暫定政府首班就任宣言)の動きを暗に批判した。

また暫定政府が「解放された地域の生活を調整し、国民レベルでの革命勢力の活動調整、世界の各国政府へのメッセージ発信」のために必要だと述べた。

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シリア民主世俗主義諸勢力連立は声明を出し、事務局の定員を拡大(25人)するとともに、技術局、地理局を新設したと発表した。

なお声明によると、シリア民主世俗主義諸勢力連立の構成組織は以下の通り:

1. フィラース・カッサース(シリア近代民主主義党)
2. ハーシム・スルターン(インフィターフ党)
3. アフマド・ジャッブーリー(国民民主合意党)
4. ジョルジュ・シャーシャーン(アッシリア民主機構)
5. ジャーン・アンタル(シリア正教運動)
6. アブドゥルカリーム・アーガー(シリア・トルクマーン民主運動)
7. アブドゥルアズィーズ・ターラーニー(クルディスタン・イェキーティー党)
8. マフムード・ファイサル(アラブ民族主義者潮流)
9. マフムード・ムスラト(国民民主ナフダ党)
10. ハージー・スライマーン(サワー運動)
11. ハッサーン・ジャマーリー(シリア国家建設潮流)
12. ジャンキーズ・ハッスー(無所属連合)
13. ムハンマド・ハニーフ・ムハンマド(シリア自由民主党)
14. アイハム・ドゥユーブ(啓蒙運動)
15. ジーファール・ナビー(友愛調整)
16. ムアイイド・アスキーフ(新シリア運動)
17. そのほか愛国的無所属活動家多数

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シリア人権監視団は、ダイル・ザウル市での戦闘に関して、7月だけで300人以上が殺害され、住民の70%以上(50万人)が県外に避難、同市での被害額は110億シリア・ポンド(1億5500万ドル)にのぼると発表した。

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アブドゥルハリーム・ハッダーム前副大統領は、軍創設記念日に合わせて声明を出し、「腐敗した専制が闘う国民に勝利した歴史はない」としたうえで、軍の将兵に離反して国民とともに戦うよう呼びかけた。

AKI(8月2日付)が報じた。

イラクの動き

イラク・クルディスタン地域を訪問中のトルコのアフメト・ダウトール外務大臣は、エルビルで同地域のマスウード・バールザーニー大統領と会談し、「アサド体制後のシリアの将来」について協議した。

会談後の共同声明では、シリア情勢を「危険で悲惨」と評したうえで、「宗派・エスニック紛争を断続的にエスカレートさせる政府の行為と政策」への非難の意が表明された。

また「シリアでの平和的政治的転換」の必要を強調、「シリアの未来はシリア国民の自由意思によって決せられない」とする一方、「あらゆる集団・組織が権力の真空を利用するあらゆる試み」を脅威とみなし、「共同して対処すべき」との立場を明示し、「新生シリアに過激なテロ集団や組織があってはならない」と主張した。

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エルビルでの会談を終えたダウトオール外務大臣はペシュメルガによって護衛され、キルクーク市を電撃訪問した。

同市での記者会見で、ダウトオール外務大臣は、自らの訪問を「歴史的」と自賛する一方、キルクーク市が「イラク統合の脊髄であり、同国のすべての集団の共存の象徴」だと述べた。

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ダウトオール外務大臣のキルクーク市訪問を受け、イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、「イラクの主権への侵害…、一国の外務大臣にふさわしくない潜入」と厳しく非難し、訪問が「キルクークに否定的な影響をもたらす」だろうと述べた。

ムーサウィー顧問は「何らの正当性もない奇妙な振る舞いだ…。我々はトルコと外交関係を結んでおり、大使を交換しているのに、なぜ主権を侵害するのか?」と述べた。

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またイラクのホシュヤール・ゼバリ外務大臣も「トルコのような重要な隣国の外務大臣にふさわしくない振る舞い」と述べ、「イラク内政へのあからさまな干渉」と非難した。

レバノンの動き

モーラ・コネリー駐レバノン米大使は、自由国民潮流代表のミシェル・アウン元国軍司令官と会談し、内務省総合治安局によるシリア人14人のシリアへの身柄引き渡しに「深く動揺している」との不満を表明した。

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進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は声明を出し、内務省総合治安局によるシリア人14人のシリアへの身柄引き渡しに関して、アッバース・イブラーヒーム局長の決定を批判、「平時においても司法の独立という概念を欠くシリアで…有罪を宣告されるまでもなく粛清される」と述べた。

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ナジーブ・ミーカーティー内閣は、シリア人避難民のニーズに応えるためUNHCRへの融資を承認した。

国際社会の動き

コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使はジュネーブで記者会見を開き、任期が終了する2012年8月31日をもって特使を辞任すると発表した。

アナン特使は自身の「ミッションが必要とする支援を受けることできなかった…。国際社会にさまざまな対立があり、それらが私の任務を複雑なものとしてしまった」と辞任の理由を明らかにした。

またアナン特使は、流血が続く現状の「一部はシリア政府の非協力と6項目停戦案の実施拒否にあり、また一部は反体制派の軍事活動の増加による」と批判した。

さらにアナン特使は、「国際社会の一致団結した真摯な圧力なくして、私、そして私以外のいかなる人物も、まずシリア政府に、次に反体制勢力に政治プロセスを開始するのに必要な措置を講じることを強いることはできないだろう」と述べた。

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潘基文国連事務総長はアナン特使の辞意表明に関して、停戦イニシアチブへの「勇敢な努力への深い感謝の意」を示しつつ「深い遺憾の意」を示した。

潘事務総長は、「(国連は)外交努力を通じて暴力停止をめざす」との意思を示しつつ、「安保理内で続く分裂が外交を妨げ、いかなる行動・仲介もより困難なものとなっている」との懸念を表明した。

また「(シリア)政府と反体制勢力は依然として暴力をエスカレートしようとしているようだ」と批判した。

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国連安保理では、UNSMISの今後の処遇を協議するための非公式会合を行われた。

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が英国を訪問、デヴィッド・キャメロン首相と会談した。

シリア問題をめぐって、プーチン大統領は「実行可能な解決策」を案出することで合意したと述べた。

一方、キャメロン首相は、「我々の間に依然としていくつかの意見の相違がある」としたうえで、紛争を終わらせるための「行程を前進させるために外相どうしが話し合うだろう」と述べた。

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アルジェリアの複数の公式筋が明らかにしたところによると、西部の港町スィーディー・ファラジュ市に在留シリア人(避難民)を受け入れるためのセンターが開設された。

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FAOは報告書を発表し、食糧および農産物の支援を必要とするシリア人の数が300万人に達するだろうと推計した。

またシリア国内の危機により、2011年にシリアの農業部門は18億ドル相当の損害を被ったと発表した。

AFP, August 2, 2012、Akhbar al-Sharq, August 2, 2012、AKI, August 2, 2012、al-Hayat, August 3, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 2, 2012、Naharnet.com, August 2, 2012、Reuters, August 2, 2012、SANA, August 2, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダマスカス県バーブ・トゥーマー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が「初の交戦」、アレッポ県ではウサーマ・ブン・ザイド・モスクのイマームが武装集団に誘拐される(2012年8月1日)

国内の暴力

ダマスカス県では、内外の反体制勢力がバーブ・トゥーマー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力による「初の交戦」があったと相次いで発表した。

Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012

シリア人権監視団によると、バーブ・トゥーマー地区での交戦で少なくとも1人が死亡した。

地元調整諸委員会によると、バグダード通り、マリク・ファイサル通り、アマーラ地区、バーブ・トゥーマー地区で「激しい銃撃戦」があった。

シリア革命総合委員会によると、カダム区で、治安部隊が一斉捜索を行った。

また、AFP(8月1日付)は、目撃者の証言として、バーブ・シャルキー地区前の軍の拠点が武装集団に襲撃され、25分にわたって激しい交戦があったと報じた。

一方、SANA(8月1日付)も、アマーラ地区で警察当局が反体制武装勢力のアジトに突入し、戦闘員複数を殺害、逮捕した、と報じた。

また逮捕した容疑者の聴取から、別のアジトがあることをつきとめ、警察当局が突入、戦闘員複数を殺害、逮捕した、という。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団や地元調整諸委員会によると、ジュダイダ・アルドゥーズ市に軍・治安部隊が戦車・装甲車を投入し、反体制武装勢力の掃討作戦を行い、商店などを破壊した。

一方、SANA(8月1日付)によると、ヤルダー地方、バッビーラー地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を逮捕、武器を押収した。

またジュダイダ・アルトゥーズ地方では、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡した。

このほか、「アフバール・シャルク」(8月1日付)によると、ダーライヤー市で、政府による弾圧で衛生状態が悪化したことに対処するため、反体制運動の一環として、若者、子供らが清掃道具をもって街を清掃しながら、抗議行動を行った。

SANA, August 1, 2012
SANA, August 1, 2012

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アレッポ県では、シャーム・プレス(8月1日付)が、武装集団がアレッポ市アグヤル地区にあるウサーマ・ブン・ザイド・モスクのイマーム、マフムード・ハッスーン師を誘拐したと報じた。

同師は共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師の弟。

一方、SANA(8月1日付)によると、サラーフッディーン地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追跡、複数の外国人多数を含む戦闘員多数を殺害、逮捕した。

またアレッポ市郊外のアターリブ地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、殲滅した。

さらにカフル・ハラブ村、サフバ・ジュブール村、ジャンダラート地方などでも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の外国人を含む戦闘員を殺害した。

『ワタン』(8月1日付)も、軍部隊が反体制武装勢力が多数潜伏するアレッポ市東部の複数の地区に対して作戦を行い、甚大な被害を与えたと報じた。

またバーブ・ナイラブ地区の掃討を行い、バアス党アレッポ支部施設を襲撃していた反体制武装勢力に人的被害を与えた、という。

これに対して、自由シリア軍のアブドゥンナースィル・ファルザート准将は、AFP(8月1日付)に、バーブ・ナイラブ地区、サーリヒーヤ地区南部、イブラーヒーム・ハナーヌー地区の警察署3カ所を7月31日に制圧し、「小さな勝利を収めた」と発表した。

またシリア人権監視団などによると、ザフラー地区にある空軍情報部本部の制圧をめざす反体制武装勢力と軍・治安部隊との間で激しい戦闘が行われた。

しかし、シリアの治安筋はAFP(8月1日付)に対して、「破壊分子はこの5日間、空軍情報部本部を制圧しようとしているが、何らの成果も上げられずにいる」と述べた。

反体制武装勢力は、ユーチューブ(8月1日付)に、アレッポ市内でビッリー部族の軍・治安部隊兵士たちを処刑するビデオをアップした。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラー所長によると、ビッリー部族(スンナ派)は「親体制の部族」としたうえで、「体制がこうしたスンナ派の諸部族を戦闘に参加させ、軍を支援させることは、国を内戦に陥れたいからだ」と支離滅裂な反体制武装勢力擁護を行った。

なおユーチューブにはこの他にも、ビッリー部族の民間人に対する反体制武装勢力の虐殺の映像が複数アップされている。

Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月1日付)によると、ダイル・ザウル市の複数カ所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、複数の戦闘員を殺害した。

またマヤーディーン市では、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追跡した。

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イドリブ県では、SANA(8月1日付)によると、アリーハー市近郊で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺害した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のカラービース地区を軍・治安部隊が完全制圧した。

この完全制圧は、反体制武装集団の撤退を受けたものだという。

また同監視団によると、ヒムス市ダイル・バアルバ地区では、軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、バーブ・フード地区、旧市街、スルターニーヤ地区、ジャウバル区などが砲撃に曝された。

一方、SANA(8月1日付)によると、タッルカラフ市郊外、クサイル市郊外、タルビーサ市郊外で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員複数を殺害した。

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ラタキア県では、シリア革命総合委員会によると、ラムル・ジャヌービー地区(パレスチナ難民キャンプなど)で重火器の発砲があり、一時停電した。

シリア政府の動き

アサド大統領(軍武装部隊総司令官)は、軍の機関誌『人民軍』を通じて、シリア・アラブ軍創設67周年の祝辞を発表し、反体制武装勢力掃討にあたる将兵を鼓舞した。

SANA, August 1, 2012
SANA, August 1, 2012
SANA, August 1, 2012
SANA, August 1, 2012

SANA(8月1日付)によると、祝辞の主な内容は以下の通り。

「我々が敵と行っている戦いは、多様な形態ではあるが目的や方針は明らかな戦いである。それは、過去、現在、そして未来にわたる我々国民そして民族の行方がかかった戦いである…」。

「彼ら(敵)は、我々国民が愛国的決定を下すことを阻止し、武装放棄させようとしてきた。しかし、彼らはこの高貴なる国民が一丸となって、こうした計略に対抗・挑戦したことに驚愕し、敗北を喫し、出口を探すことを余儀なくされ、揺るぎない抵抗を続ける我々の国にさまざまな計略をめぐらせようとしている…。しかし我々国民は断固たる意志をもって、これらの計略を鎮めた…」。

「祖国を守る男たちよ。貴方たちは…、これまで我々の国が曝されている戦争を戦い、犯罪テロ集団と対峙することで、強固な意志と活力に満ちた自己を備えていること、そして自らが属す国民の価値観を託された者であり、国民の歴史と文明に忠誠を誓う者であることを証明してきた…。貴方たちは今後もこうした称号にふさわしい者たちであり続けるだろう…」。

「貴方たち(軍)は、自らの名誉と尊厳を護り、自身への大きい信頼と、神聖なる義務を履行しようとする強い意志をもって…、祖国の安定を回復し、市民の安全を回復するだろう…。貴方たちは今日、祖国を守る武装部隊たるべく、さらなる準備…を求められている。貴方たちへの私の信頼は大きい。我々国民は貴方たちが安全を作りだし、誇りの源泉であることを…期待している…」。

 

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シリア・アラブ軍創設67周年の祝典がダマスカス県のカシオン山麓にある戦没者慰霊塔で行われ、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣(軍武装部隊副司令官)ら軍幹部が参列した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月1日付)は、アレッポ市A部門選出のムハンマド・アナス・ムハンマド・シャーミー人民議会議員(無所属)がアレッポ市での戦闘激化を受け、カイロに避難した、と報じた。

シャーミー議員はいまだ離反の有無を発表していないが、最近親戚のアブドゥッラティーフ・シャーミー氏が暗殺された、という。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は、AFP(8月1日付)に対して、ハイサム・マーリフ氏の暫定政府首班就任宣言とシリア革命評議会発足を「我々が望んでいない拙速な行為」と批判し、「こうした方法での政府の発足は反体制勢力を弱体化させる」と述べた。

また暫定政府発足に関して「発足するには充分な時間をかけなければならず…、現地情勢や(社会の)多様性を反映しなければならない」と付言した。

Kull-na Shurakāʼ, August 1, 2012
Kull-na Shurakaʼ, August 1, 2012

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐は、AFP(8月1日付)に対して、ハイサム・マーリフ氏の暫定政府首班就任宣言とシリア革命評議会発足を「死産」と批判、「本件に関して我々に何の相談もなかった…。一部の人間が特定の人物を首班に指名するというのは無責任な行為だ」と述べた。

暫定政府発足に関して、他の反体制勢力と接触しているかとの問いに対して、サアドゥッディーン大佐は「すべての政治家と話し合っている。我々はすべての反体制勢力と等距離だ」と述べた。

また自由シリア軍国内司令部が30日に発表した暫定政府構想(「最高国防評議会」構想)については、「国内の反体制勢力の分断を回避するため」と答えた。

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トルコで暮らす自由シリア軍のリヤード・アスアド大佐はアラビーヤ(8月1日付)に対して、「我々の革命に便乗し、犠牲者の血をもてあそんでいる」と批判した。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルカーディル・アカイディー大佐はAFP(7月31日付)に対して、「アレッポ市およびその郊外に自由シリア軍の兵士が数千人いる」と述べるとともに、「アレッポ市を解放するまで政府軍の兵士を追跡するだろう」との意思を示した。

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自由シリア軍国内合同司令部のカースィム・サアドッディーン大佐はAFP(7月31日付)に対して、「アレッポ市のほぼ50%を制圧し、アレッポ市郊外はほぼ完全に制圧した…。もちろんイドリブは100%制圧しており、アレッポ県とイドリブ県に緩衝地帯を設置し、ダマスカスに進軍する」と述べた。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は『ハヤート』(8月2日付)に対して、アル=カーイダが反体制武装勢力に参加しているとの報道・情報を否定した。

アカイディー大佐は、「外国から来た戦闘員がいるとしたら、それは革命に参加するために祖国に戻ってきたシリア人で、こうした組織(アル=カーイダ)とは関係はない…。政府は戦闘員やシリアの革命のイメージを貶めるためこの手の嫌疑を広めている」と述べた。

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ロイター通信(8月1日付)によると、自由シリア軍のバッサーム・ダーダー政務顧問は、反体制武装勢力が地対空ミサイルを入手したとの報道を否定したが、近く「サプライズ」を起こす準備をしている、と述べた。

レバノンの動き

ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長がマナール(8月1日付)を通じてイフタールのテレビ演説を行った。

演説のなかで、ナスルッラー書記長は、2004年の国連安保理決議1559号採択に先だって、湾岸アラブ諸国がアサド大統領に「レバノンに留まりたいのなら、南部に入ってもいい。しかし、ヒズブッラーとパレスチナ人の武装解除がその代償だ」と迫ったと暴露した。

ナスルッラー書記長によると、レバノンとパレスチナのレジスタンスをアラブ民族の安全保障政策の一部とみなすアサド大統領はこの要求を拒否したという。

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内務省総合治安局は、身柄拘束中のシリア人14人をシリア当局に引き渡したと発表した。

諸外国の動き

イラクのヌーリー・マーリキー首相はロシアのミハイル・レオニドヴィッチ中東問題担当大統領特使とバグダードで会談し、シリア情勢などについて協議した。

イラク首相府が発表した声明によると、この会談で、「シリア人の流血を停止するための平和的解決策の案出が必要」だとする点で意見が一致した。

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アムネスティ・インターナショナルは、アレッポ市での戦闘に関して、軍・治安部隊がデモ参加者に実弾を使用する一方、武装テロリストからの発砲だと主張している、と非難、シリア政府が「人道に対する罪」を犯している疑いがあるとして、国際社会にシリア政府に圧力をかけるための具体的な行動をとるよう呼びかける報告書を発表した。

またこの報告書では、反体制勢力による武器供与が、人権侵害や戦争犯罪を伴うような物資が使用されないことを保証するステップを伴うべきだと付言し、反体制武装勢力の武装を暗に認めた。

AFP, August 1, 2012、Akhbar al-Sharq, August 1, 2012、Alarabia.net, August 1, 2012、Cham Press, August 1, 2012、al-Hayat, August 2, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 1, 2012、Naharnet.com, August
1, 2012、Reuters, August 1, 2012、SANA, August 1, 2012などをもとに作成。

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イラク・クルディスタン民主党がシリアのクルド人に対する教練を開始、「シリア革命評議会」の設置が決定されハイサム・マーリフ氏がが暫定政府首班に任命される(2012年7月31日)

国内の暴力(アレッポ市)

AFP(7月31日付)は、「アレッポ革命」報道官を名のる活動家の話として、「昨日、彼ら(軍・治安部隊)は(サラーフッディーン)地区に毎分2発の迫撃砲を打ち続けた。我々はまったく動けなかった」と述べ、サラーフッディーン地区が軍・治安部隊に制圧されたとの政府側の発表を否定した。

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AFP(7月31日付)によると、アレッポ市の住民は政権支持と反体制運動支持で意見が分かれている、という。

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SANA(7月31日付)によると、サラーフッディーン地区で軍・治安部部隊は反対武装集団の「残党」の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

戦闘員のなかにはイラク人、アフリカ人が含まれており、またシリア人戦闘員の多くはアレッポ市郊外の出身者だという。

またジャミーリーヤ地区、サアドゥッラー・ジャービリー地区で軍・治安部隊は反体制武装集団の戦闘員をそれぞれ11人、6人殺害した。

このほか、ダウワール・ジャズマーティーでは反体制武装集団数十人が爆弾の誤爆で死亡した。

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一方、SANA(7月31日付)によると、アレッポ市郊外では、軍・治安部隊がハンダラート・キャンプで反体制武装集団300~400人を要撃し、戦闘員多数を死傷させた。

またダーラト・イッザ市でも治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺害した。

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UNHCRは数千人の民間人がアレッポ市から脱出できず、市内の大学、モスクなどで避難生活を送っており、約300世帯が緊急支援を必要としている、とシリア赤新月社などのデータをもとに発表した。

国内の暴力(その他)

AFP(7月31日付)は、イスラーム諸国の義勇兵がシリアの反体制武装闘争を支援するためにシリア国内に潜入している、と報じた。

同通信社は、シリア北西部の複数の反体制活動家の話として、過去数ヶ月間に、リビア人、クウェート人、サウジ人、そして英国、ベルギー、米国のイスラーム教徒が反体制武装集団に参加した、と報じた。

彼らの多くは、ハマー県に向かい、そこでアフガニスタンで経験を積んだジハード主義者の教練を受け、ハマー市やダマスカス県での戦闘に参加したという。

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AFP(7月31日付)は、ダマスカス県とアレッポ市での反体制武装集団と軍・治安部隊の戦闘激化に伴い発生した避難民に関して、周辺諸国ではなく、国内の「より安全な場所」に避難している、と報じた。

同通信社は、ヒムス県からレバノンを経て、ダマスカス県ルクンッディーン区に避難していたという避難民の話として、多くのヒムス住民がダマスカス県を去り、ヒムス県に戻っていると伝えた。

またアレッポ市で避難民の多くがアレッポ市内の親戚の家、学校、大学寮、慈善団体のセンターなどに避難しており、同市で救援活動をしているボランティアによると、その数は7万人以上にのぼるという。

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ハマー県では、SANA(7月31日付)によると、サラミーヤ地方で、軍・治安部隊が反体制武装集団「残党」の追跡を継続し、戦闘員複数を殺害、武器弾薬を押収した。

またスカイルビーヤ市郊外で治安維持部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員3人を逮捕した。

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ヒムス県では、SANA(7月31日付)によると、タッルカラフ地方でレバノン領からの潜入を試みる反体制武装集団を国境警備隊が撃退し、戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、『クッルナー・シュラカー』(7月31日付)によると、ジャルマーナー出身の青年らが乗った車がダマスカス国際空港街道の検問所で発砲を受け、6人が死亡、2人が負傷した。

Syrian Days(7月31日付)は、7月8日にダイル・アティーヤ市で家族とともに「何者か」に誘拐されたビジネスマンでカラムーン大学学長のサリーム・ダアブール氏が釈放されたと報じた。

家族も無事釈放された。

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ダルアー県では、『ハヤート』(8月1日付)によると、ヒルバト・ガザーラ地方の対ヨルダン国境地帯で、負傷者をレバノン領内に搬送しようとした自由シリア軍に対して、軍・治安部隊が砲撃を加えた。

反体制活動家によると、負傷者のほとんどは女性と子供。

自由シリア軍タッル・シハーブ地方のアリー・リファーイーなる活動家によると、負傷者の1人が闘争途中に砲撃を受け死亡したが、それ以外の負傷者はヨルダン領内に避難した。

シリア政府の動き

『クッルナー・シュラカー』(7月31日付)は、フサーム・ハーフィズ駐アルメニア領事ら外交官の離反が、ムハーバラートの人事改編と関係がある、と報じた。

同報道によると、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長が、総合情報部長から現職に異動する直前に、「M.H.」、「H.H.」(ハーフィズ領事と思われる)、「D.B.」、「Gh.A.」、「A.M.」の5人の外交官のシリア本国への帰任を外務在外居住省に要請したが、異動後、これらの外交官は帰国を拒否、離反したという。

なお同報道によると、マムルーク国民安全保障会議議長に代わって総合情報部長に就任したディーブ・ザイトゥーン少将も同様の帰任要請を出しており、外交官の離反は続くことを示唆している。

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リヤード・ファリード・ヒジャーブ内閣(ヒジャーブ首相が議長を務める)が閣議を開き、「国民和解」をめぐるアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣の活動・会合の進捗状況などを審議した。

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シリア・アラブ航空はEU諸国の追加制裁を受け、欧州諸国への就航便を徐々に運行停止とすることを決定した。

AFP(7月31日付)が報じた。

シリア・アラブ航空高官によると、現時点でパリ、ブカレスト、ベルリン、ブリュッセル、ラルナカ、ストックホルムなどへの便が運行停止となっている。

反体制勢力の動き

イラク・クルディスタン民主党のハイマン・フーラーミー渉外局長は、AFP(7月31日付)に対して、イラクのクルディスタン地域のキャンプで、シリアのクルド人に対する教練を開始したことを明らかにした。

この教練は「シリアの体制崩壊後の治安上の真空を埋めること」が目的だという。

またフーラーミー渉外局長は、「イラク・クルディスタン民主党もクルディスタン自治政府もシリア内政には干渉しないし、シリアのクルド人の状況をどうすべきかという政治的フォーマットを提供することもない。しかし、我々はシリアのクルド人の統合をシリアの反体制運動の基礎とし、前向きな変革を支援すべく支援してきた」と述べた。

PKK系のクルド民族主義組織の民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は、この教練に関して「(クルド人の)保護が目的」と述べる一方、「我々にはそれができるが、西クルディスタン(シリア)の何らかの組織と合流したいと彼ら(イラクのクルド人)が考えるのなら、特別な教練が必要になろう。(シリアへの)帰宅を望む者は歓迎されるが、武器を持って帰ることはない」と述べ、クルド人武装集団のシリアへの潜入・帰国については否定した。

またシリア・クルド民主党パールティーのアブドゥルハキーム・バッシャール書記長(シリア・クルド国民評議会)は、「現時点で、シリア軍を離反したクルド人を帰国させる決定はない…。彼らは教練を終えたが、それは戦闘のためではなく、(シリアの)体制崩壊後の戦略的地域を保護するためだ」と述べた。

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民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はAFP(7月31日付)に、「アフリーン、ダイリーク、コーバーニーの三地域が、特定の政党ではなく、人民の意思のもとにある。彼らはすべての党派を代表しており、すべての国家機関を掌握し、その高官を追放した」と語った。

また「西クルディスタンはトルコに敵対しておらず、またトルコへのいかなる敵対も計画していない…。PKKにも西クルディスタンにも武装している者は一人もいない」と述べた。

さらに「我々は反体制の民主的諸勢力国民調整委員会のメンバーだ。我々の反体制運動は、ハイサム・マンナーアやアブドゥルアズィーズ・ハイイル(いずれも国民調整委員会メンバー)とともにあるが、我々の方法は、平和的な革命を呼びかけるというものであり、武装革命ではない」と付言し、アサド政権との協力関係を否定した。

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シリア国民行動グループ代表のハイサム・マーリフ弁護士はカイロで記者会見を開き、シリアの反体制勢力の会合で「シリア革命評議会」の設置が決定され、自身が暫定政府首班に任命されたと発表した。

Kull-na Shurakāʼ, July 31, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 31, 2012

記者会見でマーリフ弁護士は「暫定内閣首班に任命された。これをもって、国内外の反体制勢力と組閣の協議を始める」と宣言した。

また「シリア革命評議会」に関して、マーリフ弁護士は「いかなる政治組織にも属さない無所属のシリア人反体制活動家の連立」だと述べた。

マーリフ弁護士によると、会合には、自由シリア軍の代表を含むシリアの反体制活動家らが参加したが、記者会見には出席しなかった。

マーリフ弁護士はシリア国民評議会を3月13日に脱退している。

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シリア国民評議会執行委員会のムハンマド・サルミーニーは、BBC(7月31日付)に対して、シリア国民評議会がカイロの会合に参加しなかったと述べた。

またシリア国民評議会執行委員会のアブドゥルアハド・アスティーフー氏は声明を出し、シリア国内の勢力との調整や協議に基づくようなかたちではいかなる暫定政府の発足も宣言しないだろう、と述べた。

アスティーフー氏によると、シリア国民評議会は、最近メディアなどで報じられている反体制勢力の暫定政府発足をめぐる動きに何ら関与しておらず、「反体制勢力内の対立を爆発させるための実験用バルーン、ないしは時限爆弾」のようなものだという。

同声明は「シリア国民評議会特派員ネットワーク」を通じて発表された。

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自由シリア軍の副参謀長を名のるアーリフ・ハンムード大佐は、BBC(7月31日付)に対して、「ハーリド・ムトラク大佐を団長とする使節団が大会に参加した。我々はシリアの反体制勢力のいかなる活動にも遅れをとらず参加する。たとえそれに反対の立場でも」と述べた。

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パリで活動する反体制組織、シリア民主世俗主義諸勢力連立はハイサム・マーリフ氏の暫定政府首班就任宣言とシリア革命評議会の結成に関して、「革命を続けるシリアの街の声、そしてそれを代表する組織に何ら問うことなく首班を指名した」し、「シリアの革命家の権利を奪う」行為と非難した。

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NBC News(7月31日付)は、シリアの反体制武装集団がトルコ国境経由で地対空ミサイル約24基を入手した、と報じた。

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シリア国民評議会は声明を出し、ダイル・ザウル市での戦闘で数百人が死亡、数千人が負傷したと発表した。

諸外国の動き

7月29日に開設したヨルダンのザアタリー・キャンプは、30日、31日の2日間で900人以上のシリア人避難民を受け入れた。

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イランの日刊紙『シャルク』(7月31日付)は、イラン軍のマスウード・ジャザーイリー副参謀長が「(イランは)シリアへの敵の進軍を許さないだろう」と述べた、と報じた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はバラク・オバマ米大統領と電話会談を行い、シリアでの体制転換(アサド政権退陣)について協議した。

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シリアの反体制武装集団を支援するサウジアラビアのアフマド・ビン・アブドゥルアズィーズ内務大臣は、8月2日にシリア周辺諸国のシリア人避難民への支援物資を積んだ40台の貨物車輌をサウジアラビアから派遣すると発表した。

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レオン・パネッタ国防長官はCNN(7月31日付)に対して、アサド大統領に関して「彼が自信と家族を守りたいと考えるなら、去るべきだと言いたい」と述べた。

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UNSMISのスーザン・ゴシェ報道官は、アレッポ市での軍・治安部隊の反体制武装集団掃討作戦に戦闘機が投入されていることを監視団が30日に確認した、と述べた。

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パレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLP-GC)のアフマド・ジブリール書記長は、ダマスカス県ヤルムーク区(パレスチナ難民キャンプ)での反体制運動の激化とシリア軍・治安部隊との衝突発生を受けて、反体制武装集団の進入を阻止するため、キャンプを要塞化する必要がある、と述べた。

反体制武装集団と軍・治安部隊との衝突で犠牲となったパレスチナ人の葬儀で、ジブリール書記長は、「シリアの分割を画策する国際的陰謀」と「武装テロリスト」に対抗する必要を強調した。

AFP, July 31, 2012、Akhbar al-Sharq, July 31, 2012, August 1, 2012, August 2, 2012、BBC, July 31, 2012、al-Hayat, August 1, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 31, 2012、Naharnet.com, July 31,
2012、Reuters, July 31, 2012、SANA, July 31, 2012、Syrian Days, July 31, 2012、al-Thawra, August 1, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア外務省がサウジアラビア、カタール、トルコが反体制武装集団に資金・武器を供与していることに抗議する書簡を国連に送付、クルド最高委員会「自らをシリア国民の一部とみなす」(2012年7月30日)

国内の暴力(アレッポ市)

シリア人権監視団や反体制活動家らによると、サラーフッディーン地区、サーフール地区、ザフラー地区、イザーア地区、アアザミーヤ地区などに対して、軍・治安部隊がヘリコプターや戦車などを投入し、砲撃を続けた。

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自由シリア軍のファルザート・アブドゥンナースィル准将はAFP(7月30日付)に対して、アレッポ市郊外のアンダーン検問所(アレッポ市北部5キロに位置)を10時間にわたる戦闘のちに制圧した、と語った。

この戦闘で、反体制武装集団は軍・治安部隊の戦車・装甲車7輌を捕捉、1輌を破壊した。

また、反体制武装集団は戦闘で6人が犠牲になった、という。

同検問所はアレッポ市とトルコ国境を結ぶ「戦略的要衝」とされる。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐は、AFP(7月30日付)に対して、「我々は昨晩、サラーフッディーン地区での軍・治安部隊による3度の進軍を阻止し、戦車4輌を破壊した」と述べ、同地区の「浄化」を完了したとのシリア政府側の発表を否定した。

またアカイディー大佐は、自由シリア軍がアレッポ市の「35~40%を制圧した」と豪語した。

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一方、SANA(7月30日付)によると、アレッポ市郊外のダール・クッバターン・ジャバル回廊で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、後者の車輌4台を破壊した。

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ジャズィーラのウマル・ハシュラム特派員がアレッポ市で負傷した。

ジャズィーラ(7月30日付)によると、同特派員は、軍・治安部隊が部分的に奪還した街区で負傷、その後トルコに搬送された、という。

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ロイター通信(7月30日付)は、アレッポ市近郊の村出身の反体制活動家の話として、「アレッポ市で戦っている戦闘員の約80%は農村出身者だ。アレッポは商業都市で、住民は中立でいたいと考えている。しかし我々はここに来て、彼らは我々を受け入れているように見える」と報じた。

国内の暴力(その他)

ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、ルクンッディーン区やカフルスーサ区で治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行った。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マスラーバー市とハラスター市の間の農村地帯で、治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行った。

またムウダミーヤト・シャーム市では16歳の少年が殺害された。

『クッルナー・シュラカー』(7月30日付)はイブラーヒーム・サーフィー中将(第1師団司令官)の息子のフィラース・サーフィー氏(シリア・アラブ航空パイロット)と妻でジャーナリストのファーディヤー・ジブリール氏がダマスカス国際空港街道で襲撃され、死亡したと報じた。

一方、SANA(7月30日付)によると、ハラスター市郊外で軍・治安部隊が反体制武装集団の残党を掃討し、多数を逮捕した。

al-Thawra, July 31, 2012
al-Thawra, July 31, 2012

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ラスタン市での砲撃で2人が死亡した。

一方、シリア・アラブ・テレビ(7月30日付)は、ヒムス市のカラービース地区の「浄化」を完了した、と報じた。

またSANA(7月30日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、戦闘員多数を殺害した。

さらにクサイル地方でも軍・治安部隊が反体制武装集団を交戦し、戦闘員多数を殺害した。

このほか、タッル・カラフ地方では国境警備隊がレバノン領内から潜入を試みた反体制武装集団の戦闘員を撃退した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャイフ・マスキーン市で2人が射殺された。

一方、ANA(7月30日付)によると、ジュッブ・サファー村、カーラ村で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を逮捕した。

またタッル・シハーブ町の国境警備隊がヨルダン領内から潜入を試みた反体制武装集団の戦闘員を撃退した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ブライディージュ村などで、軍・治安部隊が大規模な逮捕・追跡活動を行った。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハビート市が砲撃に曝された。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ブーカマール市で2人が撃たれて死亡した。

一方、SANA(7月30日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を死傷させた。

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ハサカ県では、SANA(7月30日付)によると、カーミシュリー市郊外で軍・治安部隊が反体制武装集団のアジトを襲撃し、武器弾薬などを押収した。

ダイル・ザウル県沿いのサアダー村で爆発(誤爆)があり、武装テロ集団のメンバー多数が死亡した。子供2人も巻き添えになったという。

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は、国連安保理議長と事務総長宛に対して、ダマスカスとアレッポでの反体制武装集団による民間人への攻撃にサウジアラビア、カタール、そしてトルコが資金・武器を供与していることに抗議する書簡を送付した。

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英国外務省は、ハーリド・アイユービー駐英シリア臨時代理大使が辞職した、と発表した。

暴力行為や弾圧行為を犯すアサド政権を代表することが自身の意に反する、というのが離反の理由だという。

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トルコの高官筋が明らかにしたところによると、ラタキア県警察の副所長を含むシリア人士官12人が離反し、トルコ領内に避難した。

しかし同消息筋は、離反した副所長の氏名は明らかにしなかった。

反体制勢力の動き

自由シリア軍国内合同指導部は「革命の全要求を応えるための国民救国計画」と題した声明を出し、体制打倒後の暫定機関を主導する「最高国防評議会」の結成を呼びかけた。

声明によると、「最高国防評議会」は、暫定機関の国家運営を担当する「大統領評議会」の設置を第一の任務とする。

「大統領評議会」は民間人と軍人の計6人から構成され、治安・軍機関の再編を担当するという。

また声明では、「暫定政府」に関して、内務大臣と国防大臣のポストを軍に与えられるべきとするとともに、首相府担当大臣も軍が指名する民間人が就くべきだと提言した。

さらに声明では「シリア革命保護最高国民評議会」の設置も提言している。

同評議会は、「行政機関の活動を監視する議会の役割を果たす」という。

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クルド最高委員会は声明を出し、「自らをシリア国民の一部とみなす」とともに、「多元的民主的シリアに向けた革命への平和的・実質的な参加をめざす」との意思を示した。

また「シリアのクルド人は隣国の平和と治安を脅かす意思がない」と表明、また「シリア社会からの分離や分断をめざさない」と宣言した。

クルド最高委員会は、シリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会からなる政治同盟。

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Youtube, July 31, 2012
Youtube, July 31, 2012

Youtube(7月30日付)は、ラタキア県の「トゥルクマーン山」で活動するマムドゥーフ・ジュールハ大隊なる武装集団が、「日本人ジャーナリスト」と思われる青年がイスラーム教徒になったとするビデオを公開した。

諸外国の動き

国連のバレリー・アモス人道問題担当事務次長は、アレッポ市での戦闘を避け避難した市民の数が20万人以上に及ぶと赤十字国際委員会やシリア赤新月社が推計していると発表した。

また「包囲された同市で戦闘に依然として巻き込まれている人の数は把握できない」としてたうえで、戦闘に参加しているすべての当事者に、民間人を標的にしないよう求めるとともに、人道機関が住民に緊急支援を行うため安全な通行を認めるよう呼びかけた。

避難民の多くは「比較的安全な地域の学校や公共施設に一時避難している」という。

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ババカール・ジャイのUNSMIS団長は、ヒムス県のヒムス市とラスタン市を視察し、「激しい砲撃」が行われていることを確認した、と述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣はRTLラジオ(7月30日付)で、アサド大統領を「死刑執行人」と非難、シリアでの流血を停止させるため、国連安保理で緊急会合の開催を求めると述べた。

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ロシアのドミトリー・メドヴェージェフ首相は『タイムズ』(7月30日付)に対して、シリア情勢をめぐりロシアと西側の対立にもかかわらず、「起こり得る最悪の事態が全面的な内線突入であるという立場に皆が立っている」点で共通している、と述べた。

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サウジアラビアのアフマド・ビン・アブドゥルアズィーズ内務大臣が、シリアへの義援金が29日までに1億800万ドル集まった、と発表した。

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トルコのアフマト・ダウトオール外務大臣はイラクのクルディスタン地域訪問に先立って、「地域は大きな変革を目の当たりにしている。新たな中東を受け入れるか、混沌を受け入れるか…。過去100年においてもっとも重要でもっとも大きな変化だ」と述べた。

また「シリアのレバノン化は許されない」と述べ、シリアの内政混乱を回避したいとの意思を示した。

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『シュピーゲル』(7月30日付)は、今年2月にドイツ国内で逮捕された30歳代のシリア人男性が、シリアの反体制活動家に対するスパイ容疑で連邦裁判所で近く裁判にかけられると報じた。

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ヨルダン日刊紙『ラアユ』(7月30日付)は、シリアの反体制武装闘争に参加して、軍・治安部隊に殺害されたとSANAが報じたヨルダン人のなかに、16年前にシリアでスパイ容疑を受け死亡したヨルダン人が含まれていた、と報じた。

このヨルダン人はウサーマ・アブドゥルカーディル・アフマド・ザハビー容疑者で、ヨルダン国内の台帳(サルト市台帳)によると、1996年5月30日に死亡したになっている、という。

SANAによると、ザハビー容疑者は最近シリア国内に潜入し、ダルアー県のヒルバト・ガザーラ町で反体制武装活動に参加していた、という。

シリア当局が国内で殺害したとされるヨルダン人戦闘員に関しては、ズライカート家やジャーズィー家が、家族の名前(ムハンマド・ズライカート、ファーリス・ジャーズィー)を「盗用」されたと非難していた。

また、殺害されたとされるヨルダン人戦闘員のなかには、シリアに行ったことのない存命の青年の名前(アブー・バラー・サルティー)も含まれていた、という。

一方、『ガド』(7月30日付)は、シリアの反体制武装闘争に参加して殺害されたとされるファーリス・ムハンマド・ジャーズィーの兄弟の話として、ジャーズィーがダマスカスで逮捕されたのちに治安当局に殺害された、と報じた。

AFP, July 30, 2012、Akhbar al-Sharq, July 30, 2012、Aljazeera.net, July 30, 2012、Der Spiegel, July 30, 2012、al-Ghad, July 30, 2012、al-Hayat, July 31, 2012, August 1, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 30, 2012、Naharnet.com, July 30, 2012、al-Raʼy, July 30, 2012、Reuters, July 30, 2012、SANA, July 30, 2012、al-Thawra, July 31, 2012、The Times, July 30, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ県で反体制武装集団掃討作戦が継続され「全面的な市街戦」の様相を呈する、ムアッリム外相がイランを訪問し同国大統領と外相と会談(2012年7月29日)

国内の暴力(アレッポ市)

アレッポ県では、複数の活動家や目撃者によると、軍・治安部隊による反体制武装集団掃討作戦が継続され、ヘリコプターや戦車などによる砲撃が続き、事態は「全面的な市街戦」の様相を呈し、反体制武装集団が占拠した地域の住民はそのほとんどが避難を余儀なくされた。

Kull-na Shurakāʼ, July 29, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 29, 2012
Kull-na Shurakāʼ, July 29, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 29, 2012

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シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン所長によると、軍・治安部隊の増援部隊は、そのすべてがアレッポ市内の戦闘地域に展開しておらず、多くは反体制武装集団が占拠している街区を包囲し、孤立化を狙っているという。

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アブー・アラー・ハラビーを名のる活動家はAFP(7月29日付)に対して、戦闘がバーブ・ナスル、バーブ・ハディード、旧市街にも達しつつあると述べた。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はAFP(7月29日付)に対して、飛行禁止空域の設定を西側諸国に懇願した。

アカイディー大佐は「我々は西側に緩衝地帯があると言っている。しかし我々は緩衝地帯が必要なのではなく、我々が体制を打倒できるようにするための飛行禁止空域が必要なだけだ」と述べた。

また「(軍・治安部隊の)戦車が入る街区はどこであっても、戦車の墓場になるだろう…。(軍…治安部隊は)航空機か遠距離の迫撃砲、都市に対する砲撃…を通じてしか(アレッポ市内に)入ることができない…。我々はすべての街区を堅固に護っており、おかげさまで対戦車、対空兵器を保持している…。これまで戦車8輌など車輌多数を破壊し、100人以上を殺害した」と豪語した。

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一方、SANA(7月29日付)によると、アレッポ市のサラーフッディーン地区で軍・治安部隊が反体制武装集団残党の「浄化」を完了した。

公式筋によると、同地区で殺害した戦闘員のなかには外国人が含まれていたという。

また軍・治安部隊はバーブ・ハディード、ブスターン・ザフラ地区、バルクーム地区などで武装テロ集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

国内の暴力(その他)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市、ムウダミーヤト・シャーム市、スバイナ町周辺で、軍・治安部隊による逮捕・追跡活動が行われ、ハーマ町で反体制活動家1人が、アルバイン市で市民1人が死亡した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区に軍・治安部隊が砲撃したほか、バーブ・フード地区では治安部隊が技師組合ビルに突入し、反体制勢力の戦闘員2人を殺害した。

Kull-na Shurakāʼ, July 29, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 29, 2012

また市内の警察署近くでも戦闘があり、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(7月29日付)によると、対レバノン国境に位置するタッル・カラフ地方で、国境警備隊が潜入を試みる反体制武装集団と対峙した。

またタルビーサ地方でも反体制武装集団のアジトを襲撃し、甚大な打撃を与えた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャイフ・マスキーン市で激しい戦闘があった。

一方、SANA(7月29日付)によると、県内の避難民キャンプなどで軍・治安部隊反体制武装集団の追跡を継続し、「野戦病院」を発見した。

またブスラー・シャーム市、シャイフ・マスキーン市などでも軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、サイイド・ハンムード村で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、前者に死傷者が出た。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市で軍・治安部隊と反体制武装集団が激しく交戦、またヒーシュ村では市民2人が砲撃で死亡した。

一方、SANA(7月29日付)によると、対トルコ国境に位置するジスル・シュグール地方アイン・バイダーで潜入を試みる反体制武装集団と対峙した。

また県内各地で反体制武装集団の追跡を継続し、甚大な打撃を与えた。

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ハマー県では、シリア革命総合委員会によると、軍・治安部隊が逮捕・追跡活動を継続、ガーブ平原の村々に突入した。

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Kull-na Shurakāʼ, July 29, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 29, 2012

ダイル・ザウル県では、SANA(7月29日付)によると、ダイル・ザウル市で郡・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、甚大な被害を与えた。

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スワイダー県では、『クッルナー・シュラカー』(7月29日付)によると、スワイダー市でレバノンの親アサド政権の政治家ウィヤーム・ワッハーブ氏(ドゥルーズ派)の事務所のタイスィール・ハートゥーム所長が反体制武装集団に襲撃され、負傷した。

襲撃に関して、スワイダー軍事評議会のハルドゥーン・ザインッディーン大尉なる活動家は、「シャッビーハのウィヤーム・ワッハーブへのメッセージだ」と述べ、スワイダー市への訪問を認めないとの意思を示した。

なおワッハーブ氏は、最近暗殺未遂に遭い、スワイダー市への訪問を中止している。

その背景には、レバノンのワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首がいるとされたが、スワイダー軍事評議会が犯行を認めている。

シリア政府の動き

シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣がイランを訪問し、マフムード・アフマディーネジャード大統領、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣らと会談した。

会談後、ムアッリム外務在外居住者大臣は、アレッポ市での反体制武装集団の武装闘争に関して、「ダマスカスでの戦闘に敗北した戦闘員がアレッポに移動した」ためとの見方を示し、「彼らの計画は失敗するだろう…。シリア国民は軍とともに戦っている」と述べた。

SANA, July 29, 2012
SANA, July 29, 2012

また「トルコからシリアに入った戦闘員は、リビア、チュニジア、エジプトなどの国籍を持っており、イラクから入り逮捕された戦闘員は、アル=カーイダのメンバー」であることを明らかにした。

さらに「現状を踏まえると、シリアに陰謀を企てる者たちは悪質だと思う。現下の対決が終わり、シリア全土に安定と治安が回復したとしても、陰謀は止まないだろう。なぜなら背後で糸を引いている者が明らかだからだ…。イスラエルがことを動かしており、残念なことに一部の湾岸アラブ諸国がイスラエルとともに、陰謀を働いている」と付言した。

一方、レバノンに関しては「レバノンが武装テロ集団の潜入を阻止することを望んでいる。そうすることはレバノンとシリアのためになる」と述べた。

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SANA(7月29日付)によると、イランのアフマディーネジャード大統領は、「真理が不正に勝利するまで、陰謀と対決するシリアを支持する」と述べた。

またサーレヒー外務大臣は、シリアにおいて体制転換が実行できるとする西側の発想を「幻想」だと非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(7月29日付)は、ラーミー・マフルーフ氏が代表を務めるブスターン慈善協会がダマスカス県とダマスカス郊外県でアラウィー派に武器と資金を供与し、反体制デモを阻止しようとしている、と報じた。

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SANA, July 29, 2012
SANA, July 29, 2012

『クッルナー・シュラカー』(7月29日付)は、シーア派の複数の消息筋の話として、ダマスカス郊外県のサイイダ・ザイナブ町の廟をイランの革命防衛隊が警備していると報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は、アレッポ、ダマスカス、ヒムスでのシリア政府による「虐殺」を阻止するための国連安保理緊急会合の招集を求めた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は訪問先のUAEのアブダビで、「自由シリア軍」に重火器を供与するよう呼びかけた。

スィーダー事務局長は「我々がここで欲している支援とは、革命運動家への質的支援だ。我々は戦車、戦闘機を食い止める武器が欲しい」と述べた。

一方、暫定政府の人事に関して、スィーダー事務局長は、「ほとんどのメンバーは反体制勢力だが、現政府のメンバーも若干含まれる」と述べ、バスマ・カドマーニー報道官の発言や評議会の声明を再び否定、ジョルジュ・サブラー報道官に同調した。

またマナーフ・トゥラース准将との協力の是非に関して、暫定政府発足の第1段階においてトゥラースは参加できないとしたうえで、「現地で活動する自由シリア軍や革命勢力との…対話と調整が行われねばならない」と答えた。

また「暫定政府は愛国的でクリーンでコンセンサスに基づく人物が指導しなければならない」と述べ、トゥラース准将が首班になる可能性を否定した。

一方、スィーダー事務局長は、反体制勢力が「基本的な必需品」を得るために少なくとも月1億4,500万ドルが必要だが、過去数ヶ月で1,500万ドルしか資金を得られていないことを明らかにした。

また7,200万ドルの義援金を5日で集めたサウジアラビアに対して謝辞を述べた。

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AFP(7月29日付)は、シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長がイランのエルビルに向かったと報じた。

シリアのクルド民族主義勢力(シリア・クルド国民評議会)にシリア国民評議会への参加を呼びかけることが目的だという。

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「アフバール・シャルク」(7月29日付)は、ムハンマド・フサーム・ハーフィズ駐アルメニア・シリア領事がアサド政権を離反した、と報じた。

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アンワル・ブンニー弁護士は、AKI(7月29日付)に対して、アサド政権が新設したテロ犯罪特別法廷を「国民に対する違法な武器」と非難した。

レバノンの動き

北部県トリポリ市のジャバル・ムフスィン地区・バーブ・タッバーナ地区で住民どうしの衝突が激化し、2人が死亡、5人が負傷した。

衝突は27日から散発的に続いており、負傷者は3日間で20人以上に達した。

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レバノンのワリード・ジュンブラート進歩社会主義党党首は、『ナハール』(7月29日付)に対して「シリアの体制はこれまで以上にレバノンで強力になっている」と述べ、治安機関などに対してアサド政権が影響力を行使していると非難した。

諸外国の動き

コフィ・アナン特使は声明を出し、アレッポ市での戦闘激化に関して懸念を表明し、「政治的正常化をもたらすための政治的転換が危機を解決し、シリア国民のために平和を実現する唯一の方法」だと強調した。

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ヨルダン政府は、対シリア国境のマフラク市郊外のザアタリー地方にシリア人避難民を受け入れる初の国営のキャンプを開設した。

開設式にはナースィル・ジャウダ外務大臣が出席した。

AFP, July 29, 2012、Akhbar al-Sharq, July 29, 2012、al-Hayat, July 30, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 29, 2012、Naharnet.com, July 29,
2012、al-Nahar, July 29, 2012、Reuters, July 29, 2012、SANA, July 29, 2012、Sky News Arabic,
July 29, 2012、al-Thawra, July 30, 2012などをもとに作成。

 

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軍・治安部隊がアレッポ市サラーフッディーン地区で反体制武装集団に対する総攻撃を開始する一方、露外相が日本の玄葉外相と会談し後者はは前者国の「建設的な姿勢」への支援を誓約(2012年7月28日)

国内の暴力(アレッポ市)

アレッポ県では、アレッポ市のサラーフッディーン地区などを包囲する軍・治安部隊が反体制武装集団に対する総攻撃を開始した。

また戦闘の本格化を受け、約20万人の市民が郊外の学校、公園などに避難した。

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AFP(7月29日付)によると、総攻撃は早朝4時に始まり、ヘリコプター4機が空爆を行う一方、戦車などが砲撃を加えた。

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同報道によると、反体制武装集団にはシリア人戦闘員だけでなく、「ムジャーヒドゥーン・タウヒード旅団」を名のるイスラーム主義者も加わっている。

「ムジャーヒドゥーン・タウヒード旅団」は、チェチェン、アルジェリア、スウェーデン、フランスのイスラーム教徒から構成されている。

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自由シリア軍アレッポ軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐によると、ハムダーニーヤ地区で軍・治安部隊を攻撃し、戦車・装甲車5輌を破壊し、「自由シリア軍は軍に甚大な被害を与え、その攻撃を停止させた」。

しかし、アカイディー大佐によると、「サラーフッディーン地区の外には軍の戦車約100輌が展開している」という。

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シリアの治安消息筋はAFP(7月29日付)に対して、「テロリストの逃走を阻止するため、戦闘地区のすべての出入り口は閉鎖されている」という。

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SANA(7月28日付)によると、フルカーン地区で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員2人を殺害、3人を逮捕、武器弾薬および乗っていた車を押収した。

またスライマーン・ハラビー地区でも軍・治安部隊が反体制武装集団を殲滅、アンサーリー地区でも反体制武装集団に甚大な被害を与えた、という。

このほか、スッカリー地区では、反体制武装集団の戦闘員4人を拘束した。

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AFP(7月29日付)によると、アレッポ市からトルコ国境に向かう街道に、反体制武装集団が「自由シリア軍」と書かれた検問所を設置している。

国内の暴力(その他)

ダマスカス県では、シリア革命総合委員会によると、カフル・スーサ区で治安部隊および「シャッビーハ」による逮捕・追跡活動が行われた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月29日付)によると、スバイナ町で軍・治安部隊が反体制武装集団残党の「浄化」を完了した。

またサイフーニーヤ市(ドゥーマー市郊外)では、反対武装集団によって誘拐されていた市民2人を軍・治安部隊が解放することに成功した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のハーリディーヤ地区、ジャウラト・シヤーフ地区、カラービース地区で軍・治安部隊による砲撃が行われた。

一方、SANA(7月28日付)によると、ヒムス市で反体制武装集団の追跡が継続された。

またクサイル市では、軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員8人を殺害した。

ラスタン市でも、軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦したほか、対レバノン国境地帯で越境砲撃を行う反体制武装集団と対峙した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カルナーズ町に軍・治安部隊が砲撃を加えた。

一方、SANA(7月28日付)によると、カルナーズ町で軍・治安部隊が反体制武装集団の「浄化」を完了した。

またガーブ地方各所で反体制武装集団に甚大な被害を与えた。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦、砲撃を加えた。

一方、SANA(7月28日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、多数の戦闘員を死傷させた。

またムー・ハサン市では軍・治安部隊が反体制武装集団を殲滅した、という。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ラジャート高原で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(7月28日付)によると、ブスラー・シャーム市で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦した。

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ラタキア県では、SANA(7月28日付)によると、軍・治安部隊がサルマー町周辺で武装テロ集団残党の追跡を継続した。

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SANA(7月28日付)は、反体制武装集団がダマスカス郊外県で拉致したとされるイタリア人技術者2人をシリア軍が解放したと報じた。

解放されたのはイタリアの電力会社Ansaldo Energiaの技術者オリアノ・カンターリ(Oriano Cantari)氏(64歳)とドメニコ・テデシ(Domenico Tedeschi)氏(36歳)。

イタリア外務省はこの2人が7月20日に出国のためダマスカス国際空港に向かう途中、警察に逮捕されたと発表していた。

解放された技術者の1人はAGI(7月28日付)に対して、誘拐犯が覆面をしていたので、誰かは分からなかったと答えた。

アサド政権の動き

ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣はシリア・アラブ・テレビ(7月28日付)に出演し、7月18日のダマスカス県での爆弾テロで重傷を負った(ないしは死亡した)との一部メディアの報道を否定した。

また市民に対して、「テロリストの呼びかけ」に応じて国外に避難しないよう呼びかけるとともに、「我々の勇敢な軍がテロリストを殲滅し、治安を回復する」と述べた。

一方、反体制武装集団に対しては「国の安定に打撃を与えようとする計画のなかで燃料として利用されているに過ぎないことを悟り…、信念を取り戻す」よう呼びかけた。

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『クッルナー・シュラカー』(7月27日付)は、バアス党シリア地域指導部民族治安局のアミーン・シャラービー副局長(少将)が7月18日のダマスカス県での爆破テロでダーウド・ラージハ国防大臣らとともに殺害され、アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ少将が後任となった、と報じた。

しかし、民族治安局は国民安全保障会議に発展解消しており、現在は存在しない。

またクドスィーヤ少将は、爆弾テロ後に軍事情報局長に異動となっている。

反体制勢力の動き

ロンドンを拠点とする反体制組織のシリア人権監視団は、2011年3月以降の死者数が20,028人に達したと発表した。

Kull-na Shurakāʼ, July 28, 2012
Kull-na Shurakaʼ, July 28, 2012

同監視団によると、うち民間人と反体制武装集団活動家が13,978人、離反兵が968人、軍・治安部隊兵士が5,082人。

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バウワーバ・シャルク(7月28日付)は、シリア国民評議会の匿名消息筋の話として、バスマ・カドマーニー報道官が執行委員会メンバーを解任されると報じた。

同消息筋によると、カドマーニー報道官は「女性局」を代表するとされるが、執行委員会選挙で4票しか得られなかった、という。

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民主主義のためのシリア人キリスト教徒機構が、ヨルダンの避難民に救援物資を提供した。

救援物資は、ヨルダンの避難民キャンプでラマダーンの断食を行うイスラーム教徒がイフタールを行うための食糧などからなる。

『クッルナー・シュラカー』(7月28日付)が報じた。

レバノンの動き

NNA(7月28日付)は、ベカーア県バアルベック郡ブリータール地方でシリアに武器を密輸しようとしたレバノン人とシリア人各1人を軍が逮捕した、と報じた。

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北部県トリポリ市のジャバル・ムフスィン地区・バーブ・タッバーナ地区で27日に再発した住民どうしの衝突が激化し、12人が負傷した。

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NNA(7月28日付)によると、シリア領内から発射されたロケット弾が北部県アッカール郡ナフル・ハーリド地方に着弾し、レバノン人1人が負傷した。

またシリア人避難民3人が国境地帯での地雷に触れ、重傷を負った、という。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は日本の玄葉光一郎外務大臣との会談後の共同記者会見で、西側諸国によるシリアの反体制勢力支援が「さらなる流血」をもたらすと批判した。

ラブロフ外務大臣は「反体制武装集団がアレッポなどの都市を占領し、新たな虐殺が起きかねない…。充分に武装した集団が都市を占拠し、暫定政府のための緩衝地帯のようなものを作ろうとしている。このような状況でシリア政府が「分かりました。私が間違えていました。私を転覆して、体制を変えてください」と言うのをどうして期待できるのか?」と述べた。

また「シリアのすべての当事者が行き過ぎた行為を犯している。我々はこれらすべての当事者に圧力をかけねばならない。西側諸国は、一部周辺諸国とともに、反体制武装破壊分子を実質的に支持、指導している…。この代償はさらなる流血だ」と付言した。

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玄馬外務大臣は、ラブロフ外務大臣の発言を受け「ロシアの姿勢は大きな影響力を持っている。また国際社会の声もある。我々はロシアの建設的な姿勢を支援する」と述べたという。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は、アレッポ市での反体制武装集団と軍・治安部隊の戦闘に関して、「アサドの軍が行う民間人に対する野蛮な攻撃」を懸念するとの事実誤認に基づく一方的な批判を行った。

しかし、リビアと同様の介入の可能性に関しては「事態は異なっている」としたうえで、ロシアと中国の拒否権発動により、介入ができない、との責任転嫁を行った。

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UNHCRは、レバノン国内のシリア人避難民の数が34,000人以上に達するとの報告書を発表した。

AFP, July 28, 2012、AGI, July 28, 2012、Akhbar al-Sharq, July 28, 2012、Bawabatalsharq, July 28, 2012、al-Hayat, July 29, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 28, 2012、Naharnet.com, July 28,
2012、NNA, July 28, 2012、Reuters, July 28, 2012、SANA, July 28, 2012、al-Thawra, July 29, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市内の複数区で軍・治安部隊のヘリコプターが反体制武装集団を攻撃、トルコ外相がシリアへの軍事介入の可能性を否定するも「いかなる勢力がテロの拠点を築く」ことを許さないと強調(2012年7月27日)

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のサラーフッディーン地区、アアザミーヤ地区、ブスターン・カスル地区、マシュハド地区、スッカリー地区で軍のヘリコプターが上空から機関銃を発射し、反体制武装集団を攻撃した。

Youtube, July 27, 2012
Youtube, July 27, 2012

またマハッタ・バグダード、ジャミーリーヤ地区、サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)などで軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

さらにファルドゥース広場での砲撃で、3人が死亡した。

シリアの治安筋はAFP(7月27日付)に対して、「アレッポ周辺での軍部隊の展開はほぼ完了した」と述べた。

AFP(7月27日付)は、サラーフッディーン地区では、戦闘員数百人が、軍・治安部隊の攻撃に備えており、「民間人はいない」(反体制活動家)という。

反体制活動家のアブー・ムハンマド・ハラビーは、AFP(7月27日付)に「反体制勢力は今のところ巧みに動いており、犠牲者はほとんどが民間人だ」と述べた。

サイフ・ダウラ地区のアーミナ・モスクの説教師・イマームのアブドゥッラティーフ・シャーミー氏が何者かに誘拐され、暗殺された。

シリア人権監視団によると、「二都蜂起(インティファーダ)の金曜日」と銘打った反体制デモが複数地区で行われた、という。

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反体制活動家は、自由シリア軍がアレッポ市内の複数カ所で捕捉した軍・治安部隊兵士、警官、そして「自称シャッビーハ」ら約100人の映像をYoutube(7月27日付)で公開した。

映像によると、「タウヒード旅団」なる離反兵のグループが兵士らを捕捉した、という。

http://www.youtube.com/watch?v=RLG0vLy89E4&feature=youtu.be

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤルダー市が砲撃に曝された。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市で反体制武装集団が士官14人を含む軍・治安部隊兵士約50人を捕捉した。

またマアッラト・ヌウマーン市で7時間にわたって軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦、砲撃により女性1人、子供1人が死亡した。

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ダイル・ザウル県では、シリア革命総合委員会によると、ダイル・ザウル市内各所で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

シリア政府の動き

ロイター通信(7月27日付)は、人民議会議員のイフラース・アフマド・バダウィー女史(アレッポ県諸地域選挙区、B部門、バアス党)が離反し、26日にトルコ領に逃走したと報じた。

Akhbar al-Sharq, July 27, 2012
Akhbar al-Sharq, July 27, 2012

アサド政権による「最低限の権利を求める国民の弾圧や残虐な拷問」が離反の理由だとう。

シリア国民評議会のサミール・ナッシャール氏はAFP(7月27日付)に対して、バダウィー議員とは離反後の安全な場所への受入のため、最近接触を始めていたことを明かした。

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ファールーク・ターハー駐ベラルーシ・シリア大使は、ジャズィーラ(7月27日付)でアサド政権を離反すると発表した。

レバノンの動き

『ナハール』(7月27日付)は、ヒズブッラーの戦闘員(ジハード会議第910部隊)が、ベカーア県ヘルメル郡のハウシュ・サイイドからシリア領内に入った、と報じた。

同報道によると、同部隊はヒムス県クサイル地方、ラスタン市、ヒムス市での反体制武装集団との戦闘のために投入されたというが、事実確認はできない。

なお同報道によると、またダマスカス郊外県ザバダーニー市にもヒズブッラーの戦闘員が配置されている、という。

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EUは、シリア人避難民受入のため、レバノンに500万ユーロの資金援助を行うことを発表した。

諸外国の動き

Akhbar al-Sharq, July 27, 2012
Akhbar al-Sharq, July 27, 2012

ヨルダンのサミーフ・マアーイタ情報通信大臣は、シリア領内からヨルダンに避難しようとしたシリア人家族をシリア軍が追撃し、家族を保護しようとしたヨルダン軍と交戦、子供1人が銃弾を受け死亡したと発表した。

ヨルダンのラムサーでシリア人避難民の救援活動を行う聖典スンナ協会のザーイド・ハマード代表によると、この交戦でヨルダン軍のビラール・ライムーニー大尉が負傷したと語った。

しかしマアーイタ情報通信大臣は、ヨルダン側に負傷者が出たとの情報を否定した。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣はアンカラでマナーフ・トゥラース准将と会談した。

AFP(7月27日付)によると、トゥラース准将はサウジアラビア経由でアンカラ入りした。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、「トルコが無思慮で不必要な挑戦を行うだろうなどと誰も考えてはならない」と述べ、シリアへの軍事介入の可能性を否定した。

しかしシリア北東部でのPKK系のクルド民族主義政党、民主統一党の自治に関しては、「自衛権を行使する権利があり、PKKであれアル=カーイダであれ、いかなる勢力がテロの拠点を築くことも許さない」と述べた。

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ロイター通信(7月28日付)は、信頼できる消息筋の話として、トルコ政府がアダナに、シリアの反体制勢力を軍事・兵站・技術教練を行う基地を建設した、と報じた。

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ロバード・ムードUNSMIS前団長は、アサド政権に関して「早晩、体制は崩壊するだろう」と述べた。

その根拠として、「暴力の連鎖や…民間人を保護できないことが、政権の余命を限られたとものとしている」点を挙げたが、「1週間後、ないしは1年後に崩壊するのか、という問いには答えられない」と付言した。

さらに「バッシャール・アサドが退任、ないしは亡命すると…、問題が解決すると多くの人が考えている。しかしこれは安直で、慎重にならねばならない…。体制崩壊後は事態は寄り混乱するだろう」と述べた。

しかし同時に、「現在権力を握っている者がとどまった場合も、未来のシリアを想像できない」とも述べた。

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国連のナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官はアレッポ市で軍・治安部隊と反体制武装集団の双方が大規模な戦闘が準備していることに懸念を表明し、「住民にとって悪い前兆」と非難した。

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フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官はアサド政権がアレッポ市で「国民に対する新たな虐殺を準備している」と述べた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アレッポ市での軍・治安部隊による反体制武装集団掃討に関して「決して受け入れられない」と非難した

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フランスの首都パリのエッフェル塔に、反体制勢力が使用する委任統治時代の旗が掲揚された。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、英国のデヴィッド・キャメロン首相との会談後、「シリアで起きていることはきわめて重大だ」としたうえで、「アレッポでの事態の悪化、大量破壊兵器使用に関する最近の発言を踏まえると、我々は傍観していることはできない」と述べ、国連安保理、イスラーム諸国会議機構、アラブ連盟などによる介入を改めて呼びかけた。

AFP, July 27, 2012、Akhbar al-Sharq, July 27, 2012、Aljazeera.net, July 27, 2012、al-Hayat, July 28, 2012, July 29, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 27, 2012、Naharnet.com,
July 27, 2012、Reuters, July 27, 2012、SANA, July 27, 2012、al-Thawra, July 28, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

仏紙がシリア北部における反体制武装集団への多数のアラブ人・外国人イスラーム主義者の参加を報じるなか、アサド大統領がテロ犯罪特別法廷の設置を決定(2012年7月26日)

国内の暴力

AFP(7月27日付)は、シリア北部での反体制武装集団に多数のアラブ人・外国人イスラーム主義者が参加している、と報じた。

al-Hayat, July 27, 2012
al-Hayat, July 27, 2012

同通信社によると、対トルコ国境のバーブ・ハワー通行所、アレッポ北部の村で、トルコ人、ウクライナ人、チェチェン人、パキスタン人などがシリアの反体制武装集団に参加している、という。

また、イスラーム主義者はインターネットなどを通じて、シリアへの集結を呼び掛けており、「イラクの真理とジハードの旗集団軍事司令部」なる組織は「シリアでジハードのための義勇活動」を呼び掛けている、という。

さらに、「シャームのくにのムジャーヒドゥーン」の「アミール・ムーマニーン」を名のるアブー・バクル・フサイニークルシー・バグダーディーなるイスラーム主義者も「革命」を呼びかけている、という。

このほか、レバノンで活動しているファタハ・イスラームがアレッポ県アアザーズ市で軍の車輌を襲撃したとの情報もある。

**

アレッポ県では、アレッポ市のサラーフッディーン地区、マシュハド地区などで軍・治安部隊と反体制武装集団の激しい戦闘が続き、『ワタン』(7月26日付)は、「アレッポはシリア・アラブ軍にとって最後の戦場となるだろう。テロリストを根絶したのち、シリアは危機を脱却するだろう」と報じた。

AFP(7月26日付)は、治安消息筋の話として、25、26日にシリア軍の増援部隊がアレッポ市東部に展開し、27、28日に総攻撃に参加する準備を進めていると報じた。

同消息筋によると、反体制武装集団もまた1,500人から2,000人の戦闘員がサラーフッディーン地区など市南部・東部に展開している、という。

さらに、アレッポ空港に至る5つの街道のうち、4つの街道を反体制武装集団が制圧し、空港は事実上孤立状態にある。

自由シリア軍アレッポ県軍事評議会のアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐はAFP(7月26日付)に対して、アレッポ市の南部、東部、西部に軍・治安部隊の増援部隊が展開している、と明かした。

SANA(7月26日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区、スッカリー地区で、軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数が死傷した。

一方、シリア人権監視団によると、市内のフルカーン地区、アシュラフィーヤ地区などで反体制デモが発生した、という。

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ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、ヤルムーク区で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。

またアサーリー地区などで散発的な戦闘が続いた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(7月26日付)によると、キスワ市で、軍・治安部隊と反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を殺害、逮捕、武器弾薬を押収した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市で2人、やマーディン市で1人が狙撃され、死亡した。

一方、SANA(7月26日付)によると、ブーカマール市で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員5人を殺害した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市での発砲で2人が死亡した。

一方、SANA(7月26日付)によると、アルヤート市で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を殺害・逮捕し、武器弾薬を押収した。

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ラッカ県では、SANA(7月26日付)によると、反体制武装集団がアレッポ・ラッカ鉄道の列車を脱線させ、市民3人が死亡した。

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イドリブ県では、SANA(7月26日付)によると、イドリブ市郊外で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を殺害、武器弾薬を押収した。

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ダルアー県では、SANA(7月26日付)によると、ビイル・サビール市で軍・治安部隊が反体制武装集団と交戦し、戦闘員多数を殺害し、武器弾薬を押収した。

シリア政府の動き

アサド大統領は2012年法律第22号を施行し、テロ犯罪特別法廷の設置を決定した。

法律第22号の骨子は以下の通り:

1. テロ犯罪特別法廷は、ダマスカスに本部を持ち、最高司法評議会の決定に基づき各地に支部を設置できる(第1条)。
2. テロ犯罪特別法廷は、大統領顧問、軍高官の2名を含む3人の判事から構成される。
3. テロ犯罪特別法廷は、テロ犯罪の裁判を専門に行う。
4. テロ犯罪特別法廷の判決は、破棄裁判所に上告することができるが、欠席裁判によって有罪判決を受けた被告は上告できない。

http://www.sana.sy/ara/2/2012/07/26/433446.htm

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Damas Post(7月26日付)は、ファフド・ジャースィム・フライジュ国防大臣とアリー・マムルーク国民安全保障会議議長が、バアス党シリア地域指導部メンバーに就任したと報じた。

両名の地域指導部入りは、アブドゥッラー・ラージハ国防大臣とヒシャーム・ビフティヤール少将暗殺に伴う人事だという。

なお、2011年4月の第1次アーディル・サファル内閣発足(および同年8月の内閣改造)、2012年5月の第10期人民議会選挙、2012年6月のリヤード・ファリード・ヒジャーブ内閣発足を受け、ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相もシリア地域指導部メンバー入りしている、という。

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外務在外居住者省は声明を出し、アブドゥッラティーフ・ダッバーグ駐UAE大使、妻のラミーヤー・ハリーリー駐キプロス大使、そしてムハンマド・タフスィーン・ファキール駐オマーン行政書記官が24日に離反し、赴任地を離れ「祖国からの離反を資金援助・奨励している国」に去ったことを認めた。

しかし、声明によると、ダッバーグ大使は6月4日付で職を解かれており、ハリーリー大使は「そもそも大使ではなく、キプロス大使館で常駐代表・大使職を代行していたに過ぎなかった」という。

またファキール書記官は、定年を控え、5月21日に職を解かれていた、という。

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アリー・アブドゥルカリーム駐レバノン・シリア大使は、アドナーン・マンスール外務大臣に、レバノン人によるシリアへの領土侵犯に抗議する文書を提出した。

LBC(7月26日付)が報じた。

同文書では、レバノン領内からのシリアへの発砲、武器密輸・流入を阻止するようレバノン側に要求しているという。

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『クッルナー・シュラカー』(7月26日付)は、PKK系のクルド民族主義政党、民主統一党へのシリア北東部の自治移管を受け、ダマスカス郊外県(ワルド・ワ・ルッズ山、ワーディー・マシャーリーウ)で暮らしていたクルド人がカーミシュリー市への集団移住を始めた、と報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会はカタールのドーハで拡大会合を開き、反体制勢力の統一やアサド政権打倒後の暫定政府発足について審議した。

アフマド・ラマダーン執行委員会メンバーは『ハヤート』(7月27日付)に対して、反体制勢力の統一に関しては、国内の政治勢力の評議会への参加を可能とするような組織改編が議論された、と述べた。

また暫定政府構想に関しては、それが行政権、現地軍、司法府などを包摂することをめざしているとのビジョンを示した。

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シリア国民評議会の複数の消息筋によると、暫定政府の首班には「クリーンさで知られる」リヤード・サイフ氏が最有力だという。

サイフ氏は、ハーフィズ・アサド前政権末期の第2次インフィターフのもとで台頭したビジネスマンで、シリア・アディダスの元代表。

人民議会議員を務めたこともある。

2000年の「ダマスカスの春」において反体制政治組織の結成を急ぎ、失脚した。

アディダス元代表時代には、従業員の処遇をめぐってたびたびその横暴ぶりが非難されてきた。

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またシリア国民評議会の消息筋によると、評議会はアレッポで戦闘を行っている「大隊」への兵站支援の獲得に成功したと述べ、「シリア国民の友人から特別な武器」の供与を受けていることを明らかにした。

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シリア国民評議会は、アブドゥッラティーフ・ダッバーグ駐UAE大使と妻のラミーヤー・ハリーリー駐キプロス大使の離反を歓迎した。

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シリア国民評議会内の無所属活動家は、ドーハでシリア民主無所属ブロックを結成した。

同ブロックはブルハーン・ガルユーン前事務局長を政治局長とし、アブドゥッラー・トゥルクマーニー(政治局次長)、ナージー・タイヤーラ(書記長)、ジョルジュ・ジャッブーリー、マーヒル・スライマーン・イーサー、マルワーン・ハッジュー・リファーイー、アーリヤ・マンスールなどが参加している。

諸外国の動き

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、アフメト・ダウトオール外務大臣を来週イラクのエルビルに派遣し、クルディスタン自治政府のマスウード・バールザーニー大統領とシリア情勢について協議すると発表した。

エルドアン首相は、イラクのクルド人指導者に向けて「我々は君たちを信頼している…。しかし、間違ったステップを踏み、当事者にならないことを望んでいる」と脅迫した。

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また、エルドアン首相は、トルコのCanal 24(7月26日付)に出演し、アサド政権が「クルド・カード」を利用して、トルコに対峙しようとしていると批判した。

首相は「現在、アサド体制は、ダマスカスとラタキアに集中しており、北部の5県をクルド人、すなわちテロ組織に委ねている…。奴らは分離主義テロ組織のリーダーの写真を掲げることで、自分たちの利害に一致する状況を作り出そうとしている」とアサド政権とPKK系の民主統一党の関係を批判した。

そのうえで、必要な場合、シリア領内でクルド人の掃討を行う権利を行使するかとの問いに「議論の余地はない。確実にそうする。これは任務であり、やれねばならないことだ」と述べた。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、セルビア外相との会談後の記者会見で、UNSMIS任期再延長を望むと述べるとともに、その増員の必要を強調した。

またアラブ連盟シリア問題閣僚委員会が求めた国境地帯の安全保障設置に関しては、「シリアの反体制武装集団が一部の国から支援を受け続ける限り、人道回廊やいわゆる安全地帯について議論することは許されない」と拒否した。

そのうえで、「我々は暴力の即時停止に資することを提案している。しかし「先方」は、政権を以上するか、反体制勢力に…さまざまな支援を続けると言い、テロ行為を正当化している。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、アレッポ市の情勢に関して、「世界各国、とりわけ安保理メンバーはともに行動し、責任を果たすべき」と述べ、ロシアと中国に、シリアでの暴力停止を求めるシリア国民と世界中の声に耳を傾けるべきだと述べた。

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イランのムハンマド・リダー・ラヒーミー副大統領は、「イラン国民にはシリア人に対して代わらぬ姿勢がある」と述べ、アサド政権への支持を継続する意思を改めて示した。

『クッルナー・シュラカー』(7月26日付)は、イラン・イスラーム革命防衛隊副参謀長のマスウード・ジャザーイリー准将が「シリア国民とシリアの友人は体制転換を許さないだろう」と強調するとともに、シリアの反体制勢力を支援するアラブ諸国を「大サタン戦線」と非難し、大敗を喫するだろうと述べた、と報じた。

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ヨルダン外務省は、シリアのパスポート・身分証明書を持つパレスチナ人を避難民として受け入れないとの姿勢を改めて示した。

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ヨルダンの総合統計局は2012年1~5月の対シリア輸出額が前年の同時期より9%減の1億ヨルダン・ディーナール(1億4,000万米ドル)に現象したとの統計結果を発表した。

またシリアからの輸入額は、前年より47%減の6,500万ディーナール(9,000万ドル)に落ち込んだ。

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UNESCOは、シリアのすべての紛争当事者に対して、アレッポの「例外的文化遺産保護」を保証するよう呼び掛けた。

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国防総省のジョージ・リトル報道官は、「シリアに(イスラーム主義)過激派がいる可能性を否定できないが、イラクのアル=カーイダのシリアでのプレゼンスが大きい、強力だとの評価は誰も下せない」と述べた。

AFP, July 26, 2012、Akhbar al-Sharq, July 26, 2012, July 27, 2012、Damas Post, July 26, 2012、al-Hayat, July 27, 2012、Kull-na Shurakaʼ, July 26, 2012、Naharnet.com, July 26,
2012、Reuters, July 26, 2012、SANA, July 26, 2012、al-Watan, July 26, 2012などをもとに作成。

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